習近平氏の「合い言葉」は、中国再興である。軍事強国になって、周辺国を屈服させる夢を描いているが、足元の大地は汚染で悲鳴を上げている。強国となる前に、人災によって国土が疲弊し、食糧生産は一段と下がる運命で疲弊する。
元凶は、環境破壊である。経済成長を急ぐ余りに、環境保全を忌避した結果だ。文字通り、「中国の給水塔」とも呼ばれる長江、黄河、澜沧江の発祥の地である「三江源」上流では、確実に砂漠化が進んでいる。これが、中国の生態系状況や経済発展に重要な影響を与えているのだ。
すでに、2020年から中国の食糧輸入量は急増している。大豆の自給率は、15%まで下がったのだ。中華料理に欠かせない大豆油。台湾侵攻による経済封鎖で、大豆輸入はストップする。戦争などしている余裕はないのだ。
『大紀元』(11月5日付け)は、「禿げ山が人工的な緑に覆われ、調査記者 中国共産党の環境破壊を暴露」と題する記事を掲載した。
中国の調査ジャーナリストは、中国本土の環境の悪化は衝撃的で今後、何十年も回復しない可能性もあるという。
(1)「中国政府生態環境部副部長の翟青氏は、党大会中の記者会見で、過去10年間の「習近平と生態文明の思想」の指導の下、中国の生態環境保護が全面的に前進していると述べた。この公式発表について、中国大陸の調査記者・趙蘭健氏は10月23日の大紀元の取材で、中国の大気汚染、地下水汚染、土壌汚染などはいずれも「衝撃的な水準」にあると指摘した。人々の反公害デモは弾圧され、調査記者は黙殺され、環境部高官だけが虚構を語っている」
生態環境部副部長の翟青氏は、中国が世界で最も早く大気の質を改善した国になったこと、7億7000万人分の飲料水の安全性評価が向上したこと、300種類以上の希少・絶滅危惧野生動物・植物の復元と個体数の増加など、数多くの成果を主張した。だが、現実の中国の環境は劣悪な状態に置かれたままだ。
(2)「趙氏は、中国の長江、黄河、青海、チベット、内モンゴルなどの生態系の状況を10年かけて調査し、略奪的開発モデルが自然環境に与える惨状を目の当たりにしてきたという。2018年、趙氏は青海省南部のチベット高原にある三江源の各地に現地調査に赴き、多くの新しい砂漠の広がりを目の当たりにした。過去の地図と比較すると「この砂漠はここ30年の間に形成されたことがわかった」という。30年前は、墓地や沼地だった。「この砂漠の存在は、少なくとも三江源流域の生態環境が30年前と比べ衝撃的に変化していることを証明している。専門家にも話を聞いたが、三江源流上流の砂漠化が、実は上海や長江水系全体の水不足を引き起こしているとの見方もある」と趙氏は言う」
チベット高原にある中国の水源地「三江源」は、30年間に大きく砂漠化が進んでいる。かつて、墓地や沼地であった場所が砂漠に飲み込まれているのだ。これが、上海や長江水系全体の水不足を引き起こしていると診断する。
(3)「三江源は、文字通り「三江の源」を意味し、長江、黄河、澜沧江の発祥の地である。「中国の給水塔」とも呼ばれ、中国の生態系状況や国家経済の発展に重要な役割を果たしている。「長江や黄河、多くの水系が寸断されるなど、中国の生態環境が悪化していることは、誰の目にも明らかだ」。「水系の断絶は、河川沿いの農業、畜産業、漁業の発展にも影響を与える。したがって、これらの環境問題については、政府のスローガンがいかに優れていても、現実は誰の目にも明らかである」と指摘」
すでに今年、黄河は異常渇水に見舞われた。川底がゴロゴロと露出して、船の運航も止まる事態に見舞われた。これからは、この渇水状態が常態化する危険性も考えられるのだ。
(4)「趙氏の2014年報告書は、衝撃的なテンガ砂漠の汚染を明らかにした。地元の牧童たちは、砂漠の後背地に汚水池が出現し、地元企業が未処理の排水を汚水池に流していることを指摘した。彼の記事と写真はその後、政権によってインターネットから削除された。中国は2014年以降、メディアに対する統制が強化され、調査報道が厳しく弾圧されている。同時に、中国各地で数万人規模の大規模な反汚染デモが相次いで発生したが、いずれも中国共産党の軍と警察によって残酷に弾圧されている。中国の9割の都市の地下水は、企業による汚水の地下深部への排出により汚染されている。ある公益活動家は
「中国ガン村マップ」を作成した。公害のため、全国に数千のガン村があると趙氏は言う」
習政権は、2014年以降に厳しい情報管理を行なっている。中国各地で発生した数万人規模の大規模な反汚染デモは、弾圧されている。事態は隠蔽されているのだ。だが、環境破壊の現実は、必ず結果して違った場所に出てくるもの。異常気象や食糧不足がそれだ。
(5)「趙氏は、「習近平が緑の山河を提唱したが、地方政府は緑の山を復活させることができないでいた。その結果、山の上からプラスチック製の人工植物が何層にも広がって、禿げた山が人工的な緑の山になり、緑の山に緑のインクやペンキを吹き付けたところもたくさんあった」と述べた。彼は、「中国の自然環境全体の破壊、観光資源の破壊、生態資源の破壊は、今後数十年、あるいは数百年の間には回復しないかもしれない」と述べた」
禿げ山にプラスチック製の人工植物を植えて擬装する。まさに、漫画である。この中国が、これから何ごともなく発展できるはずがない。あらゆることで、「因果応報」という合理的な結果は避けられない。「衰退」の二字が、待ち受けているのだ。