勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    韓国では、「二人の著名人の死」に対する文政権の対照的な動きが注目されている。お一人は、ソウル市長の朴氏である。もうお一人は、朝鮮戦争で北朝鮮軍の猛攻撃を少ない兵力を率いて撃退し、韓国を北朝鮮占領から守ったペク将軍の死である。現在、ソウルでは約900メートル離れた場所に、それぞれの焼香所が設けられている。

     

    文在寅大統領は、朴氏に「大統領文在寅」と書かれた花輪を送った。ペク将軍には無反応である。この極端な例の中に、文政権が政治(朴氏)を重視し、安全保障(ペク将軍)を軽視するという思潮がはっきりと浮かんでいる。

     

    『朝鮮日報』(7月13日付)は、「ペク・ソンヨプ将軍を弔問するのは大韓民国大統領の義務だ」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「享年100歳でこの世を去った6・25戦争の英雄、ペク・ソンヨプ予備役大将に各界から弔問と哀悼の声が相次いでいる。ペク将軍がいなければ、今日われわれが享受している自由と平和と繁栄はなかったし、大韓民国そのものが存在しなかっただろう。70年前に破竹の勢いで押し寄せてきた北朝鮮軍の前で、洛東江に最後の防衛戦を敷いたペク将軍は、恐怖におののく兵士たちに「われわれが引き下がれば米軍も撤収する。私が後退したらおまえたちが私を撃て」と言って先頭に立って突撃した。ペク将軍は8000人の兵力で北朝鮮軍2万人の総攻勢を1カ月以上防ぎ、戦況をひっくり返した。奇跡のような出来事だった。ペク将軍は仁川上陸作戦成功後、米軍よりも先に平壌に入城し、14後退後のソウル奪還の際にも先頭に立った

     

    ペク将軍は、韓国を共産主義から守った英雄である。文政権は、その英雄の死に対して、国民を代表して弔意を表わすこともなく無視している。一方では、セクハラ疑惑で命を絶った朴ソウル市長に花輪を送る。余りにも落差の大きいこの行動に、文氏の人間性が現れている。文氏の人権論が、虚しく響くだけである。

     

    文大統領が、このような極端な行動に出ている背景は何か。朝鮮戦争が、北朝鮮による民族統一という「聖戦意識」で臨んでいる結果であろう。ペク将軍は奮闘せず、北朝鮮軍に敗北して貰った方が良かったという認識だ。これが、韓国大統領と与党「共に民主党」の共通の考え方と言える。

     


    (2)「この偉大な護国元老が、自ら命懸けで守り抜いた祖国から晩年に受けた仕打ちを考えると、惨憺たる思いがするどころか信じられないほどだ。左派執権勢力は彼が日帝強占期に日本軍にいた記録だけを強調し、機会があるたびにあしざまに非難し罵倒してきた。ペク将軍は日帝治下で生まれた。その世代の人たちにとって、大韓民国という国そのものが想像もできないものだった。今の観点からその時代を裁き、ペク将軍を「独立軍を討伐した親日派」と呼んでいる。ペク将軍は「当時は中共八路軍とは戦ったが、独立軍など見たこともない」と語ったにもかかわらず、その言葉は聞こうともしない」

     

    韓国進歩派は、ペク将軍が日本軍に属したという理由で排撃している。日韓併合時代に生きた朝鮮人が、日本軍に入隊するのは不可避的な選択であろう。その経験があったから、北朝鮮軍を撃退できたのだ。こういう因果関係を無視した議論は、空論である。韓国進歩派は、空論を好む。事実を無視して、「反日」という一点でペク将軍の輝かしい業績をマイナス評価する。この偏向した人々に対しては、話す言葉すら失うのだ。

     

    (3)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領はペク将軍のような人物ではなく、南侵の功績で北朝鮮で重用された人物を「韓国軍のルーツ」と呼んだ。韓国与党・共に民主党はペク将軍の死去に哀悼の声明は一言も出していないが、これはどう考えても異常だ。ソウル市長の自殺について「過は過、功は功」として美化する人間たちが、国を救ったペク将軍の「功」からは顔を背け、「過」ばかりを無理やりつくり上げ歪曲しているのだ」

