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韓国は、伝統的な中国恐怖症が治っていない。今回の米韓首脳会談における共同声明の内容は、事前に中国側へ伝えていたという。この調子では、米国の秘密情報も筒抜けになる危険性が出て来た。とても、「クアッド」(日米豪印)の一員に加えられないリスクがあるようだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(5月29日付)は、「中国が容認した米韓協調 文政権、危うい『綱渡り外交』」と題する記事を掲載した。

 

バイデン米大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は21日の会談で協調をアピールし、共同声明には台湾問題を盛り込んだ。韓国が急に米側に傾いたようにもみえるが、中国は強い批判を控えている。小国が大国の間でバランスをとる「綱渡り外交」が奏功した形だが、それは綱から落ちる危うさもはらむ。

 


(1)「中国の反応は米韓首脳会談の直後ではなく、2日後だった。外務省の趙立堅副報道局長が「台湾問題で言動を慎み、火遊びをするな」と述べた。言葉は激しいが、外交専門家の間では、批判のトーンは抑え込まれたと受け止められている。韓国は首脳会談にあたり中国への配慮をちりばめた。共同声明は中国を直接名指しせず、文氏は記者会見で「両岸関係(中台関係)の特殊性を勘案しながら、韓米は協力する」と付け加えた」

 

中国が、米韓共同声明に対して強烈な反応を示さなかった裏には「理由」があった。韓国が事前に、米韓の共同声明の内容を知らせていたのである。韓国は、こういう外交上の秘密を連絡し合う仲であることを示した。

 

(2)「26日には韓国のテレビに出演した中国の邢海明駐韓大使が、共同声明で中国の名指しがなかったことについて「韓国政府は大変努力された」と笑顔で語った。反発を懸念した韓国は「中国は韓国の立場を理解している」(大統領府関係者)と胸をなで下ろした」

 

駐韓中国大使が、韓国へ理解ある姿勢を見せたのは当然であろう。

 


(3)「ソウルの外交関係者は「中国は首脳会談前に大方の内容を知らされていた」と明かす。韓国政府は中国側との事前の擦り合わせで落としどころを探ったとみられる。中国は日米豪印4カ国の枠組みである「Quad(クアッド)」について共同声明への言及を容認する一方、香港や新疆ウイグル自治区などの人権問題には触れさせないように調整したようだ」

 

共同声明文には、香港や新疆ウイグル自治区などの文言は見られない。これは、中国が反対した結果である。

 

(4)「韓国には中国との関係悪化を引き起こした朴槿恵(パク・クネ)前政権の教訓がある。2016年に米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備を決定した時のことだ。朴氏はそれまで、中国との蜜月を演じていた。前年には北京に出向き、習近平(シー・ジンピン)国家主席と共に「抗日戦争勝利70年」を祝す軍事パレードを閲兵した。ところがTHAAD配備に中国は猛反発し、韓国製品を締め出す厳しい制裁措置を繰り出した。韓国政府には「事前相談なしの決定が中国の怒りを招いた」との反省が引き継がれている」

 

韓国は、THAAD問題の発生について「事前相談なしの決定が中国の怒りを招いた」という認識である。この例でいけば、韓国は中国関係の問題について、中国の事前承認をすべて必要とすることになる。これこそ、従属外交そのものである。韓国をクアッドへ入れることは危険この上ない事態となろう。

 


(5)「大国に囲まれる朝鮮半島で「綱渡り外交」は地政学上の宿命といえる。中国とソ連が対立した1950年代に、北朝鮮の金日成主席が両国の間で展開した外交は有名だ。金日成氏は61年、互いの防衛義務を定める「相互援助条約」を中ソの双方と締結した。大国同士をけん制させながら、両国から経済や武器の支援を巧みに引き出した」

 

北朝鮮が、中ソ対立の際に中立を守ったのは当然である。中ソはともに北朝鮮のスポンサーであるからだ。だが、米中対立で韓国が中立を守れるはずがない。韓国は、中国と同盟関係にないからだ。ここら辺りが、朝鮮民族特有の生き方なのだろう。

 

(6)「安保と経済ともに米国一辺倒だった韓国は、2003年に発足した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が「バランス外交」という言葉を口にし始めた。この年、韓国の対外輸出は中国が米国を抜いて首位となった。米中対立の激化で、両国のはざまにある韓国の相対的な重要性は高まっており、文氏が政治的な師とする盧氏が打ち出したバランス外交は展開しやすくなっている」

 

バランス外交は、二股外交という意味である。2000年代には可能であっても、現在の米中対立激化時代には不可能である。韓国は、米国から疎外され利用されるだけの弱い立場に転落する。そういう「ヌエ的」韓国は、信頼に値した国家でないからだ。

 

(7)「文氏は今回、韓国企業による4兆円規模の対米投資計画を米国に持参し、北朝鮮との対話姿勢や南北融和への支持を取り付けた。中国に対しては緊密な連絡を続けている。文氏は26日に与野党の代表を招いた席で、習国家主席の早期訪韓を推進する考えも示した。ただ、今後も文氏がきわどい立ち回りで乗り切れるかは不透明だ。韓国に臨時配備している6基のTHAADの扱いも難題になる。今は環境影響評価を進めている段階で、文氏は遠からず正式配備するかどうかの判断を迫られる」

 

米中対立の激化という時代背景を考えるべきである。米中が平和的関係であれば、二股外交は成立する。現状は、真逆の関係になっているのだ。

 

(8)「韓国では「綱渡り外交」は積極外交を評価する意味で使われるが、一方で「鯨のけんかでエビの背中が裂ける」ということわざも存在する。弱者が強者の争いの巻き添えを食らうという意味だ。次期大統領選に向け保革が対立しており、外交での失敗は許されない状況が続く」

 

朝鮮李朝末期の外交が、なぜ失敗したかを考えるべきだ。李朝はロシアを頼った結果、英米が日本の朝鮮統治を認めたことだ。世界情勢は、独裁国と民主主義国の対立である。韓国が、中国との関係を切れないのは、李朝がロシアを選択した誤りと同じである。歴史は、繰返すのか。嘆息せざるを得ない。