勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

    a0960_008565_m
       

    2019年の実質GDP成長率が昨日、発表された。6.1%の伸び率である。18年の成長率6.6%から見れば、大幅な減速だ。2兆元(約32兆円)の減税を行ない辛うじて6%割れを防いだ形である。今年の実質GDP成長率予測は2月に発表されるが、「6%前後」という説が飛び交っている。

     

    15日には、米中が通商協議「第1段階合意」で調印した。これは、貿易戦争の「休戦」でなく「半休線」と呼ばれる通り、知財保護と技術移転の難物が未解決のままである。近く、「第2段階合意」に向けて協議を始めるという。トランプ米大統領は、「第2段階合意」に到達すれば、関税の引上げ分の全面削除を発表した。それまでは、第1~第3弾2500億ドル25%関税が、中国輸出に重くのしかかることに変わりない。ただ、第4弾の関税引き上げ1200億ドルの関税(15%)は7.5%に引下げられた。

     

    中国にとって、「第1段階合意」が貿易面で効果を表わすのは、国内手続きを経るので4月以降とされる。第4弾の1200億ドル7.5%関税が軽減されただけなのだ。中国にとっては、大したメリットになるわけでない。難物の「第2段階合意」に進まない限り、「関税爆弾」から解放されない。米国の強い意志を感じ取るはずだ。

     

    米中貿易戦争は、米国の100%勝利である。その証拠は、次の点である。

     

    (1)「米中両政府は様々な協定を結んできたが、米国側には「中国が約束を破ってきた」との不信感が根強い。このため中国が着実に履行するよう「完全な実効性を持たせた」(トランプ米大統領)。具体的には中国が約束を守らなければ、米国が一方的に罰則を科せる仕組みを導入。違反が疑われる場合は個別に政府間で約90日間協議する。解決しなければ追加関税再発動など「改善を求める措置をとってもよい」と明記した。一方で相手には「報復してはいけない」もしくは「合意から離脱する」と縛りをかけている。米通商代表部(USTR)のウェンディ・カトラー元次席代表代行は「米中が過去に結んだ合意と大きく異なる点だ」と指摘する」(『日本経済新聞』1月17日付)

     


    下線部は、中国にとって屈辱的な条項である。中国が、「国権」に関わるとして昨年5月に、調印寸前で反古にした問題の項目がこれだ。今回は、米国が有無を言わせずに中国へ認めさせた。中国が約束を守らなければ、「米国から一方的に罰則を科せる仕組み」を押しつけられた。また、「中国は報復してはいけない」もしくは「米国が合意から離脱する」と殺し文句がはいっている。つまり、中国は報復関税を掛けられない。米国は、中国が約束違反したならば、関税を復活させると書き込んでいる。中国の「無条件降伏」である。日本の「ポツダム宣言」受諾と同じだ。

     

    米国が100%勝利という私の判断は、中国経済の破綻でもはや抵抗不可能な事態へ追い込まれている結果によるもの。あのメンツの中国が、鼻をへし折られたのも同然の状態で、調印に追い込まれた。習近平氏の間違った判断が、この事態を招いたのである。

     

    中国共産党の機関紙『人民日報』系の新聞で、国家主義的なスタンスで知られる『環球時報』(15日付)の論説記事は、次のように言っている。「中国国民に少し言うべきことがある。第1段階の合意で米国産品の購入を中国が増やすことを理由に『われわれは負けた』と感じてはならない」と呼び掛けた。また、米中間の「貿易に一定の不均衡があった。米国製品購入は中国国民の消費を向上させるニーズを満たすだけでなく2国間関係を強化し、21世紀の正しい方向に両国関係を支える」と指摘した(『ブルームバーグ』1月17日付)。

     

    中国敗戦をカムフラージュした記事だ。中国経済の脆弱性が、これだけはっきりと浮き彫りになった以上、中国は国有企業中心体制を止めて、民営企業中心の市場経済体制に転換しなければ、生き残れないところまで追い詰められている。

     

    『ブルームバーグ』(1月17日付)は、「米中共存への道筋はなお不透明、貿易合意署名も戦端は開かれたばかり」と題する記事を掲載した。

     

