勝又壽良のワールドビュー

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    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

    テイカカズラ
       

    韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長は4日、「常識と正義が崩壊している」として辞任した。与党「共に民主党」が、重大犯罪捜査庁の新設を推進していることに対し、「職を懸けて阻止する」と表明してから2日後のことである。ユン総長の任期は、今年7月までだったが、任期を4カ月残して辞任した。

     

    政府・与党はこれまで、ユン検察総長を辞任に追込むべく、業務停止や解任手続きによる停職処分などを連発してきた。ユン検察総長はその都度、行政裁判所へ提訴して「執行停止」処分を勝ち取り職務へ復帰する多難な道を歩んできた。与党は、これを不服として検察から主要業務の捜査権を奪うという法案を準備し始めた。ユン検察総長は、この動きに対して辞任によってその不法性を国民へ訴える強硬手段に出た。

    韓国与党は、韓国憲政史上かつてない「多数決横暴」を繰返している。検察による政権犯罪捜査を中止させ、事件を葬り去るという進歩派政権ではあり得ないことを行なっている。まさに、韓国政治の未成熟を絵に描いたような事件である。ユン検察総長が、自らの辞任によって、文政権と与党の横暴に抵抗した構図である。

     

    ユン氏は、検察総長を辞任後にいかなる道を選ぶのか関心を集めている。大方の見方では、次期大統領選への立候補が取沙汰されている。与党や政権支持メディアは、有力な対抗馬の登場に緊張せざるを得なくなってきた。

     


    『ハンギョレ新聞』(3月5日付)は、「辞任したユン・ソクヨル検察総長、政界進出は『検察の中立』の否定だ」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「ユン総長は、「検事が政治的に偏向するのは、腐敗するのと同じだ」とし、検察の政治的中立を強調してきた。そのような彼が任期途中で辞任し、政治に飛び込むのであれば、二律背反に異ならない。現職時の権限行使が政治的な意味合いでなされたという疑いから逃れることはできず、今後の検察の行方にも政治的な不信感を持たれざるを得ない。検察の信頼性には致命的だ。捜査と起訴の分離以上に、検察の政治的中立を確保するための大々的な手術が不可避だと思われる」

     

    この社説は、文政権を支持する「御用メディア」の言い分である。韓国では、司法出身者が多数、政界へ進出している。これ自体、決して褒められたことでないが、日常的に政界と関係を持ってきた事実を裏付けている。ユン検察総長は、朴槿惠(パク・クネ)政権時に、政権の犯罪を暴いたとして左遷された経験を持つ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は、これを評価して検察総長に栄転させたが、今度は文政権の犯罪捜査を行なうという、「不偏不党」の立場を貫いている。その意味では、「検察の政治的中立」を守ったのである。

     

    進歩派のご意見番を任じる『ハンギョレ新聞』が、このような社説を掲げてユン検察総長を批判するのは醜い限りだ。韓国進歩派特有の「身内理論」が露骨に出ている。「敵・味方」に分断して、味方陣営を守り敵方を猛批判する浅ましい論法だ。ジャーナリズムとしての矜恃の一片もない酷い社説である。

     

    『朝鮮日報』(3月5日付)は、「尹錫悦検察総長が辞任、政権批判で政治参加の第一歩」と題する記事を掲載した。

     

    尹錫悦検察総長は4日、(韓国政治で)「常識と正義が崩壊している」として、辞任を表明した。(与党)「共に民主党」が重大犯罪捜査庁の新設を推進していることに対し、「職を懸けて阻止する」と表明してから2日後のことだった。

     

    (2)「ユン総長は、「自分がこれまでやってきたように、これから自分がどんな位置にいても、自由民主主義と国民を守るために全力を尽くす」と述べた。政界はこれを政治参加発言と受け止めた。尹総長周辺の人物は、「状況によっては、尹総長がソウル市長補選で野党統一候補を支援することもあり得る」と語った。野党からは、「ユン総長の政治参加は4月の補選はもちろん、野党再編と来年の大統領選にも影響を与えることになる」との分析が聞かれる」

