勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評


    a0960_008729_m
       


    香港のデモ騒動が、警官隊の実弾発射によって新たな危機段階に入った。中国人民解放軍も、介入を臭わせる警告をしており、いつでも実力行使に出てくる環境整備は終わったようだ。問題は、この軍事行動で何も解決しないことである。中国自身が新たな苦悩を背負い込む危険性の方がはるかに大きい。中国は、真の危機を招くだろう。

     

    『大紀元』(10月7日付)は、「香港こそ中国共産党の最大の悩み」と題するコラムを掲載した。筆者は、ジェームズ・ゴーリー(James Gorrie)氏。カリフォルニアに拠点を置く作家兼講演者で、「The China Crisis」の著者でもある。

    (1)「中国共産党を痛めつけているのは貿易戦だけではない。香港こそ中国共産党の最大の心配の種だ。これにはいくつか理由がある。もし、香港が中国軍によって「軍事的に征服」されたなら、貿易戦によって製造業が中国から離れるのと同じように、外国の金融ビジネスも他のもっと安全な場所へと移るだろう。これに対し、米国と他の欧米諸国は香港の特別経済地区としての資格を剥奪するだろう。つまり、中国がとても頼りにしている、香港のアジアの金融ハブとしての利点は全て失われる」

     

    中国人民解放軍が介入すれば、「香港・天安門事件」になる。先進国は、中国との経済関係を一時的に閉鎖するだろう。中国にとっては、「経済的な死」に相当する衝撃を受けるはずだ。

     

    (2)「そうすることによって中国共産党は、ロンドンをも超える証券取引所(注:香港証券取引所)を持つ、中国と世界をつなぐ金融ゲートウェイを破壊してしまう。また、不動産の価格が暴落し、金融サービスや他の利益の高いビジネスが香港を放棄することで、とてつもない富が消えることになる。中国は1989年の天安門事件の後も生き残ることができたが、それは欧米諸国の経済が中国によって空洞化される前のことだったということを中国共産党は認識すべきだ。今日の香港でもし大虐殺が起きたら、中国と欧米諸国との貿易関係は現在よりはるかに悪化するだろう」

     

    香港は、中国のショーウインドーである。中国は、香港という存在でどれだけ経済的な利益を得ているか分らない。それにも関わらず、香港の自由を奪ってさらなる利益を得ようと画策している。それは、中国の死を意味することを弁えていないのだ。鄧小平が、「一国二制度」にした理由は、遅れた中国の社会制度を立て直す時間的ゆとりを得るためであった。それを忘れて、性急な香港の「中国化」は自殺行為である。同時に、香港移譲を取り決めた英国と中国との条約違反である。

     

    (3)「アメリカのグローバル・リーダーシップよりも、中国の経済発展モデルの方が良いと世界を納得させることが、中国の大きな計画だった。中国の経済発展モデルが21世紀の青写真となるはずだった。欧米型の共和民主制は国家主導の経済と一党独裁に取り替えられる。これは、中国が過去20年間に渡り世界に発信してきたメッセージだ。実際、この中国の経済発展モデルのグローバル化を通して、中国は一帯一路と中国製造2025計画を進める予定だった。一帯一路は発展途上国から天然資源を盗み、中国製造2025は先進国から技術を盗むためのものだ。中国共産党は中国を世界の次の、そして唯一の覇権国にしようとしている」

     

    中国は、自らの経済システムが欧米型の経済システムよりも優秀であると喧伝してきた。それは、GDP成長率がこれまで高かったことを根拠にしてきた。だが、香港で躓けばすべては終わる。香港という「ショーウインドー」が粉々になれば、中国は輝きを一瞬のうちに失うからだ。

     

    (4)「しかし、中国の逃亡犯条例に対する香港の抗議デモにより、中国の経済発展モデルの神話は打ち砕かれた。欧米の資本主義を取り入れている香港の人々は、中国の経済発展モデルではなく、香港こそがこれからの中国の富にとって大事であることに気づいている。もし中国共産党がデモ隊を攻撃するなら、中国の経済発展モデルの幻想は今よりさらに早く消えるだろう。香港金融の崩壊によって影響を受けるのは、中国共産党の計画や、香港と外国の人々だけではない。中国共産党の党員たちが普通の人ではなく、億万長者だということを忘れてはならない」

