勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 経済ニュース時評

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    中国の習近平氏が将来、TPP(環太平洋経済連携協定)へ加入希望を持っていると発言した。先のRCEP(東アジア地域包括的経済連携)署名式での「ハプニング」である。そう、まさにハプニングである。RCEPですら、中国の目標達成はかなりの努力を必要としているからだ。中国が、現状でTPPを口にするとは理解不能である。

     

    中国は当初、RCEPの自由化率でも80%台と緩い目標を出していたほど、国内産業の未熟さに足を掬われている結果だ。その中国が、自由化率99%というハイレベルのTPPへの加入論を口にするのは、中学生が大学入試を受けるような、無謀な話である。

     

    それにも関わらず、習氏がTPP加入問題を口にしたのはなぜか。それは、ベトナムがすでにTPPの「原加盟国」であること。もう一つ、来年には台湾がTPPへの加入交渉を開始するからだ。台湾のTPP加盟は、中国にとってメンツ丸潰れである。台湾については、WHO(世界保健機関)のオブザーバー参加すら拒否する中国だ。台湾がTPPへ加入すれば、中国の立場は「形無し」となろう。本心は、阻止したいのだ。

     


    中国の王毅外相が、日韓を相次いで訪問することになった。その目的について、中国メディアが取り上げている。

     

    『レコードチャイナ』(11月24日付)は、「中国外相の日韓訪問が注目される『三つの時機』ー中国評論」と題する記事を掲載した。

     

    中国の王毅(ワン・イー)外相が今月24日から27日まで日本と韓国を訪問する。これに関連し、中国の評論家の徐立凡(シュー・リーファン)氏は、中国紙『新京報』への寄稿文で、「王氏の日韓訪問が注目される理由は三つの時機にある」と論じている。

     

    (1)「それによると、一つ目の時機は、9日前に中国、日本、韓国を含む東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定が署名されたばかりであることだ。徐氏は、「RCEP交渉は約8年を経てようやく合意した。8年計16回の交渉を続けてきた中日韓自由貿易協定(FTA)交渉も『最後の1キロ』を走り終えることができるかもしれない」と期待を寄せている」

     

    中国は、日中韓FTAの交渉促進を目指しているという。だが、RCEPの達成すら努力を要する中国が、日中韓FTAとなれば、自由化率をさらに上げる必要があろう。中国には耐えられないだろう。真の姿は、米中デカップリング進行の中で、中国が日韓に「すがりつく」という構図が浮かび上がる。

     


    (2)「二つ目の時機は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に関連するものだ。徐氏は、先ごろ開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、中国がCPTPPへの参加を「積極的に考える」と表明したことを受け、韓国大統領府も「RCEPCPTPPは相互補完的関係にある」としてCPTPPへの参加に「開放的な態度」であることを示唆したと指摘し、「CPTPP交渉の難易度は、中日韓FTAよりも高いだろう。しかし、3カ国の意見交換を妨げるものではない」とした」

     

    中国は、TPP加入問題を話題にしながら、台湾の加入を阻止したいのが本音であろう。韓国もTPPは未加入である。日本の工業製品(特に自動車)が、ドッと輸入されることに神経を払っているためである。このように、中韓のTPPに対する思いは別々で、日本への思惑は複雑である。中国は、台湾と同時にTPPに加入できるようなるまで、台湾の加入を抑えて欲しいという談判であろう。

     


    北京大学の賈慶国教授は、『日本経済新聞 電子版』(11月22日付)でTPPについて次のように語っている。

     

    「日本にとって、(中国のTPP加入問題は)試練になるだろう。断れば中国と敵対することになるからだ。かといって、簡単に受け入れるわけにもいかない。米国が絶対に同意しないからだ」

     

    この中に、中国の傲慢さが滲み出ている。中国がTTPの加入条件を満たせなければ、もともと加入は不可能である。そういう中国の条件不備を棚に上げて、日本を脅迫する言動は絶対に許すべきでない。この裏には、台湾をTPPへ加盟させて中国を阻止すれば、「ただではおかない」という暴力的な臭いである。中国は、どこまでも幼稚なのだ。

     

