勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    春先の大金融緩和で、不良債権が一挙に膨れ上がる気運だ。すでに外資系のハゲタカ・ファンドが、獲物を求めて勢揃いしている。2000年代の不良債権処理でハゲタカ・ファンドは、大きな利益を上げた。「夢よもう一度」である。

     

    中国では、新規の不良債権処理を行う国有の金融資産管理会社(AMC)が、約20年ぶりに誕生した。新規誕生は「銀河資産管理」で3月半ば、当局から認可を取得し、中国全土の銀行から不良債権を直接買い取ることや、比較的低金利での借り入れが可能となった。S&Pグローバルによると、新型コロナによる経済的混乱で中国の不良債権は、5兆6000億元(約86兆円)増える可能性があるという。中国の商業銀行が、既に抱える不良債権残高の2倍以上の額である。

     

    中国で膨れ上がる不良債権残高に比較し、4大AMCによる不良債権の買い取り額は依然として少ない。上場している中国信達資産管理と中国華融資資産管理の2社による昨年の不良資産買い取り額は、両社の年次報告書によると合わせて1490億元(約2兆2900億円)だった。以上は、『ブルームバーグ』(4月4日付)が伝えた。

     

    この程度の不良債権買い取り額では、問題解決はほど遠い。ここは、外資系のハゲタカ・ファンドの登場を待つしかないのだ。

     


    『日本経済新聞』(8月3日付)は、「中国、不良債権問題が再燃」と題する記事を掲載した。

     

    中国で不良債権問題が再燃しつつある。新型コロナウイルス対策で金融当局が積極的な融資を銀行に指示した結果、焦げ付きの大幅増が確実なためだ。中国でもハゲタカと呼ばれる外資系ファンドが食指を動かす。資本が欲しい当局も容認、中国が不良債権投資の最前線となっている。

     

    (1)「プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は、銀行と処理会社が持つ広義の不良資産が2019年時点で1.5兆ドル(160兆円弱)にのぼると推計する。供給が増えれば価格が下がるのは、不良債権も他の資産と変わらない。政府系処理会社、中国東方資産管理によると「不良債権の平均価格は19年に簿価の30%台と、1年前より1割ほど下落した」という。この値崩れに目を付けたのが海外の不良債権ファンドだ」

     

    中国の銀行と処理会社が持つ広義の不良資産は、2019年時点で1.5兆ドル(160兆円弱)もあるという。しかも、不良債権の平均価格は19年に簿価の30%台と、1年前より1割ほど下落したという。これは、ハゲタカ・ファンドにとって魅力的なビジネスである。居ながらにして「高収益期待」であるかも知れないのだ。問題は、「第1幕」が国有企業=国有銀行の不良債権であった。「第2幕」は、民営企業の不良債権が主体でなかろうか。とすれば、必ずしも、ハゲタカ・ファンドにとって「好採算」とはいえなくなろう。

     

    (2)「オークツリー、ベイン、ローンスター、ゴールドマン――。PwCによると19年、海外勢は合計11億ドルの不良債権を購入した。時価が簿価の3分の1とすれば3500億円にのぼる。これとは別に、少なくとも25億ドルを信用状況の悪化した債券や不動産担保証券などに投じたという」

     

    海外勢は、19年に11億ドルの不良債権を購入したほか、少なくとも25億ドルを信用状況の悪化した債券や不動産担保証券などに投じたという。

     


    (3)「外資による不良債権投資の第2幕が開いたとみるべきだろう。第1幕は00年代前半、国有銀行の不良債権比率が20~40%台に達していた時期だった。中国政府は長城資産管理など処理会社を設立、14千億元の不良債権を国有銀行から移転した。最終処理の一翼を担ったのがゴールドマンなど外資だった」

     

    中国の不良債権処理は、これから第2幕を迎える。第1幕は、国有銀行の不良債権処理である。国有企業が経営失敗した結果だ。第2幕は、民営企業の不良債権処理だ。しっかりした担保はないであろうから、不良債権処理は難航するであろう。

     

    (4)「ハゲタカが再び舞い戻ってきたのはなぜか。中国平安保険の傘下で、不良債権の仲介を手掛ける平安信託の李嘉琦・総監は「不良債権の値段が下がり、外資が求める15%ほどの内部収益率(IRR)を満たせるようになったため」とみる」。

     

    不良債権の値段が下がったのは、良い前兆ではない。裏付けの担保がしっかりしていないための値下がりだろう。外資が「好採算期待」として買うのか微妙に思える。ましてや、民営企業である。ギリギリでの倒産のはず。国有企業の倒産とは、「質」が異なるのだ。