     

    下線部は、ユン検察総長が今後、政治に参加する意思のあることを示唆しているという見方を裏付けている。その場合、大統領選で野党統一候補として戦うとの予想に繋がっている。その序盤戦でまず、4月のソウル市と釜山市の市長選において、野党候補を応援するというのである。ユン氏の応援が奏功して、野党候補が当選すれば、来年3月の大統領選で有力な位置に立てるとしている。

     

    韓国ギャラップの世論調査で、与党「共に民主党」の支持率が文在寅政権発足以降の最低値となった。

     

    韓国ギャラップは3月2~4日、全国18歳以上の成人1002人に調査した結果である。「共に民主党」の支持率は32%と、先週(36%)より4ポイント下落した。同じ期間、野党第1党「国民の力」は23%から24%に上昇した。文在寅政権の発足以降、両党の支持率の差が1けたに狭まったのは2019年10月第3週(9ポイント)、2020年8月第2週(6ポイント)に続いて3回目である。与党支持率の低下基調が定着すれば、与党の横暴への反発の現れであろう。文政権・与党は、大きなブーメランに遭遇しそうである。

     

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    中国で年に1度の重要会議、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が3月5日に開幕した。注目点は2つある。21年のGDP成長率目標と第14次5カ年計画(2021~25年)の成長率目標である。事前の予測では、21年のGDP成長率目標は「8%以上」が大半を占めていた。蓋を開けたら「6%以上」と2%ポイントも低かった。第14次5カ年計画では、成長率目標を掲げなかったのだ。

     

    本欄では、中国経済の基盤が崩れていると繰り返し指摘してきたので、こういう事態でも格別の驚きはない。中国指導部が、経済の実勢悪を認めて「スロースタート」になったものと受け止めるべきだろう。

     

    問題の実勢悪の中身は何かだ。不動産企業の借金過多症が、限界を超えていることである。住宅ローンと不動産向け融資は、今年1月1日から制限を加えている。だが、市民の住宅バブル信仰は一段と拍車がかかっている。不動産バブル最後の炎が燃えている感じである。この危険ラインスレスレの中で、不動産大手の中国恒大の過剰負債問題が注目されている。

     


    『フィナンシャル・タイムズ』(3月4日付)は、「中国恒大のEV、資金調達も追いつかぬ不動産負債」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「巨額の負債を抱える中国不動産大手、中国恒大集団は電気自動車(EV)業界への野心を抱いて子会社を設立したが、いまだに1台のEVも販売していない。香港株式市場に上場しているEV子会社、中国恒大新能源汽車集団の株価は今年に入って81%上昇し、時価総額は630億ドル(約6兆7000億円)を超えた。新製品の発売に四苦八苦しているにもかかわらず、米フォード・モーターなど実績あるライバルの時価総額を上回った。

     

    倒産寸前とも言える中国恒大集団は、EVへの進出をネタに資金調達するという詐欺まがいのことを行なって倒産を免れている。「EV」と言えば、時代の寵児である。株価が、車を発売する前から急騰するという狂った時代だ。いずれ馬脚を表わして、傷をさらに大きくするであろう。

     

    (2)「この株価高騰は、世界の株式市場に広がる投資家のEV熱を反映したわけでない。親会社の中国恒大が中国当局から1200億ドル(約13兆円)を超える負債を削減するよう求められる中で、影響力のある複数の投資家が中国恒大とその子会社の支援を継続するとの情報が市場に流れたからだ」

     

    記事では、EV熱に浮かされて株価が上昇したのでないと断っている。複数の投資家が、中国恒大とその子会社の支援を継続するという情報の結果という。だが、EVという「エサ」があったからこそ、株価が動いたはず。起爆剤はEVであることは間違いない。

     


