勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    外国人投資家が、韓国株を21営業日連続で売り越しである。異常なことが起っている。韓国の異変を嗅ぎつけているのであろう。本欄ですら毎日、韓国に未来はないと言い続けているのだから、鋭敏な海外投資家が手仕舞って撤退するのはやむを得まい。米朝の対立も一因であろうが、他はすべて文大統領の不手際が生み出したことだ。

     

    『朝鮮日報』(12月6日付)は、「韓国だけを売る外国人投資家 21営業日で5兆ウォン」と題する記事を掲載した。

     

    外国人投資家の韓国離れが尋常ではない。5日のソウル株式市場では外国人による売り越しが688億ウォン(約63億円)に達した。117日に始まった連続売り越し日数は歴代5位の21営業日に達した。この期間に外国人による売り越しは累計で5兆ウォンを超えた。同じ期間に外国人が台湾株式市場で約7兆ウォンを買い越したのとは対照的だ。6日も外国人の売り越しが続けば、2015122日から1615日に記録した22営業日連続の売り越し(歴代4位)に並ぶ。歴代最長記録は世界的な金融危機が起きる直前の200869日から723日までの33営業日連続だ。

     

    (1)「専門家は外国人の売りが続く理由として、まず外部要因を挙げる。ハイ投資証券のアナリスト、パク・サンヒョン氏は「11月にMSCI指数のリバランシングによる影響が大きい上、米中貿易交渉の不確実性、香港問題に関連する不安感の拡散なども無視できない不確定要素として作用した」と分析した。さらに米国と北朝鮮が最近互いに「武力使用もあり得る」と緊張を高めていることも韓国株式市場に悪影響を与えた。NH投資証券のアナリスト、ノ・ドンギル氏は「米国と北朝鮮の首脳が鋭く対立しており、今月中旬になると地政学的リスクがさらに高まる可能性がある」と指摘した」

     

    このパラグラフでは、外部要因として米中貿易戦争の行方が分らないことと、米朝の対立が次第に激しくなろうとしている点を上げている。ただ、外国人投資家の売越しが、11月7日に始まった点を考えなければならない。この頃は、前記の二点がそれほど鮮明になっていなかったことだ。本質は、次に指摘する韓国経済の抱える脆弱性が嫌気されてきたと見るべきだろう。

     

    (2)「韓国経済に対する否定的な見方も一因だ。韓国の信用格付け会社、ナイス信用評価が4日発表した「2020産業見通し・産業リスク評価結果」によると、評価対象40業種のうち、来年の業況が今年よりも改善するとみられる業種は皆無だった。主力輸出品目である半導体の業況改善が遅れるとの分析も聞かれた。スタンダード・アンド・プアーズ(SP)アジア太平洋企業格付け担当理事のパク・ジュンホン氏は「半導体の業況は来年半ば以降、小幅な回復はあり得るが、本格的な回復とは言えない」と予想した。ノ・ドンギル氏も「韓国株式市場から外国人が離脱するのは米中貿易交渉の雑音だけでなく、半導体の業況改善が遅れるという見方が重なったからだ」と分析した。外国人の売り越しが始まった117日以降、外国人はサムスン電子、SKハイニックスの株式25000億ウォン相当を売り払った」

     

    韓国経済は輸出依存度が4割強もあること。その主役が半導体であること。このことから言えば、韓国経済は半導体市況に左右されるきわめて脆弱な体質である。来年の韓国産業40業種で、回復予想業種がゼロとは情けない。これでは、株価が失速して当然であろう。

     

    (3)「専門家は外国人が韓国株式市場に戻ってくるためには特別なきっかけが必要だとの点で一致している。今月15日に予定される米国の中国製品に対する追加関税適用が契機になるという期待混じりの見通しが聞かれる。関税適用までに米中貿易交渉が妥結するか、少なくとも米国が関税適用を猶予するなど和解の手を差し伸べれば、外国人が戻ってくるとの見方だ。元大(ユアンタ)証券のアナリスト、チョ・ビョンヒョン氏は「外国人の売りが落ち着くかどうかは、結局は貿易紛争の緩和と世界貿易の回復可能性に帰結する」と指摘した」