     

    韓国進歩派政権が誕生して、満3年が経った。この間の行動原点は、「親中朝・反日米」である。この単純な図式で、あらゆるものを評価している。恐ろしいほどの「没理論」的な振る舞いである。ここまで日本と対決して、何の利益が得られるだろうか。日本への「甘え」は、もはや限界を超えている。

     


    (4)「韓国政府はペク将軍を12万人の6・25(朝鮮戦争)戦友が眠るソウル顕忠院に埋葬するよう求める各界の求めを無視した。「場所がない」というあり得ない理由で大田顕忠院に埋葬するという。しかも与党の一部議員らは「親日派破墓法」の成立を推進しているのだから、後になって何が起こるか分からない。左派団体からは「ペク将軍が行くべきところは顕忠院ではなく靖国神社」という言葉まで出ている。国と民族のために命をささげた英雄の安息の地である顕忠院にペク将軍が入れないのなら、一体誰が入るのか。金元鳳(キム・ウォンボン)のような人物を移葬するのだろうか。今の大韓民国を存在させた護国英雄の最後の道が、このような論争の対象になるのは恥ずかしいことだ。全ての国民を代表する公職者であり、韓国軍統帥権者である大統領がペク将軍を弔問するのは最も基本的な義務だ」

     

    韓国を共産主義から守った英雄に対して、朝鮮戦争の戦友が眠るソウル顕忠院に埋葬しないという文政権の「仕打ち」は、人間として理解し難い行動である。人間の心を持たない文政権が、韓国の民心を一つにまとめられる訳がない。文氏は、韓国大統領でなく進歩派の大統領に過ぎないのだ。

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    米国大手IT企業は、香港国家安全維持法が施行され、その去就について思案中である。社名は定かでないが、1社は香港から完全撤退の方針という。他社は、国安法でどこまで自由なビジネスが展開可能かを見極めると慎重だ。これまで、明るい展望に包まれていた香港ビジネスは一転、地獄へ突き落とされた感じだ。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(7月9日付)は、「米IT大手、国安法下の香港から撤退検討」と題する記事を掲載した。

     

    香港のインターネットを統制下に置こうと目を光らせる中国政府の大がかりな新法制定を受けて、米シリコンバレーに本社を置くIT(情報技術)企業も対応を急いでいる。少なくとも大手1社が香港からの完全撤退を検討している。

     

    中国が香港への統制を強める「香港国家安全維持法」が6月30日に制定され、香港のインターネットは事実上、「グレートファイアウオール」と呼ばれる中国の検閲システムの下に置かれ、警察はウェブを検閲する権限を得る。IT企業が利用者の個人情報の提供を拒めば、トップが逮捕される可能性も考えられる。

     


    (1)「この状況を受けて米企業であるフェイスブックやツイッター、グーグル、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ、マイクロソフト傘下のビジネスSNS(交流サイト)、リンクトインの各社は、法執行当局からのデータ提供要請に対応することを全面的に「一時停止」し、自社の法的な立場を確認するとしている」

     

    米大手IT企業は、香港当局からのデータ提供要請に対して、全面的な「一時停止」措置に止めている。だが、「一時停止」であることから、時間は限られている。間もなく、撤退か残留かを決めなければならない。すでに1社は、完全撤退を決めた。

     

    (2)「米IT企業の中では中国本土で最大規模の事業を展開するアップルは、状況を「評価中である」としか述べていない。クラウド事業を手がけるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、新法の「細部を確認している」という。西側企業は現在、どれほどの自由の余地が残されるのかを見極めなければならない。新たな体制に従うことが可能なのか、あるいは最終的に香港から去らなければならないのかという判断を下さなければならない

     

    香港当局へデータ提供したということが分かれば、その企業の信用失墜はいうまでもない。その辺の状況判断が大事だ。

     

