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李氏は「韓国のトランプ」

世論調査で反中派が6割も

中国の尿素輸出禁止で大乱

野党尹氏は知日姿勢で柔軟

政権交代論が大きく前進へ

 

韓国は、来年3月の大統領選に向けて火ぶたが切られた。11月5日、最大野党「国民の力」が、代表候補として尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長を選出した。与党は10月、すでに李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事を代表候補に決定している。このほか、中道系保守「国民の党」から安哲秀(アン・チョルス)代表が出馬を決めている。ただ、安氏は尹氏との話合いで一本化するとの予測もあるなど流動的である。

 

次期大統領の課題は二つある。経済と外交である。

1)経済問題は、文政権による債務膨張をどのように収束させるかである。バラマキ財政による短期的な失業者救済で、「公的アルバイト」を増やし就業率を上げるという姑息な手段を使ってきた。こうした目先の政策では、失業問題を解決できないことは明白である。無理な最低賃金引き上げを是正して、安定した雇用を維持しなければならない。

 


2)外交問題は、いうまでもなく断交寸前状態の日韓関係立直しである。日本は、旧徴用工と旧慰安婦の両問題が、すでに国際法に則って解決済みという立場である。韓国司法の判決は、国際法に違反するものであり、韓国政府が責任をもって解決すべきとしている。これによって、韓国は受け身の立場になっている。これまで、米国は日韓問題で仲介役に立ったが、国際法に固守する日本の立場を理解して動けないのだ。

 

李氏は「韓国のトランプ」

以上の二点から見て、次期大統領で与党候補がどのような公約を打ち出すのかが注目されている。

 

与党候補の李氏は、外交面において「反日発言」で人気を集めてきた。経済政策では、「ベーシック・インカム」として国民へ毎月、現金の一律支給を打ち上げている。いずれも大衆迎合政策は明らかだ。「韓国のトランプ」とも言われたように、相手を鋭く切りつける弁舌で人気を集めている。

 

李氏は与党代表候補に決定後の11月1日、光復会(朝鮮独立運動を行った子孫の集まり)を訪れ、「日帝(日本帝国主義)に加担した人物が、大韓民国の主軸として参加した残念な歴史で、まだ大韓民国へ大きな影響を及ぼしているようだ」と語った。李氏は今年71日、大統領選挙出馬を宣言した後、故郷の慶尚北道安東を訪れて「韓国は親日勢力と米占領軍の合作であって、きれいに出発できなかった国」と発言して物議を醸した。依然として、同様の主張を繰り返しているのだ。

 

李氏は、大統領選の本番が始まればさらにボルテージを上げて「反日発言」することは100%間違いない。反日を煽動して、大統領の座を射止めようという狙いである。だが、国際情勢の急変と、韓国国内で起こっている反日意識の微妙な変化を見落とすリスクに気付いていないようである。韓国国民の安全保障意識が、いつまでも「親中朝・反日米」である訳でない。

 

世論調査で反中派が6割も

日本の「言論NPO」が、発表した最新の世論調査結果(今年9月の実査)によれば、韓国国内で中国を脅威と見る人が61.8%と、昨年よりも17.5ポイントも増加している。こうした背景から、韓国で日米韓の軍事協力を強化すべきだとする見方が7割近くまで増えている。これには、38度線で北朝鮮と接していることから来る「安保敏感症」という側面が見える。

 


韓国は、インド太平洋戦略対話「クアッド」(日本・米国・豪州・インド)へ加わるべきが51.1%に達した。日本での11.4%と比べて、韓国の積極性が目立っている。米国を中心とした民主主義国が、強まる対中圧力で同調すべきだとの声は、韓国が61%と過半を占めている。日本は35%であるから、文政権の外交政策である「二股外交」と大きく食い違っている。

 

韓国世論が、昨今の国際情勢急変を受けて敏感になっていることは、日韓関係についても「反日」一点張りから柔軟姿勢に転じていることをうかがわせている。世論調査の項目である「日韓関係は重要」だとする理由にも変化が見られたのである。

 

日韓関係に関する調査項目として、つぎの3点が上げられた。

1)互いに民主主義国である。

2)米国と同じ同盟国である。

3)米中対立下での日韓協力が、相互利益となる

 

これら3項目を選ぶ人は、昨年に比べ今年は韓国人が倍増、日本人で1.6倍になっている。さらに、これまでの「歴史問題の解決は困難」という見方は、今年の調査で半減した。「未来志向の協力関係を作っていくことで、歴史認識問題も徐々に解決される」という見方が、今年は昨年よりも13.6ポイント増え、最も多い回答の一つになった。以上の記述は、『毎日新聞』(10月10日付)言論NPO代表 工藤泰志氏の寄稿を参照した。

 

このように、韓国は米中対立激化の中で、改めて日韓の地理的近さと同じ価値観であることに目覚めたと言える。一昨年7月以降の「反日運動」が、2年の時間を経てようやく冷静になってきたのであろう。(つづく)

 

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