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米国とEU(欧州連合)は、12月2~3日にわたり対中国政策をテーマにした高官協議を開いた。台湾問題が議論されたことは確かだが、北京冬季五輪への「外交ボイコット」も議論されたと見られる。シャーマン米国務副長官は3日、EUのサンニーノ対外行動庁事務総長との会談後、中国に対する米国と欧州の対応は「ますます一点に集約している」と述べた。

 

米EUが一致して、北京冬季五輪へ外交ボイコットすれば、中国の対外イメージはさらに落込む。中国は、これに防戦すべく外国首脳を招待しないとも言っている。苦しい立場だ。もう一つ、新型コロナウイルスで変種「オミクロン株」の感染が起こっている問題である。中国製ワクチン効果は、米欧製ワクチンに比べ低下しているとされているだけに、感染力の高い「オミクロン株」が中国で広がれば、一挙に感染拡大の危険性が高まる。

 

外交ボイコットや新型コロナウイルスは、いずれも中国に起因している。自ら蒔いた種だけに、その結果を甘受せざるを得ない立場である。

 


『ロイター』(12月2日付)は、「冬季五輪迫る中国、外交やコロナ対策など課題山積」と題するコラムを掲載した。筆者は、ピーター・アップス氏で国際問題、グローバル化などを専門とする著述家である。

 

(1)「自信満々の中国が世界に見せたがっているのは、国内のパンデミックを抑え込んだ経済大国が感染対策で世界を主導しているという構図だ。しかし、現実はもっと複雑だ。確かに中国国内の感染者数は低い水準が続いているが、国産ワクチンの効果が限定的という難題を抱え、自国の科学者から破局につながると警告が出されている感染再拡大を何としても避けようとしている」

 

中国は、来年2月の北京冬季五輪で、変種「オミクロン株」に感染したら大変な事態に陥る。中国製ワクチン効果が低い上に、これまでロックダウンしてきただけに、自然感染率が低い筈。中国自体が、危険地帯であるのだ。

 

(2)「対外関係に目を向けると、人権問題や中国が台湾への圧力を高めていることを巡り、西側だけでなく他の多くの国からの反発が強まる事態に直面している。2019年以降、人権保護活動家や一部の西側首脳は、中国新疆ウイグル自治区でのウイグル族弾圧に抗議する形で北京冬季五輪の全面的なボイコットを呼び掛けてきた。米国、英国、オーストラリアなど複数の国は、北京冬季五輪の「外交的ボイコット」を検討中と報じられている。欧州議会は7月、拘束力を持たないものの、欧州諸国に同様の行動を求める決議を採択した」

 

北京冬季五輪には、もう一つの問題がある。ウイグル族弾圧に関する人権問題が原因で、外交ボイコットである。中国の「非人権国家」という対外イメージはに落込む。

 

(3)「中国がワクチン外交で重要な役割を維持し続ける上で、問題は大きくなりつつある。新型コロナの予防効果が50~80%と伝えられる中国製ワクチンの国際的な需要は、ファイザーやアストラゼネカなどのワクチンよりずっと低い。つまり中国製ワクチンの海外向け販売は試練に見舞われていることが分かり、一部の国は公然と西側製ワクチンの調達を優先している」

 

中国製ワクチンの予防効果は、欧米製よりもかなり落ちるとされる。習氏が昨年1月以降、出国していないのは、中国製ワクチンに問題があり、感染を恐れていると指摘されている。

 


(4)「それでも中国にとってはるかに大きな課題は国内にあるのではないか。新型コロナが世界で初めて報告された武漢市をロックダウン(都市封鎖)して当初の感染封じ込めに成功した後、中国ではほとんど感染者がいなくなった。中国製ワクチンの防護機能が限定される以上、もしもなお閉鎖されている国境からウイルスが侵入した場合、あっという間に感染が再拡大していく可能性がある。北京大学の研究員らは中国疾病対策予防センターの週報で、中国の高い人口密度や限られた医療資源、国産ワクチンの効果への疑問などを考えると、西側で見られる管理された感染拡大を許容すれば、すぐに破局につながりかねないと警鐘を鳴らした」

 

中国で、「ウィズコロナ」を実施すれば、すぐに破局に繋がると指摘されている。習氏が、出国しない理由を証明している。この程度の中国が、世界覇権を夢見ている。どこか、常識から外れたところがある国だ。

 


(5)「これを冬季五輪に当てはめれば、大規模な隔離なしで選手が競技できるようにするためには非常に厳しい規制とバブル、バス運航システムが必要になる。つまり、五輪関係者以外の誰に対しても国境は閉じられ続ける。中国にとって、パンデミックと自らが生み出した厄介な地政学的対立の収束はまだ遠いという意味だ」

 

北京冬季五輪は、東京夏期五輪よりも厳しいコロナ対策が実施されるに違いない。無観客は当然であろう。