勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    文政権は、真面目に雇用問題を考えているのか疑問である。コロナ対策として「Kニューディール政策」とものものしいタイトルを掲げているが、中身はいたって陳腐なものばかりだ。予算のむだ遣いであり、韓国経済の発展に資するようなものはゼロ。文氏の常識が疑われるのだ。

     

    『朝鮮日報』(8月9日付)は、「鳥の糞掃除・閲覧室の番『これが新型コロナKニューディール』の素顔だ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「政府は今年4月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の主宰で「新型コロナウイルス非常経済会議」を開き、「予算3兆ウォン(約2660億円)をかけて公共・若者の雇用先50万件を自ら創出する」と発表した。文大統領はこうした「新型コロナウイルス雇用」について「新たな雇用創出のため大規模事業を大胆に推進する必要がある。雇用を創出するのにとどまらず、『ポスト新型コロナウイルス』時代の革新成長を準備していく」とも言った。しかし、先月の第3次補正予算案通過後、各部処(省庁)や地方自治体が続々と募集告知を出している「新型コロナウイルス雇用」は大統領の約束とはかなりかけ離れているものが多かった」

     

    文政権の政策発想法は、驚くべきほど貧困である。その場限りの雇用統計改善があれば、それで良しとする「刹那主義」に陥っている。文大統領による「新たな雇用創出のため大規模事業を大胆に推進する必要がある。雇用を創出するのにとどまらず、『ポスト新型コロナウイルス』時代の革新成長を準備していく」という言葉が、全く裏切られた雇用内容だ。

     


    2)「京畿道軍浦市では先月から「ハト餌やり禁止監視員」を募集している。街でハトに餌をやる人を制止するという仕事だ。9月から3カ月間、一日5時間ずつ働いて、毎月1198000ウォン(約11万円)もらえる。同市関係者は「『ハトに餌をやる人がいる』という苦情があるので監視員を募集している。新型コロナウイルス関連の雇用を作るよう指示があったので、我々も知恵を絞って考え出したアイデアだ」と明らかにした」

     

    京畿道軍浦市では先月から「ハト餌やり禁止監視員」を募集している。街でハトに餌をやる人を制止するという仕事だという。本来これは、ボランティアの仕事であろう。自治体が、アルバイトを雇ってやる仕事だろうか。逆に言えば、ここまでやらなければ、雇用できないという状況を示している。これが、韓国経済の実態とすれば、韓国は死んだも同然である。

     

    (3)「京畿道軍浦市の新型コロナウイルス雇用の中には「鳥の糞のないきれいな五禁洞作り」という仕事がある。ベンチに付いている鳥の糞を落とす作業だ。このほかにもオートバイの騒音が聞こえたらすぐにナンバープレートを撮影して情報提供するパパラッチのような「オートバイ騒音監視員」、散歩をする犬・猫の糞処理を監視する「ペットエチケット順守ヘルパー」、図書館で騒ぐ人々を制止する「閲覧室の番」もある。3カ月間のこうした雇用人員1045人を選ぶのに予算444000万ウォン(約4億円)を使う」

     

    ベンチに付いている鳥の糞を落とす作業

    オートバイ騒音監視作業

    散歩をする犬・猫の糞処理を監視する

    図書館で騒ぐ人々を制止する「閲覧室の番」

     

    京畿道軍浦市の新型コロナウイルス雇用では、上記のようなアルバイトに約4億円使うという。韓国は、高い道徳社会だと自慢しているが、こういうアルバイトが必要ならば、とんでもないインチキ社会というレッテルが張られるだけだ。

     

    (4)「釜山市蓮堤区庁は浄化槽を掃除するよう電話をかける若い人材を採用することにした。同区関係者は「1年に1回、浄化槽を掃除しなければならないが、しない家に11軒電話して掃除するように促す業務だ」と説明した。蓮堤区庁はこのほかにも紙の横断幕の出力、自転車施設物破損点検、わき水周辺のゴミ拾いなど計878人を採用する」

     

