勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    韓国経済が不況局面入りしていることは、今や明白になってきた。政府はなぜか、景気減速に伴う「不況診断」を見送っている。不況を偽装するためだ。韓国上場企業の業績は、すでに惨憺たる状況に追い込まれた。上半期の純利益は半減状態だ。

     

    『中央日報』(8月20日付)は、「韓国上場企業の純利益半減、この8年で最大の減少幅」と題する記事を掲載した。

     

      「アーニングショック」だ。上半期にKOSPI上場企業の純利益が1年前と比較してほぼ半分となった。純利益と営業利益減少幅はこの8年で最も大きかった。売り上げは1年前と比較して事実上足踏み水準にとどまった。米中貿易紛争が激しくなり世界貿易が萎縮し、半導体業績が振るわないためだ。

    (1)「19日に韓国取引所と韓国上場会社協議会が12月決算の有価証券市場(KOSPI)上場企業574社の連結財務諸表を分析した結果、これら企業の上半期の売上高は988兆24億ウォンで、昨年上半期より0.83%増えるのにとどまった。成長できない韓国経済の現実が赤裸々に明らかになった。 収益性は急激に落ち込んだ。上半期にKOSPI上場企業の純利益は37兆4879億ウォンで昨年上半期より42.95%減った。1年間で純利益が半分近く減ったのだ。同じ期間に営業利益は55兆581億ウォンで1年前より37.1%減少した。KOSPI上場企業営業利益と純利益減少率は連結財務諸表を作成し始めた2011年上半期以降最大値だ」

     

    下線を引いた部分がポイントである。売上微増(0.83%)で、営業利益37.1%減、純利益42.9%減。2011年上半期以降で最大の落込みである。売上の増えないことが

    純利益半減の理由である。固定費増で損益分岐点が上昇し、利益を食った形である。主因は、人件費増だ。世界最強の労組にむしり取られたもの。



    (2)「売り上げ規模はそのままなのに利益だけ急減したため売上高利益率も悪化した。上半期の売上高営業利益率は5.57%で前年同期比3.36ポイント、純利益率は3.79%で2.91ポイント下落した。上半期を四半期別に見ると、1-3月期より4-6月期の業績がさらに悪化した。4-6月期の売り上げは503兆9955億ウォンで、1-3月期より4.13%増加したが、営業利益は27兆1706億ウォンで1-3月期より2.57%、純利益は16兆5809億ウォンで20.69%減少した

      
    売上高営業利益率が5.57%と5%台に落込んでいる。企業の「儲ける力」が落ちてきたことを示している。これでは、設備投資をする力も失い、縮小均衡の道を辿るほかない。上半期でも1~3月期と4~6月期を比べると、悪化方向が鮮明になっている。この状況では、下半期のさらなる下降は不可避だ。世界同時不況の足音が大きくなる中、輸出依存の韓国は、痛撃を被る事態になった。

     

    (3)「こうした業績悪化の背景には、急落した半導体景気があるものとみられる。半導体が属する電機電子業種の営業利益は上半期に60.88%減少した。KOSPI時価総額1位と2位のサムスン電子とSKハイニックスの4-6月期営業利益は昨年よりそれぞれ55.63%と88.56%急減し全体の業績を引き下げた」

     

    半導体市況の不振が、業績悪化の背景にある。韓国経済は、半導体だけが支えてきた歪な実態が明白になってきた。日本が、半導体製造の3素材の輸出手続きを厳格化したことに、韓国政府は異常な反応を示した。その理由はここにある。


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    日本では人不足。韓国は就職氷河期。何が、この差を生んだのか。日本は現実重視であるのに対して、韓国は空想の世界に生きている。文大統領は、立派な演説をするが現実性が薄いことばかりだ。自分の言葉に酔っているのであろう。政治家は、理想を語らなければならい。一方、現実に直面する課題解決能力が必須である。文氏には、経済や外交において、その解決能力がないのだ。

     

    夢多き青年が、4分の1は長期に就職できない状況に追い込まれている。文氏が、いくら美辞麗句を並べても、国民に職を与えられない政府は「無用の長物」である。

     

    『朝鮮日報』(8月15日付)は、「青年の4人に1人が事実上ニート 体感失業率は過去最高」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国政府が税金をつぎ込む短期雇用政策で労働市場がゆがめられ、最近は雇用率と失業率が同時に上昇する怪現象が起きている。雇用率と失業率は正反対の動きを示すのが一般的だ。しかし、7月の雇用率は61.5%、失業率は3.9%で、前年同期に比べいずれも0.2ポイント上昇した。失業率は2000年以降で最も高く、失業者数は1999年以降で最高の1097000人だった」