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    中国では、スパイが産業になっている。おぞましい国である。民間人を装って、企業、大学、研究機関に潜り込み、科学情報を盗み出すのだ。

     

    米国は、中国のスパイ防止目的で中国のヒューストン領事館を閉鎖させた。だが、余りにも多い中国人スパイを根絶するには、在米外交官数を制限するほかない、という結論に達したとの情報が流れている。

     

    『大紀元』(8月2日付)は、「米政府、中国外交官の大幅削減を要求か、スパイ対策の一環で」と題する記事を掲載した。

     

    米政府は中国に対し、米国内の外交官の数を大幅に削減し、中国に駐在している米国人外交官と同じ水準にするよう命じる可能性が出ている。

     

    (1)「ワシントン・タイムズ紙28日付の報道によると、米国務省高官は「中国のスパイを調査するため連邦捜査局(FBI)は捜査員2000人を投入しており、その負担を軽減するためでもある」と述べた。それ以外にも米外交官が中国で「平等な待遇」を受けられるよう要求する。 米中当局は相手国の領事館を閉鎖した後、外交官の「対等な扱い」に関する協議を先週始めたという」

     

    米国は、中国スパイの数が多すぎて悲鳴を上げているという。これを防ぐには、米中それぞれに滞在する外交官数を同じにしようと言う案が検討され始めている。

     

    (2)「FBIのレイ長官は7月の演説で、「FBIは今、10時間ごとに、中国が絡む新たな対スパイ活動を開始している。全国で進行中の5000件近い対スパイ活動のうち、半数近くは中国と関係している。中国スパイの攻撃する主な標的は、中共ウイルス(新型コロナウイルス)を研究する米医療機関や製薬会社、学術機関だ」と話した。在ヒューストン中国総領事館を閉鎖後、トランプ大統領は「ほかの中国の在米公館を閉鎖する可能性も排除しない考え」を示した。ポンペオ米国務長官は、「在米の中国外交官の数は在中の米国外交官よりもかなり多く、また中国外交官は米国外交官よりも自由度がはるかに高い」と指摘した。

     

    中国のスパイは、コロナウイルス研究に関わる部門へ集中しているという。いかに中国の技術開発が遅れているかを証明している。

     

    3)「中国では自由に活動することができず、現地の幹部や学術機関、研究機関へのアクセスが限られているのに対し、在米の中国人外交官は米国の開放的な社会環境を最大限に利用していると、米国当局者は以前から不満を抱いていた。 そのため、米国は昨年、中国の外交官に対する規制を強化した。米国務省の最新情報によると、在ワシントンDC中国大使館だけで245人の外交官がおり、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴにも多数の外交官がいる。 それに対し、中国にいる米国の外交官は全部で、200人ほどだという。

    中国にいる米国の外交官は全部で、200人ほどという。中国は、在ワシントンDC中国大使館だけで245人の外交官がいる。これに、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、シカゴにも多数の外交官がいる。これだけ見ても、中国が何を狙っているかが分かる。スパイであろう。「互恵主義」で、米中が同数の外交官に絞るべきだ。

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    中国の大手ハイテク企業は、真っ正面からの逆風を受けている。習近平氏の対外強硬策が裏目に出た結果だ。米国、英国、豪州、印度の各国は、報復策として中国アプリを締め出している。アプリは、先進国市場を足がかりに発展するものだ。現状では、前記4ヶ国が中国アプリを締め出しているが、いずれは米同盟国へ広がってゆくに違いない。

     

    『ロイター』(7月27日付)は、「中国ハイテク大手に逆風、米中緊迫で経営環境激変」と題する記事を掲載した。

     

    中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)社は、米国によるハイテク支配に挑戦する中国の代表的な企業である。だが、中国と米国やインド、オーストラリア、英国などとの関係が悪化したため、今では逆風にさらされている。

    (1)「前記の両社以外にも、ドローンメーカーのDJI、人工知能(AI)の北京昿視科技(メグビー)や商湯科技開発(センスタイム)、科大訊飛(アイフライテック)、監視カメラの海康威視数字技術(ハイクビジョン)、電子商取引のアリババ・グループなど、世界最先端の技術を持つ中国のハイテク企業が、市場へのアクセスを失いつつある。中小企業も経営の再考を迫られている。米国とインドで事業を展開している中国のスタートアップ企業の創業者は「初めての経験だ。いろいろ積み重なって、私の起業家精神はしぼんでしまった。ましてや世界に打って出るなど考えられない」と話した

     

