勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    16日の香港デモは、200万人が参加したと主催者が発表した。香港市民の4分の1にも当る大規模なものだった。中国派市民まで参加したというから、いかに「逃亡犯条例」改正案への危機感と反中国感情の強いかを示した。

     

    台湾は、香港からの移住者が多いことでも知られている。反中国感情の強い台湾が、香港からの移住者の受け入れ先になるのは当然であろう。台湾は、今回の香港デモへの「連帯デモ」が開催されるなど、市民の「自由を守る」意思の固さを示した。

     

    『ロイター』(6月18日付)は、「台湾は反中国の『希望の光』、香港からの移住者急増」と題する記事を掲載した。

     

    香港で暮らすユン・シウカンさん(67)にとって、元英領の当地から中国本土への犯罪容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案が決定打となった。ユンさんは荷物をまとめ、中国統治下にあるこの街を捨て、民主主義を誇りとする台湾で新たな生活を始めることにした。中国政府の支配が香港のあらゆる面に浸透し、市民の自由が失われつつあることに嫌気がさしたのだ。「自由と民主主義がなければ、牢獄に入れられたようなもの、強制収容所で暮らすようなものだ。自由がないなら、死んだ方がましだ」。香港で16日に起きた大規模抗議デモの参加者に台湾の旗を振りながら、彼女は言った。

     

    (1)「中国が「一国二制度」を侵害しているとして、この数年で台湾に移住した数千人の香港住人の列に、ユンさんも加わることになる。中国は、いつか台湾にも同制度を導入することを目指している。中国は、自治を守る台湾を自国の一部とみなしており、支配を回復するための武力行使を排除していない。自らへの「一国二制度」適用に圧倒的な抵抗を示している台湾は、香港支持を明確にしている。中国からの圧力がエスカレートする中でも台湾は断固とした姿勢を維持しており、中国側からの「再統合」の呼びかけに強く反発する人が多い」

     

    台湾は、中国人意識がなく自らを「台湾人」と言うほど。これだけ、「反中」感情が強いのは、民主主義の価値を認識しているからだ。韓国では、この点が曖昧にされている。「北朝鮮愛」が強く、台湾と異なる。

     

    (2)「今回の条例改正案は、香港と中国政府の関係を複雑にしてきた一連の問題の1つだ。中国本土からの移民流入と、本土からの投資が一因となった不動産の価格高騰に、香港の人々は不満をつのらせている。民主的な改革を妨害し、選挙に介入、そして中国指導者に批判的な書物を専門に扱う香港の書店主が2015年以降で5人失踪した事件を画策するなど、中国の介入は行き過ぎだと批判する声は根強い」

     

    現在の香港市民は、中国との関係が強くなった結果、マイナス点が目立ち過ぎて息苦しさを覚えている。これが、中国への不満の原点だ。その点で、台湾は中国からの影響力を排除する動きが強い。

     

    (3)「公式統計によれば、台湾居住権を得た香港とマカオの住人の数は、2018年は1267人に達し、10年前から倍以上に増加した。マカオは元ポルトガル領で、現在では香港と同じように中国支配下の特別行政区だ。こうした移住は、民主主義を訴えて香港を数カ月間マヒ状態に追い込んだ2014年の「雨傘運動」後に急増し、その勢いは衰えていない。2019年14月の台湾移住者は約400人で、前年同期比で40%増加した」

     

    (4)「一部の若者は、香港を脱出したいあまり、36歳以下の台湾男性に義務付けられている兵役に参加して居住権を得ようとしている。台湾の居住権を得るには、通常150万香港ドル(約2000万円)程度の費用がかかる。「香港にとって、民主主義の灯だ」。16日のデモに参加していた、香港立法会(議会)の議員事務所で働くチェン・チュンマンさん(32)は、「香港市民に、希望を与えてくれる」と台湾について話した。」

     

    台湾の存在は、香港市民にとって希望を与えてくれる光である。台湾移住には、約2000万円の居住権を必要とするので、若者には不可能である。そこで、兵役に参加して居住権を得るという涙ぐましい努力がされている。苦しくても、「自由」を重視する人間の基本的な欲求に勝てないのだろう。

