勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    中国南部は、大洪水に悩まされている。世界最大のダム・三峡ダムの最高水位まで、「あと何センチ」という危険状態にある。一方、東北部の遼寧省などでは、ほとんど雨が降らない状態である。昔から、「南船北馬」と言われる通り、南の豊富な水に対して、北は僅かと言う事情から、交通機関は南が船。北は馬である。この南北の差が、今年は極端な形で表面化している。

     

    背景について、南はインド洋や南シナ海の海水温が高く、湿気が多く多量の雨を降らしていると説明される。北の干ばつの理由はなにか。環境破壊によるものと考えられる。中国政府がこれまで、高度成長一点張りで環境を破壊し尽くした「報い」というもの。地下水を過度にくみ上げており、これが降雨を妨げているのだ。この環境破壊説は、説得力を持っており、中国は「半永久的」にこの状態から抜け出すのは困難となろう。

     

    中国企業による地下水くみ上げが、豪州で水飢饉をもたらした例がある。『大紀元』(1月17日付)が報じた。

     

    「中国企業ジョイフル・ビューは、2019年12月末から地下水の汲み上げを開始した。同社は2008年、サザンダウンズで開発計画に基づき地下水汲み上げと配分の許可を得ている。2018年、同社はミネラルウォーターの販売業と、ゴールドコーストなど都市部へ輸送される計画を提案した。住民はサザンダウンズのスタンソープ地域評議会を通じてこの提案に反対し、その年は水の抽出計画は否決された」

     


    「しかし、住民にほとんど知らされないまま2019年12月下旬、ジョイフル・ビューは再び申請を行い、評議会で許可された。水の汲み上げが始まると、数週間でほとんど水が枯渇し、痛々しいほど干からびた大地が露わになった」

     

    地下水の異常なくみ上げをやると、降雨に影響が出る。豪州で、その「最新実験」が行なわれたのだ。中国北部では、過去何百年も地下水のくみ上げで灌漑を行なってきた。それが限界を超えたのだ。地下水の枯渇は、1000年単位の修復期間が必要である。

     

    『大紀元』(7月31日付)は、「遼寧省で深刻な干ばつ、トウモロコシなど収穫できず」と題する記事を掲載した。

     

    中国中南部の地域で洪水被害が広がっている一方で、東北部の遼寧省で干ばつに見舞われている。同省阜新市や錦州市などでは、トウモロコシなどの収穫は皆無に近い状況だ。

     

    (1)「中国水利部(省)729日の発表によると、61日~727日まで、遼寧省の平均降水量は108.8ミリで、平年同期と比べて53.1%減少し、昨年同期比では20.6%減少した。1951年以降、降水量が最も少ない年となった。また、728日までの統計では、省内の干ばつによる農作物の被害面積は1792万畝(約119.5万ヘクタール)。省西部の被害が最も深刻だ」

     

    遼寧省の平均降水量は108.8ミリで、平年同期と比べて53.1%減少し、昨年同期比では20.6%減少した。1951年以降、降水量が最も少ない年となった。この状況は今後、ますます酷くなるだろう。

     

    (2)「中国紙『新京報』730日付によると、遼寧省西部はトウモロコシの主要産地で、7月末に収穫期を迎える。しかし、この2カ月間、降水量の不足で、トウモロコシは成長できず、収穫ができなかった。一部の村ではトウモロコシ畑の大半が水不足で枯れた。動画配信サイト「梨視頻」の報道では、同省錦州市の干ばつ被災者数は約70万人。地元の農民は「家の飲料水はなんとか確保できるが、トウモロコシの栽培には全く足りていない」と話した」

     

    干ばつ被害は、中国政府も手の施しようがない。ただただ、過去の過剰地下水のくみ上げを反省するしかない。

     

    (3)「地元の河川にも水がない状況が続き、ポプラなどの樹の葉が黄色くなって枯れたという。地元のネットユーザーは、「南部の雨を北部にいる私たちに分けてください!」「もうだめだ!村に飲料水が全く入ってこない。井戸から水を取れないこともあるし、トウモロコシの収穫は全滅。生活が本当に大変だ」と相次いでSNS上に投稿した」

     

    事態がここまで悪化するまで、地下水のくみ上げを規制しなかった報いである。過去の「帝国」では、外延的発展(領土拡張)に専念し、内政問題に無頓着という共通現象が起こっている。中国は、その典型例である。干ばつ発生=地下水過剰くみ上げという内政問題解決に力を入れなかった結果が、現在の悲劇をもたらした。

