勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

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    中国は、GDP統計ですら改ざんする国である。中でも出生データは誤魔化しのし放題である。合計特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子どもの数)は、国際統計でも噓の数字を掲載している。2018年は臆面もなく「1.69」と記載した。中国は、出生データを誤魔化している。中国の国力が、外部からのぞき見されるためである。自らの弱点を隠しているのだが、無駄なことである。2019年の正しいデータは、末尾に記載した。

     

    中国が人口データを水増ししているとの主張を裏付けるため、次の出生と入学のデータの相違を挙げたい。例えば2000年の新生児は統計局によると1771万人だったが、2014年の中学入学者(14歳)はわずか1426万人だった。14年間で345万人が「死亡」したことになる。2000年の乳児死亡率3%前後である。約43万人に過ぎない。となると、約300万の差は説明できないのだ。結局、最初から生まれていなかったことになる。

     


    『大紀元』(10月28日付)は、「中国の高齢者人口、5年内に3億人突破」と題する記事を掲載した。

     

    中国民政部(省)養老サービス司の李邦華副司長は10月23日の記者会見で、2021~25年までの5年間、中国の60歳以上の高齢者の人口は3億人を超えると明らかにした。同氏は中国の高齢化が急速に進んでおり、当局の「養老サービスが一段と厳しい局面に直面する」と示した。

     

    (1)「中国の民間シンクタンク、恒大研究院は今月、出産調査報告書、「中国生育報告2020」を発表した。同報告書は、2021~25年にかけて、中国の人口は「マイナス」になると予測した。また、2022年に、総人口に占める65歳以上の国民の割合は15%以上となり、33年には同割合が20%以上に達し、中国は超高齢化社会に突入すると指摘した」

     

    民間シンクタンク恒大研究院の報告書によれば、2021~25年にかけて、中国人口は減少過程に入る。これまでの人口推計では、2028年の14億4200万人をピークに減少に転じる見通しであった。これ以降、中国の「苦難の時代」に直面すると予想されていた。それが、最新の人口推計では、かなり繰り上がる見通しが強まっている。2022年には、総人口に占める65歳以上の国民の割合は15%となり、中国が「高齢社会」(14%以上)に入るのだ。「高齢化社会」は65歳以上が7%以上である。「高齢社会」の中国が、世界覇権を狙うというのだ。80歳のお年寄りが、エベレストに登頂するようなもの。不可能である。

     

    (2)「同報告はさらに、「日米韓などの各国では、総人口に占める高齢者の割合が12.6%に達した時、1人当たりの国内総生産(GDP)がすでに2万4000ドル(約251万円)を上回った。これに対して、中国の1人当たりのGDPは1万ドル(約105万円)程度にとどまっている。これは、中国社会は、豊かになる前に老いるという深刻な状況に陥っていることを反映している」との見解を示した」

     

    総人口に占める高齢者の割合が12.6%に達した時、日米韓1人当たりの名目GDPは、2万4000ドル(約251万円)を上回った。中国の1人当たりの名目GDPは、約1万ドル(約105万円)に過ぎない。この差は大きい。習氏は、この現実に目もくれずに「中華の世界」を夢見ている。不可能なのだ。

     


    (3)「中国問題専門家の薛馳氏は、以前の大紀元とのインタビューで、中国当局が今まで厳しく実施してきた「計画生育(出産)政策」が、人口構造のアンバランスを招いた最大の原因だとした。また、当局が伝統文化を破壊したため、家族間で高齢者を扶養する伝統的な考え方がなくなり、「政府が高齢者介護サービスの課題を解決しなければならなくなった」。しかし、「中国当局は年金制度や社会福祉への財政投入が非常に少ないのが現状」と同氏は批判した」

     

    中国は1979~2014年までの一人っ子政策に馴れきってしまった、一人の子どもにたっぷりと教育費をかける生活が定着しており、「二人以上の子ども」を持つ気持ちは消え失せている。こどもが減れば「高齢化」の進行を早める。2017年の65歳以上の高齢者は1億5847万人となり、人口の11%に達した。2022年には「高齢社会」へ移行する。中国社会にこれを受入れる準備がないのだ。最大の悲劇はここにある。

     

