勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    トランプ大統領の「米国第一」は随分と誤解されている。関税を引上げるなど、通商面で強硬策をとっているからだ。これが、保護主義として世界中の批判を浴びる原因となった。中国は、この虚をついて「中国は自由貿易の原則を守る」と宣伝して、世界のジャーナリズムから拍手喝采を浴びた。

     

    習近平氏は、中国の発言が世界に受け入れられている。こう誤解したことが、中国を米中貿易戦争で強気にさせた理由である。「米国に代って新しい経済のリーダーになれる」。そう思い上った習氏は、6月の共産党最高幹部の会議で「米国に徹底抗戦する」と宣言するにいたった。

     

    先進国による米国批判は口先のこと。これまでの中国が、WTO(世界貿易機関)ルール破りをしてきた点は、先刻承知であるからだ。先進国が、掟破りの常習犯である中国と共闘を組むはずがない。習氏は、先進国が同じ価値観で結ばれていることを忘れていたのだ。迂闊と言えば迂闊、勉強不足と言えば、まさに世界情勢を見誤った。習氏は、「徹底抗戦」など口にしてならない言葉を発し、共産党内部からも強い批判をあびることになった。

     

    習氏に向けられる批判は、トランプ発言の真意をくみ取ろうという動きになっている。「米国第一」は、「中国第一」によって引き起こされた面が大きいからだ。米国歴代政権は、中国のWTO違反を見逃してきた。中国経済が成熟すれば、市場経済国へシフトしてくるだろうという甘い期待を持っていた。それ故、WTO違反も鷹揚に構えていたのだ。

     

    5年前、習氏が国家主席になるに及んで状況は一変した。習氏の本質が国粋主義者であり、領土拡張主義者であることが明らかになったのだ。市場経済を否定し、国有企業中心の産業構造を推進する統制経済論者であることを鮮明にした。こうなると、「米国第一」によって、「中国第一」へ対抗せざるを得なくさせたのだ。オバマ前大統領が、TPP(環太平洋経済連携協定)を推進して、中国を世界市場から切り離す策に出た理由もここにあった。トランプ氏だけが、対中国戦略に着手したのではない。

     

    以上の点を頭に入れて、トランプ大統領の真意がどこにあるかを見ておきたい。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月26日付)で、「ポンペオ国務長官、トランプ政権を語る」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ドナルド・トランプ大統領は経済・外交体制を弱体化していると非難されているが、ポンペオ氏によるとその多くは第2次世界大戦後に発展したものだ。当時、そうした体制は『米国の理にかなっていた』とポンペオ氏は話す。だが冷戦後の時代になり地政学的な競争が再燃するなか、『トランプ氏はリセットの必要性を適切に読み取ってきたと思う』という。トランプ氏は国際的な制度や同盟を疑い、その多くはもはや米国に見返りをもたらさないと考えている。ポンペオ氏によると、『トランプ氏が私たちのチームに指針を示す時、彼の疑問は常に“その仕組みは米国にどう影響するか”だ』。トランプ氏の関心が向くのは、『ある規則が過去に米国へどう影響したか』ではなく、それが『2018年とそれ以降の』米国の力をいかに強めるかだ」

     

    トランプ氏は、理詰めで秩序だって語ることが少なく、直感でものをいう印象が強い。だが、その基礎には、これからの米国が直面する課題解決が念頭にある。実は、この問題解決手法に、米国哲学の「プラグマティズム」が基礎にあると思う。つまり、「思考の働きは、疑念という刺激によって生じ、信念が得られたときに停止する」。トランプ氏が、過去をリセットするのは、まさに哲学的な思考に倣っている。本人は、それを上手く説明せずに、直感で喋っている印象を与え、誤解を受けて損をするのだ。

     

    (2)「ポンペオ氏は、米国が確たる主張と共に柔軟な姿勢をもって中国とロシアの政府に対応すべきだと話す。米中については、無政府主義的な争いではなく、規則を制定し実行するような関係が望ましいという。ポンペオ氏は中国について、『公正かつ互恵的な条件で貿易をしていない。知的財産権の侵害や略奪的な経済行動を取っている』と語る。中国との対立激化を避けるには、米中が互いの長期的な国益を理解する必要がありそうだ。米国は『今日は関税問題』、明日は『中国が軍事拠点化を決めた島』に集中していれば良いのではない。両国がゼロサム(ゲーム)に陥る状況を避けるべく、規則に基づいた体制の構築を目指さなくてはならない」

