勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    米国は、ナスダック市場で中国企業の新規公開(IPO)に厳しい条件をつけることになった。中国企業の不正会計問題が、続発していることへの対応である。最低でも2500万ドル(約26億円)、または時価総額の25%相当の金額を投資家から調達するよう義務付ける。監査状況についても新たな審査基準を設ける。事実上、中国勢の米上場を制限する内容になった。

     

    これは、米中対立がもたらした問題である。米議会では、超党派で中国企業に米国の貯蓄を利用させるなという強い要求がある。「利敵行為」という認識にまで高まっているのだ。中国が、対外的に派手な動きをすればするほど、これに反応して米国の締め付けは厳しくなる状況だ。開戦前夜を思わせるような雰囲気である。日米開戦前、米国が日本に対して取った経済的な圧迫を思い起こせば、米中対立が次第に袋小路に入ってきたことを覗わせている。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月20日付)は、「米ナスダック、中国勢のIPO制限へ、米中対立飛び火」と題する記事を掲載した。

     

    米取引所大手ナスダックは新規上場ルールの厳格化に乗り出す。海外企業は新規株式公開(IPO)時に、最低でも2500万ドル(約26億円)、または時価総額の25%相当の金額を投資家から調達するよう義務付ける。監査状況についても新たな審査基準を設ける。

     

    (1)「ナスダックによるルール変更方針は、同社が19日までに米証券取引委員会(SEC)に提出した文書によって明らかになった。SECの承認によって導入が決まる。ナスダックは上場ルール変更案の中で、制限の対象として中国企業を名指ししていない。ただ、ナスダック上場を目指す海外企業の多くは中国資本で、資金調達額が小さく、流動性に乏しい銘柄も目立つ。新ルール適用によって中国企業が最も影響を受ける」

     

    中国企業の上場は米国だが、実際の会計監査は中国企業が本社を置く中国で行い、大手の監査法人は現地の中国法人に監査を任せる体制を取ってきた。ここに不正会計の温床があると、長く改善を求めてきたのが、米規制当局の米証券取引委員会(SEC)だ。中国は帳簿などの詳細な監査資料については、国外へ持ち出すことを法律で禁じている。このためSECは、仮に中国企業の監査に疑いを持っても、それを裏付ける詳細な情報は中国からは入手できず、中国企業の実態をつかめないことを問題視していた。こういう背景も見落とせない。そこへ米中の対立が加わったのである。

     


    (2)「ナスダックは上場申請企業の監査状況をより厳しく審査する方針だ。SECや上場企業会計監視委員会(PCAOB)の調査に制限がかかっている国・地域の企業を対象にする。PCAOBは上場企業の会計監査を担当する監査法人を定期的に調査し、財務諸表の質を担保しようとしている。一方、中国政府は米当局による自国監査法人への調査を認めていない。監査を巡るナスダックの新上場ルールも事実上、中国を念頭に置いたものになっている」。

     

    中国は帳簿などの詳細な監査資料については、国外へ持ち出すことを禁じている。こういう根本的な規制を掛けながら、米国の資金は吸い上げるという極めて身勝手な行動に対して、米国が遅まきながら「反応」した側面もあろう。「目には目を、歯には歯を」という対応である。中国も文句を言える筋合いでない。

     

    (3)「規制当局のSECも中国企業への圧力を強めている。中国を含む新興市場に投資する際のリスクについて話し合う会議を7月に開く。今年に入って米ナスダック上場の中国カフェチェーン大手ラッキンコーヒーの会計不正が発覚し、規制当局も対応を迫られていた。現在は米国に上場する中国企業が、米国のルールを順守しているか調査できていないとした上で、投資家を不正リスクから守る新たな方策について、専門家を交えて議論するという

     

    中国企業が、米国のルールを守っているかどうか。SECが専門家を交えて議論するというが、遅すぎると言わざるをえない。これまでも、中国企業の不正会計が続発していた。米金融界が、圧力を掛けて不問に付してきたはずだ。ウォール街には、親中国派が多かったからだ。それも、もはや影響力を発揮できない局面なのだろう。

     

    (4)「ナスダックやSECの動きはトランプ米政権の対中強硬姿勢と呼応している。トランプ大統領は14日放映のテレビインタビューで米上場の中国企業への監視を強めるよう求めた。一部の議員はかねて、中国企業が米国のルールを順守しないまま、投資家から資金調達を進めている状況を問題視していた。対中関係の悪化によって、両国の摩擦が資本市場にも飛び火した形となった」

