中国は、武漢でロックダウンにより新型コロナウイルスを封じ込めて以来、この戦法を得意としている。だが、自ら築いたこの「成功方程式」に、今や手足を縛られている。「ウィズコロナ」へ切り変えられないからだ。ロックダウンの矛楯は、日に日に明らかになっているが、「効かない」中国製ワクチンを認める訳にもいかず、「閉じ籠もり」戦術でやり過ごすしかない。
海外では、中国のロックダウンによって供給不安が高まり、これがインフレを煽る危険性さえ指摘されている。国に酔っては、意に沿わぬ金融引締めも発動せざるを得ず、「コロナ+インフレ」と中国への不満は高まるばかりである。
『大紀元』(1月14日付)は、「中国のゼロコロナ対策、限界に近づくー独専門家」と題する記事を掲載した。
新型コロナウイルスが、2年前に中国武漢で発生して以来、中国は「ゼロコロナ」対策を実施してきた。感染力の強いオミクロン株が急速に広まるにつれ、都市封鎖という同対策は限界に近づいていると専門家は予想している。
(1)「ドイツの著名なウイルス学者、アレクサンダー・ケクレ氏は1月11日の国内ラジオ番組で、多くの国際的な専門家の共通の認識として、オミクロン株のまん延により、中国政府の「ゼロコロナ」対策は経済と社会に深刻なダメージをもたらすが、解決策にならないと述べた。「中国国民だけではなく、世界経済に関係する問題だ(中略)、すでに半導体、自動車産業などさまざまな業界のサプライチェーンに問題を起こしている」と同氏は論説した」
オミクロン株は、感染力が極めて強くロックダウの意味がなくなる。中国は、世界のサプライチェーンの中核に立つので、生産がストップするのは世界経済へ大きな影響を及ぼす。責任は重大なのだ。習近平氏が、自ら第3期国家主席就任の条件整備目的でロックダウンするとは、余りにも本末転倒と言うべきであろう。
(2)「いまも都市封鎖が続いている西安市では、食料品の供給が不足し、妊婦や心疾患の患者が診療を拒否されるなどの問題が発生し、市民の不満が高まっている。米政治リスクの調査会社ユーラシア・グループは3日に発表した2022年世界の「10大リスク」に「No
zero Covid(ゼロコロナ政策の失敗)」を1位に挙げた。中国がウイルスの変異型を完全に封じ込められず、経済の混乱が世界に広がる可能性を指摘した。「より深刻な経済的ダメージ、より広範な国家介入、より高まる国民の不満など問題は噴出する」と報告書は記した」
ユーラシア・グループは、中国の「ゼロコロナ」対策を、22年の世界10大リスクの1位に選んだほどである。具体的には、経済的損害、国民生活への国家介入、それに伴う国民の不満を高めて政治的不安要因になるとしている。
(3)「シンガポール国立大学東アジア研究所上級研究員の林大偉氏は、独国際公共放送「ドイチェ・ヴェレ」の取材に対し、中国の防疫対策は経済への影響を第一優先順位にしたことがなかったと述べた。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は野村證券の香港駐在チーフ中国エコノミスト陸挺氏の見解を報じた。同氏は2021年12月発表のレポートで、ゼロコロナ対策のコストは増大になる一方で、中国が世界のサービスや貿易から排除されるリスクが高まると予想したという」
下線部は、重要な指摘である。これからもパンデミックはしばしば起こりうると言われている。特に、中国起源が予想されている。自然破壊が最も進んでいることや、野生動物を食する「奇習」の存在である。中国人は、いわゆる「ゲテモノ食い」と指摘されている。こういう民族が地球上に存在する以上、西側諸国はパンデミックへ自衛策を取らざるを得ないであろう。
(4)「ゼロコロナ対策は、サプライチェーンの国外シフトを加速させ、外需に影響を与える。内需の牽引役である不動産市場は債務危機や、新型コロナによる消費市場への影響を受けている今、当局は市場の信頼を回復しつつ、ゼロコロナ対策をいかに継続するかという難題を抱えている。世論の反対も高まっている。政府の防疫政策に疑問や批判を呈するネット書き込みは増えている。国際人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチの中国上級研究員である王亜秋氏はドイチェ・ヴェレに対して、「ネットで発言すると処罰を受けかねないため、ほとんどの中国人は黙っている」と市民の間に不満が溜まっていることを指摘した」
中国は、唯我独尊の民族である。他国との協調など考えたこともないような連続である。儒教倫理は、縦型の支配構図の社会であるから、横型の話合い・協調という民主主義を受入れ入れる余地は存在しない。そういう国家が,GDP世界2位になってしまったのである。世界は、この現実といかに向き合うか。また、いかにそのデメリットを最低限に抑えるか、という難問に突き当たっている。