勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    中国は、新型コロナウイルス感染源として世界の信頼を失った。これだけでない。医療用マスクや検査キットの不良品が、各国で発覚して苦情が申し込まれている。まさに、恥の上塗りである。倫理観の欠如を露呈しており、世界中で「中国は信頼できない」コールを引き起している。

     

    『大紀元』(4月9日付)は、「フィンランド、中国から購入した200万枚のマスク『全部不良品』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「フィンランド国家緊急供給庁のトミ・ルネマ長官は48日、中国から購入したマスクと個人用防護具が基準を満たしていない、と発表した。これらの商品はフィンランド技術研究センター(VTT)が運営するタンペレの研究所でテストされた。中国から200万枚の外科手術用マスクと23万個の個人用防護具を購入したという。社会保健省は、これらの医療品は新型コロナウイルスの感染を防ぐために介護施設では使用できるが、病院では使用できないとしている

     

    外科手術用マスク200万枚が、規定の水準に達していない。どさくさに紛れの詐欺商法である。こういう非倫理的な行為でボロもうけするのは、中国に真の信仰が存在しない結果だ。来世を信じるという信仰心がないのは、世界で漢族だけである。経済倫理が存在しないゆえに、ウソや騙しが横行する社会である。中国を信じられないのは、信仰心が存在しないためだ。

     

    (2)「ルネマ長官は8日の記者会見で、この結果に失望したと述べた。来週、極東からさらに飛行機4機分の防護具が届くという。「中国のマスクは値段が高騰する一方で、代金の前払いですぐに購入を決断しないといけない」と中国のマスク市場が「極めて混乱している」と明かした。同国政府はさらに6億ユーロ相当の防護具を購入すると表明した。現在、同国では毎日、手術用マスク50万枚、防護用マスク5万枚が必要だという。すでに不足が起きている」

     

    「代金の前払いですぐに購入を決断しないといけない」という商法は、悪質ビジネスの典型例である。こうやって不安感を煽って不良品を売りつける。稀代の悪徳ビジネスある。これでどれだけ中国の信頼を損ねているか。それを自覚しないところが、「無信仰」民族の落し穴である。

     

    (3)「オランダ政府328日、中国から購入した60万枚のマスクの回収を発表した。顔に密着しないうえ、フィルターが機能していないことがわかった。中国政府は謝罪せず、オランダにテストの再度実施を要求した。

    スペイン政府は中国製のウイルス検査キットを550万個購入したが、精度が30%を下回ったため、返品を余儀なくされた。

    イギリス政府が購入した350万個の検査キットは、重症患者にしか検査できず、軽症や無症状の患者の検査に適していないという。

    パキスタンのメディアも「中国に騙された」と報じた。高品質のN95マスクを注文したはずだったが、送られてきたのは下着で作られたマスクだったという」

     

    上記に、オランダ政府、スペイン政府、イギリス政府、パキスタン・メディアと4ヶ国の例を伝えている。こうなると、中国商法が、本質的に「悪徳ビジネス」であることを立証している。これでどれだけ、中国に対する信頼を落としているか分からない。

     

    『中央日報』(4月8日付)は、「『中国のマスク工場はほこりが舞い従業員は素手で作業』暴露が波紋」と題する記事を掲載した。

     

    中国のあるマスク輸出代理商が殺菌作業場も全くなくほこりが舞う中国のマスク工場で生産したマスクをだれが使えるのかと暴露し大きな波紋を投げかけている。

    (4)「香港紙『明報』が7日に伝えたところによると、こうした内容は陳国華という名前の中国マスク輸出仲介商が中国の科学技術メディア「36kr」傘下のコンテンツプラットフォーム「Tech星球」に中国マスク工場の混乱した様相を話して明らかになったものだ。陳氏は中国マスク工場の約60%は全く殺菌作業場がないと話した。「マスクを生産する工場に行ってみたがどこもほこりでいっぱいだった。作業場で働く人はマスクも使っておらず手袋もしないで素手でマスクを整理していた」と紹介した」

     

    この記事を読むと、中国製マスクの60%は殺菌作業場がないという、非衛生な状態に置かれている。「中国製マスク」と聞いたら、先ず敬遠するのが命を守る一歩と言えそうだ。

     