    (3)「三つ目の時機は、中日韓3カ国首脳会談に関連するものだ。徐氏は、「これまでに計8回開催され、今年は議長国を務める韓国が12月の開催を望んでいる。今年は日本の首相が交代したため、中国は日本側と意思疎通する必要がある。王外相は今回の訪日で菅義偉首相との初会談が実現する」とした。その上で、「王外相の日韓訪問の主題は、3カ国による首脳会談の開催および新たな経済圏の構築のための基礎固めだ。3カ国はいずれもGDPが世界トップ10に入る。自由貿易で一歩前進するという姿だけでも、外部から注目されるには十分だ」としている」

     

    中国は、日本に対して日中韓3ヶ国首脳会談を開催できるように要請するのであろう。日中韓首脳会談が開催できれば、米国へ対抗できるという「見栄」である。日韓は、米国の同盟国である。中国が、その日韓と首脳会談すれば米国へ何らかの対抗シグナルになると考えているのだろうか。現実には、なんの外交的な意味もない。米国から足元を見透かされるだけだろう。

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    台湾政権は「一つの中国」を認めず、ついに自前の潜水艦建艦に着手した。合計8隻体制を構築する。中国の香港問題に見られるように、「一国二制度」は相手を釣るための餌に過ぎず、中国政府の言葉は信用できないという決断である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(11月24日付)は、「台湾、初の『自前』潜水艦を着工、中国は猛反発」と題する記事を掲載した。

     

    台湾の総統府は24日、自前による初の潜水艦の建造を、南部の高雄市で始めたと発表した。合計8隻を建造する。2024年の完成、25年の就役を目指す。中国の軍事的圧力が強まるなか、新たな潜水艦で防衛力向上を狙う。中国は、潜水艦計画に激しく反発している。

     

    (1)「台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は同日、潜水艦の着工式に参加し「平和は国防に依存している。自前の潜水艦の着工で台湾の主権を守ろうとする我々の強い意志を世界に知らしめることができる」と述べた。建造は民間造船大手の台湾国際造船が手掛ける。ディーゼルエンジンを使った通常動力型の潜水艦となる。米国製の戦闘システムなども導入される見込み。1隻目の建造には、25年までに493億台湾ドル(約1800億円)の予算を充てた。設計・デザインは、日本の海上自衛隊の主力潜水艦で、世界有数の高性能ディーゼル潜水艦「そうりゅう型」などを参考にしているともされる」

     

    台湾政府は詳細を発表しないが、特定国へ中国からの圧力が掛るのを防ぐためとされている。これまで、台湾国内で建造するのを支援するのは日本の潜水艦建造を担当している三菱重工や川崎重工の元技術者で構成されるエンジニアチームだと言われてきた。これが、前記記事で、「世界有数の高性能ディーゼル潜水艦『そうりゅう型』などを参考にしている」と言われる背景である。

     

    今年3月、次期潜水艦建造を支援するため米国、英国、ドイツ、イタリア、日本、韓国から30人程度の技術者が台湾に入国したと報じられたのである。韓国人技術者が、何らかの形で台湾の潜水艦建造に関わっているのはほぼ間違い無いとされている。多国籍の技術者が、台湾「国産」潜水艦建造にタッチする訳である。

     

    (2)「ただ、建造の難易度は非常に高い。台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長は「6割は台湾の技術、4割は欧米などの技術輸入に頼ることになる。完成形としては、標準的な潜水艦よりも上のレベルのものになる」と指摘した。台湾は現在4隻の潜水艦を有する。ただ旧式で、早急な更新が課題だった。新鋭の潜水艦を持てば、海洋進出を強める中国に大きなけん制となるため、米国などに潜水艦の売却を求めてきた。米国はブッシュ政権(第43代)時代の01年に台湾への潜水艦の売却方針を固めた。だが、最終的には中国の激しい反発などが考慮され実現しなかった」

     

    台湾の現在の潜水艦は、「骨董品」とも称せられるほどの旧型である。そこで、これからの建造では、標準的な潜水艦よりも上のレベルのものを狙っているという。6割は、台湾の技術であり残りは欧米などの技術輸入となる。

     

