a0001_000088_m
   


領土拡張が中国の歴史

米国の総合力見損なう

逆立ちした米国衰退論

もう不可避の経済破綻

 

中国の習近平国家主席は、毛沢東の政治スタイルを踏襲している。当時と同様に、異見を認めず弾圧する姿は、極めて危険な道と言うほかない。毛沢東時代は、経済発展レベルが極めて低く、まさに「食うや食わず」の日々であった。

 

現在は、名目一人当たり平均GDPは、1万ドルを超えている。臨海部では、3万ドルを超える地域も珍しくない。これは、国民の意識を大きく変えているはずだ。習近平の独裁体制を苦々しい思いで眺めている人たちを増やしているであろう。具体的に言えば、キリスト教徒(特にプロテスタント)の増加である。2030年には、世界一のキリスト教徒の国として1億人を超えるという予測も出ている。経済水準の上昇は、人間の意識を変えるのである。

 


中国は、毛沢東時代の政治意識で国民を統御し、「中華再興」を旗印に掲げて海洋進出に余念がない。挙げ句に、米国覇権へ挑戦すると軍事力強化に乗出している。南シナ海の9割が、中国領海と言い出しており、他国領土の島嶼を奪取して軍事基地化を急いでいる。この状況は、日本が昭和初期に中国満州(東北部)へ進駐して傀儡政権までつくったことと、同じ行動である。

 

領土拡張が中国の歴史

中国の歴史は、領土拡張の歴史である。漢民族が、最初の産声を上げたのは、黄河の中原である。それが、現在の広大な版図を持つに至ったのは、「合従連衡」策によるものだった。相手の同盟を崩してバラバラにさせてから、弱小国を支配するという戦術の積み重ねだ。毛沢東は、有無を言わせずにチベットと新疆ウイグルを中国へ併合してしまった。

 

習近平は、これに倣い南シナ海へ軍事基地を構築中である。香港は、昨年「一国二制度」を廃止して本土へ吸収した。新たに、台湾への侵攻を狙い始めている。習にとっては、台湾と南シナ海を確実に手中へ収めて、毛沢東を上回る実績を上げるべく画策している。

 

これで終わるのではない。軍事力の拡充をバネにして米国覇権へ挑戦する構えである。この軍事戦略では、台湾と尖閣諸島の同時攻撃によって、米軍戦力の分散を図り勝利を得ようという青写真が予測されている。

 

このような、止めどもない中国の軍事膨張主義は、戦前日本が描いた「大東亜共栄圏」構想を彷彿とさせるものだ。中国は、「一帯一路」がこれに相当するが、果たして成功するだろうか。

 

日本は1933年、満州国をめぐって国際連盟から非難され脱退したことで、外交的に孤立を余儀なくされた。これが、日本の運命を暗転させる大きな要因となった。外交的な孤立ほど危険なものはない。世界を敵に回すからだ。戦前の日本は、ドイツ・イタリアと枢軸関係を結び、欧米列強と軍事的に対決する道へ落ちこんだ。結果は、原爆2発を落とされて終戦の決断をする最悪事態で幕を引いた。

 

米国の総合力見損なう

中国は、日本と同様に新興国として覇権国の米国へ挑戦する決意を見せている。だが、客観的にみた米国の総合国力は、当時も現在もびくともしない強靱さを見せている。食糧は、輸出するほど豊富で自給自足が可能である。人口は、移民国家ゆえに世界中から受入れる。自由と民主主義が、若い人材を受入れる上で有効だった。これが、研究開発を促進させ、起業家として腕を振るえる地盤を用意した。米国は今も、こうした連鎖の上で発展軌道を歩んでいる。

 


米国の発展は、無限の可能性を秘めていると言って間違いない。米国に敗れた日本だからこそ、痛いほど米国の底力を認識させられたのだ。80年前の日本が、米国の潜在力を正当に評価していたならば、間違っても開戦しなかったであろう。日本は、新興勢力として「米国打倒」が先立ってしまい、足元をしっかり見つめないで真珠湾攻撃に突入した。

 

現在の中国は、当時の日本と同様に血気盛んな「反米意識」だけが先立ち、軍事膨張主義に陥っている。中国の最大の問題は、習近平の名誉心と密接に絡んでいることだ。毛沢東を超えたいという野心が、米国との軍事衝突も辞さないという危険ゾーンへ誘っている。専制主義の怖さがここにある。習個人の判断で開戦を迎える危険性は、決して低くないのだ。

 

民主主義国では、首相や大統領の一存で開戦できるものではない。議論に議論を重ね、やむを得ないという局面で開戦を決断してきた。とりわけ、米国は戦争を嫌う風潮が強い。第一次と第二次の世界大戦時は、その傾向が顕著であった。民主主義の大きな特色は、「戦争忌避」である。ただ、相手が不条理な戦いを挑んできた場合は違う。太平洋戦争は、真珠湾奇襲攻撃で国民を激昂させたのである。(つづく)