勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    米国は、かつて日本をバブル経済破綻に追い込んだように、中国も同様の道へ追い込む決意を固めていると見る。米国は、日本を徹底的に追い詰めるべく、円高誘導の口先介入をしてきた。日本は、米国の同盟国であるにもかかわらず、経済面で米国を脅かす存在にまで成長した。覇権国として、米国は日本の手を払いのけたかったのだ。

     

    中国は、米国へ経済・軍事で挑戦する。このように宣言するほど、敵対的な行動を取り始めた。その大胆さは、日本の比ではない。米国の中国に対する気持ちは、すでに「憎しみに」変わったと見るべきだ。この際、WTOルールに違反する「厄介者」中国を追い詰める決意をしたと見るべきだ。

     

    その根拠は、米政権内部が対中政策でタカ派に統一されたという報道(WSJ)が出てきたことだ。財務長官と通商長官はハト派であったが、タカ派に転じている。この際一気に、中国経済を追い詰める好機と判断した結果と見られる。

     

    米国は、国内経済が堅調そのものである。失業率の低下が限界に達し、これからは賃金の上昇が見込める状態になってきた。長年の懸案であった賃金上昇が本格化すれば、米国経済は自律的成長軌道に乗れるという判断なのだろう。中国経済が破綻しても、米国の受ける影響は軽微に抑えられると判断しているに違いない。日本経済が破綻しても、米国は無傷であった。それどころか、ライバルが脱落したかたら「歓迎」したのだ。

     

    米国が、WTO違反を繰り返して反省のない中国を、疎ましく思うのは当然であろう。この際、脆弱な中国経済を突き放して、「第二の日本」の立場へ追い込む絶好の機会が来た。米国が、こういう判断を下したとしても不思議はあるまい。ましてや、2050年頃には米国覇権へ挑戦すると言う中国である。ここで、その中国を一気に攻め滅ぼせば、後顧の憂いがなくなる。トランプ氏ならずとも、中国経済を押し潰す絶好の機会であると考えるのは間違いない。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月8日付)は、「米労働市場の『スラック』消滅、賃上げ本番へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米労働省が7日発表した8月の雇用統計は、再び力強い内容となった。非農業部門就業者数(季節調整済み)は201000人増加する一方、失業率は3.9%の低水準で横ばいだった。だが何より最大のサプライズとなったのは、平均時給が前年同月比2.9%増加したことだ。7月の2.7%増から加速し、2009年以来の大きな伸びを達成した」

     

    米国の失業率が低下しても、賃金上昇ははかばかしくない。このように長くいわれ続けてきた。だが、7月の平均時給は前年比2.9%増と2009年以来の伸びとなった。もはや、賃金を引上げない限り人集めができない状況になったことを意味する。これは、米国経済が新たな発展期に入ったことを意味する。

     

    (2)「これは、米経済が転換点を迎えていることを浮き彫りにしている。つまり、雇用主は賃上げなしには、人材の採用・維持ができない状況に直面しているということだ。ただこれは、企業の利益率圧迫や、米連邦準備制度理事会(FRB)による想定以上の利上げペースを同時に招きかねない『賃上げ本番』の序章にすぎないかもしれない」

     

    米企業が、賃金上昇圧力をカバーするには、設備投資による生産性向上が必要条件である。つまり、米国経済は賃金上昇圧力を基点にして、設備投資を刺激する好循環過程に入っている。ただ、気懸りな点はすでに米国景気が10年間という長期間にわたり上昇過程にあることだ。景気循環というサイクルから見れば、「もうそろそろ下降に転じても当然」という見方が出てくる。それを跳ね返すのが設備投資である。トランプ減税によって、設備投資は損金扱いである。これほどのメリットは、今後も簡単に受けられるものでない。幸い、賃金上昇圧力が強まりつつある。この際、設備投資に踏み切る。そういう期待感が強まるのであろう。

     

    米国経済が、新たな発展段階に入るという仮定が成立すれば、中国経済は米中貿易戦争という引っ込みのつかない最悪事態へ突入したことになる。「米国衰退、中国発展」などと言う寝言同然のことを習近平氏に吹き込んだ側近は、即刻罷免の身だ。あるいは、自ら職を辞するぐらいの過ちを犯したことになろう。習氏も、とんだ側近の進言を受入れて大恥をかかされたことになる。

     

     

     

     


