勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 経済ニュース時評

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    中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会、CBIRC)の郭樹清主席は11月30日、不動産市場が金融産業と密接につながっていることを踏まえると、不動産市場が金融リスクにおいて最大の「灰色のサイ」だと指摘した。灰色のサイは、顕著であるにもかかわらず看過されているリスクを指す。『ロイター』(11月30日付)が伝えた。

     

    習近平政権登場以来、慢性化した不動産バブルで変調が起こっている。大都市部では、空き家が増加する一方、地方ではマンション在庫が高まってきたのだ。不動産市場が金融リスクにおいて最大の「灰色のサイ」と指摘されるまでになっている背景がこれだ。

     

    前記のロイター記事で、「郭氏は、不動産市場に関連する銀行の融資が現在全体の39%を占めると述べた。多くの債券や株式、信託投資が不動産市場にエクスポージャー(注:市場の価格変動リスクに晒されている資産の度合い)があることは言うまでもないと指摘した」。銀行融資残高の39%が不動産市場向けという事実は、債券や株式にとって潜在的なリスクを自覚させている意味で、危険ゾーンに入っていることは疑いない。


     

    『日本経済新聞 電子版』(12月2日付)は、「中国マンション在庫、4年ぶり高水準 地方で販売不振」と題する記事を掲載した。

     

    中国のマンション市場で在庫が増加している。合計面積は5億平方メートルを超え、約4年ぶりの高水準だ。新型コロナウイルスの打撃がなお残る地方で販売が伸び悩んでいるためだ。地元政府が在庫圧縮のため値下げを奨励する例も出てきた。不動産バブルが生じる大都市部と二極化しており、中国政府は双方に目配りした難しい対応を迫られる。

     

    (1)「不動産シンクタンクの易居研究院によると、10月末時点で買い手がいない物件(建築中も含む)の面積は5億223平方メートル。前年同月より8%増え、2016年末以来の高水準にある。「販売の落ち込みが大きい地区では、不動産会社の値引き販売などを積極的に支持・奨励する」。黒竜江省ハルビン市は不動産の在庫を圧縮するため、今年末までの限定措置としてこんな通知を出した。開発業者への土地販売収入が貴重な税収になる地方政府が、税収減につながりかねない値下げ販売を容認するのは異例だ」

     

    10月末の在庫は、前年比で8%増である。2016年以来の高水準である。ハルビン市では、在庫圧縮目的で業者に値引き販売を認めるという異例の事態になっている。

     


    (2)「地方での販売不振が在庫増の一因だ。発売から成約までの期間をみると、ハルビン市は23カ月、包頭市が28カ月、漳州市が25カ月と、全国100都市平均(9カ月)を大幅に上回る。19月の実質国内総生産(GDP)は、中国全体でプラス成長だったが、黒竜江省や内モンゴル自治区はなおマイナス成長だ。出生数の減少や都市部への人の移動で「約6割の都市は人口流出状態にある」(中泰証券の李迅雷氏)との見方もある。易居研究院の厳躍進氏は「新型コロナが落ち着いても、地方の不動産購買力は高まっていない」と指摘する」

     

    地方での販売不振が、在庫増の一因となっている。新型コロナが落ち着いても、地方の不動産購買力は高まっていないのだ。家計負債の増加が、消費行動を抑制している。

     

    (3)「新築マンションの建設の増加も、在庫を押し上げる要因だ。5~10月の半年間に発売された物件の面積は前年同期より1割近く増えた。新型コロナからの景気回復の原動力として、マンション投資が膨らんだためだ。中国人民銀行(中央銀行)などが不動産会社に適用する資金調達規制も、短期的に供給を増やす要因になっている。規制は例えば、資産に対する負債の比率が70%を超えたりした場合、金融機関などによる融資を実質制限する。21年からの全面施行を前に、不動産会社は取得済みの土地に新規物件を建て、少しでも在庫を処理して負債を圧縮しようと動いている」

     

    中国人民銀行は、21年から不動産会社に対する融資基準として資産負債比率70%を限度とする規制を掛ける。この規制を前に、不動産会社が駆け込みでマンション供給を増やしたことがマンション在庫を増やす結果になった。5~10月の半年間で、マンション供給高は前年比1割増となった。これも在庫増に繋がっている。

     