    韓国社会のモラルがこれほど酷いとは驚かざるを得ない。「1年に1回、浄化槽を掃除しなければならないが、しない家に11軒電話して掃除するように促す業務」にアルバイトを使う。自主的に浄化槽掃除をさせるシステム上の工夫をすれば済むこと。そういう工夫がない社会なのだ。

     

    (5)「仁川市は一日3時間ずつ地下鉄駅やマンションなどで「住民税・固定資産税などをきちんと払ってください」と広報する「地方税納税広報要員」を募集する。京畿道安城市では17億ウォン(約15000万円)をかけて市内の敬老堂(老人いこいの家)479カ所にソーシャル・ディスタンス(社会的距離・感染防止のため人と人の間に距離を取ること)確保やマスクの着用を監督・指導する安全管理者を配置する。京畿道楊州市は野良猫捕獲担当者を募集する」

     

    もはや、一々コメントをつけるのもアホらしくなるほど、くだらない内容のアルバイトだ。これで日本に打ち勝つなどと豪語するから、日本が馬鹿にするのだろう。

     

    (6)「専門家らは、「企業活動に役立つような根本的な問題を解決しようとせずに、短期で質の低い雇用を創出するのは予算の無駄にしかならない」と話す。若者たちが集まるインターネット上の大学コミュニティー掲示板でも「これが話に聞いていた新型コロナウイルスKニューディールか」「おいしいバイトに税金祭り」「本当の雇用を創出しろ」という反応が相次いでいる」

     

    公共支出は、生産性向上に関わるような業務で行なうべきである。政府が、税金の無駄遣いを勧めているに等しいアルバイト募集だ。呆れて開いた口が塞がらないのである。日本よりも100年遅れた社会である。

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    韓国大統領府主席秘書官など6人が、一度に文大統領へ辞表を提出した。理由は、自らが住宅値上がり益に預かった責任をとる、というもの。なんとも締まらない話だ。住宅政策がことごとく失敗したのは、購入規制を掛けて住宅供給面に配慮がなかったからだ。この結果、住宅対策を発表するたびに、住宅が値上りする事態を招いた。この住宅対策は、20回に及んだという。学生運動家上がりで、専門知識もない大統領主席秘書官には荷が勝ちすぎのである。

     

    『ロイター』(8月6日付)は、「ソウル住宅価格高騰、遠のく中流の夢と高まる政権批判」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国では2月、新型コロナウイルスの感染拡大により失業率が跳ね上がったにもかかわらず、インテリアデザイナーのベク・ソンミンさん(35)は妻に看護職を辞めるよう頼んだ。マンション購入という長年の夢をかなえるためだ。高騰する不動産価格を冷やすため、政府は一連の措置を導入。この措置を受けベクさんは、妻が年収5800万ウォン(約500万円)の仕事を辞めればマンションを買える確率は高まると考えた」

     

    住宅購入の所得制限をクリアするべく、妻に仕事を辞めさせることまで考えるとは、異常である。いかにも左派が考えやすい安易な手法だ。それよりも住宅供給を増やせば需給バランスが取れる、という基本原則を忘れていた。

     

    (2)「政府は低所得の「新婚」夫婦が住宅を入手しやすくなるよう、新規開発物件の購入に割当制度を導入した。ベクさんは、妻の収入をしばらく無くすことで、この制度の応募要件を満たす水準まで2人の合計年収を下げようと考えた。だが結局、ベクさん夫妻は職場のあるソウルから西に2時間の仁川に居を構えることに決めた。住宅ローンの借り入れ規則がソウルより緩く、物件価格もはるかに安いからだ。「ソウルの住宅価格は、とても手が届かなくなった。仁川くんだりまで行かなければ住居を買えなかった」とベクさん。「政府はローン規制によって私たちの夢を粉々にし、住宅を買うなと言うようなものだ。頭にきた

     

    ローン規制とは、中国からヒントを得たのであろう。発想法が、市場経済原則でなく、社会主義原則の中国を真似していたことが分った。住まいの恨みは、文政権にとっては手痛い失敗になった。

