勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    ムシトリナデシコ
       


    韓国民主化の旗手と自認する与党「共に民主党」が、言論の自由を圧迫しかねない振る舞いを続けている。共に民主党が、「選挙で民主党以外に投票すべき」という内容のコラムを、日刊紙に投稿した大学教授と新聞社を公職選挙法違反の疑いで検察に告発したからだ。

     

    韓国与党は、4月15日の総選挙前に劣勢を意識したのか、なり振り構わずに「与党批判」を封じる動きを見せている。「共に民主党」が野党時代、ことあるごとに政権党を批判しまくってきた。今度は、自らが批判される立場になると検察に告発する。何とも見苦しい動きである。

     

    『ハンギョレ新聞』(2月14日付)は、「新聞の寄稿まで告発した民主党、『表現の自由を萎縮』批判」と題する記事を掲載した。

     

    『ハンギョレ新聞』は、文政権支持を鮮明に打ち出しているメディアである。その『ハンギョレ新聞』が、与党の目に余る行動に批判の刃を向けた。

     

    (1)「政権与党が最近になって告訴・告発を乱発し、選挙を前に表現の自由を萎縮させる傲慢な態度を示しているという批判が出ている。民主党が告発したコラムは、129日付「京郷新聞」掲載の、高麗大学韓国史研究所のイム・ミリ研究教授の「民主党以外に」と題する文章だ。民主党はイム研究教授がこのコラムで「キャンドル政権を自任しながら、国民の熱望より政権の利害に没頭」している民主党を批判し、「『民主党以外に』投票しよう」とした内容を問題視した。イム教授と京郷新聞の関係者が公職選挙法58条の2(投票参加勧誘活動)条項に違反したというのだ」

     

    本来ならば、与党支持であっておかしくない大学教授が、公然と「与党批判」に回って来た。文政権の党利党略政治に絶望した結果である。文大統領は「国民第一」でなく、「与党勢力拡大主義」が見破られたからであろう。経済政策は、労組への露骨な支援を明確にしている。それによる経済の歪み拡大に無関心だ。こういう政権は、早く引き下ろさなければならない。日本人の私ですら、義憤を覚えるほどである。日本の国益にも反する政権なのだ。

     

    (2)「この条項は、公式の選挙運動期間ではない時期における投票への勧誘を口実とした選挙運動によって選挙秩序を乱す行為を禁止・処罰するための条項だ。民主党のホン・イクピョ首席報道官はこの日、ハンギョレの電話取材に対し、「選挙の時期に民主党以外に投票せよと堂々と見出しをつけ、コラムを掲載した。市民団体も落選運動をしてはならないことになっているのではなかったか」と主張した。イム教授はこの日、ハンギョレに対し「こうしたコラムまで出せなくしたら、我々は何も言えなくなる」とし、「かつての民主化運動から誕生した民主党が、司法府の力を借りて表現の自由を萎縮させる行動を示したというのは、公党の資格がない証拠」と批判した」

     

    与党は、二口目には国民の「ロウソク・デモ」から生まれた民主的政権と自慢してきた。現実は、権力を恣(ほしいまま)に操り、自治体選挙に干渉する。検察や裁判官を与党派に塗り替えて、反対派を「積弊一掃」という名で追放する。余りにも、やりたい放題の「天を恐れぬ」不遜な政権である。志のある者ならば、国民から「天誅」を加えるべきという怒りに燃えた寄稿をして当然なのだ。

     

    (3)「民主党の告発は選挙法の条項の立法趣旨とは程遠い上、表現の自由を深刻に萎縮させる可能性があるという批判が出ている。ソウル地方弁護士会長を務めたキム・ハンギュ弁護士(法務法人共感)は「自分の考えを述べたイム教授のコラムを、選挙法が懸念する『選挙秩序を乱す行為』と見なせるかは疑問」とし、「今回の告発は、総選挙を2カ月後に控え、与党批判をできなくさせようという事前警告ではないかと憂慮される」と述べた」

     

    民主党は、反対派をすべて葬り去るという全体主義に通じる、「敵―味方論」に立つ危険な思考の政党である。総選挙では、この与党に対して厳正な批判を浴びせなければならない。

     

