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帝王的な権力者意識に酔う

理想と現実大きなギャップ

進歩派専門家が愛想尽かす

経済原則を無視の暴走政策

 

韓国文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率が急落している。世論調査機関によっては、支持率が30%割れを起こしている。就任当時の80%台を記録した支持率は、もはやウソのように消えてしまった。

 

文政権は、若者の高い支持で実現した。その若者が、支持層から離脱する事態を招いている。そこに深刻さがあらわれている。若者が、文氏を大統領に押し上げる原動力になったのは、文氏の「正義・公正・公平」という倫理性にあった。朴槿惠(パククネ)前大統領が、民間人の国政壟断を許したこと。その民間人の娘が、誰もがその名前を知って憧れる名門女子大学へ「コネ入学」できたことなど、「入試地獄」の韓国では絶対に看過できない事態であった。

 


こうして、朴大統領を罷免に追い込む韓国政治史上で初めての事件になった。文氏が、立候補で掲げた「正義・公正・公平」は、韓国社会では十分に新鮮な響きを持っていたのである。文大統領は、それだけに自らの当選できた背景を片時も忘れてならないはずであった。そこが、「権力の魔性」の恐ろしさである。文氏もこの「魔性」に溺れてしまった。

 

帝王的な権力者意識に酔う

文大統領は、5月10日に就任5年目を迎えた。残す任期は、わずか1年を残すのみである。文氏は、記者を前に就任4年を振り返る演説をした。その席で、記者とのやり取りでいくつかの興味ある話があった。

 

その一つに、次のようなものがある。

 

文大統領は月城(ウォルソン)原発1号機の捜査などと関連して、「原発捜査などのいくつかの捜査を見ても、検察は大統領府の権力を恐れないようだ」と述べたのである。これは、検察による政権側の疑惑捜査を非難している雰囲気だ。正しい回答は、「大統領府といえども、三権分立の立場から当然、検察捜査の対象になる」と言うべきであった。文氏の心情では、「不愉快」という思いが滲み出ている発言である。

 

月城原発1号機は、黒字操業中の原発であり、何ら問題のない存在であった。文氏は、これを強引に操業中止に追込んだのである。政府からの説明では、赤字操業を理由に挙げたが「ウソ」であった。韓国検査院(会計検査院)の調査を前に、政府機関の職員が夜間にしのび込み、データの改ざんや関連資料を削除するという「スパイ」もどきの立ち回りをして事態の隠蔽を図った。文氏の掲げた「正義・公正・公平」にもとること、おびただしい事件である。

 

文大統領は、もう一つの長官(大臣)任命で強引な手法を取っている。

 

文大統領が5月11日、野党が非適格と判断した3人の長官候補に対する人事聴聞経過報告書を14日まで送付するよう国会に要請したことだ。韓国では、長官就任にあたっては、国会が聴聞会を開き同意することが原則になっている。ただ、国会が同意しなければ、大統領権限で長官に任命できるシステムだ。

 

国会が14日までに聴聞報告書を送付しなければ、文大統領は15日午前0時から長官候補らを任命でき、事実上の任命強行手続きに入ったとみられる。今回も文大統領が任命を強行すれば、現政権になって野党の同意なく任命された長官級要人は32人になる。この強引人事の発令数は、歴代政権で最大数である。

 

国会の聴聞会では、これまでも重箱の隅を突くような調査や質問が行なわれてきた。今回、3人の長官候補に「バツ印」がついたのは、呆れるような理由である。

1)長官候補の夫人が、英国から密輸で陶器を輸入して販売した。

2)本人が、不動産投機に関わった。

3)本人が、教え子の修士論文を盗用した。

 


文大統領は、こういう「傷物」長官候補3人について、国会へ再度の聴聞会開催を要求している。これは、大統領権限で長官へ就かせるシグナルだ。文大統領は就任以来、こういう強引な手法で30人を上回る長官を誕生させてきた。どこが、
「正義・公正・公平」なのか、呆れる話ばかりだ。

 

理想と現実大きなギャップ

文大統領は先の記者会見で、次のようにも語っている。

 

次の大統領が備えるべき「徳目や時代精神は何か」という記者の質問に、「まず時代精神とともにあるべきこと。そして、バランス感覚が必要だ」と答えたのだ。これまで、文氏が大統領として行なってきたことと大きなギャップに気付くであろう。文氏は、自分の行動が、時代精神とバランス感覚に合致していると判断している点に驚くほかない。自分に甘く他人に厳しいという、人間として最も忌避すべき行動に、文氏がどっぷりと浸っているのである。(つづく)

 

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2021-05-03

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