勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    文政権は、野党の自由韓国党を「積弊一掃」と称し、悪の権化に見立ててきた。その文政権が、何と蔚山市長選に介入し現職で自由韓国党候補を捜査させ、落選に追い込む卑劣な事件が明るみになっている。蔚山市長選で当選したのは、文大統領の友人で与党「共に民主党」候補である。文氏にとっては、「チョ・グク事件」に次ぐ、二度目のスキャンダルである。

     

    この種の事件は、戦前の日本でも起こっていた。警察が、時の権力と近い存在であった。現在の日本では、選挙が終わってから捜査に着手するのが慣例である。韓国政治が、この面でも日本から80年は遅れていると言えそうだ。それにも関わらず、「日本より道徳的に高い」としている。思い上がりも甚だしい民族である。

     

    『日本経済新聞 電子版』(12月3日付)は、「韓国大統領府に市長選介入疑惑、野党候補の捜査指示か」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国大統領府が20186月の統一地方選に介入した疑惑が浮上している。南東部の蔚山市長選で、野党系現職市長の側近による不正の捜査を警察に指示し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に近い与党系候補の当選を後押ししたとされる。検察が捜査に乗り出しており、「公正公平」を掲げる文政権の支持率に影響する可能性もある」。

     

    文政権は、次々と悪事が露見している。「クリーン」が売り物だった文大統領が、側近からボロが出始めてきた。これまで、朴槿惠政権を罵倒しつくしてきた文政権だ。前政権とどこが違うのか。そういう深刻な事態を迎えている。

     

     

    (2)「蔚山市長選は保守系で現職の金起炫(キム・ギヒョン)氏と、文氏と親交がある革新系の人権派弁護士、宋哲鎬(ソン・チョルホ)氏の一騎打ちだった。警察は昨年3月、金氏の側近が特定の業者に便宜を図ろうとしたとして、金氏の秘書室長室などを家宅捜索。5月に側近らを送検した。韓国メディアによると、金氏は市長選序盤の世論調査で宋氏を15ポイント上回っていたが、捜査の影響で逆転され落選した」

     

    選挙戦の最中に、警察は候補者である現職市長の側近を送検するという、露骨な選挙干渉を行なった。これでは、現職市長といえども選挙に勝てるはずがない。この「偽情報」のたれ込み先が、大統領府の民情首席秘書官で、スキャンダルで法相を辞任した曺国(チョ・グク)氏であった。チョ氏は随分、悪役を演じていたもの。これが、ソウル大学教授の仕業であるのだ。

     

    (3)「勝敗を分けた警察の捜査が「大統領府からの下命だった」というのが疑惑の核心だ。1127日付の朝鮮日報によると、大統領府の民情首席室が疑惑を警察に伝え、警察が捜査に動いたという。当時の民情首席秘書官はスキャンダルで法相を辞任した曺国(チョ・グク)氏。曺氏は2012年の総選挙に出馬した宋氏の後援会長でもあった」

     

    大統領府の民情首席室は、国政に関する世論の把握と大統領周辺の人事管理が主な業務である。選挙を経て就任する高位公職者は情報収集の対象ではなく、越権行為の可能性があるとして検察が捜査に着手した。チョ氏には、もう一つ罪名が付いて捜査対象になりそうだ。

     

    (4)「こうしたなかで、当時大統領府に勤務していた職員が1日、検察の参考人聴取を前に遺書を残して死亡しているのがみつかった。疑惑に関わったとみられていた職員は検察から大統領府への出向者で、遺書には「検察総長に申し訳ない」と書かれていたという。

    市長選で敗退した金氏は2日に記者会見し、選挙の無効を求めて提訴すると発表した」

     

    大統領府は一連の疑惑を否定している。盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長は11月29日、国会で「金氏を監察したことはない」と述べた。ただ「不正の情報を警察に伝えただけだ」とも語り、警察に情報を伝えたことは認めた。明らかに共犯であろう。

     

