勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 経済ニュース時評

    a0960_006618_m
       

    先頃、日本の経産省で行われた半導体製造3素材に関する日韓実務会議は、韓国メディアによれば「倉庫会議」であった。日本の徹底した「冷淡作戦」によって、韓国はとりつく島もなく諦めたようである。そこで出てきた結論が、産業相によると化学産業育成論である。客観的に言って、韓国で成功するとは思えない。成功の基盤がないからだ。日本は鉱山を持ち、その副産物活用から始まった100年の歴史がある。韓国には鉱山がないのだ。

     

    『聯合ニュース』(7月15日付)は、「韓国産業相、根気よく依存脱却目指す、日本の輸出規制で」と題する記事を掲載した。 

     

    (1)「韓国産業通商資源部の成允模(ソン・ユンモ)長官は15日、国会の産業通商資源中小ベンチャー委員会で、日本が韓国に対する輸出規制を強化したことと関連し、「1~2年ではなく、根気よく5年、10年、20年と持続的に続けてこそわれわれが本質的な競争力を備えることができる」とし、「この機会に(他国に依存せず)しっかりと独立できる対策を作る」と話した」

     

    韓国の統計庁がまとめた製造業国内供給指数によると、今年1~3月期に韓国に輸入された中間財に占める日本製の割合は15.9%となり、統計を取り始めた2010年1~3月期の25.5%に比べ9.6ポイント下落した。これは、技術レベルの低い汎用品が、韓国国内で代替生産できるようになった結果である。技術力が必要な製品の対日依存度は、依然高いという。技術力の高い中核部門では、日本製が割高でも代替できなかったと分析されている。

     

    品質の高さが、日本製中間財の生命線である。韓国が、日本レベルに達するまでには相当の時間と資金を必要とする。日本は、川上から川下までの一貫生産体制を確立した。その強さが日本産業を支えている。「B2C」から「B2B」へシフトしただけ。「メード・イン・ジャパン」の強さは、中間財の強さとして生きている。

     


    (2)「また、「部品や素材の競争力がこれまでの20年間で量的成長を遂げたとすれば、これからは質的な転換に進まなければならない状況」とし、「本質的問題にぶつかった」と話した。その上で、「この問題を解決する方法は短期的であれ、中長期的であれ、われわれが競争力を持つしかない」と強調した。成長官は「(部品の国産化は)実際には難しくて達成するのが容易ではない。素材と部品は市場が小さいが、高い技術が要求され、これに対する蓄積や基本知識が多く必要だ」と述べた」

     

    韓国が、反日をやらない「良き隣国」であれば、日本との分業体制ができたであろう。文政権のように「反日」を売りの政権が登場すると、ぎくしゃくする。日本と韓国の国民性が違う以上、分かれた道を歩まざるを得まい。

     

     

    「日本の対韓輸出規制強化の理由が、日本企業に賠償を命じた韓国大法院(最高裁)の判決に対する対抗措置なのか、韓国が戦略物資を北朝鮮などに横流ししたからなのかはっきりしないとする指摘については、「(日本側が)一貫していない。重心を動かしている」と説明した」

     


    16
       

    韓国の文大統領が、日本へ超強気の発言に出てきた。日本のGDPに対して3割強の韓国が、どういう計算根拠か不明だが、制裁加えれば韓国よりも大きな被害が出るとのご託宣だ。文氏は、日本の半導体製造3素材の輸出規制に対する最初の談話で、「日本は韓国よりも強国だが」とへりくだった発言をしている。これが、国内で不評のため、今度は「大きい態度」に出たのだろう。文氏の胸中は大きく揺れているのだ。

     

    『朝鮮日報』(7月15日付)は、「文大統領、日本の狙いは成功しない、経済により大きな被害警告」

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、日本の輸出規制措置に対して「結局、日本経済により大きな被害が及ぶことを警告する」という立場を再度明らかにした。日本の輸出規制措置に対する3回目の警告だ。

    (1)「文大統領はこの日午後、青瓦台(チョンワデ、大統領府)で主宰した首席・補佐官会議で、「韓国経済が一段階高い成長を企図している時期に経済成長を遮ったも同然だ」と指摘して「日本は一日も早く外交的解決のための対話に出てほしい」と促した。 文大統領は日本の措置に対して「前例のない過去の問題を経済問題と連携させて両国の発展の歴史に逆行する非常に賢明でない処置」と規定した。続いて「相互依存と相互共生で半世紀間にわたって蓄積してきた韓日経済協力の枠組みを壊すものであり、韓半島(朝鮮半島)平和プロセスのための韓国政府の努力を支持して参加している国際社会の共同努力に対する不信を引き起こすものでもある」と指摘した」