     

    米中対立が、資本市場まで及んできた。すでに貿易・技術の両面で網がかかっているが、資本市場まで「中国締出し」が始まれば。中国の受ける打撃は極めて大きい。

     

    (5)「米調査会社ディールロジックによると、中国企業が19年に米国IPOで調達した資金は35億ドルで、前年比61%減となった。ある米銀大手の株式引き受け担当者は「中国政府の方針を受けて中国本土市場や、香港市場を選ぶ企業が増えてきた」と話す。すでにアリババ集団が香港との重複上場を果たしたほか、他の電子商取引やゲーム大手も香港上場に向け準備を進めているもようだ。米中分断は資本市場でも鮮明になってきた」

     

    中国が、米国から甘いところだけ吸い上げる「ストロー効果」は終焉を迎えた。後は、自力で生きてゆくべきであろう。米国との関係が薄れることで、どれだけの影響を受けるか。壮大な「実験」が始まるのだ。

     

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    米国トランプ大統領は18日夜、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長に書簡を送った。書簡の中で、トランプ氏は30日間の期限を設け、その間にWHOに「本質的な改善」がみられなければ、何百万人もの命を危険にさらすことになり、アメリカは脱退すると書いている。トランプ氏はこの日、WHOは「中国の操り人形だ」と持論を展開。中国が新型ウイルスのアウトブレイク(感染症)を隠そうとし、WHOも中国の隠ぺいを支援したと非難した。

     

    中国は、トランプ氏のこうした非難に繰り返し反論し、自分たちは新型コロナウイルスと感染症「COVID-19」について情報を、「オープンに、透明に、責任ある形で、適切なタイミングで出してきた」と主張している。

     

    中国は、果たして「オープンに、透明に、責任ある形で、適切なタイミングで出してきた」だろうか。この主張を覆す報道が表れて来た。

     

    『大紀元』(5月19日付)は、「中国本土感染者が64万人以上、軍関連ウェブマップが示唆」と題する記事を掲載した。

     

    米誌『フォーリン・ポリシー』によると、中国軍が関わるデータベースでは、中国国内の中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染者が64万人以上いると示された。

     

    米誌『フォーリン・ポリシー』(5月13日付)は、中国当局が内部参考に使うとみられるデータベースを取り上げた。情報筋によれば、中国湖南省長沙市にある国防科技大学がこのデータベースを作成した。同大学は中国共産党中央軍事委員会の管轄下にある。データベースは「戦疫復工大数据(感染症と戦い、生産の再開に関するビックデータ)」と呼ばれるウェブ・マップ・サービス・サイトにまとめ、インターネット上で公開されていた。

     

    (1)「報道によると、同サイトは公開されていたが、それほど知られていない。データベースには、少なくとも中国の230都市に関する64万件以上の感染者情報が入っている。1件のデータには、感染が発生した場所の経度や緯度、感染確認件数、日付などが表示されている。日付は2月初めから4月下旬までとなっている」

     

     

    中国軍のデータベースには、少なくとも中国の230都市に関する64万件以上の感染者情報が入っている。これは、感染者総数が少なくも64万人以上あることを示している。公表の感染者数は、約8万3000人弱である。実態の13%しか公表していないのだ。これで、「オープンに、透明に、責任ある形で、適切なタイミングで出してきた」とは、真っ赤なウソは明らかである。こういう噓八百を平気で言いふらす中国とは、底なしの粉飾国家と言うほかない。

     


    (2)「台湾メディア『上報』5月15日付は、同サイトにアクセスし、感染データを表示する各地のマップをクリックし検証した。多くの都市のマップには、同地域の各団地における感染者数、感染疑いのある住民の人数、死亡者数、無症状感染者の数などが細かく表示された。ただ、一部の地域のマップには、「感染が発生したことがある」だけが提示され、具体的な情報がなかった。マップの左下側にはこのデータベースを開発した研究チームの名前が示され、マップは各省・市の衛生健康委員会、騰訊(テンセント)などのデータに基づいて作成されたという。データは正確なものではない可能性があり、「正しく理解してデータを使用するよう」との注意書きもあった。同サイトには現在アクセスできない」

     