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    火のないところに煙は立たない、という。この諺に従えば、最近の中国金融当局が頻りと金融対策万全を強調する理由はどこにあるのか。自らの過剰債務へ向けられた警戒感を払拭しようとしているからに違いない。

     

    今年の10月で、リーマンショックが起こって10年になる。この間、世界の金融情勢はどう変わってきたか。当時と比べて改善しているのか。

     

    実は、リーマンショックの衝撃を緩和するために、前例のない量的な金融緩和を行なって来た。世界の債務は250兆ドル(約2.7京円)にも達し、10年前より4割も増えていると指摘されている。ここで再び、「大国で金融破綻」が起こったならば、もはや救済が不可能な事態になる。政策金利の下げ余地は小さく、各国政府の財政出動余力も乏しいことが理由だ。

     

    リーマンショックの再来となれば、その候補となる大国は中国しかない。異常なスピードで債務を積み上げてきたからだ。私のブログは、中国の抱える金融的リスクの大きさを指摘し続けてきた。中国が、「第二のリーマンショック」を引き起こす懸念はないのか。差し迫った問題になっている。

     

    『ロイター』(9月10日付)は、「中国、金融市場で『ブラックスワン』的事象の発生防止へ」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国国務院(内閣に相当)の金融安定発展委員会(FSDC)は10日、株式・債券・通貨市場の安定的で健全な発展を確実にし、予測ができず発生時の衝撃が大きいブラックスワン的事象を防止していく方針を示した。先週末7日の会合後、ウェブサイトに声明を掲載した。FSDCは中国が穏健で中立的な金融政策を維持する一方、予防的な微調整を行うとも表明した」

     

    中国当局が、ブラックスワン的事象を防止するという方針を出すこと自体、金融危機の発生状態に近いことを臭わせている。それだけ危機が迫っているのだろう。

     

       株価(上海総合指数)は、2700ポイント割込み回復の兆候も見せずにいる。

       社債のデフォルトは民間企業中心に多発している。

       人民元相場も弱含みであり、辛うじて1ドル=6.8元台を維持している。

     

    こうした危機的な状況下で、米中貿易戦争が起こった。これが、中国経済にさらなる打撃を与えたことは確実である。

     

    中国経済のリスクは、どの程度なのか。

     

    国際通貨基金(IMF)が7月、中国経済の短期的な見通しは力強いが、外部の脅威が増しており、全体的なリスクは下振れ方向だとの報告書を公表している。この報告は極めて気になる存在だ。

     

    IMFが金融リスクの存在を厳しく見ているのに対して、中国は自らの責任に触れず、米国の貿易戦争のもたらす衝撃の大きさを強調している。これは、暗に米国に手加減してくれて訴えているようなもので、みっともない話である。それほど自信がなければ、米国と貿易戦争をせずにWTO規則を守ればよいだけのことだ。

     

    『ブルームバーグ』(7月27日付)は、「中国経済は成長力強いがリスク増大ーIMF報告書」と題する記事を掲載した。

     

    (2)「IMFは中国経済に今後何が起きるかは同国政府の行動に左右されると指摘。市場ベースの改革は持続的で安定した成長につながる可能性があるが、『信用拡大主導の刺激策に戻れば、脆弱性が一段と増し、最終的に突然の調整を引き起こす恐れがある』としている。レバレッジ解消の取り組みが進む中で、景気下支えに向けた財政政策の余地が幾分残っているとIMFは分析。中国人民銀行(中央銀行)はなお緩和的な金融政策を徐々に引き締めるべきだとも指摘した」

     

    中国は、過剰債務による経済成長政策の限界を認識することである。米中貿易戦争で、再び金融緩和基調に戻るようなことがあれば、自殺行為になろう。IMFは、この点を指摘している。このIMFの忠告がどこまで守られるのか。中国の将来は、この一点にかかっている。

     

     


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    新疆ウイグル族の130万人が、理由もなく特別施設に拘束されている。衛星写真によって、収容施設の一部と見られる建物が特定された。130万人もの人々の自由を奪うことが許されるはずもないが、共産党政権安泰のためなら何でもやる。恐ろしい政治集団である。

     

    米国には、「人権の包括的責任に関するマグニツキー法」という、人権侵害の疑いのある人物に制裁を科すことを許可する法律があるという。米議員はトランプ政権に対して、中国新疆ウイグル自治区における中国政府の人権弾圧を止めさせるべく、中国に制裁を科すよう求めた。