    (4)「在庫増の影響は、すでに地方都市を中心に販売価格に表れ始めている。中国国家統計局がまとめた主要70都市の不動産価格によると、10月に前月より下落した都市は19と、9月より11増えた。新型コロナ禍で販売が極度に落ち込んだ3月の22以来の水準に高まった。地方とは正反対に大都市では不動産バブルの懸念が強い。10月の成約面積は広東省深圳市が9割増、上海市が8割増、広東省広州市が7割増と、それぞれ前年同月を上回った。当局が購入制限などに踏み出すほど販売は好調だが問題はその先にある。空き家の増加だ」

     

    地方では、在庫増に見舞われたが、大都市の10月の成約面積は急増している。広東省深圳市が9割増、上海市が8割増、広東省広州市が7割増である。これらは実需でなく、投機対象であった。空き家が増えているからだ。

     

    (5)「中国には空き家を調べる公式統計がないが、西南財経大学は20%を超えているとはじく。人口減少で同じく空き家が増える日本の14%を大きく上回る。富裕層がマンションの値上がり期待だけで購入した結果、誰も住んでいない物件が全体の2割を占めるとさえいわれるいびつな構図が生まれた」

     

    西南財経大学は、空き家が20%を超えていると予測する。日本の空き家率14%を大きく上回る。この投機=空き家20%超が、今後のマンション需要を減らす要因になるだろう。

     


    (6)「地方を中心に在庫が積み上がり、都市部でも空き家問題が深刻になっている。すでに開発業者は、新たな土地購入を抑制している。国際経済研究所の伊藤信悟氏は「今後、不動産開発のペースは鈍る」とみる。経済正常化の一つの原動力となったマンション開発がペースダウンすれば、中国政府が想定する21年の「V字回復」に影響が出る可能性もある」

     

    中国GDPの約3割は、不動産開発に依存している。この最大の需要項目に変調を来たせば、来年のGDP予測に狂いが生じるはず。融資残高の39%は不動産関連とされるだけに、「灰色のサイ」という指摘は間違っていないようだ。正念場を迎える。

    テイカカズラ
       

    文在寅政権が、ユン検察総長を辞任に追い込もうとする暴挙は、行政裁判所からストップが掛った。「職務執行停止命令の効果は、検察総長の職務遂行権限を完全に排除することで、事実上、解任・停職などの重い懲戒処分と同じ効果をもたらす」との判断が示されたのだ。弁護士出身の大統領と判事出身の法務部長官が、こういう行政裁判所の判断を下されたことは、面目丸潰れであろう。顔から火が出るほどの恥ずかしさのはずである。

     

    文政権は、明らかに窮地に立たされた。

     

    2万人余りの会員を抱える大韓弁護士協会と参与連帯に続き、全国の法学部教授約2000人も「憲法と法治の毀損」だと声明を出した。裁判所もその通りの判決を出した。文在寅政権とその中心的支持層を除く人々すべてが政権に対して「法を守れ」と言っているのだ」。『朝鮮日報』(12月2日付)の社説もこう主張している。参与連帯とは、韓国進歩派を支えている市民団体の有力団体である。文政権にとっては、身内からの批判を浴びる結果になったのだ。

     

    『朝鮮日報』(12月2日付)は、「文在寅政権の尹錫悦検察総長集団暴行全体が国政介入だ」と題する社説を掲載した。

     

    ソウル行政裁判所が12月1日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長(日本の検事総長に相当)が申し立てた職務排除命令執行停止要求を受け入れ、同総長の職務復帰決定を下した。

     

    (1)「裁判所は、職務排除が「検察の中立性保障のため総長の任期を2年と定めた法律の趣旨を無視するもの」と説明した。事実上、尹錫悦総長の職務排除は違法だと見なしたのだ。主に外部の人物たちから構成されている法務部監察委員会も同日、緊急会議を開いて、「尹錫悦総長に対する懲戒請求と職務停止、捜査依頼は不適正」「重大な手続き上の欠陥がある」と議決した。尹錫悦総長に対する監察・懲戒などはすべて取り消さなければならないという意味だ」

     

    行政裁判所は今回の件について、検察の中立性保障のため総長の任期を2年と定めた法律の趣旨を無視するものと断じた。法務部監察委員会も同日、懲戒請求と職務停止、捜査依頼は不適正であり、重大な手続き上の欠陥があると議決している。秋法務部長官は完敗である。黙認した文大統領も同様に敗北を喫したのである。

