サンシュコ
   

韓国は、多くの国と自由貿易協定を締結しているが、日本とは敬遠して結んでいない。日本の自動車と農産物の競争力を恐れている結果だ。放射能を理由に、福島県産などの農漁産物の輸入を禁止している本音は、競争力の低さを恐れてカムフラージュしているものだ。

 

こうした韓国は、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟をめぐって国内が揉めている。すでに、中国や台湾までが加盟申請しており、台湾加盟が実現すればさらなる競争相手が加わるとして、議論は一層混迷している。

 

『中央日報』(10月21日付)は、「ぐずぐずしている時に虚を突いた中国と台湾、韓国もTPP加入するか」と題する記事を掲載した。

 

「もう時間がない。『加入する、しない、するならいつする』まで含んだ決定は10月末か11月初めには出さなければならない。決定大詰めに来ている」。環太平洋経済連携協定(TPP)加入に対する韓国政府の決定が迫っている。14日に洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は米ワシントンDCで行われた主要20カ国(G20)財務相会議後の記者懇談会でTPP加入について近く決めると話した。また、18日に開かれた第1回対外経済安保戦略会議でも「TPP加入の経済的・戦略的価値と敏感分野の被害など懸念要因の点検などに対し総合的に調整する予定だ」としながら加入検討を公式化した。



(1)「韓国もこれまで加入について天秤にかけてきた。だが米国が離脱したことから傍観姿勢を維持した。協定締結当時、韓国はTPP11カ国のうち日本とメキシコを除く9カ国とすでにFTAを締結しており、TPP加入は事実上日本と追加でFTA協定を結ぶ効果しかなかったためだ。日本は自動車と農畜水産物分野で韓国より優位で、FTAを結ぶのはむしろ損害という分析が多かった」

 

韓国は、通商上で最大のライバルが日本としている。TPPに加入すれば、その日本とガチンコ勝負になる。勝ち目はないと、これまでもTPPを敬遠してきた理由だ。

 

(2)「韓国政府が、最近立場を変えた理由は中国と台湾のためだ。中国は先月16日にTPP加入を申請した。中国の牽制で加入できなかった台湾も同時加入を狙って23日に申請書を出した。TPPはもともと米国と日本が主導し中国を排除する性格が強かった。だが米国が抜け中国が入る隙ができた。TPPに加入するには参加国すべての同意が必要だ。このためどうせ加入するならば、参加国がさらに増える前に加入するのが有利だ」

 

中国や台湾が、TPP加盟を申請するご時世になった。中国の参加は難しいとされているが、台湾の加盟について条件的に可能性は高まる。こうなった以上、韓国も加盟に向けて決断すべきという流れが出ている。

 

(3)「これまで台湾は、中国に妨げられ主要国とのFTA加入がほとんどできなかった。だがTPP加入に成功するならば、通商舞台に本格的に登場できる。台湾はITを中心に韓国と主力産業分野が重なる。実際に台湾は中国より加入の可能性も高い。TPPを主導する日本が台湾と半導体サプライチェーン同盟を強化しているからだ。中国はTPPの高い加入基準をクリアするのは容易でないという評価が多い。ソウル大学国際大学院国際学科のアン・ドックン教授は「これまで台湾は中国の牽制により通商で出遅れていたが、その恩恵を韓国企業が享受した。台湾がTPPに加入すれば他の国と追加でFTAを結ぶ可能性が大きく、韓国企業に大きな脅威になるだろう」と話す」

台湾は、製造業では大きな競争力を持ちながら、中国に妨害されてFTAを結ぶことができなかった。それだけに、台湾のTPP加盟が実現すれば、一挙にFTAでも拡大作戦が成功して、韓国のライバルとなる。

 


(4)「TPP加入の必要性は大きくなったが難関はある。まず農業界の反発が大きい。TPPに入れば韓国より進んでいると評価される日本産の農畜水産物輸入が本格化する可能性がある。TPP貿易規範が、自由貿易協定(WTO)とすでに締結したFTAより強いという点も負担だ。現在、韓国政府は病害虫が流入する恐れがあるとの理由で外国産のリンゴ、ナシ、モモなどを輸入していない。TPPの動植物衛生検疫措置(SPS)は、「国」や「地域」ではなく、同じ生物保安体系を適用する農場単位で「区画化」されている。韓国政府がもし病害虫などを理由に輸入を防ぐならば、TPPでは特定の国や地域の農産物すべてではなく、問題になる農場だけ禁止しなければならない。この場合海外の農畜水産物輸入が増える恐れがある」

 

韓国農業界は、極めて保守的で日本農業界以上である。TPPをめぐって、日本では強力な反対運動が行なわれたが、「農産物輸出」で逆攻勢をかけ活路を開くことで納得した。韓国には、こういう大所高所論が通じない。狭い「我田引水」的な議論に固執している。

 

(5)「韓国農業経営者中央会は、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の国会批准を控え農村現場の不安が増加している状況でTPP加入を宣言するのは農業放棄、さらに進んで食料主権の放棄と見なすほかない。対政府闘争を展開していく計画だ」と反発した。韓国政府関係者は「農業界の反発などを考慮すれば実際の加入まではまだ超えるべき山がたくさん残っている」としながらも、「ただ申請をしても国会批准まで最小2~3年はかかり、また必ず加入できるものでもないので申請書程度は提出しても良いのではないか」と話している」

 

韓国農業は、これから日本以上の高齢化の進行でいずれは立ち消える運命だ。こういう客観的な事情を考えれば、いかなる道を模索するか。答えは、自ずと出てくるであろう。日本農業が、どういう理由でTPPを受入れたか。政府の施策はどうであったか。冷静に検討すべき最後の段階にきているはずだ。