勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    韓国経済は、音を立てて崩れている感じである。最低賃金の大幅引上げ(2年間で29%)と週労働52時間が、大きなブレーキになっている。現実を無視して、理想論を追いかけすぎた反動に見舞われている。昨年の実質GDPは、2.0%成長であった。名目GDP成長率は、1.2%の模様だ。この結果、GDPデフレーターはマイナス0.8%見当と見られ、これがGDP成長率を押し上げたもの。不況期特有であるGDPの「名実逆転」が起こっていた。

     

    文政権は、学生運動家上がりの集団である。北朝鮮問題になると目の色を変えるが、経済成長には無頓着である。最賃の大幅引上げと労働時間短縮を組み合わせたらどうなるか。経済が失速するということに気付かなかったのだ。この集団が、韓国経済の舵取りをしている以上、潜在成長率は低下して当然である。一言で表わせば、韓国経済は衰退過程に嵌り込んでいる。

     

    『中央日報』(1月28日付)は、「下降一途の韓国経済基礎体力、OECD推算潜在成長率 10年間で1.4%ポイント低下」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の潜在成長率が2%台中盤まで落ちたという経済協力開発機構(OECD)の分析が公表された。潜在成長率は労働力や資本のような生産要素を最大限活用して景気過熱を招かずに実現できる成長率だ。国家経済の基礎体力を示す。



    (1)「28日、OECD発表によれば、韓国の潜在成長率予想は今年2.5%だ。これまでの潜在成長率の推移を示す。

    2021年 2.4%

    2020年 2.5%

    2019年 2.7%

    2018年 2.9%

    2010年 3.9%

    2009年 3.8%

    潜在成長率が3%台から2%台に落ちるのに9年(2009~2018年)かかっているが、2%台から1%台に落ちるまでにかかる時間はこれより短くなる可能性が高い」

     

     

    潜在成長率は、生産年齢人口比率と深い関係がある。
                         生産年齢人口比率

    2014年 73.41%(ピーク)

      15年 73.36%

      16年 73.16%

      17年 72.92%

      18年 72.61%

    (資料:世界銀行)

     

    上記の生産年齢人口比率は、2014年がピークである。その後は、「人口オーナス期」に移行しているが、その低下幅は微々たるもの。一方、潜在成長率低下は大幅である。経済政策の失敗がもたらした結果と見るほかない。

     


    (2)「人口高齢化が急速に進む中、革新不振、サービス業生産性の停滞などが複合的に作用して下落ペースが速まっているとみられている。15~64歳の生産年齢人口は2017年を基点に引き続き減少していく見通しだ。韓国経済の生産性向上ペースも遅くなっている。米国の経済研究機関「コンファレンスボード」によると、韓国の全要素生産性増加率は2017年1.2%から2018年0.5%に下落した。全要素生産性は労働と資本の投入量では説明できない付加価値の増加分を意味する。生産過程での革新と関連が深い」

     

    韓国の全要素生産性増加率は、2017年1.2%から2018年0.5%に下落している。この理由は、失業率の増加と労働時間短縮がブレーキをかけたと見られる。生産量が減ったのだから、全要素生産性増加率が低下して当然であろう。

     

    韓国雇用労働部が52時間を超えて勤務していた107万人余りを調査したところ、52時間制導入で平均月収が38万8000ウォン減少していた。上限の68時間近く勤務してきた労働者にとって、時間にすると23.5%の時間短縮だが、休日手当や夜勤手当、超過勤労手当等の割増支給を考慮すると手取り収入は20%から30%減ることになるという。生活の質を高めるはずの52時間制が、経済不安を高めるのだ。

     

    (3)「実質成長率は、低下する潜在成長率にも及ばなくなっている。韓国の昨年の国内総生産(GDP)成長率は2%だ。OECD推算の潜在成長率に比べて0.7%ポイントも低い。今年、政府の成長率目標(2.4%)を達成するといっても、潜在成長率を下回っている。潜在成長率が低くなり、政府の拡張財政や韓国銀行の政策金利の利下げのような通貨政策が大きな効果をあげにくくなっているという意味だ

    低下している潜在成長率を引上げるには、構造的な脆弱性にメスを入れるほかない。労働市場の流動化である。働き方の多様性を実現することだ。労組が反対しても国民を救済する目的であれば、強硬策で突破するのも政治力である。文政権には、それができないのであろう。

     