    (4)「近年、中国では少子高齢化が進んだため、生産年齢人口や人口ボーナス(総人口に占める働く世代の割合が増え続けて、経済成長が後押しされること)が激減した。中国当局は出生率の上昇を促そうと、2016年「二人っ子政策」の実施を決定した。しかし、一般市民の多くは、住宅ローン、医療費、教育費などの負担が大きく、「産めても養えない」との不安を抱いている。このため、同政策の効果は限定的だ。2019年、中国本土の合計特殊出生率はわずか1.048%だった。1949年以来の過去最低を記録した

     

    2019年の合計特殊出生率は、わずか「1.048」である。初めて秘密のベールが剥がされたのだ。国際統計では、前述の通り「1.69」(2018年)である。中国当局は、大嘘の数字を発表している。これほど噓にまみれた国家も珍しい。

     

     

    テイカカズラ
       

    中国政府は、2035年までにガソリン車を廃止する意向を固めた。EV(電気自動車)とHV(ハイブリッド車)のみが認められる。EVとHVは、トヨタ自動車が中国メーカーに基本特許を無料公開しているので、日系車が有利な地歩を築ける見通しが強まっている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(10月27日付)は、「中国、2035年全て環境車に、通常のガソリン車は全廃」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国政府は2035年をめどに新車販売のすべてを環境対応車にする方向で検討する。50%は、電気自動車(EV)を柱とする新エネルギー車とし、残りの50%を占めるガソリン車はすべてハイブリッド車(HV)にする。トヨタ自動車などHVを得意とする日本メーカーに追い風となりそうだ。中国の自動車専門家組織「中国自動車エンジニア学会」が「省エネルギー・新エネルギー車技術ロードマップ2.0」を27日発表した。工業情報化省の指導を受けて作成しており、中国の自動車政策はこのロードマップに基づいて実施される見通しだ」

     

    世界一の大気汚染国が、2050年を目標にガソリン車を廃止して、EVやHVなどに転換する方針を決めた。EVの普及は、蓄電池の性能がすべてを決める。EVの航続距離が、ガソリン車に及ばなければ、HVがその橋渡し役になるはずだ。トヨタ自動車の構想通りの動きである。

     


    (2)「『EV』を中心とする新エネ車の比率を高める。19年の新車販売に占める比率は5%だったが、ロードマップでは25年に20%前後、30年に40%前後、35年に50%超まで高める。新エネ車の95%以上はEVとする。残りのガソリン車などは、すべて省エネ車のHVに切り替える。HVの比率を25年にガソリン車などの50%、30年に75%、35年に100」%に高め、HVではない従来型のガソリン車などは製造・販売を停止する方針だ」

     

    トヨタは、HVの基本特許を無料公開している。今回の中国政府の動きで、ガソリン車しか技術のない企業は、一斉にトヨタの下に馳せ参じることになろう。トヨタ・ブームが来る。

     

    (3)「習近平国家主席は9月、60年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする目標を表明した。排出量世界1位の中国が脱炭素社会に移行するにはEVなどの爆発的普及が不可欠とみて、通常のガソリン車を全廃する大胆な方針転換を図る。自動車の「脱ガソリン」は欧州が先行する。英国がガソリン車などの新規販売を35年に禁止すると表明し、フランスも40年までに同様の規制を設ける方針。9月には米カリフォルニア州が35年までにガソリン車の販売禁止の方針を表明した。日本でHVやEVなどが販売台数に占める割合は19年に39.%。政府は30年に50~70%にする目標だが、中国や欧州などに比べ見劣りする」

     

    中国は、2060年までに「二酸化炭素ゼロ」社会を目指すと発表した。菅首相は、2050年までに「二酸化炭素ゼロ」宣言を出しており、HVやEVもそれに合せた戦略が練られるであろう。

     


    (4)「新車販売台数で世界最大の中国市場が、世界の自動車大手の戦略に影響を与えるのは確実だ。トヨタは9月の北京国際自動車ショーで、中国でHVの累計販売台数が100万台を超えたと発表した。ホンダを含めHVに強い日系メーカーに有利との見方は多い。中国国有の重慶長安汽車と北京汽車集団は25年までのガソリン車などの製造・販売停止を発表している」

     

    中国国有の自動車企業は、背水の陣で臨まなければ生き延びられない環境だ。すでに脱落し始めた国有自動車企業が出てきた。

     