    (5)「彼は、「このように生産したマスクをだれがあえて使うだろうか? だれがあえて顔に使うのか?」と反問した。陳氏はまた、中国のマスク工場の資格証も金で売買されていると明らかにした。甚だしくは金を払って買う必要もなく別の工場の資格証を利用したりもすると話した。例えば、ある工場にマスク生産資格証明があれば資格証がない別の工場がその工場の名前で製品を生産する方式だ。N95のような高級マスクは資格証明がある大きな工場が注文を受け、資格のない複数の小さな工場に下請けに出しているという」

     

    マスク製造の資格証明が、売買されていることに唖然とする。金儲けのためなら手段を選ばない。中国共産党の行動によく似た面があるのだ。これが、漢族の特性であろう。

     

    (6)「現在、中国は内需用マスクが十分な状態で、輸出用にKN95やN95などの高級マスクを作らなくてはならないが、技術水準が追いついていないということだ。米食品医薬品局(FDA)が、3月28日に中国で生産したマスクは適していないと判定し、彼が苦労して確保したKN95マスクの生産ラインをすべて廃棄してしまったと明らかにした。一方、最近各国で中国製マスクに対する品質問題が提起されると、中国商務部は先月30日に輸出される医療物資の品質を厳格に監督すると発表した。1月から中国で偽マスクを作って摘発された作業場だけで1万カ所に達すると明報は報道した」

    米食品医薬品局(FDA)が、3月28日に中国で生産したマスクは適していないと判定したのは、当然である。遅すぎる決定である。中国では、1月から偽マスクを作って摘発された作業場だけで1万カ所に達するという。他国の不幸につけ込んで、こういう悪辣なことを平気でやる民族が、この地球上に存在する。この事実に慄然とする思いだ。



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    予定通りであれば、きょう4月8日に武漢市は封鎖解除される。だが、この封鎖解除は、疫学的見地で決められたものでない。政治的威信回復の目的で決められた「政治ショー」である。武漢市内では、感染者ゼロと認定されていた団地が、すでに70カ所も取り消されているという。感染者が続出しているためだ。

     

    中国指導部は、いかにこの「コロナ事件」を政治的に利用するか、鮮明になっている。国内外の信頼失墜をもたらした新型コロナウイルス問題が、「早期回復」というレッテルに張り替えられれば、それで形勢が逆転するという発想である。韓国の文大統領も同じ手法である。自らの判断ミスが招いた感染者激増を、「手際の良い沈静化」という評価に変えさせているのだ。中韓政府は、国民の目を欺く戦略では、同じ手法である。

     

    『大紀元』(4月7日付)は、「武漢市70カ所の団地の『感染者ゼロ』認定取り消し、無症状感染者の増加で」と題する記事を掲載した。

     

    湖北省武漢市政府はこのほど、新型コロナウイルス感染症の無症状病原体保有者の増加で、「感染者ゼロ団地」と認定された市内70カ所の団地に対して認定を取り消した。武漢市で新型コロナウイルスが依然として猛威を振るっているとみられる。

     

    (1)「中国官製メディア『新華網』46日付によると、武漢市が新たに認定した「感染者ゼロ団地」の数は3日前と比べて45カ所減少した。70カ所の団地は、無症状の感染者が確認されたため、「感染者ゼロ団地」の認定を取り消された。これらの団地は再び封鎖される可能性がある。市政府の規定では、「感染者ゼロ団地」と認定された集合住宅の住民は、各家庭で毎日1人だけが、通行証を持って、生活必需品を購入することができる。毎回の外出時間は2時間内」

     

    中国における都市封鎖の実態が、明らかにされている。「感染者ゼロ団地」に認定されれば、各家庭で毎日1人だけが、生活必需品を購入することができる。毎回の外出時間は2時間内という「牢獄」生活だ。ここまで徹底しても、感染者が根絶できない現状を見ると、新型コロナウイルスの感染力の大きさが改めて浮き彫りになる。一方、検査キットの品質にも問題のあることを指摘できる。

     


