勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    中国は、経済の急変が起こっている。中国の李克強首相は、このほど行われた国務院常務会議において、今後「苦しい生活を送る覚悟をするべきだ」と述べた。劉昆・財政部部長(財務相)に続き、李首相は中国国内景気後退について警告した。

     

    中国政府はこれまで、「ハードランディングに絶対しない」と豪語してきた。「ソフトランシング」に自信を見せてきたのだ。その根拠は、統制経済によって不動産バブル崩壊を抑圧できると思い上がっていたもの。世界の歴史で初めて経験する、共産主義経済の不動産バブル崩壊だ。

     

    モーター大手の日本電産は、17日に記者会見した。吉本浩之社長が中国での自動車向け部品の生産が、「11月に30%落ち、12月も同じインパクトがあった」と説明。永守会長は家電向けの部品についても「30~40%落ちた」と語った。また、永守氏は「この変化を甘く見てはいけない。今からもっと悪くなったら、リーマン(ショック)に近いことになっていくのでは」とし、1月以降も厳しい環境は続くと予想した。朝日新聞が17日伝えた。

     

    まさに、「激落」という状況に追い込まれている。過剰債務が、信用機構を直撃しており、企業の資金繰りは一挙に圧迫されている。

     


    『大紀元』(1月17日付)は、「中国李克強首相、『苦しい生活に備えよう』経済失速を示唆か」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の李克強首相はこのほど行われた国務院常務会議において、今後「苦しい生活を送る覚悟をするべきだ」と述べた。劉昆・財政部部長(財務相)に続き、李首相は中国国内景気後退について警告した。『中国政府網』は112日、9日の国務院常務会議では、国内の小・零細企業を対象にした減税措置を決定したと報道した」

     

    (2)「同会議で、李首相は『経済の下振れ圧力が強まるなか、減税はおもに小・零細企業の雇用を安定させるためだ。しかし、減税すれば政府の歳入が少なくなるため、一般的な歳出を削減すべきだ』と述べ、財政が厳しい状況にあると言及した。劉昆・財務相は昨年122728日、北京で開催された全国財政工作会議で、当局が今後『大規模な減税措置を実施する』ために、『政府関係者は今後、厳しい生活に備えなければならない』と話した」

     

    中国は、インフラ投資拡大が債務増加につながり、それが過剰債務の重圧となって信用機構を直撃することに気付き始めた。そこで、大型減税によって景気浮揚を図る方針に転換したが、その財源捻出で大きな壁に突き当たっている。このため、政府機関の冗費節約を命じたものと見られる。それが、「苦しい生活に耐えよう」という呼びかけの背景にある。

     

    中国は、国民を監視するための「管理コスト」が莫大である。それだけ財政負担が大きく膨らむ。景気が反転して下落局面に突入すると、その重圧感が一層高まるはずだ。先進国とこの点が根本的に異なっている。

     

    (3)「中国では、中小・零細企業はほぼ民営企業で約7000万社以上あり、全国企業数の99%を占める。中国国内総生産(GDP)への貢献度は60%以上だ。いっぽう、大型・超大型企業の大半は国有企業だ。国有企業のうち、中央政府の直接監督管理を受ける中央企業は98社。GDPへの貢献度は約32%だ。大紀元コメンテーターの石実氏は、中国最高指導部が相次いで『生活が厳しくなる』と発言したことが、中国経済の冷え込みの深刻さを反映したと指摘した」

     

    全国企業数の99%を占める中小・零細企業が、現在の景気急減速で最大の被害を受けている。この層は、資金繰りも悪化しているだけに事態は深刻である。政策金利を下げれば、資金流出が起こり、人民元安相場となって外貨準備高が落込む。進退に窮した局面に落込んだ。


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    政治は、国民を幸せにするためにある。韓国では、庶民を苦しめる逆転現象が起っている。自らの支持基盤である、労組と市民団体の支持喪失を恐れているためだ。前政権を追い詰めた「ロウソク・デモ」の主導者が、前記の二団体であった。文政権は、支持者を大切にする政権である。

     