     

    米中貿易戦争の行方がどうなるか。これが上手く言えば、外国人投資家が戻りも期待できるかも知れない。しかし、国内経済が総崩れであり、不安心理が充満しているという悪条件に変わりない。限定的な戻り相場でなかろうか。韓国の政治不安(大統領府の地方選介入疑惑など)も、投資家心理を悪化させる要因だ。文政権の無能力がはっきりしてきたことも株価の不安を煽っている。

    テイカカズラ
       

    専制国家・中国の脆さが、今回の香港区議会議員の壊滅的な敗北に表れている。中国最高指導部は呆然としており、どのように対策を打ったら良いか分らない状況という。監視カメラで、国民の動向はすべて監視できても、心の中は読めなかったという「痛快」な話だ。

     

    『大紀元』(12月5日付)は、「習近平氏、フェイク情報で情勢誤認、香港選挙大敗にショックを受けているー中南海高官」と題する記事を掲載した。

     

    11月、香港の区議会選挙では民主派が85%の議席を占める圧勝となった。北京上層部に近い消息筋は香港大紀元に対して、習近平国家主席が「惨敗」にショックを受けていると明らかにした。また、香港情勢について中国指導部に判断の誤りがあり、「これといった解決策もない」と考えているという。

     

    (1)「香港大紀元は123日、北京の政治中枢である中南海の高官からの情報を独占入手した。それによると、習主席は香港の選挙結果にショックを受けている。中南海(注:中国最高指導部)はいま、混乱の最中にあるという。また、共産党指導部の判断ミスは大きく、対策を見つけることができないという。香港区議会議員選挙の前、海外と香港の中国専門家は、中国共産党が建制派(親中派)の「不利な情況」のために、選挙を取り消すかもしれないと推測していた」

     

    香港区議会議員選挙は、共産党の大敗北に終わった。原因は、民主主義社会の「民意」を掴めなかったことだ。独裁国家の政治システムは、民意を強権発動で動かせる。民主社会の政治システムでは、市民一人一人の意思が生かさせる。習近平氏は、個人の力の恐ろしさを知ったはず。選挙結果に呆然としたのは当然であろう。

     

    (2)「選挙は予定通りに行われた。消息筋によると、林鄭月娥長官が、選挙を取り消せば内外からの批判がさらに高まることを懸念したという。情報筋によると、区議会議員選挙の期間中、中連弁(中国共産党政府の駐香港連絡事務所)と香港マカオ連絡事務所、林鄭長官は「選挙に勝てる」と状況を誤って判断し、中央政府に報告して、予定どおりの選挙実施を要請したという。また消息筋は、中国政府の選挙の事前予想では、1票を500元(約8000円)で買収することができるため、その買収分は前回選挙の3倍多い120万票を親中派(注・建制派)に確保できると見積もった

    得票数は次の通りである。

    民主派 167万3991票

    建制派 122万0939票

     

    建制派(親中派)は、買収によって122万票を確保した。だが、これまで投票を棄権してきた人たちが、怒りの一票を民主派に入れて、習近平氏らの指示で動く建制派を圧倒したのだ。これが、民衆の怒りの持つ恐ろしさである。なぜ、建制派が122万票を得て大敗北したのか。買収が、薄く広く行なわれ、議席に結びつかなかったことだ。          

     

    (3)「1124日の投票日に、中連弁の職員が早朝、投票所に向かう途中、親中派が多いとされる高齢者が投票所に行っているのを見て、「建制派の優勢」を北京に伝えたという。少なくとも7つの親中派の香港メディアが、選挙の「建制派勝利」の下書きを済ませていた。中連弁が「勝利」とメディアに伝達していたからだという」

     

    建制派は、買収による120万票で民主派を圧倒できる、と自信を持っていた。民衆は、それを上回るエネルギーで建制派を排除した。ここに、市民の怒りがどれだけ大きかったを物語っている。

