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韓国文大統領は、先進国入りしたと自画自賛している。国連貿易開発会議(UNCTAD)が72日、韓国を開発途上国グループから、先進国グループに編入させたと発表したことがきっかけである。

 

これは昨年、韓国がWTO(世界貿易機関)で農産物関税による発展途上国扱いのメリットを辞退した結果である。この裏には、トランプ前米大統領の批判を受けて、やむなく前記の発展途上国扱いを返上したものだ。

 

文氏は、国連が韓国を先進国に認めたと、さも自分の手柄のように宣伝している。だが、韓国が「先進国」を自慢しながら、相変わらず「反日」をやるのは、自ら日本との格差を認めて抗議するようなもの。先進国と反日は結びつかないのだ。これからの「反日」はどういう推移を辿るのか。

 


『ハンギョレ新聞』(8月3日付)は、「『先進国入り』した韓国、 20世紀と21世紀の先進国の差」と題する寄稿を掲載した。筆者は、キム・ミョンイン仁荷大学国語教育科教授である。

 

今回のUNCTADの決定を含め先進国の基準がすべて経済規模と関連したものなので、政治、経済、文化などもっと全体的なレベルでも先進国であり得るのかと思うかもしれないが、国連開発計画(UNDP)が樹立した実質国民所得、教育水準、識字率、平均寿命など、生活の質の部門をすべて含めた人間開発指数(HDI)の順位では、韓国は昨年基準で23位だという。大体上位10%に当たる20位圏を先進国とするならば、大韓民国は少なくとも統計的には先進国に属することがすでに既成事実となったと言ってもいいだろう。

 

(1)「それならば、大韓民国は今やどこに出しても引けをとらず、名実ともに「先進国」なのだろうか。それはまだ遠い、という立場で提出している統計と意見も少なくないのが事実だ。主に経済協力開発機構(OECD)の2019年から2020年の間の最新の統計資料によると、37の加盟国のうち、年間労働時間が36位、自殺率1位、女性に対する処遇が37位、出産率が37位、労災死亡率が1位、国家幸福指数が35位などと表れた。そして韓国は上位10%の集団が全体所得の半分を占める深刻な貧富格差の国であり、主要50カ国のうち3位圏に入るという統計も出ている(2017年、韓国労働研究院)」

 

韓国のGDPは、世界10~11位と高位につけている。これは、マクロ指標の話で個別のデータを見ると、目を背けたいような実態である。自殺率1位、労災死亡率が1位と悲惨だ。出産率は37位だが、合計特殊出生率という最も重要な指標では世界最低で年々、それを更新しているのだ。

 


こういう、チグハグな事態を生んでいる最大の理由は、財閥制度と財閥企業に寄生する労働組合の存在である。韓国の労働組合員組織率は、約10%である。残り9割の労働者は労組を持たないのだ。財閥企業と財閥企業労組の「談合」によって、労組は高い賃金を貪り、未組織労働者を食い物にしている。これが、韓国の実態である。諸悪の根源は、ここにある。

 

(2)「何よりも、このような統計資料が示すだけでなく、特にパンデミック以降、深刻化した恐慌状態に近い雇用危機や中小自営業者の没落、不動産価格の高騰などによって発生する、統計ではつかみきれない社会心理的な不安状態と累積したストレスの社会的荷重などを考えれば、国連機関による先進国の議論が虚しく、なじみの薄いものだという感じを拭えないだろう」

 

韓国労組が要求する最低賃金の大幅引上げは、生産性上昇を上回っている。低生産性の中小自営業者は没落の運命だ。これに伴い、雇用危機を発生させ恐慌状態へ陥っている。最低賃金の大幅引上げさえなければ、こういう危機を招かなかった。元凶は、財閥系企業労組とそれを認めた文政権にある。

 

(3)「にもかかわらず、今や富の蓄積と全般的な物質的インフラと生活水準または満足度において、大韓民国は伝統的な意味での先進国の水準に進入したと思われる。むしろ、今や韓国が先進国の一員という事実は、意識的に強調され社会構成員の心に刻まれる必要がある。韓国は先進国になったのだから、社会・政治・経済・文化などすべての面で先進国としての国の品格に合った生活と体制基準を立て、その基準に到達することを社会構成員全体の目標として設定し、努力していかなければならないということだ」

 

韓国社会の上澄み部分は、労組員を含めて豊かな生活である。中小・零細・自営は悲惨なものである。この賃金格差と労働市場の硬直化が、貧困の固定化を促進している。韓国では満足な転職市場が存在せず、サラリーマンは満50歳前に自主退職して自営業を始める。同期や後輩に出世競争で敗れると、感情的になり退職して茨の道を歩むケースも多い。定年は60歳だが、感情的もつれで中途退職するのだ。

 


(4)「成長は終わった。もうすべての成長は、富と利潤の無限大増殖のためのものではなく、地球体制の全般的な危機を解消することに積極的に参加する過程で得られる望外の所得を超えてはならない。何よりも、無限大の成長を前提に許されてきた富の無限の追求と不平等も、もう終わりにしなければならない。今や問題は成長ではなく分配だ。大韓民国も同じだ。もう先進国になったのだから、これ以上持とうとしてはいけない。富裕層の貯め込んだ“蔵”を開放して、病んだ地球環境を改善し、不平等に苦しむ貧困層の苦痛を癒し、持続可能な地球・人類の共同体を作るためのことにすべての蓄積された力を注がなければならない」

 

ここでは、経済成長の意味を取り違えている。経済成長とは、一人当たりの生産性の向上である。無駄を省き生産性を上げて労働時間を短縮することが、経済成長の成果である。経済成長は決して悪でなく、永遠に追及すべきテーマである。

 


この誤解が、韓国進歩派に共通している。最低賃金の大幅引上げが、自動的に労働者を豊かにすると思い込んでいるからだ。生産性上昇があって初めて賃金は上がるもの。勉強しないで良い点を取れるはずがない。この理屈は、最低賃金引き上げの原理に通用する。

 

韓国は、財閥制度を解体しなければならない。日本が、戦後に捨てた制度を導入して現在に至っている。こういう保守的な姿勢と、それを食い物にする大企業労組が、韓国社会を歪にしている。現実の改革は不可能であろう。このまま推移してゆくに違いない。「先進国意識」だけが先行して、最後は自滅の運命だろう。合計特殊出生率の「0.84」という世界最低が、これを示唆している。「反日」を叫んでいる限り、日本の協力は得られず孤立するだろう。