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    文大統領の就任演説は、ほれぼれとする「名演説」であった。国民の分裂を乗り越えて、一体化する。それには、公平・民主であると宣(のたま)ったのだ。実際には、就任演説だけの話で、国民の分裂と深めており、もはや修復困難な状況になっている。

     

    税金面では、大企業と富裕層を狙った増税が、いつの間にか不動産課税に広がっている。実は、不動産課税の引上げは家賃の引上げとなって、国民全般の負担になるのだ。この経済の循環性に気付かず行なった不動産増税が、庶民の怒りを買っている。

     

    『朝鮮日報』(7月29日付)は、「『文在寅を罷免する』検索ワード急上昇、沸き立つ不動産世論」と題する記事を掲載した。

     

    韓国政府の不動産政策に反発するネットユーザーのオンラインデモである「リアルタイム検索ワードチャレンジ」に28日、「文在寅(ムン・ジェイン)を罷免する」が登場した。

     

    (1)「『文在寅を罷免する』という検索ワードはポータルサイト「ネイバー」のリアルタイム急上昇キーワードの上位に入った。「617規制遡及適用被害者救済の会」などのインターネット上に開設したブログで今月初めから特定のキーワードをポータルサイトの検索ワード上位にランクさせるオンラインデモを決行し、ついに「大統領罷免」というキーワードまで登場した」

     

    とうとう「大統領罷免」なる過激な言葉まで登場している。家賃の高騰が、失業を余儀なくされている30~40代にとっては、文字通りのダブルパンチになっている。年代から見て、大統領選では、文氏に一票投じた人々であろう。それだけに「裏切られた」という思いが強いのだ。

     

    (2)「彼らは2017310日の朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領に対する弾劾審判宣告文の形式を借り、文在寅大統領を批判した。ブログでリアルタイム検索ワードを周知し、「主文、大統領文在寅は国民が罷免する。被請求人の大統領文在寅は大韓民国歴代大統領の中で最悪の不動産惨事の原因となった当事者として、国民の財産権を保護する職責誠実の義務を遂行するどころか、国民の財産を収奪、強奪するレベルを超え、国民財産没収に近い反憲法的な独裁的蛮行を犯した」と主張した。また、「大韓民国の秩序の根幹である憲法の上に君臨し、懲罰的税金爆弾と遡及適用という超憲法的怪物をつくり出し、自由民主主義市場経済の秩序と憲政を乱し、国家と国民を塗炭の苦しみに追い込んだ」とも指摘した」

     

    下線部分は、文政権の最も痛いところを突いている。法律の「遡及適用」という、絶対にあってはならないことを平気で行なう「無法大統領」であるからだ。法律がなければ罰しられないにもかかわらず、遡って適用する。保守派退治が、「遡及適用」の主なものだ。

     

    (3)「運営者が特定のキーワードを告知すると、メンバーは午後2時から4時にかけ、ポータルサイトでそのキーワードを集中的に検索した。今月1日に「金賢美(キム・ヒョンミ)国土交通部長官のうそ」を検索ワード上位にランクさせたのに続き、「617617日の不動産対策)違憲市民の血と涙」「文在寅支持撤回」「遡及違憲積弊政府」「租税抵抗国民運動」「30403040代)文在寅にだまされた」「国はお前のものか」などの検索ワードをランキング上位に押し上げた」

     

    韓国国民は、「進歩派」という甘い感触に騙されたのである。保守派以上の頑迷固陋さと自派の勢力拡大のためには、あえて法律違反さへ厭わないのだ。「3040(30、40代)文在寅にだまされた」「国はお前のものか」という叫びは、悲痛である。

     


    『朝鮮日報』(7月30日付)は、「一度も経験したことがない税金爆弾」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のキム・ドンホ論説委員である。

     

    (4)「現政権は法人税の最高税率を22%から25%に引き上げた。資金力がある大企業が税金をより多く出すべきという論理だった。そして所得税の最高税率を42%に引き上げた。さらに地方税10%まで付ければ実質税率は46.2%にのぼる。5億ウォン超過所得はほとんど半分が税金として出ていく。国際的にはどうか。非常に高い方だ。それでも政府は所得税の最高税率を45%に上げる。地方税を含めると実質税率は49.4%となる。世界1位だ

