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7月の東京五輪開催をめぐって、内外で開催中止の声が高まっている。隣国の韓国メディアでは無論、「反日」の立場から中止論を報道している。

 

『ハンギョレ新聞』(5月28日付)は、「命よりお金? 危険水位を越えた東京五輪」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ソヨン東京特派である。

 

(1)「日本国民の83%(朝日新聞の世論調査)が「命が大事」だとして五輪に反対するのは、当然の結果かもしれない。専門家らはコロナ禍での五輪開催は致命的な結果をもたらすと指摘している。最低でも全世界から選手やコーチら約9万人が入国し、ボランティアまで合わせると10万人以上が一定の場所に集まる。五輪とパラリンピックが開催される78月は、東京では一年中最も蒸し暑い時期だ。厳しい防疫対策が守られるかどうかなど、危険要素が多すぎる。「東京五輪はウイルスの“培養皿”になる」と懸念する声もあがっている」

 

WHO(世界保健機関)の見解は、どうだろうか。日本のTVは、この話題で持ちきりである。WHOが、どのような見解で、どういう対策を取れば開催できるか。そういう案を出すべきだろう。

 

(2)「国内外から五輪中止の声が相次いでいるにもかかわらず、国際オリンピック委員会(IOC)と日本政府は「安全・安心な五輪」が可能だと主張している。ニューヨーク・タイムズはコラムで「五輪強行の理由は第一も、第二も、第三もお金」だと主張した。IOCは主な収入源の放映権の販売だけで東京五輪で26億4600万ドルを手に入れるという」

 

IOCが、守銭奴扱いされている。しかし、パンデミック下でどのような対策を取れば可能かという議論も必要である。今後、パンデミックは定期的に襲ってくる。人間による自然破壊がもたらした「逆襲」である。

 

原発でも危険だから廃棄しろという議論の一方で、その危険性をどうすれば、コントロールできるかという視点が主張されている。東京五輪は、原発問題に似ている。危険をどのようにコントロールするかである。日本社会の英知の見せ場でもある。

 


『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月29日付)は、「東京五輪を救う方法、米は支援拡大を」と題する社説を掲載した。

 

米国務省は5月24日、渡航警戒レベルの情報を更新し、米国人の日本への渡航に関し、日本での新型コロナ感染状況を理由に「中止勧告」を出した。この勧告の実際上の影響はそれほど大きくないが、日本が東京五輪に向け何万人ものアスリートと関係者を迎え入れ始める中で、間違ったメッセージを送ることになる。

 

(3)「バイデン氏と菅氏が4月に出した(日米首脳会談の)共同声明は、「バイデン大統領は、今夏に安心で安全な五輪とパラリンピックを開催するための菅首相の取り組みを支持する」と宣言していた。バイデン氏が本気なら、渡航中止勧告の撤回が良い出発点になる可能性がある。しかし、ホワイトハウスは、ワクチンの供給と配布でも日本に緊急の支援を申し出るべきだろう。ホワイトハウスは今年、インドへの支援申し出で出遅れた」

 

日米首脳会談の共同声明には、米国が日本の五輪開催を支持するという一項目が入っている。米国は、この精神を生かして何か日本への協力ができないかという提案である。

 

(4)「日本政府への支援は、米国自体の利益にとって行う価値のあるものだ。しかし、中国が来年の北京冬季五輪の主催国であるという事実を思い起こすことも重要だ。独裁主義諸国は自国の政治モデルを顕示する場として五輪を利用する。東京五輪の失敗は中国政府にとって、プロパガンダ上の大勝利となるだろう」

 

中国は、パンデミックを克服して冬季五輪を成功させたと宣伝するに決まっている。日本は「コロナに負けて五輪を中止した」と言うはずだ。そういう政治的宣伝に負けないためには、精密なコロナ克服法を打ち立てるべきである。日本が、それを不可能として放棄するのは余りにも工夫が足りない話だ。五輪中止論に凝り固まるより、可能性を見出して、それに努力を集中すれば道が開かれるはずだ。

 


(5)「昨年の大会延期決定は残念だったが、世界が依然として新型コロナの正体解明に努めていた段階で、ワクチン配布が何カ月も先の見込みだった状態では避けられないものだった。五輪を今回開催すれば、1年以上に及んだロックダウン(都市封鎖)を経て世界が再び動き出したという重要なメッセージを送ることになるだろう

 

下線部は、重要である。これから繰返されるパンデミックに対する「挑戦モデル」になるような「戦い方」を世界に向けて提示することだ。日本に、そういう底力を発揮するチャンスがめぐってきたと思えば、アイデアも浮かぶはず。今からでも遅くない。不用不急の外出を取り止める。それだけで、東京五輪は開催できるだろう。日本社会の結束力が試されているのだ。戦後の灰燼から立ち上がった国民である。それをもう一度、思い出そう。

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