     


    (3)「文在寅(ムン・ジェイン)政権が20を超える住宅価格鎮静化策を導入したにもかかわらず、調査会社ナンビオによると、ソウルの住宅価格は2017年以来、50%以上も上昇した。上昇スピードは世界一だ。これにより、多くの若い家族の夢は砕けた。韓国経済の発展を支えてきた「中産階級」入りが、手の届かない夢になった可能性もある。進歩派の文大統領は2017年の就任時、全国民に平等な環境を提供し、一生懸命に働けば家族を養い、家を買える社会を実現すると誓った」

     

    過去3年で、ソウルの住宅価格は50%もの値上りである。これでは多くの若い家族が住宅を購入できずにいたはずだ。投機抑制には、住宅供給増と金利引上げを並行すべきであった。不況下で利上げできぬ状況とは言え、住宅ローン金利を操作するなど、きめ細かい手を打てたはずだ。

     

    (4)「しかし、LTV(不動産価格に対する借入金比率)を大幅引き下げる住宅ローン規制の強化と、投機抑制のためのさまざまな税制措置を導入した結果、家賃も上がり、求められる頭金の額も増加。こうした政策で救おうとした人々を害する結果になっている。ソウルの規制では、借り入れ上限が住宅価格の40%と定められている。「金のスプーン」をくわえて生まれた金持ちの子供は現金で家を買えるが、「汚れたスプーン」の子供は二級市民から抜け出せず、文大統領が取り組むと約束した格差をさらにあおるだけだ、との批判も出る」

     

    住宅供給が増えない状況で、住宅ローン規制を強化すれば、住宅はますます希少価値となって、思惑だけで住宅価格は高騰して当然だ。こういう微妙な消費者心理を読めなかったのだ。

     


    (5)「弁護士や税理士への取材によると、持ち家の「階段」を上るためにわざと所得を削る計略のほか、書類上は離婚して不動産税を減らしたり、結婚届を出さず夫妻がそれぞれ住宅購入を申請できるようにしたりするなど、市民はあの手この手で住宅購入を試みている。新型コロナ対策が成功し、一時は支持率が急上昇した文大統領だが、6日発表の世論調査によると、経済政策への怒りから支持率は44.5%と、約9カ月ぶりの低水準に下がった。

     

    下線分は、中国の市民がやっていた手段と瓜二つで驚く。仮装離婚したが、それが「本物離婚」に利用されたなど、中国の巷で話題になったものだ。韓国でも同じようなことが行なわれている。この中韓民族には、実に共通点があって興味深い。韓国市民の住宅にまつわる悲話は、文政権への不信感となる。

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    韓国政治が狂っている。国民の苦しみを解決せず、政府高官は自らの利益確保を求めて狂奔しているのだ。日本から見れば、「韓国は自壊する」と思わざるを得ない。自らの利益を考えず、国民から負託された任務を全うする。そういう「武士(もののふ)」は、韓国にはいないようだ。韓国の官僚制度は、近代官僚制ではなく封建官僚制そのもの。悲劇の原点はここにある。ルール通りの行政を行なう近代官僚制に対して、韓国は恣意的行政を行なう封建官僚制なのだ。

     

    『朝鮮日報』(8月8日付)は、「複数住宅の青瓦台参謀たちが辞意、マンションではなく公職を手放すのか」と題する社説を掲載した。

     

    盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長と青瓦台(大統領府)秘書室所属の大統領首席秘書官5人が昨日、一斉に辞意を表明した。姜ギ正(カン・ギジョン)政務首席秘書官、金照源(キム・ジョウォン)民情首席秘書官、尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官、金外淑(キム・ウェスク)人事首席秘書官、金巨性(キム・ゴソン)市民社会首席秘書官だ。青瓦台は「最近の状況について総合的に責任を取るという意味だ」と述べた。

     