     


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    韓国経済は、あらゆる面で行き詰まってきた。他国のことながら、この国の将来に深刻な危機感を覚えざるを得ない。出生率の急低下、失業者の増加というほかに、主な雇用の受け皿になる製造業が衰退期に入っているからだ。

     

    企業発展の原動力は、先々の大黒柱になる「種」を探し出し、育成することにある。ところが、最近の調査でそれが見当たらないという。中国製造業による激しい品質改善で、現在の品目すら競争力を失いかけてきた。その上、新たな「種」が見つからないとなれば、韓国製造業は破綻するほかない。

     

    現政権は、「反企業主義」という信じがたい政府である。歳入は天から降ってくるとでも思っている幻想的思考に囚われている。企業が力を落とせば、歳入も減って赤字財政になりかねない。そういう危機感がゼロという子ども同然の政府である。

     

    『中央日報』(6月19日付)は、「韓国製造業、新たな収益源見つからない 今後がさらに心配」と題する記事を掲載した。

     

    大韓商工会議所は18日、「韓国企業の未来準備実態」アンケート調査を発表した。これによって、韓国製造業の危機的状況が浮き彫りになった。韓国製造業が、新興国の脅威、未来の収益源不在、低い新技術活用度という三重苦に苦しめられているからだ。今回の調査は韓国の製造業企業500社を対象にしたもの。

    (1) 企業の10社に4社は中国など新興国の脅威により新興国と先進国の間に挟まれたサンドイッチ現象が深まっていると答えた。新興国企業との競争力格差と関連した質問では、「同水準」が35.9%、「遅れている」が5.4%と答え、合わせて41.3%に達した。これは2010年のアンケート調査と比較して4倍に増えた数値だ。当時の調査では新興国の追撃に脅威を感じると答えた割合は全回答企業の10.4%だった。新興国よりどれだけ先行していると考えるかとの質問には、「3年以内」が31.6%で、「5年以内」の18.5%と「5年以上」の8.6%を合わせた27.1%より多かった。それだけ製造企業の危機感が大きいという傍証だ」

     

    2010年のアンケートでは、新興国の追撃を脅威とする比率は10.4%。今年の調査では41.3%と4倍にも増えている。韓国製造業の技術とコストの優位性が消えた証拠だ。この間は、日韓が揉めている時期でもある。日韓での疎通を欠いたことが、日本から技術情報が伝わらなかったことも理由であろう。ここ4代の大統領の「反日政策」がもたらした結果でもある。

     


    (2) 第4次産業革命と関連した技術活用度もやはり低調だと調査された。慶尚北道(キョンサンブクド)の自動車部品メーカーB社が代表的だ。B社代表は「第4次産業革命に関連した人工知能技術導入を検討したことはあるが、周囲で導入して効果があったという話は聞かれなかった。検証された事例がない状況でやみくもに技術から導入することが負担になるのは事実」と話した。今回の調査で第4次産業革命技術活用度を問う質問には回答企業の48%が「活用していない」と答えた。「積極的に活用中」という回答は全体の6%にすぎなかった」

     
     
    第4次産業革命の技術に乗り遅れているのは、政府が無関心という側面も大きい。文政権は、北朝鮮と反日だけが政策目標という偏った政府の下では避けられない結末であろう。

     

    (3)「大韓商工会議所のアンケート調査で回答企業3社のうち2社に当たる66.9%は未来の収益源になることができる新事業を確保できていないと答えた。このように答えた企業のうち62%は対策もまとめていない状況だと答えた。未来収益源発掘過程で企業が体験する苦悩としては、「市場形成が不透明」が41.0%で最も多く挙げられた。次いで「資金不足」が21.7%、「技術力不足」が17.3%、「規制障壁」が16.3%などの順だった。大韓商工会議所の朴容晩(パク・ヨンマン)会長は「今年国会が処理した法案126件のうち企業支援法案は9件にすぎない。企業はだれに訴えなければならないのか、本当に惨憺極まりない」と話した」

     
    今年国会が処理した法案126件のうち、企業支援法案は9件にすぎないという。文政権の投げやり的な経済政策が、こういう結果を招いた。現状のままでは、韓国製造業の明日はないと言わざるを得ない。




