あじさいのたまご
   

韓国政府は、これまでクアッド(日米豪印)への参加を求められたことはない、と言い張ってきた。客観的に見て、そんな筈はなかった。米韓外交・防衛「2+2会議」が、昨年春に韓国で開催され、米国から直々に懇請されたのだ。

 

韓国は、中国の存在が怖くて回答を保留し、「聞かなかった話」にしてきた。米国の外交安保専門家が、この事実を明かしたので韓国政府は大慌てで否定している。とんだ赤っ恥をかかされた形である。韓国のクアッド参加は、韓国の煮え切らない態度から米国が断念。代わって、英国が参加する意向などと報じられたが、英国は、「AUKUS」(米英豪)の軍事同盟で中国へ対抗する。

 


『中央日報』(1月28日付)は、「米国外交安保専門家『韓国、昨年のクアッド首脳会議招待を断った』 韓国外交部『事実無根』」と題する記事を掲載した。

 

「韓国が昨年3月の日米豪印戦略対話(QUAD=クアッド)首脳会議の招待を断った」という米国外交安保専門家の主張に、韓国政府が「事実無根」と反論した。これまで韓国政府はクアッドに関連して「加入を要請されたことはない」という立場を維持してきた。

 

(1)「米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国碩座のビクター・チャ氏は、今月26日(現地時間)、米外交専門紙『フォーリン・ポリシー(FP)』に寄稿した「なぜ韓国大統領選挙が米国にとって重要なのか」と題する記事で、「信頼できる消息筋から2021年3月クアッド首脳会議を控えて韓国が出席の提案を受けたが断ったと聞いた」と明らかにした。当時の会議はクアッド構成後に初めて開かれた最高級協議だった」

 


韓国は、米韓外交・安保「2+2会議」後の共同声明で、米韓同盟の関心領域が朝鮮半島からインド太平洋へ拡大された、と明記している。これは、クアッドへの参加問題を議論した証拠である。韓国は、ギリギリの線でクアッド参加を見合わせたのだ。

 

(2)「チャ氏はまた、「今年3月の韓国大統領選挙の結果によってクアッド参加推進など韓国の対外政策に大きな変化があるだろう」と展望した。具体的に「韓国の与党大統領候補はクアッド参加への可能性に対して沈黙していて、野党指導部は政権を取った場合、クアッド参加を直ちに推進すると公開的に明らかにしたと聞いた」という」

 

韓国の次期政権が野党に渡れば、クアッド参加を推進するであろうと指摘している。これは、最大野党「国民の力」のユン候補が示唆していることを指している。現実に、その方向へ進む可能性は大きい。韓国は、このクアッド入りをきっかけにして日韓関係修復を目指す狙いもある。すぐに歴史問題を俎上に上げても無理である。安保問題から協調して、歴史問題への接近を目指す「迂回作戦」である。

 

(3)「あわせて、「韓国はメモリーチップ、電気バッテリーなど高需要商品関連の主要供給国」としながら、「これほど重要な米国の同盟を(クアッド)連帯の外に置くなら、これは新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)ワクチン、次世代無線ネットワーク関連のサプライチェーン(供給網)、気候変化への努力に影響を与えるだろう」と付け加えた」

 

米国は、韓国の戦略物資製造能力をフルに活用したいところだ。また、「現代版ココム」で中国への禁輸を行なう際に、韓国へ同時行動を求めたいのであろう。

 

(4)「実際、与党「共に民主党」大統領選候補の李在明(イ・ジェミョン)氏は、今月4日の記者会見で「公式的にはクアッド加入を要求されたことはなく議論したこともないため、前もって何らかの決定をする必要はない」として留保の立場を示した。反面、野党「国民の力」大統領選候補の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は24日に外交安保分野の公約を発表しながら「クアッド傘下のワクチン・気候変動・新技術ワーキンググループに参加して機能的協力をしながら今後正式加入を模索する」と明らかにした」

 

下線部分は、野党大統領候補のユン氏の発言である。クアッド参加を模索するとしている。感情的に中国を恐れることでなく、同盟の力で中国による脅威を防ぐという知的戦略である。



(5)「韓国政府はこの寄稿文の内容に強く反論した。外交部の崔英森(チェ・ヨンサム)報道官は27日の定例記者会見で「事実と異なる」とし、「我が国はクアッド4カ国のどこの国からも直接的に参加要請を受けたことはない」と明らかにした」

 

韓国外交部は、これまで「ウソ発言」を繰返してきたので、否定せざるを得ない立場だ。

 

(6)「これに関連し、バイデン政府はこれまで公式的にはクアッド拡大に線を引いてきた。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官のカート・キャンベル氏は昨年5月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン大統領間の初めての首脳会談を控え、国内メディアのインタビューで「現時点でクアッドを拡大する計画はない」と明らかにした。ただし「我々は韓国、東南アジア諸国連合と領域内の他のパートナーとの協力を継続して拡大する方法があるだろうと考える」と述べた」

 

クアッドを「4ヶ国限定にする」という発言の裏には、英国の存在がある。英国は、今年中にTPP(環太平洋経済連携協定)への正式参加が認められる予定だ。英国がアジアへ経済的に「移住」するとなれば、安保面でも存在感を発揮するであろう。これまで韓国へ期待された役割を、英国が果たす可能性も出て来た。韓国は、頭を下げて「参加させてください」という羽目になっているのだ。