    実質所得税率は、49.4%で世界一という。これは、海外からの投資を呼込む上でマイナスである。ソウルを国際金融センターにしたいという希望も、この世界一の実質所得税率が壁になって不可能である

     

    (5)「多く稼げば税金も多く出すべきとは言える。しかし他の税金はこのような形で説明できない。不動産関連税金がそのようなケースだ。すべての国民に直接影響を及ぼす。無住宅者もいつか家を購入し、住宅を売買したり贈与・相続したりする当事者になる可能性がある。現政権は課税標準となる公示価格をずっと引き上げている。公示価格が上がれば不動産関連税金がすべて上がる

    日本政府は、この点で慎重であった。地価上昇が、家賃に跳ね上がることを警戒していたからだ。

     

    (6)「公示価格の現実化率は3年前の相場の60%から出発し、現在は80%に上がった。その影響はどうか。公示価格が上がると、取得税・財産税・総合不動産税・譲渡税の負担がすべて増えた。22回目だった7・10不動産対策では取得税・総合不動産税・譲渡税の税率まで大幅に引き上げた。課税表と税率が同時に上がり、まさに税金爆弾だ。取引税は現在、GDP比の徴収比率がOECDで1位だ」

     

    公示地価は、不動産課税の基準点である。現在、公示地価の80%が課税基準となっていれば、不動産関連の税金は上がって当然だ。「税金地獄」と騒ぎが広がった背景である。

     


    (7)「副作用が少なくない。納税者連盟の分析によると、過去20年間の不動産税金は578兆ウォンにのぼる。現在の価値では786兆ウォン(約69兆円)となる。ソウル江南(カンナム)の住宅価格が大きく上がれば税金も多く出して終わるのか。そうではない。その余波は直接・間接的に全国民に及ぶ。税金が上がれば住宅価格が上がり、家賃に転嫁されるからだ。ソウルのマンションの費用は56週連続で上昇した。食料品も原料費が上がれば価格が上がり、原油価格が上がれば交通費が上がるのと同じ論理だ」

     

    下線を引いたような矛楯が起こる。「不動産関連税金が上がれば住宅価格が上がり、家賃に転嫁される」からだ。文政権は、この因果関係を無視して不動産課税を引上げている。それが、不動産価格抑制になると見てきた結果だ。現実は、価格抑制どころか価格促進になっている。完全な不動産政策の失敗である。

    不動産課税引上げでは、文政権支持派の労組や市民団体の暗黙の了解を得て実行しているはずだ。その理由は、資産家に応分の負担をさせて財政赤字を消す、という話をしたのであろう。財政赤字を消すには、潜在的な経済成長率を引上げる政策がなければだめなのだ。

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    天災の「デパート」の感すらある中国だ。大洪水・大干ばつ・バッタ・イナゴと食糧危機を招きそうな天災が続出している。

     

    『大紀元』(7月29日付)は、「食糧危機発生か? 中国当局、各省に食糧増産を命令、大豆など輸入増」と題する記事を掲載した。

     

    中国当局はこのほど、食糧不足を回避するために、各省に「食糧の生産を減らしてはいけない」と指示した。中南部での深刻な豪雨被害、東北部でのバッタ発生や干ばつなどが続いているため、当局の方針は食糧危機の発生を意味するとの見方が広がった。

     

    (1)「胡春華・副首相は727日、国内の食糧生産に関する会議で、「食糧の播種面積と生産量を増やさなければならない。減らしてはならない。国の食糧安全問題にいかなる手違いも許されない」と厳しい語気で述べた。中国の一部のメディアは最近、休耕地を復活させ、各地のコメ生産が増加し、雇用機会を増やしたと宣伝している。一方、中国メディア「中国経済網」728日付では、中国の鉄道部(省)は食糧を迅速に輸送する「緑色通路(グリーンゲート)」の設置を検討している」

     

    中国が、食糧増産命令を発した。食糧基地の東北部が天災に遭って、供給不足が明らかになってきたからだ。

     


    (2)「報道は、「鉄道部門は、国の『北糧南運(北部の食糧を南部に輸送する)』戦略を実行するために、食糧管理部門、物資備蓄部門と協力している」とした。習近平国家主席が22日、食糧の主要生産地である東北部吉林省を視察した。その際、習氏は「吉林省は、食糧安全保障政策を最優先課題にすべきだ」「戦争の際、東北部は非常に重要だ」などと発言した」

     