    文氏は、自分の土俵で相撲取るべく日本を引き込む戦略である。日本政府は、韓国を「ホワイト国」から外すのは国内問題であって、韓国の了解を取る問題でないと釘を刺している。だから、先に行った日韓実務レベルの話合いも、1回限りで2度目はないという姿勢だ。したがって、この問題の外交折衝の余地はない。

     

    韓国は、徴用工判決を棚上げしているが、日韓対立の根本は徴用工にある。この判決が国際法違反であるから、日本は「第三国仲裁委設置」を提案している。この問題に真摯に対応すべきだ。この点の解決がなければ、一切の折衝は不可能である。

     

    (2)「あわせて輸出制限対象を韓国経済の核心競争力である半導体の材料から始めたという点に注目すると明らかにした。文大統領は「日本は韓国経済が一段階高い成長を企図している時期に韓国経済の成長を遮ったも同然だ」とし、「日本の狙いがそこにあるなら決して成功しないだろう」と警告した。 過去、韓国人は団結した力で経済危機を克服したと強調した文大統領は「日本との製造業分業体系に対する信頼を壊し、韓国企業は日本素材部品装備の依存から抜け出し、輸入先を多角化するか国産化の道を歩んでいくだろう」と明らかにした」

     

    化学基礎知識の希薄な韓国が、半導体製造の3素材をこれから国産化することは不可能である。輸入先を変えるというが、それは、ビジネスだから日韓関係が良好でも起こり得ることだ。要するに、韓国が日本へ「脅し」じみたことをすれば、日本がそれに屈すると見ている点が浅薄である。経済で言えば横綱の日本が、前頭の韓国に脅迫されて驚くことはない。

     


    (3)「 続けて、「結局、日本経済に大きな被害が及ぶだろうと警告しておく」とし、日本の今回の措置が自国の経済を縛り付ける『ブーメラン』として返ってくるだろうという強力なメッセージを伝えた。特に「今回のことを韓国経済の『禍を転じて福と為す』機会にするという政府の意志は確固たるものだ」とし「政府は外交的解決のためにすべての努力を尽くすつもりだが、一方では企業がこの状況に対して自信を持って対応していけるよう必要なすべての支援を惜しまない」と述べた」

    日韓貿易で、韓国が慢性赤字である意味を理解しているだろうか。毎年、200億ドル以上の赤字である。日本の技術属国になっている証拠だ。韓国製造業がここまで発展してきたのは、日本企業の応援があった結果である。その事実を忘れて、大変な啖呵を切ったものだ。売り言葉に買い言葉だ。「やれるものならおやりなさい」。後から、尻尾を巻いて来てはいけません。


    (4)「当初、強制徴用に対する韓国大法院の判決を輸出規制措置の理由として前面に出して以降、韓国の戦略物資の不正搬出や対北制裁違反の疑惑のためだと言葉を変えたことに対しても「これ以上の消耗的論争を行う必要がないと考える」とし「日本が疑惑を撤回する考えがないなら、韓国政府の提案通り、両国が共に国際機構の検証を受けて疑惑を解消してその結果に従えばよい」と主張した。

    日本は、 韓国を「ホワイト国」から外したい。その理屈付けでいろんな説が出た。そういう枝葉末節なことにこだわる必要はない。韓国が、いくらジタバタしても無意味である。韓国は、日本を見返すと啖呵を切っている以上、黙って、「ホワイト国」から離れるべきだ。啖呵を啖呵に終わらせることなく、立派に実らせて貰いたい。これが、日本からのエールである。

     


    111
       

    外交に素人の韓国大統領府は、学生運動でもやっている感覚で日本をこき下ろしている。言っている当人は、胸の溜飲を下げているにしても、国益上はマイナスという議論が韓国野党から出ている。内部分裂の始りであろう。

     

    『朝鮮日報』(7月15日付)は、「韓国野党、大統領府の感情的対応『国益にプラスにならず』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国大統領府(青瓦台)は連日、韓日間の過去事に言及し、強いメッセージを発して日本に対する強硬姿勢を打ち出しているが、韓国野党からは「扇動と刺激を前面に出した感情的な対応よりも、実効的な解法が必要だ」という指摘が相次いでいる。外交的な解決策を模索すべき大統領府が、反日感情と強硬闘争ムードを率先して助長しているように見えるというわけだ。このような態度は韓日間の交渉や国際世論戦でもプラスにならないとの指摘も出ている

     