     

    韓国では、雇用率と失業率がともに高まる奇っ怪なことが起こっている。大学院卒業生で就職できない者が政府から補助金を与えられている。形式は「有期雇用」扱いで就業率を高める。この層は、一方で就活もしているので失業率を高めるのだ。文政権特有の雇用にまつわる「カラクリ」が、雇用率と失業率を高めることになった。

     

    (2)「特に60歳以上の失業者が昨年の10万人から131000人へと急増した。高齢者は大半が働く意思のない非経済活動人口に分類され、失業者には含まれないが、政府の高齢者雇用事業に参加しようとする人が増え、失業者が増えたというのが統計庁の説明だ」

     

    韓国統計庁が発表した「2019年5月経済活動人口調査 高齢層付加調査」によると、高齢層(55~79歳)の54.1%が、年金を一銭も受け取っていないことが判明。年金受給者でも、およそ3人に2人は月平均受領額が50万ウォン(約4万5800円)未満で、基礎生活(生活保護)の受給費にも満たない金額です。これでは、60歳以上になっても働かざるを得ない。

     

    (3)「青年層(1529歳)でも同様の現象が見られ、雇用率は44.1%で前年同期を0.5ポイント上回り、失業率も9.8%で0.5ポイントの上昇だった。7月の青年層の失業率は通貨危機当時の1999年(11.5%)以来で最も高い数値だ。特に青年層の体感失業率は過去最高だ。これは青年層の雇用増加の大半が内実を伴わない雇用であることを示している」

     

    青年層は、失業中の「院卒生」に「有期雇用」で資金を与えているので雇用率を高めている。この「引率生」はまた、就活するから失業率を高めるというわけだ。7月の青年層の失業率は通貨危機当時の1999年(11.5%)以来で最も高い状態になっている。

     

    (4)「体感失業率は失業者、就職意思があるが積極的な就職活動を行わない人、短時間働き、それ以上就業の意思がない人などを全て含む広義の失業者と見なす概念だ。7月の青年層の体感失業率は23.8%で、統計を取り始めた2015年以降で最高を記録した。青年の4人に1人が事実上の失業者であり、不安定な職業に就いた青年がそれだけ多いことを示している」

     

    体感失業率は、23.8%である。正業に就けない人たちがこれだけいる。文政権の大言壮語が虚しく響くだけである。

     

    (5)「就職も就職活動もしない非経済活動人口のうち、特別な理由もなく働かなかった人も増加の一途で、7月には2094000人を数え、前年同月を208000人上回った。03年に統計を取り始めて以降で最高だ。特別な理由もなく働かなかったと答えた青年層の人口も過去最大の372000人に達した。過去2年間に10万人も増えた」

     

    就職活動しても職には就けない。そういう絶望感から就職活動しなくなった人たちが約210万人もいる。「雇用政権」を看板にした文政権の公約が泣いている。


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    歴代韓国大統領で、文氏ほど経済知識のない大統領がいただろうか。暗い経済見通しをフェイクニュースと断じているからだ。自らの支持率を上げる目的で、あえてこういう言い方をしているのか。部下たちの「虚言」を真実と信じているのか。後者とすれば、完全に裸の王様になっている。

     

    最低賃金の大幅引上げが、韓国の雇用状態を破壊したことは明白である。それを糊塗するために、財政出動で「アルバイト」を増やし「就業者が増えている」と言い張る。貰った側の大学院生は、研究補助作業をするわけでもなく、就職用の勉強をしているというのが実態だ。無駄な財政支出が増えて効果はゼロ。文氏の「メンツ」維持が、韓国経済を疲弊させている。

     

    『朝鮮日報』(8月14日付)は、「文大統領、『韓国経済の基礎体力は強固』『フェイクニュース』が不安感助長」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は13日の閣議で最近の韓国経済の状況について、「韓国経済の基礎体力は強固であり、根本的な成長は健全だ」と述べた。また、「政府の政策効果で雇用指標が改善し、雇用のセーフティーネットも強化されている」と指摘した。文大統領は最近の米中貿易紛争と日本による経済報復に言及し、「韓国経済の状況は容易ではない」としながらも、全体的な状況には楽観論を展開した。安全保障面に続き、経済問題でもあまりに「希望的な思考」をしているのではないかとする指摘が聞かれる」

     

    文氏は、弁護士出身だ。刑事事件であれば、証拠調べをキチッと行い、検察の主張を崩し被告の利益を守るのが仕事だ。文氏は、法廷で「空理空論」を主張するだけで敗訴になっていただろうか。そうであれば、弁護依頼はなくなって政治家に転身するしかない。そう言いたくなるほど、文氏の主張は虚しい。経済知識がゼロであるからだ。