    (3)「香港政府はIT企業に対し、ネット上の投稿やアカウントの削除、利用者の個人情報の提供を強制できるようになった。例えば、IT企業がSNS上の投稿の削除を拒んだ場合、警察はその投稿を保管する香港域内のサーバーを差し押さえることが可能だ。海外のサーバーに投稿が保管されていても、警察は香港と外の世界をつなぐインターネット接続事業者(ISP)に対し、当該サイトへの接続を遮断するよう求めることができる。英法律事務所ピンセント・メーソンズの香港駐在パートナー、ポール・ハズウェル氏は、香港企業であるISPは海外に本社を置くIT企業より要請を拒みにくいだろうと指摘する。IT大手はおそらくサーバーを香港域外に移すが、最終的に各社のサイトは遮断される可能性が高いと同氏はみている」

     

    海外に本社を置くISP(インターネット接続事業者)の方が、香港企業よりも当局の情報提供要請を拒否しやすいとみられている。だが、最終的に各社のサイトは遮断される可能性が高い。となれば、撤退という結論しか浮かばなくなろう。

     


    (4)「IT企業はすでに、香港警察から犯罪捜査のためのデータ提供を求められている。要請件数を開示している会社もある。例えばフェイスブックは2019年、提供する全サービスにおいて384件の要請を受けており、そのほぼ半数に応じた。だが、新法の下で国家安全に関わる犯罪捜査は国家機密とされる可能性があり、いかなる裁判であっても非公開となり得る。IT企業も、警察から何を求められたかを明かすことを禁じられるかもしれない

     

    下線部のように、IT企業は有無を言わせずに協力させられることになりそうだ。利用者の疑心暗鬼は、深まるばかりであろう。

     

    (5)「英系調査会社ウィー・アー・ソーシャルによると、リンクトインやツイッター、フェイスブックにとって、人口700万人余りの香港市場は世界のユーザー基盤の0.%にも満たないという。大手インターネット企業はいずれも香港にオフィスを構えているが、地域統括本社を置いているところは1社もない。IT各社は新法による影響の掌握につとめているものの、まだ香港での将来について語れる状態にはなっていない。各社とも、アジアの別の国にもオフィスを持っているが、その中でもシンガポールが人気のハイテク拠点として台頭している

     

    人口700万人余りの香港市場は、世界ユーザー基盤の0.%にも満たないという。この程度であれば、大手IT企業の営業成績にとって大きな問題でなくなる。他社が香港を引き揚げれば、追随するのは時間の問題だろう。香港に残留して、あらぬ疑惑の目で見られる方が、はるかにマイナスになるからだ。中国と関わらないビジネス展開に、魅力を感じる企業も出てくるだろう。

     

    (6)「データ提供要請への対応を「一時停止」しても、各社が新法に従わなければならないことに変わりはないと、香港の黄宇逸(ウォン・ユヤット)弁護士は指摘する。「合法的な理由ではないため(一時停止は)法的責任に対する盾にはならない。あくまで、外国企業がとった方針としかみなされない」

     

    米IT大手は現在、「一時停止」措置が可能でも有効期間があるはずだ。結局、多くのIT企業の撤退になりそうな感じだが、どうなるか。残留すれば、中国と妥協したという「黒い噂」が待ち構えるであろう。

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    世界をパンデミックの坩堝に落とし込んだ新型コロナウイルス起源が、中国出身の若き女性研究者の米国亡命で明らかにされようとしている。これまで、中国のウソ説明とWHOの初動の遅れは、意図的にされていたことが明らかにされた。

     

    『大紀元』(7月12日付)は、「香港大の女性ウイルス研究者が米に亡命、『中共ウイルスの真実を明らかに』」と題する記事を掲載した。

     

    香港大学の女性ウイルス研究者は4月、香港を脱出し、米国に亡命したことが分かった。同研究者は710日、米フォックスニュースの取材を受け、亡命は「中共ウイルス(新型コロナウイルス)の真実を明らかにするためだ」と述べた。

     