    (1)「これら大統領参謀たちが辞意表明で責任を取るという「最近の状況」とは、不動産政策の失敗に伴う民心離反と、大統領支持率・与党支持率の下落だ。不動産政策失敗の責任を取るための辞意だというなら、金尚祚(キム・サンジョ)政策室長と李昊昇(イ・ホスン)経済首席秘書官がまず辞意を表明するべきだった。直接責任がある経済副首相や国土交通部長官が退くという話もない。根本的な不動産政策の基本路線は変えずに、一時的に世論だけをなだめようとしているものだ」

     

    不動産高騰の行政責任を取るならば、直接の政策担当者でなければならない。ところが、最高責任者の経済副首相や国土交通部長官は辞任しない。今回の5人の主席秘書官辞任申し出には、別の理由があった。

     


    (2)「今回辞意を表明した首席秘書官5人のうち3人が複数住宅所有者だ。ソウル・江南のマンションを2物件保有している民情首席秘書官は1物件を処分すると言いながら、相場より高い価格で売りに出して世論の批判を浴び、急きょ撤回した。青瓦台は「不動産取引は男性にはよく分からない場合がある」と言った。売るそぶりは見せたが、ばれると妻を言い訳にしたのだ。今回の辞意で民情首席秘書官は江南のマンションを売らなくてもよくなった。結局、マンション売却を拒否して首席秘書官の職を放り出したということなのだろうか。辞意表明の記事の下には「権力は短く、江南のマンションは永遠だ」というコメントが書き込まれた。結局、今回の一斉辞意表明は青瓦台のポスト(職)を放り出してマンション(家)を選択した参謀たちによる国民欺まんショーに過ぎない」

     

    5人のうち3人は、大統領府からの高官による複数マンション所有禁止令に反して、所有し続けるという意思表示で、主席秘書官を辞めるものらしい。「(職)を放り出してマンション(家)を選択した参謀たち」というのが真相だという。

     

    (3)「今、民心が激怒しているのは不動産問題だけではない。今年4月の総選挙での勝利以降、現政権が見せている暴走ぶりに、国民は首を横に振っている。総選挙圧勝に酔いしれている与党は、ひたすら力だけで押し通している。与党の国会常任委員長独占、補正予算案単独処理、長官聴聞会無視、あらゆる法案手続き・討論省略などが相次いでいる。まるで国が自分のものであるかのように行動しているのだ。参謀をかえる前に、大統領の考えからまず変えなければならない。ごう慢と独走の国政運営をまず止めなければならない。そうしないと、いくら世論をなだめようと青瓦台改編をやっても、背を向けた民心は戻らないだろう」

     

    韓国政治は、漫画そのものだ。進歩派を名乗っているが、実態は「我利我利亡者」の集団である。夜盗が天下を取って、好き勝手にやっている構図だ。その夜盗が、「民主主義」だとか「公正」などと聞いた口をきくから、腹を抱えるほど可笑しく、かつ最後に侘しい気持ちにさせられるのである。

     


    法務部長官(法務大臣)は、さらに上を行くから恐ろしい。検察に「紅衛兵」をつくって、文政権腐敗隠しに懸命である。司法が、時の権力の「防衛隊」に成り下がった。検察が、「正義」を実現する場所ではなくなったのだ。

     

    『朝鮮日報』(8月8日付)は、「政権紅衛兵検事の昇進祭り、秋美愛式の法治破壊人事」と題する社説を掲載した。

     

    (3)「韓国大統領府(青瓦台)と韓国法務部(省に相当)が7日に断行した検察の幹部人事で、政権紅衛兵の役割を果たしてきた検事らが大挙昇進し、核心要職を次々と自分たちの手中に収めた。今年1月まで権力に対する捜査を行ってきた検事らを人事虐殺したのに続き、今回は数少ない「真の検事」たちまで一気に追い出したのだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長は秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の側近グループによって完全に包囲され、孤立無援状態に陥った。

     

