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習近平氏は、自らの永久国家主席願望を米中戦争に絡めて準備し始めたのでないか。そういう疑惑を生む動きが見られる。経済的に大きな付加価値を生むテック産業を抑制して、わざわざ製造業に籠る戦術を採用した裏には、習氏の大きな賭けが潜んでいると見るべきだろう。

 

中国が、これまで米国へ挑戦するとしてきたのは、軍事覇権への挑戦であったのかも知れない。米国とのGDP争いから自ら降りて、製造業だけを充実させて対米戦争準備へ着手したと見ても不思議はなさそうだ。ただ、すぐに開戦するということでない。中国国内をそういうムードで引っ張り、習氏の権力を固めることに利用するのであろう。全てが、習氏の保身が大きな目的である。

 


『大紀元』(9月13日付)は、「『脱虚向実』でみる中国当局の規制強化」と題する記事を掲載した。在米中国経済学者の程暁農氏へのインタビューである。

 

中国当局は最近、ほぼ毎日一つの産業をやり玉に挙げて批判し、締め付けを行っています。私の考えでは、中国当局は今、目障りな業界や会社に徹底的な打撃を与え、その業界を当局が望むような状態に作り変える狙いがあります。

 

(1)「取り締まられている業界をよく見ると、多くは中国当局が策定した経済戦略計画と無関係です。中国当局は数年前に、あるスローガンを打ち出しました。新型コロナウイルスの大流行以来、当局は国内経済のために、このスローガンを言わなくなったのです。このスローガンは「脱虚向実」です。虚は、実体を伴わないことを意味します。実は実体経済の実です。中国当局は、「脱虚向実」政策を通じて、実体の伴わない業界を排除するということです」

 


中国指導部は、「脱虚向実」を狙っていると指摘している。製造業を充実させ、サービス業を衰退させるというもの。これは、「コーリン・クラークの法則」である産業発展説に逆行するもの。つまり、第一次産業→第二次産業→第三次産業の順に付加価値が高まるという経済発展説を否定する暴論である。なぜ、こういう暴論を採用するのか。それは米中戦争に備える目的であろう。

 

(2)「中国共産党機関紙『人民日報』は2019年9月の評論記事で、製造業こそ実体経済であると唱えました。この記事で人民日報は、すべての経済資源を製造業に投じるべきで、中国経済における「脱実向虚」という現象、つまり実体を伴わない業界を正さなければならないと主張しました。この記事は、世界の一部の国で所得格差の拡大、伝統産業の衰退、ブルーカラー労働者の失業増加などが見られた原因は、実体経済の弱体化と産業の空洞化にあると主張しました」

 

人民日報が、「脱実向虚」を唱えた理由は、不動産バブルの解決法を見つけられない焦りの結果であろう。バブルが、テック産業を生み出したと錯覚したに違いない。「質実剛健」な産業が、中国経済を支えるという幻想を描いたに違いない。発展途上国特有の思考回路である。

 


(3)「当局のこの「脱虚向実」という観点で考察すれば、今の規制強化を少し解釈できる気がします。不動産投機への取締りは不動産バブルの拡大を阻止するためで、アントグループへの締め付けは金融バブルや、少額の消費者金融を抑制するためにあります。学習塾業界への締め付けも、各世帯の財が過剰に学校教育産業に投入されることを回避するためです。実際に、中国経済に潜む最大のリスクは金融リスクです。その主因は脱実向虚にあります。例として、不動産市場もP2Pなどのネット金融が挙げられます。中国当局は2017年にすでに金融市場を規制し始めました」

 

中国指導部にとって必要な産業は、軍需関連産業であろう。これを充実されれば、米国と政治的に対立して貿易を制限されても対抗できると計算したのだ。具体的には、グローバル経済を否定して、封鎖経済を志向している。14億人の市場で封鎖経済は可能と見ている結果であろう。

 


(4)「中国製造業、特に民間企業は、材料コスト、輸出コスト、人件費コストの増加という重圧がのしかかっています。これらのコスト高騰で製造業の企業は悲鳴を上げています。
国当局は、この3つのコスト増で国内製造業の見通しについて非常に不安を感じているでしょう。だから、当局は、経済にとって重要ではないセクターに対して締め付けを強化しました。それらのセクターにいた労働力を製造業にシフトしようとしています。このやり方で製造業回帰の人件費コストを下げられると当局は考えているでしょうね。

 

中国製造業の自立化を図るには、材料コスト、輸出コスト、人件費コストを抑制することが必要としている。中でも、人件費コストの抑制が不可欠であり、労働力を製造業に向ける必要がある。それには、テック産業は邪魔であるから潰してしまい、その労働力を製造業に振り向けるという統制経済的発想である。

 


(5)「海外留学に必要なTOEFLやGREなどの試験の指導を行う学習塾業界を取り締まる目的は、留学を希望する学生を国内に止まらせて、特に渡米させないようにするためと考えられます。米中関係の悪化が背景にありますし、学生が留学に行かなくなったかわりに、その留学資金を国内で消費できるから、国内経済にとって良いことです。国内の若い労働力を製造業に導き、「脱虚向実」を実現したいと当局は考えています」

 

海外留学も必要ない。そのためには、TOEFLやGREなどの試験指導の学習塾も取り締る。こういう考えを持っているとしたならば、明らかに将来の対米開戦準備と言わざるを得まい。習氏は、危険な存在になってきた。戦時中の日本と似てきた感じだ。