あじさいのたまご
   

与党支持メディア『ハンギョレ新聞』は、大統領選で与党候補李在明(イ・ジェミョン)氏の支持率が、30%台で伸び悩んでいることで焦っている。ここまで、支持候補を明らかにしているのは珍しい。与党は、政権交代の世論が強いことが、李候補の支持率を抑えていると分析している。

 

調査期日     政権交代  政権維持

11月29~30日  49.7%  34.8%

12月28~30日  54.5%  36.6%

 1月15~16日  57.9%  33.5%

(出所:『朝鮮日報』1月18日付)

 


1月の世論調査では、政権交代が57.9%で政権維持33.5%を大きく引離している。韓国の世論調査では、「35対55」のルールがあるという。韓国の政党支持は、40:40:20という。40は、保守と進歩の固定支持層。20は中道とされている。そこで、35%は、固有の支持層が離れて相手陣営を支持している。55%は、固有の支持層に加えて相手陣営と中道が合流している、というのである。

 

この見方によれば、政権交代論が現政権支持派からも出ていることを示している。つまり、文政権の5年間で進歩派大統領に見切りを付けた形である。

 

『ハンギョレ新聞』(1月18日付)は、「『支持率30%台』抜け出せない韓国与党のイ候補、旧正月連休前の討論会で逆転図るか」と題する記事を掲載した。

 

(1)「旧正月(2月1日)の連休をめどに「ゴールデンクロス」を実現するという目標を立てた共に民主党のイ・ジェミョン大統領候補の支持率が伸び悩んでいる。わずか半月前、複数の新年の世論調査で、国民の力のユン・ソクヨル候補を誤差範囲外でリードして勢いがつくかに見えたが、イ候補の支持率は30%台にとどまっている。民主党の選対委は3月9日の大統領選挙を50日後に控えた今月18日から旧正月の連休までの2週間が勝負を分ける期間とみて、戦略作りに苦心している」

 

イ・ジェミョン氏には、余りにも暗いイメージがついてしまった。イ氏が立候補してから関係者が3人も自ら生命を絶っているのだ。表沙汰にできない事件の責任を取った犠牲者である。この一点だけでも「負け」であろう。イ氏は裸一貫で生きて来た人生だけに、「暗部」を抱えているに違いない。聞けば、貧困から身を起した壮絶な人生である。傷も負っているだろう。叩けばいくらでも埃が出る人である。

 

(2)「昨年末にユン候補(「野党『国民の力』」が自分の失言や配偶者のキム・ゴンヒ氏の虚偽経歴問題、党内対立で“失点”した際にも、イ候補は逃げ切れなかったということだ。その間、ユン候補は党内の対立を収拾し、20代男性らの支持率を回復した。イ候補の最大の難関は、50%を超える「政権交代」世論だ。議題と戦略グループ「ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は、「国民の力のユン・ソクヨル大統領候補は強い『政権交代』世論に支えられているが、イ候補は相対的に低い『政権継続』世論に囲われている」とし、「『政権再創出』にプラスして『能力あり』というイメージを掲げたが、思ったほど弾みをつけられなかった」と述べた」

 

ユン候補は、エリート街道を進んできた人物である。検察総長が最後の官暦だ。職掌柄からイ候補と異なり、悪には無関係であろう。ただ、夫人が多くの話題を提供している。イ候補に似通った面もあるほどだ。

 


(3)「ユン候補は選対委の改編の成功などを通じて、再び政権交代候補というイメージを復活させることができているが、与党のイ候補が反転のきっかけを作るのは難しいということを指摘したのだ。龍仁大学のチェ・チャンヨル教授も「政権交代の世論が強い状況なだけに、イ候補が文在寅(ムン・ジェイン)大統領と差別化を図ると言っているが、このような試みは強固な支持層には否定的な認識を与える」と述べた」

 

イ候補にとっては、世論が政権交代を求めていることが大きな壁だ。文政権は一期で、進歩派が愛想を尽かされたことになる。本欄ですら、厳しい文政権批判をしているのだから、韓国世論はもっと厳しいであろう。

 


(4)「特に、旧正月の連休前に行われる討論会が支持率を分ける最大の変数になると見て、対応戦略を練っている。政策ビジョンを提示するときは自信を持ち、大庄洞問題をめぐる疑惑に対しては「低い姿勢」を維持するのが要だ。選対委の関係者は「ユン候補は討論で、大庄洞問題や弁護士費代納疑惑の争点化を試みるものとみられる」とし「(対応次第で)国民に好感の持てないイメージを残すか、でなければむしろ相手側の攻勢にもひるまず安定感と信頼感を与える候補のイメージを残すかに、(討論会での勝利が)かかっている」と語った」

 

下線部は、選挙戦術である。こんな「秘策」を公にしてしまい、秘密兵器の意味がなくなる。米国の大統領選でのTV討論会のように、「堂々」としたり「低姿勢」となったり演技力が求められている。もっと大きなテーマで討論しなければ、韓国の将来が不安であろう。