勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    韓国左翼は、中国へ熱烈な思いを寄せている。「不動の経済成長国家」というイメージだ。その中国が、7~9月期に前年比6.0%成長率に止まったから意気消沈している。韓国の輸出の約25%が中国、米国を含めれば約40%が米中がらみである、その米中が貿易戦争で争っている。韓国の立場は建前上、米国だが本音は中国贔屓である。

     

    『東亜日報』(10月19日付)は、「中国が27年ぶりの低い成長、韓国経済に影落とす」と題する記事を掲載した。

     

    中国の第3四半期(7~9月)の経済成長率が27年ぶりに最低の6.0%にとどまった。韓国企業が輸出と直接投資を最も多くする中国市場が縮んだことで、韓国経済成長の足掛かりが揺らいでいるという分析が出ている。

     

    (1)「中国国家統計局は18日、「第3四半期の国内総生産(GDP)が24兆6865億元(約4119兆ウォン)で、昨年の同期間より6.0%伸びた」と明らかにした。このような成長率は、四半期ごとの成長率統計を取り始めた1992年以来、27年ぶりに最も低いもので、当初の市場予測値より0.1%ポイント下落したものだ。中国は2015年第2四半期に7.0%成長を示した後、4年間6%台の成長にとどまったが、6%の線が崩れる状況に追い込まれている。昨年第1四半期から四半期の成長率が毎回下落傾向を見せていることを考慮すれば、第4四半期の成長率は5%台に落ちる可能性があるという見方が多い」

     

    今年の10~12月期は、前年比で5%台へ低下するのと見方が強いという。中国経済は、明らかに力を失っている。この中国に肩入れしている。先見の明がない国である。

     

    (2)「英フィナンシャル・タイムズ(FT)は、「地方政府が道路・橋などのインフラ建設を通じて、成長率目標を達成してきたが、このような事業もからびている」と明らかにした。中国経済が低迷に陥ったことで、製造業と金融部門で密接に関連している韓国経済が打撃を受けかねないという懸念が少なくない。韓国経済研究院などの民間研究所は、中国成長率が1%ポイント下がれば、韓国の成長率は0.5%ポイント下落しかねないと見ている。現代(ヒョンデ)経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は、「世界経済の低迷が長期化し、中国政府の様々な刺激策も功を奏しなければ、成長鈍化は来年まで続きかねず、韓国経済が否定的な影響を受けることもありうる」と語った」

     

    中国経済は、もはやこれ以上、インフラ投資に依存できないほど、依存している。もともと広大な国土である。人口密度の低い地域で行なうインフラ投資だ。投資効果は上がる訳がない。それでもGDPの下支えをしなければ、メンツが立たない。こういう独特の理屈付で、遮二無二GDPを押し上げてきた。それだけでは足りず、GDPの水増しをするという前代未聞の国である。それも限界に達している。

     

    個人消費は、自動車も不振である。新エネルギー車に補助金を出してきたが、地方政府の財政負担が膨らみすぎて中止のやむなきに至っている。こういう中国経済の現状を見れば、韓国の輸出に長期の暗雲が出たとの判断を下さざるを得まい。その中国輸出の落ち込み分をカバーする方法は見つかっていないのだ。

     

    ここで、対日関係の改善がいかに必要であるかが分ってきたのだろう。韓国政府は、年内をメドに対日問題を解決したいと焦っている。こちらも、具体的な対応策は見つかっていない。徴用工問題を棚上げして、日本と融和策をとりたいという手前勝手なことを言っている。これでは、日本政府が相手にするはずがない。文字通り、四面楚歌の状況だ。文大統領は、「二度は日本に負けない」と啖呵を切ったが、「敗北」は必至となってきた。


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    中国は景気循環で自壊過程

    過剰債務で信用危機同然へ

    中国の覇権宣言が墓穴掘る

    米国内3タカ派が結集する

     

    中国の7~9月期のGDP伸び率は、事前予想の前年比6.1%を下回る6.0%に終わった。李首相は、これまで「6.0%成長も大変」と漏らしてきたが、その通りの結果である。中国経済がここまで追い込まれてきた背景に、いくつかの要因がある。

     

    中国は景気循環で自壊過程

    第一は、景気循環要因である。在庫投資と設備投資の循環過程で、両者がボトム期にぶつかっていることだ。在庫循環(キチン・サイクル)は、約4年周期で起こるもの。生産過剰が生産者価格(卸売物価)を下落させて、自律的に生産を調整する効果がある。生産者価格は、すでに8~9月と連続で前年比マイナスに落込んでいる。この現象は始まったばかりだ。これから値下がりが本格化する。