     

    下線を引いた部分は重要である。香港は、中国の「金の卵」である。中国が経済発展できたのは、香港という「窓口」(ショーウインドー)があったからこそ可能であったのだ。中国共産党が香港デモ隊へ発砲することは、自らの運命を閉じるに等しい行為である。香港金融システムの崩壊は、中国共産党・上層党員にとって資産運用の場を失うことでもある。

     

    (5)「共産党の億万長者たちはアジアの他の国、オーストラリア、ヨーロッパ、アメリカ、そしてカナダに不動産や家族がいる。香港や欧米諸国の金融機関に何百万ドルもの党員たちの財産があることは確かだ。共産党に忠誠を示すために、彼らはどれだけの資産を失う覚悟があるだろうか。中国共産党という船と一緒に沈んでもいいという党員はどれだけいるだろうか。自分の財産が共産党での地位のおかげであり、また共産党が欧米諸国から金融支援を受けてきたおかげであることを、全ての党員は知っている。そして彼らは中国の富の大部分が幻であることも知っている。そうでなければ、何兆ドルものお金が年々中国から離れるのではなく、中国に残るはずだ」

     

    香港という「金の卵」が潰れれば、中国共産党員の忠誠心も失われるだろう。党員利益は、経済的特権の享受である。香港の繁栄は、これと深く結びついている。

     

    (6)「人民解放軍が今まで行動を起こさなかったのは、財産を失うことと、それによってもたらされる全てのことを恐れているからだ。香港で何をするか、または何をしないかという決断が、中国共産党の将来を左右することに気づいているのは習近平氏だけではないはずだ。さらに、抗議デモが長引くにつれて、中国の経済発展モデルの幻が消えていくことになる」

     

    中国共産党は冷静になって考えれば、香港での武力行使が天に唾をするようなことである。だが、香港でのデモが続けば中国共産党の内外における権威は地に墜ちるばかりだ。中国が、欧米の政治経済システムよりもすぐれていると宣伝してきた過去は、現在の香港デモで大きく揺さぶられている。香港デモを弾圧すれば、取り返しのつかない返り血を浴びる。進退に窮したと言うべきだろう。

    a1180_012903_m
       


    中国の不動産バブルは、ついに最終局面にきたようだ。地方政府が、不動産企業に住宅価格の値下げ禁止令を出したもの。パンパンに膨れ上がった不動産バブルの一斉崩壊を恐れた結果であろう。「土地錬金術」でGDPを世界2位に押し上げてきた中国。断末魔の局面に入ったことは間違いない。

     

    『大紀元』(10月5日付)は、「中国各地で住宅価格値下げを禁止、誓約書を書かされた企業も、財政難防ぐためか」と題する記事を掲載した。

     

    中国広西チワン族自治区の桂林市臨桂新区政府はこのほど、不動産企業に対して住宅物件の販売価格を値下げしないよう要求した。違反した企業は謝罪し、なかには値下げしないと誓約書を書かされた企業もあった。

     

    (1)「中国版ツイッター「微博」のユーザー、「桂林房市資訊」の投稿によると、920日、区政府は「住宅価格の安定維持会議」で、販売物件の値下げを行った不動産デベロッパー大手、碧桂園控股有限公司(カントリー・ガーデン、以下は碧桂園)を名指して批判し、各不動産企業に対して「悪意のある値下げ行為をしないよう」にと要求した。また、区政府は各企業に住宅価格の下落を避けるよう指示した。碧桂園の地域執行総裁は謝罪し、恒大集団、新城控股、金科地産などの不動産大手は次々と、値下げをしないと誓約書に署名したという。湖北省や江蘇省などの各地方政府も、不動産企業に値引きを禁じた」

     

    地方政府が、住宅価格の値下を禁止したのは、バブル崩壊で住宅価格が暴落した場合、経済が大混乱することを予防するためだ。地方政府の土地売却益への波及を回避する目的でもある。地方政府が、住宅過剰在庫がもたらす値下がりリスクの防止に乗り出している。肝心の住宅需要が、息切れしてきた結果、生じた値下げである以上、禁止しても値下がりが止るはずがない。