    (1)「米中関係が再び険悪化すれば中国と習主席に多大な影響を及ぼす可能性がある。短期的には、両国関係の再度の緊張は既に変調を来している中国経済を悪化させる恐れがあるほか、中国経済の成長に不可欠な技術を獲得する計画は投資規制により阻まれかねない。習主席にとっては、対米関係をうまく保てないと見なされれば、2022年の中国共産党大会での3期目への支持が万全ではなくなる可能性がある

     

    米国は、超党派で中国へ敵対意識で臨んでいる。トランプ大統領は、融和的な姿勢を取れないほど「反中国意識」が充満しているのだ。ここまで米国を怒らせた中国の責任は重い。とりわけ、民族主義の習近平氏が、事態を悪化させた張本人である。中国は、米国へ無条件降伏した以上、「第2段階合意」でも厳しいやり取りがされるだろう。その間に、中国の経済重視派が、米国の要求の正統性を認め、市場経済化に歩調を合わせれば、習近平氏の3選は不可能になろう。習氏にとって、これからの3年間はヤマ場を迎える。習氏の座は、決して安泰でない。


    あじさいのたまご
       

    中国は昨年、1人当り名目GDPが念願の1万ドルを達成見込みという。今月中に正式発表される。だが、これで勢いをつけてさらに上の段階へ達するには大きな課題を背負っている。多くの発展途上国が、この段階で息切れして停滞局面入りしているからだ。いわゆる、「中所得国のワナ」問題である。

     

    1万ドルまでは、豊富な労働力を生かせばどこの国でも実現可能な水準である。問題は、労働力枯渇化の中でいかに生産性を上げていくかである。中国では、それを阻む要因がきわめて多いのだ。

     

    第1は、総人口に占める生産年齢人口(15~59歳)比率が。2010年をピークに下げ続けていることである。「人口オーナス期」というマイナス局面に入っており、扶養者が増え続ける状態になった。

     

    第2は、義務教育さえ満足に受けていない人々が多く、高度の機械操作に不慣れなことだ。AI(人工知能)時代の現在、これが決定的な立遅れをもたらしている。

     

    第3は、米中覇権競争の中で、米国が中国への技術移転を阻止していることだ。もともと、自力の技術開発が困難な国が、習近平氏によって米国へ対抗すると言ってしまった。これが、徹底的な中国囲い込みをもたらしている。自業自得の面が大きい。

     

    第4は、不動産バブルによる債務残高の増加である。対GDPでの総債務残高は、300%を上回り、日本の平成バブル期以上である。まさに、「空前絶後」というバブル後遺症の中で、経済の活力維持は絶望的である。

     

    中国が、1人当り名目GDP1万ドル近辺で足踏みすれば、「世界覇権」は夢のまた夢。ここ数年で、その全貌がはっきりしよう。いつまでも、実現不可能な夢に拘らず、地道な「経済再建策」を進めるべきであろう。

     


    『人民網』(1月15日付)は、「中国のGDP平均1万ドル突破で中等所得の罠に警戒を」と題する記事を掲載した。

     

    国家統計局は今月にも2019年の国民経済の成績を発表する。通年の国内総生産(GDP)は100兆元(1元は約15.9円)に迫り、国民一人あたりの平均GDP1万ドル(1ドルは約109.9円)の大台に乗る見込みだ。「経済日報」が伝えた。

     

    (1)「平均GDP1万ドルを突破することは、中国の国力を示すとともに、人々の暮らしがより豊かになったことも示すものだ。しかし多くの人が平均GDPは、自分とは関係がないと考え、「自分は平均値や増加分の計算に入ってはいるが、実際の状況は違う」と考える人さえいる。実際、GDPと所得は異なる概念だ。GDPは一定の期間に国内居住者が生み出した富の総和で、所得は富が分配されて個々人の手に渡ったものだ。一部の人は平均GDPの伸びと自分の実感には「温度差」があると感じるのは、主に経済発展のアンバランスと不十分さによる一部の突出した問題がまだ解決されていないことによるものだ」

     

    社会主義国の中国が、所得分配で不平等とは「社会主義国看板に偽り」あり、だ。中国では、共産党員が特権階級である。これが矛楯の原点だ。現在、社会主義国経済で起こってはならないことが、起こっているのだ。

