勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 経済ニュース時評

    a0003_ki_0012_m
       

    韓国の朴槿恵前大統領への贈賄罪などに問われた、サムスン電子副会長の李在鎔被告(51)の差し戻し審が昨年10月、ソウル高裁で始まった。大法院(最高裁)は8月、李被告を懲役2年6月(執行猶予4年)とした二審判決を破棄したからだ。差し戻し審では、量刑が重くなるとの見方が一般的である。だが、文在寅大統領は就任以来4回も李被告と面会している。また、サムスンを称える演説もしている。これは、高裁に向けて「執行猶予をつけろ」というメッセージとみるべきだ。

     

    大法院は一昨年10月、徴用工賠償問題で日本企業へ支払い判決を出した。文大統領は、この2ヶ月前に徴用工問題が人権問題であり、時効はないと演説したのである。大法院に対して、「日本企業への賠償判決を出せ」というメッセージであったのだ。韓国では、大統領が絶対的権力者である。皇帝である。その意に背いた判決は出しにくいのだ。

     

    こういう韓国特有の権力関係から言えば現在、進行中の差し戻し審はきわめて興味深いのである。私には、執行猶予をつける準備が進んでいるように思えるのだ。

     


    『日本経済新聞 電子版』(1月24日付)は、「サムスントップ悩ます『異色』判事、仰天発言の真意」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領への贈賄の罪に問われたサムスン電子トップの李在鎔)被告の差し戻し審で、ソウル高裁の判事が李被告に投げかけた発言が波紋を広げている。

    (1)「ソウル高裁で開かれた差し戻し審の初公判で、鄭晙永(チョン・ジュンヨン)部長判事は「サムスンに総帥も恐れる監視制度があったなら、こんな犯罪は考えもしなかったはずだ。米大企業の順法監視制度を参考にしてほしい」と李被告にこんな注文をつけ、さらにこう続けた。「審理が進む間も総帥としてやるべき仕事をしてほしい。1993年、51歳だった李健熙(イ・ゴンヒ=李被告の父)総帥はフランクフルトで新経営を宣言して危機を克服した。2019年、同じ51歳になった李在鎔総帥の宣言は何か」。鄭判事が引き合いに出したのは「フランクフルト宣言」と呼ばれる、李会長が93年に幹部をフランクフルトに集めてぶった演説だ」

     

    李健熙氏が、かつてドイツ・フランクフルトに役員を集めて、製造業として当然の「品質第一宣言」を行い、社風を一変させた有名な話だ。裁判長は、李副会長に向かって社風一変の策を聞いたのである。

     

    (2)「鄭判事の発言は、李被告に経営者として会社を変える覚悟があるのかを問うた格好だ。鄭判事は126日の第3回公判ではこう尋ねた。「被告人は(大統領からの)拒絶できない要求に応えたと主張する。ならば今後、権力者から同じ要求を受けたら同じように応えるのか。どうしたら防止できるのか。次の期日までに意見を出してほしい」。判事の問いかけに、李被告はさぞかし戸惑ったはずだ。だが、判事の求めに応えないわけにはいかない。サムスン側は回答を用意した」

     

    裁判長は李被告に対して、時の大統領から要求を受けても、それを敢然と断る「防衛策」を聞いている。この辺りに、すでに「執行猶予づき判決」を予想させるものがある。

     


    (3)「20年の仕事始めの12日、李被告は社内向けのスピーチで社員に語りかけた。「誤った慣行と思考は果敢に廃し、新しい未来を切り開こう」。サムスンは「順法監視委員会」を設置することも決めた。弁護士や検事出身者、大学教授ら7人で構成し、系列会社も含むグループの法令違反を調査する。委員長に就任した金知衡(キム・ジヒョン)元大法院(最高裁)判事は9日に記者会見し、「サムスン側の介入を完全に排除し、倫理経営の番人役を果たす」と語った」

     

    サムスンは、「順法監視委員会」を設置することも決めたのである。第三者の独立委員会にサムスングループ全体の法令違反を調査させる権限を持たせるという。自浄作用を果たす委員会だ。

     