    (5)「大統領府に浮かぶ疑惑は蔚山市長選への介入だけではない。文氏の盟友である故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が信頼を置き、釜山市経済副市長などを歴任した柳在洙(ユ・ジェス)氏の収賄疑惑をもみ消したとの指摘もある。「身内びいき」の疑惑が晴れなければ、苦境が続く文氏の政権運営にさらなる打撃となる可能性がある

     

    下線を引いた柳在洙氏は、賄賂を受けて監察対象になっている。要職の金融監督委員会金融政策局長、民主党首席専門委員、釜山市経済副市長を歴任した人物である。文大統領を「在寅兄さん」、李鎬チョル(イ・ホチョル)元民情首席秘書官を「鎬チョル兄さん」と呼ぶほど親しかったとされる。進歩派には、このように権力機構を渡り歩き、懐を暖める人間が跋扈(ばっこ)している。文大統領が判で押したように言う「積弊一掃」対象は、進歩派の中にゴロゴロいるのだ。

     

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    前法相のチョ・グク氏を巡るスキャンダルは、消しがたい文政権への不信を生んでいる。チョ氏は、もともと豊かな家庭の出身である。その娘も、両親による不当な手段で医学部というエリートコースに難なく進んだ。その実態が明らかにされるとともに、貧しい家庭出身の若者には、救いがたい絶望感を与えただけでなく、文政権への支持率を急落させている。

     

    文在寅大統領は、「口舌の徒」である。口では実に立派なことを立て板に水のごとく語る。だが、残念ながら実績を伴わないのだ。それは、弁護士稼業の性とでも言うべきだろう。弁護士は、相手の弱点を突いて勝訴するのが仕事である。政治家は実績を伴って初めて、有権者の評価に耐えられるもの。文氏は所詮、弁護士意識のままであって、大統領の意識にまで高まっていないのだ。

     

    『ロイター』(11月27日付)は、「文政権下で広がる格差、韓国『泥スプーン組』の絶望」と題する記事を掲載した。

     

    ファン・ヒョンドンさんは、自身が通うソウル市内の大学キャンパスに近い6.6平方メートルの小部屋で暮らしている。浴室とキッチンは共同、米飯だけは無料で食べられる。家賃は月35万ウォン(302ドル)だ。こうした「コシウォン(考試院)」と呼ばれる施設に並ぶ貧相な部屋は、以前はもっぱら、公務員試験のため一時的に缶詰め状態で勉強をしようという、あまり裕福でない学生が利用する場所だった。だが昨今は、ファンさんのような貧しい若者の恒久的な住まいになる例が増えている。ファンさんは「泥スプーン」組の1人を自称する。「泥スプーン」とは、社会的な成功をほぼ諦めた低所得世帯の出身者を指す言葉だ。

     

    (1)「低所得世帯の出身者を意味する「泥スプーン」組と、裕福な家庭の子息を示す「金スプーン」(注:銀スプーン)組という言葉はよく知られているが、ここ数年、急速に政治的な場面で口にされるようになり、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持を押し下げる要因になっている。文在寅氏は、社会的・経済的公正を公約に掲げ、2017年に大統領の座に就いた。だが、5年の任期も半ばになろうというのに、格差拡大という重荷を背負わされた韓国の若者に対して、ほとんど成果を示せないままだ。文政権になって以来、逆に所得格差は拡大している。公式統計によれば、最上位層と最下位層の所得格差は、文大統領就任前の4.9倍から5.5倍に上昇した

     

    最上位層と最下位層の所得格差が、文大統領就任前の4.9倍から5.5倍に上昇した現実はなぜ起こったのか。最低賃金の大幅引上げで、財閥系企業の労組員の賃金は上昇した。反面で、自営業中心に「最賃失業」とも呼ぶべき被害が出た。最賃を支払えない零細企業は、従業員を解雇したからだ。最低賃金の大幅引上げが、生産性上昇率を上回った結果である。

     

    最賃引上幅をもっと小幅に抑えていたならば、こういう悲劇は起こらなかった。経済に疎い文政権の弱点が曝け出されている。むろん、事前の反対論も強かった。IMFやOECDまでが警告を発していた。それらをすべて無視した点で、単なる無知ではなく「確信犯」であった。文大統領の責任はきわめて重いのだ。