    (3)「クイディティ・アドバイザーズのアナリスト、デービッド・ブレナーハセット氏は同社の株価急騰について「これがバブルでなかったら何をバブルと呼べばよいのか」と首をかしげた。恒大汽車は1月末、中国恒大および創業者の許家印氏と関わりのある複数の人物を引受先として新株を発行し、34億ドル(約3600億円)を調達すると発表した。これを受けて同社株はその日の取引だけで50%以上急騰した」

     

    EVを生産する恒大汽車は、1月末に1日だけで50%以上も急騰している。EVが買い材料になったことは疑いない。

     

    (4)「専門家によると、中国恒大は中国不動産市場の成長が鈍化する中で、業務を多角化するために恒大汽車を立ち上げたという。中国のビジネススクール、長江商学院で会計財務論教授を務める劉勁氏は次のように語った。「中国不動産価格は高騰しすぎたため経済に甚大なリスクをもたらしている。だからこそ不動産大手は新たな成長の原動力を求めている」と」

     

    下線部の指摘は重要である。中国不動産価格は、高騰しすぎたため経済に甚大なリスクをもたらしているのである。このリスクを逃れるために、中国恒大集団はEVに手を出す形で投資家の目を眩ませているのだろう。日本の高度成長期にも同様な詐欺があった。TV受像器をつくったことのない上場企業の重電機メーカーが、カラーテレビへ進出すると発表して株価を吊り上げた事件があったのだ。これと同じ類いの話だろう。

     


    (5)「香港の調査会社GMTリサーチのアナリスト、ナイジェル・スティーブンソン氏によれば、恒大汽車の主要業務は不動産開発だという。恒大汽車のキャッシュフロー計算書をみると同社は高額の不動産投資を継続しており、EV工場にはわずかな資金しか回っていないからだ。親会社に設定した与信枠からもEV子会社へ資金が流れており、中国恒大が財務健全化に向け資産売却を進めている時に恒大汽車は調達した資金を何に充てるつもりなのかとアナリストらは疑念を深めている」

     

    EV企業の恒大汽車が、高額の不動産投資を継続しているという。詐欺は明白である。中国恒大集団が倒産すれば、中国の不動産市場に激震が走ることは疑いない。

     

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    韓国与党は、横暴の限りを尽くしている。検察庁と別途に、「重大犯罪捜査庁」を新設し、「検察捜査権の完全な剥奪」をしようとする与党の動きが活発化している。国会議席の6割を占める巨大与党にとって、怖い物なしで検察の無力化を狙っているのだ。これにより、文政権にまつわる疑惑捜査を阻止しようというものである。

     

    これに抗議して3月4日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長が電撃的に辞意を表明した。取材陣に会い、「検察で私がやることはここまで」とし、総長職から退く立場を表明した。これから2時間後、文大統領は辞意を認めた。「待ってました」と言わんばかりの対応である。これで万事、好都合に進めるという判断だ。

     

    今後、韓国政治にどのような波乱が起こるかも分からない状況だ。文大統領は、それも知らずに超楽観的である。

    韓国の民主主義は、死亡宣告を受けたのも同然である。権力を持つ者が、恣意的行動を行なえば社会は紊乱する。それを阻止するには、公正な検察が存在して初めて可能になる。韓国の検察制度は、日本から導入したものである。検察に捜査と起訴の権限を与えるシステムだ。この制度は、明治時代にフランスの検察制度を取り入れた。

     


    田中角栄・元首相は、検察による捜査と起訴を受けたが、与党から検察制度を「改革」しようという動きはなかった。韓国は、「権力者の奢り」である。朝鮮李朝と同じ感覚で法を恐れぬのであろう。帝王的大統領制と途中解散のない議会の矛楯が、相乗的に現れた最悪事態である。日本は、議院内閣制で途中解散もあれば、首相交代も弾力的である。日本は民意を恐れるが、韓国にはそれがないのだ。権力者の奢りを止める手段がない、不思議な民主政治である。

     