    去年と今年で、最低賃金は約30%もの大幅引上である。この直撃を食っているのがコンビニ経営だ。コンビニ従業員の賃金が、店長の給料を上回るという珍現象が起っている。こうなると、夜間で来客の減る時間帯の営業を止めた方が採算的に良くなる。「24時間営業」のコンビが、減少に向かっている。韓国ならではの話である。

     

    『韓国経済新聞』(1月17日付)は、「不況に最低賃金引き上げ、韓国で24時間営業のコンビニ消えゆく」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「コンビニエンスストアのイーマート24は、昨年1313店の新規店舗を出した。このうち店主が24時間営業を選択したのは132店で10%にとどまった。残りの1181店は夜12時から午前6時まで閉店する。イーマート24関係者は、『今年に入って店舗を出した店主のうち24時間営業を選択したところはほとんどない』と話す」

     

    深夜営業は、夜12時から午前6時までを指す。この時間帯のコンビニ営業店が、新規開業のコンビニではほとんどなくなっているという。韓国人が、夜更かしを止めて朝型の生活に切り替えた訳でない。文大統領の「石頭」が、招いた現象である。

     

    (2)「24時間営業の代名詞であるコンビニが深夜時間の営業をやめている。最低賃金、賃貸料などコンビニ運営コストが、急激に上がった上に景気不況まで重なり深夜売り上げが振るわないためだ。イーマート24が、16日に明らかにしたところによると、昨年24時間営業をしていない店舗の割合は77.1%に達した。2017年の68.2%から大幅に増えた。昨年の新規店舗の約90%が24時間営業を断念した影響が大きかった」

     

    昨年、新規コンビニ店舗の約90%が、24時間営業を断念したという。開店早々で、需要動向がしっかり掴めないことも、深夜営業をためらわせているに違いない。

     

    (3)「韓国国内に3700店を展開するイーマート24は、営業時間を店主の自律に任せている。24時間営業時に本社に払うロイヤルティーを下げ、電気料金など補助金を出して24時間契約を最大限誘導する他のコンビニとは異なる。このためイーマート24の24時間営業店舗の割合は、店主の実際の需要を反映する。店主は、最低賃金引き上げが最も負担になると話す」

     

    コンビ店主の話では、最賃の大幅引上げが深夜営業を止める最大の理由という。

     

    (4)「昨年ソウル・登村洞(トゥンチョンドン)にイーマート24を新たに出店した加盟店主は、『最近は夜遅くまで会食したり会合をする人がほとんどおらず、夜10時を過ぎればお客はまばらだ。人件費も出ないと考え夜12時を過ぎたら閉店する』と話した。コンビニ業界1位のCUで24時間営業をしていない店舗の割合は2016年の10%から昨年末には19%まで増えた。GS25で24時間営業をしないと本社に要請した店舗は2016年が182店、2017年が211店、昨年が223店と着実に増加している」

     

    最近のソウルは、夜遅くまで会食したり会合をする人がほとんどいない。夜10時を過ぎればお客はまばらだという。これが、ソウルの夜の風景とすれば、不況そのものと言えそうだ。最賃大幅引上げが、雇用を悪化させそれが回り回って消費者行動すら変えてしまったとなると、景気面への影響は甚大であろう。コンビニ24時間営業が減っている裏で、韓国経済は確実に泥沼にはまり込んでいるようだ。


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    文在寅政権の経済失政は、目を覆うほどである。単なる理念を語るがピンボケであり、労組と市民団体からの受けだけを狙った空虚なものである。これまで、朴槿惠政権を支えてきた野党は、「朴弾劾」で不人気の極にあった。だが、文政権による経済政策の迷走によって、前政権への見直しも進み始めている。

     

    この空気の変化に乗るように、朴政権で首相を務めた黄教安氏が動き出している。最大野党の自由韓国党への入党を発表した。次期大統領選に合わせた動きであろう。

     

    『時事通信』(1月16日付)は、「文政権と戦う強力な党に、韓国の黄前首相が宣戦布告」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国の朴槿恵前政権で首相や大統領権限代行を務めた黄教安氏は15日、保守系最大野『自由韓国党』入党に合わせ記者会見し、『文在寅政権と戦う強力な野党になることが第1の課題だ』と強調、文政権に事実上の『宣戦布告』を行った。黄氏は、次期大統領選への出馬が予想される有力者の支持率調査で、知日派の李洛淵首相に次いで2位につけており、文大統領の支持率が下落する中、『台風の目』となる可能性もある」