    中国のコロナ感染調査キットは、海外に送られたものから判明した検査能力が、きわめて劣っていることを暴露した。通常、80%の検知能力があれば「合格」とされているが、中国製は30%以下である。この結果、海外からは「不良品」として返品されている代物だ。ブラジル政府の閣僚は、「中国企業は金儲け主義」と猛批判して物議を醸している。検査キットの不良品をヤリ玉に上げたものであろう。中国のこういう杜撰な検査キットでは、「陽性者」が巷にウヨウヨしているはずだ。これでは、感染者が続出して当然であろう。

     

    (2)「湖北省政府は324日、武漢市の封鎖措置を48日午前0時に解除すると発表した。しかし、43日、武漢市当局は各区政府に対して、これまでの外出・移動規制をさらに強化するよう要求した。中国当局や武漢市当局はこのほど、武漢市での新規感染者が「ゼロ」になったと発表しているが、SNS上では、武漢市民や医師らは新たな感染者について情報を発信している」

     

    武漢市は4月8日、封鎖解除すると発表した。だが、皮肉なことに4月3日、これまでの外出・移動規制をさらに強化するよう要求した。このチグハグな動きを見ると、武漢市の封鎖解除は政治ショーであることが、ますます明らかになってくる。

     

    (3)「中国メディア『中国新聞週刊』325日の報道は、武漢市にある華中科技大学公共衛生学院の鄔堂春(ウ ドウシュン)教授が率いる研究チームの研究論文を引用した。論文は医学分野の国際プレプリントサービス『medRxiv』に掲載された。これによると、武漢市の感染者の56%の人は、無症状、または軽症であるために「気づかれなかった」という。国内外世論の批判を受けて、中国当局は41日から無症状病原体保有者の人数を公表した」

     

    華中科技大学公共衛生学院の研究論文では、武漢市の感染者56%は、無症状、または軽症であるために「気づかれなかった」という。これは、前述の通り検査キットの精度が著しく落ちる「調査ミス」によるものだろう。「武漢市の感染者56%は、無症状、または軽症」という指摘は、責任逃れの「ウソ発表」と断じるほかない。無症状者が余りにも多すぎるからだ。中国の医療レベルの一端を物語っている。

     

    (4)「武漢市のネットユーザーの間では、最近、上海市医療支援チームから得た情報を相次いで転載している。支援チームの医師は、武漢市の現在の感染状況は都市封鎖措置を実施し始めた当時よりも深刻で、「病院で毎日、新しい感染者が確認されている」「(外出時)地下鉄やバスなどを利用しないで」と警告したという」

     

    武漢市における感染状況は現在、都市封鎖措置を実施し始めた当時よりも深刻とされている。この状態で、中国政府は封鎖解除するというのだ。ため息が出るほど杜撰な防疫体制である。中国が、このまま武漢市の封鎖解除をすれば、中国全土は、「感染第二波」に巻き込まれであろう。

     

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    韓国与党「共に民主党」は、15日の総選挙を前にした失業者の急増に危機感を強めている。与党は、これまで新型コロナウイルスの感染者数が減少に転じたことで、総選挙に有利と踏んでいた。だが、世論調査結果で有権者が最も重視するのは経済状況である。新型コロナウイルスは、二番目のテーマということが判明。肝心の経済は、失業者が1日平均6100名に及び、最悪事態へ向かっている。与党は大慌てである。いくら「反日」を煽っても、効果は薄れるばかりであろう。

     

    『中央日報』(4月6日付)は、「総選挙に最も影響を与える懸案、民生経済43.1%、新型肺炎21.5%」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中央日報が世論調査会社エムブレイン・パブリックに依頼して3、4日両日間全国満18歳以上男女1000人を対象に「今回の総選挙で最も影響を及ぼす懸案」を質問し、次のような結果が出た。

        雇用など民生経済 43.1%

        新型コロナウイルス感染症 21.5%

        検察改革 12.7%

        災難支援金 4.6%

        外交 4.0%

        南北関係 3.1%

        比例代表用衛星政党 2.1%」

     

    これを見ると、経済問題が1位である。日々の生活に影響する経済問題を解決できない政権を支持する国民はいない。経済問題が、総選挙の争点になることは、各国とも同じである。韓国与党は、「韓日戦」と称して、反日を前面に上げているが、外交は5位に止まっている。情勢判断を誤った。

     

    肝心の経済問題では、失業問題が焦眉の急となっている。

     

