勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > アジア経済ニュース時評

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    韓国は、経済面で日本を抜くことが夢である。「克日」と称し、大真面目に口角泡を飛ばす国民である。皮肉にも「文政権」という反日大統領を選んだがゆえに、韓国経済は没落の道を進むことが確実になってきた。

     

    潜在成長率は、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)比率によって大きく制約される。この壁を生産性向上でこじ開けるのだが、韓国には反企業主義で規制緩和反対の労組と市民団体に阻まれている。他国には見られない構造的な脆弱性を抱えている。ゆえに、韓国は生産年齢人口比率に見合った経済成長率も実現できない弱体経済に落込む。

     

    2018年現在、総人口に占める生産年齢人口比率を上げておく。

    韓国 72.2%

    米国 65.4%

    日本 59.7%

     

    上記の生産年齢人口比率から言えば、韓国の経済成長率が一番高くて当然である。ところが、韓国の有力経済学者の見通しでは1%台に止まるという。本来であれば、米国を上回る経済成長率でも不思議はない韓国が、ほぼ日本並の経済成長率になれば、経済政策の失敗と言って差し支えない。

     

    『ハンギョレ新聞』(9月27日付)は、「政府の経済政策は無能、2020年以降、成長率1%台に墜落」と題する記事を掲載した。

     

    文政権支持のメディアが、この記事を掲載したところに韓国経済の深刻さが現れている。

     

    (1)「キム・グァンドゥ国民経済諮問会議元副議長と延世大学のソン・テユン教授が25日、全国経済人連合会傘下の韓国経済研究院主催で「トンネルの中の韓国経済、脱出口はないのか」をテーマに開かれた特別座談会で、現在の経済状況に苦言を呈し次のように語った。「国内外の経済環境の悪化と政府の政策対応能力不足により、このまま行けば、2020年以降成長率が1%台に落ちることが懸念される」

     

    文政権支持のハンギョレ新聞である。できれば、こういう政権批判の記事は掲載したくなかったであろう。現実は、そのような糊塗を許さないところまで行き着いてしまった、という認識があるのであろう。今後は、1%台の経済成長率と予測する記事を掲載した。

     

    (2)「キム元副議長は、「世界的な景気収縮、世界規模の保護貿易基調などのグローバル経済環境の悪化と、企業投資の減少や貿易収支の黒字幅の減少など、国内経済状況の悪化が重なり、来年以降成長率が1%台となると予想される」と診断した。また「1997年と2008年の経済危機が金融分野で始まった急性疾患だったとすれば、現状況は実体分野の低迷から始まった慢性疾患」と分析した。ソン教授は「各種の物価指標がマイナスとなり、景気低迷型デフレによる企業売り上げの減少、資産価格の下落により、さらなる景気下落が懸念される」と語った。また「労働時間短縮の硬直的な実施が景気の後退を加速化させるだろう」と主張し「1990年代の日本は労働生産性が低い中で労働供給を減少させ、景気低迷を招いた」と付け加えた」

     

    1997年と2008年、2回に及ぶ通貨危機は急性疾患であった。今後の低成長経済は、慢性疾患であると診断している。それは低い労働生産性が、週労働時間52時間という制約と重なり合って、韓国のGDP成長率を押し下げると見ているものだ。

     

    (3)「景気悪化の原因については、両者とも「政府の政策の失敗」をあげた。キム元副議長は「政権勢力の経済政策対応能力が不十分だ」とし、「政府万能主義が広まり、世界経済秩序と市場生態系に背を向ける政策イデオロギー問題が深刻」と指摘した。また、「政府の事前対応能力が弱く、巨視的な政策ビジョンがなく、縦割り行政も相変わらずだ」とし、「政治的分裂によって政策立案と執行のタイムラグが長く、政策のタイミングも逃している」と突いた」

     

    低成長経済をもたらした元凶は、経済政策の失敗である。具体的には、現代では珍しい政策イデオロギーに固執して、大勢を的確に把握できなかった点にある。「反市場主義」というカビの生えたような政策にこだわった結果である。

     

    (4)「さらに「財政政策は福祉支出の硬直性に縛られており、規制緩和は市民団体の壁にぶつかっており、経営環境の改善は労組の力に押されている」と批判した。ソン教授も「2017年第3四半期、景気の収縮に入る時期に所得主導の成長政策が労働費用ショックをもたらし、景気の下落速度に大きな影響を及ぼした」、「基準金利の引き上げも否定的な影響を与えた」と分析した」