    (1)「亡命したのは中国青島出身の閻麗夢(えん れいむ)博士で、世界保健機関(WHO)のリファレンス研究施設として指定されている香港大学公共衛生学院の研究室に所属していた。同博士の話によると、昨年12月31日、上司でWHOの顧問であるレオ・プーン教授の指示を受け、中国本土で発生したSARSに類似するウイルスの研究に着手した。同日、中国疾病予防管理センターの科学者でもある友人から「家族全員が感染した事例を確認した。すでにヒトからヒトへの感染が起きている」との情報を入手した」

     

    昨年12月31日時点で、新型コロナウイルスの発症が中国で確認されていた。すでに、ヒトからヒトへの感染が起きている事実も分かっていた。

     


    (2)「この情報を複数回、プーン教授に伝えたが、「中国共産党のレッドラインを踏むな」「われわれが消される可能性がある」との警告を受けた。同じ情報を同大の著名なウイルス学者、マリク・ピーリス教授にも報告した。同教授も行動を起こさなかった。WHOのウェブサイトでは、ピーリス氏について「新型コロナウイルスによる肺炎の国際保健規則緊急委員会」の「アドバイザー」と記載されている。

     

    WHOの顧問であるレオ・プーン教授は、閻麗夢博士からの報告で新型コロナウイルスが危険であることを認識したにもかかわらず、動こうとしなかった。同じ情報を香港大の著名なウイルス学者、マリク・ピーリス教授(注:WHOアドバイザーの資格保有者)にも報告した。同教授も行動を起こさなかったのだ。これは、WHOのアドバイザー役の肩書きが無意味なことを示すほど、責任を回避していた。

     

    (3)「WHOは感染発生の早期、すでにヒトからヒトへの感染を把握していた」と亡命した閻博士は主張している。WHOは今年19日と14日、ヒトの間での感染を示す証拠はないと発表した。同博士は「WHOと中国政府が癒着しており、彼らは真実を隠すと予想していた」と述べた。4月28日、米に逃亡後、中国青島にある実家は警察の家宅捜査を受け、家族は脅迫された。香港大学はフォックスニュースに対して、彼女はすでに大学に所属していないとコメントし、ウェブサイトから同博士のページを削除した」

     

    WHOは感染発生の早期、すでにヒトからヒトへの感染を把握していた。WHOは、今年19日と14日、ヒトの間での感染を示す証拠はないと虚偽の発表をした。これは、中国の立場を慮った結果である。この段階で、WHOがヒトからヒトへの感染事実を公表していたならば、パンデミックを防止できたはずだ。

     

    亡命した閻麗夢博士は、昨年12月時点で「WHOと中国政府が癒着しており、彼らは真実を隠すと予想していた」と述べている。実に、おぞましい話である。

     

    習近平国家主席が3月2日、新型コロナウイルス感染症について「ウイルスがどこから来たかはっきり調査すべき」と語った。習主席の発言は、中国で「コロナの発現地が中国でないこともあり得る」という主張が相次ぐ中でなされたもので、ウイルス発現地論争をけしかけたものとみられる。

     

    中国は、こういう自信ありげな発言をしながら、WHOによる現地調査を受入れなかったのだ。原因が、中国にあることを自覚しているので、現地調査を拒否したのであろう。

     

    中国の専門家や国営メディアは2月から、武漢コロナに関連して「武漢が震源地ではないこともあり得る」と主張し始めた。呼吸器疾患の専門家である鐘南山・中国工程院院士(最高の科学者に与えられる称号で、中国工程院のメンバー)は、2月27日の記者会見で「(ウイルスは)中国で最初に出現したが、すなわち中国から発現したとみることはできない」と主張したほど。

     

    中国国営の『環球時報』は、「武漢コロナの発現地はまだ不確実」「(中国に)汚名を着せてはならない」という記事を掲載して発生源をカムフラージュするなど、国を挙げて責任回避の動きに出てきた。こういう「偽証工作」は、今回の亡命で完全に覆された。

     

    WHOのテドロス事務局長は7月7日、新型コロナウイルスの起源を究明するためのWHOの調査団が、今週末(注:7月11日)に中国入りすると明らかにした。WHOで緊急事態対応を統括するライアン氏は、「人への感染が最初に拡大した場所から調査を始めるのが最善だ」とし調査団が中国湖北省武漢市に入るとの見通しを示した。新型コロナウイルスが発症して満6ヶ月も経ってようやく現地調査である。WHOと中国の共同責任は重大である。