    (3)「しびれを切らした台湾海軍の強い要望で、馬英九前政権時代に初めて自前による潜水艦(IDS)建造計画が浮上した。ただ、対中融和路線を敷く馬政権では結局、前進しなかった。16年に総統に就いた蔡英文・民進党政権下でIDS計画が加速。ようやく今回、着工にこぎつけた経緯がある。中国は以前から計画に激しく反発している」

     

    これまで潜水艦建造が遅れてきたのは、米国政府が中国との関係を考慮して慎重な姿勢を維持してきたからだ。それが、トランプ政権のもとでようやく「ゴーサイン」が出て建造に着手するもの。この背景には、インド太平洋構想において、台湾が地政学的に重要な位置を占めるためだ。

     

    インド太平洋構想は、日本・米国・豪州・印度が「クワッド」を結成して、中国に対峙するものだ。ここへ、台湾も一枚加えようという米国の狙いである。

     

    米インド太平洋軍のマイケル・スチュードマン情報司令官が11月22日、台湾を訪問した。ロイター通信などが報じた。台湾周辺で軍事的な圧力を続ける中国について、今後の対応などを協議するとみられる。

     

    台湾周辺では今夏以降、中国による威嚇行為が常態化している。対中強硬路線を敷く蔡英文総統や、米台の急接近に反発しているとみられる。台湾南西部の防空識別圏には連日、中国軍機が侵入を繰り返している。9月にも中国軍機が中国大陸と台湾を隔てる台湾海峡の「中間線」を越え、台湾側に侵入するなど威嚇行為を繰り返した。こういう事態を前に、米インド太平洋軍のマイケル・スチュードマン情報司令官が訪台して、高度の情報交換をしたのであろう。

     

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    米国トランプ大統領は、大統領選の敗北を認めないが、次期バイデン政権への業務引継を認めて、ようやく騒ぎが峠を見せてきた。トランプ氏への熱狂的支持者は、岩盤のように不動のものだが、多くの虚言を繰り広げて支持者をつなぎ止めてきた。

     

    文政権は、こういうトランプ大統領の動きと瓜二つという指摘が、韓国国内で広まっている。そう言われれば、文政権は現実を歪曲して噓を公然と「大統領府発表」として流してきた。雇用統計を改竄したのを始め、最低賃金の大幅引上げに伴う失業増加を絶対に認めないという突っ張りを見せているのだ。

     

    文政権支持者、このような噓を真実として受け取っている。熱狂的なフアンは、噓と受け取らないのだ。こういう面が、確かにトランプ支持者とよく似ているのである。

     


    『中央日報』(11月24日付)は、「韓国のトランピズム、危険レベルだ」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・ジョンジェ中央日報コラムニストである。

     

    トランプ米大統領は就任式の時から「過去最多の人数が集まった」(ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官)と嘘をついた。メディアが各種資料を通じて嘘を暴くと、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問は「代案的真実」という言葉まで作り出した。最初から、噓を平気でいうパターンであった。

     

    (1)「韓国政府・与党にも脱真実は他人事でない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は繰り返し「韓国の不平等は世界最高」「最低賃金引き上げの90%は効果」などの「脱真実」を話してきた。大統領を追って政権の核心にも脱真実は伝染病のように広がっている。秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官は「小説を書くつもりか」「特別活動費を(検察総長が)個人のお金のように使った」と他人を嘘つきにしてまで脱真実に率先している」

     

    文大統領は、統計データの都合のいいところだけをつまみ食いしている。これは、最も質の悪い例である。データは一見、正しいように見えるが、整合性がなければならない。文大統領の発言は、そういう整合性を失っているから、すぐにメディアに尻尾を掴まれている。こういう「噓」の例は数え切れないが、性懲りもなく続けているところを見れば、支持者には受入れられているに違いない。文支持者は「狂信的」なところがある。トランプ支持者とよく似ているのだ。

     

    (2)「トランピズムのもう一つの特徴である規範の無視も、韓国政府・与党に日常化している。月城(ウォルソン)原発1号機の捜査をめぐり政府・与党は「(大統領公約の脱原発は)統治行為であり捜査対象でない」と一斉に主張した。前任大統領の4大河川事業を繰り返し監査・捜査させた過去は完全に忘れた。ついに自分たちが作った規範までも否定し、ソウル・釜山(プサン)市長候補を擁立することにした。このような破廉恥の前に健在な規範はどこにもない」