     

    黄氏は、検察出身であり朴政権では法務大臣を務めた後、首相に就任した。朴前大統領が弾劾されたため大統領権限代行を務めた。前回の大統領選に出馬を勧める声もあったが固辞、朴政権の一員としての責任を全うすると発言するなど、一本筋を通してきた。

     

    文在寅氏の支持率が低下する一方で、北朝鮮への無節操な妥協が、保守派の不安を高めている。保守派は、次第に力を盛り返しており、今後の韓国経済が失速すれば、保守派の野党への期待も高まるであろう。

     

    前首相の最大野党への入党の一方で、与党「共に民主党」から、元大統領の故・金泳三氏の次男が離党する動きもあった。こちらは、文在寅政権への不満から離党したもの。

     

    『中央日報』(1月13日付)は、「金泳三元大統領二男、政策に役立たない与党からの離党を表明」と題する記事を掲載した。

     

    金泳三元大統領(故人)の二男の金賢哲(キム・ヒョンチョル)金泳三民主センター常任理事が12日、入党から約1年8カ月ぶりに「共に民主党」を離党する意向を明らかにした。 金理事はこの日フェイスブックで、『文在寅大統領に』という手紙形式の文を通じてこのように明らかにした後「足りない私はこれ以上現政権の政策と方向に全く役に立たないと判断し短い民主党生活をたたもうと思う」とした。以下は、フェイスブックでの全文である

     

    これは、文政権がいかに国民の期待に応えていないか。それに深く失望している様子が描かれている。

    (1)「彼は、『国家存亡の問題である北朝鮮との完全な非核化を通じた究極的な南北統一の問題を彼らの見方でなくわれわれの見方で必ず見つめなければならない。その過程で発生するすべての不協和音は持続的な疎通を通じて解いていかなければならない』と強調した」

    南北の不協和音は、持続的な接触による意思疎通が必要としている。もっと、慎重に対話を進めろという意味かもしれない。


    (2)「続けて、『いわゆる雇用創出に向けた方法の衝突は多くの企業と国民が合理的に望む方向を探すべき。現政策の問題点が繰り返し指摘され実際に経済に及ぼす影響が多大ならばいまからでも果敢に政策修正を通じた経済活性化で先に立たなければならないだろう』と頼んだ」

    最低賃金の大幅引上げは、弊害が出ている以上、果敢に政策修正が必要である。


    (3)「また、『そのほかに脱原発問題もわれわれの環境問題だけでなく持続的な戦略産業の育成次元でかけ離れた政策ミスが発生しないよう管理していかなければならないだろう』と強調した」

    原発廃止も政策ミスを犯さないようにすべきだ。戦略産業としての原発について再検討するように求めている。

     

    (4)「彼は、『私の父もそうだったが、とても意欲的に働くのは良いが周辺の多くの人たち、側近だけでなく野党とも絶え間ない対話を通じ積もっているさまざまな難題を賢く解いていくよう心から望む』とした」。

    側近だけと話すのでなく、野党や国民との対話が必要である。

     

    (5)「彼は、『私は率直に現在多くの国民が当初期待していた現政権の変化と改革が成功裏に終わることを心より望む。これ以上不幸な大統領の悪循環を見たくない』と話した。その上で、『任期が終わるまで初心を失わず、ばらばらになった国民の傷ついた心をひとつにまとめられる知恵を発揮することを切実に望む。どうか人間らしい暮らし、国らしい国ができるよう単に現政権だけの問題ではない国の成否がかかった切迫した問題として認識するよう望む』と呼びかけた」

     

    文政権は、失敗の政権に終わることを警告している。「これ以上不幸な大統領の悪循環を見たくない」と微妙な発言をしているが、このまま行くと、国民の不満が溜まって弾劾の動きが起ると言っているのか。あるいは、次期大統領選で保守派が勝利を収め、再び「積弊追放」で文政権の要職者が司法の手にかかる危険性を示唆しているのか。

