勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    中国が、米国大学に焦点を合せてスパイ活動をしていることは良く知られている。中国政府が、米国大学教授に研究費を提供し、その見返りに研究成果を受け取るというスパイ取引である。FBI(連邦捜査局)は、全米の大学や研究所に中国のスパイ活動に乗らぬように注意を喚起しているが、1月に入ってMIT(マサチューセッツ工科大学)の中国人教授(米国帰化)陳剛氏が、電信詐欺、虚偽申告の容疑により逮捕された。

     

    米ポンペオ国務長官は昨年12月9日、ジョージア州のジョージア工科大学で「米国キャンパスにおける中国共産党」と題した特別講演を行った。この講演中、当初はMITでの講演を希望していたとエピソードを紹介。しかし、MIT理事長は、対中強硬路線を示してきたポンペオ氏の主張が、中国系の学生や教授を不快にさせるかもしれないとほのめかし、講演を拒んだという。ポンペオ氏は、「決してそうではない。私が発言して守ろうとしているのは、まさに彼らの自由である」と強調した。

     

    以上は、『大紀元』(12月11日付)が報じた。MITは、足元から容疑者を出すという不名誉な事態になって困惑しているであろう。

     


    『大紀元』(1月16日付)は、「
    米MIT教授を逮捕『中国本土の役職を報告せず』人材計画にも関与」と題する記事を掲載した。

     

    米当局はマサチューセッツ工科大学 (MIT)の陳剛教授を電信詐欺、虚偽申告の容疑で、米国の自宅で逮捕した。米司法省の発表によると、米エネルギー省などの資金で研究を行う陳氏は、中国の組織との契約について報告義務があるにも関わらず、米当局に怠った罪である。

     

    (1)「起訴状によると、陳氏は中国生まれの帰化米国人。2013年頃からMITで教授として、同大学のパパラルド・マイクロ/ナノ工学研究所の所長および固体太陽熱エネルギー変換センターの所長を務めていた。陳氏のMITにおける研究は、さまざまな米国公的機関から1900万ドルを超える助成金によって支えられていた。しかし同時期に、中国の組織から約2900万ドルの資金を受け取っていた。このうち、中国南方科技大学から1900万ドルを得ていた」

     

    中国人で米国へ帰化した人物が、中国政府の誘惑に負けるケースが圧倒的である。中国スパイ網では、人縁・地縁を伝ってスパイ網へ引き込んでいる。多額の現金を積まれると断れなくなるようだ。ハーバード大学の学部長でノーベル賞候補にも挙がった米国人(ネイティブ)が、このMIT教授と全く同じケースで逮捕された。研究費の二重取り(米国と中国)と中国の人材計画にタッチしていた。

     


    (2)「起訴状によると、2012年以降、陳氏は中国の技術と科学分野の発展のために、中国政府当局者に直接アドバイスや専門知識を提供した。また、金銭的な報酬と引き換えに中国政府のために様々な役職に就いていた。また、ニューヨーク中国領事館の求めに応じて、中国御用の「海外専門家」の役割を担ったり、少なくとも2つの人材計画に関わった」

     

    起訴されるのは、罪状が重い場合だ。軽い場合は、役職を辞めさせられて閑職に甘んじさせられている。一生、FBIの監視下に置かれるのだろう。中国の誘いに乗ったばかりに受ける罰である。

     

    (3)「起訴状は、陳氏が中国の科学と経済発展への関与を示すものとして、同氏が2016年MITの電子メールアカウントを使って送信したメール文書を公開した。陳氏のメールには、「中国との協力を促進する」「中国は、創造(科学的)をファッションではなく、重要かつ中核として位置づけている」「第18回共産党大会は科学技術革新を核とした」などと書かれている。陳氏が中国の組織のため、いくつかの相談役などを務めていた。少なくとも2017年から2019年まで、陳氏はMITでの研究の一部の資金提供を求め、米国エネルギー省の助成金を申請し、取得した。その際、陳氏は、中国との継続的な関係についての情報を開示しなかったと起訴状は指摘した」

