勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ: 経済ニュース時評

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    韓国の産業通商資源部(日本の経済産業省)長官は、素材・部品・製品で「脱日本」を強調した。過去75年間、この「脱日本」が実現できなかった背景を考えれば、そこに経済的な合理性があったからだ。市場の狭隘化、品質問題、価格問題などの点で、日本製品に依存せざるを得なかったのである。それが、反日という感情的な理由で無理矢理、韓国の国内製造に切り替えることは、リスクを伴うものだ。リカードの「比較生産費原理」を思い起こすべきだ。

     

    仮に、日本製に似通ったモノが製造できたとして、品質・価格の面で日本製に対抗できるだろうか。当然、国内需要だけでは採算が乗らないので輸出は不可欠である。その輸出では、日本製品が海外市場を抑えている以上、対抗するには大きな壁が存在する。

     

    ここまでコストをかけ、「脱日本」を実現することよりも、日韓関係改善の外交努力をする方がはるかにメリットは多い。韓国が、標榜して止まない「自由貿易」と脱日本の「国産化」は、矛楯したテーマである。感情的になっていきり立つよりも、まさに自由貿易の原則に立ち返り、得意の産業分野で技を磨く方がはるかに有効な産業政策になるはずだ。

     


    『中央日報』(2月17日付)は、「韓国産業通商資源部長官、『確実な脱日本実現する』」と題する記事を掲載した。

     

    産業通商資源部業務報告で同部の成允模(ソン・ユンモ)長官は「堅固な素材・部品・装備」を最初の推進計画として発表し、「素材・部品・装備で確実な脱日本を実現する」と話した。

    (1)「彼は、「(昨年の日本の輸出規制に対応した)協力と共生の経験を強化し、確実な脱日本を成し遂げる」と話した。日本は昨年7月に半導体・ディスプレーの核心素材である高純度フッ化水素、フッ化ポリイミド、フォトレジストの対韓輸出規制を実施した。成長官によると、日本の突然の輸出規制にも韓国企業の生産支障は1件も発生しなかった。彼は「国民、企業、政府が一致協力して成し遂げた成果」と説明した

    日本の半導体3素材に関する輸出管理手続き強化は、単なる手続きだけの問題である。輸出数量規制を目的としていなかった。だから、韓国は日本から順調に輸入が可能になっている。韓国メーカーにとって生産の支障を起こさなかったのは当然である。韓国の「国民、企業、政府が一致協力して成し遂げた成果」ではない。

     

    (2)「成長官はこの日、日本の輸出規制3品目の供給不安を完全に解消し、9分野の技術自立を成し遂げると述べた。彼は日本依存度が93.7%に達する工作機械数値制御装置を現在主要韓国企業と政府が協力して技術開発中である点を一例として言及し、「脱日本、国産化を成し遂げる」と改めて強調した」

     

    韓国は、9分野で「自給自足」体制を取るという。日本製を上回るパフォーマンスが出せるのか。日本の張り巡らしている特許群をかいくぐって製品化できても、コストや海外市場確保という難題が待っている。それが可能であろうか。これについては、悲観論が強い。韓国の国産化はなぜ進まないのか。これについては、次のような指摘がある。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2019年11月8日付)は、「韓国、半導体素材国産化に死の谷、脱・日本に壁」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「韓国の電機大手幹部は、「品質、価格、納期。すべてを満たしているのが日本だからだ」という説明は明快だ。「韓国企業もつくろうと思えば、何とかつくれる。ただ歩留まりが悪かったり、割高になったりして、採用は難しい。価格や納期も品質のうち」である」。

     

    「品質、価格、納期」は、外販製品にとって3大要件である。購入する側にとっては、前記の3要件を厳守されなければ、長期契約して安定購入するはずがない。一方、日本製品はサービス面を含めて絶対的な信頼を得ている。この日本と対抗できるだろうか。

     

    (4)「研究開発と製品化の間には『死の谷』と呼ばれる高いハードルがある。それを越えるのは難しい」。サムスン電子の尹鍾龍(ユン・ジョンヨン)元副会長は指摘する。「生産技術のプロセスづくりは日本企業に一日の長がある。短期で成果を上げようとしても、うまくいくかはわからない」

     

    研究開発できてもそれを製品化する間には、超えなければならない大きな壁がある。歩留まり、製造コスト、市場確保である。これらをクリアするには、日本製を上回る製品を提供できなければならない。後発の韓国に、それを期待するのは無理である。もし、可能であれば、すでに実現しているはずだ。それが、不可能であったからこそ日本製品を輸入してきたにちがいない。まさに、リカードによって唱えられた「比較生産費原理」が貫徹されていたのである。