     


    (2)「事実、文在寅(ムン・ジェイン)政権の尹錫悦総長に対する監察・捜査過程は無法地帯と言っていい。6つの「不正」というが、実際の根拠は一つもない。与党系の人々が詐欺師とぐるになって尹錫悦総長を不正に追いやった。「退任後、国民に奉仕する方法を考えたい」という尹錫悦総長の言葉を「政治的中立違反」だと言い、大統領選挙世論調査1位になったことすら不正だと言った。公判の参考にしようと、インターネット上に公開されている資料を集めたことを「裁判官視察」だとも言った」

     

    法務部監察委員会が、重大な手続き上の欠陥と指摘した事柄が、このパラグラフで指摘されている。法務部長官が上げた「6つの不正」は、すべてでっち上げである。インターネット上に公開されている資料を集めたことを「裁判官視察」と非難した。政権支持メディアの『ハンギョレ新聞』は、この点を大きく取り上げて騒ぐ記事を流していた。いま、行政裁判所と法務部監察委員会の指摘が公開されて、大恥をかいたはずである。

     

    (3)「具体的な嫌疑があって初めて家宅捜索をするものだが、逆に嫌疑を見つけようと家宅捜索をした。この家宅捜索は総長の権限代行に報告されたことがない。捜査権もない法務部が「指揮」したという。明白な違法だ。監察責任者である法務部監察官は、尹錫悦総長に対する監察内容も知らなかったし、捜査依頼は法務部の中核幹部の決裁すら省略されたまま行われた。やはり違法だ。尹錫悦総長の監察を担当したイ・ジョンファ検事は「分析の結果、(尹錫悦総長は)罪がないという結論を下したが、この部分が報告書から削除された」と暴露した。法務部が公文書を変造したのだ」

     

    法務部内部で、ユン総長を辞任に追込むための謀略が、いかに手続き上からも違法であったかを指摘している。法務部が、長官一派だけで悪事を働いていたことが浮き彫りにされている。韓国には、こういう官僚が極めて多いのだ。月城原発を強引に停止させた政府高官もこの類いである。

     


    (4)「違法な監察に基づいて行われる懲戒委員会はおのずと違法であり、その結論は無効になるしかない。それでもとにかく尹錫悦総長を辞めさせようというのだ。尹錫悦総長の問題と関連して、全国59検察庁のすべての平(ひら)検事と検事長・高等検察庁長はもちろん、検察総長代行が「法治破壊」「検察を権力の侍女にするもの」と反発して立ち上がった。これに秋美愛長官を補佐する法務部次官と法務部課長、検事たちも加勢した。国民の多数も「尹錫悦職務停止は間違っている」と言っている」

     

    韓国で検事と名前のつく人たちは、文大統領と秋法務部長官の大学後輩以外、すべて今回の件に反対の声を上げている。それに韓国弁護士会、参与連帯、大学法学部教授という中立派まで、文政権の行動を批判するという事態だ。文政権は、明らかに追込まれている。

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    文在寅政権は、厳しい選択を迫られている。秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が、尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長に職務停止を命じた件は、秋氏の敗北となったからだ。尹氏が、執行停止申し立てをしたので、ソウル行政裁判所が1日、これを認めたもの。これにより、法務部長官による命令効力は停止し、ユン氏は職務に復帰することになった。

     

    問題は、これで一件落着でないのだ。秋法務部長官は、2日に開かれる法務部の検事懲戒委員会でユン検事総長の解任を目指している。検事懲戒委員は、秋長官がお気に入りメンバーに入れ換えており、何が何でも「ユン氏の首を取る」という感情論で突っ走っている。その結果が、韓国の政治状況に深刻な事態をもたらすことが分からないのだ。

     


    秋法務部長官へ反対する声が、検察組織全体に広がっている。全国59の地検・支庁のうち最後まで残った釜山地検西部支庁も11月30日、抗議声明を発表した。高検長9人のうち7人、地検長18人のうち15人、さらにはユン総長の家族の事件を捜査しているソウル中央地検の部長検事、法務部検察局の検事まで総長の職務停止と懲戒を取り消すよう求めた。検察の一般職も反対論側に立っている。「秋美愛師団」と呼ばれるごく少数の政権寄り検事を除く、検察全体が立ち上がった格好だ。以上は、『朝鮮日報』(11月30日付)社説)が報じた。