    この韓国がこれから、どういう過程を辿るか。政治の乱れは、経済の乱れを引き起す。「韓国衰亡」は、これによってさらに確実になってきた。私は、そう強く見る。極めて皮肉なことを言えば、「歓迎」である。韓国は、日本が嗤って見ていることに気づき自省すべきなのだ。

     

    『朝鮮日報』(3月3日付)は、「韓国は今、民主主義の仮面をかぶった権力が法治を破壊する国」と題する社説を掲載した。

     

    韓国の政権与党が検察から捜査権を完全に奪い去る法律制定の手続きを進めていることについて、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長は「政治、経済、社会の各分野で力のある勢力に治外法権を提供することにつながる」と指摘した。与党は検察から、腐敗、選挙、経済など6大犯罪の捜査権まで奪い取り、検察を起訴と裁判の管理だけを行う「抜け殻」にしようとしているのだ。

     

    (1)「捜査権は、法務部(省に相当、以下同じ)の捜査庁に移すという。法務部は大統領の手先だ。そのため今後韓国では権力による不正や違法行為に対する捜査は完全に封鎖される。もし検察が現政権ではなく前政権の捜査だけを続けていれば、捜査権の剥奪どころか検察による捜査の権限は一層強くなっていただろう。ところが青瓦台(韓国大統領府)による蔚山市長選挙への介入、月城1号機の経済性捏造、チョ・グク元法務部長官一家による破廉恥犯罪、環境部ブラックリスト、ライム・オプティマス・ファンド詐欺など、政権が関与する違法行為を検察が捜査しようとしたところ、これに怒って立法権を使い検察に復讐しようとしているのだ。そのため尹総長が「民主主義という仮面をかぶり、法治を抹殺して憲法精神を破壊している」と指摘したのだ」

     

    このパラグラフに上げられているのは、文政権による疑惑事件である。一つの政権でこれだけの疑惑を呼込んだのである。進歩派の看板を上げながら、保守派以上の疑惑を生んでいるのは、韓国進歩派が国際標準である「革新精神」が欠如し、「退廃精神」に侵されている証拠とみるべきだろう。

     


    (2)「いわゆる「民主化政権」といわれる今の文在寅(ムン・ジェイン)政権において、数の力を利用し憲法の精神と法の手続きを根本から無視するような事態はこれまでもあまりに多く、それらを列挙するのも難しいくらいだ。「加徳島新空港特別法」は政権の手先である法務部さえ「違法の可能性がある」との見方を示している。国土交通部は「法案に賛成すれば職務遺棄で処罰される恐れがある」として反対した。それでも与党は国会での採決を強行した。大統領はこの特別法が国会で成立する前に釜山に行き、加徳島空港の宣伝を行った。釜山市長選挙において自分たちが票を得るためだ。選挙への介入を禁じた法律を露骨に踏みにじったのだ」

     

    「加徳島新空港」は、釜山沖の加徳島に空港を建設しようというものだ。4月の釜山市長選を睨んだ「選挙空港」である。法務部や国土交通部すら、「違法」と断定しているプロジェクトである。文大統領自ら現地に足を運び、内閣の反対する建設案に「建設OK」を出すほど。いずれ、裁判沙汰になって文氏が法廷に立たされる事態も予想される。危ない橋を渡っている。

     


    文氏は、与党が市長選に敗北すれば即、自らの政治生命に関わると懸念している。レームダック化を恐れているのである。こういう状況で、韓国政府の責任で旧徴用工や旧慰安婦の問題を解決できるはずがない。日本政府へ「和解」を呼び掛けても、韓国で具体案を提示できる政治的基盤が消えつつあるのだ。文大統領の「統帥力」は、急速に失われている。

     

    文政権が、日韓関係を回復できないまま幕を閉じるのは確実であろう。与党が絶対多数を握っている以上、反日姿勢はさらに盛り上がっていく。間もなく任期を終える文大統領の意向を聞くような雰囲気は、すでに消えているのだ。