    韓国大統領府の秘書官は、6割が「86世代」である。1960年代生まれ、1980年代に学生生活を送って、学生運動に参加した「猛者」である。学生運動の闘士であったから、やたらと「弁」だけは立つ。白を黒と言いくるめる術に長けており、それが韓国政治で「全開」している。

     

    (3)「検察総長が指揮する月城(ウォルソン)原発1号機の捜査で、政府・与党は「(大統領公約の脱原発は)統治行為であり捜査対象でない」と一斉に主張しているのだ。月城原発1号機は、経済的に黒字経営であったものを、原発を廃止するためにあえて、赤字経営に改竄して操業を止めてしまった。政府・与党は、この行為が選挙公約を実現する「統治行為」であると言い張って捜査の違法性を主張しているのだ」

     

    ここで言う「統治行為」とは何か。

     

    「国家統治の基本に関する高度な政治性」を有する国家の行為を指す。高度の政治性ある事柄に関しては、司法審査の対象から除外するという理論である。ところが、原発廃止は文氏の大統領選挙の公約としても、原発経営のデータを改竄することは「後ろめたい」ことがある結果だ。とうてい、有無を言わせず強引に執行する「統治行為」には当らない、と見るべきだろう。

     

    この国家統治論は、国家間の条約などについて当てはまるもの。民主主義国家の国際法・国家間合意に関する外交問題などに関わるような重大な事柄に関して、裁判所(司法府)よりも国民の選挙で選ばれた政府(行政府)の立場尊重を基本とするため、「司法自制の原則」といわれるのだ。ここまで書いてくればお分かりの通り、旧徴用工問題の韓国大法院判決は、司法判断が避けるべき「司法自制の原則」に行き着き間違っている。

     

    いささか理屈っぽい話になったが、韓国政府・与党の主張は穴だらけであり、徴用工問題は文政権の「負け」である。文氏は、「人権に時効はない」と大見を切ったが、「司法自制の原則」によれば、間違いである。文政権の「三百代言」は、空虚なものである。

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    混迷を続けてきた米国大統領選は、トランプ大統領が政権移行準備を命じたことで、大きな山を越えた。米国政府は23日、バイデン次期大統領に対し、政権移行の手続き開始を認める方針を伝えた。トランプ米大統領も同日、自身のツイッターに投稿し、大統領選の敗北を認めずに法廷闘争は続けるとしつつも、政権移行への協力を認める考えを示した。

     

    いよいよ、バイデン政権が世界を動かす舞台が整った。注目の国務長官には、最側近のアンソニー・ブリンケン元国務副長官が内定している。このブリンケン氏は、北朝鮮へ強硬姿勢で臨んでいることでも知られている。韓国文大統領にとっては、南北融和が最大の念願テーマであるだけに、「最悪事態」の到来である。

     


    『東亜日報』(11月24日付)は、「
    バイデン氏が政権担当時の米国務長官指名したブリンケン氏、『北朝鮮制裁解除は核廃棄が先決』主張」と題する記事を掲載した。

     

    ブリンケン氏は、同盟重視、多国間主義というバイデン氏の外交・安全保障公約の樹立を総括・指揮してきた。北朝鮮に対しては強力な制裁、中国に対しては国際協力による圧力を主張しており、今後、韓半島および北東アジア情勢に大きな影響を及ぼすものとみられる。ブリンケン氏は2016年、北朝鮮が4回目の核実験をした時、国務副長官として北朝鮮への制裁強化に深く関与したという。大統領府国家安全保障室との韓米高位級戦略会議に数回参加して韓国側と緊密に協議し、訪韓の際、韓国の文化や料理にも大きな関心を示したという。

    (1)「ブリンケン氏は今年9月、米CBS放送とのインタビューで、世界での米国の役割を「リーダーシップ、協力、民主主義」と規定した。当時、強力な経済制裁を通じて核開発計画放棄の約束を取りつけたイラン核合意方式を北朝鮮にも適用すべきだとし、「韓国、日本などの同盟と緊密に協力し、北朝鮮に経済圧力を加えるために中国に迫らなければならない」と強調した。北朝鮮の最大貿易国である中国が北朝鮮の金脈にならないよう遮断し、国際査察を通じて北朝鮮の核物質の濃縮および再処理施設を凍結し、一部の核弾頭とミサイルを廃棄すれば、これに応じて制裁の一部を解除するという意味だ」

