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中国は、不動産バブルをテコに使いGDP世界2位を達成したが、その「テコ」が折れ掛かって最大危機を迎えている。当局は、北京や上海での住宅価格値上げを禁止する一方、地方では住宅価格値下げを禁じる事態だ。2008年のリーマンショック再来を警戒した対策と見られる。

 

不動産開発大手の中国恒大集団は、同社が手掛けた住宅の購入者や個人投資家から強く抗議を受けているだけでなく、自社の従業員の反発も招いている。中国当局は同社の債務危機が社会不安をあおらないよう、目を光らせる。深圳にある恒大の主要オフィスには未払いとなっている「理財商品」である資産運用商品(WMP)の返金を求める多くの人が詰めかけ、13日夜には警察が出動する事態となった。『財新』が報じたところによれば、12日時点で抗議者は数百人に上っている。『ブルームバーグ』(9月14日付)が伝えた。

 

『大紀元』(9月14日付)は、「中国当局、価格上昇抑制策と値下げ禁止令を併用 『米サブプライムローン危機の再来』か」と題する記事を掲載した。

 

中国当局はこのほど、北京市や上海市など大都市の住宅市場に対して価格上昇禁止令を出した。その一方で、中小都市の住宅市場には値下げ禁止令を発動した。専門家は、中国は現在、2008年の米国のサブプライム住宅ローン問題の二の舞を踏もうとしていると警告した。

 

世界各国のマクロ経済統計データなどを提供するCEICデータは、過去10年間の中国不動産市場の情報を収集した。これによれば、中国不動産価格の上昇率は2013年にピークを迎え、前年比で20%増となった。15年に不動産価格は新たな上昇トレンドの波に乗り、16年の上昇幅は前年比18%増となった。

 

(1)「中国当局はバブルを沈静化するため、各地で価格抑制政策や投機活動の取締りを強化してきた。このほど、北京市、上海市、広州市、深セン市の大都市と、西安や成都市などの中核都市では、地方政府は、新規住宅市場への価格抑制措置を取りながら、中古住宅市場の価格急騰を抑えるための「参考価格制度」を打ち出した。当局が提示した参考価格は、市場の成約価格より安いという。大量の住宅在庫を抱える湖南省株州市、広東省恵州市などの中小都市では、地方政府は住宅価格の下落を止めるための対策措置を実施している。湖南省岳陽市は8月11日、住宅価格の値下げ幅は15%を上回ってはいけないと明確な方針を出した。値下げ幅が15%以上となった分譲住宅について、市政府が管轄するオンライン上の取引契約システムは関連情報や契約書などを表示しない」

 

住宅価格の値上がり禁止令を出す一方で、値下げ幅も決めるなど「住宅価格統制」に踏みだした。この背景には、業界2位である中国恒大集団のデフォルト問題が大きく影響している。同社の理財商品の返金を求める人々が集まるなど、騒ぎが大きく広がった。こうなると、住宅価格にも波及するのは当然である。

 


(2)「中国人ジャーナリストの王剣氏は、米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)に対し、当局の住宅価格の上昇や下落への介入について「中国当局は、安定維持が最も重要な課題であるためだ」と指摘した。「中国当局は過去5年間、絶えず市場介入を行ってきた。目的は、住宅市場の過熱化を避けると同時に、価格の暴落を防ぐことだ。しかし、市場介入は最終的に、住宅市場の崩壊を起こすことになる。今、この兆しが表れている」としている」

 

都市部の住宅では、2割が空き家とされている。投機用の物件である。これらが、売り急いで値下げに出れば、不動産バブルは一挙に崩れる。事態は急変するのだ。

 

(3)「中国の地方政府は財政上、土地の使用権を企業などに譲渡することで得た土地出譲金に頼っている。「不動産・住宅市場が冷え込むと、地方政府の幹部は非常に不安になるだろう。不動産・住宅価格が下落し続ければ、中国の銀行や金融機関も不良債権などの急増で金融的な不安が起きる」。在米中国人経済学者の李恒青氏は、「住宅価格抑制策も価格下落禁止令も、中国当局のめちゃくちゃなやり方だ。当局は完全に市場メカニズムを無視している」と非難した」

 

私は、中国の不動産バブルが地方財政の主要財源になっていることの危険性を一貫して指摘してきた。不動産開発企業の倒産だけでなく、地方政府を巻き込んで、中国経済は麻痺する危険性があるのだ。こういう事態になったら、中国は「一巻の終わり」になりかねない。危ない橋を渡っている。

 


(4)
「李恒青氏は、中国当局が現在、開発業者の倒産で銀行の不良債権が急増することを危惧していると推測した。「当局が恒大集団に救済措置を実行しなければ、その膨大な負債は金融市場で雪崩を引き起こす。これは、一部の都市の政府が住宅価格下落禁止令を出した原因だ」と同氏は述べた。李氏は、中国は現在、十数年前に米国で起きたサブプライム住宅ローン危機と同じような局面に直面しているとの見方を示した」

 

恒大集団は、3000億ドル以上(約33兆円)の債務を抱えている。解決が長引けば長引くほど、不安心理を増幅して中国経済全体を巻き込むだろう。中国当局は、2008年のリーマンショック再来を警戒しているが、無為無策であればその危険性は高まる。

 

習氏は、「共同富裕論」を唱えて住宅価格高騰を非難している。だが、その恩恵を一番受けたのは、地方政府と共産党員である。国民は、この実態を知っているだけに「恒大集団救済」にも乗り出せないのだろう。ジレンマが続く。