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中国経済の約4分の1を占める住宅販売が、9月の最盛期が不振で終わった。10月の国慶節も客足は遠のいている。これまでにない現象だ。不動産開発企業は、値引きして現金回収に務めているが、その成果は上がっていない。来年のGDPは、1%台の成長率の公算も出てきた。

 

米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月13日付)は、「急変する中国の住宅市場、値引きでも買い手つかず」と題する記事を掲載した。

 

中国で住宅販売が急激に落ち込んでいる。不動産開発大手が発表した9月のデータでは、前年同月比で20%や30%を超える減少が相次ぎ、中国経済の屋台骨を支える業界が大きく揺らいでいる。不動産融資の抑制を狙う政府の動きや、中国恒大集団(チャイナ・エバーグランデ・グループ)をはじめとする開発会社の財務の健全性に対する懸念を背景に、買い手の購入意欲が冷え込んでいる。

 

(1)「不動産開発大手は最近、9月の住宅販売データを公表。9月は例年、10月1日の中国の国慶節(建国記念日)に合わせた販売促進効果で販売が伸びやすいにもかかわらず、今年は大幅な落ち込みとなった。住宅販売の急減が続けば、景気に深刻な影響を及ぼす可能性がある。ゴールドマン・サックスによると、建設活動やサービスを含む住宅不動産市場は中国経済に大きな役割を果たしており、2018年時点では国内総生産(GDP)の約23%を占めた。建設と不動産サービス業界は出稼ぎ労働者や大卒者に多くの雇用を提供しているほか、開発業者への用地販売は地方政府の収入の約3分の1を占める」

 

大袈裟に言えば、住宅産業が支えてきた中国経済は、ついにバブルの終焉で年貢の納め時になった。「いつまでもあると思うな不動産バブル」の状況がきたのだ。都市部は、21%の空き家を抱えながら、なお煽り続けた不動産バブルが終焉を迎える。

 


(2)「モーニングスターのシニア株式アナリスト、チェン・ウィー・タン氏は販売減少について、住宅ローンに関する政府の規制強化と住宅購入者の間の不安増大が響いていると指摘する。顧客は購入した物件が完成に至らない可能性を心配しており、恒大集団の未完成物件についてのメディアの報道が、こうした不安に拍車をかけているという。中国政府が企業の借り入れ抑制を狙った「3つのレッドライン」と呼ばれる制限を昨年に導入するなど、開発業者は一連の変化への対応にも苦慮している」

 

不動産業者に課された3つの「財務規律」は、ようやく金科玉条の物差しとして、業者の死命を制するまでになった。「共同富裕論」の建前上、緩和は難しいとみられている。不動産業者は、その首に鈴を付けられたのも同様だが、中国共産党もその返り血を浴びて、地方政府は、深刻な財源不足に落込む。

 


(3)「不動産大手では、龍湖集団(ロンフォー・グループ)と華潤置地(チャイナ・リソーシズランド)が12日に住宅販売データを発表。香港証券取引所への提出資料によると、龍湖の9月の成約額は202億元(約3600億円)で、前年同月比約33%減少。華潤置地は24%近く減少した。開発大手の一部は、すでにそれ以上の大幅な減少を公表している。万科企業では34%減、中国海外発展(チャイナ・オーバーシーズ・ランド・アンド・インベストメント)は42%減だった。恒大集団はまだ取引所にデータを提出していない。ただ、914日には「メディアによるネガティブな報道」が住宅購入意欲の妨げになっているとしており、9月の販売は大幅な減少が見込まれている」

 

不動産開発企業は、軒並み売り上げ不振に陥っている。消費者が、買い控えに入ったからだ。この流れが定着すると、簡単には元に戻らない。

 

(4)「各社が今回発表した数字は、中国の調査会社CRICが以前に公表したデータとおおむね重なる。CRICは中国の開発大手100社の9月の成約額は前年同月比で36%減少したとしていた。調査会社ロジウム・グループの中国市場調査責任者、ローガン・ライト氏は販売減少について、さらに多くの開発業者への圧力となり、一部の業者は既存物件を完成できなくなったり、将来の計画を縮小せざるを得なくなったりする可能性があると指摘する。ライト氏は、こうした状況が続けば「引き締め策の一部によって業界全体の健全性が犠牲になるかどうか」が懸念されるとし、「財務状況の悪化と建設活動の落ち込みが経済全体に波及する」可能性があると警告した」

 

日本は、1990年1月に株価が大暴落、同年秋頃から不動産の値下がりが始まった。不動産を担保に取っていた金融機関は、地価の15%値下がりで経営がぐらついた。担保価値を時価の8割と高いラインに設定した結果である。通常の担保掛け目は6割。中国では、日本以上の政府がらみの不動産バブルであった。その傷は、日本よりも深いであろう。

 


(5)「販売減少を背景に、債務返済のために現金を回収しようとする開発業者が増え、さらに大幅な値引きに走ることも考えられる。これは住宅価格を押し下げる圧力となる。中国国営メディアによると、この1カ月間に少なくとも8都市の当局者が開発業者に対し、過剰と思われる住宅価格の値下げを禁止した。最低価格を設定したケースもある。

 

地方都市が、住宅の値下がりにブレーキを掛けている。地価の値下がりが、地方政府の財源不足の拍車をかけるからだ。ここに見られるように、中国のバブルは、政府と業者の合作である。

 

(6)「ゴールドマン・サックスのエコノミストは、土地販売が15%減、不動産販売・住宅価格が5%減となった場合、中国のGDPは来年1.4%押し下げられると試算している。最悪のシナリオでは、今年から来年にかけて土地販売が30%減、不動産販売が10%減となった場合、GDPの減少幅は4.1%になるという」

 

このパラグラフは重要である。中国経済は、バブルの崩壊で大揺れである。政府は、ここまでの影響があるとは夢想もしていなかったであろう。「GDPの減少幅は4.1%」となれば、1%台成長になる。まさに、「恐慌」の到来になる。