     

    最後は、「どうか人間らしい暮らし、国らしい国ができるよう単に現政権だけの問題ではない国の成否がかかった切迫した問題として認識するよう望む」としている。文政権を支持している労組や市民団体にだけ顔を向けた政治を批判しているようにも見える。

     

    文在寅氏が大統領就任後、満2年にもならない時点で、これだけの欠陥をもつ政権である。それに愛想を尽かして離党するのだろう。深刻に受け止めるべきだ。


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    中国が、世界覇権計画の一環として取り組んできた「一帯一路」は、あちこちで綻びを生じている。もともと、中国の利益確保が第一目的で、相手国利益は二の次であった。相手国政権を賄賂で誘導する中国得意の戦略が、今ことごとく失敗している。選挙民の反発によって、中国と結託した政権が倒れているからだ。

     

    いったんは成功したかに見えた「一帯一路」が、次々と瓦解している。大規模開発ではすでに、マレーシアが中止に成功した。今や、パキスタンがこれに次ぎ、石炭火力発電所(建設費600億ドル)の建設中止を決めた。

     

    『大紀元』(1月16日付)は、「中パ経済回廊、パキスタン、6兆円の石炭発電プロジェクトを保留」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「財政難にあるパキスタンは、中国との国境付近の開発地域・中パ経済回廊で予定された600億ドル(約6兆円)規模の石炭発電プロジェクトの保留を決めた。供給電力が「すでに十分確保できる」ため、計画の見送りを中国側に伝えたという。現地英字メディア『ダウン』(14日付)が報じた」

     

    中国融資を主とする開発計画の中パ経済回廊は、中国北西部の新疆ウイグル自治区カシュガルと、アラビア海に面するパキスタン南西部のグワダル港を結ぶ3000キロ地域一帯を指す。この中パ経済回廊で、最大の受益者は中国である。パキスタンに資金を負担させ、中国の業者が建設を請け負うという、「中国の、中国による、中国のための」一帯一路計画である。パキスタンが現在、その矛楯に気付いて反旗を翻している。

     

    3000キロの幹線道路の整備のほか、ガスパイプライン、ダム、風力、石炭、太陽光の各種発電施設、港湾と空港、通信インフラなど数十の開発計画がある。パキスタンの財政では建設はとうてい無理である

     


    (2)「保留となったのは、同国北部パンジャブ州で中国輸入の石炭により1320メガワットを生産するラヒム・ヤカーン石炭発電プロジェクトである。報道によると、イムラン・カーン現政権は、向こう数年間に供給できる発電容量は十分に確保できるため、この大型電力プロジェクトにはすでに関心がなく、保留することを中国側に伝達したという」

     

    火力発電所の建設に600億ドル(約6兆円)もかかるという。今後、数年間の電力需要を賄える供給体制を確保したので、今回の発電プロジェクトが不要になったというもの。パキスタン財政にとって、600億ドルの負担は死活的なものだ。危ういところで、中国の食い物になるところだった。

     

    (3)「政府筋は、『全く必要のないプロジェクトで、すでに悪化している電力部門の財政の負担になる』と語った。2018年8月に発足したカーン政権は現在、中パ経済回廊の関連プロジェクトを含む公共事業計画を大幅に見直している。記事は、政府関係者の話として、内閣は公共開発計画から『政治的な動機付けによる』400あまりのプロジェクトの削除を固く決意している、と報じた」

     

    パキスタンの400余りのプロジェクトが、「政治的動機」の一帯一路計画であるという。中国政府の悪だくみが、新政権の手で暴露されている。中国が、血も涙もないやり方で財政困難国にさらなら負荷をかけて隷属化させる。これは、「新植民地主義」の表れである。中国は、こうやって周辺国の信頼を失ってゆくのだ。

     


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    北朝鮮の金正恩委員長は、中国の国家主席習近平氏と会談する際、必ずメモを取っている。生徒が先生に教えを請う形であり、首脳会談には似つかわしくない光景だ。中国のTVは、この場面を意図的に繰り返し流し、中国の優位性を誇示している。

