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中国政府が、スパイの基地として設置してきた孔子学院が、オランダやカナダから閉鎖を迫られている。「価値観の相違」を理由にして受入れを拒否されているからだ。米国バイデン大統領は、世界に向けて「民主主義の価値を守る闘い」を宣言しており、民主主義国は中国の人権弾圧政策に違和感と警戒感を示している。

 

『大紀元』(6月26日付)は、「オランダ教育相、孔子学院との提携停止呼びかけ 複数大学が中国軍大学にも協力」と題する記事を掲載した。

 

オランダのイングリット・ファン=エンゲルスホーフェン教育・文化・科学相はこのほど、中国の孔子学院(CI)が学問の自由を侵しているとし、オランダの大学に同学院との提携をやめるべきだと呼びかけた。16日の議会で孔子学院に関する質問に書面でこう回答した。オランダの独立調査報道メディア「Follow the Money」は57日、中国共産党との提携は経済的損失をもたらすだけでなく、学問の自由も制限を受けていると報じた。その後、同国の政党「キリスト教民主アピール」が議会で孔子学院について問題提起した。

 


(1)「現在、オランダにある孔子学院は2校だ。それぞれフローニンゲン大学とザウト応用科学大学と提携している。オランダ最古の高等教育機関、ライデン大学は、2019年に契約満了をもって、同大の孔子学院を閉鎖した。オランダ放送協会(NOS)は5月、フローニンゲン大学の中国人教授は孔子学院との契約書で、「中国のイメージを損なう言動をしない」と約束したことを報じた。また、同教授の報酬の一部は中国政府教育部(文部科学省に相当)傘下の国家漢語教育指導弁公室(国家漢弁)から支払われている事が分かった。国家漢弁は孔子学院の本部でもある」。

 

現在、オランダには孔子学院が2つの大学に附設されている。下線のように、中国に反対することを教えないという契約が交わされている。つまり、中国の政治的宣伝機関である。

 

(2)「その後、フローニンゲン大学は、孔子学院との提携継続に反対する署名活動を開始した。これを受け、同国のエンゲルスホーフェン教育相は議会の質問に対して、「フローニンゲン大学は国家漢弁から資金提供を受けている中国語と文化の講義を中止する予定だ」と書面で答弁した。同大学も「国家漢弁」との契約を更新しないと表明した。契約は2016年からの5年契約となっている」

 

フローニンゲン大学は、2021年の契約満了をもって閉鎖する。

 


(3)「表向きで中国語教育の普及を目的とする孔子学院は、米連邦捜査局(FBI)から「学術活動を破壊し、学問の自由を損なっている」と指摘され、捜査の対象にもなっていた。中国共産党政権は孔子学院を巨大経済圏構想「一帯一路」の教育アクションの重要部分に位置付けている」

 

孔子学院は、一帯一路プロジェクトと関連づけられており、教育宣伝機関としての「宣撫工作」の任が与えられている。日本にも二桁の孔子学院が設置されている。日本は、この孔子学院から被害を受けていないのかどうか。気懸りである。

 

(4)「オランダでは孔子学院以外にも、中国の大学との学術交流が問題となっている。3月26日、オランダのデルフト工科大学(TUD)は同校が中国軍とつながりのある中国の4つの大学と協力しているとのレポートを発表した。デルフト工科大学は、オランダで最も古く、最大の総合工科大学である。設立以来3人のノーベル賞受賞者を輩出しているオランダを代表する研究型工科大学であり、多くの高等機関において高い評価を得ている世界トップレベルの名門校の1つである。航空宇宙工学科をはじめとする9つの学科で構成されており、1万5000人を超える学生と、2700人以上の研究者が在籍している。

 

中国軍は、オランダで最も古く最大の総合工科大学であるデルフト工科大学へ食込んでいる。ここから、貴重な研究成果を窃取する基礎をつくっていたのだ。

 

(5)「同大学の科学者はしばしば中国の研究者と協力して、中国軍に利益をもたらす技術の研究行っている。デルフト工科大学は、中国の「国防七大学」に数えられる北京航空航天大学、北京理工大学、ハルビン工業大学、西北工業大学と共同研究を行っている。デルフト工科大学のレポートによれば、過去15年間、同大学はこの4大学と学生交換、研究協力などの協定を締結している。特にデルフト工科大学の航空宇宙工学部もこの4大学と協定を締結しているという」

 

豪シンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所」は報告書で、中国の「国防七大学」は民間大学ではあるが、中国軍と密接な関係があり、その研究予算の少なくとも半分は、ミサイルや顔認識技術、軍用機や衛星の開発などの軍事研究に費やされていると指摘した。オランダは、こういう軍事目的に研究を中心とする中国の国防七大学の研究員を受入れていた。

 


『大紀元』(6月26日付)は、「カナダの地方政府が孔子学院の閉鎖を決定、中国総領事が『ロブスター輸入禁止』で脅迫」と題する記事を掲載した。

 

カナダのニューブランズウィック州のドミニク・カーディ教育長官は21日、同国議会の公聴会に出席し、同州が孔子学院の閉鎖を決定した後、中国総領事館から経済的な脅迫を受けたと証言した。

 

(6)「カーディ教育長官は、下院のカナダ・中国関係に関する特別委員会(CACN)の公聴会で、孔子学院は中国共産党の関連組織で、カナダの教育界にそのイデオロギーを浸透させようとしていると批判した。このため、ニューブランズウィック州は2022年の契約終了とともに、孔子学院との協力関係を停止することを決定したとした。

 

ニューブランズウィック州は、2022年末の契約を持って孔子学院との関係を終了する。

 

(7)「在モントリオール中国総領事館の総領事がカーディ長官のオフィスを訪ね、直に交渉したという。「総領事は、孔子学院をめぐって私に圧力をかけようとしているとわかった。経済的な報復も含めた圧力だ。しかも、彼は、この件を学校教育の問題ではなく、両国の外交問題にまで発展させたい狙いだった」という。さらに、孔子学院を閉鎖することは「中国内政への干渉に関わる問題だ」と主張した。その結果、カナダ産ロブスターが中国で販売できなくなることも含めて、様々な影響が出ると話した」


中国総領事は、孔子学院の閉鎖について「内政干渉」という口実を使って、カーディ長官へ圧力を掛けた。具体的には、カナダ産ロブスター輸入が困難になるという脅しである。こういう「戦狼外交」を連発して、相手国を威嚇するのだ。いかにも中国的である。