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    米国の環境団体「エンバイロメンタル・プログレス」代表のマイクル・シェレンバーガー氏は、朝鮮日報のインタビューで、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が進めた過去2年間の脱原発政策を「エセ科学に基づいたイデオロギー運動」と批判したという。

     

    確かに、これは事実だ。福島原発事故の被害をねつ造して、多数の死者が出たとか、癌患者が急増したとかいうデマを韓国国内に触れ回した。韓国原子力学会が、この事実を批判すると集団で押しかけ学会に発言を訂正させ、陳謝までさせたのだ。

     

    これが、韓国の暴力的な市民団体である。これら集団は、自然エネルギー事業に投資しており、脱原発で多大の利益を手にしたと報じられている。

     

    『朝鮮日報』(6月18日付)は、「エセ科学と迷信に基づく韓国の脱原発運動」と題する社説を掲載した。

     

    米国の環境団体「エンバイロメンタル・プログレス」代表のマイクル・シェレンバーガー氏は、2017年7月、韓国政府に脱原発を再考してほしいと要請する米国のエネルギー専門家グループの書簡を持って韓国を訪れた。同氏は「エネルギー輸入依存度が95%の国において、国内技術で電力生産が可能な原子力を放棄するというのは理解できない。再生エネルギーに対する過度のこだわりは迷信と同じで、文大統領はこれに固執している。

     

    (1)「世界的な水準の原発を作ることで有名だった韓国は、大統領さえ積極的であれば、今ごろはおよそ20カ国の原発受注戦に加わり、勝つか競争を繰り広げるかしていただろう」と語った。シェレンバーガー氏によると、電力の75%を原子力で賄っているフランスの場合、脱原発推進のドイツに比べ、単位電力当たりのCO2排出量は10分の1にすぎない。シェレンバーガー氏は、環境運動家らが「CO2は人類最大の脅威」と主張しながらCO2を速やかかつ大規模に減らせる原子力に反対するというのは、つじつまが合わないと語った」

     

    福島原発事故は、津波と大地震という滅多に起こらない自然災害によって引き起こされた。設計段階から米国企業の主導権に委ねられたという特殊性もあった。韓国市民団体は、こういう特殊例を通常に起こるものとして、被害データをねつ造した。それは、犯罪ですらあるが、文政権支持母体として摘発を免れている。保守党政権になれば、メスが入る第一候補であろう。

     

    (2)「文大統領も外国で認めたように、韓国の原発は世界で最も安全なのに、どうしてでたらめなセウォル号になぞらえるのか。月城1号機だけの稼働でも、昨年の韓国における太陽光発電量の40%近くに相当する電力を生産できたという。太陽光事業に手を付けた左派関係者はここぞとばかりに、無資格業者に下請けさせるという違法な手段で自治体の補助金をかっさらっている。全て韓国国民の税金だ」

     

    市民団体は、脱原発による太陽光事業で多額の補助金を懐に入れている。日本の市民団体に比べれば「利益を追い求めるプロ」である。

     

    (3)「現在、南米の数カ国が大停電のせいで極度の混乱に直面している。南オーストラリア州も2016年から17年にかけて大規模な停電を経験した。その理由は、風力など新再生エネルギー由来の電力の出力変動だった。そこでオーストラリアは17年、新再生エネルギー向けの補助金廃止を決定した。まともな国であれば、非常時に備えたエネルギーミックスを構想するが、韓国は安定的なエネルギー供給インフラを自ら壊している。電気は全て同じ電気なのに、ある電気は善き電気、ある電気はあしき電気と、まやかしのイデオロギーにも似た虚構の錯覚に自ら陥っている」

     

    韓国電力公社は、原発の100%操業時では黒字経営であったが、今年1~3月期は営業損失に陥っている。大統領府の秘書官で、「営業赤字」という意味を理解している人間がいるだろうか。文大統領も怪しい一人であろう。これほどド素人が国政の舵を握っているのだ。



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    韓国政治は、混迷の連続である。経済も外交も合格点を付けられるような業績は皆無だ。経済政策と言えば、理念先行で最低賃金の大幅引上げと週52時間制の強行。副作用が激発しても、全くフォローせず自画自賛するだけだ。

