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中国は、G7首脳会談で包囲されているが、これを突破すべく独仏首脳とのテレビ会談を行った。だが、中国のアキレス腱である人権問題で溝が深く、中国の思惑通りに事態が進む可能性はない。

 

『時事通信』(7月6日付)は、「中国の人権に『深刻な懸念』習主席と会談―独仏首脳」と題する記事を掲載した。

 

ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領は7月5日、中国の習近平国家主席とテレビ会談を行い、中国の人権状況に「深刻な懸念」を表明した。仏大統領府が明らかにした。メルケル、マクロン両氏は習氏に対し、新疆ウイグル自治区でのウイグル族の強制労働を根絶するよう求めた。

 


(1)「ただ、独政府の声明は中国の人権に関して言及せず「欧州連合(EU)と中国の関係の現状について意見交換した」と説明するにとどめた。この他、中国市場へのアクセスやミャンマー、イラン情勢、新型コロナウイルスワクチンなどについても協議した。新疆をめぐっては、EU欧州対外活動庁(EEAS)も1日、ウイグル族の収容所とみられる「再教育施設」や強制労働について深刻な懸念を示す声明を発表した。これに対し、中国のEU代表部は2日、EUの声明は「事実を無視」しており、強く反対すると反論している。

 

中国の人権問題が、EUとの間では喉に刺さった「トゲ」になっている。EUにとっては、絶対に見逃すことのできない根本問題だけに、中国としては立ち往生させられた形である。中国も妥協はできず結局、これが引き金になって溝を深めるであろう。

 


(2)「この問題ではフランスで1日、強制労働で得た新疆の綿を使っているとNGOからの告発を受け、ユニクロが捜査対象となっていることが明らかになった。欧州と中国の間で緊張が高まっており、日本企業も無関係ではいられなくなっている」

 

フランスは、新疆ウイグル族の人権弾圧に強硬姿勢を取っている。日本のユニクロもこれに巻き込まれている。

 

(3)「中国の習近平国家主席は、「欧州が戦略的自主性を具体的に表すよう望む」と強調した。中国外務省が発表した。独仏首脳は6月の先進7カ国首脳会議で対中包囲網形成を目指したバイデン米大統領に対し温度差を示しており、中国が切り崩しを図った形だ。習氏は世界情勢に関し、新型コロナウイルスの感染状況が依然深刻で、今後の経済回復も不透明だと指摘。「中国と欧州は共通認識や協力を拡大し、世界的な挑戦に適切に対応するため重要な役割を発揮することを希望する」と主張した」

 

習近平氏は、「欧州が戦略的自主性を具体的に表すよう望む」と米国との間に溝を掘るような動きをしているが無駄である。中国は、EUが米国に強制されているような誤解を与える発言をすると後々、EUからしっぺ返しを受ける羽目となろう。

 


『大紀元』(7月7日付)は、「欧州各国大使が中国側と激しい応酬 外交関係などめぐり 北京の国際フォーラムで」と題する記事を掲載した。

 

北京の精華大学で開かれた「世界平和フォーラム」では4日、欧州各国の駐中国大使と中国の出席者がEUと中国の関係を巡り、激しい応酬を繰り広げた。

 

(4)「EUのニコラス・シャピュイ駐中国大使は、EUと中国がここ10数年来、相互に理解し、信頼し合う空間が狭まったと指摘した。「北京はますます傲慢で横柄になっている。これには失望した」という。また、現在凍結されている中国EUの投資協定について、「欧州議会の議員への制裁を解除しなければ、前進は難しい」と新疆ウイグル人の人権問題をめぐる中国の行動が問題だと指摘した。イタリアのルカ・フェラーリ駐中国大使は「中国への不信感は強まっている。これは戦狼外交と関係がある」と中国の強硬な外交姿勢を批判した」

 

下線部のように、EU側ははっきりと中国へいいたいことをズバリと言い切っている。これは、珍しいケースである。EUが、最早中国へ遠慮することのない姿勢を見せていることで、画期的である。

 


5)「欧州の外交官らが中国の戦狼外交と新疆ウイグル人への人権弾圧に懸念を示したのに対し、中国の学者は欧州が中国を敵とみなしたから、関係が悪化したと反論した。フォーラムで、米国の臨時代理大使ウィリアム・クライン氏は、世界中の民主国家は皆「頑固な中国(中国共産党)と破壊的なロシア」に直面していると述べた。英国のキャロライン・ウィルソン大使は、「英国は自分のやり方を中国や共産党に押し付けたりはしない。中国にも、自分のやり方を他人に押し付けないことを願っている」と述べた。

 

下線部の中国側の言分は、極めて消極的である。完全にEUに言われっぱなしになっている。人権問題がテーマとなれば、中国は不利に決まっている。

 


(6)「中国国務院のシンクタンク、中国社会科学院欧州研究所の江時学前所長は、「欧州には独立した外交政策があり、アメリカに盲従していないと思っているのか」と各国の大使に質問した。EUのシャピュイ大使は「EUは独立した外交政策を採用している」と即答し、「私はワシントンの言うことを聞いてない」と冗談を交えた。そして「アメリカもEUの言いなりになっていない」とお互いの政策が独立していることを強調した」

 

中国は、EUが米国に追随していると見ている。欧米は、「血は水より濃し」であって、最終的には意見の一致を見る価値構造だ。中国は、この事実に気付かず、米欧間にくさびを打ち込もうと無駄な努力をしているのである。