    尹錫悦検事総長は、文大統領が指名した人事である。権力になびくと期待していたが、政権の腐敗に切り込む「正義の士」と分るや一転、追い出しにかかるという醜い姿をさらしている。文大統領は、その悪役を秋法務部長官にさせているのだ。日本では考えられないこの「醜悪」ぶりは、韓国政治の未成熟をそのまま晒している。

     


    (4)「検察4大要職」と呼ばれるソウル中央地検長、検察局長、大検反腐敗部長、大検公共捜査部長はいずれも湖南(全羅南北道)出身者が独占し、検察局長は3人連続で全羅北道出身者が占めた。それでも「出身地域などを反映したバランスの取れた人事」と自画自賛している。国民を完全にばかにしているのだ。秋長官は今回の人事においても「検察総長の意見を聞いて検事の補職を提請する」と定められた検察庁法に違反し、尹総長から形式的に受け取った「推薦」の意見はことごとく無視した。この程度の違法行為は今や平気で行うようになったのだ」

     

    検察人事は、検察庁に任せるもの。韓国では法務部長官が、自らの思惑で行なっている。今回の人事は、検察総長を辞任へ追い込む嫌がらせ人事とされている。政権が、「検察紅衛兵」をつくって政権を守らせる。この状態は、まさに権力腐敗の頂点である。「革命」が起こっても不思議がないほどの乱れた政治に落込んでいる。

     

     

     

     

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    韓国大統領府に陣取る主席秘書官が全員、不動産高騰の責任をとって辞表を出したという。辞表の表向き理由は、「すべてにおいて」となっている。世間を騙す「偽装」の臭いがぷんぷんとするのだ。

     

    世論の風向きが急速に悪くなっており、文大統領の支持率が急落し、不支持率が上回る逆点現象が起こっている。「幕臣」としての責任を明らかにしたのだろうが、結局は文氏に慰留されて終わるはず。茶番劇だ。

     

    『中央日報』(8月8日付)は、「韓国大統領府の盧英敏氏・首席秘書官が全員辞意『総合的な責任を取る』」と題する記事を掲載した。

     

    韓国青瓦台(チョンワデ、大統領府)の盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長を含む首席秘書官全員が辞意を表明した。

    (1)「7日、青瓦台の姜ミン碩(カン・ミンソク)報道官は春秋館ブリーフィングで、「盧英敏室長をはじめとする姜ギ正(カン・ギジョン)政務首席、金照源(キム・チョウォン)民情首席、尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席、金外淑(キム・ウェスク)人事首席、金巨性(キム・ゴソン)市民社会首席が一括で辞意を表示した」と明らかにした。「最近の状況に関連し、総合的な責任を取る」というのが理由だ」

    大統領府の5人の主席秘書官が全員、辞表出すのもおかしな話だ。一人の主席秘書官が辞表を出せば済むが、それをしない理由は「形式的辞表」という意味であろう。本当は辞任したくないから「連帯責任」で責任回避を狙っている。姑息なやり方だ。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という精神であろう。

     


    (2)「資産対策などに対する批判世論を意識したのかという質問に対して、青瓦台関係者は「盧室長が総合的な判断をした」と答えた。辞意を受け入れるかどうかは文在寅(ムン・ジェイン)大統領が判断する事案であるとも付け加えた」。

     

    下線をつけた部分が、5人の主席秘書官の本音が見て取れる。大統領が辞表を受け取らなければ、現職に止まるというのだ。語るに落ちた言葉である。本当に責任を感じているならば、さっさと辞めればいいのだ。

     

    これら主席秘書官は、多分「86世代」であろう。1960年代に生まれ、80年代に学生生活を送り、民主化闘争に加わった「元学生運動家」である。硬直的な「親中朝:反日米」派だ。1980年代の国際情勢から一歩も抜け出せないで、文政権の外交・安保の政策で失敗を重ねている「幕臣」である。文氏にとっては、同じ学生運動仲間である。彼ら「86世代」がいなければ韓国政治は動かないのであろう。文大統領が、これらの辞表を受け取るはずがない。かくて、「みそぎ」は終わったと言うことになるのだろう。

     


