勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    米中貿易戦争で揺さぶられる中国経済は、消費の面で明らかに成長の角を曲がったようで。ある。4月の小売売上高は前年比7.2%増と急ブレーキがかかった。3月は8.6%増であるから、予想外というべきだ。なんと、2003年5月以来の低水準である。

     

    「景気減速や米中貿易戦争で、消費者信頼感が低下しつつあるとの懸念が浮上している」。『ロイター』(5月15日付け)は、こう伝えた。その実態を河南省(人口1億人)の省都である鄭州(人口1000万人)で、消費者がどう変わったかをルポしている。中国内陸部の消費者意識の変化を見ておくことは重要であろう。

     

    『ロイター』(5月17日付け)は、「減速する中国経済、かつての『爆買い』消費者に変化」と題する記事を掲載した。

     

    退屈な省都だった鄭州は近年、輝くスカイラインとおしゃれなモールを誇る大都会へと、目を見張るような大変貌を遂げた。人口1000万人の鄭州は、中央アジアや欧州と鉄道でつながっているほか、北京や上海との間にも高速鉄道が走っており、中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の交通の要衝となっている。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業のフォックスコンが、ここに23万人が働く巨大工場を構え、iPhone(アイフォーン )を生産している。かつて、夢を抱いた若者は、河南省を出てより良い生活を追求するのが普通だった。だが今の鄭州は、もっと稼いで近代的な家を手に入れ、欲しい消費財を買い入れるという中間所得者層の夢を満たすことができる場所になっている。

     

    (1)「30年に及ぶ右肩上がりの成長を経た中国の減速は、Zhaoさん(注:急激な所得上昇で羽振りの良い生活を送ってきた)のような消費者に、特に切実に受け止められている。人口約1億人の河南省は、内陸部で消費を拡大し、生活水準を引き上げることで経済を改革しようという中国政府の目標にとって鍵となる州だ。しかし、河南省全域で数十人の消費者や小売店関係者に取材し、通商データを確認したところ、自動車から家電製品、洋服から化粧品に至るまで、人々が消費を控え始めていることが分かった」

     

    中国政府の経済発展モデルの鄭州が、不動産ブームの終焉でその幕を閉じようとしている。その生々しい実態が読み取れる。間違っても、「中国の将来は素晴らしい」などという幻想を持たぬことである。バブルに酔った後に、何が始まろうとしているか。日本の例を思い出しながら読んでいただきたい。

     


    (2)「Zhaoさんのような内陸部の住人が消費を控えることは、すでに米国との貿易戦争の拡大で脅かされている中国の経済成長に、深刻な影を落としかねない。世界の小売り事業者にとっても、現実を直視する機会となるだろう。イタリア洋服ブランドのエルメネジルド・ゼニアから、米宝飾ブランドのティファニーそして米アップルに至るまで、中国全土で消費者が買い控えに入っていると指摘している。15日発表の小売売上高の伸び率は大幅に縮小し、中でも衣類費用が2009年以来10年ぶりの減少となった。鄭州のような内陸都市での消費減速は、河南省のような地域に将来的な成長の夢を託していた世界の消費ブランドの夢を挫折させる可能性がある。河南省の経済は、繁栄する沿岸地帯を除けば最大規模だ」

     

    世界の高級ブランド品が、最初に「不況の洗礼」を受けている。

     

    (3)「ニールセンによると、鄭州のような地方都市の消費者信頼感指数は、2017年に少なくとも過去9年の最高レベルを記録した後、昨年わずかに減少した。鄭州の小売り売上高の伸びは昨年、この20年で初めて1ケタ台に落ち込んだ。鄭州中心部にある2つのモールで米キールズやクリニークなどの化粧品を扱う販売員は、消費者が慎重になっていると話す。『以前はもっとたくさん買って、不用意にカネを使う人が多かった』と、大衛城でシャネルやクリスチャン・ディオール、エスティ・ローダーなどの化粧品を扱うセールスマネージャーのLi Mengruさんは言う。『今は支出に慎重になり、きちんと選んで買っている人が多い」

     

    下線部分を引いたところが、まさにバブルによる「消費の乱舞」である。2017年がピーク。2018年はわずかに陰り。そして、2019年の今年は、「ドカーン」と下がってきた。典型的な下げ過程を見せている。

     

