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韓国の司法は、文政権の意図のままに動いている感じである。ユン前検察総長が、ユーチューブで活動を始めると、「待っていました」とばかりに高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が捜査に動き出すという嫌がらせを始めている。

 

ユン氏は3月4日、突如辞任した。与党の一部で推進中の捜査・起訴権の完全分離と重大犯罪捜査庁(捜査庁)の設置が、ユン氏辞任の理由である。ユン氏は「この国を支えてきた憲法精神と法治システムが破壊されている」と述べて辞任した。文政権支持の『ハンギョレ新聞』は、ユン氏の大統領選挙出馬を予想して「『検察の中立性』を根底から揺さぶりかねないという点で、強く懸念される」(3月5日付)と報じていた。

『ハンギョレ新聞』は、文政権と一体化している。前記報道によって、政権がユン氏の大統領選出馬を最も恐れていることを示している。それだけに、ユン氏が大統領選に動き始めたらすぐに、公捜処が捜査を開始するという手はずを整えていたのであろう。

 

『ハンギョレ新聞』(6月12日付)は、「ユン前検察総長の捜査に着手した公捜処『職権乱用容疑』で起訴の可能性は」と題する記事を掲載した。

 

高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が職権乱用の疑いで告発されたユン・ソクヨル前検察総長事件の捜査に着手し、事件の処理方向に関心が集まっている。まだ公捜処の通常の告発事件の処理手続きと見られるが、今後捜査が拡大してユン前総長を召喚調査し起訴した場合、政治的波紋が大きくなるものとみられる。

 

(1)「公捜処がユン前総長の職権乱用権利行使妨害の容疑をめぐって検討している事件は大きく分けて2つ。オプティマス・ファンド詐欺事件に対する手抜き捜査疑惑と、ハン・ミョンスク元首相捜査チームの謀略偽証教唆疑惑事件に関する捜査妨害だ。オプティマス事件に対する手抜き捜査の疑惑は、2019年、ソウル中央地検長だったユン前総長が、当時ソウル中央地検1次長だったイ・ドゥボン現仁川(インチョン)地検長と刑事7部長だったキム・チョル原州(ウォンジュ)支庁長に、電波振興院のオプティマス関連捜査依頼事案の捜査を積極的に行わないよう指示したことが主な内容だ」

 

この疑惑についてユン前総長は昨年、最高検察庁に対する国政監査で「部長専決事件なので報告はなかった」と述べた。この疑惑が持ち上がってから、法務部と最高検察庁が合同監察を行ったが結論は出ず、昨年のユン前総長への懲戒請求当時も、手抜き捜査疑惑は懲戒事由に含まれなかった。

 


(2)「ハン元首相捜査チームによる謀略偽証教唆事件に関する捜査妨害疑惑は、今年3月初め、最高検察庁のイム・ウンジョン監察政策研究官が、当事件の捜査途中で不当に職務から排除されたと主張したことで浮かび上がったもの。昨年9月に最高検察庁の監察政策研究官に異動した後、ハン元首相事件を調査したイム研究官が事件を捜査した検事を謀略偽証罪で立件しようとしたところ、ユン前総長が不当に職務から排除したという疑惑だ。これについて最高検察庁は、「ユン前総長がイム研究官にこの事件を担当させたことはない。規定により事件を監察3課に割り当てたにすぎない」と反論した」

 

公捜処の措置は、とりあえず告発事件を検討する通常の処理手続きの一環とみられる。しかし、さも「曰くありげな事件」のように扱い、ユン氏が話題に上り始めた時期に合わせた捜査開始は、文政権の意向を受けた動きと勘ぐられても致し方あるまい。

 

(3)「公捜処がユン前総長を捜査対象にしたのは、告発事件を処理する通常の手続きと見られる。これに先立ち、今年2月には「司法正義を立て直すための市民行動」がユン前総長と検事2人をオプティマス・ファンド詐欺事件の手抜き捜査疑惑で、3月にはユン前総長とチョ・ナムグァン最高検察庁次長(当時)をハン・ミョンスク元首相事件の捜査妨害疑惑で公捜処に告発した」

 

与党「共に民主党」では、これまでユン氏を公捜処捜査の「第1号」の血祭りに上げると動いてきた。どのように言い訳しようと、ユン氏捜査の裏には政治的な意図が隠されている。こういう不純な動きをするから、若者から文政権がいかがわしい存在と位置づけられているのだ。今や、民主党は「ダブルスタンダード」の代名詞となっている。

 


(4)「公捜処が、野党の有力大統領選候補に浮上したユン前総長を捜査対象としたことに対し、野党を中心に疑念の声があがっている。国民の力では、「ユン・ソクヨル叩き」が始まったとし、「4カ月前に受理した告発状をいま立件するのは政治的意図がある」と反発した。しかし一方では、公捜処が野党の有力大統領選候補に挙げられるユン前総長の告発件を検討もせず捜査対象から排除すれば、公正性をめぐる議論を呼ぶ恐れがあるという反論もある。公捜処は今後、告発人調査と法務部監察調査記録などを検討し、これらの事件を本格的に捜査するかどうかを決める方針だ」

 

下線部は、詭弁である。公捜処が、これまで捜査もしないでほっといて、ユン氏が活動し始めるとすぐに「モグラ叩き」に出るのは胡散臭い行為だ。問題があれば、告発を受けた時点で捜査を始めるべき案件であろう。韓国検察が、政権に支配下にあることを証明している。

 


(5)「法曹界では、公捜処がユン前総長の職権乱用容疑を立証するのは困難とみている。検事長出身の弁護士は「オプティマス事件の場合、(ユン総長が)捜査の縮小を指示したという疑惑があるだけで、事実関係は明らかになっていない」とし、「監察まで行ったのに結論が出ないことを見ると、公捜処が告発人調査だけで疑いを立証するのは難しいだろう」と述べた。首都圏の検察庁のある検事は、イム研究官の職務排除の主張をめぐり「事件の割り当ては検察総長の権限」だとし、「規定と手続きに従って事件が割り当てられたとすれば、ユン前総長に責任を問うのは容易ではないだろう」と見通した」

 

『ハンギョレ新聞』も取材の結果、ユン氏を裁判に持込むことは無理と見ている。それでも、文政権の一翼を担うメディアとして、忠実に報道しているのであろう。気の毒な存在である。