    企業が、地政学的な影響を大きく受ける。その典型例が、中国を襲っている。グローバル経済の下では、アイデアが勝負で資金や市場は後から付いてきた。スタートアップ企業を育てたグローバル経済が、突然の逆風に変わったのだ。

     

    (2)「中国のハイテク企業を巡る環境は、ほんの1年前に比べても激変した。大半の企業は当時、米中通商紛争やファーウェイを巡る安全保障上の懸念の影響をほとんど受けていなかった。センスタイムとメグビーは米国の投資家から資金提供を受けており、大型の新規株式公開(IPO)を目指していた。バイトダンスの「ティックトック」は世界各地で急成長。アリババはクラウド事業の見通しが明るいと言い立て、DJIはドローン市場で独占的な地位を固めつつあった。しかし、米国は昨年10月、中国政府による新疆ウイグル自治区のイスラム系ウイグル族への弾圧などを理由に、中国ハイテク企業への新たな制裁措置を導入。再選を目指すトランプ米大統領は中国批判を強め、中国の習近平国家主席は強硬路線を採った」

     

    米中対立が、中国のハイテク企業の行く場を塞いでしまった。資金の流れが止まり、市場へのアクセスが不可能になったからだ。習近平氏は、自らの対外強硬策がこういうジレンマを生むとは夢にも思わなかったであろう。専制社会の恐ろしさはここにある。中国ハイテク企業が、これまで予想外の発展ができたのは、ひとえに西側諸国が門戸を開けてきた結果である。

     

    (3)「中国政府は香港国家安全維持法の施行を巡って他の国々との間でも緊張が高まり、インドは国境付近での中国との係争を受け、中国のモバイルアプリ59種を禁止した。中国のハイテク大手は今や、契約の解消、製品の禁止、投資阻止などに見舞われており、制約は今後さらに増える見通しだ。米議会はインドに続いてティックトックの禁止を検討しており、バイトダンスは同事業の売却を迫られる恐れがある」

     

    中国の「香港国家安全維持法施行」が、西側諸国を「反中国」にさせるきっかけになった。西側諸国は、人権弾圧は非人間的政策として忌避されている。欧州の発展は、人権闘争の歴史によって可能になった。中国は、その人権を容赦なく弾圧する。国家成立の基盤が異なる中国とは、もはや従来通りの「付き合い」が不可能で、袂を分かつ決意をしたのだ。

     


    (4)「ファーウェイは製品が通信機器市場から絞め出され、売上高が年間数十億ドルも落ち込む可能性がある。米内務省は安全保障上のリスクを理由に、DJI製民生用ドローンの利用を取りやめ、機体の追加購入を停止。DJIはIPO計画を凍結した。アリババ・グループはインド政府が傘下「UCウェブ」のブラウザーを禁止したことを受けて、UCウェブの人員を削減する」

     

    中国ハイテク企業は、先進国市場を失うことになった。自国市場と発展途上国が主な市場になろう。発展の芽が、完全に摘まれたのだ。

     

    (5)「香港のマインドワークス・キャピタルのマネジングディレクター、デービッド・チャン氏によると、以前は中国資本の受け入れに前向きだった東南アジアのスタートアップ企業の一部が、消極姿勢に転じている。中国企業は外国の規制当局に心変わりを促す努力をしているが、中国政府の政策が変わらないため、効果は上がっていない。バイトダンスは、ティックトックの経営を中国事業から切り離すと表明。米ディズニーの幹部を引き抜いてティックトックのトップに迎えたが、米政府の態度を軟化させることはできなかった。北京のコンサルティング会社幹部は「企業にできるのは、そこまでだ。PRに全力を尽くし、外国らしい雰囲気を添えてくれる幹部を雇い、あとは地政学上の衝突が、これ以上起きないのを祈り続けるしかない」と語った」

     

    東南アジア各国が、中国資本受入れに躊躇するようになったという。中国への警戒心が持たれ始めたのだ。米国が、中国へ強い対抗心を見せ始めて、「事態の急変」を察知したのである。中国企業は、地政学悪化に翻弄される局面に入った。

        
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    米中対立は、もはや元の鞘に収まることはなくなった。雌雄を決するまで、この対立は続くのであろう。米国が目下、人気を集めているアプリである中国製TikTokの使用禁止を発表した。理由は、TikTokを利用して中国へ情報が筒抜けになることを防ぐためだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(8月1日付)は、「米中経済分断、新局面に 米、TikTok『利用禁止』」と題する記事を掲載した。

     

    トランプ米大統領は731日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での「利用禁止」を打ち出し、米中の経済分断は新しい局面に入った。トランプ政権内では、中国の騰訊控股(テンセント)が提供する対話アプリへの規制議論も浮上する。国境を越えてサービスを展開できるはずのIT分野でも米中の分断が進む。