     

    (4)「消息筋によると、いま、香港の選挙結果を受けて、共産党上層部は依然として「どう処理すべきかわからない」状態だという。この消息筋は、中南海の決定は、選挙の2週間前に起きた、中文大学と理工大学の「占拠」および道路やトンネルの閉鎖という抗議活動により、市民の不満は頂点に達していると考えていた。「なぜ大敗という事態に陥るのか」と、信じがたい結果だという。実際、学生たちは大学から撤退する際にも香港警察の暴力に遭い、撤収できない事態にあり、10万人の市民が物資を送ったり車両やバイクで送迎したりして、学生たちの退出に尽力したとされる」

     

    共産党上層部が、今後の敗戦処理で対策が見つからないという。専制主義者が、民主主義の精神を理解できない結果だ。中国本土でも、取り返しのできない過ちに陥っているはずだ。監視カメラで、人間の心を支配できないことを知るべきであろう。

     

    (5)「『フィナンシャル・タイムズ』は10月、中国共産党と30年近い交流を持つ米国高官が最近、訪中し、「政治局員を含む上層部は下から偽の情報を受け取っている」ことに驚いた、と報じた。「非常に質の悪い情報しか届いていない。下の人が嘘ばかりついている」。報道は、習近平体制後、中国共産党は権威主義システムを強化し、反体制派を抑圧し、インターネットなどで情報検閲と統制を行っていることに原因があるとした。また、下から上への報告は、上層部が「聞きたい話」しかないという」

     

    香港区議会議員選挙の民主派勝利は、共産党政治の限界を示している。これで、共産党政権下の中国本土で、選挙が行なわれる機会は永久にあり得ないことを示唆している。これは、中国共産党が、一段と国民から乖離した存在になることを示す。最後は、「野垂れ死に」しかないことを意味するのだ。習近平氏は、中国再生の機会を奪った張本人である。

     

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    12月4日のウォン相場は、1ドル=1200ウォン目前の1194ウォンまで下げている。この裏には、韓国経済が「50年ぶりの不況」という見方が海外で報じられていることが響いている。ウォン相場が再度、1200ウォン割れを起こすと、ズルズルとウォン安へ引っ張られるリスクが高まる。韓国経済が、関門に立たされていることは疑いない。

     

    韓国経済を見る上で注目すべきは、ウォン相場である。過去2回も通貨危機を招いていうことは、今も不気味である。韓国は、外貨準備高が当時と違って手厚くなっていると強弁する。一方で、輸出依存度がGDPの38.1%(2018年)にも達している現実は、異常な高さと言うほかない。海外経済動向に強く左右される構造だ。米中貿易戦争の影響を全面的に受けているほか、半導体市況の急落も響いた。

     

    米中貿易戦争については、トランプ大統領が通商協定を急がないという姿勢を見せ始めた。米国にとって、中国は最大の貿易相手だったが、米国との貿易摩擦が1年5カ月にわたり続いている。トランプ氏は3日、中国との通商合意について「期限はなく」、来年の大統領選の「後まで待つという考え」が良いと思うと発言し、株価が急落した。これは、韓国ウォン相場にマイナスの影響を与えるだろう。

     

    『朝鮮日報』(12月4日付)は、「韓国経済、『過去50年で最悪』海外の懸念」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「消費者物価や輸出入物価などを総合的に反映したGDPデフレーターが今年79月期にマイナス1.6%を記録し、史上初めて4四半期連続のマイナスとなった。経済の委縮が続いていることを示している。物価が緩やかに上昇し、経済が成長するのが正常だが、韓国経済は物価が下落し、経済規模も縮小するという病人のような状況だ。経済が活力を失い、成長動力が委縮する構造的低迷の典型的な様相と言える。一度デフレ心理が形成されると、取り返しがつかなくなり、経済を回復不可能な状況へと追い込みかねない。それがデフレを経験した国々の教訓だ。「失われた20年」を経験した日本が代表的だ」

     