     

    電子メールについて虚偽の話をして逃れようとし、これが「電信詐欺の罪」に該当するのだろう。米国では、「噓」が厳罰対象である。契約社会の米国で、「噓」は重罪に当る。中国では、「噓も方便」で通る。明らかに、「文明の衝突」だ。中国人が、国際社会で生きて行くのは大変である。

     


    (4)「米検事は記者団に対し、「彼は米国の研究費を確保しながら中国政府のために働いていた」と述べた。「中国政府は、自分たちで仕事(ハイテク研究)をするよりも、米国の技術を吸い上げることを望んでいる」と中国の人材計画の危険性を指摘した。「外国人研究者との共同研究は違法ではありません。嘘をつくことが違法なのだ」と検事は付け加えた。司法省によると、電信詐欺の罪には最高20年の懲役、最高25万ドルの罰金が科される」

     

    米国検事は、「嘘をつくことが違法」と明快である。噓をつくには、そもそも「卑しい動機」があるからだ。米国籍でありながら、中国の利益のために働くことは米国への裏切りである。ならば、米国国籍を返上すべきだ、というのが米国人の心情でなかろうか。米国籍を取るとき、誓約書を提出していると思うのだが。

     

     

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    中国の医薬品企業、シノバック・バイオテック(科興生物技術)が開発したコロナワクチンの有効性は、50%台に過ぎないことが分かった。当初は、90%台という高いデータも出ていたが、ブラジルの最終治験でこういう低い有効性しかないことが公になったもの。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月13日付)は、「中国のコロナワクチン『有効性の信頼度に疑問』数値大幅引き下げ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ブラジルの研究チームは12日、中国バイオ医薬品会社の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発する新型コロナウイルス予防ワクチンを巡り、後期臨床試験(治験)で示された有効性が50.38%だったと発表した。従来の発表からは30ポイント近く低い数値となった。シノバックのワクチンを巡っては、治験の透明性に対する懸念が強まっていた」

     

    中国シノバック製ワクチンについては、これまで様々なデータが発表されてきた。今回のブラジルの研究チームの発表により、意外と有効性が低いワクチンであることが判明した。これでは中国も肩身が狭く、麗麗しく「ワクチン外交」を行える立場でなくなった。

     


    (2)「サンパウロ州にあるブタンタン研究所は先週、シノバックのワクチンは後期試験で78~100%の有効性が示されたと発表していた。しかし、一部の科学者から、治験関係者に対して人々に誤解を与えるとの批判が起きていた。これを受けてブタンタン研究所は、有効性は中程度から重度の症状がある被験者に限定した数値だったと説明。今回、非常に症状の軽い被験者なども含めた全体の有効性は50.38%だったと発表した」

     

    そう言っては失礼だが、中国の科学水準から見て、米国製ワクチンに匹敵する高品質ワクチンを開発できるはずがない。中国が、猛烈なスパイ活動していたのは、自国の技術水準が低い結果だ。それにしても、サンパウロ州ブタンタン研究所が、批判に応えて、真実のデータ(50.38%)を発表したことは勇気ある態度だ。

     


    次の記事は、これまでシノバック製ワクチンの有効性を巡る報道が、二転三転してきた内部事情を報じている。

     

    『大紀元』(1月14日付け)は、「中国のコロナワクチン『最新治験有効性50%』 当初の発表大幅下回るーブラジル研究チーム」と題する記事を掲載した。

     

    ブラジルの研究チームはこのほど、同国で行われている中国シノバック・バイオテック(科興生物技術)が開発した中共ウイルス(新型コロナウイルス)ワクチンの後期臨床試験(治験)について、有効性が50.38%にとどまっていると示した。

     

    (3)「サンパウロ州にあるブタンタン研究所は、中国側と提携し、シノバック・バイオテックが開発したワクチン、コロナバックの後期臨床試験を実施している。同研究所の担当者は7日、同ワクチンの「全体的な有効性」は78%に達したとし、重症化を防ぐことができるとの見方を示した」