     

    (2)「北京師範大学統計学院の李教授の分析によれば、「所得格差を生み出すさまざまな体制・メカニズムがまだ整理されていない。市場経済の環境の中では、要素に基づく分配により、人々は生産要素をどれくらいもっているか、その質が優れているかどうかによって、所得格差が生じる。李氏は続けて、「全体として言えるのは、所得格差の問題を解決するには、やはり市場メカニズムと公共政策という2つの手段を十分に運用し、さまざまな側面から関連政策を充実させることが中心になる。しかし注意しなければならないのは、私たちは効率を過度に犠牲にしたやり方で公平さを獲得することは決してしてはならないということだ」と指摘した」

     

    下線部分が重要な点である。中国が国有企業中心の計画経済思想を捨てない限り、市場機構に委ねた資源配分(社会の効率性と公平性維持に不可欠)が実現しないのだ。市場機構は、決して「資本主義経済」の独占物ではない。中国は、「特色ある社会主義」などという「寝言」を捨てて、効率と公平の概念に立てば、それが「社会主義」の道に通じるのだ。福祉社会の構築こそ、中国が目指すべき社会であろう。国民を監視カメラで縛り付ける。社会主義にあってはならない話だ。

     


    (3)「中国政策科学研究会経済政策委員会の徐洪才副会長によれば、「平均GDPと可処分所得とは2つの異なる概念だが、両者には密接な関連がある。長年にわたり、国民の所得と経済成長は基本的に同じペースを保ち、これも同じく素晴らしい成果だ。より長期的な視点に立てば、中所得層の規模をさらに拡大し、『鉄アレイ型』の所得分配構造から『ラグビーボール型』の構造への転換を果たすことが『中所得の罠』から抜け出すためのカギだ」という」

     

    中国が、「中所得国の罠」を脱するには、所得分配構造を変えること。「鉄アレイ型」から「ラグビーボール型」に変えるべきである。それは、努力した者が報われる社会を構築する道である。共産党革命の功労者の子孫は一生、安泰という現状を打破すべきなのだ。「紅二代」である習近平氏には、出来ない話であろう。習氏は、早く引退して「紅二代」とは関わりのない人物が国家主席になるべきだ。


    a1180_012903_m
       

    米国がこれまで、イランへの軍事攻撃を躊躇してきたのは、イランによる本格的な反撃の恐れからだと指摘されている。ところが、トランプ大統領は最小の被害で、最大の効果を狙って「ピンポイント作戦」を敢行した。歴代米国大統領が出来なかったことをやったことに軍事専門家は驚きの声を上げている。中には、絶対にイラン報復があるという指摘もあるほど。

     

    現状では、その動きはなさそうだ。イラン革命防衛隊による旅客機誤射による墜落事故で、国民のイラク政府批判が高まるという思わぬ方向へ事態が動いているからだ。こうなると、米国の「ピンポイント作戦」は将来、再び行なわれることはあるのか。中国が、いち早く最高指導部7人と王岐山国家副主席で秘密会議を開いたという。

     

    『大紀元』(1月15日付)は、「米のソレイマニ司令官殺害、中国最高指導部に衝撃か、警護体制を強化との報道」と題する記事を掲載した。

     

    米軍によるイラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官の殺害について、中国のネットユーザーから支持の声が上がった。この出来事は中国最高指導部に衝撃を与え、直ちに護衛体制を強化したとフランス国営ラジオRFIが報じた。

     

    (1)「ネットユーザーの多くは、米政府のソレイマニ司令官に対する「斬首行動」は、ピンポインドで正確に特定の人物を狙えるため、「一般人が犠牲になる大規模な戦争が避けられた」と歓迎した。一部のネットユーザーは、米政府の今回の殺害行動について、「指導者を先に(あの世に)行かせるモデル」と命名し、「世界の人々の幸せのために、これからも全体主義国家の独裁者を『先に行かせる』べきだ」とのコメントを書き込んだ。ネットユーザーが中国版ツイッター「微博」に掲載した分析記事では、人工知能(AI)の時代を迎えた今、米軍は今後ビッグデータ、先進的な通信技術、無人機を駆使し、敵対勢力の指揮官だけを殺害する戦略を取る可能性が高いとの見解を示した」