     

    『中央日報』(12月1日付)は、「検察総長排除と検事の集団声明」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・チョルホ中央日報コラムニストである。

     

    (1)「尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長を30年以上もそばで眺めてきた検察関係者はこのように語った。「決して退かないという尹総長の覚悟は強い」。尹総長は大検察庁(最高検察庁)報道官を通じても「違法・不当な処分に最後まで法的に対応する」と明らかにした。解任されれば退職金と被選挙権制限、公職再採用で不利益を受けるためでもない。尹総長の個人的な立場では、いま立ち止まれば27年の検事人生を不名誉で終わるという点で、これ以上退くことはできない。尹総長が信念とする法治主義が破壊されるのも受け入れられないという立場だ。たとえ解任が決定しても懲戒処分無効確認を要求する行政訴訟も辞さない構えだ

     

    文大統領は、ユン検察総長を解任する意向が強いと見られている。だが、ユン氏は懲戒処分無効確認を要求する行政訴訟に訴える可能性が強い。ソウル行政裁判所が12月1日、ユン氏に下された法務部長官による業務停止命令を却下したことで、ユン氏が法的優位に立っているのだ。ユン氏が勝訴する可能性が大きいのである。

     

    その場合、文政権敗北の受けるダメージは極めて大きい。次期大統領選は、進歩派の勝利が覚束なくなろう。文氏に、この程度の見通しすらできないのだろうか。政権の犯罪隠しで冷静さを失っているのだ。

     

    (2)「高検長-地検長-部長検事-平検事が一斉に抗議声明を出したのは初めてのことだ。類例のない集団行動だ。昨日は総長職務代行の最高検察庁次長までが秋長官に「一歩退いてほしい」と要請した。抗議声明には大検察庁の部長とソウル中央地検長および次長、東部・南部地検長など少数だけが参加しなかった。その相当数が、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の慶煕大の後輩、秋長官の漢陽大の後輩、一部の地域出身者だ。コード人事も行き着く所まで行った。一般の検事のたまった不満と怒りが出てくるしかない」

     

    法務部内で、秋長官への抗議声明に加わらなかったのは、文大統領と秋長官の出身校の後輩が主だという。法務部は、学閥単位で動いている様子が、実によく現れている。文在寅の限界が露呈した形だ。

     

    (3)「法曹界は法務部検察局の検事が立ち上がったことに特に注目している。同期のうち最高のエリートが直属関係である秋長官の一方的な措置に反発したのだ。さらに法務部企画調整室長が事件関連書類の決裁欄から抜けていて、尹総長に対する捜査依頼も柳ヒョク(リュ・ヒョク)監察官の決裁を受けていない。事実上、合法的で正常な手続きを踏まなかったということだ。これは普通のことではない

    秋法務部長官は、ユン検察総長への業務停止命令などの関連書類で、法務部決済ルートから枢要ポストの人物を外した、手続き上の欠陥が浮上している。この抜け駆け的なやり方が今後、大きな争点になろう。ユン総長の業務停止命令と解任が、法務部全体の決済ルートで出されたのでないという恣意性の問題だ。秋法務部長官による権力濫用である。

     

    (4)「ある元検察総長は、「検事の抗議声明は尹総長の勝利でなく秋長官の敗北」と診断した。声明をみると、その核心は尹総長個人に対する支持ではない。秋長官の職務停止と懲戒請求は行き過ぎた措置であるため、これを再考してほしいということに傍点が打たれている。政治的にあらかじめ解任を決めておいて、人事権・懲戒権を振りかざして無理に強行したところ、検事らの抵抗を受けたのだ。検事の間では、今後、政権が気に入らない捜査をすれば職務排除、人事不利益、懲戒の3セットを食らうという危機意識が広がるしかない」

    文政権は、大きなミソをつけた。社会派弁護士出身の大統領が、政権の利益を守るために、あえて違法を犯すという事態を招いたことだ。

     