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    韓国は、日本が半導体3素材の輸出手続き規制を実施して昨年7月以降、反日不買運動を行い大騒ぎした。現在の韓国は、日本の輸出手続き規制によって、何らの障害も起こらなかったと冷静になっている。日本が、輸出手続き強化を行なったものの、輸出数量を絞るような実質規制を行なわなかった結果である。日本は、公平な姿勢であったのだ。

     

    この点は、日本政府が繰り返し指摘してきたが、韓国は聞く耳を持たず、狂ったように「反日不買」に走ってきた。あれから7ヶ月が経ってようやく「無害」であることが分かりながら、なおも「輸出手続き規制」撤廃を日本に要求している。

     

    半導体3素材の輸出手続きを厳格にした理由は、軍事戦略物資に転用される危険性があるからだ。日本は、特別な友好国以外に輸出手続き規制を行なっている。手続き面で難点のある韓国を「フリー・パス」扱いする訳に行かなくなったのである。韓国は、自らに制度的不備があることを認めず、日本へ横暴な要求を突付けたもの。日本は原則的に、韓国の要求に応じる義務はない。国内手続き問題であるからだ。

     

    『中央日報』(2月17日付)は、「韓国経済副首相、『日本の不当な輸出規制具体的な被害ない』」と題する記事を掲載した。

     

    洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官が、日本の輸出規制にともなう韓国企業の具体的な被害はないと話した。

    (1)「洪楠基副首相は17日、経済関係閣僚会議兼日本輸出規制関連関係閣僚会議で、「日本の不当な輸出規制施行後、これまで韓国企業の生産支障など具体的な被害は現れていない」と評価し、「日本に具体的行動と措置を改めて強力に促す」と明らかにした」

     

    韓国副首相は、日本による半導体3素材の輸出手続き規制によって、実害がなかったことを認めている。日本政府が繰り返ししてきた「無害」であることを、ようやく今になって認めたものだ。そうなると、「No Japan」と幟を立てて騒いでいたことはどうなるのか、改めて問い直したいのである。

     

    韓国は、「無害」である輸出手続き規制への対抗手段として、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄通告をした。現在は、「破棄の一時的休止」という妙な形で、GSOMIAを継続している。だが、4月の総選挙を前に反日を煽る手段として、GSOMIA破棄問題を蒸し返した。その後、余りにも総選挙対策過ぎるという国内批判によって、立ち消え状態になっている。

     

    韓国は、日本の「輸出手続き規制」が徴用工賠償問題への対抗措置であることを周知の上だ。日本は、韓国が徴用工賠償問題を、「自国問題」として解決するように要求している。1965年の日韓基本条約で解決済みであるからだ。韓国は、日本側の姿勢が固いことから別途、韓国独自の立法措置により徴用工賠償問題を解決するべく議会で法案審議中だ。

     

    こういう経緯から言えば、韓国が立法化して徴用工賠償問題を解決すれば、日本が「輸出手続き規制」撤廃を検討する含みである。これを忘れたような顔をして、日本に対して「輸出手続き規制」撤廃や、GSOMIAの破棄だと言って空騒ぎしているのである。

     


    『聯合ニュース』(2月17日付)は、
    「韓国産業相『輸出規制の影響なし』業務報告で『脱日本』強調」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は17日、青瓦台(大統領府)で経済関連の4官庁・機関から今年の業務報告を受けた。この席で産業通商資源部の成允模(ソン・ユンモ)長官は「脱日本」を数回にわたり強調した。

    (2)「成長官は、「日本が突然、輸出規制を行ったにもかかわらず、生産に支障をきたすことは1件もなかった」とし、「経済がすなわち安全保障であるという認識を基に国民、企業、政府が一致協力して成し遂げた成果」と説明した」

     

    下線部分のように、産業通商資源部長官も日本の輸出手続き規制によって、実害は1件もなかったと強調している。韓国はこれを「手柄話」にしているが、日本政府がもともと韓国に実害を与える目的でなく、「戦略物資の管理」という手続き論を強調したに過ぎなかったのだ。それを「輸出規制」として捉え、WTO(世界貿易機関)へ提訴したこと自体、間違っていたのだ。

     

    韓国は、経済担当副首相や産業通商資源部長官までが、半導体3素材輸出手続き規制によって実損が出なかったと発言している以上、「GSOMIA破棄論」を言える立場でなくなった。反日を煽るツールが消えたのである。