    中国遼寧省政府の管理下にある国営自動車メーカー、華晨汽車集団(以下は華晨汽車)は、10月23日に償還を迎えた社債をデフォルト(債務不履行)したことが明らかになった。中国メディア『財新網』などによると、同省瀋陽市に本拠地を置く華晨汽車は、2017年10月に発行した社債をデフォルトした。同社は元本の10億元(約156億円)に加えて、元利金5300万元(約8億円)の支払いが滞っている。以上は、『大紀元』(10月27日付)が報じた。

     


    (5)「米中対立の先鋭化や国際物流の停滞にも備える。35年には部品などを海外に依存しない中国独自のサプライチェーンを構築する。販売だけでなく技術でも世界をリードする「自動車強国」への転換をめざす。燃料電池車(FCV)に力を入れる方針も盛り込んだ。25年に保有台数10万台、35年には100万台にする。当面はバスなどでの利用拡大をめざす」

     

    米中対立の長期化に伴い、米中デカップリングが進行するので、中国製EVが輸出される機会は減るはずだ。中国最善の道は、米中対立から共存する政治体制への変革であろう。今時、「中華再興」などという夢を掲げても、世界が受入れないのだ。夢遊病者のごとき振る舞いに映るだけである。

     

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    中国は、合理的な経済計算が不可能であるようだ。アフリカ諸国へ天然資源を担保にして、過剰貸付をしてきたが、パンデミックの嵐でアフリカ諸国は返済不可能になっている。このままだとデフォルトの津波は、貸付先の中国国有企業に及ぶことが必至の情勢である。

     

    中国は、「一帯一路」の夢に託して世界を自陣の中に引入れて、世界覇権への第一歩にするつもりだった。それが、皮肉にも中国発症の新型コロナウイルスによって破綻させられかねない事態を招いている。まさに、合理的な経済計算ができない悲劇が、中国を襲っている状況である。合理的な経済計算とは、マックスヴェーバーの名言である。市場ルールに基づく資本主義経済の決定過程を指す言葉だ。腰だめ的な統制経済の中国には、理解不可能なプロセスである。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(10月26日付)は、「アフリカ諸国の対中債務『最貧国の大きな負担に』」と題する記事を掲載した。

     

    新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)で、2国間融資における中国の一貫しない融資計画、そして世界的な債務猶予への同調を渋る中国政府の姿勢があらわになっている。ザンビアがアフリカで10年ぶりのソブリンデフォルト(国の債務不履行)に向かいつつあり、他の債務国も返済の圧力が強まっている。

     

    (1)「中国は過去20年間で、2国間での公的融資においてアフリカに対する最大の貸し手になった。アフリカ諸国政府と国有企業への貸付額の総額は1500億ドル(約16兆円)近くに上る。天然資源などのコモディティー(商品)を確保しつつ、経済圏構想「一帯一路」の発展につなげるのが狙いだ。世界銀行によると、世界の最貧国が主要20カ国・地域(G20)から受けた2国間融資に占める中国のシェアは、2015年の45%から19年には63%に上昇した。サハラ砂漠以南の多くのアフリカ諸国では、2国間融資に占める中国のシェアはもっと大きい

     

    下線部は、中国が見境なく最貧国へ貸し出した実態が明らかにされている。G20が、最貧国へ融資した金額の中に占める中国シェアは、19年には63%にもなっている。サハラ砂漠以南の多くのアフリカ諸国では、中国シェアがさらに高くなるという。

     

    意地悪な見方をすれば、最貧国の焦げ付き債権発生で最大の被害国になるのは中国である。G20メンバーが、中国と最貧国の債権債務関係だから、「ご自由に」と突き放してもさほど困ることにはならないのだ。もっとも、中国に次いでフランスと日本も、2位と3位の融資国になっているが、中国に比べれば「長期低利融資」である。中国は商業銀行ベースであるから、「中期高利融資」であろう。

     


    (2)「中国の政府・金融機関はアフリカ大陸のほぼすべての国に融資しており、今世紀に入り、50億ドル以上借りた国が8カ国ある。だが、世界最大の経済国・地域で構成されるG20の「債務支払い猶予イニシアチブ(DSSI)」への中国の関与は、動きが遅い。「非常にいらだたしい」。世界銀行のマルパス総裁は今月、「中国の最大級の債権者の一部がまだ参加しておらず、最貧国にとって大きな負担となっている。(中国の)契約を見ると、多くの場合、金利が高く、透明性も欠いている」と語った」

