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中国にとって外交上の最大弱点は、新疆ウイグル族弾圧である。このほど、流出した文書によって、弾圧は習近平氏の指導のもとで強行されていることが判明した。中国は、新疆ウイグル族問題が国内問題であり、海外からの干渉を許さないとしている。だが、今回の秘密文書流出によって中国はさらに厳しい立場へ追い込まれる。

 

東京裁判では太平洋戦争責任が追及された。これになぞらえれば、習近平氏は新疆ウイグル族弾圧で国際法廷に立たされるほどの重大犯罪である。いつか、そういう時代が来るであろう。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月2日付)は、「ウイグル問題の文書流出、習氏の強い関与裏付け」と題する記事を掲載した。

 

中国による少数民族ウイグル族への人権侵害疑惑を巡り、習近平国家主席が先頭に立って弾圧を指示していたことを示す新たな証拠が浮上した。英国を拠点とする非政府組織「ウイグル・トリビューナル」が中国政府の流出文書の写しをウェブサイトに掲載した。その文書は、新疆ウイグル自治区の動向を巡り、2014~17年に習氏や共産党幹部が非公開で行った演説の内容などが含まれ、一部は最高機密扱いとなっている。ウイグルへの強制的な同化政策はこの時期に策定・導入された。

 


(1)「それによると、習氏は少数民族に関して宗教の影響や失業問題の危険性について警告しており、新疆の支配を維持する上で、主流派である漢民族と少数民族の「人口割合」の重要性を強調している。『ウイグル・トリビューナル』はロンドンで、ウイグル族に対する人権侵害の疑いについて審問を開催している。米ミネソタ在住の中国民族政策専門家、エイドリアン・ゼンツ氏は、ウイグル・トリビューナルから文書の真偽を調べるよう依頼され、他2人の協力者とともに鑑識を行った」

 

新疆ウイグル自治区の動向を巡り、2014~17年に習氏や共産党幹部が非公開で行った演説の内容が、「犯罪」を裏付けている。中国は、西側諸国から厳しく追及される証拠の数々が公開されてしまったのだ。ジワリジワリと、中国の首を締めることになろう。

 

(2)「ゼンツ氏によると、今回の文書は『ニューヨーク・タイムズ』紙(NYT)が2019年に報じた流出文書では明らかにされなかった一部とみられる。NYTは十数ページの内容について報じたが、完全な文書ではなかった。同氏は、NYTの報道について習氏がウイグルの同化政策の策定に直接関与していたことを示していたが、完全な文書で真相は一段と明らかになると述べている。「残虐行為の細部に与えた習の個人的な影響力は、われわれの認識をはるかに超える」とゼンツ氏は話す」

 

今回の公開された文書は、すでにNYTで報道された文書とダブっているという。流出文書は、これから本格的に公開されるので、中国は枕を高くして寝られない事態になろう。

 


(3)「中国外務省は、うわさを流布しているとしてゼンツ氏と『ウイグル・トリビューナル』を批判。「反中派の道化師がいかなるパフォーマンスを繰り広げようとも、新疆はさらなる発展を遂げるばかりだ」とコメントした。『ウイグル・トリビューナル』の審問は法的な根拠を欠くとした。情報の提供元は分かっていない。NYTの広報担当は今回『ウイグル・トリビューナル』が公表した流出文書について、2019年に同紙が報道したものと同一であることを確認。ただ、NYTは『ウイグル・トリビューナル』に文書を渡していないと述べた」

 

中国は、例によって否定し相手を陥れる発言を繰返している。虚しいばかりだ。人類への犯罪であり、決して内政問題という矮小化された扱いで済むはずがない。こういう蛮行を許してはならない。

 

(4)「11月30日、公表された文書の大半は2014年春のものだ。ゼンツ氏はこれに添えた要旨で、共産党の新疆政策に関する国営メディアの報道やその後に公表された政府文書と照らし合わせるなどして、文書が本物であることを突き止めたと説明している。ゼンツ氏によると、『ウイグル・トリビューナル』は情報提供者を守るため原本の公表は見送り、出所が分かるような部分を削除して、文書の写しを公表した」

 

文書を公開した『ウイグル・トリビューナル』は、情報提供者を守るべく原本の公表を見送っている。いずれ、この原本が公開されるときは、中国共産党が滅びた時であろう。

 


(5)「習氏が14年の演説で最初に触れた発言がその後、政府の政策文書にも記され、党幹部らも度々その文言を言及しているなどとゼンツ氏は指摘する。例えば、習氏は14年5月に新疆に関する会合で行った演説で、共産党は「人民の民主的独裁という武器の使用を躊躇(ちゅうちょ)すべきではなく、(新疆の宗教的な過激派勢力に対して)破滅的な打撃を与えることに注力すべきだ」と述べている。さらにこの演説では、強制労働の疑いが持たれているウイグル族への労働プログラムの前触れともとれる発言があった。米国はこの強制労働疑惑を理由に、新疆綿を使った中国品の輸入を禁止している」

 

下線部は、習氏の過激発言によってウイグル族100万人が強制収容されることになったことを暗示している。習近平氏は、東条英機並みの「戦犯責任」を追及されるに違いない。

 

(6)「文書によると、習氏は「新疆の雇用問題は顕著だ。暇を持て余した大量の失業者が問題を起こす傾向がある」と指摘。その一方で、組織で働けば「民族の交流や融合につながる」と述べている。また今回明らかになった別の演説で、習氏は「人口の割合と安全性は長期的な平和と安定の重要な基礎となる」と述べている。その6年後、新疆における漢民族の割合が15%にとどまるのは「低すぎる」として警告した同地域幹部はその際、習氏のこの発言をそのまま繰り返している」

 

このパラグラフは、新疆ウイグル族が塗炭の苦しみを舐めさせられた背景が明らかにされている。習氏の指導であったのだ。

 

(7)「ゼンツ氏は、「習氏が発したたった一文が、政策全体に影響を与えるだけの威力を持つ」と話す。同氏によると、『ウイグル・トリビューナル』は合計300ページにわたる11文書を入手した。このうち30日に公表したのは3文書のみで、残りは今後公表される見通しだ」

 

『ウイグル・トリビューナル』は、全体で11文書を入手した。今回は、その内の3文書だけが公開された。残りは、まだ8文書もある。中国による「人類への犯罪」に関わる証拠が、これから、次々と白日の下にさらされるのだ。これで、中国が民主主義の敵になった。