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    韓国の総選挙は、4月15日である。与党にとっては景気悪化という中で迎える。起死回生策は、やっぱり「反日」以外にないという。75年前の日韓併合時代を批判して、いかなる前向きの回答が出てくるだろうか。そういう理性的な認識は、韓国では流行らないのだ。「悪いのは日本」。そう絶叫して、韓国の政治や経済が改善する訳でもない。選挙が終わって、日本へ頼み事を持ち込んでも、答えは「ノー」に決まっている。哀しいまでに理性の働かない選挙になるのだろうか。

     

    『日本経済新聞 電子版』(2月18日付)は、「韓国総選挙、親日か反日か、くすぶるGSOMIAの破棄論も」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国で4月に実施する総選挙は、与野党が互いに「親日」「反日」のレッテルを貼り、攻撃し合う展開が予想される。革新与党は日本への強硬姿勢を示して支持を得ようとする傾向が強くあり、総選挙を前に、足元の日韓対立はその傾向を助長しかねない。選挙戦で与党が苦戦を強いられれば、文在寅(ムン・ジェイン)政権は再び、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を唱える可能性さえある」

     

    「反日」で韓国経済は持つ訳でない。日本が、半導体3素材の輸出手続き規制を行なっただけで、国が潰れるほどの騒ぎを起こす国に未来があるだろうか。自信がないから空騒ぎするのだ。韓国はもう一期、進歩派政権が続けば確実に「経済破綻」の階段を上ることになろう。

     


    日本は、破綻する韓国経済を支援する義理はない。これだけ長期にわたって罵られてきた相手を助ける必要はない。日本にとって確実なメリットは、韓国で就職できない若者を日本で就職させ、労働力不足を補うことだ。そうなると、「反日」は大いに歓迎するところだ。こういう日本の「魂胆」を知って、まだ「反日」で血道を上げるのだろうか。そろそろ、その利害得失を計算すべき時期だろう。

     

    (2)「与党支持層の間には既に「総選挙は韓日戦だ」というスローガンが広がり始めた。日本が厳格化した輸出管理措置に反発する釜山の市民団体は、日本に融和的な行動をとった候補者を「親日」と呼び、落選運動をすると宣言した。韓国で親日とは、植民地時代の日本統治に協力した人物などを指す侮蔑の言葉だ。国民の反日感情を利用し、日本との協調を重視する保守層を批判する政治手法は、革新勢力の常とう手段だ。文大統領もかねて「親日清算」という言葉を多用し、保守たたきを進めてきた」

     

    大いに結構である。「親日叩き」が、韓国の未来を閉ざすことに気付かない進歩派は、間違いなく「退歩派」となろう。韓国は、あらゆる世界ランキングで上位5本の指に入る日本を、理由もなく批判することが、ブーメラン効果で自らのマイナスになって帰ってくることを知らないのだろう。韓国ドラマを見て気付くのは、日常会話に日本語が混じっていることだ。もし聞き間違いでないとすれば、次の言葉が耳に残っている。「先輩」、「約束」、「記憶」など。

     


    あと10年、「反日」は生き残れるだろうか。進歩派の欺瞞性が文政権によって、嫌と言うほど見せつけられているからだ。権力保持のためには手段を選ばない。これでもなお、与党が生き延びられるとすれば、ますます、韓国の未来はないと見る。経済政策の失敗は言うに及ばず、外交面の失敗も目を覆うほどだ。米韓関係はガタガタになっている。中国ににじり寄っているが、足元を見られており、一方通行である。

     

    (4)「外交筋によると、大統領府の一部にはGSOMIA破棄論がいまだ存在するという。韓国政府は昨年11月に同協定の失効を停止した際、輸出管理措置が撤回されなければ、協定延長を取り消しうると主張していた。既に3カ月近く経過したが、輸出管理で目立った進展はなく、支持層や与党内の不満は強まっている」

     

    GSOMIA破棄は、日本が「ホワイト国除外」を撤回しないことを理由にしている。だが、それと並行して、韓国は徴用工賠償問題を解決するために立法化を必要である。これが、実現しなければ、ホワイト国除外の撤回はあり得ない。半導体3素材の輸出管理手続きの強化でも、韓国側の実損はゼロと発表されている。これでは、GSOMIA破棄の理由がないのだ。

     