    (4)「1月17日の4回目公判。サムスン側の弁護士は同委の概要と設置の狙いを説明した。鄭判事は「サムスンによる国民との約束だが、守られるか疑問を抱く人もいるだろう。厳しく徹底的に点検する必要がある」と述べ、独立した第三者の専門家を専門審理委員に指名し、点検するしくみを提案した。黒いスーツに濃いグレーのネクタイ姿の李被告は発言せず、緊張の面持ちでじっと耳を傾けていた。公判でのやりとりは、起きた事実に照らして量刑を判断する一般的な裁判とはずいぶん違ってみえる」

     

    下線部分は、「出来レース」である。裁判所が、「介入」する必要があるだろうかと疑問を持たせるほどだ。裁判所がここまで踏込んでくれば、「贈賄再犯」の恐れはかなり軽減されるはず。つまり、李被告に「執行猶予」をつける条件はすべて整ってきたと言えよう。後は、どういう判決になるのかを待つだけだ。

     

    李被告には、なぜ「執行猶予」が必要なのか。サムスンは、韓国経済を支える「一本柱」である。このサムスンのトップを収監したならば、韓国経済は漂流せざるをえないほど弱体化している。「反企業主義」の文大統領といえども、この程度のことは分かっているはずだ。韓国社会全体が「執行猶予づき判決」を納得するには、「贈賄再犯」を防止するシステムをつくることが先決と見ているのだろう。


    a0960_008532_m
       

    武漢市で起こった新型肺炎は、感染者が日ごとに増えている。すでに二次感染、三次感染の段階に移行した。武漢市へ旅行したことがなくても発症しているのは、二次感染、三次感染を物語っている。まさに、爆発的な感染域の拡大である。

     

    たまたま、春節(旧正月)の時期と重なるという不運も手伝い、ピークは2月になるとの見方さえ出始めた。WHO(世界保健機関)は「緊急事態」宣言に慎重であるが、中国以外の国々への感染がさらに広がれば、いつまでも「事態静観」では済まされまい。

     

    『大紀元』(1月24日付)は、「新型肺炎、2月にピークか、2次―3次感染が起きているとの報道」と題する記事を掲載した。

     

    中国湖北省武漢市を中心に発生した新型肺炎に2次感染と3次感染の事例が報告されたことが明らかになった。中国の専門家は2月が感染のピーク期になる恐れがあると指摘した。中国当局の発表によると、12324時までに、青海とチベットを除く29の省と市で、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者830人が確認され、死亡者25人にのぼった。

     


    (1)「米CNN23日付によれば、新型肺炎の情報収集に当たっている世界保健機関(WHO)のデイビット・ハイマン博士は、「2次感染と3次感染が起きている」と話した。中国疾病管理予防センターの元副主任の楊功煥氏は23日、中国メディア『界面新聞』に対して、「2次感染の症例が報告された。症例が増えている。20202月が感染拡大のピーク期となると推測」と述べた。楊氏によると、上海市と広州市では2次感染の症例が報告された。感染者は武漢市への訪問歴がない

     

    武漢市への訪問暦がない人が、上海と広州で発症しており、あきらかに2次感染である。これは、爆発的な患者発生の前兆であろう。菌が変異していることを伺わせている。まだ、特効薬がない段階だけに、「自然鎮火」を待つしかないのだ。今後も、感染患者が増え続け、2月ピーク説が出ている。

     

    武漢市の防疫体制は不完全とされている。SARSの病原菌を突き止めた香港大学教授・管軼主任は、「今回の状況に恐怖を感じた」という。これまで「鳥インフルエンザ、SARS、A型インフルエンザウイルスのH5N1亜型、豚コレラ」を経験した同氏は、今回の武漢肺炎について、「強い無力感に襲われた」「今回の感染規模は控えめの試算でもSARSの10倍以上だ」「現在、感染源は全面的に広まっている」などと述べている(『大紀元』1月24日付)。この超専門家の意見に耳を傾けるべきだろう。

     