    GDPデフレーターは、綜合物価指標である。名目GDPは、このGDPデフレーターによって、実質GDPに換算される。そういう意味で重要な役割を果たしている。中国のGDP統計では、GDPデフレーターを悪用して、実質GDPを高めに引っ張り上げている。

     

    GDPデフレーターがマイナスであることは、韓国経済の「体温」が急激に下がっている証拠である。日本経済もこの苦しみを熟知している。日本はバブル崩壊という理由があった。韓国には、それが見当たらない点で不気味である。「老衰経済」とでも形容するほかない。

     

    (2)「79月期のGDP成長率は0.4%にすぎなかった。このままでは今年の成長率は1%台にとどまる可能性が高い。オイルショックや通貨危機のような外部からの大きな衝撃がないにもかかわらず、1%台を記録するのは初めてだ。輸出は12カ月連続で減少しており、先月には投資、生産、消費が同時に減少する「トリプルマイナス」も記録した。来年も成長率が2%前後にとどまるとの見方が圧倒的だ」

     

    今年のGDPは、2%割れという見通しが海外で強まっている。韓国の潜在成長率は、2.5%見当であるから。この差が、高い失業率となって表れる。潜在成長率を下回る経済運営を行なっていると、さらに潜在成長率を引下げるという「負の相乗効果」が出てくる。これが、警戒すべき点である。

     

    (3)「英『フィナンシャル・タイムズ』は、「韓国経済が半世紀で最悪の状況に直面した」と伝えた。信用格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(SP)は「韓国経済は来年も低成長基調が続くとみられる」とした。それでも韓国政府は経済再生ではなく、選挙で票を集めるための経済政策ばかりを繰り返している。税金をばらまき、成長率や雇用の数字を押し上げようとしている。選挙用の粉飾にすぎない。今度は税金も足りなくなり、数十兆ウォンの借金までするという。企業は労組の横暴、規制の壁、週52時間上限労働などで悲鳴を上げている。住宅価格を抑制しようと強行した政策がかえって住宅価格を押し上げる真逆の効果を生んでいる。それでも自画自賛しているのだから本当に一大事だ」

     

    文政権が、こういう経済的に厳しい局面で登場したのは、歴史的な悲劇と言うほかない。経済的な実証の裏付けのない、「理念先行」の経済政策に取り憑かれているからだ。文政権は、国民に対して誠実な政府と言いがたい。この無謀な政策の穴埋めに、財政を湯水のようにつぎ込んでいる。まさに、二重の誤りを冒しているのである。 

    あじさいのたまご
       

    韓国は、政治的に未熟な国である。検察が、大統領府を家宅捜査したことに、大統領府と与党が怒り狂っているというのだ。これを、側面から応援するような『ハンギョレ新聞』にも失望を禁じ得ない。『ハンギョレ新聞』は、文政権支持のメディアであることは有名だが、普段は論理的な記事を書くのに、大統領府が家宅捜査という「一大事」では俄然、本領を発揮して政権擁護に回る。恥ずかしい報道である。

     

    事件の顛末は、次のようなものだ。

    『聯合ニュース』(12月4日付)が、側近の監察もみ消し疑惑」と題する記事を掲載した。
     

    (1)「韓国のソウル東部地検は4日、柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市経済副市長への監察打ち切り疑惑と関連し、青瓦台(大統領府)秘書室を家宅捜索した。柳氏は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の盟友である故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が在任当時、盧氏の随行秘書などを務めた人物。先月末、収賄容疑などで逮捕された」

     

    柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市経済副市長の賄賂事件が、大統領府の関与で捜査が打ち切られた経緯を捜査しているもの。盧武鉉元大統領と深いつながりがあるとされている人物の疑惑である。それだけに、大統領府が関与したのでないかた疑がわれている。

     