    正確なデータでないと断り書がついているが、事実を反することが記録されているはずはない。政府発表の感染者数8万3000人よりは、真実に近いデータである。感染者数、感染疑いのある住民の人数、死亡者数、無症状感染者の数などが細かく表示されていることが、それを証明している。

     

    (3)「英紙『メール・オン・サンデー』は3月末、同国の科学者は中国の感染者数について、中国当局の公表の「15~40倍」にのぼる可能性が高いと英政府に警告したことを報道した」

     

    英紙『メール・オン・サンデー』は、感染者数について公表の15~40倍と推測していた。実際は、公表の8倍弱である。それにしても、これほど事態を隠蔽した罪は重い。パンダミックを招くのは当然である。トランプ氏が、冒頭で指摘したWHOに当てた書簡では、次のような点を指摘している。

     

    英放送『BBC』(5月18日付)は、「トランプ大統領、WHOに最後通告、新型ウイルス対応を批判」と題して次のように伝えた。


    トランプ氏は書簡で、WHOは中国からの「独立性が危険なほど欠けている」と批判した。また、武漢で新型ウイルスが12月上旬かそれ以前から広がっていたという「信頼できる報告書」と呼ばれるものを、WHOは「一貫して無視していた」と指摘した。このほか、トランプ氏は次のようにWHOを批判した。

     

    1)WHOが中国の習近平国家主席からの圧力で緊急事態宣言を遅らせたと、複数の都市が報告している。

    2)中国の検閲や国際協力の欠如に関する報告がある中、WHOは中国の「透明性」を評価した。

    3)中国国内で起きたとされている新型ウイルス関連の人種差別についてコメントを出さなかった。

    4)SARS(重症急性呼吸器症候群)流行の際にWHO事務局長を務めていたグロ・ハーレム・ブルントラント氏のように、テドロス事務局長が動いていれば、「多くの命」が助かったはずだ。

    5)総括としてトランプ氏は、テドロス氏とWHOが「繰り返し間違った判断した」せいで「世界中に大きな負担がかかった」としている。

    6)その上でWHOに対し、30日以内に「大きな本質的改善」をするよう求めた。ただし、改善の詳細については明確にしていない。

    7)変化が見られなかった場合は、アメリカは一時的に停止しているWHOへの資金拠出を恒久的に止め、「加盟について再考」するとしている。

     

    以上の7点の米国の要求に対してWHOは、どう回答するのか。中国の「ウソ発表」を認めるような回答すれば、米国はWHOを脱退しかねないのだ。


     

    テイカカズラ
       

    新型コロナウイルスが、パンデミックとなって世界中を襲っている発端は、WHO(世界保健機関)の初動ミスにある。その原因は、WHO事務局長が習近平国家主席と面会し、その発言を鵜呑みにしてしまった結果であろう。テドロス氏の側近は、「中国礼賛を抑制するように」と進言したが、それを退け暴走した。今、その舞台裏が明らかにされた。

     

    『ロイター』(5月15日付)は、「批判覚悟で中国称賛、WHOテドロス氏の苦悩と思惑」と題する記事を掲載した。

     

    1月末、慌ただしい北京訪問からスイスのジュネーブに戻った世界保健機構(WHO)のテドロス事務局長は、中国指導部による新型コロナウイルスへの初期対応をはっきり称賛したいと考えていた。だが、当時の状況を知る関係者によると、テドロス氏は複数の側近からトーンを落とすべきだと進言された。

     

    (1)「習近平国家主席らと会談したテドロス氏は、インフルエンザに似た感染症に関する彼らの知識や、封じ込めに向けた取り組みに感銘を受けた。だがこの時点で、すでに中国では新型コロナウイルスで多数の死者が発生し、国外へも拡散し始めていた。関係者によると、側近らはテドロス事務局長に対し、対外的な印象を考慮して、あまり大仰でない文言を使うほうがいいとアドバイスしたという。しかし、事務局長は譲らなかった。1つには、感染拡大への対処において中国側の協力を確保したいとの思惑があった。「メッセージがどのように受け取られるかは分かっていた。テドロス氏はそうした面でやや脇の甘いときがある」と、この関係者は語る。「その一方で、彼は頑固でもある」

     

    テドロス氏は、習氏と面会してその発言を100%信じ込んでしまい、大仰な中国賞賛の発言になった。その裏には、中国から全面的な協力を得たいという思惑があった。過去の疫病発生では、発生国を批判したばかりに、その後の疫学調査で協力を得られなかったケースがあるという。テドロス氏は、その二の舞いを恐れて「中国大絶賛」となった。