     

    (2)「メディア論を研究する大学3年のファンさんによれば、「泥スプーン」組には自分を含め、以前であれば懸命に努力すれば何とかなると考えがあった。しかし、曺国(チョ・グク)前法相をめぐる汚職疑惑が彼らの怒りに火をつけた。曺前法相と大学教授である彼の妻は、2015年、自分の娘を医学部に入学させるために自らの地位を利用したとして告発された。このスキャンダルは文政権発足以来最大となる抗議行動を数次にわたって引き起こしたが、生活に苦しむ多くの若者にとっては、裕福な家庭の出身者が両親の地位と資産の助けを借り、さらに優位に立つという実態を暴露する結果となった」

     

    文大統領は、チョ・グク氏を法相に任命する前に、多くの疑惑に包まれている事実を知っていた。それにもかかわらず、任命を強行した責任も問われている。それは、チョ氏の行為を「是」として受入れていたことだ。文大統領がこれまで、機会平等、公正な競争、正義について語ってきた。自らが、それを裏切ったのだ。正義観の強い若者が、文氏に絶望したのは当然であろう。

     

    (3)「やはり「コシウォン」の小部屋で暮らす26歳のキム・ジェフンさんは、「スタートラインが違うという点について文句を言うことはできない」と話す。「だが、不正なやり方で支援を得ている人がいるというのは腹が立つ。私が働かなければいけないときに勉強している人がいるのは構わない。私が怒っているのは、彼らが不正な手助けを得ているからだ」。キムさんのような低所得層の有権者の「文政権離れ」は、過去に類を見ないペースで進んでいる。韓国ギャラップが行った世論調査では、19~29歳の有権者による文政権支持率は、2017年6月の90%から今年10月には44%まで急落した。低所得層と見なされる有権者のあいだでの支持率は、2017年半ば以降、44ポイント低下している」

     

    文氏が大統領選で勝利を得たのは、低所得層である若者の正義観がもたらす支持であった。今や、その支持が白紙撤回された事実は、来春の総選挙の結果に表れるだろう。韓国では、中道派(無党派)の動きで選挙結果が左右される特色を持っている。チョ・グク事件は、大きな影響を及ぼすであろう。

     

    テイカカズラ
       

    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    22世紀最初に姿消す国

    経済不振で出生率低下に

    公務員家庭2倍の新生児

    少子化対策は開店休業へ

     

    韓国では、合計特殊出生率(生涯に一人の女性が生む子どもの数)の急低下が止まらない深刻な事態だ。文政権が登場して以来、加速的な低下が続いている。出生率の急低下は、決して他人事ではない。現役世代にとって、将来の年金を払ってくれる人たちの減少を意味するからだ。自らの「年金危機」を確実にする恐ろしい現象と認識すべきであろう。こういう説明をすれば、誰でも出生率の急低下が「自分の問題」になるはずだ。

     

    22世紀に最初に姿消す国

    韓国内外の研究機関が、これまで「22世紀に地球上から真っ先に消える国は韓国」と指摘してきた。例えば、次のような機関が警鐘を鳴らしてきた。2006年、英オックスフォード人口問題研究所が、初めて「人口減少により消滅する最初の国は韓国」と発表した。それ以降、国連未来フォーラム(2009年)、サムスン経済研究所(2010年)、韓国国会立法調査処(2014年)も同様の分析結果を発表している。以上は、韓国メディア『ヘラルド経済』から引用した。

     

    韓国内外の研究機関が揃って、「韓国滅亡説」を打ち出しているのは、不気味である。当の韓国は、他人事のように見ている。文政権は、「反日」に全力を傾けており、これを引き金に国内保守派を「積弊一掃」として扱い、出生率急低下に考えが及ばないという政権である。この虚を突くように、現実に出生率は急激な「右肩下がり」状況に落込んでいる。

     