    (4)「フェイスブックなどのSNS上では、同コラムの見出しでもある「#民主党以外に」というハッシュタグとともに、民主党を批判する「私を告発せよ」運動が広がっているKさんはフェイスブックに「#民主党以外に」のハッシュタグとともに「今回の告発で常識ある民主党支持者の多くが背を向けるだろう」とし、Yさんは「イム・ミリさんのコラム、私も共有した。私も告発せよ」と主張した。また別のKさんは「イム・ミリ教授のコラムに全面的に同意するわけではないが、このようなコラムを書いたと告発する所業は、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権でもなかったこと」と指摘した」

     

    SNS上で、「#民主党以外に」が出てきたことは、総選挙でいかに不利であるかを予告している。政権を握って31ヶ月でここまで批判を浴びることになった。文氏が大統領に当選できたのは「フロック」ということになろう。韓国にとって、また日本にとっても、「はた迷惑」な大統領が飛び出てきたものである。不幸な日韓時代を演出した大統領である。

     

     

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    韓国は、5年前のMERS(中東呼吸器症候群)時よりも消費不振が深刻になっている。MERSでは38人もの死者が出た。今回の新型コロナウイルスでは、いまのところゼロであるが、国民の緊張感はきわめて高まっている。

     

    洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官が13日、「新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)事態が5年前のMERS事態より大きい影響を及ぼしている」と話すほどだ。消費面での悪影響は、アプリ利用状況からはっきりと浮かび上がっている。

     

    『中央日報』(2月14日付)は、「映画-34%・宿泊-21%・列車-35%、アプリで確認された消費寒波」と題する記事を掲載した。

     

    映画・旅行・交通に大きな影響が出てきた。これら3業種は、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)で消費者が落ち込むものと予想されてきたもの。これは当たった。今月13日、ビッグデータ分析企業であるアイジーエイワークスのモバイルインデックスは、新型肺炎の拡散にともなう業種別アプリの使用者数の推移を発表した。一日平均3500万台のアンドロイド機器を基準とし、1月平均週間使用者数に比べて、今月第一週目の使用者数を比較した結果は惨憺たるものであった。



    (1)「最も大きな打撃を受けた分野は映画産業だった。CGV・ロッテシネマ・メガボックスなど映画の前売りアプリの使用者数は34%急減した。特に、昨年12月30日から1月5日まで「年末年始特需」で週間300万人を上回っていた使用者は、2月第一週目に180万人水準に激減した。海外宿泊(-25%)や国内宿泊(-21%)、航空会社(-21%)の減少率が目についた。大韓航空とアシアナ航空アプリの使用者は1月平均に比べてそれぞれ22.8%、22.8%減少し、同期間チェジュ航空はより大幅(-31.4%)に使用率が落ちた」

     

    映画(34%減)、海外宿泊(25%減)や国内宿泊(21%減)、航空会社(21%減)と減少率が目立っている。人混みを避けるという「自己防衛策」である。この減少動向がいつまで続くかだ。WHOからの公式宣言が出なければ解消しないだろう。そのメドは、全く立たないところが悩ましい点である。

     

    (2)「移動自体を敬遠する雰囲気も反映された。公共交通とカーシェアリングアプリの使用者はそれぞれ14%減った。最も減ったアプリは「KORAIL TALK」で35%減となった。タクシーサービスであるカカオTは16%減少した」

     

    外出を控える影響からタクシーも16%減である。

     

    (3)「一方、使用率が上がったアプリもあった。ホームショッピングアプリとマートアプリはそれぞれ4%増加し、飲食品販売アプリは12%急増した。特に、マスク販売を進めたNSホームショッピングとヒュンダイホームショッピングはマスクを販売したかどうかによって使用者数のグラフが増減した」

     

    マスク販売関連のアプリ使用率が上がっているのは当然のこととして、オンラインショッピングの利用によって、最低限の生活必需品を確保しようという生活ぶりが窺える。これでは、韓国の消費が大きく落込む。上半期の韓国GDPが、マイナスになるのは避けられないであろう。


    あじさいのたまご
       

    中国湖北省は、新型コロナウイルスの感染拡大が最も深刻な地域である。これまで、2月13日までとされてきた企業の休業期間が、さらに1週間延長されることになった。企業活動再開は、今月21日以降にずれこむ。企業による休業期間再延長は、新型コロナウイルスの感染が猛威を振るっている証拠だ。「4月終息」という楽観的な見通しは吹き飛んだ感じである。