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    人間誰でも、常に思っていることは、つい喋ってしまうものだ。文大統領は、インタビューで「去年、一番残念だったことは何かと聞かれ」、その答えが「北朝鮮」と一発回答。これが報じられるや、ネットでは「不満の声で一杯」という。一国大統領であれば、国内問題を答えるべきだったであろう。

     

    文氏にとっては、北朝鮮との間が上手くいくことが最善のことらしい。5200万国民の暮らし向きが良くなるかどうか、それは大したことではない。それよりも、南北交流の実現で、民族統一への足掛かりを固めたい。それが、最大の願いであるようだ。

     

    文氏は、学生時代から北朝鮮の「チュチェ思想」を信奉してきた。現在の大統領府秘書官は、当時の同志である。一丸となって、南北交流へ政治生命を賭ける集団だ。学生時代の意識のままであるから、「韓国経済をどうするか」などという「夢のない話「に乗るはずがない。年齢を重ねても、政治の夢は「南北統一」に昇華されているのだ。ある意味で、「おめでたい集団」である。

     


    『レコードチャイナ』(1月27日付)は、「文大統領が昨年最も残念だったことは? その答えに韓国ネットは不満」と題する記事を掲載した。

     

    韓国『MBC』(1月24日付)よると、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が昨年最も残念だったことは「ハノイでの米朝首脳会談の決裂」だと述べた。

     

    (1)「記事によると、文大統領は同日、SBSラジオ番組との電話インタビューに応じた。「昨年最も残念だった、悔いがあることは何か」との質問に「国民の暮らしがより良くならなかったことも残念だが、特に残念だったのは米朝対話がうまくいかなかったこと」「ハノイでの会談が成果なく終わったことが何よりも残念だった」と答えたという。また、「米朝対話に進展があれば、朝鮮半島の平和も南北協力も実現が早まった」「故郷と家族を恋しく思う離散家族にも希望を与えることができた」とも話した」

     

    文大統領による北朝鮮への思いは、両親が北朝鮮出身ということが大きな影響を与えているだろう。文氏が子どもの頃、両親から「故郷」北朝鮮への望郷の念を聞かされ育ったことは想像に難くない。父親は地元・農協に勤めており課長職であったという。戦前は、それなりの資産家であったに違いない。農協で課長を務めるくらいだから最低限、「中等教育」は受けている。それが、朝鮮戦争で韓国へ逃げてきた身だから、裸一貫での再出発である。韓国では随分、生活に苦労したと伝えられている。父親は商売が下手で失敗、母親が行商で生活を支えたという。その苦労が、北朝鮮への思いとなって子どもたちに話したであろう。

     

    文氏は、こういう話が「擦り込み現象」になって、何はともあれ「北朝鮮」といことに結びつくのだ。個人的な北朝鮮「望郷の念」が、南北統一論へと飛躍している。純粋な昔の思いが、他の重要項目を忘れ大統領の主要関心事になってしまったのだ。

     

    (2)「さらに、自身も2004年の南北離散家族の再会行事の際、母親を伴い叔母(母の実妹)に会ったことに言及し「人生で最高の親孝行になったのではと思う」と語りながらも、「母が元気なうちに故郷に連れていくという約束を果たせなかった」と悔いをにじませたという」

     

    下線部分は、38度線で仕切られた南北朝鮮の悲劇が、そのまま伝わってくる話だ。文氏は、この思いを背負って南北統一に賭けている。北朝鮮の専制体制を相手にして、統一が可能と見ているのだろうか。冷静な目で見れば、きわめて困難である。そのために、韓国国民の生活を犠牲にすることは絶対に許されるはずがない。文氏には、そういうバランス感覚が不足している。その意味では、真の政治家とは言い難いのだ。

     

    (3)「この記事に、韓国のネットユーザーからは、次のような批判が殺到した。

    .国民の暮らしより、北朝鮮の心配だなんて
    .国民よりも北朝鮮が優先だと自白したな

    .北朝鮮、北朝鮮って、いい加減にしてほしい

    .何があっても結局は北朝鮮か

    .最も残念なことは、前の大統領選挙だよ」

     

    ネットの批判は、正直である。韓国国民にとっては、北朝鮮よりも日々の暮しをどうするか。それが、焦点になっている。就職問題が、最も悩める問題であろう。労組や市民団体は、今や体制派である。生活の苦労はない。これら体制派は、政府が最低賃金の大幅引上げや、太陽光発電補助金で生活を保証してくれる。文政権は、打ち出の小槌である。一般国民は、こういうアンバランスな政治に嫌気が差している。文大統領は、それに気付いていないのだ。結果は、4月の総選挙にどう表れるか、だ。


