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習近平氏は昨年1月以来、外国訪問を中止している。表面的な理由は、新型コロナウイルス感染予防である。中国製ワクチンへの自信がないのも原因だが、最大の問題は経済危機の進行と政敵らによる「反習近平」への動き封じであろう。

 

習氏は「共同富裕論」を持出して、民営企業や経営者らに圧力を掛けている。中国混乱の責任を、民営企業の強欲な経済活動に着せて、自らの責任を回避する計画だ。共産党批判を徹底的に封じるべく、ネット監視が強化されている理由であろう。独裁者のやる手口である。

 


『日本経済新聞 電子版』(9月14日付)は、「中国、習思想でネット統制強化 共産党批判を徹底監視」と題する記事を掲載した。

 

中国共産党政権は14日、インターネット空間の統制を強化すると発表した。「習近平思想」に基づき、共産党指導などの批判を徹底的に監視する。国内のネット人口は10億人を突破しており、ネット空間の虚偽情報などが社会不安を招きかねないとみて取り締まりを強める。

 

(1)「党と国務院(政府)が、「ネット文明建設の強化に関する意見」という方針を公表した。習指導部は最近、ネット企業を厳しく監督する姿勢を強めている。新たな方針はネット業界に指導部の意向を徹底させるうえでの基盤になる。共産党政権が「習思想をもとにコンテンツの構築を統率する」と明記した。具体策として第一に挙げたのが、党史教育の徹底だ。党による革命や改革の実績を広めるとともに、党の指導などを否定する「歴史ニヒリズム」を認めない考えを強調した

 


中国共産党創立100年を7月に祝ったばかりである。それにも関わらず、下線のような「党史教育の徹底」という触れ込みで、「歴史ニヒリズム」を認めないとすごい剣幕である。100年の「党史」があっても、それに自信があるわけでなく逆に危機感に揺らいでいる。共産党が、普遍的価値に支えられていない証拠だ。

 

(2)「若者に人気があるライブコマースなどでの違法行為や犯罪の取り締まりを強化する方針だ。ネット空間における青少年保護にも力を入れる。若者などがネット中毒に陥るのを防ぐ仕組みを整え、ネット上でのいじめ防止も徹底する。ボランティア活動などを積極的に宣伝し、ネットを通じたユーザーの道徳向上にも取り組む。習指導部は芸能や教育など若者の思想形成に影響力を持つ分野に相次ぎ介入している。スマホ社会が定着し、ネット空間も若者に与える影響は大きい。若者の行動はときにデモ活動など社会運動に結びつきかねな

い。思想統制の強化は「不安」の芽を摘むという思惑もありそうだ」

 

共産党は、若者が関心を持つ芸能にまで干渉して思想教育を始めた。習氏は大きな誤算をしている。習氏の子ども時代の中国経済と現在では格段の違いがある。それを反映して、若者の認識も変わっているのだ。「習近平思想」なるものを真面目に学ぶ時代環境でなくなっていることに気付くべきだろう。若者達に反感を植え付けるに違いない。

 

『日本経済新聞 電子版』(9月8日付)は、「中国、強まる国家統制 よぎる『文革』の記憶」と題する記事を掲載した。

 

中国の習近平指導部が社会や思想への統制を強めている。企業経営者への批判に加え、芸能や教育など若者の思想形成に影響力を持つ業界への介入が相次ぎ、中国はにわかに「文化大革命」の様相も帯びる。こうした動きは経済成長やイノベーションを阻害しかねない。米国に迫る経済大国となった中国が内向きに転じれば世界経済も無傷ではいられない。

 

(3)「4日、中国のSNS(交流サイト)「微博」がこんな声明を出した。「非理性的なスター追従行為に断固反対し、厳正に処理する」。同日、あるアイドルの誕生日を祝うファンクラブが飛行機の外観を飾るという派手な行動で注目を集めていた。折しも中国はファンクラブ規制を出したばかり。背景には、熱狂的にアイドルを崇拝し、共産党の思想に沿わない集団を生むことへの懸念がある。微博は中心人物のアカウント利用を60日間停止し、党の意向に迅速に対応した」

 

8月末に、18歳未満のゲームは「金土日や祝日に11時間」に限る規制が発表された。若者を夢中にさせるゲームも共産党は「精神的アヘン」として危険視する時代である。

 


(4)「芸能界は最大の標的だ。8月下旬には著名芸能人が脱税や不正などを理由に罰せられたり職を失ったりした。多くの有名作品も消えた。党中央宣伝部は92日、芸能人、番組、広告、関連企業などを党が厳しく管理し、思想教育を強化すると通知した。中国の芸能界は今後、メディアと並び名実ともに「党の舌(党の宣伝機関)」となる」

 

芸能界と習近平思想は今のところ、水と油の関係だろう。いずれは、習近平思想なる国粋思想に塗り替えられる。「軍事一色」になるだろう。

 

(5)「『文化』を通じた社会統制は1966年に始まった文革をほうふつとさせる。毛沢東に扇動された若者らが指導者や知識人を攻撃した。毛の死で終結したものの、文革10年間のうち3年でマイナス成長となるなど経済は壊滅的打撃を受けた。その後、指導者となった鄧小平は経済再建へ改革開放を始めた。もし今、中国が「富める人らをたたく」発想で文革時代に先祖返りするならば、経済成長は止まり、習指導部にも負の影響は及ぶ。それでも統制を強める動きは止まらない

 

習氏は、従来の経済成長重視路線から、自己の権力確保重視へとシフトしている。具体的には、軍事力の拡大である。それに合せて製造業を強化する。テック産業は、軍事力強化に役立たないので追放する。習氏は、東条英機の頭脳構造と近似形になってきた。厳密に言えば、ヒトラーであろう。