     

    日本経済の高度経済成長期(1960~80年代前半)は、この在庫循環を巡ってエコノミストは白熱の議論を展開した。こういう在庫循環は当然、中国経済にも当てはまる。過剰生産基調の中国経済では、在庫循環の動きがGDP成長率に大きな影響を与えるであろう。一般的に、「景気サイクルは4年」と言われているものがこれである。

     

    設備循環(ジュグラー・サイクル)は約10年周期である。前半の5年は設備投資が上昇過程に乗り、後半の5年は緩やかに下降して、10年目にボトムをつける。中国は、10年目ごとに社会騒乱が起こっているが、設備循環のボトム期と一致している。私は、この事実に気付き、メルマガ21号でそれを具体的に示した。

     

    1949年 中国共産党が政権を奪い、中華人民共和国が誕

    1959年 チベット蜂起の発生

    1969年 中国とソ連が国境のウスリー川のダマンスキー島で大規模軍事衝突

    1979年 中国がベトナムに対して宣戦布告した中越戦争勃発

    1989年 天安門広場で民主化を求める学生と市民を武力鎮圧する

    1999年 中国当局は伝統気功、法輪功学習者へ弾圧政策開始

    2009年 新疆ウイグル自治区ウルムチで大規模暴動

    2019年 米中経済の衝突と新冷戦時代へ

    (以上は『大紀元』による)

     

    「9の付く年」の実質GDP成長率を上げると、次のようになる。

     

    1979年 7.6%

    1989年 4.2%

    1999年 7.6%

    2009年 9.2%

    2019年 6.0~6.5%(政府予想)

     

    中国は、昨年12月20日で改革開放40年を迎えた。この間の平均GDP成長率は9.5%と発表。この9.5%と前記の「9の付く年」の成長率を比べると、いずれも平均値に達していない。これは、成長率が鈍化した結果を示している。この事実は、約10年周期で起こる設備循環の存在を証明するものだ。設備投資が落込む時期は、投資需要の低下を意味するので、GDP成長率は落込んで当然である。

     

    2019年は、在庫循環ボトム期と設備循環ボトム期が重なり合う「最悪期」に当る。これは、20年に1度の確率で起こることだ。ちなみに、前回の1999年前後の実質GDP成長率は、次のような推移であった。中国経済史で、珍しい「停滞期」である。

     

    1996年10.0%

    97  9.

      98  7.

      99  7.

    2000  8.

       1  8.

       2  9.

       3 10.

       4 10.

     

    在庫循環と設備循環が重なり合うと、以上のようにその前後で数年にわたり成長率のジグザグを描いている。ここから推測されることは、今後の中国経済が容易ならざる事態にはまり込むであろうという予測だ。上のデータで分るように、1997~2003年までの7年間もGDP成長率が停滞した。今後の中国経済に起こっても、なんら不思議ではないのだ。(つづく)

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    韓国は、背伸びして反日だとか克日とか、小うるさいことを喚いている。日本にとっては迷惑な話である。韓国から常に敵視されているからだ。中国も日本に興味を持って見ているが、韓国より大らかなところがあってありがたい。

     

    『レコードチャイナ』(10月19日付)は、「日本の長所と短所を客観的に見ようー中国人研究者」と題する記事を掲載した。『環球時報』(10月17日付)の転載である。

     

    日本の長所と短所を客観的に理解するために中国人が持つべき心構えについて論じた文章を掲載した。筆者は黒竜江省社会科学院東北アジア研究所所長の笪志剛(ダー・ジーガン)氏。

    (1)「笪氏はまず、日本をめぐる最近の状況について、「19年連続でノーベル賞受賞者を輩出し、その基礎研究のレベルの高さは中国人に再び羨望と崇拝の念を抱かせている」と紹介。一方で、台風19号が甚大な被害をもたらしたことについては、「ネット上に『日本の防災システムは明らかに疲弊している』といった意見が氾濫している」と指摘した」

     

    防災システムは、世界一でも短時間に大量の降雨があったからだ。地球温暖化の被害である。

    (2)「そして、「中国人の日本に対する評価には極端な浮き沈みがある。これは、日中関係の起伏を反映していると同時に、中国の重要な隣国として、日本が中国人の心理に影響を与えていることの表れでもある。そして、それ以上にわれわれが、時に客観的、ひいては理性的に日本の長所と短所を理解できなくなっていることを象徴している」と論じた」

     