     

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    韓国、「拍子抜け」文大統領、三一節記念演説で日本と話合う用意あると言うだけ「具体策

     

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    中国は、二つの顔を持っている。相手国に接する時の「猫なで声」と、中国の意向に逆らう相手への「脅し」である。周辺国は、この二つの顔を持つ中国を信頼していないことが、ASEAN(東南アジア諸国連合)有識者への世論調査で分かった。「最も信頼されている国」は、日本である。

     

    『大紀元』(3月4日付)は、「『日本は最も信頼できるパートナー』、米中対立の間に立つASEAN諸国の本音」と題する記事を掲載した。

     

    シンガポールのシンクタンク「東南アジア研究所」のASEAN研究センター(ASC)が2月に発表した報告書によると、東南アジア諸国連合(ASEAN)のなかで、最も信頼できるパートナーは日本だと回答した国が多いことが明らかになった。また、アメリカに対する期待も上昇しているが、中国に対する期待は低下している。

     


    (1)「調査は、ASEANに参加する10カ国の政府関係者や学者、ビジネスマン等を対象にオンラインで行われ、昨年11月から今年1月にかけて1032人の回答が得られた。調査では主要な大国(地域共同体)として日本、中国、アメリカ、イギリス、EU5つが挙げられた。この中で、ASEAN諸国にとって最も友好的で信頼できる戦略的パートナーとして選ばれたのは日本であり、信頼度は昨年の61.2%から67.1%に上昇した。次点はEUの51.0%で、アメリカは48.3%だった。いっぽう、中国に対する信頼はわずか15.6%であり、逆に信頼しないとの回答が63.0%に上った」

     

    ASEANにおける信頼度(2021年)

    日本 67.1%

    EU 51.0%

    米国 48.3%

    中国 15.6%

    日本の信頼度が抜群である。これは、ODA(政府開発援助)で相手国の立場に立つ低利・長期の融資が日本への信頼度を高める上で貢献している。また、いち早く日本企業が進出して、雇用増をもたらしたこともプラス要因になっている。

     


    (2)「日本を信頼する理由として、「国際法を尊重し、擁護する責任ある利害関係者」であるとの回答が51.6%を占めた。この回答は、ブルネイ(77.3%)、シンガポール(73.1%)、マレーシア(59.4%)、ベトナム(57.3%)で大きな割合を占めた。また、「日本には豊富な経済的資源とグローバルなリーダーシップを提供する政治的意志がある」とした回答は23.6%だった」

     

    日本は、国際法を守っていると評価されている。ブルネイ、シンガポール、マレーシア、ベトナムでは50%以上の賛成を得た。ただ、「日本には豊富な経済的資源とグローバルなリーダーシップを提供する政治的意志がある」とした回答は23.6%。決して高くはない。これは、太平洋戦争の後遺症であり、日本が遠慮しがちな姿勢であることに「不満」を示している。

     

    韓国は、相変わらずの日本批判である。反省が足りない、心からの謝罪がない、と不評だ。ASEANの日本評価と、韓国の見方がこれほど違うことも対照的である。

     


    (3)「日本の文化も求心力の源となっている。日本を信頼する理由として日本文化を選択した回答はインドネシアでは28.8%、フィリピンでは22.2%、ミャンマーでは21.8%を占めていた。
    ASEANのうち、日本を最も信頼していると回答した国家はカンボジア(84.6%)、フィリピン(80.6%)、ミャンマー(76.3%)だった」

     

    日本を最も信頼している国は、カンボジア、フィリピン、ミャンマーである。いずれも80%前後の高さである。太平洋戦争では、大きな被害を与えた国である。その国々が、こうして日本を高く評価してくれるのはありがたいことだ。韓国の「日本憎悪」とは、異質のようである。

     