     

    (2)「この投稿によれば、不動産開発を管轄する桂林市住宅建設局は、臨桂新区における碧桂園のすべてのプロジェクトを一時停止する措置を取った。インターネット上で、碧桂園で物件を購入したネットユーザーは、碧桂園は913日前後、1平方メートル当たり6000元(約89628円)の物件を1平方メートル当たり3900元(約58258円)まで減額したとコメントを書き込んだ

     

    下線を引いた部分の値下がり率は、1平方メートル当たり6000元の物件が、3900元になったのだから実に65%引き価格になる。これは、暴落と言っても不思議でない、異常事態になっている。地方政府は、これを防ぐために強硬策に出て来たのであろう。

     

    (3)「ネットユーザーの多くは、市政府が碧桂園の経営活動に直接に介入したと糾弾した。「値下げは企業の自主行為で、区政府の批判は完全に違法な市場介入だ。経済活動をわかっていない連中による野蛮な行為だ。2015年以降、住宅価格が急騰したにもかかわらず、なぜ当局は何も言わなかったのか?」と手厳しい」

     

    市民にとっては、高値の華である住宅価格の値下がりは大歓迎である。そこまで強引に押上げたのは、地方政府である。土地売却益を維持するために地価を釣り上げたからだ。

     

    (4)「今年に入ってから、中国当局は、金融リスクの拡大を警戒し、銀行融資が不動産企業に流れないように規制を強めた。米中貿易戦での景気後退に伴い、各企業が資金難に陥っている。碧桂園や恒大集団など各不動産大手は、資金回収のために、相次いで販売促進を行っている。中国メディアによれば、恒大集団は820日、全国532件の分譲マンションを対象に「22%オフ活動」を行った。また、同社は9月末頃、各中小都市の分譲物件を3割引きにすると伝えた」

     

    金融当局は、不動産バブルの膨張を防ぐべく不動産融資を絞っている。一方、バブル警戒が強く締めすぎると、業者が苦し紛れに投げ売りを始めるので、それが不動産バブルの崩壊につながる。二進も三進も動けない状況を示している。中央政府は、不動産バブルを管理下に置く試みを始めているが、経済原則から見て成功する確率は低い。需給バランスが取れるところまで価格の下落は不可避だ。中国経済は、不動産バブルに逆襲される段階だ。地方政府は、市民からの批判覚悟で「値下げ禁止令」を出したに違いない。だが、需要が落込んでいる以上、「無駄な抵抗」と言うべきだろう。

    a0003_ki_0012_m
       
     

    10月1日、国慶節における軍事パレードは、中国が強い決意で米国へ対決する意思を見せたものとして注目された。もっとも、国内の反習勢力への見せしめという狙いも指摘されている。だが、国内で大陸間弾道ミサイル(ICBM)が必要であるわけでなく、米国への対決姿勢を覗かせている。

     

    米中対立が、長期化する見通しが濃くなっている現在、中国へ進出している日本企業の売上の約半分は対米輸出とされている。この輸出分は、米中対立の煽りを食って高関税をかけられるとなれば、中国脱出が最も賢明な選択となろう。こうした背景で、在中国の日本企業のうち、約4分の1が中国脱出を検討というショッキングな調査結果が出て来た。

     

    『日本経済新聞』(10月5日付)は、「日本企業の中国担当者、4分の1が脱中国志向 と題する記事を掲載した。

     

    米中摩擦に対する日本企業の警戒感が強まっている。日本経済新聞社などの調査では、現在の中国事業について「縮小すべきだ」と答えた日本のビジネスパーソンが23.9%に上り、4分の1近くが「脱中国」志向を持つことが分かった。米中対立の長期化で両大国の経済活動が分断されブロック化する「デカップリング(分離)」が進み、日本企業が築いてきた国際供給網が崩れつつあることを映している。

     

    トランプ米政権は2018年から中国製品に対する制裁関税を段階的に上げ、米中貿易戦争は過熱する一方だ。199月には複合機やスマートウオッチなどを対象にした第4弾を発動した。日経新聞と日本経済研究センターは第4弾を受け、9月前半に主に日本企業で中国関連事業に携わる役職者ら約千人にアンケート調査を実施した。回答者の53.5%が製造業企業に属していた