     

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    中国は、「法治国」と自称するが、それは真っ赤なウソである。法律はあってもなきが等しい国である。その実態が、香港国家安全法適用で西側諸国にも手に取るように見えて来た。中国にとっては、西側諸国の警戒心を高めるだけで益は一つもない振る舞いなのだ。

     

    『ロイター』(7月11日付)は、「香港の世論調査機関に家宅捜索、民主派予備選絡みか」と題する記事を掲載した。

     

    香港の独立系世論調査機関「香港民意研究所(POLI)」が10日夕、警察の家宅捜索を受けた。捜索は令状に基づいているが、捜索理由などは確認が取れていない。

     

    (1)「警察では、ある調査機関のパソコンがサイバー攻撃を受け、一部個人情報が流出した恐れがあるとの通報を受けたと説明。捜査は継続しており、これまでのところ逮捕者は出ていないとした。香港民意研の鍾庭輝(ロバート・チュン)主任はロイターに対し、捜索令状の根拠について警察と話し合っているとした。区諾軒元議員は、週末に行われる民主派による立法会(議会)選挙の予備選挙が絡んでいると指摘した。鍾氏は中国政府側から繰り返し調査が不正確との批判を受けている。以前は香港大学の世論調査機関に勤務していたが、昨年、独自の調査機関を立ち上げた。香港国家安全維持法(国安法)では、特定の状況で捜査令状がなくても家宅捜索を行うことが認められている」

     

    今回の家宅捜索では、警察が令状を用意しているがそれは名目にすぎない。捜査目的は、立法会(議会)選挙の予備選挙が絡んでいると見られている。民主派の進出を阻止する目的である。香港国家安全維持法(国安法)では、特定の状況で捜査令状がなくても家宅捜索を行うことが認められている。これからは、こういう法的手続き無視した捜査を行なうことが起こるのであろう。

     


    『日本経済新聞 電子版』(7月11日付)は、「
    企業、香港国安法に警戒強める『想定以上に恣意的』」と題する記事を掲載した。

     

    香港国家安全維持法の施行に伴い、企業がビジネス上のさまざまなリスクに警戒感を強めている。グローバル企業が米中の間で踏み絵を迫られたり、報道機関やインターネット関連の規制が中国本土並みの厳しさになったりする可能性がある。自由を土台としてきた香港ビジネスは転機を迎えかねない。

     

    (2)「条文や実施細則の公表により、専門家からは「想定以上に恣意的な運用が可能で、適用範囲も広いことが分かった」(みずほ総合研究所の玉井芳野氏)との声が出ている。例えば、香港国家安全法31条は「企業や団体も対象」と定め、刑事罰を受けた場合は「営業の停止または免許や営業許可証を取り消す」とする。同法違反とされれば、香港でのビジネス継続が不可能となる。さらに外国人を含め香港外の同法違反も取り締まり対象になる(38条)」

     

    香港国家安全法は、企業や団体も対象にしている。同法違反とされれば、香港でのビジネス継続が不可能となる。さらに外国人を含め香港外の同法違反も取り締まり対象になる。これで、香港金融ビジネスは不可能になる。ここまで取り締まるのは、中国経済が危機的状況に陥っている証拠だ。余裕があれば、ここまで厳格になるはずがない。

     

    (3)「香港紙『明報』は、「同法違反とされた外国人は、香港に入境した際に拘束されるかもしれない」と指摘する。カナダやオーストラリアは香港との犯罪人引き渡し条約を停止し、自国民に香港への渡航注意を呼びかけた。出国制限や通信傍受など捜査機関に大きな権限を与えるのが43条だ。同条の実施細則によると、当局は捜査令状なしの家宅捜索のほか、ネット情報の削除をプロバイダーに要求できる」

     