     

    金正恩氏は、今回も特別列車を利用して訪中した。その理由について、いろいろと取り沙汰されている。帰途、土産物を沢山積み込む必要上、特別列車を仕立てているというのだ。経済制裁中で、中国は北朝鮮への輸出が制約されている。ところが、列車に積めば税関を通すわけでもなく、遠慮なく北朝鮮へ「禁輸品」を持ち込めるという解釈である。

     


    『朝鮮日報』(1月14日付)は、「習近平主席の言葉をメモする金正恩委員長」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のアン・ヨンヒョン論説委員である。

     

    (1)「金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は先日、66年前の金日成主席と全く同じ服装で4回目の中国訪問を行った。しかし中国側の対応は当時と全く違っていた。中国の最高指導部とされる共産党政治局常務委員7人のうち、金正恩氏と食事をしたのは習近平・国家主席と王滬寧書記の2人だけだった。金正日(キム・ジョンイル)総書記の時も常務委員全員が会談や食事に同席していた。金正恩氏は中国を4回訪問したが、常務委員全員と食事をしたことはまだない。中国は北朝鮮との上下関係を明確にする儀典をすでにはじめているようだ」

     

    中国は、金正恩氏を迎えるに当たり「臣下」という扱いをしている。格下扱いだ。金日成や金正日の時代は、中国最高指導部の常務委員全員が会食に出席した。正恩氏の場合、習近平国家主席と王滬寧書記の2人だけだという。北朝鮮は、中国の庇護を求めて行動しているのだからやむを得まい。

     

    (2)「中国国営テレビ(CCTV)は今回の中朝首脳会談を報じる際、金正恩氏が習主席の言葉についてメモを取る様子を意図的に34回映し出した。中国の国家主席が地方の官吏を指導するような光景だ。金正恩氏は北朝鮮では神にも等しい立場にあるため、誰かの言葉をメモする様子など想像もできないだろう。CCTVは金正恩氏が習主席の歓迎に感謝の意を伝えたと報じたが、その歓迎と関心については『関懐(配慮や思いやり)』という言葉を使っていた。上の立場が下の立場に示す関心と配慮に感謝したという意味だ。金正恩氏をさりげなく『下の人間』と表現していたのだ」

     

    今の北朝鮮は、中国をバックに米国と首脳会談をしようという苦肉の演出だ。中国には、米国への橋渡しを依頼し、経済封鎖の一部解除を実現すべく助力を依頼している。問題は、北朝鮮が本当に核放棄の意思があるのか。時間稼ぎの手段に使っているのか。そういう疑惑が付きまとっている。

     

    実は、金正恩氏の発言や周囲の状況をAI(人工知能)で分析したところ、「北朝鮮は『核・経済並進路線』を放棄しておらず、2020年に核保有国になることを目指しているとの結果が出た」(『朝鮮日報』1月4日付)。この分析方法は、2016年に米国の大統領選挙でトランプ大統領の当選を予測したことでも知られるという。システムダイナミクスは複数の事象間の動態的な関係を把握し、それを視覚化する理論である。

     

    外交交渉で、AIが登場したのは珍しい。ついでに、日韓対立の結末をこのAIによる分析では、どういう形になるかぜひ聞いて見たいものだ。

     

    (3)「中国は韓国に対しても同じように扱っている。中国は国内でさほど職責が高くない人物を駐韓大使として送り、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国に派遣した特使は2回もテーブルの下座に座らせた。香港行政長官や地方官が習主席に報告をするのと同じような席の配置だ。これに対して同じ頃に中国を訪問した日本、ベトナム、ラオスの特使は習主席と対等に並んで座った。文大統領自身も訪中の際には露骨な形でぞんざいに扱われた。中国が韓国を飼い慣らそうとする意図が明らかだ」

     

    中国は、北朝鮮のみならず韓国も「格下」扱いをしている。韓国は、中国へ卑屈になっているのと対照的に、日本へやりたい放題である。日本は、中国のように露骨な対応を韓国に対して行なわないことが、逆に韓国を増長させているのであろう。韓国には、「忖度」という相手の心を思いやる繊細さがないのだ。


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