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中国は、米国と同盟国が台湾防衛に乗出していることに焦りを見せている。その見せしめの一環として、台湾独立を支援したと見られる企業に罰金を課すと発表した。早速、罰金第一号企業として、台湾・遠東集団(ファーイースタン・グループ)がヤリ玉に上がった。他国籍の企業にも網を広げるのでないかと懸念されている。

 

『朝鮮日報』(11月24日付)は、「台湾独立を支持すれば、中国では稼げない」と題する記事を掲載した。

 

中国政府は11月22日、中国に投資した台湾の大企業に罰金を科し、「台湾独立を支持すれば、中国でカネを稼ぐことを認めない」と表明した。台湾企業に独立傾向である台湾の民進党政権と手を切るよう公に警告した格好だ。軍需企業を除けば、中国政府が政治的な理由を掲げて企業を制裁するのは前例がなく、中国が維持してきた政経分離の原則を事実上放棄したのではないかとする見方も出ている。中国に投資した韓国など外国企業が同様の被害を受ける懸念も高まっている。

 


(1)「中国国営新華社通信は22日、上海市、江蘇省など5地域で台湾・遠東集団(ファーイースタン・グループ)集団が投資した化学繊維、セメント企業を調査し、罰金を科すとともに、遊休賃貸用地を回収したと報じた。環境保護、土地利用、従業員の保健、生産安全、消防、納税、商品の品質などほぼ全ての分野で問題が発見されたという。中国政府で台湾事務を担当する中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)の朱鳳蓮報道官は、「我々は台湾企業が大陸に投資することを歓迎し、企業の合法的権益を保護するが、台湾独立を支持し、両岸(中台)関係を破壊する者が大陸でカネを稼ぐこと、飯を食べて釜を壊すことを絶対に認めない」と述べた」

 

遠東集団は1937年に上海で設立され、49年に台湾に移転した。石油化学、繊維、セメントを主力とし、通信、海運事業も展開している。年商は7200億台湾元(約2兆9900億円)に上る。中国にも大規模投資を行い、グループのウェブサイトによると、100社近いグループ企業のうち28社が中国本土にある。

 

中国は、年商ざっと3兆円規模の企業を手玉に取ろうとしている。難癖を付けて、絞り取ろうという戦術か。

 


(2)「さらに、「台湾企業は是非をはっきりさせ、台湾独立勢力と明確に一線を画すべきだ」と述べた。中国当局は蔡英文総統が率いる台湾・民進党政権を台湾独立勢力と規定している。人民日報系の環球時報は台湾政府の発表を引用し、遠東集団は2020年の台湾立法委員選挙で民進党候補47人に5800万台湾元(約2億4000万円)を寄付したと報じた」

 

後述のように、国民党への寄付ならば認めるが、中国政府に敵対する民進党候補者への寄付はまかり成らぬという姿勢である。

 

(3)「遠東集団は同日、今年4~6月に中国当局から総額8862万元(約16億円)の罰金処分を受けたが、経営に支障はないと説明した。一方、台湾の財界団体・中華民国工商協進会の林伯豊理事長も「個別のケースだ」として慎重な立場を示した。台湾メディアは遠東集団が民進党候補だけでなく、国民党の候補14人にも寄付した点を挙げながら、「遠東集団は最近悪化した両岸関係の犠牲になった」と評した。李徳維立法委員(国民党)は台湾紙・聯合報の取材に対し、「中国当局は違法事実があれば明確に説明すべきだ。ビジネスはビジネスであって、他の要素が介入する可能性をなるべく抑えるべきだ」と指摘した」

 

下線によれば、遠東集団は民進党候補だけでなく国民党候補にも寄付しているという。中国の罰金は、完全な言いがかりと言える。それだけ、米台関係の接近に焦っている証拠であろう。

 


(4)「これまで中国当局は台湾企業の投資を受け入れるため、政治と経済を分離してきた。習近平国家主席は1999年、台湾と近い福建省の省長に昇進した直後、台湾の企業経営者に「両岸関係にどんなことが起きても、省政府は法律に従い、台湾企業の正当な利益を保護する」と述べた。当時の李登輝元台湾総統が中国と台湾を「国と国の関係」とみなすべきだとする「二国論」を唱え、中国に投資した台湾企業の懸念が高まっていたタイミングだった」

 

習氏は、福建省の省長に昇進した直後、台湾企業の投資を歓迎する姿勢を明確にしていた。中国経済がまだ成長路線に乗っていない時期である。この当時は、まだ頭が低かった。

 

(5)「ところが、中国の国力が高まり、中国当局は台湾など核心的利益、自国の発展利益を強調し、それに逆らう外国企業に対する不買運動を助長するなど、さまざまな名目で圧力を加えている。2016年に韓米両国の合意に基づき、ロッテグループが韓国・慶尚北道星州郡に保有するゴルフ場に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備を決めると、中国はそれに反発し、ロッテ系列企業に報復措置を取った。当時も中国政府は表面的には建築許可、衛生問題、自発的な不買運動などを理由に挙げたが、今回の遠東集団のケースを見て分かるように、今後は政治的な理由を掲げる可能性もある。中国に投資した外国企業に「台湾独立反対」の立場を表明するよう求めたり、米国主導のサプライチェーン同盟に加わらないように要求するのではないかとの懸念も出ている」

 

今の習氏は、すっかりふんぞり返っている。台湾企業に罰金を課すという変わり方である。台湾を踏み絵にして、いろいろと難題を吹っ掛けてきそうである。

 


韓国企業も、韓国政府の「二股外交」に乗せられていると大変なことになろう。早く意を決し、二股を清算すべきだろう。当の中国が、二股を認めなくなるからだ。

 

(6)「中国に投資した企業経営者は、「過去の中国共産党幹部にとっては投資誘致が最優先課題だったが、今は多少損をしても核心的利益を鮮明に表明することが重要になったようだ。半導体などを巡り、米中が本格的に競争すれば、中国が自身の『発展利益』を掲げ、米国に協力的な外国企業に対し、直接、間接的に制裁を加えないという保障はない」と指摘した」

 

中国が、本性を現して来たのだ。「ニーハオ」という昔の甘い声にすがっていると、大変な損害を被る時代になってきた。中国が、柄にもなく米国覇権へ挑戦するという夢を持ったことが、こうした傲慢な事態を引き起している。韓国は、目を覚ますべきである。