     

    (1)「米中摩擦が激しくなる中、自社の中国事業をどうすべきかとの問いに、「縮小」と答えた人は4分の1近くに上ったが、それより多かったのは「現状維持で様子を見る」の60.4%だ。そう回答した人の姿勢を分析すると、大きく2つのグループに分かれる。中国は人件費が上昇して生産コストが上がっていることに加え、米中貿易戦争で輸出拠点としての競争力を失いつつある。「中国に工場を置く重要性が薄れてきた」(製造業の50代女性)、「東南アジアでの代替の可能性を探っている」(非製造業の50代男性)という縮小に傾く声も出た」

     

    中国が、米国と覇権争いをする意思が明快であるのか。一部の民族主義者が、そういう跳ね返りの計画を持っているとしても実現は不可能であろう。中国の抱える問題のうちでも、少子高齢化は深刻な影響を中国経済に与える。この弱点を解決する上で必要な「制度的イノベーション能力を、中国自身が持ち合わせていない以上、覇権論は中国に負の結果をもたらすだけであろう。「張り子の虎」となる中国の姿を想像すると、「中華の夢」は百害あって一利なしと言える。

     

    要するに、覇権論を唱えること自体が、中国に取ってマイナスになることだ。質的に見た世界市場で最大は米国である。この背後にある金融力は、米国が世界一である。研究開発能力も世界一の米国に対し、中国が対抗することは物理的に不可能である。身の程知らずという「罵声」すら浴びかねないのが、中国の実力である。中国は、謀略論ですぐれているものの、普遍的な価値観を欠くことが、世界覇権の資格を持たない証明である。

     

    (2)「一方で、「巨大市場を無視することは今も今後もできない」(製造業の40代男性)との意見も目立つ。14億の人口を抱える巨大な中国の消費市場は多くの企業にとっては魅力的だ。将来は事業の拡大を狙うものの、今は一時的に様子見し、米中対立や景気の先行きを見守る企業も多い。これから中国との付き合いを深めるのか、それとも距離を置くのか。見方は真っ二つに割れる」


    中国が、「世界の工場」であり続けるのか。あるいは、中国需要を満たす生産規模に縮小されるかという見通しにかかってくる。米中貿易戦争は、中国が「世界の工場」の位置にあり続けることを困難にさせている。米国自身が、中国の経済力を削ぐために、貿易戦争を続けているという意図を忘れてはならない。米国にこのような荒業を仕掛けさせている理由は、中国が不用意に漏らした「世界覇権論」にある。これが、中国の命取りになるはずだ。

     

    a0003_000077_m
       

    韓国は、日本と聞けばすべてが憎々しく感じるらしい。シンクタンクまでが、感情論に溺れていると思われる調査レポートを発表した。それによると、5年後の中国自動車技術が、こともあろうに日本を抜くというから驚く。満足なガソリンエンジンも作れない中国が、どうやって日本を抜くのか。トヨタはエネルギー車開発でも、HV(ハイブリッド車)特許をEV(電気自動車)用へ転用できるよう、中国企業へ無料公開すると発表した。中国が、日本を抜くという前兆現象は、どこにも見当たらないのだ。

     

    『朝鮮日報』(9月30日付)は、「中国、5年後には日本車も追い越すー韓国経済研究院」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「韓国経済研究院は9月29日、半導体、機械、石油化学、ディスプレー、繊維など韓国の9大輸出主力品目の韓中日のシェア見通しを示し、2024年には中国が8品目でトップに立つと予想した。現在、中国は韓国がシェア首位のメモリー半導体、日本がトップの自動車を除く7品目でトップシェアだが、5年後には自動車でもトップに立つとの予想だ。 同院は、「鉄鋼、造船、自動車、情報通信など韓国の主力産業は20年余り前に日本の主力産業だったが、現在だけでなく、将来にも中国が圧倒的な優位を占めると予想される」とした」

     