    習近平氏が、大胆発言をした。「戦争の際、東北部は非常に重要だ」というのだ。こういう不規則発言は慎むべきだが、習氏の頭には大規模戦争を想定しているようだ。米中戦争が始まれば、中国への輸出入貨物は海上ですべてストップされる。中国は、日干しにされる運命だ。

     

    (3)「今年、吉林省は干ばつに見舞われている。官製メディアの「中国新聞網」724日付は、61日~722日までの同省の平均降水量は平年と比べ3割減ったと伝えた。特に7818日まで、同省の「平均降水量はわずか3ミリで、平年と比べて9割も減少した」。吉林省水利庁の727日のデータによれば、21日以降、省内では有効な降水はなかった。2126日までの降水量は平年と比べて98.3%減少したという。吉林省吉林市は6月、市内でバッタが発生した。また、728日、吉林省西部で農作物の天敵である外来種植物、トマトダマシが大規模に発生したと報じられた」

     

    吉林省は、大干ばつである。降雨量が激減である。これでは、小麦が不作であろう。

     


    (4)「中国ネット上では、中国国内で食糧危機がすでに発生し、当局が食糧の備蓄を急いでいるとの見方をする市民が多い。中国当局は最近、大豆やトウモロコシの輸入を増やしている。中国税関当局が26日に公表した統計では、6月にブラジルから大豆1051万トンを輸入した。5月と比べて18.6%増で、前年同月比では91%増となった。また、米農務省(USDA)が毎週公開する統計によれば、7916日までの1週間で、中国向けのトウモロコシ輸出量(196.7万トン)は、週間統計として過去最高となった。中国は同週、米国から169.6万トンの大豆を購入した。20193月以来の高水準となった」

     

    中国が、海外からの食糧輸入を増やしている。「天敵」の米国からも輸入量をふやしている。この状態で、中国は米国と全面戦争できるはずがない。

     

    『ブルームバーグ』(7月27日付)は、「中国が警告、長江の氾濫は一段と悪化する恐れ-洪水第3波で」と題する記事を掲載した。

     

    中国水利省は長江の上流部で第3波となる洪水が発生し、すでに数百万人が避難している長江の氾濫が悪化する可能性があると警告している。同省は26日午後の声明で、状況は「厳しく」、「これから新たなピークとなりそうだ」と説明した。

     

    (5)「三峡ダムに流れ込む水量は28日ごろまでに毎秒6万立方メートルに増加するとみられている。三峡ダムの水位は27日時点で159.46メートルと、約1週間前の164.18メートルから低下。水位の上限は175メートルだ」

     

    三峡ダム決壊説が根強い中、長江の上流部で第3波となる洪水が発生した。これは、極めて悪材料である。三峡ダムの水位上限は175メートルである。27日時点で159.46メートルの水位だ。洪水第3波の到来であれば、予断を許さないだろう。

    あじさいのたまご
       

    2008年のリーマンショックでは、中国が4兆元という超大型投資で世界経済の回復を牽引した。今回のパンデミック下では、世界経済を牽引する力を喪失している。完全な「張り子の虎」であり、早くも老大国と成り下がった。

     

    中国が、現下の景気後退に対して受け身になったのは、08年の財政大盤振る舞いが、その後の中国経済を脆弱化させたという深刻な反省に基づく。不動産バブルを生み出し、国民は未だに「不動産神話」に取りすがっている状態である。こういう不正常が、中国経済の寿命を縮めているという認識に変わったのであろう。中国も、ようやく精神的に「大人」の域に足を踏み入れたと言えそうだ。

     

    『大紀元』(7月27日付)は、「李首相、財政難で地方政府に『倹約生活』を要求」と題する記事を掲載した。

     

    中国の李克強首相は7月23日、国務院(内閣に相当)の会議で、地方政府に対して、財政難に耐え倹約するよう再び指示した。中国当局が財政的・経済的に苦境に陥っている現状を浮き彫りにした。

     


    (1)「李首相は今年5月に行った政府活動報告において、「過緊日子(耐乏生活をする)」との表現を使った。首相は、「今年、中央政府は緊急ではない、または必要ではない支出を50%以上減らし、地方政府も予算を削減しなければならない」と述べた。首相は5月と同様に「耐乏生活をする」と述べたうえ、「経済の下振れと財政難」の現状に言及した。同氏は、各レベルの地方幹部に対して、「倹約を習慣にするように」と要求した。中国国営新華社通信などの各メディアも7月中旬、「財布の紐を締めよう」などと宣伝し始めた」