     

    中国では、広東省広州市と深圳市の人民代表大会(議会に相当)が、2月11日、防疫対策の一環として、両市政府が緊急時に個人資産を収用できるように立法した。専門家は、中国当局が新型肺炎の感染拡大を口実に、市民の資産や物資を強制的に没収する恐れがあるとの見方を示している。これは、新型コロナウイルス治療で財政的に困難になってきた結果、市民の財産を没収して「資金化」する緊急事態に突入していると見られている。非常事態に陥ったようである。

     

    『大紀元』(2月13日付)は、「広州市と深圳市、個人資産収用を緊急立法『実質上、軍の管理下に置かれる』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国広東省広州市と深セン市の人民代表大会は11日、緊急立法を通じて、市政府と各区政府が感染状況に応じて「個人の土地、交通ツール、設備などの物資を収用することができる」とした。同時に、企業に対して防疫物資や生活必需品の提供を要求した。中国在住の時事評論家・呉特氏は大紀元に対して、「広州市と深セン市の緊急立法について驚かない。他の地方ではすでに、法的な手続きを踏まないで、個人資産を強制的に収用している。補償金は非常に少ない。全くもらえない人もいる」と話した」

     

    下線部分は、毛沢東が革命戦争下で下した緊急指令を彷彿させる。毛沢東は、「無料徴集」を厳禁して現金を渡すことを命じていた。これによって、共産党が大衆の支持を得られ、革命戦争への参加者を増やす原動力になった。今回は、「無料徴集」である。地方政府に資金がないためにやむなく行なっているのであろう。これは確実に、民心が共産党から離れる原因をつくっている。

     

    (2)「呉氏は、感染者が急増しているため、「物資が非常に不足している」「中国当局は、物資の強奪行為を常態化、または合法化する狙いがある」との見方を示した。同氏は、当局が広州市などでテストを行い、その後、全国にこの手法を推進していくと説明した。「中国国内は今、有事に近い状況だ。武漢市は軍の管理下に置かれた。感染がさらに拡大すれば、中国全土が軍の管理下に置かれる可能性がある」としている」

     

    下線部分は、中国が非常事態に突入していることを物語っている。武漢市は、すでに軍の管理下に置かれているという。感染が拡大すれば、人民解放軍の名において各都市が管理下に置かれて、「戦時下」と同様の事態になるのであろう。

     


    (3)「豪州シドニー工科大学の馮崇義教授は、当局の個人資産収用は「国庫補てんの意図がある」との考えを示した。「2019年以降、各地方政府の財政赤字が深刻になった。中央政府がここ数年、海外にばら撒いてきたため、国庫が空になった。当局が新型肺炎のまん延に乗じて、市民の資産所有権を取り上げるのではないか」。

     

    当局による個人資産収用は、後から国庫補填するのでないかという「希望的観測」もある。もしそうとすれば、事前にその旨を告知するはずだ。現在、その事前告知がないことに緊急事態という印象が強い。建前上は、無料徴集は不可能なはずだが、最終的には土地国有制を根拠にして、土地利用権を取り上げる懸念もある。

     

    (4)「共産党中央軍事委員会は210日、軍と地方政府の連携や交流を厳禁する13の禁止令を出した。中国軍にパイプを持つ学者の鄭凱夫氏は「典型的な戦争時の命令だ。同時に、軍の機密情報の漏えいや、一部の軍人が地方政府と関わり合い反旗を翻すことを防げる」と語った。鄭氏は、広州市と深セン市が緊急に立法したことも「市が軍の管理下に置かれたことを意味する」と強調した」

     

    中国政府は、軍と地方政府の連携や交流を厳禁する13の禁止令を出したという。これは、完全な「戦争時の命令」と理解されている。不満分子が、軍を利用して蜂起する危険性を封じる目的だ。習近平氏は、ここまで追い込まれてきた。


    テイカカズラ
       

    悪名高き現代自動車労組が、会社側との協調路線に転換するという。にわかに信じがたい話である。世界の自動車産業が、電気自動車への切り替えで巨額の設備投資の外に、大幅な人員削減が可能になるという物理的な条件変化が、強気一辺倒の現代自動車労組の頭を冷やさせた要因のようだ。

