中国政治家の前時代性が、女子テニス選手の告発で浮き彫りになった。中国副首相(当時)が、不適切な関係を求めたとする問題からだ。この女子選手は告発後に、行方不明になっている。本人と称する人物から、「元気でいる」とのメールが報じられたものの、信憑性を疑われている。
この問題について、IOC(国際オリンピック委員会)委員は、事態が糾明されなければ、明春開催予定の北京冬季五輪開催を中止することもあり得ると発言するなど、疑念がひろがっている。
『ロイター』(11月20日付)は、「IOC委員、北京五輪への影響に言及 女子テニス選手消息不明で」と題する記事を掲載した。
国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は、女子テニスでダブルス元世界ランク1位の彭帥選手(中国)が消息不明になっている問題への対処次第で、IOCが2022年北京冬季五輪開催に関して強硬な態度をとる可能性があると述べた。
(1)「彭帥選手は中国交流サイトの微博(ウェイボ)で2日、中国共産党の幹部だった張高麗元副首相から性行為を強要され、合意の上で不倫関係を持ったと暴露。その投稿は約30分後には削除されたが、投稿のスクリーンショットがインターネット上で拡散し、大きな話題となった。この投稿以降、彭帥選手は消息不明となっており、その身を案じる声が世界中で高まっている。
告発内容が、極めて衝撃的であった。それはもちろんだが、告発した本人の居所が分からないという、さらにショッキングな出来事である。中国社会が、泥沼状況であることの一端を見せつけられた感じだ。
(2)「大坂なおみ選手やセリーナ・ウィリアムズ選手(米国)なども安否を心配するコメントを出し、女子テニスのツアーを統括するWTAのスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は、対処に問題があった場合は中国でのトーナメント開催から撤退する用意があるとの警告も出している」
WTAは、女子テニスに関する中国トーナメントから撤退することもあると警告している。
(3)「パウンド委員はロイターに対し、「もし、早急に良識ある形で解決されなければ、事態の収拾がつかなくなるかもしれない。(IOCが強硬な態度をとる)可能性もある。五輪大会を中止するとまではいかないかもしれないが、どうなるかは誰にも分からない」と述べ、北京冬季五輪中止の可能性も完全には排除しなかった」
IOC委員は、北京冬季五輪中止の可能性もあり得ると警告している。それほど,中国の引き起した事態は重大なのだ。
(4)「中国への対応に関しては、「自分が中国側だったら、『(五輪中止は)残念だが、われわれよりも、世界中のわれわれ以外の人々の方がよりがっかりすることだろう』と言える」とし、圧力をかけるよりもスポーツ界や政府関係者との交渉の駆け引きの方が有効であるとの見解を示した」
IOCが、前面に出て解決策を求めるよりも、中国のスポーツ界や政界が自浄作用を働かせろと要請している。もし、そういう動きもなければ、「最悪事態」へ突入ということなのだろう。
『ロイター』(11月20日付)は、「消息不明の中国テニス選手、所在確認求める声 米仏など懸念表明」と題する記事を掲載した。
中国共産党の幹部だった張高麗元副首相との不倫関係を告白し、行方が分からなくなった女子テニスの彭帥選手(中国)を巡り、各界から所在確認を求める声が相次いでいる。
(5)「米ホワイトハウスは19日、中国政府に対し、同選手の所在確認と安全確保について「独立した検証可能な証拠」を提示するよう要請した。サキ報道官は「彭帥選手が、中国共産党幹部による性的暴行を告発した後、行方不明になっているとの報道に深い懸念を抱いている」と述べた。フランスのマラシネアヌ・スポーツ相も「わが国は人権の尊重に深くコミットしている。彭帥選手のケースのような性的暴行の告発には、透明性が絶対に必要だ」と表明した」
米ホワイトハウスまでが、発言する事態になっている。米国は、北京冬季五輪へ「外交ボイコット」を検討中だけに、中国政府へ厳しい対応を求めるであろう。
(6)「このほか、大坂なおみ選手やセリーナ・ウィリアムズ選手(米国)らトップ選手を始め、関係団体などからも彭帥選手の安全を確認するよう求めるコメントが出されている。
セリーナ・ウィリアムズ選手は「彭帥選手のニュースを受けて、とてもショックを受けている。一刻も早く彼女が無事に発見されることを願っている。この件は調査されるべきで、われわれは黙っていてはならない」と述べた」
女子テニス選手から、心配の声が上がっている。公的機関が、早急に動き出すべきであろう。