     

    ブリンケン氏は、外交一家の生まれである。父親のドナルド氏(1925~97)はビル・クリントン政権で駐ハンガリー大使、伯父のアラン氏もクリントン政権で駐ベルギー大使を務めた。本人は、オバマ前政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)(2013~15年)、国務副長官(15~17年)を歴任し、当時副大統領だったバイデン氏と歩調を合わせた。妻のエバン・ライオン氏も、オバマ政権では国務省教育文化局で勤務した外交官カップルだ。このような環境から見て、米国外交の本道を歩むと見られる。



    北朝鮮問題では、厳しい経済制裁を科す姿勢に変わりはない。文大統領の「南北融和策」など、入り込
    む余地はない。文氏が何か提案すれば、たちどころに反論されることになりそうだ。トランプ政権よりも厳しくなろう。

     

    (2)「同盟との関係改善には積極的だ。今年7月のインタビューでは、トランプ政権の在独米軍縮小決定を批判し、バイデン氏が当選すれば縮小計画を見直すと明らかにした。特に、イラク・アフガニスタン派兵など米軍の対外的役割が必要で、「米国が出なければ問題がさらに大きくなる」と考えていると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどが伝えた」

     

    トランプ政権では、ドイツの反米的姿勢に業を煮やして、駐独米軍を一部撤退させた。ブリンケン氏は、そういう感情論的な決断でなく、理詰めの対応をする。同盟重視となれば、日韓関係の冷却化は、最初に目にとまるケースであろう。日韓慰安婦合意の破棄や旧徴用工問題など、歴史問題でギクシャクしている現状に、鋭いメスが入るだろう。韓国は、それを最も恐れており、日本へ融和を呼びかけて糊塗しようとしている。

     

    (3)「ブリンケン氏が国務長官になれば、バイデン氏が公言した世界保健機関(WHO)への復帰、温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」への復帰、イラン核合意への復帰など外交安保懸案から主導していくものとみられる。ブリンケン氏はすでに、バイデン氏と海外首脳との電話会談の日程を組み、議論内容をまとめるなど、事実上、国務長官に準ずる業務を遂行している」

     

    バイデン政権により世界中の外交が4年前に戻る。ただ、中朝問題は厳しい路線が継続する構図だ。これで、米国の威信を回復させ同盟国の結束によって、対中朝問題に取り組む姿勢を鮮明にするはずだ。




    テイカカズラ
       

    新型コロナウイルスワクチン開発は、国家の威信がかかる競争であった。中国は、昨年11月から秘かに人民解放軍にワクチン開発をさせていた。新型コロナウイルスが、WHOによって世界に告知される以前から、中国はワクチン開発に着手していたことになる。これは、中国が、事前に事態(新型コロナウイルス)を察知していたことを示す証拠である。

     

    中国は、ここまで抜け駆けしワクチン開発を行い、世界一という称号を手にする予定であった。それが、まんまと米国2社にその栄冠をさらわれてしまったのだ。その悔しさ、無念さを伝える記事が現れた。

     

    『人民網』(11月22日付)は、「『ワクチン有効性90%以上』が世界経済にとって意味するものとは?」と題する記事を掲載した。

     

    米国のファイザー製薬が同社の新型コロナウイルスワクチンの有効率が90%以上だと発表したのに続き、米・モデルナ社もこのほど同社のワクチン研究開発が飛躍的進展を遂げたと発表した。世界経済が泥沼に陥っている今、ワクチンは世界経済回復の希望となるのだろうか?中国新聞社が伝えた」

     


    (1)「科学界は、有効率が少なくとも75%に達する新型コロナワクチンの研究開発を目指している。また、米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のファウチ所長のこれまでの発言に従えば、「情勢が厳しいことをふまえれば、50%以上のワクチン有効性でも受け入れられる」状況だ。ワクチン有効性90%というのは、実際には業界関係者のワクチン有効性に対する予想をはるかに上回っている」

     