     

    中国は、G20のDSSIに参加しながら、中国最大級の債権者が債務支払い猶予プログラムに参加しないというチグハグさを見せている。中国の個別金融機関にとって、債務支払い猶予が全面的に適用される事態になれば、資金繰り上で大きな齟齬を来たす恐れがあるからだろう。つまり、中国側金融機関にそれを受入れる経済的なゆとりがないことを「告白」しているに等しいのだ。

     

    DSSIは、G20諸国と各国政策銀行が世界最貧国73カ国に貸し付けた2国間融資について、期限を迎える返済を一時的に猶予し、4年かけて返済できるようにする制度だ。今月、DSSIの対象期間が21年6月まで延長され、返済期間が6年間に拡大された。中国企業は、この返済期間の6年延長で資金繰りが困難になるのだろう。中国金融機関は、過剰貸出でしかも返済期間がさらに先へ延ばされれば、資金繰り事情は一層の逼迫化に見舞われるはず。最貧国と中国双方で、困る度合いがそう変らないことを示唆している。

     

    (3)「本紙『フィナンシャル・タイムズ』が確認したG20の内部資料によると、中国は今のところ、DSSIの最大の貢献国になっている。債務国44カ国に対してG20諸国が返済を猶予した約53億ドルの債務のうち、中国は今年期限を迎える債務について少なくとも19億ドル分の返済を猶予した。中国に続いて貢献が大きいのは、約8億1000万ドルのフランス、約5億4000万ドルの日本だ」

     

    (4)「中国がどれだけ関与するかは不透明だ。世界銀行によると、中国は今年、G20の加盟国で最大の返済を受ける予定になっており、DSSI対象国から約134億ドル返済されるはずだった。一方、フランスと日本はそれぞれ、約11億ドルの返済を受けることになっていた

     

    中国は今年、DSSI対象国から約134億ドル返済されるはずである。一方、フランスと日本はそれぞれ、約11億ドルの返済を受ける予定であった。中国にとって、この資金が返済繰り延べとなれば、中国全体のドル資金繰りが苦しくなることを意味する。現在の中国には、10億ドル、100億ドルという資金が極めて重要な意味を保つようになっている。外貨準備高維持で汲汲としているのだ。「中国マネー」といわれていた頃と事情は激変している。「米ドル」が貴重な存在なのだ。

     

    それゆえ中国は、無闇やたらと融資返済を先送りされては、自分の首を締める結果になる。だが、融資返済の先送りを渋って、最貧国がデフォルトになれば、元も子もなくなる。中国国営企業が、深い傷を受けるのだ。借手の最貧国と貸手の中国が、ともに進退に窮するという皮肉な場面に遭遇している。この事実こそ、中国の置かれている苦境を余すところなく示している。

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    人口大国1位の中国と2位のインドは、国境線を巡る紛争が発生しており、反目し合う関係になっている。このインドが、海洋進出を積極化させる中国へ牽制が目立つようになってきた。その中でもインドが、ミャンマーへ潜水艦を引き渡したというニュースは、注目すべきである。インドが、中国けん制で隣国ミャンマーと軍事関係の強化に努めているからだ。インドは、ミャンマーだけでなく広く東南アジア諸国との連携を深めている。

     

    インドが1990年代、「ルック・イースト政策」を掲げて東南アジア諸国との関係を重視し始めたのは、次のような背景がある。当時のインドがソ連という後ろ盾を失い、中国に対抗する新しいパートナーを模索していた。インドは、日本やアメリカへの接近をはかっただけでなく、経済成長し始めた東南アジアとの協力を模索し始めたのである。

     

    東南アジア諸国の側でも、ベトナムだけでなく、マレーシア、タイ、インドネシア、シンガポール、ミャンマー、フィリピンまでが、インドとの協力関係を深めようとした。その結果、特に軍事面の協力関係が深まり始めたのである。こういう背景を理解すれば、インドがミャンマーに潜水艦を引き渡した事情が理解できるであろう。

     


    『大紀元』(10月27日付)は、「
    インド、潜水艦1隻をミャンマーに引き渡し、中国に対抗する海軍能力を強化」と題する記事を掲載した。

     

