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韓国は、ワクチン欲しさに米国へ大盤振る舞いして心証を良くする努力をした。文政権は、国民が「ワクチン渇望症」で政府批判するため、支持率押し上げのためにも企業へ圧力をかけ、米韓首脳会談に臨んだ。こうして米国で、40兆ウォン(約3兆6000億円)もの投資をすることになったのだ。

 

肝心のワクチンは、韓国軍兵士55万人分の供与に止まった。韓国が、米国政府の「クアッド国優先」というルールに漏れたためだ。米国も、ニコニコして対応しながら、裏にまわっては韓国へ厳しい姿を見せつけたのである。

 

韓国では、ワクチン開発企業が存在しない。このため米国との間に「ワクチン同盟」を結ばざるを得ない事情にあった。日本では、塩野義製薬を筆頭に数社がワクチンの完成一歩の段階に来ている。その点で、米国企業と対等条件においてワクチン生産できる有利さがある。すでに、米モデルナが武田薬品と提携して生産に入っているほど。他業種の日本企業が、「手土産」を米国へ持参しないでも済んだのである。

 


『中央日報』(5月22日付)は、「『ワクチン同盟』のために 韓国企業、米国に40兆ウォンの投資“手土産”」と題する記事を掲載した。

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪米期間中、韓国企業の対米投資が相次いで発表される。韓米首脳会談を控えて大統領と同行したサムスン・現代車・SK・LG経営陣が持っていった「投資手土産」規模が40兆ウォン(約3兆8500億円)相当にのぼるという。

(1)「SKイノベーションと米国フォードは20日(現地時間)、「バッテリー同盟」を結んで電気自動車(EV)に必要なバッテリーの共同開発と量産に6兆ウォンを投資することで合意した。2社はこの日、米国で合弁法人(ジョイント・ベンチャー・JV)「BlueOvalSK(ブルーオーバルSK)」を設立することで了解覚書(MOU)を交わした」

 

ワクチンと無関係なバッテリーの技術で米韓が提携した。これは、「ワクチン同盟」という意味だけでなく、「クアッド」の中に技術分科会が設けられるので、韓国がクアッドの「準会員」として参加する「証拠金」のようなものになった。



(2)「SKイノベーションの金俊(キム・ジュン)総括社長は、「今回の合弁はフォードとSKの協力を越えて米国政府が強力に推進する電気自動車産業サプライチェーン(バリューチェーン)の構築・成長に核心的な役割を果たすだろう」と明らかにした。ただし、SKは6兆ウォンの投資金をフォードとどのように分担するかは明らかにしなかった。SKはすでに米国ジョージア第1・2バッテリー工場に3兆ウォンを投資している」

 

下線のように、米国のサプライチェーン構築の一環である。ここに上げられているバッテリーのほか、半導体・レアアース・医薬品も有力分野である。

(3)「サムスン電子が韓米首脳会談を前後して170億ドル(1兆8500億円)規模のファウンドリ(半導体委託生産)投資を発表することが予想される中で、一部の外信からサムスン電子の最終投資先が米国テキサス州オースティン市に決まったという報道が出た。ロイター通信などは、「サムスン電子はテキサス・オースティンに先端半導体工場を増設することを決定し、早ければ今年7-9月期に着工し、2024年の完工を目指す予定」と20日、報じた。ロイターは専門メディアを引用して「サムスン電子がオースティンに5ナノ(1ナノは10億分の1ミリ)極端紫外線(EUV)ファウンドリラインを構築するものとみられる」とも報じた」



サムスン電子がオースティン工場増設に170億ドルの投資を確定するなら、これはサムスンの単一投資としては歴代最大規模となる。サムスン電子は2012年中国西安第1工場に108億ドルを投資したことがある。これを上回る規模の投資であるからだ。サムスン電子関係者は、「今まで25年間にオースティン工場に投資した総金額は170億ドル程度になるだろう」という。今回のオースティン工場増設に170億ドルを投下すれば、累積投資額に匹敵する「大規模投資」になる。

(4)「新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)ワクチンに関連し、米国ワシントンでモデルナ-サムスンバイオロジクス、ノババックス-SKバイオサイエンスが了解覚書(MOU)を交換する。政府高位関係者は20日、「訪米団がワシントンでモデルナ・ノババックス関係者と会う」とし、「今回の訪米にサムスンバイオロジクス・SKバイオサイエンスが同行してMOUを締結する」と話した。権徳チョル(クォン・ドクチョル)保健福祉部長官が21日に訪米する」

 

韓国のバイオ企業は、他業種による40兆ウォンの投資を背景に、了解覚書(MOU)を交換するという。韓国は、これまでバイオ産業の急速成長で自信を付けてきたが本来、医薬品企業でなかったことから「創薬」という視点に欠け、「下請け」的存在でしかなかった。今回のモデルナやノババックス提携もその範囲を超えていない。

 


(5)「モデルナとサムスンバイオロジクスは、モデルナのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)ワクチンの国内委託生産を確定する。政府高位関係者は、「委託生産量や時期、技術移転の有無や方式などについてはまだ決定しておらず、ワシントン協議で決めるものと承知している」とし「MOUを締結してから、どのラインまで公開するかも2社が決める」と話した。今回の訪米中、ノババックスとSKバイオサイエンスは、新型コロナワクチン研究開発協力を確定する」

 

韓国の前記2社が、これまでモデルナやノババックスと提携交渉をしなかったことが不思議である。韓国政府が今、盛んにバクアップしている感じだ。韓国企業のひ弱さを感じさせるのである。

 

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