    「86世代」の大統領府秘書官を厳しく批判する韓国進歩派学者の意見を紹介したい。

     

    『中央日報』(8月7日付)は、「韓国進歩元老学者、ロウソクデモ後の民主主義の退行『学生運動エリートが問題』」と題する記事を掲載した。インタビューに答えたのは、崔章集(チェ・ジャンジブ)高麗大名誉教授である。

     

    崔教授が今度は専門学術誌の論文という形でテーマを投げかけた。『韓国政治研究』最近号に掲載された「もう一度韓国民主主義を考える:危機と代案」だ。崔教授は文在寅(ムン・ジェイン)政権について「進歩と保守の間の極端な二極化と同時に民主主義の危機を招いた」とし「進歩の危機がその中心にあり、これはそれを先導した学生運動世代のエリートグループとこれと結びついた支持勢力の政治的失敗を表現する」と書いた。4日、崔教授にソウル光化門(クァンファムン)の研究室でインタビューした。

     


    (1)「(朴前大統領を弾劾に追い込んだ)ロウソクデモは一つの特定勢力、特定イシューだけを持って起きたものではない。しかし
    運動圏勢力(注:86世代)が中心となった文在寅政権の政治勢力は排除的・独占的方式で政治を運営し、政策を推進した。以前よりもはるかに深刻な政治の亀裂と葛藤、こうした敵対的関係を生み出すのは、よく知られているように積弊清算をモットーにした結果と見ることができる」

    ロウソクデモは、韓国国民が幅広く参加した結果である。その民衆の怒りを「86世代」が乗っ取ってしまい、学生運動の手法で「敵・味方」に分類して争わせている。極めて悪質なやりかたである。文大統領は、86世代を盲目的に受入れている点で、共同責任を負うべきだ。

     

    (2)「(80年代から)韓国社会は革命的といえるほどすべての次元で変わったが、彼らは当時の闘争のように敵と味方に単純に、ほとんど暴力的に区分し、(敵を)悪いものとして道徳的に糾弾し、これを清算の対象と考える。親日清算など潜在化していたり乗り越えることができる葛藤や亀裂も蒸し返して増幅させるというか。国際関係を理解する方式もあまりにも80年、90年代を再現させる。脱冷戦を越えて米中間の新しい冷戦が表れる大転換期にもかかわらずだ」

    日韓問題は、朴政権によって乗り越えられる糸口が生まれたにも関わらず、「86世代」が蒸返したと指摘する。「86世代」は、1980年代の国際感覚ですべてをひっくり返していると批判。この崔章集教授は、かつて「86世代」にとって崇め奉った進歩派の大御所である。その旧師から、最も痛い所を突かれた思いかもしれない。大統領府主席秘書官が全員、辞表を書かざるを得なかった本当の理由は、ここにあるのかも知れない。

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    文政権は就任以来、恥も外聞もなく「身内」を顕職に付かせるべく、現職を「積弊一掃」の名の下で追放している。まさに革命政権張りの振る舞いである。

     

    韓国科学技術情報通信部(省に相当)が、「国の研究費を横領した」との理由で韓国科学技術院(KAIST)の総長を告発したもの。検察は、このほど「嫌疑なし」として不起訴とした。科学技術情報通信部がシン・ソンチョル総長を告発してから18カ月後のことだ。科学界からは「文在寅(ムン・ジェイン)政権は、前政権が任命したシン総長を無理やり積弊にしようとしたが、結果的に失敗した」との批判が出ている。

     

    文政権は、進歩派を名乗る。実態は「飢えた狼」である。高官ポストを手当たり次第、支持者に割り振るという醜い姿をさらしている。文氏が、高邁な発言をすればするほど、そのギャップが広がるのだ。

     

    『中央日報』(8月6日付)は、「科学まで積弊清算の対象? 学問領域への侵犯はやめよう」と題する社説を掲載した。

     

    過去の政権が任命したKAISTのシン・ソンチョル学長が政府の無理な告発で検察捜査を受けたが、無嫌疑処分された。科学技術情報通信部が彼を検察に告発して20カ月ぶりだ。