     

    経済政策の原理から言えば、不況時こそ財政支出拡大が不可欠である。中国当局は、この原理を今回は適応できないほどの財政難に陥っていることを証明している。中国は、これまで「土地本位制」という不動産価格引上げで回転してきた。現在はもはや、その手を使えないほど、弊害が随所に顕在化している。国民の「不動産神話」が、どうにもならないほど膨張しきっているのだ。

     

    この不動産神話は、いずれ崩壊する。際限ない住宅価格の上昇はあり得ないのだ。現在の空き家は5000万戸。住宅の過剰供給に嵌まっているのだ。庶民は愚かにも、この現実に気付かず「浮利」に酔いしれている。合理的な判断力を喪失している。

     

    (2)「今年、各レベルの地方政府の財政収入は大幅に減少している。中国当局の公表によると、上半期において、中央政府の公共予算の収入は前年比で14%減少し、地方の一般公共予算の収入は同7.%減少した。全国の税収と非税収は前年比で、それぞれ11.%と8%の減少となった

     

    全国の上半期の税収と非税収は、前年比でそれぞれ11.%と8%の減少となった。ロックダウンを行なうほど厳しい制約を課した結果だ。だが、この程度の減収に止まったのか、疑問は残る。

     


    (3)「中国メディア「21世紀経済報道」によれば、7月23日までに国内24の省が財政収入を発表した。そのうち20省は、新型コロナウイルスの感染拡大で、上半期の財政収入が前年比でマイナスとなった。輸出産業が盛んな広東省、江蘇省、浙江省はそれぞれマイナス5.8%、マイナス2.8%、マイナス2.6%となった。最大の経済都市上海市と政治中枢の北京市の上半期の財政収入は前年比で、それぞれマイナス12.2%とマイナス11%である。また、ウイルスの発生源である湖北省の財政収入の下げ幅は38%超。下げ幅としては各省の中で最も大きい」

     

    このパラグラフでは、地方政府の税収が軒並み落込んでいる実態を縷々、指摘している。上海市の上半期は、前年比マイナス12.2%。北京市は、同マイナス11%である。果たして、この程度の落込みで済んでいるのか疑問は残る。

     

    今年の中国GDP成長率は、せいぜい前年比1%程度に止まるという見方が増えている。悪ければマイナス成長も覚悟しているようだ。となれば、財政支出を拡大しても体勢挽回の切り札にならないという諦めであろうか。専制政治ゆえに、最終的には国民の不満を権力で踏み潰すという覚悟を固めている。

     

    (4)「中国当局は各地方政府に「倹約」を呼びかける一方で、国民を監視し各地の住民の抗議活動を鎮圧する「社会安定維持費」の確保を要求している。大紀元はこのほど、河北省保定市政府が今年5月20日、市管轄の各区政府に送った内部文書を独自に入手した。文書は、「警察機関の公費を十分に保障するように」「県レベルの警察機関であれば、各地の派出所に優先的に公費を支給すること。2020年、1級地区では(警官)一人当たり5万元(約76万円)、2級地区は一人当たり4万元(約60万円)、3級地区は一人当たり3万元(約45万円)を支給する」などと明記している

     

    中国政府は、公共支出を抑制し財政バランスを取ることに腐心している。これは、人民元投機を回避する目的であろう。国債格付けの悪化が、通貨危機を招くので、早くもマジノ線を敷いているように見える。ただ、これに伴う国民の不満は拡大するので、警察官に手当を増やして危機乗切り策に出ている。中国は、これまでの経済的ゆとりを失っており、急速に守りの姿勢へ転じた。

     


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    韓国は、文政権登場とともに暗黒政治に逆戻りしている。文政権に検察を従わせるために、事件をでっち上げ検事長を起訴に持込もうという策略が続いている。自由・平等・人権を口癖にする文政権が、国民を欺く「事件」を準備していたとは、ただただ驚くほかない。「進歩派」の看板に騙されてはならない生きた例だ。

     

    日本でも戦前の1934年(昭和9年)、「帝人事件」というでっち上げ事件があった。

     

    帝人株をめぐる贈収賄疑惑事件である。当時、文部大臣の鳩山一郎は議会で関連を追及され「明鏡止水の心境」と述べたところ、辞任の意思表示だと報道されて嫌気がさして辞任。その後、帝人社長や台湾銀行頭取、財界人、大蔵省の次官・銀行局長ら全16人が起訴された。これにより政府批判が高まり、同年7月に斉藤内閣は総辞職するという一大疑獄事件へと発展した。裁判では、全員無罪となった。事件そのものが存在しなかったからだ。この陰謀は当時の枢密院副議長が、検察を焚きつけて引き起した事件とされる。