     

    この段階では、78%と報じられた。

     


    (4)「香港英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』13日付によると、同研究所の研究チームが12日にブラジル衛生当局に提供した新たなデータでは、1万2508人のボランティアが参加した後期臨床試験で、同ワクチンの有効性は50.38%しかなかったという。先週発表した有効性と比べて、約30%大きく下落した。ブタンタン研究所の臨床研究者であるリカルド・パラシオス氏は、有効性の低下に関して、「症状の非常に軽い患者が含まれているためだ」と説明した」

     

    1万2508人のボランティアが参加した後期臨床試験で、ワクチンの有効性は50.38%しかなかったと判明した。これが、正式の最終治験データであった。

     

    (5)「サンパウロ州が昨年12月に治験の結果発表を延期したため、コロナバックの有効性について疑問視された。昨年11月24日、一部のメディアは、ブラジルで行われているコロナバックの第3相臨床試験で十分なデータが得られているため、同国政府は12月初めに中期分析結果を発表すると報道した。しかし、サンパウロ州知事は12月15日、第3相臨床試験の報告を同月23日に延期すると発表した。その後、シノバック・バイオテックは、「インドネシアとトルコで実施されている治験結果を分析する必要がある」として、サンパウロ州に対して、報告発表をさらに15日間遅らせるよう求めた」

     

    ブラジル・サンパウロ州知事は、データ発表を昨年12月23日に延期すると発表したが、シノバック側がさらに15日間の延期を求めるというように、ズルズルと発表時期が遅らされてきた。その結果が、ついに1月12日にブラジル衛生当局へ提供したデータであった。発表時期をずらすことで「偽データ」の露見阻止工作をしていた事情が分かる。

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    中国製のコロナワクチンの有効性データは、系統的に発表されたことのない不可思議な存在である。中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)が開発した新型コロナウイルスのワクチンは最終治験先の国でバラバラの結果が出ているからだ。この裏には、中国側からの強い圧力で、データを改ざんしているのでないかという疑惑が持たれている。

     

    『ブルンバーグ』(1月13日付け)は、「中国シノバックのワクチン、4つの大きく異なる有効性―信頼失う恐れ」と題する記事を掲載した。

     

    中国の科興控股生物技術が開発した新型コロナウイルスのワクチンは、4つの臨床試験で大きく異なる有効性が過去数週間に示され、不透明感が渦巻いている。

     

    (1)「シノバックのワクチンにいち早く飛び付いたインドネシアは、同国で行われた試験での有効性は65%だったと明らかにした。ただ、この試験の参加人数はわずか1620人で、有意なデータを集めるには少な過ぎる。トルコは昨年12月、同国の試験ではシノバックのワクチンは91.25%の有効性を達成したと発表したが、これも同様に参加人数が少なく、十分な結論を得られたとは言いがたい」

     

    シノバック製ワクチンは、先進国ではどこも最終治験を行わず、発展途上国のみで行うという歪な関係である。先進国で最終治験を行うと「ボロ」が出ることを危惧しているのであろう。自信があれば、堂々とデータ公開が前提である先進国で行うであろう。

     

    (2)「シノバックの試験の中では最大で、1万3000人が参加したブラジルでは、有効性を巡る議論が政争の具と化している。同社のブラジル治験パートナー、ブタンタン研究所は先週、同ワクチンが軽度の症状に対して78%、中度から重度の症状では100%抑える効果を発揮したと発表した。だが今週、ブラジルの試験で示されたシノバックワクチンの「本当の」有効性は50~60%だったと、同国のニュースサイト、UOLが匿名の情報源を引用して報じた。ブタンタン研究所は、これは「推測」だと説明した」

     

    下線を付したように、ブラジルでの最終治験ではデータが改ざんされて発表されたという。この調子では、先進国での最終治験を行うはずがない。

     


