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韓国は、新型コロナウイルスの一日の新規感染者数が5000人を超え、過去最多を記録した。海外メディアも一斉に報じている。「K防疫モデル」と自画自賛したが、早すぎた「ウィズコロナ」(規制緩和)によって、高齢者を中心に感染者が激増している。すでに、重症患者ベッドの稼働率は80%をはるかに上まわり、新規感染者は入院待ちの状態になっている。危機的な状態に陥っている。

 

苦肉の策として、数ある感染者から優先的に重症者ベッド入れる基準を作っている。地震などの災害時には、患者選別が行なわれるが、韓国は「ウィズコロナ」を継続している一方で、患者の選別を行なうのは極めて矛楯した行為である。こうした医療崩壊時には、「ウィズコロナ」の中止こそ優先されるべきだ。政府は、大統領選挙を意識して経済優先を行なっている。この状態では、重症患者激増は不可避である。

 

『中央日報』(12月1日付)は、「新型コロナ患者で埋まる重症患者室、だれを先に入院させるべきか」と題する記事を掲載した。

 

新型コロナウイルス感染者が大きく増加し全国の重症患者室がほとんど埋まった。先月29日午後5時基準でソウルの重症患者病床の91%が埋まった。すでに飽和状態だ。日増しにこうした状況が悪化するのは明らかだ。韓国政府が近く大型病院に「重症患者室を追加で確保せよ」と命令するものとみられる。

 

(1)「強制命令を下しても病床を増やすには限界がある。重症患者室は専門医や専門看護士、装備などが必要で、1日で大きく増やすことはできない。確保するとしても非コロナ重症患者用の重症患者室を減らす方法しかない。一種のゼロサムゲームだ。非コロナ患者の死亡率が上がるほかない。限定された重症患者病床を効率的に使うことが緊急な課題に浮上した。大韓重患者医学会は最近、「災害状況で重症患者の診療は最大限多くの患者の命を助けられるよう運営されなければならない。保健当局・専門学会・市民社会が合意する重症患者の入退院指針を至急用意しなければならない」と促した」

 

韓国医学界は、「ウィズコロナ」の中断を訴えるべきである。そうした行動をしないで、政府の無謀な「ウィズコロナ」に追随している。いまこそ、医療倫理の立場に戻る時期である。

 


(2)「入院対象者が同時に発生する時に、だれを先に入院させるのか、優先順位が最も高い人は

★発病前のように活動が可能だったり活動は制限されるが軽い労働ができる場合

★正常健康患者や軽い全身疾患(肥満など)患者

★1個の臓器不全

★予測生存率80%以上――にすべて該当する人。挙動能力、問題が生じた臓器の数、予測生存率などを考え優先順位が決まる」

 

これら4条件に該当する患者は、優先的に入院させる。やはり、予測生存率80%以上が決め手になるのか。人間の生命の価値を値踏みしている感じだ。

 

(3)「ソウル峨山病院呼吸器内科のコ・ユンソク諮問臨床教授は、「平時には病院に来た順にしなければならないが、現在のような危機状況では最大限多くの人を生かし、治療後の期待寿命を増やし、治療後に復帰させられる人から優先的に治療しなければならない。基礎疾患が少なく健康な人が優先。延命医療中断基準をもう少し拡大して適用し、これに従う医療関係者を処罰してはならない」と話す。重症患者医学会はこうしたプロトコルを政府に建議したが受け入れられないことから、1日に記者会見を行い改めて指針制定を促す予定だ」。

「基礎疾患が少なく健康な人が優先」とは、なんとも哀しい生命救助の線引きである。となれば、高齢者は最初に「死亡宣告」される運命である。

 


(4)「大韓重症患者医学会のパク・ソンフン広報理事(翰林大学聖心病院呼吸器内科教授)は、「新型コロナウイルス感染者のうち回復の可能性が低く心肺蘇生術拒否要請書(DNR)などを所持した患者の重症患者室優先順位を後回しにすべき。生存率が高い患者を先に治療するよう優先順位を決めてほしいと政府に提案する」と話した。優先順位1~4位のうち4位だけでも順位を遅らせようという意だ」

 

優先順位4位は、▽脳・心臓・肺などの末期臓器不全▽重症外傷・重症やけど(予測死亡率90%以上)▽大量脳出血や重症認知症など深刻な脳機能障害▽期待余命6カ月未満の末期がん▽過去3カ月間に心筋梗塞・脳梗塞などを患ったり、重症外傷や頭蓋腔内出血などで生存が難しい患者▽予測生存率20%以下――の6種類のうちひとつでも該当する場合をいう。

 

これに該当する患者は、入院優先度から外すという。むごい話だ。「ウィズコロナ」を継続しながら、助かる可能性の低い患者は切り捨てるという。人命尊重の欠片もない話である。これが、進歩派を名乗る政権のやることか。

 

(5)「先進国はこうした基準を適用している。昨年国際ジャーナル「バイオエシックス」に発表された論文によると、米国の新型コロナウイルス患者優先順位勧告基準は最も多くの人に利益が行くようにし、医療体系を維持することだ。英国やイタリアも同様だ。スイスはできるだけ多くの命を助けることだ。だがこの基準を決めるとしても適用するのに困難が少なくないという指摘が出る。延世大学医療法倫理学科のイ・イルハク教授は「『私が先に登録したにのなぜあの人が先なのか』『まだ完全に治っていないのになぜ退院させるのか』という抗議に耐えられるかわからない。療養病院で悪化した高齢の感染者を重症患者室に送ることができなくなることもあり、こうした問題は少なくない」と指摘した。イ教授は「在宅療養中に悪化した患者の転院、療養病院患者の転院など腹を割って話さなければならない」と付け加えた」

 

事態がここまで悪化しながら、新規感染者を止める方法を議論しない。何とも矛楯した話である。災害時の患者発生とは、状況が全く異なるのだ。今の、コロナ感染者急増は人災である。自然災害時の患者発生と同列に扱うべきでない。