    (4)「いっぽう、日本を「信頼しない」との回答は、日本の課題と読み替えることができる。否定的な理由のうち、「日本にはグローバルなリーダーシップの能力や政治的意思がない」が48.0%、「日本は内政と北東アジアの隣国(すなわち中国と韓国)との関係に気を取られてしまい、世界的な懸念事項や問題に集中することができない」が32.7%だった」

     

    ここでとり上げられている点は、その通りであろう。日本は、太平洋戦争に伴う「心の影」をいつも引きずっていると見られている。だから、遠慮してリーダーシップを取ろうとしないのだ。ASEANは、もっとASEANに関わって欲しいと訴えている。リーダーシップを発揮してくれと言っているのだ。中国や韓国のことばかりに関心を深めず、ASEANの安保に力を貸してくれと懇願している。日本が、「アジア版NATO」を結成する旗振り役を求めていると読める。

     

     

    (5)「アジアで経済的、軍事的拡張を続ける中国だが、ASEAN諸国では支持が低下している。61.5%の調査対象者は中国よりも米国と連携すべきだと回答している。報告書によると、「中国は同地域で積極的な『コロナ外交』を展開したにも関わらず、中国を選択する回答は2020年の46.4%から2021年の38.5%に低下」した」

     

    中国のワクチン外交は、中国の信頼度を高める上で何らの効果もなかった。中国を選択する回答は、2020年の46.4%から2021年は38.5%に低下している。普段の外交姿勢がいかに大事であるかを示している。中国には耳の痛い話だ。

     

    (6)「東南アジアでは、「中国に対する信頼は低下する傾向」にある。「(5つの)大国の中で『否定的な見方』が増えたのは中国のみで、2020年の60.4%から2021年の63%に上昇」した。その理由として、「地域における中国の支配的な経済力と政治的影響力は、好意よりも恐れに繋がった。大多数の回答者は、中国がその優れた経済力と軍事力を他国の利益や主権を脅かすために使用する可能性について懸念している」と記されている」

     

    中国は、清国時代もこのような評価であったのだろう。「朝貢貿易」によって、周辺国へ財貨を恵ぐみ威張り散らすので、心からの尊敬を得られなかったに違いない。外国を威圧するのは中国のDNAであろう。そういう意味で、中国の意識は何ら近代化していないのだ。

     

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    韓国中道派とされる社会学者ソン・ホグン教授は、文政権4年を総括して「固執・告訴・孤立」と痛烈に批判した。ソン教授は、文政権で入閣を要望されたが辞退した人物として知られている。それだけに、文政権支持者とみられていたが、文政権は元学生運動家に引っ張られると判断しての辞退だったという。そのソン教授のインタビュー記事が登場した。

     

    『中央日報』(3月4日付)は、「文政権4年、進歩どころか…固執・告訴・孤立の3コ政治」と題する記事を掲載した。

     

    韓国の中道性向知識人に挙げられる浦項工科大学(ポステック)のソン・ホグン碩座教授が朴槿恵(パク・クネ)弾劾時から最近まで中央日報に掲載したコラムを基に、文在寅(ムン・ジェイン)政府に対する苦言をまとめた『正義よりも大事なこと』を出版した。ソン教授は文政権4年に対して「進歩どころか政治の基本要件も充足することすら手に余る」とし「その理由は『固執・告訴・孤立』の(それぞれの頭文字を取って)『3コ政治』のせい」と話した。

     

    (1)「(過去の)参加政府(注:進歩派政権)は、参謀が市井に耳を傾けた。運動圏出身も多くなかった。ところが文政府は核心がみな運動圏だ。自分が望む目的通りに引っ張っていくのが運動圏の特徴だ。だから公論の場がないということだ。(文大統領は)本人の意志ではなく、運動圏に呼ばれて出てきて執権したためだ。そのため状況を判断する能力があるのか分からない。南北関係や日本・中国イシューには所信があるように見えるが、労働や資本政策は方向が分からないようだ。大統領の世界観が人権・抵抗・法曹界に限定されたためでないか