     

    下線で指摘した市民団体と労組が、文政権の経済政策を根本から歪めた団体である。これら両団体に受入れられるような政策しか発動できなかったのだ。具体的には。最低賃金の大幅引上げと週労働52時間制導入である。これが、大規模な雇用調整による失業者を生み出した。労働者を守るべき施策が、労働者を失業に追い込むという逆効果も甚だしい結果を生んだのである。

     

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    笛や太鼓で勢いをつけてきたEV(電気自動車)が、政府の補助金削減や打切りとともに失速が鮮明になってきた。それでも、中国は世界一のEV生産国である。EVの技術的未熟さが、中国政府の期待するような成績を上げられなかったのだ。  

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月27日付)は、中国のEV普及つまづきの原因は」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「世界で最も急成長している電気自動車(EV)市場が減速している。中国のEV販売台数は7月が前年同月比5%減、8月が同11%減となり、技術に飢えた中国でさえ向こう数年のEV販売は厳しそうだとの懸念が浮上している。重慶市のディーラーで働く北京汽車(BAICモーター)の営業担当者は最近、「新エネルギー車(NEV)の売れ行きは良くない」と述べた。「消費者が気にするのは、EVの航続距離、充電の便利さ、価格の下がりにくさだ」という 

     

    新商品が爆発的に売れる条件は、技術的完成度の高さと販売価格の低下である。EVは、政治的商品の域を出ないので、補助金が減れば売上が落ちるという関係にある。EVが「自然成長」が可能になるには、バッテリーの性能向上とコストダウンを待つしかない。

     

    (2)「中国は依然、群を抜いて最大のEV市場だ。昨年の販売台数は126万台と、世界全体の60%を占めた。大半のアナリストはなお、長期的に広範な普及が進むと予想している。しかし、自動車市場全般が大きく落ち込むなか、販売は息切れしている」。

     

    中国政府は、EVで自国メーカーを世界一にする野望を持っていたが、見果てぬ夢に終わった。基幹技術のない中国自動車企業には過重な期待であり、ここでもトヨタの最先端技術が荒野を切開く。HV(ハイブリッド)技術を無料公開して、EVへつなげていく戦略が功を奏するようだ。今年の7~9月期のEV販売台数は、前年比マイナス11%が予想されている。補助金は、19年一杯で終わる見通しだ。

     

    (3)「中国の昨年の自動車販売台数は3%減と、数十年ぶりの減少となった。今年18月は11%の減少となっている。EVは当初こそ堅調だったが、今ではやはり、中国経済を覆う弱い消費者信頼感に屈している。2020年のEV販売の公式目標200万台は、今では厳しそうに見える。販売台数ベースで中国最大手のEVメーカー、比亜迪(BYD)は、8月の同社EV販売台数が23%減少したことを明らかにした。7月は12%の減少だった。中国のEV新興企業群は黒字化に必要な販売の増加を実現できず、圧力にさらされている」

     

    EV技術の完成度が上がって、「満足できる商品価値」を備えるまでは無理である。中国政府は、この技術面の発展速度を見誤り、多額の補助金がすべて無駄になった。

     

    (4)「勢いは衰えているかもしれないが、中国政府はEVをあきらめないだろう。雇用をEVメーカーに頼っている中国全土の地方政府も同様だ。その多くは、生産を支えるためEV新興企業に巨額の資金を投資している。中国政府は今年も相変わらず、全自動車メーカーに対しEV生産を開始し、採算が悪いにもかかわらず大量生産を保証するよう迫っている。テスラは、12月までに上海の新工場で「モデル3EVの生産を開始し、中国国内でのEV供給をさらに強化するという」

     

    中国政府は、世界の自動車メーカーに多額のEV補助金を出して、EV育成を図る「慈善事業」になっている。大気汚染に対処せざるを得ない面もあるが、これまで環境政策を怠ってきた「ペナルティー」と思えば良かろう。

     

    (5)「EVは今年、自動車メーカーの中国生産の約34%を占めるはずだ。この水準は、数年で徐々に上昇する予定。EVは少なくとも当初については採算が見込めないリスクがあるが、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォルクスワーゲンを含む多くの自動車メーカーは、壮大なEV展開計画を発表している」