    『中央日報』(4月7日付)は、「韓国、1日の失業者6100人、毎日大企業1社分の雇用が消える」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスが実体経済を襲い失業の高波が押し寄せてきた。1日6000人以上の労働者が失業している。毎日アモーレパシフィック(従業員6002人)やSKテレコム(従業員5377人)に相当する労働者がいなくなる計算だ。過去最悪の失業規模だ。それでもまだ最悪ではない。4~5月ごろ失業がピークに達するだろうという見通しだ。

     

    (2)「雇用労働部が3月失業し失業給与を新たに申請した人を暫定集計した結果、19万1000人であることがわかった。これは前年同期より6万6000人増えた数値だ。実に53%増加した。2009年に関連統計の作成を始めてから増加人数と増加率とも過去最高値だ。これまでは最低賃金が16.4%急騰して雇用市場が直撃弾を受けた2018年1月に前年同期より3万7000人増加したのが最高値だった。当時より2倍近い規模で失業者が増えた」

    3月の失業給付金を申請した人たちは、前年比53%増と過去最高になった。4~5月にはさらに増えそう。現在の失業者は1日当り6100人と計算されている。まさに、未曾有の「失業時代」が到来する。

     

    これに驚いた韓国与党は、コロナ支援金を所得に関係なく、全国民へ支給すべきという大盤振る舞いを提案する事態となっている。

     

    『中央日報』(4月6日付)は、「韓国与党代表『緊急災難支援金、所得関係なく全国民を保護すべき』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府が新型コロナ事態で明らかにした緊急災難支援金をめぐり、あいまいな基準が論争を呼んで不満世論が強まるため、与党からも給付対象を拡大すべきだという趣旨の見解が出ている。

    (3)「与党・共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表は6日午前、釜山(プサン)の民主党釜山市党で開かれた民主党・共に市民党合同選挙対策委員会会議に出席し、冒頭発言を通じて「緊急災難対策では地域に関係なく、所得に関係なく、すべての国民を国家が保護していることを見せることが重要だ。総選挙が終わった後、すべての問題を党が綿密に検討し、国民全員を国家が保護しているという確信を持てるようにする」と述べた。政府は所得下位70%の世帯に緊急災難支援金を給付することにしたが、李代表は「すべての国民」に言及して給付対象を拡大すべきという趣旨の発言をしたと分析される

    与党は、総選挙対策で国民全員に支援金を分配するように主張している。大盤振る舞いである。政府は、所得下位70%の世帯に支援金を給付することにしているが、これを上回るものだ。ただ、冒頭の総選挙に当り関心を持つテーマで、「災難支援金」は4位に過ぎない。これでは、与党の得票に結びつかないであろう。以上のような状況を見ると、与党には厳しい選挙情勢に見えるが、総選挙の結果はどうなるか。


    テイカカズラ
       

    韓国自動車業界で、最も経営基盤が脆弱なのは双龍(サンヨン)自動車とされている。筆頭株主であるインドのマヒンドラグループが、その地位を事実上放棄するという意思を明らかにした。双龍車に独力による生き延び策を求めたことがわかった。

     

    3月の韓国自動車生産台数が、通貨危機当時の1999年以降で最低水準に落ち込んでいる。新型コロナウイルスによる感染拡大で、工場稼動中断と景気低迷、双龍など中堅自動車3社の不振などが重なったためである。業界では、「今年自動車部品メーカーが連鎖倒産するなど産業生態系が大きく揺らぎかねない」という懸念が出ているほど。そういう矢先に、双龍自動車問題が飛び出した。

     

    双龍自動車は昨年12月、韓国政府と産業銀行に借入金の返済延長と新規資金支援を要請した。これは、11四半期連続で赤字を計上している中で、2020年上半期に満期を迎える借入金の償還に充てることを目的としていた。政府側は、マヒンドラグループの追加増資と構造調整が行われれば、同社支援の議論ができるとして結論を先延ばしてきた経緯がある。こういう逼迫化した資金事情の中で、マヒンドラが新規投資計画を白紙化させる決定をしたのは、双龍の経営が岐路に立たされたことを意味する。

     


    『ハンギョレ新聞』(4月6日付)は、「
    双龍自動車への新規投資を撤回、マヒンドラ、筆頭株主を事実上放棄」と題する記事を掲載した。

     