    文大統領は、帝王的大統領制によってその権限を行使しているが、文氏自身に政治家としての明確なビジョンを持っているわけでない。運動圏(学生運動や市民運動を行なってきた人たち)独特の理念先行政治に引っ張られてきた。下線のように、文氏は所詮、人権派弁護士上がりで視野が極めて狭い。政治家に向く人物でなかった。研究室で一生を過ごすべき人物である。

     


    (2)「(私は)2018年3月青瓦台(チョンワデ、大統領府)で政策講義をした。『所主成(所得主導成長)』を推進真っ只中だった時だ。『趣旨は良いが問題が多い』と指摘すると冷たい反応が返ってきた。20日後、再び張夏成(チャン・ハソン)青瓦台政策室長チームとセミナーをしながら所主成の問題点を指摘すると、秘書官の一人に『資本家の言うことだ。皆、大げさだ。あなたも事実、大げさに騒いでいる』と言われた。文政府初期に保健福祉部長官職を提案されたが断った。入閣すれば間違いなく孤立するだろうと判断した。お金を散布する福祉をするはずなのに、反対すればはじき出されるではないか」

    文氏の取り巻きは、6割が元運動家上がりである。学生時代、学問よりもデモ行進に積極的であった人たちだ。専門知識が希薄であり、メガホンでがなり立てるような扇動的理論(最低賃金の大幅引上げ)に食いついた層が政権を握ったのである。日本では、あり得ない現象である。

     

    (3)「2019年、社会元老として青瓦台に入って大統領に助言した。大統領は一言も言わなかった。別の考えに浸っているのかと思ったほどだった。話の最後に『積弊清算を止めることはできない。正義を立てなければならない』とだけ言った」

    このパラグラフは、文大統領が社会の指導層を大統領府に呼んで、広く意見を聞く趣旨で開いた会合である。この時の様子では、文氏は積極的に議論に加わらず、「聞き及ぶ」という雰囲気だった。文氏は「積弊一掃」を言っただけだという。これが、文大統領の限界である。

     

    (4)「2019年9月初め、チョ・グクが法務長官に就任する直前に会った。私が『(長官は)辞退しろ。国民の逆鱗に触れた』と言うと、チョ・グクは、『私に対する検察捜査や疑惑は事実ではない』とし『大統領との約束を守らなければならない。(長官は)私が選んだことだ。運命だ』と言った。何も言えなかった。大統領がチョ・グクをとても大切にしているのは事実だ。チョ・グクは最近もSNSにコメントを載せて政治的活動を継続している。先日、『静かに釜山(プサン)に帰ろう』とショートメッセージサービス(SMS)でちっ居を勧めたところ、チョ・グクは『私の妻(チョン・ギョンシム教授)があのようになったので(=収監中なので)助けなければならない』と答えた。心が痛い」

    下線のように、文氏はチョ・グク氏を大事に扱っていた。文氏の後任大統領候補と考えていたことは確実である。そのチョ・グク氏は、裁判で次々と悪事が暴かれている。文氏には人を見る目がないようである。「学校秀才」である文氏は、小理屈を並べる人物を好み信頼するという性癖がある。それは、大学では通用しても政治の世界では有害無益である。

     


    (5)「任期が1年残った文政府は、過去4年間のように、憎しみをあおって分裂させる方式を続けるだろう。それ以外には土台がないためだ。私は政治をこのような形で私有化する例を見たことがない。この政権には『公共性』という概念がないようだ」

     

    韓国進歩派の特色は、「身内理論」である。敵と味方を識別して、敵を徹底的に叩き、味方を擁護するものだ。現在の韓国政治は、与党が横暴を極めている。政権にまつわる疑惑捜査を検察にさせない。そういう法制度を作っている。「検察改革」と言われるものがそれだ。歴代韓国政権で、文政権は最低最悪の部類である。これが、韓国を衰退させる。すでに、出生率(合計特殊出生率)は世界最低の記録を更新している。確実に破綻へ向かっているのだ。

     

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