習近平国家主席が、文大統領の70回目の誕生日に祝賀メッセージを送った。韓国大統領府は、「韓中両首脳は今年で修交30周年を迎え、両国がこれまでの関係発展成果に基づき、韓中戦略的協力パートナー関係を一層発展させていく」と話している。
中国は、韓国の次期大統領選に関心を寄せている。間違っても、野党保守党候補が当選しないように願っていることは確実である。そのために、内政干渉に値する越権発言をしているのだ。韓国を「戦略的協力パートナー」でなく、「属国」扱いしているのだ。
今月20日に開かれた「韓中修交30周年および北京冬季オリンピック(五輪)記念国際学術大会」では、なんと「韓国大統領候補は、選挙期間に中国に関連した敏感な問題に言及しないよう希望する」と隣国大統領選挙へ言及したのだ。発言の主は、前駐韓中国大使の邱国洪氏だ。現職ではないが、こういう発言自体が異常である。韓国は、抗議すべきである。
『中央日報』(1月24日付)は、「中国の『韓国大統領選挙干渉』遺憾」と題するコラムを掲載した。
前駐韓中国大使の邱氏は、「一部の韓国政治家の言動が中国関連の敏感な問題を扱った」とし「新しい大統領が就任した後、良い中韓関係の始まりのために基礎をしっかりと固めよう」と述べた。「一部の韓国政治家」という表現自体のほうが鋭敏である。野党「国民の力」大統領候補の尹錫悦氏が、昨年末に駐韓米商工会議所を訪れた席で「韓国国民、特に青年たちの大部分は中国を嫌っている」と言及したのである。
(1)「中国側の要人が、韓国大統領選挙をめぐり敏感な話を取り上げている。昨年の国民の力と中国側の攻防が出発点だ。昨年7月12日、国民の力の李俊錫党代表が米国ブルームバーグのインタビューで、中国を「民主主義の敵」と表現した。続いて同月15日、尹氏が中央日報のインタビューでTHAAD(高高度ミサイル防衛体系)と中国レーダーに言及した。すると中国は、ケイ海明駐韓中国大使と趙立堅外交部報道官が直接抗議した」
中国は、与党候補の発言は好意的に取りあげ、最大野党候補の発言には敏感に反応して抗議する。これは愚策である。国内干渉になるのだ。そういう区別ができない点が、中国の外交音痴ぶりを表している。
(2)「韓国大統領選挙の局面における中国側の発言に懸念の声が出ている。韓国・亜洲(アジュ)大学のキム・フンギュ教授は、「世界的にも最も否定的な韓国の対中世論を考慮する場合、主権と内政不干渉の原則に反しかねない中国要人の不適切な発言は、両国関係に資するところがない」とし、「大統領候補も国内政治を外交に延長せずに国家アイデンティティと国益を明確に提示する必要がある」と話した」
中国は、米国大統領選での候補者発言について沈黙している。だが、韓国大統領選では、越権行為をして内政干渉の発言をする。韓国を「属国」扱いしている証拠だ。
(3)「中国が韓国大統領選挙に敏感なもう一つの理由は、昨年文在寅政府が米国に傾いたという「疑い」にある。北京外交界では、昨年5月21日のワシントン韓米共同声明のほうが4月の日米共同声明よりも中国に及ぼす影響が大きいという評価が共有されている。当時、韓米共同声明は英文A4用紙7枚(1万7725字)分で、日米声明の5枚(1万4285字)よりも多かった。付属文書を合わせると約3万4000字と2万4000余字でさらに大きな開きがある」
中国は、日米共同声明と米韓共同声明の字数を比較して、韓国の方が多いとして重要視したという。子どもじみた発想である。質的な評価をしないあたり、中国外交はどこを見ているのか怪しくなってくる。
(4)「内容でも「台湾海峡の平和と安定」をはじめ、気候・グローバル保健・5G・6G・半導体・サプライチェーン(供給網)回復力などグローバルイシューをもれなく扱った。ラテンアメリカでの民主的価値や人権協力まで盛り込んだ。日米声明にはない内容だ。中国側は、「韓国が米国と経済・科学技術・価値観・安全保障・外交など核心領域で協力を強化し、中米戦略競争の重要領域にさらに深く介入している」と分析した」
中国は、韓国を「属国」扱いしてきたから、米韓同盟の突っ込んだ内容に驚いたのであろう。ただ、韓国はその後、米韓共同声明の内容にそって実行していないのだ。多分、中国からブレーキがかかったのであろう。あるいは、「脅迫」と言い換えてもいい。
(5)「米韓共同声明後、中国は韓中外交を格上げした。11月16日、米中首脳テレビ会談の翌日、呉江浩部長助理(外務次官補)が張夏成駐中韓国大使と会い、北京駐在大使で初めて米中会談のバックブリーフィングを行った。25日には楊潔チ政治局委員が張大使を釣魚台に呼んで接見した。12月2日には天津で徐薫安保室長と楊委員の会談が、23日には崔鍾建外交次官と楽玉成外交部筆頭副部長(外務次官)間の戦略対話が続いた。2017年文在寅政府発足後、最も頻に行われた高官連続接触だった。中国はこの期間、THAAD配備後初めて中国内の韓国映画上映を許可した」
中国は米韓共同声明発表後、韓国を従来よりも丁重に扱うようになったという。米韓は、同盟国である。中国が、その韓国を「属国」扱いして良いはずがない。中国外交の出鱈目さは、この一事でも分るのだ。
韓国は、中国へ堂々と立ち向かうべきである。そのためにも、「反日」をやっていると、日韓不和を理由に中国から見下されるのだ。韓国は、これまで反日外交を行い、中国から粗略に扱われてきたことに気づくべきである。