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    武漢市の総人口1100万人のうち、500万人以上の人々がすでに脱出した。武漢市長が明らかにしたもの。これが、「動く病原体」として中国全土は言うに及ばず、全世界へ病原菌をばらまくことになった。発表されている感染者数と死亡者数は、病院で確認しただけである。病院で診療を受けるまでに2日も待たされている。このことから、今後の感染者数と死亡者数はどれだけ増えるか見当もつかない状況である。

     

    海外の感染症専門家は、一様に感染力の強さを指摘している。WHO(世界保健機関)は、中国発表の資料によって実態よりも軽症と見誤った可能性が指摘されている。至急、「緊急事態」という認識を発表すべきであろう。WHO事務局長は直接、中国へ赴き実態調査を迫られている。

     

    『大紀元』(1月27日付)は、「新型肺炎、米専門家『熱核反応のようなパンデミック』2月に感染者25万人と推定」と題する記事を掲載した。

     

    中国では、新型コロナウイルスによる肺炎の感染が急速に拡大している。米国の専門家は、新型肺炎は「熱核反応のようなパンデミック(世界的な感染の流行)」になる恐れがあると警告した。中国当局は27日、1月26日24時までに、30の省・市で感染者が2744人確認され、うち461人が重症者と発表した。また、死亡者が80人にのぼり、感染した疑いのある患者は5794人だという。

     

    (1)「ニュージーランド・メディア『Newshub』(1月20日付)によると、欧米の伝染病学者は、新型肺炎の基本再生産数、RO(1人の患者から何人に感染させるかを示す数値)は3.8~3.3人と推測している。さらに4人と指摘する声もある。世界保健機関(WHO)の推定値である1.4~2.5人を上回った。研究家らは、一部の感染者に明らかな症状がないことに注目し、「移動する隠れた感染者」と呼んでいる」

     

    WHO推定のRO(感染拡大率)は、1.4~3.3としている。欧米の専門家は、このWHOの推測するROが小規模として疑問視している。今回の新型ウイルスは、潜伏期間が長く、その間にも感染能力が高いことから、「移動する隠れた感染者」を生み出す危険性が高くなっている。こういう悪条件を考えれば、素人にもWHO予測が低すぎることは理解できるのだ。WHOともあろう権威ある機関が、どうしてこういうことになったのか。私は、中国政府の圧力があったと見る。春節期間に当るだけに、「緊急事態」という表現を避けたかったのであろう。

     


    (2)「『Newshub』は、米ハーバード大学の公衆衛生学教授のエリック・ファイグルーディン博士のツイッター投稿を引用した。ファイグルーディン博士は、新型コロナウイルスのRO3.8人と主張し、「熱核反応のような世界的大流行になるとした。同氏は投稿で、新型肺炎に関する研究図表を並べ、「誇張していない」「恐慌を煽っていない。私は科学者である。このウイルスは非常に恐ろしい」としたROの数値が大きいほど、まん延を防ぎにくい。ファイグルーディン博士によると、季節性インフルエンザのRO1.28人。2009年に世界的大流行になった新型インフルエンザ(H1N1)は1.48人。1918年、全世界に流行ったスペイン風邪のRO1.8人だった。同博士は、24日までに、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者は132000273000人に拡大すると推算した」

     

    (3)「米ボイス・オブ・アメリカ(VOA26日によれば、英国のランカスター大学、グラスゴー大学ウイルス研究センター、米国のフロリダ大学の伝染病学者4人が、新型肺炎のデータ分析をした後、123日、研究報告を発表した。同報告によると、新型肺炎のRO3.6人から4.0人となっている。武漢市で明らかになった症例は全体の51%に過ぎないとの見方を示した。新型コロナウイルスの伝播のスピードは、200203年にかけて広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)よりも速いとした。また、「感染の拡大が抑えられず、または伝播のスピードに変化がなければ、今後、中国の他の都市でも爆発的に感染が広がり、海外へのまん延も加速化すると予測する。将来14日間内(24日まで)の武漢での感染者は25万人を超えると推測」とした」

     

    過去のRO比較

    季節性インフルエンザ 1.28人

    2009年 世界的大流行の新型インフルエンザ(H1N1)1.48人

    1918年 全世界に流行ったスペイン風邪 1.8人

     