     

    (1)「米トランプ政権は81日にも「ティックトック禁止令」の具体策を公表する見通し。ムニューシン財務長官は、外国勢による米国投資の可否を判断する対米外国投資委員会(CFIUS)が、ティックトックを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)の米国事業を審査していると明らかにしている。バイトダンスは2017年に米動画アプリ運営「ミュージカリー」を買収しただけでなく、米バージニア州でデータセンターを運営する。いずれもCFIUSの審査対象で、個人情報の収集などを「安全保障上の問題がある」と判断すれば、米国事業を切り離すよう大統領に勧告できるとみられる。18年には、米半導体大手クアルコムの買収に名乗りを上げたブロードコムに対し、トランプ氏が禁止令を出して封じ込めたことがある」

     

    安全保障という国家存立に関わる問題に抵触すれば、いかなる分野もグローバル化の継続は不可能である。米国で、中国のスパイ摘発が連日のように報じられている以上、「中国と聞けば、スパイ」と身構えるのは致し方ない。原因をつくったのは中国である。

     


    (2)「米商務省が、バイトダンスに「禁輸」措置を発動する可能性もある。禁輸措置が発動されると、バイトダンスは米企業と取引ができなくなる。米国内のスマートフォンでティックトックのアプリが使えなくなり、利用禁止措置と同じ効果がある。米政権・議会には中国発のアプリに対する不安が強い。ティックトックは19年11月に、新疆ウイグル自治区の人権弾圧を批判した米国民のアカウントを凍結した例がある。中国当局の影響力の大きさを不安視し、米軍は早々にティックトックの利用をほぼ全面的に禁じている

     

    米軍は、情報漏洩に神経を使っている。その米軍が、ティックトックの利用をほぼ全面禁止した事実は重い。ファーウェイの「5G」が、典型的な謀略装置である。それを輸出している中国だ。あらゆるタイミングを利用して、他国の国力に棄捐を与える。これが、中国の国是と見るべきだ。中国が、世界で頭角を現したことに随伴する、必然的なリスクと捉えるべきだろう。

     

    (3)「ITサービスの利点は国境に関係なく利用できることだが、米国と中国という巨大市場で二分化が進む。米国発のフェイスブックやユーチューブ、グーグルの検索サービスは、中国当局が国内利用を厳しく制限している。米国では、対中強硬派のナバロ大統領補佐官が「(中国発の対話アプリである)微信(ウィーチャット)にも断固たる措置を検討している」と明言する」

     

    中国が、先に米国発のアプリの使用を制限している。米国が、中国アプリを制限してはならないという理屈はない。

     

    (4)「米国では、対中強硬派のナバロ大統領補佐官が「(中国発の対話アプリである)微信(ウィーチャット)にも断固たる措置を検討している」と明言する。米国務省のキース・クラック次官(経済成長・エネルギー・環境担当)も日本経済新聞などのインタビューで「子どもたちがスパイ活動をされる可能性があり非常に危険だ」と述べた。ウィーチャットは世界で12億人の利用者を抱える。決済や電子商取引(EC)など様々な機能を持つ「スーパーアプリ」だ。利用者は中国人が中心とはいえ、ティックトックと同じように米国内での利用が禁止されれば、影響は大きい」

     

    現在の米中関係が、どういう状況にあるか。それを先ず認識することである。中国が、米国に対して飽くなきスパイ行為を続けている意図が何か。そのことを冷静に考えるべきだ。「ウィーチャットは世界で12億人の利用者を抱える。決済や電子商取引(EC)など様々な機能を持つ」ということで、対中戦略を誤ってはならない。安全保障という国家存立の基盤を守ることと、ウィーチャットの利便性のどちらが重要か。考えて見れば、自ずと結論は出るだろう。インドは、中印国境紛争で20名もの兵士の生命を失い、敢然と中国製アプリを禁止したのだ。これが、国家としてとるべき態度であろう。

     

    (5)「米政権がティックトックやウィーチャットを排除すれば、同盟関係にある日本や欧州勢も追随を求められる可能性がある。中国側が報復措置に動く可能性も高く、対立がエスカレートする恐れがある」

     

    日本はもはや、中国の報復が怖いという段階を超えた。尖閣諸島への中国公船による接近は、明らかに脅迫である。脅迫には立ち向かうべきである。インドのように、日本のアイデンティティを示す時期であろう。

     