     

    GMやVWは、トヨタのHVに大きく遅れた面をEVで挽回しようとしている。ただ、HVはガソリンと電気の2通りの動力機構を備える「離れ業」を実現したもの。それ故、HVをEVに転換するのは容易とされている。一時期、マスコミは「トヨタHV戦略の失敗」などと囃子たてていたが、トヨタ戦略の勝ちに終わりそうだ。中国におけるトヨタ車の販売が、独走しているからだ。

     

     

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    韓国経済の実態は、聞けば聞くほど呆れかえるほどの悪化ぶりである。文政権の経済政策が、すべて失敗した結果だ。とりわけ、零細企業の宿泊・飲食業の約3割が「ゾンビ企業」である。すなわち、営業利益で金利が支払えない状態に陥っている。待っている運命は、「倒産」の二字という冷酷な現実だけである。

     

    『中央日報』(9月27日付)は、「ゾンビ企業また増加、全体の14%は利子も返せず」と題する記事を掲載した。

     

     昨年、100社のうち14社は厳しい状況に追い込まれた「限界企業」であることが分かった。債務返済能力が落ちている限界企業では、債務も増えさらに深刻な状況を迎える懸念が強まっている。韓国は、「反日不買運動」を展開中だが、消費者不安心理を高めるという思わざる副作用に直面している。こうして、「自壊現象」を強めるであろう。


     (1)「韓国銀行(韓銀)が26日に発表した「金融安定報告書」によると、昨年、外部監査を受ける企業(2万2869社)のうち14.2%の3236社が限界企業だった。2017年に13.7%だった比率は昨年0.5%上昇した。限界企業は営業利益を利子費用で割った「利子補償倍率」が3年連続1未満の企業。利子も支払えない、いわゆる「ゾンビ企業」だ」

     

    韓国銀行では、「ゾンビ企業」の定義として3年間営業利益で利子費用を払えない限界企業として扱っている。

    (2)「 限界企業に関連して懸念されることは一つや二つでない。まず限界企業がさらに増える兆候が表れている。限界企業の岐路に立つ企業の比率が高まった。利子補償倍率が2年連続で1を下回る企業は2017年の19.0%から昨年は20.4%に上昇した。2年連続で利子も償還できなかった企業が「ゾンビ企業」に転落(移転率)する数値は2017年の53.8%から昨年は63.1%と1年間で9.3%増えた」

     

    今年以降のゾンビ企業が、さらに増加するとの予測は確実である。2年連続で利息を払えない企業が2017年は53.8%、18年は63.1%と「9.3%ポイント」も増えていることだ。今年の景気がさらに落込んでいる現状から判断すれば、「3年連続で金利費用払えぬゾンビ企業」は増加して当然。定義に基づく今年のゾンビ企業は、確実に20%台を超えるであろう。法人税収は落込むので、政府の債務依存度が上がる。

     

    (3)「CEOスコアのパク・ジュグン代表は、「米中間の貿易紛争、日本の輸出規制などによる国内外の輸出リスクと景気減速が重なり、国内企業の経営状況が悪化している」とし「さらに韓国の主力産業の製造業は世界的なトレンド変化に対応できず斜陽産業化し、限界企業はさらに増えるおそれがある」と指摘した。これを反映するかのように上場企業の1~3月期の利子補償倍率(インタレスト・カバレッジ・レシオ)は4.7倍と、昨年(8.8倍)の半分水準に落ちた」

     

    今年1~3月期の上場企業の営業利益は、金利費用の4.7倍に過ぎなかった。昨年同期が、8.8倍であるから、ほぼ半減状態である。文政権の間違った経済政策で、企業が困窮状態に追い込まれている。

    (4)「 負債も増えている。限界企業に対する金融機関の与信は昨年末107兆9000億ウォンと、1年間に7兆8000億ウォン増加した。外部監査を受ける企業全体与信のうち限界企業の比率は13.8%と、0.4%上昇した。韓銀のイム・グァンギュ安定総括チーム次長は「限界企業は債務償還能力が脆弱であるうえ、低信用等級または資本欠損状態である企業が多く、経営環境がさらに悪化すれば不良債権リスクは急速に高まるおそれがある」と指摘した」