     

    日本のでっちあげ事件は、今から85年も昔のことだ。韓国では、民主化された世界において行なわれていることに強い衝撃を受ける。進歩派政権の永続化を狙って、策略を張り巡らす。どこまで堕落した政権であるか、その深い闇を感じるのだ。

       
     

    『朝鮮日報』(7月27日付)は、「『民主国家』で『政権不正捜査罪』に問われた人々」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「韓国検察の捜査審議委員会は韓東勲(ハン・ドンフン)検事長に対する捜査を中断し、不起訴処分とするようソウル中央地検の捜査チームに勧告した。弁護士、法学教授ら各界の専門家15人のうち3分の2以上が下した結論だ。当然の結果だ。チャンネルA元記者と韓検事長の会話記録によれば、検事長は「自分は(シルラジェンの与党ロビーには)関心がない」と語っている。「金融詐欺の解明と被害回復が優先だ」とも発言している。「共謀」の証拠は全くなく、むしろ共謀はなかったという証拠ばかりが出てきた。それでも捜査チームは共謀と決め付け、「検察・メディアの癒着」だと主張した。全くのこじつけだ」

     

    文政権が、恥知らずにも「検察・メディアの癒着」の典型例としてこのでっちあげ事件を大々的にさせたのは、政権にとって鬼門の「検察・メディア」を一緒に叩き、韓国社会の評価を徹底的に押し下げる目的であった。この策略が、見事に外れたのだ。

     

    韓国には、「検察捜査審議委員会」という第三者機関がある。検察が公正な視点で捜査しているかどうかを検討して、捜査の中止勧告を行なう制度である。この審議委員会の結論は、ほぼ検察に受入れられている。だが今回、検察は諦めずに文政権へ忠勤を励んで捜査続行という。

     

    (2)「捜査審議委の決定によって、韓検事長とチャンネルA記者の癒着は虚構であり、実態は詐欺師と御用放送、法務部長官と与党が検察総長に揺さぶりをかけるために行った行為であることが判明した。検察総長がチョ・グク元法務部長官、柳在洙(ユ・ジェス)元釜山市副市長を捜査し、青瓦台が関与した蔚山市長選挙工作を掘り返したことから、それに報復した格好だ。そこに一部の検事が加勢し、事実上政権の思い通りに無理な捜査を行い、令状審査の判事までもが露骨に政権に味方した。本当に捜査を受けるべきなのは韓検事長ではなく、それに加担した法務部長官と与党と御用放送ではないか」

     

    下線部は、日本の「帝人事件」と瓜二つである。検察の一部が政界からの圧力で捜査権を濫用した事件である。ここにも法務部長官の名前が出てくる。希代の法務部長官である。国会で野党の質問に対して「私に喧嘩を売るつもりか」と恫喝するほど。権力を握れば、何でもできるという与党の思い上がりを代弁している。韓国政治の一端を示している。

     


    (3)「韓検事長は、審議委で「この話にならない状況は、権力が反対する捜査を行えばどうなるかを見せつけるためのものだ」とした上で、「今の狂風を後から振り返った際、少なくとも大韓民国の司法システムの1カ所だけは常識と正義の側に立っていたという記録を残してほしい」と述べた。韓検事長の他の数多くの事件に対する捜査方式にはさまざまな批判もあるが、彼が審議委で語った言葉は現実と真実を反映したものだ。その言葉通りに審議委は常識に合った決定を下した。それでも検察捜査チームは「納得できない」として捜査を続行する方針とされる。韓検事長の本当の容疑は「政権不正を捜査した罪」だ。だから大統領の忠犬である検察は捜査を中断できないのだ。民主化運動勢力が政権を握った国でこんなことが起きている

     

    文政権は、なりふり構わぬ姿で「政権を捜査する検察を許さない」という一つのポリシーを示している。「積弊一掃」で保守派を獄窓につないだが、それに飽き足らず、検察も軍門に下らせようという魂胆である。

     

    私は、次期政権が保守派の手に移れば、この文政権に見られるあくどいやり方に、公正は司法のメスを加えるべきだと念じている。許せない権力の濫用であるからだ。

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