     

    トランプ氏が、中国へ要望しているのは、公正かつ互恵的な条件での貿易。知的財産権の侵害や略奪的な経済行動をしないことである。これは全て、WTOのルールである。中国は、このルールさえ守れば良いわけで、米国とあえて争う必要もないのだ。それを守らずに、「徹底抗戦」など発言すること自体、米中貿易戦争の本質を理解していない証拠である。

     

     


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    習近平氏は、なぜ米国への徹底抗戦という路線を決めたのか。この裏には、中央政治局常務委の王滬寧氏の存在がある。彼は、党内序列5位という高いランクだ。イデオロギーと宣伝(メディア)担当であり、習氏の「知恵袋」的な存在である。この王氏が、間違った見方を習氏に吹き込んで、「米国へ徹底抗戦する」という現実無視の献策をしたと思われる。

     

    王氏は、「反米・国粋主義」という偏った政治思想の持ち主だ。学者出身としてはかなり偏向した人物と見られる。米国留学の経験はあるが、政治的な偏向が災いして米国の実態把握を怠って、米国の真の力を見抜く能力に欠けていた。だから、臆面もなく「中国発展・米国衰退」という、まさに極左の思想にのめり込んでいた。これを、習氏に吹き込んだのだ。透徹したマルキストであれば、資本主義経済の実態分析でも優れた能力を発揮しなければならない。王氏には、その分析能力が欠けている。だかた、「米国衰退・中国発展」という根拠のないドグマに取り憑かれたと見られる。

     

    この王氏は、間違えた「徹底抗戦」を献策して、米中貿易摩擦を混乱に陥れた。そういう理由で「宣伝」担当の任を外された、後任者が発表されている。この動きを見ると、米国経済に関する分析能力が、中国全体で欠如しているとは言えなくなる。米国との徹底抗戦に反対する論文がインターネットで発表されるなど、活発な反対論が登場していた。それを一切無視したのが王氏である。つまり、彼の独断であった。習氏は、その独断にまんまと乗せられたのだ。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月26日付)は、「米中貿易摩擦、習氏は徹底抗戦の構え」と題する記事を掲載した。

     

    (3)「中国の習近平国家主席は、トランプ米政権との貿易摩擦が激化する中、なりふり構わず反撃する覚悟を決めたもようだ。関係筋が明らかにした。米中の対立がさらに激しさを増し、互いに大きな傷を負う可能性が高まっている。ドナルド・トランプ米大統領が、中国製品に対する懲罰的な関税を引き上げ計画を表明すると、習主席は6月21日、欧米を中心とする多国籍企業20社の首脳に対し、中国政府として反撃する考えであることを伝えた。習主席は、『欧米では左のほほを殴られたら右のほほを差し出せ、との考えがある』とした上で、『殴り返すのがわれわれの文化だ』と語ったという」

     

    この6月中旬では、習氏が王氏の献策に乗せられていたことは明らかだ。習氏は、「殴り返すのがわれわれの文化だ」と言い切っている。習氏が、得意の絶頂であったときはこの頃までだ。7月に入って景気の実勢悪が伝えられるようになり、習氏を取り巻く状況はがらりと変わり、党内での習―王ライン批判が高まった。王氏が、姿を消すのは7月に入ってからだ。再度、姿を現したのが8月20日である。批判のほとぼりが冷めるのを待っていたのだ.

    この間に、王氏の担当である「宣伝」が外された。

     

    (4)「国営メディアや中国当局者によると、米国が『米国第一主義』を掲げて各国から批判を浴びる中、習主席は高官に対し、世界における中国の役割を前面に打ち出すよう指示した。こうした状況下で、習主席は米国に対し、不屈の姿勢で臨む覚悟を決めたもようだ。ある高官『中国は外部の圧力に屈して、苦汁をなめるようなことはしない』とし、『習主席は、これを交渉の原則として定めた』と語った」

     

    このパラグラフでは、習氏が最高意思決定者として振舞っている。米中貿易戦争が中国の敗退で終われば、習氏は責任をとらざるを得ない立場だ。絶対的な権力には絶対的な責任が伴うからだ。この習氏の過剰自信の裏に、王氏の間違った献策があったことは言うまでもない。