     

    マルコ・ルビオ上院議員(共和、フロリダ)ら17名の与野党議員が8月29日、マイク・ポンペオ国務長官、スティーブン・ムニューシン財務長官宛てに書簡を送付した。書簡では、拘束に関与した新疆の共産党トップなど中国当局者7人と、監視機器を製造した2社に対し、渡航禁止や金融制裁を加えるようトランプ政権に求めている。以上は、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月30日付)が伝えた。

     

    『大紀元』(9月11日付)は、「ウイグル弾圧で中国に制裁を、米議員がトランプ政権に要求」

     

    (1)「米主要紙『ニューヨークタイムズ』は98日の一面記事で、新疆における人権侵害を取り上げ、米国社会ではこの問題に対する関心が高まっている。同記事のなかで、住民の一人は『施設は決して過激派一掃の目的ではなく、ウイグル文化を消去するためにある』と語っている。カナダのブリティッシュコロンビア大学ロースクールに通う中国人留学生ショーン・ジャン氏は、衛星写真分析で、新疆における再教育施設とみられる40以上の建物の分析写真を自身のホームページに掲載している」

     

    米国では、中国がウイグル族を弾圧している事実に関心が集まっている。「ウイグル文化を消すのが目的」と指摘しているが、その通りであろう。「満州族」(清朝の出身)も次第に漢族の中に消し去ることを巧みにやっている。他民族文化の尊重などと美辞麗句を並べているが、真っ赤な噓である。「漢族」だけを残して、未来の民族紛争の予防線を張っている。

     

    (2)「人権監視団ヒューマンライツウォッチ(HRW)は9日、中国政府による新疆における人権弾圧と取り締まりについて、調査報告書を発表した。58人のウイグル民族から聞き取り調査を行い、117ページにまとめた。現地では130万人以上が秘密裏の集中管理施設に収容されているという。HRW中国代表ソフィー・リチャードソン氏によると、中国政府による人権侵害はこの10年で最悪レベルだと指摘する。『国連および加盟国は、中国に対して制裁を科すことができるかどうか試されている』と述べた」

     

    他民族の人権弾圧の狙いは、「民族浄化」という恐ろしいことを企んでいると見られる。中国4000年の歴史において、漢族が他民族の支配にあった時代は、元(蒙古族)と清(満州族)の時代だ。将来、これを繰り返さぬように、今から「邪魔者は消せ」という暴力団まがいの手法を使っている。この延長線上に、世界覇権という構想ができあがっているのだろう。悪い芽は、早く摘まねばならない。

     


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    中国の「一帯一路」計画は、ロシアの裏庭である中央アジアへ触手を延ばした。これが、ロシアを強く刺激している。ロシア政府は、この問題で表面的に沈黙しているが、ロシアメディアによって痛烈な中国批判を行なっている。私のブログでも取り上げた。

     

    ロシアは常々、中国の膨張政策に不信感を強めてきた。その中国は、ロシアにとって数少ない友好国であるため発言を控えてきた。今回のベトナムへの10億米ドルの武器輸出計画は、中国への無言の反発を示している。ベトナムが、中国によって南シナ海の自国領の島嶼を奪取されているからだ。そのベトナムへの武器輸出は、「反中」へのテコ入れである。米国が、台湾へ武器を輸出すると同じ形だ。

     

    習近平氏は、これまでの拡張政策があちこちで綻びを見せている。側近に、名うての国粋主義者を呼び寄せ、その意見を取り入れてきた結末が周辺国との軋轢増大だ。21世紀の世界で、前世紀の遺物である国粋主義をひけらかすこと自体、自殺行為である。習氏の外交路線は、転換点を迎えている。

     

    『大紀元』(9月10日付)は、「ロシア、ベトナムに10億米ドルの最新兵器を輸出する計画」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ロシア政府は、長年の友好国であるベトナムに、10億米ドル以上の最新兵器を輸出する予定であることを明かした。両国はむこう3年間軍事合同演習を実施する計画がある。ロシアからの武器供給は、中国と関係国によるつばぜり合いが続く南シナ海にまで影響が拡大すると考えられている。ロシア国営タス通信によると、セルゲイ・ショイグ国防相は、ロシアとベトナムが今春に結んだ軍事技術協力協定に基づいて、10億米ドル以上の武器を受注したと述べた」