     

    外交と言えば、トップの外交部長官は、国連の女性通訳官であり外交経験はゼロ。そういう人物を外交部トップに据えて、大統領府の「86世代」が裏にまわって振り付けをしている。その結果、日米中三ヶ国とは「不通」状態に落込んだままだ。

     

    この「能天気」政権が、後3年も続く。韓国社会はどうなるのか。国内の不安と不満が高まっている。このままだと「バナナ共和国」に成り下がると危機感を募らせている。「バナナ共和国」とは、第一次産品の輸出で経済を支える政治腐敗国家を指す政治用語である。韓国は、1人当たり国民所得3万ドルを自慢している。だが、いつまで保つかだ。文政権が、韓国経済の成長基盤を徹底的に破壊することは目に見えている。以下に、その理由の一半が示されている。

     

    『中央日報』(6月17日付)は、「大韓民国、このままではバナナ共和国になる」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のチョン・ジェホン論説委員である。

     

    (1)「バナナ共和国で起きるようなことが大韓民国で発生している。鉄鋼メーカーに対する高炉(溶鉱炉)操業停止行政処分が代表的だ。有害物質を排出したという理由で10日間の操業停止とする行政処分を下したり予告した。鉄鋼メーカーが汚染防止装置なく高炉の圧力を抜く役割をする安全バルブ(ブリーダー)を開き大気を汚染させたという環境団体の請願を受け入れたのだ。 高炉を4~5日止めれば溶解した鉄が固まるため高炉に亀裂が発生する。韓国鉄鋼協会は「1基の高炉が10日間停止し復旧に3カ月かかると仮定すると、この期間に約120万トンの製品減産が発生し8000億ウォンの損失が予想される」と明らかにした」

     

    (2)「協会によると、高炉の安全バルブ開放は世界の製鉄所で100年以上使われてきた方式だ。現在の技術では安全バルブを使わずに高炉を稼動する方法がないという。安全バルブを開放した時に排出されるガスは中型乗用車1台が1日8時間ずつ10日間運行して排出する程度というのが協会の説明だ。操業停止処分は一貫製鉄所の閉めろというのも同じだ。鉄鋼生産が中断されれば造船、自動車、家電など主要産業が致命傷を受ける。環境団体と自治体は「環境原理主義」に捕われ操業停止を強行している。ポスコ労組はこれに対し「操業停止処分はポスコと現代製鉄だけでなく、そこで働く労働者を殺す行為」と非難した」

     
    高炉の安全バルブ開放は世界の製鉄所で100年以上使われてきた方式だという。韓国鉄鋼メーカーだけが採用している方式ではない。そういう技術的な理解もなく、高炉に10日間の操業停止を命じている。これは「高炉の死」である。環境団体と自治体は、お構いなく操業停止という制裁を科した。無知故の恐ろしい振る舞いである。

     


    (3)「文在寅(ムン・ジェイン)政権のエネルギー転換(脱原発)政策も理解し難い。原発が韓国の電力供給で占める割合は昨年末基準で30%に達する。韓国政府は2017年基準で24基ある原発を、2031年に18基、2038年に14基に減らす計画だ。代わりに現在7.6%である再生可能エネルギー発電の割合を2040年までに30~35%まで高める方針だ。 専門家らは、「現実を無視した理念政策の標本」と批判する」

     

    (4)「国土が狭く四季が明確な大韓民国で太陽光や風力などの生産は限界がある。再生可能エネルギーは生産原価も高い。1キロワット時当たりの発電単価は昨年末基準で新再生可能エネルギーが173.38ウォンで原子力の60.85ウォンの3倍だ。政府の脱原発政策などにより数兆ウォンの純利益を出した韓国電力は昨年1兆ウォン台の赤字を出したのに続き今年も5000億ウォン以上の赤字が予想される。韓国電力の赤字累積は電気料金引き上げにつながるだろう」