    (2)「中国疾病管理予防センターの元副主任・楊功煥氏は取材中、中国当局が新型肺炎の情報を隠ぺいしていると批判した。「政府系メディアは、真実を話さない人が『千古の罪人』だと宣伝しているが、実際に、今回多くの医療従事者が感染したという事実も長い間隠され、最近やっと報道された」。楊氏は2003年重症急性呼吸器症候群(SARS)の大流行の際、国の防疫対策に携わった。「当時SARSの感染が爆発的に広がったのも、最初情報隠ぺいがあったからだ」。一方、中国衛生当局、国家衛生健康委員会は23日、「新型コロナウイルスによる肺炎の感染診療方案(試行第3版)」を各地政府に公布した。これによると、一部の重症、また危篤状態の患者が「熱は高くない」、あるいは「明らかな発熱がみられない」という

     

    下線部分のように、重症患者でも発熱が見られないという特色がある。それ故、医師が見誤るケースも出ており、これが感染域を広げる結果になっているのかも知れない。「新型」と言われるゆえんだ。ベテラン医師でないとすぐには見抜けないかも知れない。

     

    中国は、これから経済的にどの程度の被害を受けるのか。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月24日付け)は、「新型肺炎、中国経済の打撃はSARS以上か」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「帰省や海外渡航のために数億人が移動する春節を前に、中国は恐ろしい呼吸器感染症と再び戦っている。良いニュースは、湖北省武漢市で発見された新型コロナウイルスが今のところ重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスほど悪性ではないようにみえること。SARSウイルスは武漢のウイルスと似ており、動物から人に感染する。2003年に広東省で流行し、最終的に700人以上が死亡した」

     


    (4)「悪いニュースは、高速鉄道をはじめとする中国の交通インフラが03年のSARS流行時よりもはるかに充実しているため、ウイルスが急拡大していると考えられることだ。中国経済も、2000年代の初めに比べてサービスや消費支出への依存度がかなり高くなっている。03年の流行のピーク時には、小売売上高の伸びが前年比で半分ほどに落ち込んだ。そのため、中国経済はSARSに見舞われた時よりも無防備だ。当局がいかに迅速に感染拡大を制御できるかが鍵になるだろう」

     

    武漢肺炎は、SARSよりも致死率で悪性でないという。ただ、感染地域の拡大と感染者増加は、経済活動(個人消費)に大きな影響を与える。特に、武漢肺炎は春節時期と重なっているので、個人消費への影響は不可避だ。実は、SARS(2002~03年)の時は、名目民間最終消費支出の対名目GDP比にはっきりと影響が出ていた。この実態を見れば、「影響軽微」とは言えまい。

     

    名目民間最終消費支出対名目GDP比率

    2000年 46.86%

      01年 45.75%

      02年 45.25%

      03年 43.16%

      04年 41.14%

      05年 40.16%

      06年 38.33%

       (資料:国連)

     

    02~03年を境目に、個人消費である名目最終消費支出は、45%ラインを下回り、2018年の38.68%に至るまで回復できずにいる。これは、GDP下支えでインフラ投資や不動産開発投資に依存した面もあるが、SARSの爪痕を感じる。

     

    今回の武漢肺炎は、春節に重なっている。これは、個人消費が最も盛り上がる時期に水をかけるに等しく、GDPへの影響は「甚大」と見なければならない。米中貿易戦争は、「第1段合意」で、「半休戦」にこぎ着けた。だが、武漢肺炎がそれに、水をかけることは確実である。習近平氏は、次々と思わぬ事態に遭遇しており、持って生まれた「運」を使い果たしたようである。

     

     

     

    a0960_006043_m
       


    文大統領の任期は、2022年5月である。仏のマクロン大統領と4日違いだ。任期は、双方5年である。どちらが業績を上げて退任するか。興味深いものがある。マクロン氏は、強大な労組と対決して経済再生を図っている。文大統領は、巨大労組の顔色を伺い最低賃金の大幅引上げによって、経済破壊に進んでいる。

     

    この対照的な二人の大統領を比較すると、政治家としての度量の違いが浮かび上がる。文氏は、国家の利益を忘れて、ひたする自らの支持基盤の労組へ忠実に振る舞っている。マクロン氏は、フランス経済再興のために、反対勢力を説得しながら進んでいるのだ。どちらの国民が幸せか。言うまでもあるまい。

     次に、両国の実質GDP成長率を比較したい。

     