    インドは10月、ミャンマーに両国の軍事協力に基づき潜水艦1隻を引き渡した。戦略アナリストは、インドは東南アジアと関係強化を図り、中国共産党の影響力の高まりに対抗していると見ている。インド外務省のアヌラグ・スリバスタバ報道官は、潜水艦の引き渡しについて「海事協力はミャンマーとの多様な関係強化の一環」と述べた。

     

    (1)「この潜水艦はロシアのキロ級潜水艦で、排水量3000トンのディーゼル攻撃潜水艦。1988年にインド海軍に投入された。引き渡し前にインド国営のヒンドゥスタン造船所が改造した。最大航速18ノットで、水深300メートルまで操作できる同艦艇は、ミャンマー初の潜水艦となる。この攻撃潜水艦は、もともとはインド海軍が使用していたシンドゥビル号(S58)だ。引き渡し後に、「ミヤ・デンカドゥー号」というミャンマーの歴史的英雄の名前に改名した。10月15日には、ミャンマー海軍艦隊の演習にも参加した」

     

    インドが、自軍の中古潜水艦を改修してミャンマー潜水艦第1号として譲渡した。これは、インド・ミャンマーの友好関係を象徴している。

     


    (2)「インドの主要メディア『ヒンドゥスタン・タイムズ』によると、匿名希望の消息筋は、「キロ級潜水艦は旧型設計だが、ミャンマーに引き渡される前に大幅な改造と改良が施された」という。さらに同氏は、「インドがこの時期に潜水艦を引き渡すことに意義がある。中国海軍の活動が増えたことで、地域海域を監視するためにこの艦艇が必要になった」と付け加えた。別の情報筋は「ミャンマーには『中国の機械、すぐ壊れる』という言葉がよく使われる。ミャンマー軍部指導部は中国が提供する装備の品質に不満を抱いており、すでに輸入の多角化を始めており、インドに目を向けている」と語った」

     

    ミャンマーは、中国の粗悪品に不満を抱いており、ロシア製の中古潜水艦が、中国製よりも高い評価なのだろう。

     

    (3)「10月4~5日にかけて、インドのナラバネ陸軍参謀総長と外務省アンゲラ・シーガル副大臣がミャンマーを訪問し、アウンサンスーチー国務顧問とミンアウン軍総司令官(などと会談した。両国間の防衛および安全保障協力を強化するため、他国の安全保障上の利益に対する自国領域の使用を認めないことに合意した。これは、インドが中国によるミャンマーのインフラ投資の増加を懸念し、とった対抗策であるとみられている。中国政府は、ミャンマーと国境を接する雲南省で、道路と鉄道で結ぶ深水港の建設に取り組んでいる。インドはこの接近を強く警戒している」

     

    ミャンマーは、中国の安全保障上の利益のために自国領土の使用を認めないことでインドと合意した。これは、中国にとっては痛手である。

     


    (4)「ミャンマーは、東南アジアでインドに国境を接する唯一の国家。接する国境は約1600キロメートルに渡り、ベンガル湾では725キロメートルの海上国境を共有している。インド当局は、中国海軍に対抗するために海上の防衛・防衛パートナー強化にますます注力している。ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、インドのジンダールにある全世界大学国防・安全研究のプラカシ・ジャハ教授は、「ミャンマーは軍事的にも経済的にも中国への依存を減らしたい」と述べた」

     

    ミャンマーは、東南アジアでインドと国境を接する唯一の国である。中国依存を減らすには、インドとの関係強化が不可欠である。こうして、静かに中国離れが進んでいる。

     

    (5)「インドは以前、海軍偵察機や通信機器など装備品を提供した。しかし、「彼らは最近、もっと進んだ装備を探している」とし、潜水艦の供給は、インドがミャンマーとの協力関係をより深めていく意思の現れだとジャハ氏は語った。近年、バングラデシュやベトナムなども、海軍の近代化に向けて水面下でインドと作戦能力の強化を続けているという」

     

    「安全保障のジレンマ」という言葉がある。一国が軍備を増やせば、相手国も同様に軍備増強に走る、というもの。中国の海洋進出は、バングラデシュやベトナムなどが、海軍の近代化に向けて水面下でインドと協力関係を強めることになった。中国は、自分で自分の首を締めているのである。

     