    韓国の合計特殊出生率が7~9月期に入って、これまで以上に急激な減少を見せている。ソウルでは、なんと0.69である。人類が経験したことのない「絶滅的」な低水準記録である。理由は何か。若者の生活苦である。高い失業率で5人に1人は失業である。就職も出来ない人間が、結婚や出産など考えるゆとりはない。その日その日をどうやって生きて行くか。それで精一杯である。住宅も高騰している。結婚して新居も構えられないのだ。

     

    全国の合計特殊出生率は、7~9月期に0.88で過去最低を記録した。10~12月期は、季節的に出生数が減少傾向にある。2019年の合計特殊出生率は、前記の0.88をさらに下回るのは確実視されている。昨年が0.98であった。今年、仮に「0.86」に低下すれば、韓国「亡国論」が世界的な話題になって、韓国の綜合評価を下げるであろう。

     

    人口は、一国経済の成長にとって重要な要素である。とりわけ、生産年齢人口(15~64歳)の動向がカギを握る。最近の合計特殊出生率の急低下は、韓国経済に15年後から潜在成長率を大きく下押す要因に働く。「時限爆弾」を抱える経済に落込むのだ。

     

    経済不振で出生率低下に

    すでに、韓国経済はふらついている。今年の成長率は、2%割れが濃厚だ。昨年が2.7%成長であるから、その落差は大きくなる。これが、韓国企業の先行き不安を高める。設備投資を控えるので、GDPはさらに落込むという悪循環にはまり込むだろう。

     

    韓国が、日本の半導体3素材の輸出手続き規制撤廃を求めて必死である。12月末に予定されている日韓首脳会談で、日本から前向きの「回答」を引き出すべく、徴用工賠償金問題で新たな法案を準備中である。これは、韓国の文国会議長提案による「基金案」である。日韓の企業・個人による寄付金で賠償を払うという「代位弁済」方式(第三者が代わって弁済)が有力になっている。文議長は、12月中旬までに成案を得たいとしており、与野党が協力する姿勢を見せている。 

     

    文議長が、この「基金構想」を発表したのは、11月5日の早稲田大学講演会の席だ。あれから1ヶ月余で成案にまとめようというのは、韓国経済の深刻さを物語っている。韓国経済を覆う不透明感を一掃しようという狙いであるからだ。

     

    韓国経済の不透明感が、少しでも薄らいでくれば、企業は設備投資を行なう気運になろう。それは、雇用増加に結びつき失業率を低下させる。こういう好循環を描ければ、出生率回復期待がかかるかも知れない。だが、そう言い切れないところに韓国の抱える悩みの深さがある。(つづく)

     

    あじさいのたまご
       


    韓国社会は、病んでいる。反日不買運動が、従来になく盛り上がっている背景には、社会の閉塞感が充満がある。今年、病院の精神科でうつ病の治療を受けた20代の患者が12万人を超えると報じられている。専門家らは、深刻な青年失業や異性問題での悩み、家族との確執で心の病気になる若者が急増していると分析しているという。1年間で30%近い急増で、5年前の2.5倍だ。『朝鮮日報』(11月30日付)が報じた。

     

     

    こういうやり場のない空気の中で、政府が音頭を取る「NO JAPAN」は格好の鬱憤晴らしであろう。病める人たちを煽動する反日運動は、決して清涼剤になるまい。経済的な不安を煽っており、韓国政府は計算違いをしている。日本との対立は、韓国経済を追い詰めるのだ。

     

    『レコードチャイナ』(12月1日付)は、「韓国で『努力すれば向上できると考える人』の割合が激減韓国メディア」と題する記事を掲載した。

     

    中央日報』(11月26日付)は、「努力すれば個人の経済・社会的地位を高めることができる」という考えに賛同する韓国人の割合がこの10年間で大幅に減少していると報じた。中国メディア『観察者網』が伝えた。

    (1)「韓国統計庁が11月25日発表した「2019年社会調査」の中で、「努力によって個人の経済・社会的地位を向上できる可能性」が「高い」と答えた人の割合は全体の227%で、10年前の376%から約15ポイント減少した。また、「子ども世代が努力によって社会・経済的地位を向上できる可能性」について、「高い」と回答した人の割合も289%と低く、10年前の483%から大きく下降した。記事はこれについて、「両親の資産が子どもの経済・社会的地位を決めるという傾向が強くなっていることによるという見方もある」と説明した」