            フランス   韓国

    2014年   1.0%   3.2%

      15年   1.1%   2.8%

      16年   1.1%   3.0%

      17年   2.3%   3.2%

      18年   1.7%   2.7%

      19年          2.0%


    フランスは2017年、マクロン大統領になってから実質GDP成長率は、それ以前の1%強から抜け出た感じで2.3%や1.7%になっている。経済改革が功を奏し始めているのだ。韓国とは対照的である。上り坂のフランスと下り坂の韓国である。

     

    『中央日報』(1月24日付)は、「メシアはいない」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・ジョンミン論説委員である。

     

    相次ぐデモに苦しんでいるフランスのマクロン大統領の評価が韓国で急上昇している。保守政権10年の「積弊」と積弊清算を呪文のように唱えながら執権し、「新積弊」を生み出した進歩政権に失望した韓国の人々に清凉剤となっている。

     

    (1)「マクロン大統領は2017年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と4日の差で就任した。マクロン大統領は経済・産業・デジタル相を辞任し、「アン・マルシュ」を結成して大統領選挙で当選した。左派でも右派でもない中道を標ぼうして旋風を起こした。「過去の数十年間、左派・右派政治家は公共支出を増やし、未来の世代に負担を押しつけた。現実に立ち向かう勇気がなく、子どもたちに耐えがたい負債を押しつける卑怯な行為をした」。フランスを低成長・高失業の泥沼に陥れた政界の無能を攻撃し、「フランス病」の治療を訴えた39歳の青年の覇気に有権者は喝采を送った」

     

    下線部分は、文政権にそのまま当てはまる。経済の失政をすべて、財政支出で隠しているからだ。韓国は、健全財政路線を歩んできた。文政権になって、すべて財政支出でカバーする「ポピュリズム」政治に落込んで恥じず、だ。国家財政を食い物にしている政権である。

     


    (2)「マクロン大統領の真価は、「雄弁」でなく「実践」で表れた。執権するとすぐに富裕税廃止、法人税引き下げ、福祉予算削減を一瀉千里に進めると、2018年には油類税引き上げまで断行した。パリ郊外に暮らして自動車で出退勤する中産層・庶民が油類税引き上げに反発した。自動車事故に対応するため車内に義務的に備えている蛍光色の黄色いベストを着た運転者のデモは、マクロン退陣運動にまで広がった。支持率は20%台に落ちた。しかし失業が減り、景気が反騰したことで、危機から免れた。「解雇しやすい環境」を作ったところ、企業の雇用が回復したのだ

     

    下線部分は、抵抗を受けやすい政策である。既得権益をはぎ取るからだ。既得権益を維持すると、財政硬直化を招く。「働かざる者は食うべからず」という原則を打ち立てる。それが、経済を活性化させる道だ。韓国は、労組に新たな既得権益を与えてご機嫌伺いをしている。最低賃金の大幅引上げがそれだ。労働市場の流動化とは、「解雇しやすい」環境づくりだ。企業はこれをテコに、新部門へ挑戦する余裕が生まれる。こうして、一斉に新部門へ取り組めば、結果として雇用増に結びつく。労組的な発想では、雇用増が実現不可能なのだ。

     

    (3)「今度は年金改革に注力している。「より多くの労働をしてより少なく受ける」年金改革は歴代政権がすべて失敗した深刻な問題だ。抵抗は全国民的だ。フランス鉄道労働組合は過去最長ストライキ記録を連日更新している。マクロン大統領は退職後の大統領特別年金(月2500万ウォン)を放棄する背水の陣を敷いて労働組合を説得している。国家大討論会を開き、労働組合と向き合った。自身を「企業寄り」と攻撃する労働者の前で、はっきりと犠牲を要求した。「仕事をせずにより多くのお金を稼ぐことはできない。税金を減らして政府の支出を増やすことはできない」。「企業を守らず労働者を保護できると考えるのは間違っている」と指摘する

    韓国労組は、「仕事をしないが、雇用を保障して、年功賃金を払え」という虫の良い要求をする。これは、高度経済成長期に実現できたが、低成長経済では不可能である。経済環境の変化を理解しない韓国労組に、どうやって現実の厳しさを教えるか。心情的に最も近い立場の文政権が、説得する以外にない。文政権は、労組を説得するどころか煽っている。韓国与党には、「ステーツマン」が一人もいないのだ。

