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文政権は、来年5月9日で幕を閉じる。あと1年を残すが落第政権であることは免れなくなった。政権支持メディア『ハンギョレ新聞』も、「力不足」を率直に認めざるを得ないほどの惨状である。

 

文大統領は就任直後、執務室に雇用状況ボードを設置して雇用を改善すると明らかにした。「雇用大統領になる」と宣言したほどだが、雇用事情は悪化の一途である。これまで計25回の大小の不動産対策を出したが、全て空振りに終わって効果はない。国民の暮しは悪くなるばかりである。

 

『ハンギョレ新聞』(5月10日付)は、「『文在寅政権の4年、善意と価値示したが力不足だった』」と題する記事を掲載した。

 

本紙は政治専門家10人に文在寅政権の1460日間をどう評価するか、文大統領は残りの365日をどうやって送ればいいのかについて、意見を聞いた。「善意を持って正しい価値を掲げたが、力量は足りなかった」という総評とともに、コロナ禍の終息と不平等の緩和に力を入れ、社会的対立を最小化すべきという診断が提示された。

 


(1)「文在寅政権に対する期待が大きかっただけに、評価も厳しかった。延世大学のパク・ミョンリム教授は「文在寅政権は大量得点を抱えて出発した政権だという点を考えなければならない。文大統領が優れていたところもあったが、代案勢力の不在で反射利益を得た側面がある」と指摘した。慶南研究院のイ・グァンフ研究委員は「政権序盤で不動産政策の方向性を間違えており、所得主導成長が革新成長と不協和音を起こした時もうまく収拾できなかった。また包容国家と福祉国家のビジョンを最初から強く進められず、バランス発展政策も不十分だった」とし、「善良な意志に及ばなかった政策力量」だと要約した」

 

『ハンギョレ新聞』は進歩派擁護メディアである。そこへ登場する識者も当然、進歩派であろう。この人々が、文政権へ厳しい評価である。仲間内が、これだけ批判するのは、実態が相当に悪いということだ。

 

下線部分は、文政権が「棚からぼた餅」式の利益を得て成立した政権という意味である。朴槿惠(パク・クネ)政権が弾劾で幕を引いただけに、文政権はその反動で高い支持率を得たに過ぎなかった。そこを誤解・錯覚した。文政権は全て可能と思い込んで暴走したのである。

 

(2)「パク・ミョンリム教授は「この4年間、韓国社会で進歩と保守を分ける基準が失われたことが最も残念だ」と述べた。彼は「文在寅政権の中心勢力である86世代(1960年代生まれ)が観念的には進歩だが、実際の暮らしにおいてはそうではなかったうえ、実質的にも進歩の価値と目標を逆転させてしまった」とし、二極化の解消を掲げながらも不動産の高騰で資産の不平等が深刻化しており、エコを主張しながらも実際は予備妥当性調査(大型事業で政治的・経済的な妥当性を事前に検証する制度)の免除を受けた土建事業が多かったという点などを例に挙げた」

 

文政権によって、進歩と保守を分ける基準がなくなったと指摘している。具体的には、清潔であるべき進歩派が堕落して、保身の術に出てしまったことだ。これは、議員や大統領府の秘書官などの素質の悪さが理由としても、そういう連中を集めた文大統領の責任は免れない。進歩派の多くは「運動圏」(学生運動や市民運動の経験者)で、それまで正業に就かなかった人たちである。それだけに「一攫千金」で、もうけ仕事に目が眩んだのだ。

 

(3)「専門家らは、文在寅政権が敵味方の陣営論理で「ろうそく連合」を自らの手で解体してしまった点も大きな悪手に挙げた。ザ・モアのユン・テゴン政治分析室長は「ろうそくの民意というのは強固な進歩と中道が結合した80%の世論」だとしたうえで、「この『ろうそく連合』が形骸化したのが最も残念」だと指摘した。イ・ジンスン理事長は「進歩-保守、労働-資本という構図の87年体制が終わってから、新たな進歩の多極化体制が実現されず、陣営を分ける論理だけが横行している」とし、「87年体制は事実上破局を迎えた」と指摘した」

 

「87年体制」とは、1987年6月29日盧泰愚大統領候補が発表した政治宣言である。正式名称は「国民の大団結と偉大な国家への前進のための特別宣言」。.29民主化宣言とも呼ばれる。大統領直接選挙制の導入と、金大中ら反体制派政治家・政治活動家の赦免・復権を骨子とした。韓国民主化の号砲である。その87年体制が、文政権の「敵・味方論」の識別で事実上、破局を迎えたという痛烈な批判である。文在寅は、韓国民主化に逆行したというのである。

 

(4)「任期満了まで残り1年となり、専門家らは評価とコミュニケーションの重要性を強調した。ソ・ボクキョン責任研究員は、「非正規労働者の正社員化など社会経済的な改革目標をなぜ達成できなかったのか、方向性は正しかったにもかかわらず、条件が合わなかったのか、最初から修正すべき具体的目標は何だったのかを、学界や市民社会とともに見直す場を開くべきだ」と主張した。イ・ジンスン理事長は「不動産問題は一朝一夕には解決できない難題であることを国民も知っている。『このような部分は簡単には解決できない』と率直に言うことも必要だ。長期的にはこうした方向で共に進もうと説得しなければならないのに、総合不動産税の緩和などその場しのぎの政策を掲げるから、国民は怒っている」と述べた」

 

文政権の経済政策は、空想論に基づいていた。供給よりも需要を付ければ経済は回ると信じていたのだ。供給増がなければ、いくら需要を付けても価格の高騰を招くだけである。最低賃金の大幅引上げはその轍を踏んだ。文政権4年間で、ソウルの住宅が8割も値上がりしたが、朴槿惠政権では1割強に止まった。朴政権では、住宅供給を増やしたからだ。素人政治が招いた悲劇である。