    ファイザーとモデルナの最終治験の結果では、有効率が95%前後という「神がかり的」な高さを示した。これは、最先端研究である遺伝子を利用した開発によるものとされている。中国が開発中のワクチンについては、最終治験も終わっておらず詳細情報は不明である。多分、米国2社の結果よりも劣るのであろう。

     

    (2)「しかし、90%というワクチン有効性が決して盤石ではないことに注意を向けなければならない。ファイザーの説明によると、現在同ワクチンの臨床試験はまだ終了しておらず、安全性と有効性に関するデータも収集している最中だ。研究が進むにしたがって、最終的なワクチンの有効性比率は変わるかもしれない。また、ワクチンに関する一部のカギとなる情報がまだ明らかにされておらず、この点からもワクチンの最終的な有効性に疑問符が付いている」

     

    このパラグラフは、間違ったイメージを読者に伝えるものだ。ファイザーからは、最終治験が終わり、その結果が発表になっている。詳細は後で取り上げるが、ブラジルで最終治験中の中国ワクチンと比べて、後遺症は「ゼロ」同然である。

     

    (3)「ミネソタ大学感染症研究政策センターのマイケル・オスターホルム所長が言う通り、さらに多くの情報がない状況下では、現時点でワクチンがどれだけの影響を及ぼすかを予測するのは時期尚早だ。中国国際問題研究院米国研究所の蘇暁暉(スー・シャオフイ)副所長も、「ワクチンは感染症抑制のキーとなる要素だ。現時点でワクチン研究開発には重要な進展が見られるものの、最終的に必ず成功するかどうかは誰も保証できない」と指摘している」

     

    ファイザーによる最終治験の結果発表は、11月19日である。この記事は11月22日である。ここへ登場した関係者は、ファイザーの結果を知らず、当てずっぽうの非難をしている。すべて、間違っている。

     

    (4)「ワクチンはまだ最終的に研究開発されていないが、世界の株式市場は一足先に「強心剤」を打ち、相場が高騰した。中国現代国際関係研究院研究員の陳鳳英(チェン・フォンイン)氏は取材に対し、「感染症が世界経済にもたらした衝撃は巨大だ。経済の回復はそう簡単なことではなく、一定のプロセスが必要だ」と述べ、経済回復は多方面にわたるため、回復には一定の「遅延性」があると指摘した。ワクチンの大規模接種・普及には依然としてしばらく時間が必要

     

    米国2社によるワクチン開発は、遺伝子情報を使うもので、製造が短期間で大量に行われるメリットを持っているという。来年後半になれば、先進国のかなりの部分で大規模接種が可能になる。中国は、先行2社の偉業に「ケチ」をつけて、立遅れた中国企業を庇っている。見苦しい限りだ。



     
    ファイザーは11月19日、ファイザーとBioNTechCOVID-19ワクチン候補の国際共同第3相臨床試験ですべての主要な有効性評価項目を達成」と題する記事を掲載した。前記記事が、危惧している点を取り上げてその危険性がないことを示したい。

     

    1)有効性に関する主解析において、BNT162b21回目接種から28日経過した時点以降のCOVID-19の予防に95%の有効性を示した。

     

    2)有効性は年齢、性別、人種・民族で一貫しており、65歳を超える成人では94%を超える有効性が認められた。

     

    3)米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)に求めている安全性データの収集を達成した。

     

    4)4万3000人を超える参加者を組み入れ、すべての集団においてワクチンの忍容性は良好であることを示すデータが得られた。重大な安全性の懸念は認められず、グレード3の有害事象で頻度が2%を超えるものは、疲労3.8%と頭痛2.0%のみであった。

     

    5)両社は数日以内にFDAにEUAの申請を行い、世界中の規制当局にもデータを共有することを計画している。

     

    6)両社は2020年に最大5000万回分、2021年末までに最大13億回分のワクチンを世界で生産することを見込んでいる。

     

    7)ファイザーは豊富な経験、専門知識と既存のコールドチェーンのインフラを活用し、世界中にワクチンを流通できると確信している。

     

    関心が持たれている副作用については、頻度が2%を超えるものは、疲労3.8%と頭痛2.0%のみであった。この程度の副作用は仕方ないであろう。 

     

     

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