     


    (2)「文大統領は、「世界的な信用格付け会社による一致した評価が示すように、韓国経済の基礎体力は強固だ」とし、「ムーディーズに続き、数日前にはフィッチも韓国の信用格付けを日本より2段階高いダブルAマイナスに据え置き、格付け見通しも安定的とした」と述べた上で、「外部の経済の不確実性で成長のモメンタム(勢い)が鈍化したが、韓国経済の根本的な成長は健全で、政府の債務比率が低いことによる財政の健全性と通貨・金融までを考慮し、韓国経済に対する信用度が依然として高いと評価したものだ」との認識を示した」

     

    国債の格付けは、元利金の支払い能力を判断しているだけで、将来性を判断材料に加えていない。過去二度、韓国は通貨危機に襲われたが、直前の国債の格付けに問題はなかった。それが一転、ウォン暴落という地獄へ突き落とされたもので、格付け会社は大慌てで格付けを引下げた経緯がある。

     

    既に企業格付けは、大半が引下げ対象であると予告されている。企業格付けが引下げられる状況では、歳入は減って当然であろう。国債格付けにもいずれ悪影響が及ぶのだ。

     

    (3)「格付け会社のフィッチは9日、韓国の信用格付けを上から4番目のダブルAマイナスに据え置いたが、韓国の来年の経済成長率予測を2.6%から2.3%に下方修正した。また、「政府が長期的な財政健全性の管理に積極的に取り組まなければ、現在の信用格付けを維持することが難しい」という異例の警告も発した

     

    格付け会社は、韓国については要注意のはず。過去の格付けで大失敗しているからだ。下線を引いた部分のように、「但し書き」がついているのだ。文氏こそ、都合の悪い点を無視している点で、「フェイクニュース」をつくっている。


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    不況のほとんどは、「老衰型」でなく、「政策ミス」によるものと見なされている。韓国の場合は、100%「政策ミス」によって引き起こされたものだ。例の最低賃金の大幅引上げによって,自営業が追い詰められている。韓国では、雇用に占める自営業の比率が2割にも達している。その自営業が、バタバタと廃業に追い込まれているのだ。

     

    『朝鮮日報』(8月8日付)は、「廃業処理業者『IMFの時より忙しいけれど、笑えない』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「6日午前、京畿道安山市常緑区の中古厨房用品処理業者「甲富厨房」にある5フロア規模の倉庫には中古の冷蔵庫や食器、調理器具であふれていた。それでもスペースが足りず、屋上や倉庫周辺にも中古品が積み上げられていた。同社のパク・チェウォン社長は従業員と共に1トントラックに乗り、ソウル市の鷺梁津に出動した。移動する40分余りの間にパク社長には電話が7本かかってきた。「コーヒーブレンダーも扱っていますか」「氷の粉砕機を処分すれば、20万ウォン(約1万7500円)以上になりますか」など廃業する自営業者の声が隣の座席にまで聞こえてきた」

     

    40分の間に7本の問合せ電話。聞きしにまさる韓国の消費不況を伝えている。「氷の粉砕機を処分」とは真夏の現在、店を閉じなければならない。悲痛である。

     

    (2)「到着したのはソウル銅雀警察署周辺の食堂だった。中年の経営者は「賃料が払えない」と漏らした。3人がかりで1時間半かけ、流し台を取り外し、作業台、冷蔵庫、テーブルなどを撤去した。1トントラックの荷台の3倍の高さまで撤去物が積み上がった。パク社長は食堂の経営者に中古品引き取り代金として80万ウォン(約6万9500円)を手渡し、再びトラックに乗り込んだ。この商売を始めて20年になるパク社長は「自営業者の悲鳴は通貨危機直後よりも今が大きいように思う」と話した」

     

    流し台を取り外し、作業台、冷蔵庫、テーブルなどを撤去した。1トントラックの荷台の3倍の高さまで撤去物が積み上がった「中古品」の買い取り価格は約7万円弱。捨て値であることは分るが、それでも現金化せざるをえない自営業者の苦悩ぶりが伝わってくる。2008年、リーマンショック後に韓国は通貨危機に見舞われて,IMFの緊急融資で救済された。現在の不況は、その当時を上回る深刻さである。

     