     

    習主席は米国に対し、不屈の姿勢で臨む覚悟を決めたという。だが、王岐山国家副主席は、「米中貿易戦争について、『客観的データを基に理性的な認識を持つべきだ』と述べ、相互依存関係にある米中は協調すべきだと訴えた。『中国の内政は国民のより良い生活へのあこがれを実現することが大事で、そのためには平和発展が必要だ』とも強調。『中国と世界は切り離せない。貿易摩擦はあっても貿易戦争の認識はない』とも語った。北京を訪問した日中協会の野田毅会長との会談で述べた」(『日本経済新聞』8月25日付)。習氏の徹底抗戦論と王氏の「客観的データを基に理性的な認識」では、認識にかなりの開きがある。

     

    (5)「習主席は6月2223日、高官レベルによる異例の極秘会議を招集し、外交政策の戦略を策定した。国営メディアが伝えたところによると、習主席は、世界が『根本的かつこれまでに類を見ない変化』を遂げており、中国は仲間を形成し、世界のルール作りを行うことで、自国の利益を推進する必要があると述べた」

     

    このパラグラフこそ、習氏が情勢判断を大きく間違えた部分だ。このころは、米国と同盟国間で特別関税をめぐって紛争が続いていた時期である。カントは『永遠平和のために』(1795年)で、共和国(民主主義国家)の間では、紛争が大きくならないと指摘している。習氏が米国と同盟国の紛争を過大評価して、世界の秩序が変わると期待したことは空振りであった。習氏のマルキストとしての資本主義鑑識眼は、決して褒められるレベルではない。王滬寧氏の見立てであろう。


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    夢の新都市計画である「雄安新区」構想が、発表されたのは昨年4月1日。エプリルフールと重なって、「大法螺」でないかと疑われるほどの広大な計画である。

     

    北京から南に車で2時間ほどの河北省保定市に、習近平国家主席は、この一帯で新たなハイテク産業の中心地「雄安新区」(2000平方キロ)を造ることを決めた。人口は200万人以上。最先端のテクノロジー企業や研究機関を集め、世界トップレベルの交通機関を整備する計画だという。この計画を聞きつけた全土の不動産屋が、「雄安新区」へ殺到。地価が急上昇する騒ぎを演じた。政府は、すぐに不動産売買を禁止したほど。

     

    あれから1年強たった現在、現地はどうなっているのか。地元の中小企業は工場閉鎖を命じられ約200人が失業を余儀なくされた。完成は2035年。17年後である。無論、工事など始まるはずもない。先ず、住民にしわ寄せが行っている。共産主義に見られる庶民を苦しめる政治の見本が、「雄安新区」に見られるという。

     

    『ロイター』(8月25日付)は、「習主席肝煎りの雄安新区建設、住民には悩みの種

    と題する記事を掲載した。

     

    (1)「開発地域は果樹園やハスの花で知られるのどかな場所だが、現地の人々は既存工場の閉鎖や雇用の喪失を嘆き、ゴールドラッシュは終わったと話す。習主席が新区構想を打ち出した2017年4月以降、現地当局が新たな大通りや国営企業のオフィス建設用地確保のために、織物工場やプラスチック工場を閉鎖したのだ」

     

    田園色豊かなこの地域が、世界最先端のスマート・シティへ変貌するという。電車と自動車(全自動運転車)は地下を走る。地上は、バスとショッピングを楽しむ人たちが、車の往来を気にせず楽しく行き交う。総工費は2兆元という。だが、地元の住民は、ここで生活することが許されるのか分らない。それにふさわしい職業を要求されるからだ。

     

    (2)「投資家たちは習主席肝煎りのプロジェクトに敏感に反応し、不動産の購入やレストラン、ショップの開店に動いた。しかし不動産の購入はすぐに禁止され、彼らは中国でも全ての開発事業が異次元のスピードで進むわけではないということを悟った。住民は中央政府の動きを待つしかなく、地元経済は中ぶらりんの状態に陥っている。雄安新区の開発区域である容城県のショッピングモールでコーヒーショップを営むチャー・ヨンメイ氏は、『広告、建設、ビッグデータなど、あらゆる業種の人々が去ってしまった。彼らは投資をして、お金を失った』と述べた」