    中国の日本評価が極端に振れるのは、日本が中国人の心理に影響を与えている結果だという。つまり、感情的に日本を眺める結果が大きく上下にぶれる理由としている。真実の日本は変っていないというのであろう。この件は、韓国に読ませたいものだ。韓国は、今日もまた「反日だ」、「克日だ」と騒ぎ回っている。

     

    (3)「同氏は続いて、「アジア経済のリーダーだった日本は、東アジア経済に奇跡をもたらしただけでなく、アジア唯一の発展した経済体に成長した。アジアの科学技術を切り開き、欧米諸国を凌駕する先例を数多く生み出した。80年代以降、日本は先進教育の優位性やグローバル人材の蓄積、さらには多元的な奨励措置ならびに投資の増大といった総合的な施策によって科学技術国としての方向性を打ち立てた。日本では政府と生産部門、学術部門、研究部門、運用部門が力を合わせてテクノロジーの難関を乗り越え、アジアならびに世界における主導的な地位を確立した」とした」

     

    韓国は、この日本と対抗すると大真面目になって息巻いている。中国人に、こういう韓国人の行動を評価してもらいたいものである。

    (4)「その上で、「日本が勝ち取った成功に対し、東アジアの隣国として、われわれはまず祝福し尊敬すべきだろう。その次にそれを教訓として学び、続いて両国のテクノロジー協力を拡大していく。そして最後に新しいものを生み出すのだ。日本の長所は取り入れて参考にしなければならないが、過剰に崇めたりむやみに自らを卑下したりする必要はない。日本の科学刷新と技術の進歩は、確かに日本の知恵の結晶ではあるが、アジアにとっての誇りであり、人類にとっての誇りでもあるのだ」とした」

     

    下線をつけたような発言を聞くと、日本は謙虚にならざるを得ない。これが、礼儀というものの本質であろう。韓国のように面と向かい「反日」とか「克日」という言葉を聞かされると「ムカッ」とくる。だが、ここまでへりくだって言われると、襟を正さざるを得ないから不思議だ。

     

    (5)「また、「同様に、日本では台風や地震、津波、火山の爆発といった自然災害がしばしば起こっており、日本はそれらが引き起こす多くの困難を克服しなければならない状況にある。戦後の日本を襲った東日本大震災などの大災害は日本に忘れられない教訓を残したが、日本は伝え広めていくべき防災や減災、復興のプロセスを経験した。今回の台風19号で政府は民間と連携したものの、あれこれと思い通りにいかない部分もあった。しかし、今回の台風が60年に1度の規模とされたことを加味すれば、日本政府や社会、企業の対応にも取るべきところがあったと言えるだろう」とした」。

     

    今後は、60年に一度の災害が恒常化するリスクが指摘されている。日本が得た教訓は、世界の共通認識として共有すべきであろう。

    (6)「同氏は最後に、「日本と中国という二つの大国の関係が絶えず形を変えて発展していく中で、国民は理性的に(相手を)認め、理解を深めていく。新たな時代を切り開き、次のステップに進んでいくにあたって、われわれが持つべき心構えはそういったものだろう」と結んだ」

     

    異議はないし、相互互恵の精神で臨むべきだ。

     

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    土地錬金術の経済も終わりを告げた。7~9月期のGDP成長率は前年比6.0%だ。前期比は1.5%増で46月より0.1ポイントの減速。年率換算では、6.13%になる。李首相は、「6%成長も大変」とぼやいたが、いよいよ苦しい局面を迎えた。

     

    景気循環的な視点で言えば、中国経済は10年周期の設備投資循環と4年周期の在庫循環のボトムが重なり合う最悪局面に落込んでいる。生産者物価(卸売物価)は、8~9月と前年比マイナスに落込んでいる。この状態では、企業の売上は低下して債務返済は不可能である。来るべきところまで来てしまった。まさに、挽歌を聞くおもいであろう。世界覇権論などと、「大法螺」を吹きすぎたのだ。

     

    『ロイター』(10月18日付)は、「3四半期の中国GDP、前年比6.0%増、貿易戦争響き統計開始以来最低」と題する記事を掲載した。

     

    中国国家統計局が18日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比6.0%増と、第2・四半期の6.2%から減速し、政府の今年通年の成長率目標である6.~.5%の下限に落ち込んだ。当局がさらに刺激策を打ち出す必要に迫られるとの見方が強まりそうだ。ロイターがまとめたアナリスト予想は6.1%増だった。

     