    (3)「新型コロナワクチンの開発で、異なる有効性のデータが表れるのはシノバックだけでなく、英アストラゼネカもそうだった。ただ、中国の開発メーカーは西側企業に比べて安全性や試験に関する情報の開示が少なく、疑いを高めている。習近平国家主席は中国製ワクチンを世界の公共財として全世界と共有すると約束したが、データの不一致は信頼をさらに失わせかねない。豪フリンダース大学医学・公衆衛生学教授のニコライ・ペトロフスキー氏は、コロナワクチンの治験では、「金銭と威信の面から、結果を大きく誇張して発表するよう途方もない圧力がかかっている」と語った

     

    下線では、「金銭と威信の面から、結果を大きく誇張して発表するよう途方もない圧力がかかる」と暴露している。どこの国を指しているかすぐ分かる。中国のシノバックであろう。

     

    (4)「シノバックの広報担当者はブラジルとトルコ、インドネシアの試験の数字についてコメントを控え、ブラジルのパートナーが追加データを今週発表すると述べるにとどめた」

     

    シノバックは、各国で行っている最終治験を発表しないまま、増産体制に入るという。危険な動きだが止めようがない。

     


    『ロイター』(1月13日付け)は、「中国シノバック、2月までにコロナワクチン生産能力2倍に=CEO」と題する記事を掲載した。

     

    中国の製薬会社、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)の尹衛東最高経営責任者(CEO)は13日、傘下の北京科興中維生物技術(シノバック・ライフ・サイエンシズ)について、新型コロナウイルスワクチンの生産能力を2月までに2倍の年間10億回分へ拡大することが可能との見通しを示した。

     

    (5)「尹氏は記者会見で、第1段階ではシノバック・ライフの既存ラインの能力は年間5億回分だが、2月までに追加で5億回分の生産が可能になると説明した。また700万回分以上の同社製ワクチンが北京や広東省などで配布されたと明らかにした。尹氏は各国で行われている同社製ワクチンの臨床試験(治験)について「後期臨床試験の結果はワクチンの安全性と有効性が世界中で良好であることを十分に証明している」と述べた」

     

    ここでも、シノバックワクチンの有効性に関するデータは発表されないまま、増産体制に着手するという。こういう過程で生産されるワクチンは、先進国では「ノーサンキュー」だろう。

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    中国経済システムは、経済の合理性で動くのでなく「人縁」で動くことが証明された。半導体大手の紫光集団は昨年、4回とも言われるデフォルトに陥りながら、子会社は操業しているという不思議な現象が起こっている。この裏には、紫光集団が精華大学系列企業であり、習近平氏が精華大学OBであることが影響していると見られている。

    『日本経済新聞 電子版』(1月13日付け)は、「紫光集団、債務不履行でも操業続く 中国政府が後ろ盾」と題する記事を掲載した。

    (1)「中国を代表する半導体大手、紫光集団が債務危機に揺れている。2020年末までに4度の社債の債務不履行を起こす一方、傘下企業は操業を続けている。その背後には政府資本が複雑に入り込む中国独特の企業統治の仕組みと、22年の共産党大会を控えた政治情勢が見え隠れする。「資金繰りがつかなかった。投資家におわびする」。12月10日、わずか2億6000万元(約42億円)の社債の利息を支払えず、紫光集団は2度目の債務不履行に陥った。同日満期のドル債4億5000万ドル(約470億円)も資金の手当てがつかず、年末には別の元建て債でも利払いが滞った」

    日本では、一度のデフォルトで破産か会社更生法かの選択になるが、中国はこのように4回もデフォルトに陥りながら会社は存続しているから不思議だ。契約概念の希薄な中国ならではのこと。これが、経営規律を弛緩させる原因であろう。