    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、韓国大統領府で開かれた首席・補佐官会議で「われわれの国力は幾度の危機を乗り越えへて培ってきたものだ。われわれは今以上の困難な挑戦に打ち勝ち、今日の大韓民国になった」と述べた。大した勢いである。このくらいの元気があれば、日本から「ホワイト国」扱いを外されても大丈夫だろう。

     

    下線を引いた部分は、大統領府から発すべき言葉ではない。学生運動家上がりだから、すぐにメガホンを取ってがなり立てたくなるのだろう。現状は、学生がピケを張ってマイク片手にしている光景だ。

     

    (2)「韓国与党の幹部関係者は、「日本は韓国がいかなる対応を取るにせよ、今回の事態を長期化させるとみられる」として「日本がすぐには対話に応じない以上、交渉自体よりもその他に対する備えが必要だ」と話した。大統領府の関係者らが最近、日本に向けて、過去事に言及しつつ発言の強度を高めているのも、こうした戦略的判断が働いているというわけだ。共に民主党の関係者は「日本がすぐに交渉に応じる意思がないのなら、まず韓国国内で力を結集し、声を一つにして対外的に世論戦を展開する必要がある、というのが韓国政府・与党の考えだ」と説明した」

     

    日本政府は、韓国大統領府の反日活動に関わらず、予定通り韓国の「ホワイト国」外しを決定する意向である。となれば、対日強硬論をやればやるほど、国内分裂が助長される。

     

    (3)「韓国最大野党「自由韓国党」の黄教安(ファン・ギョアン)代表は、「韓国政府が反日感情を国内政治に利用し、国論の分裂や反射利益を狙っているのであれば、野党第一党として黙ってはいられない」と述べた。同党のナ・ギョンウォン院内代表は「李舜臣将軍が12隻の船を率いて立ち向かったのは無能な宣祖のせいだったが、文大統領は無能な宣祖の道を歩むべきではない」と述べた。さらに「韓国政府・与党の日本対応からは国益を見いだすのが困難で、読み取れるのは扇動と刺激だ」と指摘した」

     

    文大統領は、日本が徴用工問題を政治的に利用していると批判してきた。韓国こそ、日本批判を行い、来年4月の総選挙は、反日ムードに乗って与党有利の選挙戦を戦おうとしている。国益問題の視点を飛び越え「ホワイト国」問題が、政争の具にされようとしているのだ。韓国では世論統一できない象徴的な事例であろう。日本では、結束して韓国問題に対応している。国民性の違いであろう。


    a0960_008405_m
       

    韓国経済界は、半導体素材問題解決に必要な措置が、WTO(世界貿易機関)提訴でなく外交交渉によるべきと主張している。この声を聞きながら、韓国政府は外交交渉に乗り出す気配も見せず籠城している。代わって飛び出て来たのが、反日感情煽りである。文政権得意のこの戦略は、逆に日本の方で「嫌韓」感情を高める危険性が高い。

     

    『朝鮮日報』(7月15日付)は、「解決策を提示せず国民の反日感情に火をつける韓国大統領府」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米国に韓日間の仲裁を要請した韓国大統領府の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長は帰国の際「1910年の国債補償運動、そして1997年のアジア通貨危機で金を集める運動を行った時のように、今こそ一つとなって(日本の報復という)危機を共に克服しなければならない」と述べた。当初期待されていた米国による仲裁について確かな回答を得ることができなかったため、「国債補償運動」という110年前の運動を持ち出しはじめたのだ」

     

    戦争で敗退する時は、最後に火を付けて追っ手が来ないようにする。現在の韓国大統領府は、まったくこれと同じ戦法に見える。外交問題に始まった日韓対立は、韓国がしかるべき対応して来たならば、ここまで先鋭化することもなかったであろう。政権の出自が「反日」であるので、日本に頭を下げさせるまで突っ張る。この強硬作戦が失敗したもの。

     

    日本が頭を下げるどころか、韓国の急所を攻め込んだ。大慌てで逃げ惑う韓国大統領府は、反日感情に火を付けて塹壕へ潜り込んでいる。

     

    (2)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は先週、全羅南道庁で「全羅南道住民は李舜臣(イ・スンシン)将軍と共にわずか12隻の船で(日本から)国を守った」と述べた。韓日間の対立を念頭に、420年前の「李舜臣将軍」に言及するとはどういうことか。韓国大統領府のチョ・グク民政主席も東学農民革命を素材とした歌「竹槍歌」についてフェイスブックで言及した。外交対立の解決策を提示するのではなく、国民の反日感情に火をつけようとしているのだ」