    (3)「ソウル市広津区の撤去業者社長は、「景気が低迷し、撤去業に参入する人が押し寄せた。5年前よりも10倍は増えたのではないか」と話した。中古品の価格はおのずと下落する。シンウ中古総合厨房のチョン・マンジェ代表(54)は「消費者も5年以上使った中古品には見向きもしない。3年前には4ドア冷蔵庫が40万ウォンほどだったが、現在は30万ウォンだ。食器洗浄機は40万-50万ウォンから15万-20万ウォンへと値下がりした」と話した」

     

    撤去業者が引き受けた中古品相場は、供給超過で値下がりしているという。食器洗浄機は、3年前に比べ、半値以下になっている。

     

    (5)「廃業業者の社長は、「うちの業界は好況だが、事業に失敗する人を見て笑うことはできない」と話す。チョン代表は「昨年春に狎鴎亭でフランチャイズのカフェを経営していた40代女性の社長からエアコンも設備も全部売るという連絡があった。2億2000万ウォン(約1900万円)かけてそろえたというが、いくら高めに値を付けても1200万ウォン(約104万円)にしかならなかった」と振り返った。同じ女性から1年以内に再び連絡があった。今度は、別のカフェの店舗を撤去してほしいという依頼だったという」

     

    フランチャイズのカフェを経営していた女性経営者が、1年も経たないうちに2店舗を廃業し、設備の撤去を依頼してきたという。いかに末端の消費が落込んでいるかを物語っている。


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    韓国は今、暑い夏がさらに暑くなっている。日本の「ホワイト国」除外に抗議して、日本製品不買運動に燃えている。なぜ、隣国の日本がこういう手を打ってきたか。その原因について考えて欲しいものだ。余りにも、日本と張り合うことばかりに夢中になっており、日本の立場を無視しているからだ。

     

    国と国の関係では、「独り善がり」で日本の反発を受けている。韓国国内では、文政権支持者の利益だけを確保して、他は無視する。これまでの最低賃金の大幅引上げは、大統領選で頑張ってくれた労組への「恩返し」だ。それが、雇用悪化をもたらして失業者を急増させた。こんな状態では就職もままならず、結婚も延期。こうして合計特殊出生率は下げ続けている。文政権になっての下落は顕著だ。

     

    『朝鮮日報』(7月31日付)は、「1.050.980.89…出産率が自由落下」と題する記事を掲載した。

     

    今年の合計特殊出生率が0.89~0.90程度にとどまる見通しとなった。昨年0.98となり初めて1を割り込んだ出生率が、今年は0.9をも下回りそうだ。韓国の合計特殊出生率は徐々に低下し、少子化の悪循環に落ち込んでいる。2016年に1.17人、17年1.05人、昨年の0.98人に続き、今年は0.9も割り込むというのだ。合計特殊出生率とは15~49歳の女性が生涯に生む子供の数のことを言う。

     

    (1)「統計庁が30日に発表した内容によると、今年に入って5月までの時点で生まれた新生児の数は、昨年の同じ期間に比べて7.6%(1万1100人)減少した。統計庁人口動向課のキム・ジン課長は「新生児の数は5月にも大幅に減少し、今年の新生児数は昨年よりもさらに減ると予想されている」とコメントした」

     

    今年の5月の出産が大幅に減少したのは、妊娠時が昨年7月頃であろう。経済要因で思いつくのは、大幅な最賃引上を決定した時期と重なる。国民は、これでアルバイトも減る、就職は難しくなると読んだに違いない。最賃引上は、出産にまで影響したとすれば、文政権は亡国政権と言わざるを得まい。

     


    (2)「今回の出生統計に基づき、今年の人口を暫定的に推計した漢陽大学のイ・サムシク教授は「新
    生児数は29万8200人から30万1740人の間、合計特殊出生率は0.89~0.90程度になるだろう」と予想した」

     

    韓国政府が、出生率低下に危機感を持たないのも不思議である。合計特殊出生率の目標も捨てて、「行き当たりばったり」という無責任な政府になっている。

     

    (3)「統計庁は今年初めに発表した人口見通しで、今年の新生児数を32万5000人、合計特殊出生率を0.94と予想したが、出生率の下落は政府の予想以上に早まっているようだ。児童手当の拡大など、今年は12兆ウォン(約1兆1000億円)の少子化対策が行われているが、その効果が出ていないことになる。新生児数が急速に減少している背景には、景気の悪化による若年層の就職難が深刻化し、8年連続で結婚件数が減少していることが大きな原因とみられる

     

    下線を引いた部分は、文政権が負うべき責任を明確にしている。文政権は、北朝鮮と統一する夢を見ている間に、足下の経済悪化が進行して韓国の地盤が沈下するという締まらない話になった。文政権は、後3年つづく。韓国は確実に将来基盤を食いつぶし、再起不能になるだろう。まさに、「亡国政権」である。


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