    (5)「保守層はこうした革新側の姿勢を「反日感情を刺激し、ポピュリズムで国民を惑わす扇動だ」(旧・自由韓国党報道官)と非難している。保守層は北朝鮮の核脅威が強まるなか、米国や日本との安全保障協力を強めるべきだとする立場で、17日に発足した未来統合党(注:保守系3党の合同)は国防分野の公約で日米韓、日韓の軍事情報交流の拡大を打ち出した」

     

    今回の保守系野党3党が、合同して「未来統合党」となる。総選挙に合せた陣営強化である。与党が、腐敗しており権力をオモチャのように扱っている。この腐敗を排除するには、正しい経済政策によって、経済を立て直すことだ。


    サンシュコ
       

    新型コロナウイルスは、中国の「遺伝子組み換え」による感染症という疑いが濃くなっているが、根絶されるのだろうか。根絶されずに、インフルエンザのような伝染病として残るリスクが高い、という見解が出始めた。こういう危険なウイルスが残存するとなれば、中国の罪は末代まで消えることはない。

     

    『ハンギョレ新聞』(2月17日付)は、「COVID-19 流行病になる可能性も、インフルエンザのように長期対応体制を」と題する記事を掲載した。

     

    国内外の多くの専門家たちが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)が季節型インフルエンザのように流行病になることもあり得ると見ている。このため、韓国政府の対応も、危険国を中心とした検疫から、市中感染に備える対策へと変化している。

     

    (1)「米国疾病予防統制センター(CDC)のロバート・レッドフィールド本部長は13(現地時間)CNNとのインタビューで、「今回のウイルスはおそらく今季、あるいは今年以降も続くだろう」とし、「結局、ウイルスが拡散し、市中感染が起きるだろうと見ている」と話した。彼は「季節性インフルエンザと同じ意味で捉えなければならないかもしれない」と述べた。COVID-19が季節性インフルエンザのように流行を続けていくという見通しだ」

     

    季節性インフルエンザとして、生き残るリスクが高まっているとい。そうなると常時、マスクと手洗いを励行する社会になりそうだ。

     


    (2)「このような懸念の根拠は、COVID-19の症状が軽微である一方、強い感染力を示しているからだ。パン・ジファン中央感染病病院運営センター長はCOVID-19の重症度がSARS(中小急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)より低いのは間違いない事実だが、患者たちがより活動的であるため、感染力を高める要因になり得る」とし、「日本でも疫学的な関係性が不明な事例が現れ、懸念が高まっている」と話した。 大韓感染学会は15日に発表した対政府勧告案で、「次の段階に起こり得る地域社会での流行は、大規模になるかもしれない」として、懸念を示した」。

     

    COVID-19の重症度が、SARSやMERSより低いのは間違いない。感染者が、初期に罹病している自覚がないので感染力を高める。この結果、地域社会での大流行が懸念されるというのだ。

     

    (3)「チョン・ウンギョン中央防疫対策本部長も「COVID-19の特性上、患者が症状を認知しにくい初期から感染力があるだけに、市中感染の危険性が共存していると見ている」とし、「特に、持病がある人や高齢者の多い医療機関を中心に感染が広がる場合に備える必要がある」と述べた。国内で発見されたCOVID-19患者らは、それほど症状が重くない人が多い。高齢者や基礎疾患を有する患者が感染した場合、症状が急速に悪化する恐れがある。キム・ホンビン盆唐ソウル大学病院教授(感染内科)は「今のように、検疫後に感染が疑われる患者を隔離し、感染が確認された患者との接触を防ぐ方式は長期戦には適していない」とし、局面の転換に応じて対応を変える必要性があると強調した」

     

    大流行を防ぐには、絶えず細心の注意で生活を送らなければならなくなる。その点で、不安を強いられることになりそうだ。

     


    (4)「イ・ジェガプ翰林大学聖心病院教授(感染内科)は「これまでは、MERSの経験に基づき、国外からの流入を阻止することに特化し、市中感染の初期感知と管理能力はまだ不十分だった」とし、「報告を行う医療機関を200カ所よりさらに増やして監視体系を構築すべきだ」と指摘した。患者の早期発見のための対策が稼動したことで、診断検査の需要も大幅に増える見通しだ。中対本は同日、診断検査件数が一日5千件に増えたと発表した。7日には3千件を消化した。今月末まで1万件に増やす予定だ」

     

    早期診断が、大流行を防ぐ上で不可欠になってきた。韓国では、診断キットが一日5000件に引上げられたが、月末までに1万件になるという。日本では、3000件体制ができたところだ。近い将来、簡単に診断できる器具の開発を期待するほかない。

     