    ゾンビ企業への金融機関貸付は、昨年末で107兆9000億ウォン(約9兆4400億円)にも達している。この貸付は、潜在的な「焦付け債権」の危険性を帯びている。今年から来年の韓国経済が一段の悪化ゆえ、ゾンビ企業が「お手上げ」(デフォルト)するリスクは大きい。この時限爆弾を抱える韓国が、日本と経済戦争することなど不可能である。

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    韓国経済は、急速に疲弊している。文政権が、「労働貴族」とされる戦闘的な労組に支配されているからだ。無謀な最低賃金の大幅引上げで、これまで2年間の最低賃金は29%引上げられ、財閥企業の労組が最大の受益者という事実が浮かび上がってきた。

     

    庶民は、最賃の大幅引上げで職を失い失業者の群に身を投じている。大企業労組は、高賃金がさらに引上げられ、韓国経済の矛楯が拡大している。文政権は、この問題を見て見ぬふりしている。文政権は労組に支配されるという「逆転現象」が起こっている。これが改まる期待は、全くのゼロである。

     

    『朝鮮日報』(9月27日付)は、「韓国民生指数 朴槿恵政権97・現在87 『韓国の実体経済は骨粗鬆症の危機』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「金広斗(キム・グァンドゥ)国家未来研究院長(元国民経済諮問会議副議長)は26日、ソウル市汝矣島の韓国経済研究院で開かれた特別経済座談会で、「文在寅政権発足以降、民生指数の悪化が続いている。今年に入ってからも、1~3月87.85、4~6月は87.28まで低下した」と指摘した。民生指数は国家未来研究院が市民生活で重要な雇用構造、雇用の質、実質所得、株価、教育費、食料品費など11項目を加重処理して四半期ごとに発表している数値だ」

     

         歴代政権の「民生指数」平均値

    盧武鉉政権 101.5(2003~08年)

    李明博政権 101.3(2008~13年)「人口ボーナス期」終了

    朴槿恵政権   97.8(2013~16年)「人口オーナス期」入り

    文在寅政権   91.2(2017年5月~)

     

    「民生指数」とは、国民生活に深く関わっている経済データ11項目を加重処理しているという。ただ、この指数を見るには、韓国の人口動態が2013年を境に大きく変ったことを認識することだ。2013年以前と以後を分割すべきである。前者は、「人口ボーナス期」(総人口に占める生産年齢人口比が上昇期)と「人口オーナス期」(生産年齢人口比が下降期)である。換言すれば、潜在成長率の上昇期と下降期だ。現在は、全く異なる経済局面に遭遇している。文政権には、そういう認識がゼロである。

     

    (2)「金院長は1997年のIMF(国際通貨基金)通貨危機と2008年の世界的金融危機は金融状況に端を発した急性疾患だったが、現在の状況は実体経済の低迷が原因の慢性疾患と言えると主張した。金院長は「過去2回の通貨危機が脳卒中だったとすれば、現在は骨粗鬆症だ」とし、「脳卒中は早期に発見して治療すれば回復は容易だが、骨粗鬆症は結局骨が折れて倒れてしまう」と指摘」

     

    現在は、「骨粗鬆症は結局骨が折れて倒れてしまう」危機に直面していると指摘している。これは、「人口オーナス期」という背景で起こっている問題だ。「老人経済」になった韓国が、「若者経済」をリードした労組や市民団体に依然として支配される危険性を指摘している。

     

    (3)「その上で、「これだけ実体経済の状況が思わしくなく、製造業の基盤が瓦解すれば、世界経済が回復しても韓国経済が回復するのは難しくなることが心配だ」と強調した。金院長は規制緩和に反対する市民団体、強硬な労組などが政策手段を制約していると述べた。金院長は「現在の政治秩序では労組が企業よりもはるかに強力だ。全国経済人連合会(全経連)と大韓商工会議所はあるが、束になっても全国民主労働組合総連盟(民主労総)より弱い」と述べた」

     

    反企業主義に立つ労組と市民団体は、「企業は悪」というマルクス主義に支配されている。だから、規制緩和など「とんでもない」ことになる。我田引水で、労組と市民団体の利益優先主義を貫いている。これが結局、韓国経済を回復不能の事態へ追い込むであろう。私と同じ結論だ。

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    けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

     

    家宅捜査受けた新任法相

    自浄能力欠く韓国の運命

    3事例に浮かぶ衰退国家

    労働貴族が誤解する変革

     