    カナダやオーストラリアは、香港との犯罪人引き渡し条約を停止し、自国民に香港への渡航注意を呼びかけた。これは、日本も警戒すべきであろう。国内で中国批判を行なっている者は当然、マークされている。例えば、私のような者が香港へ行けば、出国停止処分を受けかねない。中国を批判する言動をした者は、すべからく警戒すべきだ。香港が危ない国になった。

     


    (4)「国安法29条で禁じられた「外国勢力との結託」が何を指すかも企業を悩ませる。「政策遂行の妨害」のほか「香港・中国への制裁」などが処罰の対象となり、企業が米国などの制裁措置に従うと、逆に中国から香港国家安全法違反に問われる可能性が排除できない。香港の政治リスクコンサルタントのスティーブ・ビッカーズ氏は、「企業は(米中から)忠誠を示すよう求められる可能性があり、その選択にはコストが伴う」と指摘する。歴史的に中国と関係の深い英HSBCは香港国家安全法への支持を表明したものの、ポンペオ米国務長官に「中国へのこびへつらいだ」と厳しく批判された」

     

    下線部のように、米国の対中制裁措置に従った場合、中国から逆に香港国安法違反に問われる可能性も出てきた。こういう天秤を掛けられる状況では、中国市場を捨てざるを得まい。米中に「甘い顔」はできなくなった。

     

    (5)「企業のなかでも最も影響が大きいとみられているのが報道機関だ。9条は学校などと並んで「メディアの指導や監督を強化する」とし、54条は「外国メディアの管理強化」を明記した。香港ではこれまで言論の自由が保障され、報道機関は中国本土内では認められない体制批判や中国共産党の内部情報などを報じてきた」

     

    香港経由の中国情報は、これから次第に得られなくなろう。情報の壁は、「冷戦化」の特色である。中国が、米中対決で白旗を揚げるまで、「鉄のカーテン」の出現だ。グローバル経済と逆行する動きであり事実上、米中デカップリングが始まる。

     

    テイカカズラ
       


    韓国では、進歩派がすべてを牛耳る異常社会である。進歩派の行為はすべて正しく、保守派は邪悪な存在というのが、通り相場となっている。中でも、進歩派の牙城は市民運動である。そのゴッドファーザーとも言うべきソウル市長の故・朴元淳(パク・ウォンスン)氏が、自らのセクハラ行為を告発されて死を選ぶ驚天動地の事態に陥っている。

     

    進歩派は、朴市長が自ら死を選んだ理由について語ることなく、ただその死を悼み壮大な「ソウル市特別葬」を営むとの発表に、反対論が殺到している。これを見ると、韓国社会にもまだ「常識」が残っていたのかという安堵感を与える。家族だけで静かに送ってあげるのが、健全な社会のあり方であろう。

     

    『朝鮮日報』(7月11日付)は、「わずか15時間で反対請願30万、論争に火が付いた『朴元淳ソウル特別市葬』」と題する記事を掲載した。

     

    極端な選択をした故・朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の葬儀手続きを「ソウル特別市葬、5日葬」とすることに反対する青瓦台(韓国大統領府)国民請願がアップされ、わずか一日で30万人以上の同意を得た。ソウル市が10日午前9時に関連方針を発表してから、わずか15時間でのことだ。

     

    (1)「10日午前に青瓦台ホームページにアップされた「朴元淳氏の葬礼を5日葬、ソウル特別市葬とすることに反対します」というタイトルの請願は、翌11日午前0時15分現在でおよそ30万人の同意を得ていた。青瓦台(注:大統領府)の国民請願は、20万人以上が同意したら政府や青瓦台関係者などが公式答弁を行わなければならない。これに先立ちソウル市の金泰均(キム・テギュン)行政局長は10日午前9時ごろ、緊急のブリーフィングで「朴市長の葬儀はソウル特別市葬で執り行う。ソウル大学病院葬礼式場にて5日葬として執り行いたい」と発表した。ソウル特別市長が在職中に亡くなるケースは初めてで、ソウル特別市葬も初めてだ」

     

    韓国では、大統領府の国民請願という制度がある。この請願に対して20万人以上が同意すれば、大統領府は何らかの回答を迫られる。大統領府にとっては、同じ与党の有力政治家の葬儀反対論だけに、難しい対応を迫られよう。強行すれば、一層の反対論を呼び起こすからだ。