    (4)「中国政府は、自動車購入に対する補助金を1月発表するなど、消費下支え策を打ち出している。自動車売り上げは昨年、この20年で初めて減少した。政府はまた、多くの市民を対象に、所得税の負担を減らして手取り収入を引き上げる対策を取っている。所得成長の減速や家計の借金増による消費者マインドの低下を、政府対策が押しとどめられる可能性は低いと、アナリストは予想する

     

    下線部分は、経済的に不安要因が高まってきた中で、政府が減税などの対策を打っても、落勢を食い止めることは不可能である。肝心なのは、生産活動の復活が前提である。だが、バブルで踊らされて増えている家計負債の返済が、消費支出を抑制する。これまで、不動産バブルによる好況と自覚しないままに負債を増やしてしまった。今後は、その重い荷物を背負って生活するから、消費の切り詰めは不可欠。消費が回復しない理屈は簡単である。


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    中国による技術窃取の動きは、一段と活発化している。米国の情報当局は、極秘に米国の大企業や教育機関に対し、中国の技術窃取の方法を教え、被害を未然に防ぐように指示を出している。

     

    米中貿易戦争では、技術接種問題が大きな課題になっている。米国が、技術窃取を防ごうとすればするほど、中国はさらに大胆な行動に出ているようだ。この「技術泥棒国」は、どうやったならば、改心させられるのか。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(5月20日付け)は、「米情報当局、対中リスクを企業に警告」と題する記事を掲載した。

     

    米情報当局の幹部らは米企業などに対して秘密の説明会を数回にわたって行い、中国を相手に事業を行うリスクについて警告した。対中通商関係を巡って米政府が一段と強硬姿勢を強めていることが改めて浮き彫りとなった。

     

    (1)「一連の説明会では、国家情報長官のダン・コーツ氏が米連邦捜査局(FBI)や国家防諜安全保障センター(NCSC)の高官とともに、大手テクノロジー企業やベンチャーキャピタル、教育機関に注意を促した。出席者によると、説明会は対中貿易に伴うリスクに焦点を当てたもので、特にサイバー攻撃や知的財産の盗用が問題視されていたという。この説明会はシリコンバレーやワシントンなど全米各地で開かれており、主としてテクノロジー業界向けのものだ。主催者が英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙に語ったところによると、企業幹部に国家機密情報が開示されるなど極めて異例の内容だったという」

     

    米国情報当局が、水際作戦で中国の技術窃取防止に乗り出していることは、もはや冷戦状態に入っている証拠だ。スパイとは本来、相手国の軍事秘密を探るのが任務だった。中国では未熟な技術水準を短期に押上げるべく、産業スパイが横行している。それが、国家の威厳を押し下げるということなど念頭にない振る舞いだ。

     


    (2)「この説明会開催は民主、共和両党の上院議員から成るグループが主導し、上院情報特別委員会のマーク・ワーナー副委員長(民主党)や共和党のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)なども関わっていた。ワーナー上院議員は、『米国の競争力、安全保障、影響力を弱めるために中国がどういう手段を使っているかについて、米国の企業、投資家、大学の認識を高めなければならない』と語った。この説明会が始まった2018年10月は、米中の通商関係が悪化し、米国の法執行機関や情報当局が中国に対して強硬姿勢を強めていた時期だ」

     

    中国最大の失策は、民主主義国の強さを知らないことだろう。中国一国で世界を支配することなど不可能である。同盟国のいない中国の脆弱性は、時間の経過と共に明らかになる。それを理解できない点が悲劇的である。中国経済自体が、不動産バブルで大きな後遺症を負っている。この上、膨張する軍事費負担に耐えられるはずがない。「中華の夢」は、中華破綻の悪夢に変わるはずだ。

     

    (3)「トランプ政権は15日、中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)への米国製品の輸出を規制するとともに、米国での同社製品の販売を禁じる方針を発表した。ファーウェイの製品が中国のスパイ活動に使われることを危惧したことによる措置だ。この説明会で、議会でも共和、民主の両党が中国に対して対決姿勢を強めていることが明らかになった。ルビオ上院議員は『長期的に見て、米国の経済や国家安全保障に最大の脅威をもたらしているのは、中国政府と中国共産党だ』と言う。『米国の企業、大学、貿易機関がその脅威を十分に認識することが重要だ』」

     