     

    中国のネットユーザーは、今回の事件を歓迎しているという。独裁者が戦争を始める前に、米軍がピンポイントで戦争指揮官を排除してくれれば、戦争を未然に防ぎ、それだけ犠牲者が減るという理屈だ。

     


    (2)「また、「ソレイマニ司令官殺害は暗殺か」と題する別の記事は米政府の殺害計画に理解を示した。記事では、ソレイマニ氏と指揮下のコッズ部隊はこれまで、イラク駐留米軍の兵士約600人を殺害したことを挙げた。また、2007年、国連がソレイマニ司令官を制裁対象リストに追加したことにも言及した。中国のネット検閲当局は記事と読者コメントを削除した」

     

    ソレイマニ氏と指揮下のコッズ部隊はこれまで、イラク駐留米軍の兵士約600人を殺害したことを上げた。これは、米国が「ピンポイント作戦」の正当性を主張する理由ともなっている。米国は、大軍を率いて攻撃すれば、味方にも大きな被害を出す。そういう戦争を考えれば、「ピンポイント作戦」の意義もあろう。

     

    (3)「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は10日、ソレイマニ司令官の殺害で、中国最高指導部に衝撃が走ったと報道した。報道によると、ソレイマニ司令官の死を受け、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長とロシアのプーチン大統領は「非常に驚いた」が、中国当局の情報筋は「中国の指導者も例外ではない」と話した。今回の出来事はイラン現政権を支援する中国当局に「警鐘を鳴らした」という。RFIによれば、中国共産党中央政治局の常務委員7人と王岐山・国家副主席は、米政府の発表直後に顧問や分析官などを集め、緊急に秘密会議を開いた。同報道は情報筋の話として、中国指導者らが米政府に暗殺される「可能性はゼロに近い」が、指導者らは「標的暗殺」を防ぐために、「過去最高レベル」の警護体制を整えたとした」

     

    米国が、今回の「ピンポイント作戦」を行なうには、国際法という大きな壁がある。それを、クリアできない場合は、世界的な批判を浴びるだろう。北朝鮮の金正恩氏はどうか。いずれは、そういう作戦の対象者になりうる条件を揃えていることは疑いない。人民弾圧のほか、核開発で周辺国を翻弄している「罪」は計り知れないからだ。

     

    中国最高指導部が、秘密会議を開いたということは興味深い。新疆ウイグル自治区で100万人を強制収容して、人権弾圧を行なっている国家だ。人権弾圧の命令を出している者は、それなりの責任を負うべきである。


    a0960_006642_m

    米国がこれまで、イランへの軍事攻撃を躊躇してきたのは、イランによる本格的な反撃の恐れからだと指摘されている。ところが、トランプ大統領は最小の被害で、最大の効果を狙って「ピンポイント作戦」を敢行した。歴代米国大統領が出来なかったことをやったことに軍事専門家は驚きの声を上げている。中には、絶対にイラン報復があるという指摘もあるほど。

     

    現状では、その動きはなさそうだ。イラン革命防衛隊による旅客機誤射による墜落事故で、国民のイラク政府批判が高まるという思わぬ方向へ事態が動いているからだ。こうなると、米国の「ピンポイント作戦」は将来、再び行なわれることはあるのか。中国が、いち早く最高指導部7人と王岐山国家副主席で秘密会議を開いたという。

     

    『大紀元』(1月15日付)は、「米のソレイマニ司令官殺害、中国最高指導部に衝撃か、警護体制を強化との報道」と題する記事を掲載した。

     

    米軍によるイラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官の殺害について、中国のネットユーザーから支持の声が上がった。この出来事は中国最高指導部に衝撃を与え、直ちに護衛体制を強化したとフランス国営ラジオRFIが報じた。

     

