テイカカズラ
   

韓国は、独立国かと疑わせるような事態が起こった。韓国の大統領直属第4次産業革命委員会が、台湾の唐鳳(オードリー・タン)行政院デジタル担当政務委員(閣僚級)にオンラインでの講演を依頼していたが、講演1時間前に韓国側がキャンセルしたのである。台湾メディアは、韓国の対応について「中国との関係を考慮した」と報じている。

 

韓国の「二股外交」はよく知られている。それにしても、韓国政府が招待した台湾の閣僚級オンライン講演を、中国の横槍で直前に中止するとは呆れてものも言えない状況だ。ここまで、中国の顔色を覗っているとは、属国的な振る舞いである。

 


『ハンギョレ新聞』(12月22付)は、「台湾デジタル担当相の演説を行事直前に取り消した韓国政府の『外交的非礼』」と題する社説を掲載した。

 

大統領の直属機構である第4次産業革命委員会が、台湾の長官クラスの人物を国際カンファレンスに招待しておきながら行事の直前に突然演説を取り消した。外交的非礼も甚だしい。台湾問題は最近、国際的に最も敏感な外交事案の一つという点で、思慮に欠ける処置という批判は避けられない。

 

(1)「台湾外務省は20日夜、ホームページに声明を発表し、韓国政府の第4次産業革命委員会が今月16日に開催した「第4次産業革命グローバル政策カンファレンス」で、台湾のオードリー・タン(唐鳳)デジタル担当政務委員(長官級)に主題発表を要請したが、行事直前に演説を中止させたと公開した。台湾外交部は「韓国側の欠礼に関し、駐台北韓国代表部の代理代表を呼んで強い不満を示し、駐韓台湾代表も台湾政府の厳重な抗議を伝えた」と明らかにした」

 

『ハンギョレ新聞』は、文政権支持メディアである。そのメディアが、ここまで政権批判した社説を掲げたのは、文政権の目に余る「二股外交」への警鐘であろう。韓国が、招待演説を依頼しながら、1時間前に取消すとは、二重の「外交欠礼」になる。

 


(2)「台湾メディアの報道によると、今年9月にタン政務委員にオンラインでの演説を要請した第4次産業革命委員会は、16日午前7時50分(韓国時間8時50分)に電子メールで演説キャンセルを通知し、「両岸(中国・台湾)関係の様々な側面を考慮した」という理由を述べたという。行事の開幕が10時なのにもかかわらず、わずか1時間前にキャンセルを通知したのだ。タン政務委員がどれほど呆れ戸惑ったことか、想像に難くない」

 

キャンセルした理由が、「両岸(中国・台湾)関係の様々な側面を考慮した」という。最初から分かりきったことを承知で招待したはずだ。中国の猛烈な圧力に屈したに違いない。これで、韓国外交は一段と国際的な評価を下げることになった。

 

(3)「4次産業革命委員会が「より良い未来のためのAI(人工知能)デジタル転換」をテーマに開いた今回のカンファレンスは、オンラインとオフラインで行われ、行事の案内の報道資料もオードリー・タン政務委員を「台湾デジタル担当相」と紹介し、発表者と告知した。2017年に設立された同委員会は、キム・ブギョム首相とAIの専門家であるソウル大学のユン・ソンロ教授が共同委員長を務めている」

 

台湾のオードリー・タン政務委員は、天才ハッカー出身とされる。それだけに貴重な意見が開陳された筈だ。韓国政府は、その機会を自らの優柔不断な外交で失った。

 


(4)「台湾の長官級の人物が韓国政府の行事で演説することに対し、中国政府の反対があったか、または韓国政府が中国の反発を憂慮して演説を取り消したのではないかという議論が起き、外交部は事態の収拾に苦心している。外交部のチェ・ヨンサム報道官は21日、「諸般の状況を総合的に検討して決定したと聞いている」としながらも、具体的な背景については明らかにしなかった。理由が何であれ、大統領直属の機関で他国の長官級の人物に頼んだ演説を直前に取り消したことは、深刻な外交的非礼だ

 

韓国が、他国の圧力に簡単に屈する姿を見ると、朝鮮李朝の末期に清朝・ロシア・日本の圧力によって右往左往した姿を彷彿とさせる。独立国としての「信念」がないのだ。

 

(5)「『天才ハッカー』出身で台湾の最年少長官として名の知れたオードリー・タン政務委員は、デジタルを基盤とする台湾の革新と「開かれた政府モデル」を世界に知らせる役割を積極的に果たしている。今月9~10日にバイデン米政権が開催した「民主主義首脳会議」にも台湾代表として出席し、演説している。タン政務委員の知名度と台湾問題の敏感性が加わり、今回の外交的非礼は国際社会でも注目を集めている。最近、韓国の外交が米中間の「戦略的曖昧さ」にはまり、「顔色を伺う外交」をしていると指摘する人が少なくない。このような時であるほど、外交の原則と戦略を精巧に立て、きめ細かい外交をしなければならないということを重ねて強調したい」

 

このキャンセルは、米韓同盟にも微妙な影響を与えるであろう。米国は改めて、韓国を「クアッド」(日米豪印)に参加させずホットしているだろう。この調子では、貴重な情報が中国へ筒抜けになるところだった。彷徨える韓国は、李朝と同じ軟弱体質である。