    (2)「2017年に青瓦台・民情首席室の特別監察班が柳氏の不正情報を入手して監察を行ったが、上層部の指示で監察が打ち切りとなったとの疑惑が持ち上がっている。当時はチョ国(チョ・グク)前法務部長官が民情首席秘書官を務めていた。 同地検は「軍事上の秘密の保持が求められる大統領秘書室の家宅捜索はその責任者の承諾が必要だ」として、「対象機関の特殊性から、家宅捜索の方法は対象機関の協力を受け、任意提出を受ける形で必要な資料を確保する」と説明した」

     

    下線部分は、この疑惑事件が政権上層部と繋がっているのでないかと疑っている。事件が途中でもみ消されたのでないかと今回、検察が本格的な捜査に乗り出したもの。

     

    (3)同地検は17年当時、柳氏への監察がどの程度まで進められていたかなどを確認できる資料や報告書などを確保しようとしたようだ。柳氏への監察が原因不明の理由で打ち切りになったとみて、監察をもみ消した人物の特定に力を入れている。また、チョ氏や与党「共に民主党」のシンクタンクである民主研究院の白元宇(ペク・ウォンウ)副院長(当時は民情秘書官)らが会議を行い、柳氏の監察の打ち切りを決めたとの疑惑についても調べている同地検は昨年12月、特別監察班が民間人の監視・情報収集などを行っていたとの疑惑に関連し、民情首席秘書官室の反腐敗秘書官室と特別監査班の事務所などを家宅捜索した」

     

    これだけ明白に、疑惑の証拠が取り沙汰されている。疑惑があれば、捜査するのが常道であろう。この捜査という「「常道」が、大統領府・与党・ハンギョレ新聞には不愉快千万としている。文政権の権威も地に落ちたものだ。

     

    『ハンギョレ新聞』(12月4日付)は、「『検察は何も変わっていない』信頼も限界に沸き立つ与党・大統領府」と題する記事を掲載した。

     

    (4)「大統領府を正面から攻撃するような様子を見せている検察の捜査に対し、大統領府と与党が沸き立っている。大統領府の怒りは、ユ・ジェス前釜山市経済副市長の監察もみ消し事件よりも、「民情秘書官室地方選挙介入疑惑事件」に向かっている。特に、選挙介入を既成事実とするような話が検察側から流れており、検察の取り調べを受けた元特別監察班員が自ら命を絶ったことで、大統領府と与党が攻勢に転じている。共に民主党は、早ければ今週末に任命される見通しの法務部長官が検察を特別監察すべきだと要求した

     

    検察が、文政権に関わることを捜査するなと言っているようなものだ。検察は、捜査のプロである。素人が、それを非難することが正しいのか。現在、「チョ・グク氏」の法相辞任で空席になっている。さも、法相不在のために大統領府の家宅捜査が行なわれたような言い分で、司法の尊厳を著しく損ねる発言であろう。

     

    (5)「大統領府のこのような対応は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が重ねて「公正な捜査慣行、人権保護の捜査」を呼びかけたにもかかわらず、改革を約束したはずの検察の態度が変わっていないという、より根本的な判断も作用したものとみられる。参謀たちの間では「検察は何も変わっていない」という激しい反応が出ている。大統領府内部では、ユン・ソクヨル検察総長に対し文大統領はこれ以上信頼を保つことが難しいだろうとみる人々が多い」

     

    下線部を読むと『ハンギョレ新聞』は、メディアの保つべき中立の視点を捨てて、政権側と一体になっている。これでは、韓国メディアが健全な発展ができる訳もない。完全に、政権の「御用新聞」に成り下がっている。

     

     

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    最近、悪いことはすべて文在寅政権のせい、という流れが強くなってきた。文政権在任の2年間で、全国の地価上昇分が2000兆ウォン(約182兆円)にも達したからだ。不動産対策が生温いからだと批判されている。この文政権責任論は飛躍し過ぎている面が強い。

     

    原因は、韓国独特の家賃制度「チョンセ」にある。「チョンセ」とは、次のような制度である。

     