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    米国は9月15日から、ファーウェイへのソフトと半導体の輸出を全面禁止した。従来の抜け穴を封じるため、「米国技術(設備)を利用して生産した世界中の半導体」と網を広く張った結果、水も漏らさぬ輸出禁止体制が出来上がっている。

     

    ファーウェイが、ここまで米国を怒らせたのは、中国政府と一体になってスパイ活動を行なってきた「咎め」である。ファーウェイが、「民間会社」であるというイメージ(実際は政府株主)を使って、米国の主要大学や研究機関に補助金や研究器具を供与し、その成果をかすめ取ってきた。また、スパイ活動も積極的に行い、北欧ではファーウェイ社員が逮捕されている。ファーウェイはこういう悪事の露見で、米欧で広く営業地盤を失っているのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月26日付)は、「ファーウェイにのしかかる米国の重圧、成長に陰り」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への圧力が高まっている。米国が半導体供給を締め付けているほか、同社の第5世代移動通信システム(5G)製品を排除する国も増える中、事業成長の鈍化が目立っている。深圳を拠点とするファーウェイが23日発表した1~9月期の売上高は伸びが鈍化した。同社はその前日、新型スマートフォンを発表。自社開発の高性能半導体を搭載したスマホはこれが最後になる可能性があると表明した。ニュー・ストリート・リサーチの通信インフラ担当主任、ピエール・フェラグ氏は「ファーウェイが何をすることができ、何をしてはいけないかを決める枠組みを米政権は設定した」と語った

     

    ファーウェイは事実上、米国の管理会社になった形である。部品やソフトウエアなどの輸入は、米国が左右する実権を持っているからだ。基幹技術を持たない中国企業は、米国の意思に反した行動を取れば、こういう結末を迎えるという実例となった。

     

    (2)「ファーウェイの1~9月期売上高は前年同期比9.9%増の6710億元(約10兆5300億円)と、前年同期の24%増から伸びが鈍化した。同社はそれについて「基本的に予想通り」だったと説明しているが、7~9月期(第3四半期)の売上高は前年同期比3.7%増と、前年同期の27%増からさらに大幅に後退した。喫緊の課題となっているのは、事実上全ての製品を支える半導体の調達能力だ。米商務省は今夏、915日以降いかなる企業も米国の技術を用いた半導体をファーウェイに販売することを禁じる新規制を発表した。米国製のハードもしくはソフトウエアは実質的にあらゆる最新半導体に何らかの形で使用されている

     

    7~9月期(第3四半期)の売上高は、前年同期比3.7%増。前年同期の27%増から大幅に後退した。これは今後、期を追って前年同期比マイナスになることを明確に示唆している。来年に入れば、ファーウェイが完全に「死に体」となろう。米国が、ファーウェイの生命を奪う形になった。

     

    (3)「ファーウェイは22日、最新スマホ「Mate40」を発表した際、自社が抱える課題に関心を引き寄せることになった。消費者部門トップのリチャード・ユー氏は最新端末のカメラ性能をアピール。スマホに搭載された社内ブランドのマイクロチップ「キリン」について、アップルの「iPhone(アイフォーン)12」のチップより多くのトランジスタを組み込んでいると誇った。ユー氏はその一方、自社の半導体を搭載するのはこれが最後になる可能性が高いと認めた。キリンを製造しているのは台湾積体電路製造(TSMC)だ。米規制によってTSMCはファーウェイへの供給を禁止されているうえ、供給体制の整っている代替業者は存在しない」

     

    ファーウェイは22日、最新スマホ「Mate40」を発表した。新型発表は、今回が最後になるという。最新半導体の入手が不可能になるためだ。借り物技術の悲劇である。

     

    (4)「不安材料はそれ以外にもある。ファーウェイは第2四半期にサムスン電子を抜いて世界最大のスマホメーカーとなったが、ファーウェイをトップの座に押し上げたのは中国消費者の旺盛な需要で、海外での販売は落ち込んだ。そしてカナリスのアナリストによると、3四半期には、海外ばかりか中国でもスマホの販売が減少した

     

    中国でのスマホ販売(7~9月期)が減少したのは、中国の購買力の落込みを反映している。中国ではパンデミックによる所得格差が拡大しており、底辺層はもはや新型スマホを購入できる力を失っている。中国経済については厳重警戒すべき段階にある。

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