    韓国は地形から言って、自然エネルギー適地がない。それでも強行する結果、発電コストは、原発の3倍にもなる。韓国電力公社はこの結果、この1~3月期に営業利益が赤字に転落した。いずれ電力料金は値上げだ。政府のポピュリズム政治は、電力料金の引下げを提案しているほど。どこまでも現実に背を向けたら満足するのか。典型的な「おバカさん」政治を行っている。バナナ共和国そのものだ。


     
    (5)「 理念に偏って現実から目を背けた最低賃金引き上げと週52時間制は経済に途轍もない負担になっている。「このまま行けば国が大変なことになる」という声があちこちから出ている。孔子は「誤りがあるならば改めることをはばかるな(過則勿憚改)」と話した。韓国がバナナ共和国に転落しないようにするには失敗した政策に固執せず、事実に基づいて真実を求めなければならない」

    1980年代の学生時代に描いた夢を、学生運動家上がりの政権がしたり顔して実施している。どうにもならないアマチュア政権なのだ。韓国最大の不幸をもたらす政権になる。


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    中国経済は、「メルトダウン」という言葉が当てはまる状況になってきた。販売業者から、中小銀行12行が発行する「銀行引受手形」を受け取らないように「お触書」がまわった。

     

    銀行引受手形とは何か。

     

    販売先と掛売り取引する際に、販売先の取引銀行が支払いを保証する「銀行引受為替手形」である。与信リスクを低下させる決済手段として、有効な手段になってきた。その肝心の「銀行引受手形」で、現金を支払われないリスクが高まっているのだ。世も末である。

     

    こうなると、現金決済だけが唯一の安全な取引になる。中国ビジネスの末端では、ついに信用崩壊の末期症状を見せ始めてきた。

     

    『大紀元』(6月15日付)は、「中国中小銀の金融リスク増、12行が経営難か」と題する記事を掲載した。

     

    中国国内12の地方商業銀行が信用リスク拡大のため、「銀行引受為替手形」の受取りを拒否されたことが分かった。中国当局が5月末、内モンゴル自治区の包商銀行を公的に管理下に置いたと発表したばかりである。

     

    (1)「中国経済学者の夏業良氏は12日、YouTubeに投稿した経済評論動画で明らかにした。夏氏が国内から入手した情報では、安徽省のある電機企業が社内に送った通達で、支払いに問題が起こらないように、今後12の銀行の「銀行引受為替手形」を受け付けないようにと指示した」

     

    (2)「12の銀行には、中国東北部にあるハルビン銀行、錦州銀行、盛京銀行、西北部にある甘粛銀行、蘭州銀行と、山東省と天津市の一部の銀行がリストされた。ほとんどが上場金融機関だ。中には香港市場に上場している盛京銀行は、遼寧省瀋陽市に本部を置き、地元の有力都市商業銀行として業務を拡大してきたものもある」

     

    香港市場に上場している銀行までが、危険銀行扱いされる状況になっている。不動産バブルで背負い込んだ不良債権が経営を圧迫しているにちがいない。

     


    (3)「夏業良氏は、中小銀行の金融システムが崩壊する前兆であると強い危機感を表した。同氏は、与信リスクが一段と拡大することで、今後数年間に中小銀行が連鎖的に破たんする恐れがあるとの認識を示した。夏業良氏は、中国の金融機関は上場しているが、実質上、国有資産だと指摘した。「中国当局は銀行の連鎖破たんを回避するため、最終的に国有資産管理会社(AMC)が問題の中小銀行を買収し、財政部(財務省)が不良債権を全部抹消する可能性が高い

     

    中国人民銀行は、5月に地方の商業銀行の預金準備率を段階的に引き下げる計画の詳細を発表していた。地方の商業銀行を対象に預金準備率を5月15日、6月17日、7月15日の3段階に分けて引き下げるもの。中小銀行の経営危機救済目的も含まれている。6月17日、預金準備率引き下げ第2弾で約1000億元(144億4000万ドル)相当の長期資金が供給された。

     

    預金準備率引き下げで貸出能力の拡大を図るが、すでに焼け石に水の状況であろう。破綻銀行は、政府が買収し財政資金で穴埋めするという。不動産バブルでひとときは税収も増えたが 、最後は財政資金で尻ぬぐいである。中国経済の末路を示している。

     

     

     


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