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    世界中に災禍をもたらしている「新型コロナウイルス」の原因は、武漢市にあるウイルス研究室からの漏出であることが判明した。中国の大学教授によって論文で発表されていたが、現在はインターネット上から削除されている。教授との連絡もつかないことから、中国当局に不都合なものとして隔離されたと見られる。新型コロナウイルスについて最近、SNS上で現地の悲惨な実情を報じてきた「市民記者」が行方不明となっている。当局の言論弾圧の厳しさを示している。

     

    『中央日報』(2月17日付)は、「中国の教授、コロナ『武漢市場近くの実験室から流出』」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルス感染症(コロナ19)が中国実験室から流出した可能性を提起した論文を中国の学者が発表していた。

     

    (1)「16日、『明報』や『蘋果日報』など香港メディアによると、中国広東省広州の華南理工大学生物科学と工程学院の肖波涛教授は、今月6日にグローバル学術サイト「ResearchGate(リサーチゲート)に論文を発表した。論文は新型コロナがコウモリから中間宿主を経て人に伝染した可能性よりも、湖北省武漢の実験室2カ所から流出した可能性を提起した。肖教授は武漢ウイルス研究所よりも武漢疾病予防管理センターが震源地である可能性が高いとみられると主張した。武漢ウイルス研究所は新型コロナが集中的に検出された華南水産市場から12キロメートル程度離れているのに対し、武漢疾病対策予防管理センターはわずか280メートルの距離にあるためだ」

     

    肖波涛教授は、核心をつく事項を発表している。湖北省武漢の実験室2カ所から流出したと指摘している。武漢疾病対策予防管理センターは、震源地とされる水産市場から280メートルの至近距離にある。

     


    (2)「肖教授は実験室からの流出とみている理由について、新型コロナの天然宿主である「キクガシラコウモリ」は武漢から900キロメートル離れた雲南省・浙江省などに棲息していて、食用としては特に使われていない点を挙げた。また、武漢市政府の報告書や武漢市民の証言を総合すると、華南水産市場でこのようなコウモリは扱われていなかったという」

    下線部分のように、当局発表の「コウモリ」は水産市場で販売されていなかった。これは、当欄でもすでに指摘済みである。当局は、原因を隠蔽するために「コウモリ主犯説」をでっち上げたものだ。

     

    (3)「武漢疾病予防管理センターは2017年と2019年、実験用に多くのコウモリを捕まえた。2017年には湖北省・浙江省などで約600匹のコウモリを捕まえたが、この中には重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスを持つキクガシラコウモリも含まれていた。当時、同センターの研究員は、勤務中にコウモリに噛まれたり尿をかけられたりしたと話した。同センターはコウモリの細胞組織を分離させてDNAとRNA配列などの研究を行ったが、ここで出た汚染されたゴミがウイルスの温床になったというのが肖教授の主張だ

     

    下線のように、武漢疾病予防管理センターは遺伝子のDNAとRNA配列を行っていた。それがゴミとして漏出した可能性が肖教授によって指摘されている。本欄が、これまで報じてきた事実を重なり合っている。

     


    (4)「初期に新型コロナに感染した患者が、訪れた場所として知られている協和がん病院は、武漢疾病対策センターと通り一つを挟んだところにあったと論文は伝えた。こうした中、科学技術部の呉遠彬局長は15日、「実験室でウイルスを研究する際に安全にさらに注意を傾ける内容の指導意見を発表した」と明らかにした。現在、肖教授とは連絡が取れず、該当論文はサイトから削除された状態だ」

     

    初期に、新型コロナに感染した患者が訪れた協和がん病院は、実験を行なっていた武漢疾病対策センターと通り一つを挟んだところにある。コウモリの遺伝子配列を変えた後、ゴミとして放置されたが、それに罹患した患者が協和がん病院で受診して感染源になった。こういう推測が可能であろう。

     

    (5)「共産党の理論紙『求是』は、習近平首席が1月7日の政治局常務委員会会議でウイルス事態を予防・統制するために努力するよう指示したと16日、公開した。今回の公開で習主席が新型コロナを初期に把握していただけでなく、対処の指揮さえしていたと認めるようなもので、習主席の対応失敗責任論が強まっていると『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)は報じた」

    習近平国家主席は、1月7日に新型コロナウイルスの存在を知っていたことになる。WHO(世界保健機関)は、12月31日に事実を把握していたが、ともに初動対応に失敗したことになる。時間が経てば経つほど、事実関係がはっきりしてきたので、改めて責任の所在が明らかになろう。

     

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