     

    『中央日報』(2月12日付)は、「新型コロナで変わった現代車労組、『硬直した思考は捨てよう』」と題する記事を掲載した。

     

    現代(ヒュンダイ)自動車の労働組合が、新型コロナウイルス事態で休業した後、機関紙で「硬直した思考を捨て、生産性の挽回に取り組もう」と述べた。

    (1)「現代車労組は12日、「コロナが労使生存の意志を折ることはできない」というタイトルの機関紙を出した。現代車労組は「工場別休業が11日、2工場を皮切りに部分的にではあるが生産再稼働を開始した」とし「品質力を基に生産性の挽回に積極的に取り組もう」と述べた。また、「顧客がいなければ労働組合も会社も存在することができないため、労使生存のための労組の呼びかけに組合員が決して硬直した思考を持ってはならない」と付け加えた

    下線部分では、驚くほどの柔軟さを見せている。「顧客がいなければ労働組合も会社も存在することができない」と言っている。その通りである。これまでの現代自動車労組は、顧客動向にお構いなく高額賃上げを要求した。賃上げ時には、派手なパホーマンスをやってきた。

    賃上げ実現まで「煙突から降りない」と宣言して、警察官が中止を説得するという例もあった。朝鮮日報が、「現代自動車に乗らない」というキャンペーン記事を掲載するほど、反感を買ってきた。今、その主役が「終末宣言」を発したのだ。

     


    (2)「労組は続けて、「執行部は疎通と共感を価値に新たな変化と革新を追求しようと淀みなく進んでいる」とし、「使用者側さえ変化意志に共感してくれるならば、国民に希望を与える現代車になるだろう」と述べた。労組側は、現代車支部に対する色眼鏡を外して欲しいとも訴えた。労組側は「コロナ関連の休業期間の賃金支払い問題を巡り『仕事もしていないのに通常の賃金をくれ』と言うのは労組の典型的な魔女狩り」とし「休業賃金を支給するように団体協約に明示されており、これをもとに休業したもの」と説明した」

     

    現代自動車労組が、方向転換した理由の一つには4月の総選挙があるのだろう。国民の多くが、反感を覚えているだけに、ソフト路線に転じて、批判をかわして進歩派候補を勝たせようと言おう戦略であろう。それだけ、韓国与党にとっては厳しい選挙情勢かも知れない。

     

    (3)「現代車労組は毎年ストライキと闘争で使用者側と対立してきた。しかし、今年1月に入り、現執行部は「対話」と「実利」を強調してきた。今回も機関紙で組合員に生産性の挽回を求めたのは現代自動車労組に変化が起きているという分析が出ている。今年1月、イ・サンス支部長は就任演説で「第8代執行部のキーワードは疎通と共感、変化を通じた労使のウィン-ウィン」とし「これからは現代車支部と組合員の歪んだ視線を収めてほしい」と述べた。また「現実を無視した不寛容な視線で現代車組合員の名誉を失墜させる行為は控えてほしい」とも述べた」

     

    現代自動車労組は、これまでタブーであった生産性向上に協力するという。ついこの間まで、作業中にテレビやインターネットを使わせろという異常な要求を出して社会を驚かせた。職場は働くところだ。作業中にTVやインターネットは関係ないはず。こういう無茶な要求を出して批判され、世間の冷たい風を知ったのだろう。何ごとによらず、反省して出直すことに文句は無粋。成果を見つめることにしよう。



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    WHO(世界保健機関)は11日、新型コロナウイルスの蔓延により、各国へ「海外旅行自粛」を要請した。これまでのWHO方針を改めたものだ。このWHOの措置により、大きな影響を受ける業種の一つが海外航空会社である。どの程度の影響を受けるのか。最新予測では、SARS(2003年)並としているが、甘いように思える。各国の経済実態にかなりのダメージが予想されるためだ。

     

    『Forbes 電子版』(2月11日付)は、「世界の航空会社の損失、2003年のSARSと同レベルの見通し」と題する記事を掲載した。

     