    米国が、超党派で中国対抗に立っていることは、中国の誤算である。民主党出身の大統領になれば、米中関係は緩和すると予測していたようだ。その期待は潰えた。TPP(環太平洋経済連携協定)への復帰は、民主党の手によって実現するであろう。そうなれば、中国は米国市場から完全に排除される運命だ。中国は、米国の挙国一致の強さと怖さを知ることになる。中国経済はその時、瓦解するであろう。


    テイカカズラ
       


    中国ファーウェイの任CEOは、日本メディアとの記者会見で米国を茶化し、「米へ進出してくれと頼まれても行かない」と能天気なことを喋っていた。今や、それどころの話でなくなった。5Gでは、米国の強硬策によって大きく基盤を崩され、あるいは抹殺されかねない事態を迎えている。任氏は、やっぱり「能天気」であった。中国政府が後ろに控えているという安心感があのような放言をさせたのだ。

     

    『大紀元』(5月20日付け)は、「米、ファーウェイを完全排除へ、『中国の5Gにとって悪夢』」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「トランプ米大統領は15日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を米市場から締め出す行政命令に署名した。行政命令は、情報・通信ネットワークやその技術、関連サービスに対する「敵対的な外国勢力の脅威」は国家緊急事態だと宣告した。同行政命令は、米企業が国家安全保障にリスクをもたらす外国企業の通信製品を購入することを禁じる。同日夜、米商務省の産業安全保障局(BIS)は、米の対イラン制裁に違反したとして、今年1月、ファーウェイとその子会社を起訴したことを受けて、ファーウェイを「エンテイテイーリスト」に追加したと発表した」。

     

    要約すると、次の2点になる

        大統領行政命令で、ファーウェイ製品購入を禁止

        ファーウェイを「エンテイテイーリスト」に追加、米企業からの輸出は許可制へ。事実上は、輸出禁止処分 

     

    (2)「ファーウェイの主要部品調達先は92社で、うち33社が米国企業だという。他に、中国国内企業22社、台湾企業10社、日本企業11社、ドイツ企業が4社とその他の国・地域の企業12社などがある。中国メディアは、ファーウェイは日米企業からの部品供給に強く依存していると指摘した」

     

    米国との同盟関係から言えば、日本11社、台湾10社は米国の33社と並んで、ファーウェイとの取引を凍結するだろう。そうなると、ファーウェイは部品調達先92社のうち、59社を失う。

     

    (3)「情報筋がロイター通信に対して、米企業の部品輸出禁止で、ファーウェイは将来数年間、その代わりになる部品調達先を見つけることができず、ファーウェイの経営は完全に傾く可能性が高いと述べた。ファーウェイに半導体チップを提供する企業の責任者は、米企業による部品供給を得られないファーウェイは今後、ネットワークサーバーや通信設備を製造できなくなるとした」

     

    今後数年間、ファーウェイは代わりになる部品調達先を見つけられず、経営は完全に傾く可能性が高い、という。「5G」でも、米国からソフトと半導体の供給が遮断される。

     


    (4)「政治リスクを分析する米調査大手、ユーラシア・グループは15日に発表した調査報告書で、米政府の輸出禁止措置によって、ファーウェイは米企業から核心的なソフトウェアとハードウェアを獲得できないため、同社の移動通信インフラ設備と携帯電話事業に大きなダメージを与えると指摘した。また、部品供給がストップされるファーウェイは、現有のソフトウェアをグレードアップすることがないほか、顧客に対してハードウェアの交換サービスや他のメンテンナンス・サービスも提供できなくなるという」

     

    世界の政治分析のトップであるユーラシア・グループは、ファーウェイが深刻なダメージを受けると指摘。「4G」と「スマホ」では、顧客へのメンテナンスなどのサービスがストップする。これでは、事業継続すら困難となろう。

     

    (5)「欧州の専門家は、今後欧州各国はファーウェアへの輸出禁止措置を打ち出した米国に足並みをそろえる可能性が高いとの見方を示した。現在、欧州を除いて、日本やオーストラリアなど各国は米国に歩調を合わせ、各国の5G通信網構築からファーウェイを排除した。ロイター通信によると、米証券会社ジェフリーズグループのアナリストは、米政府の制裁措置は『中国の5G政策にとって悪夢だ』と指摘した。中国当局は、来年全国的に5G通信網の構築を展開していくと計画していた」