    韓国政治が、混乱している。新任のチョ・グク法務長官(法相)が、9月22日11時間に及ぶ家宅捜査を受けた。就任前からいくつかの疑惑を抱えており、韓国国会の聴聞会でも疑惑は解けなかった。この聴聞会中にチョ氏の妻が、検察から文書偽造の罪で取り調べを受けることなく、在宅起訴という異例の措置を受けた。

     

    家宅捜査受けた新任法相

    文在寅大統領は、こういう緊迫化した状況を受けながら、「新たな疑惑が出なかった」という軽い認識で、議会の聴聞会報告を受けずに「強行任命」した。実は、ユン・ソクヨル検察総長は事前に、文大統領へ「チョ・グク法務長官不適格」(ハンギョレ新聞)と諌言していた。文氏は、それを無視してチョ氏を法務長官に任命したことになる。任命権者としての文大統領は、余りにも軽率と言わなければならない。

     

    もともと検察改革は、文大統領が政治に参加することを決心する過程で重要な動機となった、とされている。チョ氏も長い間、検察改革運動に取り組んできた。大統領は、チョ氏を民情首席に任命した時から、「検察改革」の執行人として目を掛けてきたとされる。こういう文大統領とチョ氏の関係から、長官就任を固辞できなかったという事情を指摘する報道もある。

     

    チョ氏にかけられている疑惑は、次の3点とされる。

     

    1)娘のソウル大学のインターン確認書偽造

    2)実弟経営の熊東学院工事代金の虚偽

    3)証拠隠滅

     

    検察は、チョ氏が少なくとも3つの疑惑に直接関与したものと見ている。検察内部ではこの結果、チョ長官を事実上の被疑者扱いに転換して、強力な捜査体制を敷くものと見られる。検察にとって痛し痒しなのは、今回の捜査が文政権の最大の目玉政策である「検察改革」潰しと誤解されかねない点である。韓国独立後、検察は時の政権の「差し金」によって、反対派弾圧の「手先」になってきたという芳しくない経緯があるからだ。ただ、今回の捜査を指揮するユン検察総長は事前に、チョ氏が「疑惑満載」であると警告してきた事実から言えば、「検察改革潰し」という批判は消えるであろう。

     

    任命権者である文大統領は、チョ法務長官の任命に当り、自らの業績を残したいとする焦りが招いた一件とも言える。ユン検察総長の事前警告も聞き入れずに指名したからだ。この事態は、文政権に「自浄能力」ゼロであることを示唆する。文氏が「チョ就任反対」という世論を受入れていれば、今回のような醜態を招かなかったはずだ。文氏が成果を焦り、「アンテナ」の感度まで狂っていた結果であろう。

     

    文大統領は、なぜ誤った決断を下したのか。それは、すべて政治的な思惑先行によるものだ。事前に、「チョ疑惑」の数々が報じられている中で、文氏があえてそれらを無視したのは、来年4月の総選挙を意識したものであろう。検察改革という進歩派に悲願の政治課題を解決するには、チョ氏を法務長官に就任させ与党支持派を結束させる必要があった。そして、文氏はチョ氏を自らの後継大統領候補に据えて、進歩派政権の継続を狙っていたのだ。今や、この構想は瓦解したと言うほかない。

     

    自浄能力欠く韓国の運命

    私は、今日のメルマガの「統一テーマ」として、韓国は「自浄能力」が完全に欠如した社会であることを強調したい。自浄能力とは、言葉を換えれば「市場機構」である。市場は情実を受け付けず、真に合理的なものしか存在できないシステムである。韓国は宗族社会ゆえに、宗族ごとの利益が優先されており、韓国社会全体の利益が軽んじられている国である。

     

    その意味では、近代化以前の「朝鮮李朝時代」のままだ。特権階級の「ヤンバン」(両班)は、利益を貪り庶民を食い物にしても、何らの精神的な痛みも感じなかった。現代においては、財閥や労組、市民団体が特権階級をなしている。財閥では、財閥家族が王侯貴族のふるまいである。労組は、「労働貴族」と称せられているように、最低賃金の大幅引上げで自営業者や若者を踏み台にして利益を貪った。市民団体は、強引に原発を廃止させ太陽光発電で多額の補助金を懐に収め、豊富な清治資金を貯め込んでいる。(続く)

     

     

     


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