     


    (4)「マクロン改革の成敗を予測するのは容易でない。しかし票が減ることを覚悟しながら国民に犠牲を要求する指導者の堂々とした態度とリーダーシップがマクロン大統領を輝かせる。選挙ではなく国家の明日を考える政治家らしい品格だ。キッシンジャー元米国務長官の警句を思い出す。「この時代の根源的危機の兆候は、国民に犠牲を要求する指導者が登場しなくなったところにある」。意味深長な言葉だ」

    文氏は、保守派を毛嫌いしている。これでは、大統領の資格がない。進歩派がいれば、必ず保守派が存在するもの。健全な世論は、そういう中でバランスを取りながら形成されるのだ。文氏の希求する「進歩派で永久政権」は、進歩派独裁体制を意味する。もっとも危険な道を「党利党略」目的で突き進んでいる。マクロン大統領の念頭には、フランス国民とともに歩む理想図がある。文大統領には党派性しかないのだ。


     

    1106 (1)
       

    中国政府は24日朝、武漢肺炎の死者が26人となり、発症した人は800人を超えたと発表した。武漢市は23日、全市を事実上の封鎖状態にしている。中国当局は、さらに封鎖の範囲を周辺の7つの市にも広げ、感染拡大の防止を図る羽目に追い込まれている。

     

    本欄が、危惧したように感染拡大の傾向が一層、強まってきた。対策が手遅れとなっている。過去のSARSのウイルス特定で大きな功績を挙げている香港の専門家が武漢市を視察した結果、「SARSの10倍規模」と絶句している。

     

    『大紀元』(1月24日付)は、「武漢視察の香港専門家『感染規模はSARS10倍以上』現状に『無力感』」と題する記事を掲載した。

     

    感染症の権威である香港大学教授・新発伝染性疾病国家重点実験室の管軼主任は23日、中国メディア『財新網』の取材で、新型肺炎の感染規模は『重症急性呼吸器症候群(SARS)の10倍以上だ』との見解を示した。同主任は1月21〜22日まで、武漢で現地調査を行った。

     

    管氏の研究チームは過去、2002~03年にかけて発生したSARSの際、世界で初めてSARSの原因が新種のコロナウイルスだと特定した。また、チームはSARSの感染源は広東省の生鮮市場だと確定した。このように定評ある実績を持つ管氏が、武漢肺炎について下す判断は、きわめて貴重である。

     


    (1)「香港大学教授・管軼主任は、「今回の状況に恐怖を感じた」という。これまで「鳥インフルエンザ、SARSA型インフルエンザウイルスのH5N1亜型、豚コレラ」を経験した同氏は、今回の新型肺炎について、「強い無力感に襲われた」「今回の感染規模は控えめの試算でもSARS10倍以上だ」「現在、感染源は全面的に広まっている」と述べた」

     

    管軼主任は、過去の大型感染症を経験した専門家である。武漢市の防疫体制が全く不備であると指摘している。武漢肺炎は、控え目に見てもSARSの10倍以上の規模で発症しているという。対策が後手、後手に回っているのだ。

     

    (2)「管軼氏は、武漢市民の防疫意識の低さを指摘した。21日午後、武漢市内の市場を視察した同氏は、市場の悪劣な衛生状況に「非常に驚いた」と話し、市場で旧正月に使う食材を購入していた市民のうち、マスクを付けている人は「1割以下だ」という。空港でも、床が消毒されておらず、スタッフが手で体温計を持って乗客の体温を測っている。空港内に消毒液が設置されているところはわずかだ」

     

    防疫体制の不備が、感染規模を爆発的に拡大している。先進国から見れば、非常に立遅れている。

     

    (3)「管氏は、武漢市で感染は「すでに抑えられない状況になった」と判断した。この状況に対して、「現地の感染防止対策は全く強化されていない」「22日までの状況を見ると、武漢は無防備のままだ」と指摘した」。同氏は、武漢市が23日未明に市を封鎖すると発表したことについて、「感染拡大防止の黄金期を失ったため、効果はもはや楽観視できない」との見解を示した」

     