    「チョンセ」では、一定の高額の保証金を支払えば、月々の家賃支払いがない。しかも退去する解約時に、保証金が全額返ってくるというもの。これだけ見ると、入居する側にとっては、すごく有利と見られる。それでは、家主はどうしているのか。チョンセ保証金の運用による利子が家主に入ってくるので、これが家賃収入になるのだ。預金金利が下がってくると、家主は損失を招くので、保証金自体を引上げざるをえなくなる。ここから、問題が起こってきた。

     

    こうして、低金利=保証金引上げというパターンで、住宅価格そのものを押し上げるという不可思議な現象が生まれている。韓国人が、この矛楯に気付かないのは、保証金が全額返ってくる上に、月々の家賃が要らないという表面的な点にある。総合的に考えれば、高額保証金を払う点で損(高い機会費用)していることを無視しているのだ。毎月、家賃を支払う「ウォルセ」の方が、高い保証金を必要とせず合理的な選択である。「チョンセ」で払う保証金で持家を買うという有効活用すれば、はるかに大きいメリットを受けられるであろう。

     

    ここら辺りに、韓国人の思考様式が窺える。物事を深く考えずに、表面的な現象で損得を決めていることだ。日韓問題もその最適例であろう。感情的に「不買運動」をやっているが、それが不安心理を高め、韓国のGDPを押し下げるというブーメランに見舞われるのだ。韓国人に見るこの不可思議な行動が、不動産価格を押し上げている

     

    『中央日報』(12月3日付)は、「文政権2年間に地価2000兆ウォン上昇、歴代政権で最高と題する記事を掲載した。

     

    文在寅(ムン・ジェイン)政権の発足後2年間で、全国の地価が2000兆ウォン(約184兆円)ほど上がったことが調査で分かった。歴代政府のうち最高水準だ。経済正義実践市民連合(経実連)と鄭東泳(チョン・ドンヨン)民主平和党代表は3日、国会で記者会見を開き、このように明らかにした。経実連は1979年から2018年まで政府が発表した土地公示地価に相場反映率を逆適用し、地価変動の流れを算出した。

    (1)「各政権の年平均地価上昇率を計算すると、

    文在寅政権 1027兆ウォンで最も高かった。

    盧武鉉政権  625兆ウォン

    朴槿恵政権  277兆ウォン

    金大中政権  231兆ウォン

    李明博政権 -39兆ウォン」


    上記のデータを見れば、文政権2年間で、他の政権5年間を大幅に上回る地価高騰である。この原因は、「チョンセ」という一定額の保証金を払う家賃制度の矛楯にある。つまり、低金利=保証金引上げというパターンが、地価を押し上げている。この制度を禁止すれば、大家は、不動産を処分するであろう。まさに、家賃という制度改革が必要である。

     

    (2)「経実連は、「文在寅政権での2年間、物価上昇率による上昇分を除いて1988兆ウォンの不労所得が発生した」と分析した。これは1所帯あたり9200万ウォンにのぼる規模。国民の70%が土地を保有していない点を考慮すると、土地保有者1500万人が2年間に1人あたり1億3000万ウォンの不労所得を握ったという計算だ土地保有者のうち上位1%が全体の土地の38%を保有しているという国税庁の統計を適用すると、土地保有者上位1%は2年間に1人あたり49億ウォンの所得があったということになる。これは上位1%に該当する勤労所得者の勤労所得(年間2億6000万ウォン、2017年度)と比較して9倍にのぼる金額だ。全国民の平均勤労所得(3500万ウォン、2017年度)と比べると70倍にもなる」

     

    国民の70%が、土地を保有していないという事実に驚かされる。一生、貸家で住んでいるとすれば、家賃高騰が生活を圧迫するはずだ。何とも、おぞましいことをやっているものだと呆れる。高い保証金を払うよりも、持家の方がはるかに低コストで済むはず。こういう、損得計算が、韓国人にできないとすれば言葉を失う。 

     

    土地保有者のうち、上位1%が全体の土地の38%を保有しているという。これも驚きである。「チョンセ」がもたらした、国民収奪であろう。文政権は、こういう矛楯点に切り込むことだ。それが、政治というものであろう。反日の前に、内政でやるべきことは山ほどある。

     

     

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