     

    欧州各国も米国に足並みを揃える可能性が高くなった。「5G」では、ファーウェイの完敗である。中国は、米国の出方を見誤った。中国の「メンツ」とか「国権」だとか言い募っていたが、世界の市場である米国の強さを軽く見過ぎた。ファーウェイが今後数年、経営的に苦境に立てば、「中国製造2025」はエンジンを失ったも同然の事態になる。習近平の詰めの甘さが招いた一大失策である。習氏の地位は安泰か。

     

     


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    米国は、中国ファーウェイ(華為技術)問題に神経を集中している。その最中、ワシントンDC地下鉄の列車受注で、中国の中車が応札してにわかに騒がしくなっている。米国政治の心臓部であるワシントンDC地下鉄で、中国がスパイを働く懸念が取り沙汰されているのだ。

     

    米国では、「中国」と聞いただけで「悪の枢軸」というイメージが定着している。地下鉄列車に監視カメラを付けて、要人の跡を付けるなど様々な「取り越し苦労」が話題を呼んでいる。

     

    『大紀元』(5月20日付け)は、「ワシントンDC地下鉄狙う中国中車、スパイ列車と米警戒」と題する記事を掲載した。

     

    世界最大の鉄道車両メーカー、中国国有・中国中車(CRRC)は米国でのシェアを拡大させようとしている。米国下院の輸送・インフラ委員会は5月中旬に開いた公聴会で、同社製造の車両に使用される監視カメラなどを通じて、インフラ情報が中国側に漏洩される危険が指摘された。

     

    (1)「米首都ワシントンでは、2024年に運用開始を目指す新型車両の調達をめぐり、中国中車集団と韓国の現代ロテム、仏アルストムが競っている。契約規模は10億米ドルとされる。米紙ワシントン・ポストが伝える分析家たちの話では、中車集団の提示した価格は、他社に比べて数千万〜1億ドルも安い。中国中車は近年、ボストンやシカゴ、ロサンゼルスの主要な鉄道車両契約を勝ち取った。安価な入札価格のほか、これらの都市が位置するマサチューセッツ州、イリノイ州、カリフォルニア州で車両組立工場の建設を約束したことも契約を後押しした」

     

    下線部のコストがきわめて安い背景には、政府補助金が使われていると見るべきだ。その違法性を発見することが重要である。スマホすら補助金が出ている国である。疑ってかかるべきである。

     

    (2)「米国議会下院は5月中旬、中車集団とのプロジェクトに連邦政府の予算の投入を禁止する決議案を提出した。今年4月、上院も類似の提案を出した。運輸インフラ委員会のサム・グレイブス(共和党)議員は、『中国は米国のインフラ市場に参入し、その目的は産業機密や知財権を集めるためだ。中国の経済スパイ活動は目に余るほどだった』と述べた」

     


    (3)「一部の専門家によれば、中国中車のワシントンでの競争入札契約内容には、カメラによる映像監視、システム監視と診断、
    データ・インターフェース、自動列車制御システムが含まれる。『サイバー攻撃に脆弱になるだろう』退役陸軍上級将校ジョン・アダムス氏は公聴会でこう述べた。『ワシントンには国防総省と国会議事堂がある。WMATA(ワシントン首都圏交通局)と契約した企業は、ワシントンの公共交通網のパートナーになるということだ』とし、米国の地下インフラの情報がリスクに晒されていると述べた」

     

    単なる入札価格で受注企業を決めると、後で大変な問題が発生する。中国はコストを度外視するなど、世界覇権に挑戦する野心国家であること忘れてはいけない。米国政府がファーウェイに厳しく対応しながら、地下鉄の「ザル対応」では安全保障が維持できないはずだ。

     

    (4)「アダムス氏は、防衛および防衛コンサルタント企業ガーディアン・シックスを運営する。アダムス氏によれば、最新鋭の人工知能と顔認証技術が使われている中国のAI監視カメラは、『乗客の行動や経路を追跡し、ターゲット発見の精度は高い。諜報担当は、内蔵WiFiシステムを使用して、ここからデータを抽出することができる』。また、もし中国国有企業が入札すれば、同様の監視が米国内で行われる可能性もあると危機感を示した」

     