    (2)「紫光集団は習近平(シー・ジンピン)国家主席の母校でハイテク人材を輩出する清華大学が51%出資する企業。13年に中国の半導体設計大手、展訊通信を傘下に収めたのを皮切りに、大規模な買収や投資を重ね、半導体を主力事業に育てた。有名になったのは、15~16年の米半導体大手マイクロン・テクノロジーとウエスタンデジタルへの買収や出資の提案だ。米当局の反対で頓挫したが、最近では傘下の長江存儲科技(YMTC)が、世界的にも一定の競争力を持つ半導体製品の開発に成功していた」

    習近平氏や前国家主席の胡錦濤氏も、精華大学OBである。中国の人縁社会では、こういう大物政治家を輩出した大学ゆえに、その企業も大目に見てもらっているのだろう。これが、経営という真剣勝負の場で甘さを出す背景だ。

    (3)「ただ財務の厳しさは前から知られていた。6月末の有利子負債は1566億元まで膨れ上がり、連結対象ではないグループ会社も多額の債務を抱える。貸借対照表に計上する現預金は515億元しかなく、資金繰りが楽ではないのは明らかだ。元建て社債は国内銀行と、銀行が販売する投資商品「理財商品」に組み込まれた分で全体の3割を超えるとされる。融資の変形という性質を持ち、債務不履行に陥っても取引を打ち切らないことが多い。このことが信用不安のすぐに広がらない要因となっている」

    財務の厳しさは、売上高が伸び悩んでいた結果であろう。中国の半導体は、品質さえ良ければ売り手市場のはずだ。それが、資金繰りに窮したのは製品の歩留まりが悪かったからに相違ない。



    (4)「米中間のハイテクの覇権争いが続くことは必至のなか、米国から中国の弱点として狙われる半導体産業の育成は習氏にとって喫緊の課題だ。紫光集団は重要な「コマ」であり、急激な資金難は不可解とする指摘があるのは確かだ。銀行の与信枠は6月末時点で1555億元あった。紫光集団は「当社は持ち株会社であり、グループ企業は平常通り操業している」と強調する。なぜ紫光集団の資金繰りが悪化する一方で、事業会社は通常に営業できるのか。カラクリは国有企業や政府系ファンドが複雑に入り組む資本構造にある」

    紫光集団は、財閥系列を思い浮かべればその全体像が想像しやすい。紫光集団は、文字通り「親会社」であるが、何層にも分かれた子会社→孫会社→ひ孫会社などと系列が組まれている。そして、それぞれ資金調達パイプをつくっているので、親会社の紫光集団がデフォルトに陥っていても系列企業は資金パイプが繋がっている限り、存続できるシステムになっている。

    となると、親会社の紫光集団は何を担当しているのか。人事や技術開発であろう。ただ、紫光集団の全体経営を考えれば、子会社群全体が非効率経営になっていることは間違いない。風にそよぐ葦である。



    (5)「紫光集団は09年に出資しトップとなった趙偉国董事長の陣頭指揮で成長した。趙董事長は否定するが、背後には胡錦濤(フー・ジンタオ)前国家主席の息子の胡海峰氏との「関係」があるとの指摘がある。中国では党幹部との人脈が企業の成長には欠かせない」

    ここに、胡錦濤氏の名前が出てくる。中国共産党指導部の家族は、こういう形で国有企業に関係を持っている。

    (6)「紫光集団の経営陣がこれからも党や政府の支援を得られるかは、22年党大会での人事刷新が左右する可能性がある。中国の半導体産業は党や政府の保護を受け、経営の規律が問われることはまれだった。一方で政治に翻弄されるリスクは否定できない。中国が米国に対抗できる半導体産業を育成するには、市場原理を活用した競争政策の導入が近道かもしれない」

    人縁社会の中国では、人の縁が切れればそこですべてが終わる。習近平氏の政治家運命と紫光集団は深い関係にある。これでは、中国の半導体産業の位置づけが、脆弱であることを意味する。人縁経済の弱点である。


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    米国の政権交代まで10日未満というギリギリの段階で、ポンペオ国務長官は米国の台湾に対する外交・軍事の接触制限を廃止すると発表した。中国の強力な反対の動きがあると見られたが、意外と抑制的な動きのようだ。