    双龍自動車の筆頭株主であるインドのマヒンドラグループは、同社の筆頭株主としての地位を事実上放棄するという意思を明らかにし、双龍車に独力による生存を求めた。同グループは、双龍車の資本拡充のために当初2300億ウォン(約202億円)を投じることにしていたが、新型コロナウイルス感染症拡散など対外環境の悪化により同計画を維持するのは困難との理由だ。5000人の雇用を抱える双龍車は、2011年のマヒンドラによる買収以来わずか9年で、再び、破産か再生かの岐路に立たされた。

     

    (1)「マヒンドラは、次のような発表をした。「新型コロナウイルスで打撃を受けた事業部門に対する資本配分策を議論した。現在と将来の現金の流れを考慮し、双龍車に新規資本は投入できないという結論を下した。ただし、双龍車が代案を模索する間の事業運営のために、今後3カ月間に最大400億ウォン(約35億1000万円)の一回限りの特別資金を投入する」。筆頭株主(持ち株比率74.7%、昨年12月末現在)としての責務を放棄するという趣旨だ」

     

    後のパラグラフで指摘されているように、マヒンドラグループ自体の経営が苦しく、もはや双龍車を支援する力がなくなったことである。インド経済が減速していることから分かるように、世界的な「コロナ不況」のしわ寄せがでた結果だ。

     

    (2)「当初マヒンドラは、昨年数百億ウォンの追加出資に踏み切ったのに続き、今年2月ごろに取締役会を開き、双龍車の持続可能な発展のため2300億ウォンの資金支援策を打ち出すとともに、同規模の支援を行うよう産業銀行に要請していた。マヒンドラが立場を変え、双龍車に独力での生存を求めた背景には、双龍車を率いてゆくには力不足な状況にまで追い込まれているマヒンドラの内部事情がある。マヒンドラはIT、金融、宇宙など様々な領域に進出しているが、その中心は総売り上げの96%を占める自動車と農機具の事業だ。その売上の大半がインドの内需市場でのものだ」

     

    マヒンドラはIT、金融、宇宙など様々な領域に進出しているが、その中心は総売り上げの96%を占める自動車と農機具の事業である。インド経済の停滞が、マヒンドラの屋台骨を揺るがしていることは明らか。今年2月、マヒンドラは韓国産業銀行に2300億ウォンの支援を要請していた。これに対して韓国側は、マヒンドラグループの追加増資と構造調整が行われれば、同社支援の議論ができるとしていた。ところが、新規投資計画を取り止めたことで、支援要請は白紙になってしまった。後は、韓国政府がどう対応するかだ。5000人の従業員がいるだけに、難しい対応を迫られる。

     

    (3)「問題は2016年以降、インド経済の成長の勢いが著しく衰えていることだ。インドの経済成長率は毎年1ポイントずつ下がり、昨年第4四半期には4%にまで下がった。泣き面に蜂で、新型コロナウイルスの拡散でマヒンドラの経営はさらに困難さを増している。アジア開発銀行(ADB)は最近まとめた報告書で、「今年のインド年間成長率は4%程度にまで下がるだろう」との見通しを示した。ムーディーズの子会社ICRAは第1四半期の成長率を2.4%と見込んでいる。ロイターなどの外信は3月、マヒンドラのインドでの自動車販売が昨年同月比で88%減少したと伝えている

     

    インド経済の低迷が、マヒンドラによる支援余力を奪った。一時は7%成長を実現していたが、最新予測では2%台まで低下するという。コロナ不況の強い影響を受けているわけで、抜本的な対策は見当たらない。

     

    (4)「マヒンドラにとって、双龍車が利益を出してくれる系列会社でもなかったことも、今回の決定の背景と見られる。双龍車は、マヒンドラに買収されてから8年の間、2016年の1年間を除き、全て営業損失を出している。昨年の営業損失規模は2800億ウォン(約245億円)ほどだった。マヒンドラなどの追加支援がなければ、双龍車の独力での生存は容易ではない」

     

    マヒンドラが買収して以来、8年間を経た。その間、2016年を除きすべて赤字経営ではどうにもならない事態だ。人件費の大幅引上げが、赤字要因の大きな部分を占めているはず。労組が、賃下げに応じるはずもないので、新たな買収先が現れない限り、経営危機を免れまい。