    武漢ウイルスRO予想比較

    WHO(今回) 1.4~3.3人

    英米4学者   3.6~4.0人

    ファイグルーディン博士 3.8人

     

    WHO予測のROが1.4~3.3人とかなりの幅を持たせている。これは、自信を持って予測できなかったことを示している。ならば、むしろ未発表の方が混乱を生まなかったであろう。WHOは、最悪事態を想定した対策を立てる役割を放棄した。

     

    (4)「英国のランカスター大学、グラスゴー大学ウイルス研究センター、米国のフロリダ大学の伝染病学者4は、感染の拡大が抑えられず、または伝播のスピードに変化がなければ、今後、中国の他の都市でも爆発的に感染が広がり、海外へのまん延も加速化すると予測する。将来14日間内(24日まで)の武漢での感染者は25万人を超えると推測」とした。報告は、湖北省政府が感染拡大防止の対策として武漢市を封鎖したことについて、効果は乏しいと指摘した。「他の突発的コロナウイルスと比べると、新型コロナウイルスのROが非常に高い。感染まん延の防止が非常に困難になるだろう」

     

    武漢市の都市封鎖の効果は乏しいとしている。全人口の半分近い500万人がすでに市を脱出しており、「移動する隠れた感染者」の危険性を負っているからだ。2月4日までに武漢の感染者は25万を超えると警鐘を鳴らしている。

     

    (5)「米ハーバード大学のファイグルーディン博士は、スペイン風邪が流行った1918年と比べて現代社会は飛行機、列車などで地域間の移動が迅速になったため、「われわれは1918年以来の大まん延に直面している」と警告した。スペイン風邪の死者は5000万人を上回ったと言われる。博士はWHOに対して、新型肺炎について早期に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に宣言すべきだとした」。

     

    スペイン風邪当時と現在では、人々の移動距離は飛躍的な伸びとなっている。ウイルス感染は、この移動距離に比例して増えると見なければならない。スペイン風邪の死者は、5000万人である。今回は厳戒体制を取るべきとしている。傾聴すべき見方だ。


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    新型ウイルスの発症地の武漢市は、春節前に500万人が脱出していたことが判明。中国全土にウイルスを拡散したと見られる。総人口1100万人とされる同市で、約5割近い人がいなくなった計算だ。

     

    SNSによって、悲惨な実態が飛び交っていた。「自衛上」の措置ではあるが、感染拡大という点で、深刻な事態が予想される。

     

    『レコードチャイナ』(1月27日付)は、「衝撃、武漢から出た人は500万人以上」と題する記事を掲載した。

     

    環球時報(1月27日付)は、新型肺炎が発生した湖北省武漢市から春節前に500万人が市外へと脱出したことに関する社説を掲載した。

    (1)「社説は、周先旺(ジョウ・シエンワン)武漢市長が26日の記者会見で「春節や新型肺炎の影響により、現在までに500万人余りが武漢を離れた」と発表したことを紹介。この情報が大きな衝撃を与えたとした上で、「武漢市が必要な緊急措置を講じず、これほど多くの人を全国各地に拡散させたことは、非常に残念な作業上の手抜かりであると指摘しなければならない」と批判した」

     

    (2)「一方で、「この500万人全員が感染から逃れるため故意に武漢を離れたわけではないと信じている。武漢は全国でも最も大学が集中した都市で、里帰りしたい学生がたくさんいたはずであり、武漢を離れた人すべてに怒りの矛先を向けることはできない」とし、現在の最重要課題はこの500万人による巨大なリスクを可能な限りコントロールすることだと論じた。そして、世論に対して「武漢を離れた市民に対して、自ら進んで現在の滞在地の関係機関に連絡し、自己隔離を積極的に行うよう宣伝を強化する必要がある」とした。また同時に「各地の社会は決して現地にいる武漢人を差別してはならない。一番避けなければいけないのは、感染地域からやってきた人たちが差別を恐れて情報を隠すことだ」と指摘している」

     

    (3)「社説は最後に、「2003年のSARS時の経験が、どんなに複雑でも社会全体を動員すれば感染はコントロールできるということを教えてくれる」とし、「決して慌てたり恐れたりすることなく断固とした態度で行動し、社会一人一人の責任感を動員すれば、新型肺炎の前に市民の意志による強固な砦ができ上がるのだ」と結んだ」

     

