韓国は、11日から始まるG7首脳会談で菅首相との会談を予定していない。韓国外交部の日本担当局長が文大統領に同道しておらず、日韓首脳会談の可能性は極めて低いと見られる。
日韓首脳会談が見送られるのは、日本にその熱意がないことが最大理由である。日本は、韓国が旧徴用工や旧慰安婦の賠償問題について解決案を示さない以上、儀礼的な会談に意味がないという立場である。韓国は、会談することで内外に向けて日韓関係打開に努力しているというイメージを発信したいのであろう。
『ハンギョレ新聞』(6月11日付)は、「2年以上凍りついた韓日関係、G7で接点探るか」と題する記事を掲載した。
1~13日に英国のコーンウォールで行われる主要7カ国首脳会議(G7サミット)の期間中に初の対面での会談をするかに関心が集まっている。凍りついたまま2年以上平行線をたどっている両国の関係で「歴史問題」でのもつれを解くきっかけを作れるか注目される。文大統領のサミットへの参加を控え、韓米日首脳会談と韓日首脳会談の開催の可能性は絶えず提起されてきた。主に日本メディア発の報道だったが、韓国政府でも微妙に反応が変わっている。
(1)「大統領府高官は9日、記者団に、韓米日首脳会議は「現時点では予定されている日程はない」としながらも、韓日対話は「常に開かれているという立場」だと述べた。また、「3国間の様々なコミュニケーションと協力に対し、開いている立場」だと強調した。まとめて要約するならば、3国での首脳会議について「可能であれば行いたい」というシグナルだと読みとれる。実際、外交界では韓米日首脳会談が行われる可能性は高くはないが、韓日首脳での接触は短時間だとしても行われる可能性があるという観測が出ている。文大統領は2019年11月、タイのバンコクで行われたASEAN+3首脳会議でも、当時の日本の安倍晋三首相に「少し座って話しましょう」と述べ、11分間言葉を交わしたことがある」
韓国は、日韓対話について「常に開かれているという立場」を強調している。これは、ポーズに過ぎず、韓国自らが解決案を出すという大前提を飛ばした「格好づけ」に利用しているだけである。
(2)「韓国政府は最近、日本軍「慰安婦」被害者団体との初の「慰安婦」官民協議会を開いたり、個別に強制動員被害者に会い意見を聞くなど、停滞している「歴史問題」の解決策を模索しようとする試みも行っている。ただし、日本政府は、1965年の韓日請求権協定と2015年の韓日政府間の「慰安婦」合意で一段落した二つの問題について、韓国側が前向きな解決策を提示しなければならないという態度を固守しており、ただちに意味のある変化が起きる可能性は低い」
日本は、徴用工問題も慰安婦問題も解決済みという立場である。それにも関わらず、韓国が蒸し返している以上、韓国政府が責任をもって解決せよということにつきる。
(3)「最近、強制動員被害者が起こした日本企業への損害賠償請求訴訟を韓国の裁判所が却下し、韓国政府が負担を減らしたという評価もあるが、一審判決であるうえ、2018年の最高裁(大法院)判決が有効な状況であるため、大きな意味はないという分析が多い。複数の政府当局者は、「我々はずっと日本との対話に対し開いているが、特に韓日関係の流れには変化はない」と述べた」
下線部は、韓国の無責任な言分である。韓国が解決案を出さない以上、日韓対話は成り立たない。こういう簡単な事実に気付かない振りをしているだけである。
(4)「韓国政府は、日本との対話に“開かれた態度”であることを強調しているが、公に示している日本政府の反応はぱっとしない。G7サミットを機に韓日首脳が会って対話する案についても、日本側はかなり消極的な雰囲気だ。最近、共同通信は日本政府当局者の言葉を引用し、「歴史問題で韓国から実効性のある打開案は示されておらず、菅義偉首相が対話に臨む環境は整っていないと」と伝えた。さらに日本政府は、G7サミットで文大統領と会う案について「何の準備も検討もしていない」と伝えた」
政府間の対話は、個人レベルの対話と異なる。韓国が、課題解決の意思を示さない限り成立しない。
(5)「昨年9月の就任後に対面での多国間の外交舞台に初めて参加する菅首相が解決しなければならない他の優先課題が多いという点も、韓日関係改善の優先順位が下がっていることに影響を及ぼしているという分析もある。菅首相は今回のサミットで東京五輪開催への支持を引き出さなければならず、「中国けん制」という中心課題をめぐり各国首脳と論議しなければならない。毎日新聞は「外交面では、菅総理はG7首脳との個別会談でいっぱいだという反応」だとし、「韓日首脳会談には消極的」だと報じた。外務省幹部は読売新聞に「首脳同士が顔を合わせた際、言葉を交わす程度ではないか」という予想を伝えた」
日本の安全保障にとって、韓国の序列は現在5位に下がっている。これは、外交序列の低下に繋がるものだ。日本にとっては、中国けん制が最大の課題である。それには、役立たない韓国を相手にしているより、クアッド(日米豪印)や欧州主要国(G7加盟)と会談した方がはるかに効率的である。韓国は、そのことに気付いていない。
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2021-06-10 |
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