    (1)「最近の弱い中国経済指標は内需と外需の低迷を浮き彫りにしている。それでもなお、アナリストの大半は、過去の緩和サイクルで積み上がった債務が残るなか、当局が積極的な刺激策を打ち出す余地は限られているとみている。華宝信託(上海)のエコノミスト、Nie Wen氏は予想を下回るGDP成長率は製造業をはじめとする輸出関連業種の弱さが原因と分析。「輸出が回復する見込みがなく、不動産部門の伸びが鈍化する可能性もあるため、中国経済への下押し圧力は継続する公算が大きい。第4・四半期の成長率は5.9%に落ち込む見込み」と述べた」。

     

    輸出は、米中貿易戦争の影響を受けて落込んでいる。このマイナス分を内需でカバーできるはずがない。住宅やインフラ投資は、これまで債務をテコに過剰なまでに踏込んでおり、もはや新規の投資余地はなくなっている。「打ちでの小槌」も効き目がなくなった。まさに、無理に無理を重ねた経済運営が、どうにもならない限界に突き当たった状態だ。米国経済を追い抜くという途方もない夢を見て、自らが大きな穴にはまり込んだ形である。

     

    中国は独自技術がなく、模倣と窃取という違法な手段でしか手に入れられない技術を頼りにどうやって経済運営を行なう積もりか。明らかに、中国式社会主義とやらは行き詰まった。この厳しい現実を見据えて、方向転換するしか経済再生の道はない。

     

    『ロイター』(10月18日付)は、「中国経済は懸念水域に 減速ペースが予想上回る」と題するコラムを掲載した。

     

    中国経済の減速は懸念すべき段階に達した。第3・四半期の経済成長率は6%に低下し、中国の当局者は見通しを引き下げている。一部の歴史に照らせば、中国の発展段階にとってあまりに低い伸びであることが示唆されている。李克強首相は先月、中国のGDP(国内総生産)伸び率が少なくとも6%を維持するのは「非常に困難」になるだろうと発言。さえない結果を見込んだシグナルとして容易に解釈できる。一部のエコノミストは年内に6%を割り込むと予想し始めている。

     

    (2)「一定程度のいわゆる構造的な減速は自然な現象だ。全ての途上国は米国の所得水準に近付くにつれてコピーできる裕福な国のアイデアを使い果たす。オックスフォード・エコノミクスによると、中国の成長率は2030年までに4%に低下し、その後は2040年までに2.8%に低下する見通しだ。しかし、中国は予想されているよりも速いペースで減速している。国際通貨基金(IMF)のデータに基づくと、購買力で調整した中国人1人当たりのGDPは米国人の約30%に過ぎず、依然として比較的貧しいままだ」

     

    一人当り名目GDP(2018年)では、米国6万2869ドル、中国9580ドルである。中国は、米国の15%にしか過ぎない。この中国が、米国を抜くと豪語するから物笑いの種になる。世界銀行と中国国務院発展研究センターの共同研究によれば、将来の中国GDPを次のように予測している。暗い予測である。

     

    適度に改革する    改革しない   全面的な改革

    21~30年  5.%        4.0%     5.1%

    31~40年  2.%        1.7%     4.1%

    41~50年  2.%        2.3%     3.0%

     

    (3)「ピーターソン国際経済研究所のニコラス・ラーディ氏によると、日本は米国の所得水準の約25%に達してから、さらに20年にわたって年平均9%超の伸び率を維持した。韓国は同じ期間に平均7.7%の伸びを達成。台湾とシンガポールはそれぞれ伸び率が8.4%と8.7%だった」

     

    中国は、前記の世銀と国務院発展センターの共同研究によれば、今後の潜在成長率は急速に鈍化する。日本は米国の所得水準の約25%に達してから、さらに20年にわたって年平均9%超の伸び率を維持した。この例から見ても中国の「急速鈍化」は異例の早さだ。この原因は、生産性向上率の低さと人口高齢化の異常な早さにある。

     

    (4)「中国の経済規模は14兆ドルで、言うまでもなく既にアジアの他国を上回った。米国との貿易戦争や世界的な景気停滞も要因となっている。ただ、刺激策を巡る日々の激しいやり取りの中、政策立案者らは自らのまずい決断で潜在成長率が早く低下していることが見えなくなっている可能性がある。カーネギー国際平和財団のユーコン・フアン氏によると、成長率が4~5%に低下すれば、予想されていた米国人の所得水準との「コンバージェンス(収束)」は事実上行き詰まるかもしれない。注意が必要なのは中国政府が経済開放という厳しい選択肢を取るのではなく、「新常態(ニューノーマル)」を受け入れることだろう」