    管氏は、感染拡大防止の黄金期を失ったため、効果はもはや楽観視できないとの見解を示した。WHO(世界保健機関)は、24日未明の発表でも「様子見」を続けている。中国政府からの圧力がかかっているのだろう。


    a0960_008707_m
       

     元日産自動車のカルロス・ゴーン被告は、逃亡先のレバノンで逃げ得によって安泰か。日本の司法当局とレバノン当局間で新たな動きがあった。

     

    ゴーン被告の弁護団のうち弘中惇一郎弁護士と高野隆弁護士が弁護人を辞任したことが16日、分かった。主任だった河津博史弁護士は引き続き担当するという。弘中弁護士と髙野弁護士には「懲戒請求」が出されるなど、逃亡後の日本ではその余波が収まらない状況である。

     

    『ロイター』(1月23日付)は、「日本とレバノン、ゴーン被告の裁判巡り40日以内の合意必要=関係筋」と題する記事を掲載した。

     

    保釈中に不正に日本を出国した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告について、逃亡先のレバノンと日本の当局は日本に身柄を引き渡すか、レバノンで裁判を開くかについて約40日以内に決定する必要がある。司法筋とゴーン氏に近い関係筋が23日、明らかにした。

     

    (1)「日本とレバノンは犯罪人引き渡し協定を結んでおらず、レバノンは通常、自国民の身柄を他国に引き渡すことはしない。ゴーン被告の弁護団は、被告が国籍を持ち、深いつながりがあるレバノンで裁判を受け、潔白を証明することを望んでいる」

     

    (2)「関係筋によると、日本の当局は最近、正式な引き渡し要請のためには、どのような資料を提出する必要があるのか、明確にするようレバノン側に求めた。司法筋は「レバノン側は回答し、私たちはきょう、これを日本側に送った」と述べた。関係筋によると、この両国のやりとりは重要性が高い。ゴーン被告の裁判をどこで、どのように行うかについては、両国が

    40日以内に合意を結ぶという国際刑事警察機構(ICPO)規則上の規定が適用されるためだ

     

    (3)「ゴーン氏に近い関係筋は、日本側はレバノンに正式にゴーン被告の引き渡しを要請するか、被告の捜査資料をレバノンに送り、同国での裁判手続きに合意するかのどちらかを行う必要に迫られていると指摘した。レバノン検察当局は今月、ICPOによる逮捕手配書を受け、ゴーン被告の事情聴取を実施し、渡航禁止令を出した。日本の検察当局はこれまで、国内で裁判を開くことを引き続き求めていると明らかにしている」

     

    日本とレバノン両国は、40日以内に合意を結ぶという国際刑事警察機構(ICPO)規則が適用されるので、2月一杯にはゴーン被告を巡る措置が決まる見通しになった。

     

    『産経新聞』(1月17日付)は、「高野弁護士にも懲戒請求、ゴーン被告逃亡肯定『品位に反する』」と題する記事を掲載した。

     

    カルロス・ゴーン被告の弁護人を務めた高野隆弁護士に対し、東京都内の男性から「被告の逃走を肯定する発言をブログでしたのは重大な非行」などとして第二東京弁護士会に懲戒請求が出され、同会の綱紀委員会が調査を開始したことが17日、関係者への取材で分かった。弘中惇一郎弁護士にも東京弁護士会に懲戒請求が出され、既に調査が始まっている。

     

    (5)「高野氏はゴーン被告逃亡発覚後の4日、自身のブログで「公正な裁判は期待できない」などと日本の刑事司法制度を批判した上で「彼と同じ財力、人脈、行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとするだろうことは想像に難くない」などと発信した。関係者によると、懲戒請求書では高野氏について「被告を管理監督する立場にいながら、このような発言をすることは、あまりに無責任であり、違法行為を肯定する発言であり、助長する行為。弁護士としての品位に反する行為であるのは明白」などと指摘。高野氏が逃亡に関与した疑いもあるとして同弁護士会に調査を求めた」

     

    弘中弁護士は、「無罪請負人」とまで言われる敏腕弁護士として名を馳せている。ゴーン被告の逃亡は、そのキャリアにシミを残すであろう。ゴーン被告は、とんだ騒ぎをまき散らしものだ。


    このページのトップヘ