     

    (2)「関係者によれば、テドロス氏は訪中して習指導部への支持を公然と表明すれば、中国をライバル視する国を怒らせるリスクがあることを承知していた。と同時に、新型コロナウイルスが世界に広がっていく中で、中国政府の協力を失うリスクの方が大きいと考えていたという。北京に2日間滞在したテドロス氏は、感染源の調査、ウイルスとそれを原因とする感染症のさらなる解明に向け、WHOの専門家と各国の科学者から成るチームが訪中する合意を中国指導部から取り付けた。この調査団には2人の米国人も含まれていた」

     

    WHOは、中国を賞賛すれば政治的ライバル国の米国が良い気持ちがしないことも分かっていた。だが、それ以上に中国の協力を得て感染源調査を進める必要性があった。

     

    (3)「アイルランド出身の疫学者で、WHOで緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は、テドロス事務局長の訪中に同行した。ライアン氏もテドロス氏も、中国の新型コロナ封じ込め計画を確認し、それがしっかりしたものであることが分かった以上、中国を支持することが重要であると考えたという。WHOが目指していたのは、「できるだけ積極的かつ迅速な対応が行われ、成果を収める」ようにすることだったと、ライアン氏は言う。「そうした対応を行うというコミットメントを揺るぎないものにしておくこと、対応の実施に問題が生じた場合にコミュニケーション経路をオープンにしておくことを求めていた

     

    WHOは、最初から中国の協力を取り付ける目的が前面に出ていた。習氏は、それを見透かすように、パンデミックになるような兆候はゼロと発言したのであろう。その上で「協力しましょう」と言えば、テドロス氏は100%、中国を信用したと見られる。

     


    (4)「中国は肺炎が集団発生したことを、2019年12月31日にWHOに報告している。WHOは年明け1月14日、中国当局による予備調査では「人から人に感染するという明白な証拠は見つかっていない」とツイッターに投稿した。後日、WHOが中国に対して十分に懐疑的でなかった事例としてトランプ大統領から指摘されることになる。もっとも、WHOの専門家は同日、(人から人への)限定的な感染が起きている可能性があると述べている。1月22日、訪中したWHO調査団は、武漢において人から人に感染したという証拠はあるが、完全に解明するにはさらなる調査が必要との見解を示した

     

    WHOの甘さは、昨年12月時点で人から人への感染が起こっていたことを把握できなかった点だ。下線部分は、その曖昧さを記述している。要するに、習氏の発言を信用し過ぎた点が最大の失敗である。

     

    (5)「米国政府のある高官はロイターに対し、WHOは「新型コロナウイルスの脅威を高め、ウイルス拡散につながった中国の責任を何度も見逃してきた」と説明する。この高官は、WHOへの拠出金は中国より米国のほうが多いと指摘、WHOの行動は「危険かつ無責任」であり、公衆衛生上の危機に「積極的に取り組むというよりも」むしろ深刻化させていると語った。さらに「調整の拙劣さ、透明性の欠如、リーダーシップの機能不全」が新型コロナウイルスへの対応を損なっていると主張。「世界の公衆衛生を良くするのではなく、阻害するような機関に何百万ドルも供与するのは止めるべきときだ」と述べた」

     

    米国は、WHO拠出金で中国の3倍も負担している。その米国の注意を聞かず、テドロス氏は逆に米国を批判する発言をした。政治的に中国を賞賛したテドロス氏が、米国には非政治的に振る舞った。ここが謎である。

     

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    イタリア議会は、財政難に乗じて接近している中国を糾弾する質問を繰り広げた。G7の中で、イタリアが唯一の「親中国」であることから、今回の新型コロナウイルスの被害が大きかったという思い込みが強い。甚大なコロナ禍も手伝い、中国への恨みがイタリア議会を支配している。

     

    『大紀元』(5月18日付)は、「イタリア議会、政府に親中姿勢に説明求める『中国の植民地になりたくない』」と題する記事を掲載した。

     

    イタリア議会外務委員会は56日、新型コロナウィルス感染拡大を巡って、中国共産党およびWHOの責任を問うために公聴会を開いた。公聴会で外務事務委員会の北部同盟代表は、政府に必要以上に北京に近寄る立場を説明するよう求めた。