     

    中国の経済運営の実権は、経済改革派でなく神がかった民族派が握っている。国有企業制度を堅持し保護政策を貫くという一派だ。この「連中」は、潜在成長率が予想外に早く低下していることに気付かず、ただ大言壮語している可能性が強い。GDP成長率が、4~5%に低下すれば、中国の「世界覇権」は絵空事に終わる。

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    きょう18日は、7~9月期のGDP発表の日である。大方の予想では前年比6.1%増というものだ。李首相は、「6%を維持するのは大変」と漏らしていたが、さて、どこまで「ゲタ」を履かせ、メンツを保つのか。これほど、GDP統計で信頼を失っている国も珍しい。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月17日付)は、「中国悩ますスタグフレーション、金融政策も限界に」と題する記事を掲載した。

     

    中国における乱脈融資はかつて、多くの新規住宅や工場の建設、そして成長をもたらしてきた。それが今では、ほぼ住宅・食料価格の上昇と債務拡大を招くだけになってしまった。

     

    (1)「中国は18日、7-9月期(第3四半期)の国内総生産(GDP)統計を発表する。成長率は4-6月期の6.2%から減速すると広く予想されている。だが、価格変動を加味した名目成長率はおおむね横ばいとなる公算が大きく、加速する可能性さえある。これが重大な問題となって立ちはだかろうとしており、金融政策の大きな足かせともなっている。つまり、中国当局が2018年から開始した直近の景気刺激策は、12年や15年に実施した浮揚策と比べて極めて控えめであるものの、そのわずかな刺激でさえ、住宅・食料価格の大幅上昇を招くには十分だということだ

     

    金融緩和政策を行なっても、設備投資などの前向き投資に資金が回らず、投機資金として流れ込んでいる。「流動性のワナ」にはまり込んでいるのだ。

     

    (2)「15日発表の統計によると、9月の社会融資総量残高は10.8%増と、伸びは8月に比べて横ばい、6月の11%増からはやや縮小した。一方で、消費者物価指数(CPI)は約6年ぶりの高い伸びとなっているほか、住宅価格は前年比で10%近く値上がり、食料価格の上昇率も11%に達している。工業や雇用は、なお底入れの兆しが見えない。不運なことに、与信拡大は実体経済への支援効果はあまりないまま物価を押し上げるだけでなく、間違ったところで物価を高騰させている。名目成長率は、おそらく食料や不動産の影響で、農業やサービス部門で加速したものの、製造業部門では減速した。住宅・食料価格の急騰は社会の安定や実質個人消費の双方にとって問題だ。だが工業製品の価格下落は、同セクターに集中する中国の巨額債務圧縮をさらに困難にする

     

    もともと、中国人は投機が三度の飯よりも好きな民族である。あらゆるものを投機対象に仕立てる能力は「世界一」である。目先の値上がり益を追い求めるだけなのだ。現在は住宅と、アフリカ豚コレラで生産量が落ちている豚肉への投機である。不健全だが、どうにもならない「性」である。一方、生産者物価は下落しているので、企業の売上が落ちて債務返済が一段と困難になっている。要するに、金融を緩和しても投機を煽るのみ。生産者物価のテコ入れには寄与せず、企業債務を増やすだけの最悪局面に落込んでいる。

     

    (3)「中国当局が今回、与信拡大の手段としてインフラ債の発行に大きく依存しているのは、現在置かれたこの難しい状況によるところが大きい。理論上では、インフラ投資の拡大は、住宅価格を押し上げることなく工業製品の価格を支える。だが問題となるのは、中国は所得水準に照らし合わせると、すでに非常に良好なインフラを整備しているという点だ。インフラ債の大量発行は、すでにぜい弱な民間部門の借り入れを締め出す恐れがある。これはすべて、中国の成長モデルに深刻な課題を突きつけており、貿易摩擦の一時停戦でさえ、現在の中国にとっては非常に歓迎すべき理由の1つにもなっている。中国の金融政策担当者が打てる手段は底をつきつつある」

     

    中国政府は、目先のGDP押し上げを狙ってインフラ投資に全力を上げている。大量のインフラ債の発行で資金を賄っているもの。だが、このインフラ債の大量発行は、民間資金借り入れを締め出すクラウドアウトという弊害を生み出す。中国経済は、にっちもさっちも行かない状況に追い込まれてきた。これぞまさに、過剰債務の崩壊が示す乱脈経済の実態である。

     

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