    このパラグラフには、根拠になる事実が一切明らかにされていない。失礼だが、「目の子算」で推測しているとしか思えない記事である。とりわけ、5年後の自動車技術で中国が日本を抜くとは逆立ちしてもあり得ないこと。現に、中国の自動車市場は、中国メーカーのシェア後退と日系車の上昇という対照的な動きである。中国車は、技術的に韓国車を追っているが、日本車となれば全くの別次元である。

     

    鉄鋼でも自動車用の高張力鋼は、日本の独壇場である。「薄くて丈夫」という自動車用鋼板の特性は、日本でしか製造できない特許技術で守られている。技術のない中国が、この高張力鋼を生産できるわけがない。また、満足なガソリンエンジンもつくれない中国は、日本のエンジンに頼っている状態だ。EV、HV、さらにはFCV(水素自動車:燃料電池自動車)など、すべての新エネルギー車の技術は「日本発」である。

     

    韓国経済研究院は、日本憎しでデタラメなレポートを発表して意趣返しに出ている。そう思わざるを得ないお粗末極まりない内容だ。

     

    (3)「2000年時点で一般機械、エチレン、粗鋼、船舶受注、通信機器では日本。液晶ディスプレー(LCD)では韓国が首位だった。現在はこれら全てで中国が首位の座を占めている。24年にはメモリー半導体を除く全品目で中国が首位に立つとの見方だ」

     

    中国での生産は、純粋の中国技術が珍しく、ほぼ外資系企業の技術に依存している。通信機器生産でも、過半は外資系企業が担っている。中国の経常収支で、資本収支が大幅赤字である理由は、外資への支払いが多い結果だ。先進国企業は、中国へ進出して事業をしているので、生産物は中国にカウントされるが、資本収支では中国の大赤字という底の浅さを露呈している。実態をよく掴むことだ。

     

    (4)「中国はシェアだけでなく、技術競争力でも韓国と日本を猛追している。韓国を100とした場合の3カ国の技術競争力は、2000年時点では日本(113.8)、韓国(100)、中国(59.6)だったが、6月末現在では日本(102.8)、韓国(100)、中国(79.8)の順で技術力の格差は縮まった。24年には中国(89.1)、韓国(100)、日本(97.4)に迫るとみられる

     

    この記事のカラクリは、下線部分にある。なんと、24年の技術力は次のようなるという

    韓国 100

    日本 97.

    中国 89.

     

    韓国が、日本を抜くというがあり得ないこと。基礎技術力の脆弱な韓国が、応用技術力で日本を抜けるはずがない。また、24年に中国は日本の技術を抜くと言っているが、技術力では日本を下回っている。この研究レポートは、国辱ものの恥ずかしいレベルの研究のようだ。

    a0960_007366_m
       

    中国は、10月1日の「国慶節」軍事大パレードで、大陸間弾道ミサイルを登場させた。1発のミサイルに10発の核弾頭を搭載できるという恐怖の武器だ。米国を射程に収めた、この大陸間弾道ミサイルによって、米国に屈しないという意思表示をした。

     

    習近平国家主席は、米中貿易戦争の最中にあえて軍事大パレードを行ったのは、国民の不満を「国威発揚」で消し去る狙を込めている。不動産バブルによって、GDP世界2位の座を勝ち得たものの、内部の所得格差は深刻である。

     

    中国は、バブルによって押上げた経済規模の拡大である。正常な経済活動の結果だけではない。バブルという「仮需要」で膨張した経済が、いかなる結末を迎えるか。歴史が示すように、決してハピーなものでなく、逆に不幸な形で終わっている。

     

    これから始まる「不幸な結末」は、最終的に家計の債務膨張が消費を圧迫することである。家計における債務膨張は、中国経済を蝕んでゆく。ここから生じる生活への不満。政府はどのように扱うか。昔ながらに、軍事による国威発揚でしか対処する道はない。中国が、これから辿る危険な道は、軍事的な緊張感を生み出す「新冷戦」である。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月1日付)は、「消える中国の夢、刺激策で広がる不平等」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「中国の経済改革に着手した鄧小平が、一部の人々が先に豊かになっても構わないと述べていたことは、よく知られている。最終的にだれもが豊かになるのであれば、それは共産党指導者である鄧にとって、払う価値のある代償だったのだ。しかし、まだ豊かになっていない中国人が今後豊かになるのが一層難しくなることを示す兆候は増えている。不平等の度合いは2010年代初めに急激に低下した後、実質所得の伸びが横ばいに推移するなか、再び上昇している。この不平等の広がりによって、中国政府が現在の景気減速に対応することがさらに困難になるだけでなく、アジア地域や世界全体にまで問題をきたす可能性がある」