     

    (1)「北部同盟党、フォルツァ・イタリア党および民主党など各党の議員から、コロナウイルス(Covid-19)の発生源や中国共産党政権への対応についての質問が相次いだ。エマニュエラ・クラウディア・デル・レ外務副大臣は、「イタリアは世界各国および各組織に最大限の情報公開を求めている」と述べるにとどまっている。同副大臣は「感染が始まって以来、イタリア政府は世界保健機関(WHO)およびその加盟国や中国政府と情報を交換し続けた」と述べ、欧州連合(EU)およびG7との情報共有や協力にも努めた」との答弁に終始した。ウイルスの起源について、WHOの緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏の話を引用し、「ウイルスが自然界由来である」と発言した」

     

    イタリア政府は、議会からの鋭い質問に対して、まともな答えができずにいる。WHOは、中国の支配下にあり、機能していないからだ。イタリアは、G7の一角でありながら、発展途上国・中国のご機嫌伺いしているイタリア政府を批判している。

     

    (2)「この答弁に北部同盟党および委員会副委員長のパオロ・フォルメンティーニ氏が不満の声を上げた。「中国政府が感染者数および死者数の真実を公表せず」、「医療物資を提供する活動で意図的に各国に浸透工作を働き、リーダーシップを取ろうとした。イタリアに対しても同じだった」と感染拡大状況下のWHOおよび中国共産党政府の対応を非難した。また、外務委員会委員長マルタ・グランデ氏に「感染拡大してから、イタリアに対して行った北京の『恩着せがましい』援助の裏を調査するよう」要求した」

     

    中国は、コロナ禍の加害者である。それにもかかわらず、被害者のように振る舞い、他国へマスクを配り接近している。だが、マスクは贈呈でなく、売りつけたことが判明。イタリア議会を怒らせている。なんとも、みみっちいことをしたものだ、と呆れるのである。

     

    (3)「公聴会の後、フォルメンティーニ氏はラジオ局ラジオラジカルとのインタビューで、中国当局の感染対策がうまくいったという論調を批判した。「よくできたところか、最悪です。中国共産党政府が世界を危険な境地を陥れた。感染拡大の情報を隠ぺいし、過少報告することによって、世界各国は十分な対策を講じることができなかった。しかも、いまだに、感染者数の真実およびウイルス起源の公開を拒み続けている」と述べた」

     

    中国政府は、コロナ禍の実態を報告せず隠蔽していることが、怒りを増幅している。

     


    (4)「フォルメンティーニ氏は、「西側諸国の中で中国共産党政府に真相公開を求めていない国は我が国だけ」と指摘し、「中伊友好などは単なる中国共産党の宣伝に過ぎない。送ってきたマスクも、一部を除き、殆ど高価で購入させられた。2.09億ユーロも使った。しかし、国民はもちろん知らないし、マスコミにも報道されなかった」と述べた」

     

    中国のマスク贈呈は、ごく一部であった。過半は、高価で購入させられたという。コロナ禍をビジネスにしてしまったのだ。あるいは、贈呈であったにもかかわらず、中国関係者が代金を請求して、懐に入れたのかも知れない。イタリア議会が、調査を要求したのは当然である。

     

    (5)「WHOについて、フォルメンティーニ氏は、「WHOは中国政府のものではない。感染拡大中に情報隠蔽し、中国を露骨に擁護したWHOおよびテドロス事務局長に責任を問うべきだ」と主張した。北部同盟はすでにWHOが対応を改善しなければ、米国のようにWHO拠出金を停止することを検討する」という立場を表明したと明らかにした」

     

    WHOの不明朗な動きに、イタリア議会も不信感を強めている。WHOが、対応を改善しなければ、イタリアも米国同様にWHOへの拠出金停止を検討するという。WHOは、これだけ批判を浴びているのだ。

     

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    米中摩擦の激化で、米国によるサプライチェーンの分断リスクが鮮明になってきた。米国は、中国による覇権へ挑戦を退けるために、技術面で大きな脆弱性を抱える中国を突き放すためだ。米国は、中国の弱点を突く古典的手法で逆襲に転じたもの。中国は、これまでの米中融和を逆手に、技術窃取を続けてきた。その根源を断ち切るべく、米国が大胆な戦術に打って出た感じである。

     

