韓国野党「国民の力」から大統領予備選に立候補を発表したユン前検察総長は、「米国と協力すべき」と発言した。米韓同盟の立場から言えば、ごく自然の発言である。これに対して、シン海明・駐韓中国大使が7月16日、「理解できない」という表現を使って公に反論した。この発言は、「外交官が駐在国の政治家の発言についての言及を控える」という国際外交の慣例・不文律を破る傲慢な言動と批判されている。
中国が、ここまで内政干渉してきたことは、中国共産党の世界覇権計画の一環として、他国の政治や経済を攪乱する方針が樹立している結果と分析されている。豪経済学者は、豪州における中国の政治的影響力浸透を研究して注目を集めた。韓国についても、同様の警告をしている。
『朝鮮日報』(8月8日付)は、「『韓国の政治家たち、中国の干渉におじけづいたら独立を守れない』」と題する記事を掲載した。
豪チャールズ・スタート大学のクライブ・ハミルトン教授は、「中国は、表向きは外国の国内政治に介入しないと語るが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)元検察総長のメディアインタビューを批判したシン海明・駐韓中国大使の最近の発言は、まさしく内政干渉発言だ」と語った。また、「韓国人と韓国の政治家は、中国外交官の言動に神経を使うのではなく、中国の攻勢に立ち向かう最良の方法は何なのか内部で討論を続けるべき」と指摘する。
(1)「オーストラリアのシンクタンク「オーストラリア・インスティテュート」の所長を務めているハミルトン教授は、2016年に発覚した豪政治家の中国関与スキャンダルをきっかけとして、オーストラリア国内における中国の影響力拡大に注目。18年に『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』という本を出版した。中国が豪政治家や企業、メディア、大学などを対象におよそ30年にわたって繰り広げてきた影響力拡大の実態を暴露し、オーストラリアや米国の対中戦略修正に影響を及ぼしたと評されている」
豪州は、日本の潜水艦技術導入計画を進めていたが、決定直前にフランスへと変えられた。この裏には、中国の差し金があったと見られる。日本の潜水艦技術でつくられる豪州潜水艦に脅威を感じた結果である。当時は事情が分からずにいた。豪政治家の中国関与スキャンダル発覚で、事情が明らかになってきた。
(2)「韓国事情にも明るいハミルトン教授は「尹・元総長は、韓国の独立を守りたいという当然言うべきことを言った。彼は絶対に、中国の報復を恐れる必要はない。韓国の政治指導者が中国の圧力に屈服しないことが重要」と語った。シン海明大使の発言のような攻撃が繰り返される場合の韓国の対応方法を尋ねると、ハミルトン教授はこのように答えた。「中国の内政干渉と介入は歓迎されないということを冷静に、はっきりと表明すべきだ。中国に立ち向かうつもりなら、西側の民主主義諸国と新しい、強力な同盟を一緒に構築して対応するのが最も効果的かつ唯一の方法だ」と指摘する」
駐韓中国大使が、ユン前検察総長発言を批判するという内政干渉をしてきた。韓国は、すでに中国の影響力を強く受けている証拠であろう。日本では、あり得ない話である。
(3)「ハミルトン教授は、「中国共産党(CCP)は中国の支配に抵抗しようとする相手国の力と意思を弱めるため、執拗かつ緻密、持続的に動く『静かな侵攻』を行っている」とし「CCPは有形・無形の手段から心理的技法まで総動員して韓国の政治、企業、学界エリートを懐柔し、包摂し、時には脅している」と語った。実際ハミルトン教授の著書は、中国の報復を恐れたオーストラリアの有力出版社から相次いで出版を拒否された影響で難関に直面したが、無名の小さな出版社が引き受けたことで辛うじて光明が差した」
日本では、中国礼賛発言をすればすぐに「あれは何だ」と不思議がられる。非難はされないが、「事情に疎い」と軽蔑されるだけだ。
(4)「ハミルトン教授は、「中国は、究極的には米国を抑えて世界唯一の覇権国になろうとしている。このためにオーストラリア、韓国、日本などが米国との同盟から離脱することを戦略目標として推進している」と語った。韓国の状況に関しては次のように診断した。「中国は韓国の各分野の指導層に、北京擁護論者や融和論者を既に多数確保した。財界には、北京を満足させることを唯一の目標として活動する人が多い。韓国の政治指導層は早々と中国におびえて惰弱な態度を保っている。中国に融和的な姿勢で、韓国人が困難の内に実現した独立と自由を守ることができるだろうか。それは『危険な賭け』だ」としてきする」
韓国は、米韓同盟であることを軽んじている。「二股外交」「中立外交」を標榜するが、それならば、米韓同盟を破棄して中立国を宣言したほうが賢明だ。そこまでの勇気はなく、経済は中国、安保は米国という二頭馬車を操れると自惚れている。だが、韓国にそういうタフな外交能力は存在しない。余りにも感情的過ぎるからだ。反日を見れば頷けるだろう。
(5)「ハミルトン教授は、「今や韓国国内の親中政治家、財界エリート、言論形成者らは自由と独立を売り渡しつつある」とし、「韓国人は独立と自由を守るため、中国が経済報復をしたらこれに耐えて打ち勝たなければならない」と語った」
ドイツも韓国と似通った面がある。経済は中国、安保は米国である。だが、ドイツは中国に対して言うべきことは言っている。韓国は、中国に怯えているのだ。日本は、中国へ媚びるどころか、インド太平洋戦略の発案をした国である。
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