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新型コロナウイルスの発生源調査が、二転三転してようやく米英の情報機関が原因究明に乗出すことになった。中国武漢のウイルス研究所が疑惑の焦点になっている。

 

バイデン米大統領は5月26日、起源解明に関して90日以内に結果を報告するよう情報機関に指示したと発表。世界保健機関(WHO)は3月、武漢を訪れた国際調査団の報告書を公表し、自然界から中間宿主の動物を介して人間に感染が広がったとみられると結論付けた。

 

5月30日付の英紙『サンデー・タイムズ』は、新型コロナウイルスの起源について英情報機関が中国武漢のウイルス研究所の可能性があるとみていると報じた。起源解明へ追加調査を命じたバイデン米政権の情報機関とも連携しているという。同紙によると、欧米の情報機関はこれまで、研究所から漏えいした可能性は低いとみていたが、再び分析した結果「あり得る」と判断した。

 

米国トランプ政権時代、大統領命令で米国情報機関が調査に乗出した。結果の正式発表はなかったが、トランプ氏は発生源を「武漢のウイルス研究所」と名指ししたが立ち消えになった。トランプ氏が、自らのコロナ対策の失敗を糊塗するためと勘ぐられたのである。米国進歩派メディアもトランプ非難に力点を置き、トランプ発言を葬ることに肩を貸してきた。メディアの報道姿勢も同時に問われることになった。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月27日付)は、「武漢研ウイルス流出説、信頼性高まる」と題する社説を掲載した。

 

ジョー・バイデン米大統領は5月26日、新型コロナウイルスの発生源について、より突っ込んだ調査を行うよう情報当局に指示した。バイデン氏は、この問題に関する米国務省の調査部署の閉鎖を命じたと伝えられていたため、今回の対応は方針転換となる。同氏が自身のみっともない判断を取り繕おうとしているのは、ウイルスが武漢ウイルス研究所から流出した可能性を示す証拠によってついに「ダムが決壊」したためだ。当初から疑わしい事実が明らかになっていたのに、大統領が調査を指示するまでこれほど時間がかかったのは恥ずべきことである。

 


(1)「マイク・ポンペオ氏やドナルド・トランプ氏など、有力な共和党関係者が(武漢)研究所説を支持し始めたが、政権によるパンデミック対応の失敗から人々の目をそらそうとしているとして非難された。ファウチ氏が研究所説を一蹴した時期には、ホワイトハウスと科学アドバイザーとの対立を楽しむような報道がなされていた。CNNは「アンソニー・ファウチ氏はコロナウイルスの発生源に関するドナルド・トランプ氏の理論を粉砕した」と報じた」

 

ポンペオ前国務長官やトランプ前大統領は、武漢ウイルス研究所が発生源であると発言したが、米国の主流メディアは真面目に報道しなかった。「トランプ叩き」に熱中していたのだ。今になると、その報道姿勢は問題になる。

 


(2)「最も重要な情報開示は、今年1月にトランプ政権の国務省が行った。国務省の報告書は「最初の(新型コロナ)発生事例が確認される以前に、武漢ウイルス研の複数の研究者が、新型コロナと通常の季節性疾患の双方に当てはまる症状を示す病気になったことを信じるだけの理由が米政府にはある」と指摘している。同報告書は、武漢ウイルス研は中国軍との関係を維持しており、新型コロナに類似の各種ウイルスに関する研究について透明性を欠き、首尾一貫していないとも述べている。バイデン政権はこれらの指摘の大半を公式に受け入れた。ファウチ氏でさえ今週、研究所からの流出の可能性を認めた」

 

今年1月、米国務省は武漢ウイルス研が発生源と疑える根拠があると指摘した。バイデン政権は、ようやく現在になって原因究明に乗出した。

 

本欄は、海外情報で武漢ウイルスの遺伝子配列が、人間の手が加えられて、異常であることを取り上げてきた。ただ、この分析を発表した中国人研究者に対して、多数説は悪意を見せて否定する状況であった。中国政府の手が回っていたのであろう。もう一つの疑問点は、ウイルスが公式発表される前の一昨年11月に人民解放軍がワクチン開発に乗出していたのだ。このニュースで株価が暴騰したと報じられていた。要するに、中国当局は全て把握していたはずである。

 


(3)「WHO調査団が今年行った武漢訪問は、新たな情報をほとんどもたらさなかったが、同調査団は研究施設からのウイルス流出は「極めて可能性が小さい」との判断を示した。ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)はこの調査を批判した。テドロス・アダノムWHO事務局長でさえ、ウイルスが何らかの研究施設から流出したものかどうかについて「さらなる調査」を求めた。ある科学者グループは今月の『サイエンス』誌に掲載された書簡で、「研究所からの偶発的流出説と動物から人に感染したとの説は、いずれも引き続きあり得る」との見解を示した」

 

ウイルス専門家の意見が、微妙に変わって点に注目すべきである。当初、中国政府の言分を100%聞かされてきた頭が、次第に冷静になると共に疑問点が浮かび上がったのであろう。専門家でもこういうミスがあるのだ。

 

(4)「この精査は1年前に開始されるべきものだった。しかし、党派色の強いメディアは公平な議論を妨げた。多くの「専門家たち」は政治的打算で動き、科学に従うよりも集団思考の犠牲となった。単に点数表を付けているのではない。新型コロナの武漢起源説は、次のパンデミックを阻止し、危険な研究施設をより適切に運営し、人類を守るすべを理解する上で極めて重要である。世界は依然として誠実で開かれた調査を必要としている

 

下線の部分の指摘通り、つぎのパンデミックを防がなければならない。中国政府は、調査に協力する義務がある。米英の情報機関が動き出した以上、何らかの「答え」が出るだろう。その後、中国が最も恐れる「賠償金」問題が出るはずだ。そうなると、中国は修羅場になろう。