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    韓国経済を左右する輸出動向に、再び注目が集っている。ウォン相場へ大きく影響するからだ。韓国全経連(日本経団連に相当)は、今年の輸出動向を各業界団体に問い合わせて集計した。それによると、昨年よりも約7%減に止まると言うが、率直に言って「大甘」予想というほかない。

     

    リーマンショック(2008年)の影響が、全面的に出てきた2009年に輸出額は、15.93%も減少した。今年の世界経済は、リーマンショックを上回るというのが定説である。となれば、当時の約16%減をさらに上回る減少率を見込むほかない。SARS(2003年)の時は2004年に30.3%もの増加になっている。MERS(2013年)では、2014年に0.8%減に止まった。この両方の感染症は参考にならない。

     

    韓国の輸出規模は2018年、世界5位である。GDP規模(同11位)に比べて、はるか上位にある。このことは、輸出がさらに増える要素が少ないことを暗示している。2013年以降の輸出総額を見ておきたい。

     

    2013年 6183億ドル

      14年 6133億ドル

      15年 5430億ドル

      16年 5119億ドル

      17年 5803億ドル

      18年 6254億ドル

     

    以上の推移を見れば、6200億ドル近辺が限界になっている。18年に過去最高の輸出高を記録したのは半導体好況の結果である。半導体市況は、好不況が激しい特色があるので、韓国輸出はほぼ限界に来ていることは間違いない。となれば、輸出が減少するのは不可避であり、韓国全経連の予測は、かなり甘いという印象を拭えない。

     

    『ハンギョレ新聞』(4月5日付)は、「韓国全経連、韓国の15大輸出品目、今年の輸出はマイナス7.8%展望」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにともなうグローバル経済危機により、今年の韓国の主力輸出品目の輸出が前年比で7.8%減少するとの見通しが出た。

     

    (1)「全国経済人連合会(全経連)5日、新型コロナ事態が米国・欧州などに広がり、2020年の韓国15大輸出品目の輸出が前年比7.8%減少すると展望されると明らかにした。15大主力輸出品目は、機械・船舶・ディスプレイ・繊維・自動車など輸出上位15業種(2019年全輸出の78.5)を意味する。今回の調査は、325日から331日まで15の業種団体別アンケート調査を通じて進行された」

     

    15大主力輸出品目は、機械・船舶・ディスプレイ・繊維・自動車など輸出上位15業種(2019年全輸出の78.5%)である。韓国輸出の約8割のカバーである。各業界は、希望を含めた輸出金額を回答したのであろう。

     

    (2)「業種別に見れば、一般機械の輸出減少が22.5%と予想され最も大きな打撃を受けることが明らかになった。続いて、ディスプレイ(-17.5)、船舶類(-17.5)、自動車(-12.5)、繊維(-12.5)、家電(-12.0)、無線通信機器(-11.0)の順で輸出不振が予想された」

     

    雇用の受け皿になる業種が、いずれも大きな落込みである。解雇者が増えるであろう。

     

    (3)「反面、バイオヘルス分野は、新型コロナウイルスの拡散にともなう医療・健康関連需要の増加で、前年対比輸出が25.8%急増すると展望された。また「社会的距離保ち」により、IT製品の需要増加が予想され、コンピュータと半導体分野の輸出もそれぞれ5%、0.6%増加すると展望された

     

    下線部分は、コロナ特需であり「在宅勤務」増加が寄与している。

     

    (4)「全経連は、今年韓国主力品目の輸出減少にともなう危機を克服するために、貿易・通商分野における10個の政策課題を政府に建議した。主な建議事項は、韓国政府が各貿易国に対し韓国の企業家に対する入国禁止および制限措置の撤回を要請することと、多者・二者間の自由貿易協定(FTA)推進、日本・欧州・英国など通貨スワップ契約締結地域の拡大などだ」

     

    下線のように、日本・欧州・英国など通貨スワップ契約締結を要請している。いずれも「他人の褌で相撲を取りたい」という他力願望である。なかでも、日本との通貨スワップ協定を望んでいるだろうが、日韓の政治情勢から見て不可能であろう。


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