    (1)「科学技術部の主張は、シン学長が2012年DIGIST学長時代、米国ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)に装備使用料を二重支給して教授採用の過程に不当介入したということだ。2018年告発とともにKAISTに職務停止を求めたが、理事会が拒否した。総同窓会と科学界まで出てシン学長を擁護し、政府の無理な態度を批判した」

     

    作り話で、大学学長を追放しようという策略ほど酷いものはない。学問の世界へ土足で乗り込んできたのだ。韓国進歩派の欺瞞性を余すところなく示している。

     


    (2)「当時、KAIST教授会は、「一生研究に問題がなかったシン学長とノーベル賞受賞者を13人も輩出したLBNLを関連付けて背任・横領があると有罪推定するのは間違っている」といった。LBNLもメディアインタビューで「契約および共同研究の過程には問題がない」として韓国を「ワンダーランド(不思議な国)」と表現したという。最初から科学界は「文在寅(ムン・ジェイン)政府が学者まで無理に積弊に追い込んでいる」として反発した。シン学長が朴槿恵(パク・クネ)前大統領と小学校同窓で、嶺南(ヨンナム)大学理事を務めた経歴のせいで科学界の積弊に追い込まれたということだ。当時、ネイチャー誌も「韓国科学者が不当な処置に抵抗している」として大きく扱った」

     

    坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、という類いの話だ。朴大統領と同じ小学校を卒業したことも、「追放理由」とか。凄い理屈付けである。逆に言えば、政権はこの程度の理由でも狙った獲物を追放できるということかも知れない。文氏が、大統領辞任後はぜひ法廷に立たせて、こういう欺瞞をなぜ行なったのか究明したいものだ。

     

    (3)「実際に、文在寅政府発足以降任期を終えずに退いた機関長だけでパク・テヒョン(韓国科学創意財団)氏、チョ・ムジェ(韓国研究財団)氏など12人だ。2018年4月任期2年を残して辞退したイム・ギチョル前韓国科学技術企画評価院長は、「科学技術部次官に『ろうそく政権になったから退くべきではないか』とも言われた」とした。政権が交代されたといって任期が残った機関長を理由もなく追い出すのは、前政権の「ブラックリスト」と何が違うのだろうか。科学者に積弊というレッテルをつけて追い出すのは「ろうそく政権」であることを自認する現政権ではさらにあり得ないことだ」

     

    文政権は、前政権の任命で就任したポストのうち12を「回収」、自派の「子分」に配分したという。やっていることは、政治屋そのものだ。

     


    (4)「それだけでない。現政権でも大学構成員が選んだ候補が気に入らないからといって拒否する事態が繰り返されている。2月公州教大(コンジュキョデ)は開校以来、初めて直選制を導入して66.4%の圧倒的な支持を得たイ・ミョンジュ教授を推薦したが、教育部が断った。具体的な理由は明らかにしなかった。再選挙して候補を再び推薦してほしいという意味だ。イ教授が行政裁判所に訴訟を起こし、構成員が糾弾集会まで行ったが、学長席は7カ月間空席だ」

     

    文政権は、選挙で選ばれた大学学長を任命しないという。これでは、「学長公選制」は名ばかりである。文政権のやっていることは、進歩派でなく「退歩派」というべきだろう。

     

    (5)「科学と教育は百年大計という言葉のように何より長期的リーダーシップが必要な分野だ。新しい政権になったからといって機関長から交代させ、政府のコードに合う人だけを学長席に座らせようとすれば未来は暗鬱極まりない。民主主義は政治だけでなく、学問の領域にも必要だ。権力の外圧と影響に干渉されない学問の自由と多様性が保障されてこそ創意性と革新が生まれる」

     

    文政権は、韓国史を振り返るとき確実に、「衰退にきっかけを作った政権」と位置づけられよう。大衆迎合主義の恐ろしさを目の当たりにしている感じだ。韓国衰亡は、不可避と思う。

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