    (1)「ネットユーザーの多くは、米政府のソレイマニ司令官に対する「斬首行動」は、ピンポインドで正確に特定の人物を狙えるため、「一般人が犠牲になる大規模な戦争が避けられた」と歓迎した。一部のネットユーザーは、米政府の今回の殺害行動について、「指導者を先に(あの世に)行かせるモデル」と命名し、「世界の人々の幸せのために、これからも全体主義国家の独裁者を『先に行かせる』べきだ」とのコメントを書き込んだ。ネットユーザーが中国版ツイッター「微博」に掲載した分析記事では、人工知能(AI)の時代を迎えた今、米軍は今後ビッグデータ、先進的な通信技術、無人機を駆使し、敵対勢力の指揮官だけを殺害する戦略を取る可能性が高いとの見解を示した」

     

    中国のネットユーザーは、今回の事件を歓迎しているという。独裁者が戦争を始める前に、米軍がピンポイントで戦争指揮官を排除してくれれば、戦争を未然に防ぎ、それだけ犠牲者が減るという理屈だ。

     

    (2)「また、「ソレイマニ司令官殺害は暗殺か」と題する別の記事は米政府の殺害計画に理解を示した。記事では、ソレイマニ氏と指揮下のコッズ部隊はこれまで、イラク駐留米軍の兵士約600人を殺害したことを挙げた。また、2007年、国連がソレイマニ司令官を制裁対象リストに追加したことにも言及した。中国のネット検閲当局は記事と読者コメントを削除した」

     

    ソレイマニ氏と指揮下のコッズ部隊はこれまで、イラク駐留米軍の兵士約600人を殺害したことを上げた。これは、米国が「ピンポイント作戦」の正当性を主張する理由ともなっている。米国は、大軍を率いて攻撃すれば、味方にも大きな被害を出す。そういう戦争を考えれば、「ピンポイント作戦」の意義もあろう。

     

    (3)「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は10日、ソレイマニ司令官の殺害で、中国最高指導部に衝撃が走ったと報道した。報道によると、ソレイマニ司令官の死を受け、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長とロシアのプーチン大統領は「非常に驚いた」が、中国当局の情報筋は「中国の指導者も例外ではない」と話した。今回の出来事はイラン現政権を支援する中国当局に「警鐘を鳴らした」という。RFIによれば、中国共産党中央政治局の常務委員7人と王岐山・国家副主席は、米政府の発表直後に顧問や分析官などを集め、緊急に秘密会議を開いた。同報道は情報筋の話として、中国指導者らが米政府に暗殺される「可能性はゼロに近い」が、指導者らは「標的暗殺」を防ぐために、「過去最高レベル」の警護体制を整えたとした」

     

    米国が、今回の「ピンポイント作戦」を行なうには、国際法という大きな壁がある。それを、クリアできない場合は、世界的な批判を浴びるだろう。北朝鮮の金正恩氏はどうか。いずれは、そういう作戦の対象者になりうる条件を揃えていることは疑いない。人民弾圧のほか、核開発で周辺国を翻弄している「罪」は計り知れないからだ。

     

    中国最高指導部が、秘密会議を開いたということは興味深い。新疆ウイグル自治区で100万人を強制収容して、人権弾圧を行なっている国家だ。人権弾圧の命令を出している者は、それなりの責任を負うべきである。

    a0005_000144_m
       

    中国にとって「核心的利益」である台湾総統選で、習近平国家主席は親中派候補者の大敗を喫した。香港では民主派が、区議会選挙で大勝し「親中派候補」が少数派に追いやられた。この二つの動きは、習近平氏の強硬策がいずれも失敗したことを意味する。

     

    識者によれば、つい最近のイランにおける「政府批判」と絡めて、「トランプ外交の勝利」という見方さえ出ている。反民主主義国に対して、トランプ米大統領が、毅然として対応していることが、人権弾圧が顕著な中国やイランで、反対勢力が息を吹き返してきたというのである。

     

    イラン問題は別としても、香港と台湾が中国からの圧迫を跳ね返えした裏には、米国が強力な後ろ盾という事実がある。米中貿易戦争によって、米国は中国の主張する「核心的利益」に配慮する気配は全くなくなっている。むしろ、中国への圧力手段に使っている。これまでの中国であれば、「強力な不満を表明する」と抗議したものだが、今やその声も小さくなっている。米中貿易戦争により、中国経済がガタガタになっている結果である。米国に対抗する前に、中国経済の信用崩壊が始まる懸念が強まっているほどだ。