     

    計画が発表されたので、すぐにでも工事が始まると、一攫千金組が集まってきた。だが、不動産売買を禁じられたので、最初に大金をはたいて買った不動産の転売が不可能になった。しかも竣工は17年後。それまでは買った資産が「塩漬け」の運命だ。「あらゆる業種の人々が去ってしまった。彼らは投資をしてお金を失った」。2035年まで元気でいられる保証はない。おかしいやら気の毒やら、不思議な感情に襲われる。

     

    (3)「工場の閉鎖によって村の住民500人のうち200人が職を失ってしまった。プラスチック工場のオーナーであるジン・ユンホア氏にとっても、状況は厳しい。工場では最盛期には8人前後を雇っていたが、今はもっぱら孫の面倒を見て過ごしているという。同氏は「貯金を取り崩す生活だが、新区を支持しなければならない。国家的な大事業なのだから。われわれは皆、歓迎している」と述べた。今年に入って雄安新区と北京市を結ぶ高速鉄道の建設が始まり、2020年末までの営業開始が予定されている。これにより、同市までの所要時間が約30分短縮できる」

     

    最も気の毒な人たちは、地元の住民である。工場閉鎖を命じられたので、村の住民500人のうち200人が職を失ってしまった。すぐに建設工事が始まらなければ、操業していてもいいはず。ちっぽけな工場は、壮大な「雄安新区」の夢を壊すとでも思ったのだろう。こういう当局のやり方を見ていると、「明国」や「清国」の出来事でないのか。そういう錯覚すら覚えるのだ。


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    習近平氏は、側近の中央政治局常務委の王滬寧氏(党内ランク5位)が、対米強硬発言を政府系メディアで流させた責任を問われた一件が悔しいらしい。「北戴河」会議で、米中貿易戦争が話題になり、「徹底抗戦論」が批判の矢面に立たされたからだ。この裏に、王氏がいると見られ詰め腹を切らされた。中国の元老は、米中貿易戦争に反対である。

     

    今回の「北戴河」会議の結論が、習氏を意外な方向へ引っ張り込む懸念も出てきた。これまで、「習一強」で、これを阻む者はいないと見られてきた。だが、習氏は毛沢東と違って党をつくった人間でないことだ。いわば、「雇われマダム」である。元老を中心とするOBの声は無視できない。それが今回、王氏の責任追及となったのであろう。こうなると、米中貿易戦争で、中国経済が左前になれば、習氏の首に関わる話に発展することだ。

     

    習氏が、未練たらしく「対外宣伝活動は全て正しい」と弁解せざるを得ない辺り、相当なショックを受けている証拠だろう。

     

    『ロイター』(8月22日付)は、「中国の習主席、『対外宣伝活動は完全に正しい』と強調」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の習近平国家主席は、対外宣伝担当の政府高官が開いた会議で、同国のこれまでの宣伝活動は『完全に正しい』との認識を示した。国内には、米国との貿易摩擦を巡り情報発信の問題を指摘する声があるが、これに反論した格好となった」

     

    今、この時点でこういう発言をすること自体、王氏が宣伝担当を外れたことの悔しさをぶちまけたものだろう。習氏は、王氏の宣伝担当任務を外したくなかったのだ。

     

    (2)「関係筋がこれまでロイターに明らかにしたところによると、共産党内部では、過度に国家主義的な中国の姿勢が米国の態度硬化を招いた可能性があるとの批判が出ており、党内に亀裂が生じているという。ただ、習主席は会議で、2012年に開かれた中国共産党全国代表大会以降、対外宣伝活動は成功しており、大きな前進を遂げていると強調した。国営メディアが22日遅くに発言の内容を伝えた」

     

    共産党内部では、「過度に国家主義的な中国の姿勢が、米国の態度硬化を招いた可能性があるとの批判が出ており、党内に亀裂が生じているという」。王氏の国粋主義が習氏を鼓舞してきたのだ。米国覇権への挑戦論は、どう見ても国家主義そのもの。社会主義国の看板を掲げる中国が言ってはならない禁句なのだ。それを平然と言ってのけたところに王氏の国粋主義ぶりが窺える。習ー王ラインは、同じ穴の狢(むじな)である。だから、習氏が未練たっぷりに発言しているのだ。