     


    (2)「青瓦台の請願掲示板に、「ソウル特別市葬として行ってはならず、静かに家族葬で執り行うべき」という請願がアップされた。請願人は「朴市長の死亡でわいせつ疑惑は捜査もされないまま終結したが、だからといってそれが潔い死であったと確信できるか」とし、「わいせつ疑惑で自殺に至った有力政治家の華麗な5日葬を、韓国国民は見守らなければならないのか」「静かに家族葬で執り行うのが適切だと思う」と主張した」

     

    国民請願に掲げられた反対論は、まさしく正論である。公務執行中の死亡事故であれば、手厚く葬儀を行なうべきだろう。だが、今回のケースは全くの逆である。職場であるソウル市の部下に当る女性へのセクハラ事件が発端である。公務とは無関係である。こういう常識論が通用しないほど、進歩派の思考形式は唯我独尊スタイルである。驚くほど非常識である。

     

    (3)「ソウル市関係者らの説明を総合すると、今回の葬儀をソウル市葬として進める根拠は、行政安全部(省に相当)が作った政府儀典便覧に出てくる「機関葬」だ。同便覧は、機関葬について「機関の長が在職中に死亡した場合や、機関業務の発展に特別な功績がある公務員が死亡したときに挙行することが一般的」と定義する。機関葬の対象には「現職の長・次官」を含めており、ソウル市長が「閣僚級」だということを考慮した-というのがソウル市側の説明だ」

     

    ソウル市側の説明は、完全な形式論である。中身を問わず、現象だけを見て判断している点に決定的な間違いがある。このソウル市特別葬に賛成したとされる家族が、先ずこれを撤回すべきである。社会から奇異な目で見られる葬儀に耐えられるだろうか。

     


    『韓国経済新聞』(7月11日付)は、「死は気の毒だが、真実を伏せるべきでない、ソウル市長の極端な選択」と題する社説を掲載した。

     

    (4)「突然の死の前で側近の心情は十分に理解できるが、省察が不足した哀悼も憂慮される。李海チャン共に民主党代表は葬儀委員長を自ら務めながらも、セクハラ疑惑に対する言及は全くなかった。党役員や与党内外の有力者も同じだった。こうした姿は被害者に対する2次加害をほう助する結果になりかねない。遺族の同意の下で公開された遺書でも朴市長は「苦痛ばかり与えてきた家族に申し訳ない」としながらも、被害者に対する言及や謝罪はなかった。被害者は朴市長の極端な選択で苦痛から抜け出すどころか、もう一つの苦痛を受けることになった」

     

    公開された遺書では、被害者への謝罪の言葉はなかった。被害者は、今回の告発が朴氏の死に繋がった点で、大きな苦痛を受ける立場だ。進歩派では、この被害者を捜し出すと広言するほど。韓国進歩派のおぞましい姿が余すところなく暴露されている。韓国女性市民団体からは、こういう被害者を公表する動きに一斉に反対している。

     

    (5)「こうした状況でソウル市が家族葬ではなく葬儀期間が5日間のソウル特別市葬を決定したのも論議を呼ぶ。在職時の死去であり当然な礼遇というが、公務中の死ではなく個人の件で自ら命を絶ったというのにソウル大病院の葬儀場のほかソウル市庁舎の前に焼香所まで設置し、市民の大規模な弔問まで受けることにも批判が出ている。2002年に出版した本にあらかじめ書いた遺言状で、朴市長は「訃報も多くの人に知らせないのがよい」として生前に素朴な葬儀を望んだ。5日葬が果たして故人のためなのかも問わざるを得ない」

     

    一連の騒ぎは、韓国民主主義の未成熟さを示している。進歩派を名乗るが、実態は単なる既得権益集団である。文政権は、こういう狭量な集団に支持されている政権だ。対日政策が行き詰まっても、何らの解決策も見出せないで時間を空費している。恐ろしく、無為無策の政権である。今回の国民請願に対して、どのような回答を寄せるか。

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