     

    『大紀元』(1月14日付)は、「蔡英文氏が大勝、中国の台湾政策に変化もたらすのか」と題する記事を掲載した。

     

    111日に行われた台湾総統選では、与党・民進党の蔡英文総統は、817万票と過去最多得票で再選を果たした。対中融和路線の最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長の552万票を大幅に上回り圧勝した。専門家は、中国当局が今後、台湾政策を変更するのか注目している。

     

    (1)「ポンペオ米国務長官は12日に声明を発表し、蔡英文総統の再選について「強固な民主主義制度の力強さを再び示した」などと祝意を表明した。これを受けて、英国、日本、オーストラリアを含む60の国の政府や団体が相次いで、蔡総統に祝意を表した。今回の総統選では、世界各国13の訪問団、107人の外国人学者が台湾を視察に訪れ、台湾総統選に対する国際社会の関心の高さが示された」

     

    世界各国13の訪問団、107人の外国人学者が台湾視察した。また、英国、日本、オーストラリアを含む60の国の政府や団体が相次いで、蔡総統に祝意を表したという。この事実は、きわめて重い意味を持つ。台湾が米国の強い支援を受け、中国が経済的に左前になっている現実を如実に表わしている。中国が強要する「一つの中国論」に縛られことなく、台湾へメッセージを送れるという国際情勢の変化である。

     

    (2)「蔡英文総統が総統選で史上過去最多の817万票を獲得したことは、中国当局の台湾政策および台湾への介入が完全に失敗したことを意味する。台湾市民が、中国当局が唱える「一国二制度」に対してノーと明確に否定した。今後、中国当局が政策の方向性を修正するのかに関心が高まっている」

     

    蔡氏が817万票を得たことは、中国に対して無言の抵抗力になる。台湾有権者が圧倒的な支持を与えたことになるからだ。習氏の台湾威嚇は無視されたのだ。

     


    (3)「ドイツメディア『ドイチェベレ』中国語版112日付によると、米スタンフォード大学の台湾問題専門家、カーリス・テンプルマン氏は、中国当局が台湾への圧力を緩めて「将来4年間、蔡英文氏のことを放って置く」可能性があるとの見方を示した。理由は、中国当局は蔡英文氏が総統選で勝利したことよりも、副総裁に選出された民進党の重鎮である賴清徳氏を最も警戒しているからだという。賴氏は蔡英文氏と比べて、中国当局に対してさらに強硬姿勢を示している。「2024年の総統選では、賴氏は有力な総統候補者である」

     

    「一国二制度」を否定する蔡氏が、圧倒的多数で再選された。この結果、中国は台湾へ圧力を掛けにくくなった。中国は、台湾に干渉しても恥をかくだけである。中台は、静かなにらみ合いが続くと見られる。中国に軍事行動を取りにくくさせるであろう。

     

    『日本経済新聞 電子版』(1月15日付)は、「台湾総統選で熾烈な国際謀略戦、『親中』消す米中激突」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙の編集員の中沢克二氏である。

    (4)「『(中国)共産党に近付き過ぎると国民党は大敗の道を歩む。反省しなければならない。4年後の総統選も勝てない見通しになれば崩壊さえありうる。既に台湾政界には『親中国』の市場はなくなってしまった』。これは長年、国民党を支持してきた有力経済人の指摘である。惨敗した国民党では既に党内政局が始まっている。党主席が辞任の意向を表明した今、カギは現職の高雄市長でもある韓国瑜の動静だ。敗戦の弁では選挙戦の攻撃性から一転し、言い訳を一切しなかった。爽やかな印象を残したことで本拠地、高雄で市民からの市長罷免要求をかわせるかどうか。彼は今後、数カ月は高雄市長の地位を守る戦いを強いられる」

     

    国民党は、中国へ接近しすぎて住民の支持を失った。今回の総統選では、海外へ出ている留学生や社会人が、自弁で帰国して「民主主義を守る」ための一票を投じた。一度、自由主義と民主主義の恩恵を受けた者が、率先して民主主義を守るために立ち上がったのだ。中国の誤算は、草の根民主主義の威力を知らなかったことである。


    このページのトップヘ