    中国には、「君子危うきに近寄らず」という言葉がある。単なるコストの問題で、米国の安全保障に関わる危険性があれば、入札から排除するのが妥当であろう。中国の提示する価格は、「政治価格」と見るべきだろう。純粋な「経済価格」ではない。WTOが,中国を「非市場経済国」と認定している現実を知るべきだ。


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    米国は、中国との通商協議で相次いで強硬策を取っている。米企業は、ファーウェイとその関連企業68社と事実上、取引を禁じるという厳しい内容である。これに対して,米国内は与野党が一致して支持しており、米中関係は一段と厳しさを増している。

     

    米中貿易協定が、妥結寸前で急旋回した原因は中国側にある。中国が、約束を破ったからだ。中国の国内事情によるもので、「反習近平派」が結束して動いたものと観察されている。国内経済の弱体化が、習氏の政治基盤を脅かしたものだ。

     

    米中対立が激化すれば、中国経済はさらに疲弊化するという悪循環に陥る。そこへ、米国は一連の強硬策を取っているので、中国側はさらに政治的に困惑しているとみられる。

     

    『ブルームバーグ』(5月17日付け)は、「トランプ大統領のファーウェイ排除、中国台頭阻止の非常手段か」と題する記事を掲載した。

     

    ホワイトハウスは15日、中国に対する両面攻撃を仕掛けた。すなわち、米国家安全保障上の脅威と見なされる企業による米企業への製品販売を大統領令で事実上禁止するとともに、中国最大のテクノロジー企業、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)をブラックリストに載せて、同社への製品供給も事実上禁止するとした。

     

    (1)「これが実行されれば、ファーウェイの経営は大きな打撃を受けるほか、クアルコムやマイクロン・テクノロジーなど米半導体メーカーの業績が圧迫され、次世代通信規格5Gネットワークの世界展開が阻害される可能性がある」

     

    ファーウェイの「5G」は、米企業の強力な支援があってこそ進んできたもの。その支柱が、トランプ氏によって取り外されたに等しい。ファーウェイの「5G」事業は当然、打撃を受ける。米国は,それが目的である。

     

    (2)「ユーラシア・グループのアナリスト、ポール・トリオロ、マイケル・ハーソン、ジェフリー・ライトの3氏はリポートで、『トランプ政権のこの措置は対中姿勢の著しいエスカレーションだ』と指摘。完全に実施されれば、ブラックリスト入りにより『ファーウェイだけでなく、ファーウェイの世界の顧客ネットワークを危機にさらすことになる。ファーウェイはソフトウエアの更新や通常のメンテナンス、ハードウエアの交換もできなくなるだろう』と記した」

     

    ここで指摘されていることは事実だ。米企業との関係を絶たれたファーウェイは、翼をもぎ取られたに等しい。ただ、米国の覇権を狙う中国のハイテク中核企業に、米企業が利益のためとは言え「塩」を送り続けることは背信行為でもあろう。

     


    (3)「中国は、トランプ大統領の真の狙いは中国封じ込めではないかとの疑念を強める可能性が高く、2大経済大国である米中の長い冷戦に突入する可能性がある。米国は、世界市場をこの数カ月にわたり混乱に陥れてきた貿易戦争に加え、今後の経済を支えることになる5Gネットワークにファーウェイ製品を採用しないよう、世界中で圧力をかけてきた」

     

    米中が冷戦に入るきっかけは、中国の世界覇権宣言と急激は海洋進出にある。単なる経済分野だけで中国を観察することは危険である。氷山(経済)を見るだけでなく、海水に没している部分(軍事)も総合的に眺め、中国の意図がどこにあるか。それを推測して早めに手を打つのが安全保障政策である。

     

    (4)「ファーウェイは電子メールを通じて声明を発表。米国による『この決定は誰のためにもならない』とし、『当社の取引相手の米企業は大きな経済的打撃を受け、相当数の米雇用が影響され、世界のサプライチェーンに存在する協力関係と信頼関係が損なわれるだろう』と指摘。この措置の影響を緩和する対応策を講じるとともに、解決策を模索するとした」

     

    ファーウェイが、中国政府と無関係であると言えば言うほど疑惑は深まる。数々の証拠が上がっているからだ。国際情報戦の最先端を行く米国の目を欺くことはできないだろう。中国政府は、世界中にスパイ網を敷いている。しかも、学校や市民生活の中にまで手を伸している現実から判断して、米国の判断は間違っていない。

     

     


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