     

    過激な報道で売っている中国共産党機関紙『人民日報』系、『環球時報』は1月10日、次のように論じた。『レコードチャイナ』(1月11日付)が転載した。

     


    (1)「『米国と台湾が大胆にもポンペオ氏の退任間際の訪台を演ずるなら、台湾現政権に死の鐘が鳴る』と題した社説を掲載。「トランプ米大統領の任期があと10日ほどしか残っていない中で、ポンペオ氏は再び、中米関係と台湾問題において罠を仕掛け地雷を埋めた。これは両岸(中国と台湾)の平和と中米関係のボトムライン(譲れない一線)保持と安定に対する犯罪的性質の構造破壊であり、それによる深刻な悪い結果は予測できないものだ」と批判した」

     

    ここで気付くべきは、台湾政府を攻撃の矢面にしていることだ。ポンペオ米国務長官の発言であり、台湾は直接の当事者でない。それにも関わらず、台湾を非難しているところが、「及び腰」である。米国と真っ正面に喧嘩しにくい一面を見せている。

     

    『環球時報』のパターンから言えば、もっと過激な言葉を使って米国を非難するはずだ。それがないのは、次期バイデン政権の動きを見ようという抑制したものだろう。

     


    (2)「そして、「中国政府は、米国に対し、危険の一歩手前で踏みとどまらねばならないという強烈なシグナルを発するべきだ。米国と台湾民進党当局にはっきりさせなければならない。米台が大胆にもポンペオ氏の退任間際の訪台を演ずるなら、中国の反応は山を押しのけ海を覆すほどにすさまじいものとなるだろう」と警告した」

     

    下線のように、中国政府は米国政府に対して、「危険の一歩手前で踏みとどまれ」としている。これは、言外に「現状を認める」ということである。つまり、「一つの中国論」を破って、相互交流してもやむを得ないというニュアンスが感じられるのだ。

     

    この背景には、英国・ドイツ・フランスの海軍が軍艦を西太平洋へ派遣すると発表していることを警戒しているのであろう。英国は、最新鋭の原子力空母である。これが、日本を母港として常駐する計画である。中国がここでことを荒立てると、自ら米海軍のほかに、欧州列強の海軍を呼込む危険性を察知したのだろう。

     

    欧州の列強海軍は、世界の次の発展地域がアジアとしている。このアジアで、欧州列強も足場を築かねば、次の発展から除外されるという認識を深めているのだ。もはや、中国が独り舞台で軍事的に闊歩できる環境でなくなっていることを示している。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月11日付け)は、「『強烈な非難』中国、米の台湾接触制限撤廃に反発」と題する記事を掲載した。

     

    米国のポンペオ国務長官が台湾側と米国の外交官や軍事関係者の接触を自主的に制限してきた内規をなくすと発表したことについて、中国外務省が11日反発した。趙立堅副報道局長は記者会見で「断固とした反対と強烈な非難を表明する」と話した。

     

    (3)「趙氏は、「いかなる勢力が台湾問題を利用して内政に干渉するのも絶対に許さない」と主張した。中国国務院(政府)の台湾事務弁公室の報道官は「我々は断固として強力な措置をとって米国と台湾の共謀したいかなる行動にも対抗する」とコメントした。中国の習近平(シー・ジンピン)指導部はトランプ米政権が残された任期で新たな対中強硬策を打ち出す事態を警戒しつつも、目線は1月20日に就任するバイデン米次期大統領の出方に移りつつある」

     

    外交部報道官は、「いかなる勢力が台湾問題を利用して内政に干渉するのも絶対に許さない」と米国を名指して非難していないのだ。これは、米国との関係悪化を避けていることを示している。中国が、相当に困った状況に追込まれている証拠である。青菜に塩という状況なのだ。米国は、こういう状態をすべて読んで動いているのであろう。

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