    (5)「最悪のシナリオは懲戒委員会が解任を強行し、これを大統領が直ちに承認してしまうことだ。すでに民主党では「尹総長は大逆罪人」「懲戒でなく捜査対象」「(解任を越えて)罷免すべき」という険悪な表現も出ている。正面衝突という悪いシナリオに向かう兆候だ。最後の隠れた変数は民心だ。青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)は「世論調査に一喜一憂しない」という。しかし実際は正反対だ。重要な決断は大統領(国政)支持率が40%に迫るたびに出てきた」

     

    文氏がユン検察総長を解任すれば、世論の大きな反発を受けるだろう。その結果、政権支持率が40%割れを招く危険性が高い。文政権は危機に立つだろう。

     

    (6)「昨年10月14日に国政支持率が41%に落ちると、チョ・グク法務部長官を1カ月後に辞任させた。今年8月、不動産価格の暴騰で支持率40%に迫った時は、複数住宅所有者を中心に青瓦台首席秘書官らを交代した。今回もリアルメーターの調査(の支持率40%)が分岐点となる可能性を排除できない。国政支持率が40%を割って下落すれば、秋長官の退陣など意外なカードが出てくる可能性もある」

     

    文氏は、秋法務部長官を庇っている。だが、国政支持率低下によって、そのような「身びいき」はいつまで続けられるか。文在寅も年貢の納め時であろう。

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    中国武漢を発症地とする新型コロナウイルスによるパンデミックは、中国への信頼を大きく損ねる結果になった。豪州調査機関は昨年1月、ファーウェイの次世代通信「5G」に、バックドアが仕掛けられていることを明らかにした。これが、米国でも追認されて一挙に、ファーウェイは劣勢に立たされることになった。欧州は当初、ファーウェイ採用方針であったがパンデミックで考えを変えてしまった。こうして、5Gで独走していたファーウェイは、主要国で拒否されている。日本に次いで韓国でも、企業レベルでファーウェイ5G導入を見送った。

     

    アジアの多くの国では、中国との貿易量が多いことからあえて、異を唱えずにファーウェイ5Gを採用の方向である。だが、TPP(環太平洋経済連携協定)加盟国のベトナムとシンガポールは、ファーウェイ5Gを不採用の方針を明らかにしている。

     


    『日本経済新聞 電子版』(12月1日付)は、「ファーウェイ、東南アジアに望み、事業存続探る」と題する記事を掲載した。

     

    中国の華為技術(ファーウェイ)が東南アジアへの働きかけを強めている。高速通信規格「5G」に関連しインドネシア政府と協力することで合意した。欧米で排除の動きが強まるなか、経済面では米中と「等距離」を保つ国が多い東南アジア市場を取り込むことが事業存続の条件になりそうだ。

     

    (1)「ファーウェイはインドネシア政府との覚書に基づき、クラウドや5G関連などデジタル人材10万人の育成に乗り出す。自社の職業訓練のノウハウを活用する。インドネシア政府がこの種の覚書を交わすのは初めてだ。大統領府関係者は「ファーウェイの力を借りて人材レベルを国際水準まで引き上げたい」と話す。インドネシアの政府機関が5Gや人工知能(AI)関連の取り組みを進めるのにも協力する」

     

    インドネシアは南シナ海問題など政治面では中国と対峙しつつも、経済面では最大の貿易相手国で、関係は良好だ。自国も独立運動を抱えることから、香港やウイグル族に関する問題に口を出すこともない。5Gを巡ってはエリクソンやノキアといった北欧勢も現地で実証実験を始めているが、「ファーウェイ製品は23割安く、品質も向上している」(国営通信テレコムニカシ・インドネシアの関係者)と好評だ。

     

    (2)「東南アジアでもファーウェイに距離を置く動きはある。シンガポールでは通信大手が5Gの主要機器に採用せず、ベトナムでも政府傘下の通信最大手が5Gで排除するもようだ。それでも、欧米などに比べれば逆風は弱い。中国に友好的な国が多いアフリカではファーウェイへの抵抗感も小さいが、5Gの取り組みは遅れている」

     

    シンガポールやベトナムは、米国が将来TPPへ参加する前提で、ファーウェイを排除したと見られる。

     

    (3)「業界団体の英GSMAによると、20~25年に東南アジア10カ国で通信会社が設備投資に投じる額は660億ドル(約6兆9000億円)。北米(2820億ドル)や欧州(1810億ドル)に比べ規模は小さい。ただ、英調査会社オムディアのパスカル・レミ氏は「東南アジア市場は成長の可能性が大きい。ファーウェイにとって事業が拡大する主要な地域になる可能性がある」と指摘する」