     

    経済成長率の低下が、階層を固定化する。言葉を換えれば、社会の不平等をもたらすという認識は確かに存在する。だが、社会を流動化させること。規制を緩和して自由な発想でビジネスができる環境を整えれば、努力しても報われる比率を下げることにならないはずだ。韓国の場合、規制社会である。官僚がすべて支配する上に、労組と市民団体が特権を求めて流動化を阻止する。こういう二重の社会格差構造では、絶望だけが募る社会になって当然である。

     

    努力が報われるとする見方が、10年前は37.6%もあった。それが現在、22.7%まで減っている。自営業が相次いで倒産の憂き目を見るのは、身近な例として「努力しても無駄」という諦めを生んでいるだろう。この背後には、政府の大幅な最低賃金の引上げという不可抗力が壁になっている。閉塞の原因が、文政権であるという予想外の結論にいたるのだ。

     

    (2)「階層別に見ると、社会的に高水準に属する回答者は、自身や子ども世代について「努力によって個人の社会・経済的地位を向上できる可能性」が、「高い」と答える割合が比較的多かったのに対し、低水準に属する回答者では相対的に少なくなったという。この状況について、漢城(ハンソン)大学経済学部の朴英凡(パク・ヨンボム)教授は、「経済が急成長していた以前とは異なり、現在の韓国経済はすでに成熟していて、何もない状態から事業を起こして一代で成功できるようなチャンスは激減した。加えてここ数年で家賃が絶えず高騰していることも階層間の移動を難しくしており、親の階層が子ども世代にそのまま影響するという傾向が強まっている」と分析したという」

     

    階層固定化は、社会の不満を高める。努力した人には、その成果が得られる社会でなければならない。皮肉なことを言えば、労組と市民団体がもっとも恵まれている立場だ。文政権を利用して、既得権益を確保しているからだ。このとばっちりを受けているのが、一般国民であろう。世にも不思議な政権が登場したもの。朴槿惠政権の弾劾がもたらした歪みと言える。

     

    (3)「記事はまた、「必死で仕事に打ち込む仕事人間をめぐる状況にも変化が生じている」とも指摘。今年5月に韓国で13歳以上の37000人を対象に行われた調査結果を基に、「仕事を優先順位の最上位に置く若者の割合は421%となり、2011年から124ポイント減少した。一方、仕事を家庭と同程度に重要だとみなす人の割合は102ポイント増え、全体の442%となった」と紹介した。調査で「仕事が家庭と同程度に重要」と答える人の割合が「仕事が最優先」と答えた割合を上回ったのは初めてのことだという」

     

    いわゆる「仕事人間」が減って、「ワーク・ライフ・バランス」が増えたのは時代の趨勢である。良い現象である。これを広く普及させるには、労働市場の流動化が必要である。労組はこれに反対している。こういう物わかりの悪い労組を、どうやれば柔軟にさせられるかだ。

    それは、文政権がご機嫌伺いを止めて、毅然と対応すしかない。現政権は、来春の総選挙が怖くて、労組にものを言えなくなっている。

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    香港区議選で、民主派は全議席の86%を獲得して大勝した。親中派は、わずかな13%である。残りは独立系の1%だ。中国指導部は、余りの大敗に腰を抜かし、中国本土での報道を禁じるという醜態を演じた。

     

    中国国営の中央テレビは24日投票の区議選の直前まで、「投票に行って暴力を蹴散らそう」と、選挙の大切さを訴える香港各界のようすを伝えていたという。それが、声も出ないほどの惨敗に終わった。香港市民の民意を完全に見誤った理由を探っていくと、意外にも「官製情報網」の弱点が曝け出される。党組織の末端からは絶えず、習近平氏を称える情報だけしか上げられないシステムの欠陥というのだ。

     