     

    中国経済が、不動産バブルの事実上の崩壊と過剰債務の後遺症に苦しむ上に、米国との貿易戦争に突入し最悪事態を迎えている。周辺国は、この「大蛇」の中国が、次第に衰弱する前兆を感じ取っているのであろう。習近平氏による一連の超強気外交が招いた失策である。

     

    (2)「この報道は、ベトナム首脳グエン・フー・チョン中央委員会書記長の96日から8日までの訪ロ期間中に報じられた。政権与党ベトナム共産党は、プーチン大統領の会談後の7日に発表した声明の中で『両国は軍事関係の発展を継続するというコミットメントを改めて確認した』と記した。ロシアはベトナムの最大の武器輸入相手国で、ベトナムに新型ミサイル艇、潜水艦、フリゲート艦、戦闘機、対艦ミサイル、戦車など、陸海軍に必要な装備と兵器を輸出している」

     

    中国にとっては、ベトナムとロシアが軍事的に結びつきを強化していることに安閑としていられなくなっている。元はといえば、中国の蒔いた種である。北ベトナム領の島嶼を軍事的に奪取したからだ。中国が、いかなる美辞麗句を並べて、この侵略行為を正統化しようとしても無駄である。だいたい、南シナ海の9割が中国領海という噓八百は、日本の満州占領と同様に根拠のない侵略である。習氏は、歴史にその悪名を残すであろう。

     

     


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    米国トランプ大統領による北朝鮮への駆け引きは、今回も成功したようである。金正恩氏がトランプ氏への書簡で、2回目の米朝首脳会談を要請してきたからだ。9月10日の軍事パレードに参加した中国高官が、勧めた可能性がある。

     

    トランプ氏は、米国務長官の訪朝計画を中止させた際の発表で、中朝が相談すべきであるような文言が入っていたからだ。つまり、米中貿易摩擦が解決したら、米朝会談を開こうという主旨である。中国は、思わざるところで北朝鮮とワンセットにされたことで慌てたのだろう。

     

    米中貿易問題は、ますます米国の強い姿勢が鮮明になっている。中国経済の実態は悪化の一途である。過剰債務問題が引き金になる「第二のリーマンショック」も絵空事ではなくなった。中国金融当局は、極度の緊張状態に置かれている。こういう中で、これ以上米国の不興を買うことのリスクに怯え始めたと思われる。これが、北朝鮮に対して米朝首脳会談を促した背景と思われる。

     

    『ロイター』(9月11日付)は、「金正恩氏、第2回米朝首脳会談を要請、トランプ大統領に書簡」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がトランプ米大統領に書簡を送り、2回目の首脳会談開催を要請した。ホワイトハウスのサンダース報道官が10日明らかにした。報道官は記者団に対し、トランプ大統領が受け取った書簡は「友好的」かつ「ポジティブ」な内容だったと説明。「書簡の主要な目的は、トランプ大統領と2回目の会談を予定すること」とした上で、「米国側はオープンで、すでに調整に取り掛かっている」と述べた。トランプ大統領はこれに先立ち、金委員長から近く書簡を受け取る見通しで、内容は「前向き」なものと予期していると明らかにしていた」」

     

    こういう書き方をすると誤解を受けるが、トランプ氏の強硬姿勢は北朝鮮を確実に「会議のテーブル」を引き出している。軍事力を使わずに、ここまでこぎ着けていることは、それなりの評価をしても良いように思える。

     

    (2)「6月12日に行われた初の米朝首脳会談で朝鮮半島の非核化を目指すことで合意したことを受け、両政府は協議を続けている。しかし、非核化に向けた具体的な措置が示されない中、金委員長に核開発を断念する意思があるかどうかを巡り疑念が生じている。サンダース報道官は、金委員長からの書簡で「朝鮮半島の非核化実現に向けたコミットメントの継続」が示されたとし、北朝鮮が9日行った軍事パレードで弾道ミサイルを登場させなかったことは「誠意の表れ」との見方を示した。2回目の米朝首脳会談をいつ行うかは不明」

     

    米朝首脳が会談して、互いに相手を理解することが問題解決の糸口である。中国は、米中貿易戦争の防戦で精一杯であり、できるだけ米国の印象を良くしたいという完全な受け身姿勢に変わった。これが、中国経済の混迷ぶりから得られた私の見方だ。


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