     

    東南アジアの成長性を見込めば、将来は大きな市場になるとしても、ファーウェイはそれまで持ちこたえられるか、だ。北米と欧州の両市場で、ざっと4600億ドル(20~25年)になる。ここから排除されるファーウェイの痛手は極めて大きい。

     


    (4)「欧州では華為技術(ファーウェイ)を締め出す動きが広がっている。英政府は11月30日、ファーウェイ排除の行程表を発表した。2021年以降は同社製品の購入を認めない方針を既に示していたが、今回は購入済みの製品の取り付けも21年9月末から禁止するとした。機器を多めに買っておき、後から取り付けるのを防ぐ狙いがある。英政府は1月にはファーウェイ製品の使用を部分的に認めていた。米国の圧力や、中国による香港国家安全維持法の制定などを受け、27年までに完全に排除する方針に転換した。英議会は排除に応じない通信会社に罰金を科す法案を審議中だ」

     

    英国は、2015年頃までは「親中国」であった。一帯一路にも率先して参加したほど。それが今では、完全に逆転している。香港で中国に裏切られた(一国二制度の破棄)ショックは大きかった。EU離脱も手伝い、TPPへの参加を希望している。南シナ海へ空母を派遣するという「反中」に転じている。日本は、外交面で英国と密接になっている。

     


    (5)「欧州各国は経済的なつながりの強い中国と比較的良好な関係を保ってきたが、潮目が変わりつつある。フランスも実質的に排除する方針だ。今後の注目は、中国の広域経済圏構想「一帯一路」で協力する覚書を交わしたイタリアや、自動車販売などで依存するドイツの判断だ。両国の与党内では、排除すべきだとの声が強まっている」

     

    ドイツも、「反中」を明らかにした。南シナ海へ積極的に関与する姿勢を見せている。フランスも同様で、軍艦派遣を検討しているほどだ。イタリアもパンデミックで大きな被害を受け、反中意識が強くなっている。


    日本人は、「自虐国民」と言われている。中韓などからは、今なお戦争責任や植民地責任を問われている。すべて、法的には解決済みだが、それでも「間欠泉」のように吹き出てくる。自信喪失感に襲われるが、世界の日本を見る目は全く別である。

     

    「課題先進国」としての日本が、いかに高齢化に取り組み克服しつつあるか。世界の模範国とさえ評価する、世界の一流メディアが論陣を張っている。また、世界101ヶ国の中で、移住したい国として検索された実績から、日本はカナダに次いで2位にランクされた。米国、英国、カナダ、豪州など主要国では、日本が1位である。また、南・東南・東アジアでも日本がもっとも人気が高く1位になった。

     


    英紙『フィナンシャル・タイムズ』(11月29日付)は、「豊かな高齢ニッポン『世界のお手本に』」と題する社説を掲載した。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(FT)は先月、「日本からの教訓」のタイトルで特集記事を連載した。金融危機に対処し、その後、金融・経済の再建に取り組むなかで、日本が経験した成功と失敗には、他の先進国が学ぶべき点が多々ある。日本の経験は、豊かな高齢化社会を実現する手本と捉えるべきだ。

     

    (1)「1990年代初めの不動産バブル崩壊から30年間、日本では国内総生産(GDP)も物価もほぼ横ばいが続いた。日本の経験はしばしば「停滞」と受け止められる。しかし、これは見当違いだ。90年代のバブル崩壊後、経済全体は低成長に甘んじたが、国民一人一人の生活水準の向上という面では、他の先進諸国に見劣りしないどころか、しばしばより良い成果を上げてきた。経済の規模が伸び悩んでも、人口が減少したため、一人あたり国民所得は他国に引けを取らない。失業や貧富の格差も、欧米諸国からみればうらやましいほど低水準だ」

     

    日本経済の躓きは、バブル経済の崩壊である。不動産と株価の同時暴落という事態に直面した。ただ、製造業が健在であったことが、日本経済の骨格を守ることができた。雇用確保で大きな受け皿になったからだ。識者の中には、製造業を放棄してサービス業一本で成長すべしという「没論理」を主張する向きもいたが、製造業こそ日本経済の宝である。製造業を基盤に、新たな知的サービス業が生まれるのである。