     

    韓国国民が、「李舜臣将軍」や「竹槍歌」で決起するだろうか。文政権支持の熱狂派は奮い立つかも知れないが、知識派・保守派は冷笑するだけだ。今回の騒ぎで、はっきりしたのは、意外と日本への同調者が多いことである。文政権の失政が招いた結果であろう。

     


    (3)「日本の報復まで招いた今の韓日対立は、強制徴用被害者への賠償判決から始まった外交問題だ。韓国政府が事前に動いて日本側と対話を重ね、解決策を見いだしていれば、今のような事態にはならなかったはずだ。ところが「三権分立」を口実に8カ月にわたり韓国政府が事態を放置した結果、問題はここまで大きくなった。政府が緻密に対応できず、半導体産業や企業に大きな被害を出させておきながら、その一方で100年前の時のように「日本と戦おう」と呼びかけているのだ」

     

    文政権は、一口で言えば「素人政治」である。大統領府秘書官の6割は、学生運動家上がりの連中である。長いこと野にいた人たちが、職を得て集まってきたにすぎない。専門官僚を極端に排斥して、「我が世の春」を楽しんできた。その夢が、「安倍号砲」で潰えそうなのだ。

     

    (4)「与党・共に民主党による「日本報復対策特別委員会」の委員長は「義兵を立ち上げるべき事案」と発言した。今の外交対立を「義兵」と「竹槍」によって解決するというのだろうか。2011年に中国と日本の間で尖閣諸島(中国名:釣魚島)領有権問題が起こった際、中国は共産党の指示で日本製品を燃やすなど感情的な対応に乗り出したが、国際社会からの支持を失ったのは中国の方だった」

     

    韓国は、不買運動を始めて「国民の怒り」と称していても、7月26日頃には4~6月期のGDPが発表になる。その時初めて、韓国経済が重大局面にあることを知り、「反文派」に鞍替えするかも知れない。それまでの、「反日不買」になるだろう。


    a0960_006602_m
       
     

    中国の4~6月期の実質GDP成長率は、前年比6.2%へ減速した。前期よりも0.2ポイントの減速である。投資と消費の2大エンジンが、景気循環における在庫循環と設備投資循環が、ともにボトムにあるという構造上の重石のほかに、米中貿易戦争の影響が加わった形である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月15日付)は、「中国成長率6.2%に減速 1992年以降で最低 46月」と題する記事を掲載した。

     

    中国国家統計局が15日発表した201946月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を除いた実質で前年同期より6.2%増えた。13月期から0.2ポイント縮小した。リーマン・ショック直後の0913月期を下回り、四半期ベースで統計を遡れる1992年以降で最低だった。長引く米国との貿易戦争が重荷となり、輸出や投資が振るわなかった。

     
    中国の成長率は19年13月期に6.%1年ぶりに減速が止まったものの、46月はまた減速傾向に戻った。成長率は19年の政府目標「66.5%」の範囲内に収まった。46月の成長率を前期比でみると1.%と19年13月(1.%)より加速した。先進国のように前期比の伸びを年率換算した成長率は6%台半ばになる。景気の実感に近い名目成長率は8.%13月(7.%)から加速した。

     

    15日はGDP以外の経済指標も公表した。数値は前年比

               1~6月    1~3月

    工業生産       6.%増    6.5%増

    固定資産投資     5.%増    6.%

    社会消費品小売総額  8.%増       .%

    家計調査の消費額実質 5.%増    5.4%増

    輸出                                  .%減    1.%

     

    下半期の回復も見通せていない。不動産の販売が低迷しており、いまは堅調な不動産投資も伸びが鈍る恐れがある。政府も財政出動を前倒ししており、下半期は息切れする恐れがある。政府は6月からインフラ投資の拡大へ地方政府の資金調達を後押ししており、投資がどれだけ伸びるかが下期の景気を左右する。

     

    以上が、日経記事の要約である。表は私が記事から抜粋して整理したもの。以下は、私のコメントである。

     

    冒頭に記したように、景気循環における在庫循環と設備投資循環が、ともにボトムにあるという構造上の重石が鮮明に出ている。工業生産と固定資産投資の増加率が減速しているからだ。このデータには金融統計がないが、社会融資総量は前年比10~11%増と圧縮されている。名目成長率8%前後に比べて、いかにも小幅な増加率である。信用不安を顕著に表しているのだ。中国経済を襲っているのは信用不安である。「影の銀行」が追い詰められている。この問題は、18日発行の「メルマガ」で取り上げる。

     


    このページのトップヘ