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    尖閣諸島の海域に石油資源が埋蔵していることが分かって以来、中国は手のひらを返して、尖閣諸島の「中国領」を言い出した。国際法上、尖閣諸島は日本領土である。最初に人間が住んだこと、中国が日本領と宣言したことが、その根拠になっている。

     

    中国は、この尖閣諸島を中国公船によって脅かしている。すでに100日以上、連続して日本領海近辺に出動して、日本の様子を探っている。日本が気を緩めれば、いつ領海侵犯をするか分からない緊迫した状況にある。

     

    日本が、こういう危機打開のために「ファイブ・アイズ」(米・英・豪・カナダ・ニュージーランド5ヶ国による機密情報交換システム)へ参加するかどうかは、日本固有の自衛権に関わる問題である。非のある中国が、「絶対に許さない」と豪語するのは矛楯しているのだ。不審行動する者に対して、監視カメラをつけ警戒するような話である。嫌だったら、尖閣諸島周辺でいかがわしい行動を止めることである。

     

    『朝鮮日報』(8月1日付)は、「中国たたきの先頭に立つファイブ・アイズがシックス・アイズに拡大?」と題する記事を掲載した。

     

    「日本が英米圏の軍事・情報共同体である『ファイブ・アイズ(Five Eyes)』に加入するかもしれない」という報道が出るや、中国メディアは「絶対許さない」と敏感に反応した。1941年に結成されたファイブ・アイズは米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの5カ国が加入する軍事・情報協力国の集まりだ。ファイブ・アイズは先日の中国による香港国家安全維持法制定に反対し、香港との犯罪人引き渡し協定を中止するなど、足並みをそろえている。

     


    (1)「英紙『ガーディアン』は7月29日(現地時間)、議会で対中国政策にかかわっている議員たちの話として、ファイブ・アイズに日本を含めて「シックス・アイズ」に改編し、協力分野も軍事・情報だけでなくレアアース(希土類)や医療物品の共同管理などに拡大する可能性があると報道した。同紙は「オーストラリア議会でもこのような主張が提起されている。日本の河野太郎防衛相も先週行われたセミナーで中国の対外拡張を懸念し、ファイブ・アイズ加入の意向を明らかにした」と伝えた」

     

    英紙『ガーディアン』(7月29日付)の記事は、次のようなものだった。「中国の資源依存からの脱却に備えて、河野太郎防衛大臣および英国議員は、現在の英語圏情報協定ファイブ・アイズに日本を加え、情報協力を戦略的経済協力にまで拡大する必要性を説いている。英国の保守派議員が、ファイブ・アイズの諜報同盟に日本を加えることで、戦略的経済関係の強化や、希少鉱物や医薬品などの戦略資源を確保できると主張している。

     

    伝えられるところによると、ファイブ・アイズは、中国共産党への依存度を下げるために、オーストラリア、カナダ、米国からのレアメタルやセミ・レアメタルの採掘を大幅に増やすことを近々発表するという。レアアースは、携帯電話、ノートパソコン、テレビなどの家電製品から、ジェットエンジン、人工衛星、レーダー、ミサイルなどの防衛用品に広く使用されている。米国地質調査所によると、中国は過去10年間で世界のレアアースの90%以上を供給している。以上は、『大紀元』(7月30日付)が伝えている。

     


    (2)「トム・トゥゲンハート英下院外務委員長は「ファイブ・アイズは数十年にわたって情報・国防分野で重要な役割を果たしてきた。(加入国間の)連携を強化するため、信頼できるパートナーを探さねばならず、日本は重要な戦略的パートナーだ」と語った」

     

    「ファイブ・アイズ」の一員である英国は、中国という新たな「潜在的な敵」出現に備えるベく、日本を新メンバーで迎えたいというもの。日本側も、河野防衛相が参加の意思を表明した。「ファイブ・アイズ」が「シックス・アイズ」になれば、日本としても世界最高の機密情報を得られるメリットがある。英国が、日本を迎え入れる上で積極的なのは、EU離脱後に日本との密接な関係樹立を目指しているのであろう。昔の「日英同盟」(1902年)復活か。

     

    (3)「中国共産党系の英字紙『環球時報』は7月31日の社説で、日本のファイブ・アイズ加入の可能性について、「米国が中国相手に繰り広げている、いわゆる『新冷戦』の先鋒(せんぽう)になろうという意味」「中国人たちは絶対に日本のそのような行動を許さないだろう」と猛非難した」

     

    過激な内容で有名な『環球時報』が、日本に向かって吠えているという表現がピッタリである。孤立する中国が、米国への仲介窓口として期待しているのが日本である。その日本に対して、「絶対許さない」とは言葉が過ぎるのだ。

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