    中国の武漢市が発生源の新型コロナウイルスの感染拡大は、世界の航空会社に巨大な打撃を与えている。フライトの欠航やキャンセルによる経済的損失は、2003年以降で最悪の規模になりそうだ。

    (1)「航空業界のリサーチ企業OAGによると、世界の航空会社の欠航件数は、2月の第1週の7日間で25000件以上に達したという。OAGによると、世界の30の航空会社が中国便の運航を一時停止しており、週あたり8000席の販売が停止された。航空会社が被る損害額は、2003年のSARSと同レベルに達すると専門家は予測する。「新型肺炎はこれまでを上回る件数の、航空便のキャンセルを発生させている」とOAGのアジア部門主任のMayur Patelは述べた」

     

    航空会社の損害は、SARS並と見られている。果たして、その程度で済むだろうか。2003年と現在では、中国経済の規模が異なっている。現在、世界経済に占めるウエイトは16%にもなっている。2003年当時は4%程度であった。世界経済に与える影響は格段に大きくなっている。単純に言えば4倍でる。

    中国経済は、不動産バブルの後遺症に悩まされる。2003年当時になかった、新たな負担である。過剰な債務を背負っており、簡単な回復はあり得ないのである。中国経済自体の回復速度が遅れる以上、世界の航空会社の受ける損害は、SARS並以上に拡大されると見るべきだろう。

     

    (2)「シンガポールの経済紙Business Timesによると、2003年のSARSはアジア太平洋地域の航空会社の年間売上の8%を奪い、60億ドルの損失をもたらしたという。SARSは香港や台湾、中国を中心に猛威をふるっていた。香港の航空関連のアナリストのEric Linによると、中国に本拠を置く航空会社は既に、予定されていた航空便の少なくとも50%をキャンセルしたという。ここに含まれるのは、中国国営の中国国際航空や中国南方航空、さらに民間企業の海南航空などだ。台湾の航空会社や香港のキャセイパシフィックも、売上の大半を中国便に依存しているため、ダメージは大きい。さらに、ユナイテッド航空やブリティッシュエアウェイズも、中国便を運休させた」

     

    SARSの時は、終息宣言が出されるまで7ヶ月を要した。今回も最低限、その程度の期間を必要とすれば、2003年当時の経済規模と現在の拡大幅の7倍の損害が出てもおかしくない。SARS並は、とうていあり得ない話だ。

     

    (4)「米国の格付け会社ムーディーズは131日のレポートで、感染が中国以外に拡大した場合、航空会社の損失はさらに増えると予測した。「原油価格の下落により損失の一部は相殺されるが、ビジネスモデルが脆弱な航空会社が被る損害は不可避であり、回復には時間を要する」と同社は述べた。ただし、SARSと同様のパターンが今回も再現されるとしたら、感染拡大の収束と共に、需要は急速に回復するはずだとアナリストは述べている。北京の国際空港から飛び立つ旅客数は、SARSの収束の1カ月後に最大を記録したと中国の人民

    日報は当時、伝えていた

     

    下線部は、言わずもがなの指摘である。WHOが、日本など6ヶ国への海外旅行自粛を呼びかけている。これら諸国は、中国と香港を加えれば、日本の「ベスト8ヶ国」である。甘い予測が禁物という根拠がここにある。

    SARS終了直後、中国の海外旅行熱はすぐに回復したという。今回は事情が違う。不動産バブル崩壊という新たなリスクを背負っている。家計債務が過去最高という中で、2003年当時と同様な「早期旅行回復」に繋がる公算は小さいであろう。

     


    (5)「香港のアナリストのLinは、今回の新型肺炎も感染拡大の収束とともに、航空会社にV字回復をもたらすと述べている。海外への渡航を見合わせていた旅客らが、一斉に航空機の利用を再開することで、急激な需要増が見込めるという。「感染拡大が収束すれば、ただちに需要は回復し、売上も元のレベルに戻ると見ている」と、OAGPatelも述べた」

     

    このパラグラフでも、楽観論を展開している。そうであれば結構だが、中国経済自体が相当のダメージを受けていることに気付くべきだ。ちなみに、2003年の中国GDPは、実質10.02%である。現時点では5%割れの減速経済である。当時とでは、半分の成長速度に落込んでいる。この現実を見落としてはならない。

     

     

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