     

    (3)「習主席は、『優れた伝統文化が広く宣伝され、中心的な世論は引き続き統制され、強化されている。文化的な自信が強調され、国内の文化的ソフトパワーや中国の文化的影響が大幅に強まった』と指摘。その上で、『宣伝・イデオロジー担当の党機関による政策作りが完全に正しく、宣伝・イデオロギー担当の当局者は完全に信頼できることが実際に証明されてきた』と述べた。特定の問題には言及しなかった」

     

    習氏は、問題をすり替えている。王氏の発言は、「米国衰退・中国発展」という非科学的なものだ。それが、国営メディアに反映して米国を怒らせた。トランプ氏が、徹底的に中国潰しに入っていることは明らかである。今後の推移いかんでは、習氏の責任が問われることもある。事態は、そこまで深刻化していることを認識すべきであろう。王氏は、米国へ留学しているが、米国の本質を何も知らずに帰国している。無駄な留学であった。この王氏による「米国衰退論」に踊らされた習氏が悪いのだ。

     


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    トランプ米大統領が突然、ポンペオ国務長官の訪朝計画を中止させた。北朝鮮がよく使う手をトランプ氏がやったもの。トランプ氏のツイッターでは、中国が北朝鮮の非核化に協力的でない、という理由を挙げている。よく事情がわからないのだ。韓国外相が米国務長官と電話会談したが、中身は不明である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月25日付)は、「トランプ氏、ポンペオ国務長官の訪朝中止を指示、非核化の進展不十分」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「ドナルド・トランプ米大統領は24日、北朝鮮との非核化協議が進んでいないことを理由に、マイク・ポンペオ国務長官が来週予定していた訪朝を中止することを明らかにした。トランプ氏はツイッターに「今は北朝鮮に行かないようマイク・ポンペオ国務長官に頼んだ。朝鮮半島の非核化が十分に進んでいないと感じるからだ」と投稿した。米中の貿易摩擦が原因で、中国が以前ほど非核化に協力的でなくなったとの見方も示した。ポンペオ長官は中国との貿易摩擦に決着がついてから訪朝すると述べた。トランプ氏は『貿易を巡るわれわれの中国に対する姿勢ははるかに厳しくなった。このため同国が以前ほど非核化プロセスに協力的だとは考えられない』とツイートした」

    以上が、記事の全文である。要約すると次のようになる。

     

    ①今は北朝鮮に行かないようマイク・ポンペオ国務長官に頼んだ。朝鮮半島の非核化が十分に進んでいないと感じるからだ

     

    ②米中の貿易摩擦が原因で、中国が以前ほど非核化に協力的でなくなった

     

    ポンペオ長官は中国との貿易摩擦に決着がついてから訪朝すると述べた

     

    以上の3点を並べると、中国と北朝鮮がグルになって非核化を遅らせている。よって、米中貿易摩擦問題が解決したらポンペオ氏が訪朝する。こうなると、米朝交渉は棚上げという意味だ。

     

    北朝鮮には、米朝交渉を急ぐ理由がある。早く「朝鮮戦争の終結宣言」を出したい。それによって、米国の軍事攻撃の脅威から逃れたいのだ。北朝鮮が、解決を目指していた国家行事は次の日程である。この記念日に合わせて、「終結宣言」を出せれば効果抜群である。

     

    9月9日 建国記念日

    10月10日 朝鮮労働党創建記念日

    12月27日 憲法記念日

     

    これらのうち、当初は9月9日、10月10日当たりが取り沙汰されていた。ところが、トランプ氏のツイッターで、この夢は消えかかっている。北朝鮮に対して、「朝鮮戦争の終結宣言」が欲しければ、はやく核リストを提示せよと催促したものだろう。北朝鮮から、何らの反応がないのも不思議である。普段なら、ワイワイと騒いで米国批判をする場面である。

     

    中国は、トランプ氏か名指しされて迷惑なポーズをとっている。トランプ氏が、米中貿易戦争と米朝問題を絡めてきたからだ。中国は、北朝鮮から米中貿易戦争の解決を迫られる形になる。こう見ると、トランプ氏は「一石二鳥」を狙った微妙な角度から球を投げ込んだように見える。


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