    米国政府は昨年5月15日、ファーウェイへ製品とソフトの輸出を禁止した。さらに、この5月15日に規制強化し、米国製の半導体輸出を禁止する手段に踏み切った。これで、ファーウェイを完全に封じ込めようという戦略である。米国は、ファーウェイが中国スパイ活動の一翼を担っていると見定めている。

     

    ファーウェイは、外部の半導体依存度が極めて高い企業である。半導体受託生産で、世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)との取引が、ファーウェイの生命線となっている。半導体設計は、傘下の開発大手・海思半導体(ハイシリコン)に任せてきた。スマートフォンのCPU(中央演算処理装置)や5Gの基地局向けの半導体などの開発では、海思半導体が世界トップクラスの技術を持つとされる。TSMCは、ファーウェイにとって半導体製造部門に等しく、その受注停止は「手足」をもぎ取られたにも等しい打撃となる。

     

    『日本経済新聞 電子版』(5月18日付)は、「TSMC、ファーウェイから新規受注停止、米制裁強化受け」と題する記事を掲載した。

     

    半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が、中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)からの新規受注を止めたことがわかった。米政権が15日にファーウェイに対する事実上の禁輸措置を強化したためだ。ファーウェイは基幹半導体の供給の多くが断たれ次世代通信規格「5G」向けのスマートフォン開発などに影響が出る。

     

    (1)「TSMCは15日の米規制強化発表を受け、ファーウェイ側からの新規受注を停止した。既に受注済みの分は9月中旬までは通常通り出荷できるが、それ以外は輸出に際し米の許可が必要になるという。TSMCは日本経済新聞に対し「顧客の注文については開示しない」としつつ、「法律と規制は順守する」とコメントした」

     

    米調査会社カナリスの賈沫アナリストは、「2021年前半から中高級のスマホや5G用の通信基地局などの生産で大きな打撃を受ける」と指摘する。IT製品は半導体の性能に依存するだけに、半導体製造部門であるTSMCを失う意味は極めて大きいのだ。

     

    (2)「米政府は19年5月にファーウェイに対する事実上の禁輸措置を打ち出したが、米国由来の技術やソフトウエアが25%以下であれば規制の対象外とのルールが「抜け穴」となっていた。今回は25%以下でも米国の製造装置を使っていればファーウェイに輸出できないようにした。TSMCの最先端半導体の製造工程では、半導体装置世界最大手、米アプライドマテリアルズ(AMAT)などの製品が不可欠だ。中国は、高度な半導体製造技術が欠如していることが米とのハイテク摩擦での弱点となっており、習近平指導部は国を挙げて「国産化」を急いでいた。最重要の担い手であるファーウェイがTSMCとの取引を断ち切られたことは、産業政策にも逆風となる」

     

    米国が、ファーウェイに対してここまで徹底的な禁輸措置に出た背景は、中国産業高度化のカギを握る「中国製造2025」の中核推進企業、ファーウェイを成長発展させないという強い意志を表わしている。中国は、この米国の見せる決意のほどを甘く見ては危険である。中国が、まともな手段で技術開発するならばともかく、ほとんど違法手段に頼っている現状阻止には、こういう荒業が不可欠である。

     


    (3)「ファーウェイへの制裁強化を受け、中国共産党系メディアの環球時報(英語版)は15日の社説で「中国政府は必ず報復する。米企業の部品や機器が中国に輸入されるのを止めるかもしれない」とけん制した。米中の応酬が激化すれば世界のサプライチェーンが揺さぶられることになる。TSMCは制裁による打撃が避けられない。米顧客の売上高比率が全体の約6割を占めるが、直近ではファーウェイの売上高比率が12割に達し、米アップルに次ぐ第2位顧客に浮上していた。今後はエヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)といった米半導体大手からの受注を増やし、ファーウェイの受注の穴埋めを急ぐとみられる」

     

    コロナ禍は、グローバル経済の効率性に大きな疑念をもたらした。効率性では劣っても、「地産地消」方式の生産により、パンデミックのような事態を回避する。こういう「次善の策」が、結果的に効率的であるという見方が有力になっている。

     

    グローバル経済の効率性追求では、中国経済が大きなメリットを受けてきた。それが、コロナ禍で一変する。さらに、米中対立によって米国が、中国を突き放すという意図も加わり、中国は一段と劣勢に立たされ始めたのである。

     

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