     


    (2)「日本は他の先進国の多くと同様に人口の高齢化に直面している。出生率は世界でも最低水準にあり、人口が減少している。過剰貯蓄の構造もあり、所得の増加が内需につながらず、実際の成長率は潜在成長率を下回っている。若者は親の世代が得た機会にも恵まれず、不満を募らせている。女性と高齢者の就業促進の効果もあって、労働力人口は比較的安定しており、民間企業の投資と技術革新によって生産性も改善している」

     

    日本の合計特殊出生率は、1.42(2018年)である。世界で183位だ。日本より低い国は、ギリシャ、イタリア、韓国、台湾がある。中国は、出生データを偽造して1.63と称しているが、現実は1前後に悪化しているはず。FTが、日本を高く評価しているのは、失業率の低さであろう。日本経済が、堅実である何よりの証拠である。

     

    (3)「日本に比べると、欧米の人口動態は経済全体の成長に有利だ。勤労世帯に手厚い公的支援を提供するフランスやスウェーデンをはじめ、大方の国で日本よりも出生率が高い。移民の流入も以前から活発だ。ただ、移民も高齢化するため、流入ペースが落ちれば人口の伸びにもマイナスになる。欧米で移民排斥の動きが強まれば、日本に状況が近づく可能性がある」

     

    日本は、移民という「人口増加」の便法を生かし切れずにいる。その代わり、現役を引退した高齢者が、「健康保持」を理由に勤労に励むという他国に見られない「勤労観」が幸いしている。労働を「苦役」とするのでない。「悦び」に変える独特の勤労観が、日本経済を支えている。世界の長寿国となっている背景でもあるのだ。

     

    (4)「人口動態が大きく変わるなかで、日本が諸外国に比べても、社会の安定性を保ち、生活水準を改善してきたことは称賛に値する。最大の教訓は、人口が増えなくても、国民の物質的な豊かさを高めることができるということだ。他国が高齢化の問題に対処する際の道しるべとなるだろう。その失敗も含め、日本が来た道を検証することは、他の国にも大いに参考になる。全体に目を向ければ、「日本化」は必ずしも最悪のシナリオではなかったと分かるだろう」

     

    日本が、下線のような結果を実現できたのは、製造業の健在と前向きな勤労観の存在であろう。中国では、退職年齢引上げ(現在、男子60歳、女子55歳)引上げ案を発表したところ、国民から不満が殺到している。働きたくないという労働忌避と、退職年齢引上げによる新規雇用減少を懸念するためだ。日本とは別世界である。

     

    『ニューズウィーク』(11月30日付)は、「世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位 1位は...」と題する記事を掲載した。

     

    世界の人たちはどの国に憧れを抱き、暮らしたいと思っているのだろうか?グーグルの検索データからはじき出されたのは、カナダがもっとも人気が高く、続いて日本という結果だった。米誌フォーブスなどが伝えた。

     

    調査を行ったのは、米フィンテック・スタートアップ企業のレミトリーだ。同社によると、「海外移住するには」というフレーズが検索された回数は、2020年1月から10月の間に29%増加したという。そこで同社は、世界101カ国の月ごとの検索データをもとに、海外移住に関連したフレーズと目的地となる国を分析。各国ごとにもっとも検索された国をはじき出し、ランク付けした。

     


    (5)「移住したい国として世界でもっとも検索されたのは、カナダだった。移住先としてカナダを検索した人が多かった国は30カ国に上ったという。レミトリーは、世界平和指数で上位に入るほど安全な国であること、失業率が低いこと、移住の際にビザ取得の選択肢が多いこと、地元の人たちがフレンドリーであること、景色が美しいことなどが理由だとしている

     

    日本を検索した人が多かった国は13ヶ国である。下線を引いた条件である

    1)世界平和指数で上位に入るほど安全な国である

    2)失業率が低い

    3)移住の際にビザ取得の選択肢が多い

    4)地元の人たちがフレンドリーである

    5)景色が美しい

     

    これら5項目は、ほぼ日本に当てはまる。日本は、特に移住ビザの条件を緩和しており、高度技術者はフリーパスといってもよいほど。安倍政権下で緩和されている。

     

     


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