あじさいのたまご
   

文政権になってから発表される政府計画は、ことごとく実現しないというのが通り相場になっている。希望を持っても、最後は失望させられることから「希望拷問」という言葉まで生まれている。

 

韓国で「希望拷問」なる新語が登場する背景には、脆弱な官僚制度の存在を指摘しなければならない。近代官僚制という一本芯のあるものでなく、李朝時代の「家産官僚制」に逆戻りしていることだ。日韓併合時代は、日本式の「近代官僚制」であったが、韓国になってから李朝時代の「ヤンバン」へ戻っているのだろう。

 

こういう有言不実行の政府でも、政権維持だけには恋恋としており、醜態を曝け出している。次期大統領選で与党は、ユン前検察総長夫人のでっち上げ醜聞をバラマキ、あたかも真実のごとく流布させているのだ。最低の政権与党である。

 


『中央日報』(7月30日付)は、「その多くの住宅とワクチンはどこにあるのか」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のハ・ヒョンオク金融チーム長である。

 

高騰する不動産価格に緊張した政府が国民向け談話を通じて「口先介入」に入った7月28日、盧炯旭(ノ・ヒョンウク)国土交通部長官は「首都圏180万戸、全国205万戸の供給計画を迅速に進める」と明らかにした。205万戸は莫大な量だ。1990年の盧泰愚(ノ・テウ)政権当時の「住宅200万戸建設計画」以来の最大だ。当時、一山(イルソン)・盆党(ブンダン)など第1期新都市の供給物量が29万戸だったことを考えると、どれほどの規模かは見当がつく。

(1)「市場に物があふれれば価格は下落ちる。経済の基本原理だ。205万戸の住宅を供給すると言ったが、市場は反応しない。むしろ住宅価格はさらに値上りしている。何かおかしな流れだ。実際、205万戸は信頼できない数字だ。覆ることもある候補地の物量までかき集めて作り出した数字だからだ。205万戸のうち最も比率が大きい第2・4供給対策(83万6000世帯)だけを見ても、その道ははるか遠い。盧長官は「5カ月間で12万6000世帯を供給できる都心候補地を発掘した」と述べたが、実際の推進のための住民の同意を受けたところは10カ所(1万5000世帯)にすぎない」

 

優秀な官僚制であれば、こういう実現不確かなものまで、あたかも実現しそうに扱うはずがない。韓国官僚制の質的な問題に帰着する。

 


(2)「供給が確定した第3期新都市も、「希望拷問(相手に希望を抱かせて苦痛を与えること)」になるかもしれない。事前申し込みを進めているが、まだ用地補償金の支払いも終わっていない状態だ。用地補償手続きが終わらなければ、2023年予定の本申込み日程も延期される可能性がある。入居の時期がはるか先になることもあるということだ。事前申込みの当選が足かせになることが懸念される理由だ。本申込みまで無住宅要件を維持しなければならないうえ、工事が遅れれば「住宅難民」で苦難の行軍が予想される。用地補償の遅延ですべての日程が延期された2010年の先例もある」

 

建物が建築されていない青写真段階で、住宅購入申し込みを受け付けるとは驚きである。これぞまさに、朝鮮李朝の出鱈目さを受け継いでいる。他国のことながら、「しっかりせよ」と叱り飛ばしたくなる。この韓国政府が、一丁前の顔で「反日」を叫んでくる。日本としては複雑な感情に陥るのだ。

 

(3)「このため、「第3期新都市の事前申込みは物をいつ渡せるか確答できないがひとまず契約金を出してお金を先にくれというのと同じだ。物を受ける時期は5年後になるか10年後になるか分からない」という声まで出てくる。「仮想アパート」「仮想申込み」「しん気楼分譲」という新造語が出る理由だ。それだけではない。開発制限区域(グリーンベルト)解除の代わりにソウル泰陵(テルン)ゴルフ場と龍山(ヨンサン)整備倉、西部免許試験場など、ある土地ない土地をすべてかき集めて(遊休敷地)4万8000戸の住宅を供給するという計画も座礁の危機を迎えている。住民と自治体の反発のためだ」

このパラグラフの実態を見ると、明らかに「近代官僚制」になっているとは思えない。近代官僚制なる言葉は、官僚機構が恣意性を持込まず原理原則通りに機能することを指す。家産官僚制とは、王朝に仕える官僚で恣意的な判断をする、とされる。マックス・ヴェーバーの分類である。韓国は、未だに家産官僚制である。

 

(4)「政府の数字遊びに実体が五里霧中なのは住宅だけでない。新型コロナワクチンも同じだ。計画がないからではない。計画と現実の差が生み出す混沌だ。疾病管理庁が発表した今年のワクチン導入現況と計画によると、7月29日基準で確定した今年のワクチン導入物量は1億9300万回分だ。ファイザー(6600万回分)、モデルナ(4000万回分)、アストラゼネカ(2000万回分)、ノババックス(4000万回分)などを含む数値だ。このうち7月までに導入が完了した物量は2770万回分にすぎない」

 

ワクチンという緊急性を伴う問題でも、計画と実態がかけ離れている。計画はあるがワクチンはない状況の中でも、政府は四半期別・月別の供給に問題はないという立場だ。11月までの集団免疫形成を目標に、9月までに全国民の70%の3600万人に対する1回目の接種を完了すると強調する。29日現在、接種を完全に終えた人は全国民の13.7%にすぎない。1回目の接種率は35.8%だ。政府への信頼は落ちるばかりである。