     

    米中貿易戦争は、中国に大きなプレッシャーをかけている。経済活動を制約しているからだ。米国の要求は、冷静になって考えれば、中国の経済活性化に資するところ大である。イデオロギーの違いが、その受入を拒ませている。惜しいことである。結局、中国は袋小路を選択するに違いない。

     

     (2)「中国経済の2つの小さな変化がそれを物語る。所得の不平等さの指標となるジニ係数は中国で2008年から15年にかけて低下した後、再び急上昇し始めた。2つ目に、2016年以降、住宅価格の上昇はおおむね所得の伸びを上回っており、2011年から15年までと逆の状況になっている。中国の若い住宅取得者には、米国人にはない支援源がある。しばしば両親が支援するという点だ。それでも、彼らの住宅購入は急勾配の道を上るような厳しい状況だ。これが所得を侵食する。調査会社ガベカル・ドラゴノミクスは2018年の家計所得のうち債務返済の占める比率が8.1%に達し、2010年時点の5%未満から上がって、米国に匹敵する水準になったと推測している

     

    所得の不平等さ、住宅価格の値上がりが所得の伸びを上回る矛楯。この二つが、中国経済に構造的な問題を引き起こしている。鄧小平の言うところの「遅れてきて豊かになろうとする人々」に、高いハードルを突付けている。これが、社会的な不満をかき立てるであろう。

     

    (3)「米国で金融危機前のバブル経済が住宅価格を高騰させ、負債と不公平さを拡大したように、政府の政策が一部の責めを負うべきだ。中国の政策立案者らは2012年以降、とりわけ機能不全に陥った銀行システムなどの厳しい改革を何度も回避してきた。中国の銀行システムは資金を起業家たちではなく不動産や国営企業の金庫に流す傾向がある2015年と2018年の景気刺激策は住宅価格を押し上げ、既に住宅を保有している人々を助けることになったが、負債を拡大することになり、中国の経済成長の長期的な鈍化傾向を食い止めることはほとんどできなかった

     

    これまでの金融緩和が実物投資を刺激せず、住宅価格引上げに寄与するだけであった。これは、「金利の罠」という現象である。資産価格高騰のテコとして働き、一時的に景気を潤わしただけであった。長期的な投資資金として流れるパイプが詰まっている。

     

    (4)「中国政府は、住宅価格の急速な上昇を絶え間なく維持していくことは無理だと分かっている。だが、金融システムの不安定化を招く不動産市場の下落も容認できない。思い切った市場自由化に向けた改革や、予想外の生産性向上といった事態が起きなければ、今後10年間の中国では、所得増加のペースが鈍り続け、既に豊かになった階層と、その他の人々の格差は一段と開いていくことになる可能性が高い」

     

    理想論を言えば、中国は貿易戦争を即刻止めて、経済正常化に動き出すべき段階だ。それには、金融システムの強化を図ることだ。その肝心な対策が抜け落ちている。中国経済のテコ入れは困難なのだ。現状は、バブル経済崩壊後という認識を持つべきだ。政策は、ここから出直すべきである。

     

    (5)「長期的には、中国政府は成長鈍化と格差社会の問題を取り繕うために、一層のナショナリズムによる国威発揚に向かうかもしれない。このことはアジアや世界の成長、安定にとって深刻な影響を与えるだろう」

     

    昨日の「建国70年」軍事大パレードは、中国経済の抱える本質的な問題を回避させる役割をするであろう。日本は、昭和恐慌の経済的な痛手を満州進出で糊塗しようとした。中国は、南シナ海の軍事要塞化によって国威発揚を行うのだろう。これからの10年間は、厳しい「新冷戦時代」に突入する危険性が高い。勝敗の帰趨は、言うまでもなく歴史が示唆している。

     

     


    このページのトップヘ