    SARS(2002~03年)発生時と較べて、個人情報発信力が格段に発達している現在、当局が情報管理したことの失敗が、こういう形で表れたと見られる。個人への言論弾圧が、政府への信頼を失わせて、自衛行動へ駆り立てたものだろう。


    テイカカズラ
       


    けさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    左派長期政権を企む文在寅

    司法独裁とポピュリズムで

    検察人事に介入し事件隠蔽

    仲間内論理で国家分裂危機

     

     

    文在寅政権が発足したのは、2017年5月である。発足と同時に始めたのが「積弊一掃」である。10年間にわたる保守党政権の「積弊」を一掃するというものだった。民放テレビの経営者も進歩派に変えてメディア掌握を終えた。検察が、大統領府の絡む事件を捜査する否や、検察人事の入替えを断行して、捜査継続を困難にさせた。裁判所では、昨年から「積弊一掃」に動いて保守派判事に嫌がらせをして、自主退職に追い込んでいる。

     

    左派長期政権を企む文在寅

    ここまで記せば文政権が、左派長期政権に向けた準備を始めていることは間違いない。最終的には北朝鮮と統一し米国との同盟を解除する。その暁には、中国の庇護を受けて日本と対抗することを夢見ている。韓国が、こういう危険なシナリオを持っていることは、「共に民主党」の幹部がときおり漏らす発言の中に読み取れる。

     

    今回、日韓で繰り広げられた騒動の中で明らかになったことは、大統領府の高官が見せた「反日米」の動きである。米国には「三拝九拝」しながら、昂然と「同盟の前に国益が存在する」と言って、GSOMIA(日韓軍事情報総括的管理協定)を破棄したことだ。後に破棄を一時的中止という形で「棚上げ」したが、安全保障面で米韓同盟に縛られない「自由」を持っていると言い放ったのだ。

     

    軍事同盟は、安全保障の根幹である。韓国だけの軍事力では、北朝鮮に対抗できないという前提で米韓軍事同盟が結ばれている。そういう面から言えば、GSOMIA破棄はあり得ない選択である。GSOMIAが、日米韓三ヶ国の軍事情報協力で大きな威力を発揮しているからだ。こういう常識から外れた行動を取る韓国は、文政権の本質を表わしている。

     

    それは、機が熟せば中朝と誼(よしみ)を復活させたい。日米と疎遠になりたいという願望を示している。文政権の支持基盤である労組と市民団体は、民族主義グループである。「親中朝:反日米」路線なのだ。

     

    民族主義が、左派長期政権を確立する原動力になっている。文大統領が、前記の二大支持基盤の意向を無視した政策を絶対に行なわないのは、長期の支持を得たいからだ。文政権は、最低賃金の大幅引上げが、韓国経済の成長軌道を外していることを知らないはずがない。文氏は一時、最賃大幅引上げを中止しようとしたときがある。その時、労組が大きな圧力をかけて思い止まらせた。

     

    文氏が、チョ・ゴク氏について数々の疑惑が報じられている中で、あえて法務部長官に指名した理由は何であったのか。支持基盤の意向を無視できなかったからである。疑惑の張本人が、司法のトップに座るという人事は考えられないもの。それを、あえて断行するところに左派長期政権のレールを走っている証拠と見るべきだ。

     

    司法独裁とポピュリズムで

    どうしても、左派長期政権を実現したい。それによって、南北統一を実現したい。こういう目標を実現するには最低限、二つの前提を満たさなければ不可能である。文政権による司法の独裁と、ポピュリズム(大衆の人気取り)実現である。

     

    司法の独裁は、政治腐敗が摘発されないことを意味する。政権は、司法を支配していれば安心して政治の不法工作が自由に行える。悪を冒しても法に問われないとなれば、政権は天下無敵になる。すでに、政治から中立であるべき検察と裁判所に対して、人事を敢然掌握している。

     

    ポピュリズムは、すべてを財政負担で賄うことだ。韓国は、文政権以前は健全財政を維持してきた。国債格付けで日本よりも2ランク上にある理由は、財政赤字が少ない点にある。韓国では、補正予算を組むことが政権の政策運営能力の低い証明と見られている。各政権は、できるだけ補正予算を組まない努力をしてきた。文政権は、経済政策の失敗(最賃大幅引上げ)を隠すために、すでに3年間で4回もの補正予算を組んできた。財政を湯水のようにまき散らしているのだ。(つづく)

     

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