    戦時中の日本と同じだ。「大本営発表」のウソ情報が、日本全国を駆け巡っていた。日本軍の敗退・撤退は、「転進」と実態を誤魔化す手法が取られたのだ。現地部隊長の偽情報で、参謀本部すら実態を把握できずにいたケースもある。現在の中国も同じことが行なわれていると思えば良かろう。

     

    『大紀元』(11月28日付)は、「香港区議選の結果に落胆した中国指導部、ニセ情報で情勢を誤判断か、民意を読み取れず」と題する記事を掲載した。

     

    香港の親中派メディアは選挙後、「情勢を見誤った」との評論記事を次々と掲載した。ニュースサイト・香港0125日、情報筋の話を引用して、北京の最高指導部は選挙の結果に落胆したと報じた。報道は、「指導部は、今回の選挙は建制派にとって厳しい戦いになると予想したが、これほど『悲惨な』負け方は想像もできなかった。

     

    (1)「情報筋によると、中国指導部は、「投票日前の2週間に起きた香港中文大学や理工大学での混乱、デモ隊による海底トンネルの封鎖、デモ隊が投げたレンガに当たって70歳の市民の男性が死亡したことなどで、「香港政府への不満より、デモ隊の暴力への嫌悪感の方が強いと考えていた」。この情報筋は、「当局は今後、暴力と混乱を制止するという現在の方針を見直すだろう」と指摘。米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は25日、同誌のジェームス・パーマー副編集長が執筆した評論記事を掲載した。記事によると、24日の香港区議会選挙後、中国各メディアの編集部は混乱し、「どうやって中国共産党に有利な報道をすればよいのか」と頭を抱えていたという」

     

    パーマー氏が共産党機関紙・人民日報とその傘下の環球時報、英字紙チャイナ・デイリーの記者に取材したところ、この三大官製メディアは24日以前に、親中派の大勝を見込んで、あらかじめ記事を書き上げていたという。「得票数だけを空欄にしていた」というのだ。いわゆる「予定原稿」を事前に書けるほど、親中派の大勝を信じて疑わなかった。

     

    (2)「中国習近平指導部が香港情勢を誤判した原因の一つは、指導部が得た情報はすべてウソだったということが挙げられる。英紙『フィナンシャル・タイムズ』(FT)が10月半ばに行った報道によると、中国当局と30年間以上の付き合いのある米当局者は、中国の末端組織は中央政治局を含む上層部に偽情報を伝えていることを明らかにした。米当局者は「中国の末端組織は常にウソを言っている」と述べたという」

     

    情報が隠蔽されている社会では、偽情報が罷り通るもの。中国が、極度に情報管理している結果、習近平氏もそれによって騙されるという滑稽な話になる。言論の自由を弾圧すると、こういう偽情報が末端から上がってきても、「真偽」を判定することができないのであろう。腹を抱えるほど笑えるニュースだ。

     

    (3)「FT紙は、習近平政権が発足してから、中国共産党の全体主義を強めたことが、香港情勢を悪化させた主因だとの見方を示した。この体制下で、末端組織の幹部が上層部に「悪いニュースを伝える」ことが憚られている。「例えば、中国でまん延しているアフリカ豚コレラに関して、地方政府は中央政府に対して各地の感染の実情を報告できない」という。中国国内法学者の張傑氏は今年3月、米中国語テレビ放送・新唐人の取材に対して、地方政府の幹部は「失脚を恐れて、アフリカ豚コレラの感染状況を隠している」と指摘した」

     

    中国では、毛沢東時代に経済の「大躍進運動」(1958~61年)を起こして、結果的に大失敗した。1500~2000万人の餓死者を出した背景には、末端からのウソ情報が悲劇を生んだ。食糧が増産されていないのに、逆の結果を報告して招いた事件だ。組織の末端は、目標未達の責任を負わされる。だから、ウソを報告する。GDP統計のウソも同じパターンである。

     

    統制経済でなく市場経済が、ウソ情報を根絶させる。政治的には、言論の自由がウソの報告を見抜き、正しい情報が伝わるようになる。習近平氏の専制体制が、中国の経済・政治を歪めている。

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