勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    中国は随分、子どもじみたことを始めたものだ。米国は外来種に対して厳しいチェックをしている国である。そこへ、中国が悪意ある「種」を送っても、必ず弾き飛ばされることを知らなかったのだ。なんと、とんまなことを始めたものだと「笑いの種」だ。

     

    『大紀元』(7月29日付)は、「米農務当局が警告『中国からのあやしい種』侵略種や病原菌、虫害の恐れ」と題する記事を掲載した。

     

    最近、米国のいくつかの州の住民の多くが、中国産と疑われる不審な種子の入った小包を受け取った。 農務局の関係者は、これらの外来種は農業、環境、生態学的安全性を損なう可能性があり、受取人は処分のために種子を返送するか廃棄するなどして、許可なく植えないように警告した。

     

    (1)「こ12週間で、バージニア州、ユタ州、ルイジアナ州、テキサス州の住民が、自宅の郵便受けに不審な種のパッケージを受け取ったと通報している。 住民たちは種子を通販で購入していない。ほとんどの小包の説明書きには、「イヤリング」「宝石類」で、中国語が印刷されている。「中国郵政」と書かれているものもあることから、中国から送られてきた可能性が高いという」

     

    中国からの迷惑な「プレゼント」である。「イヤリング」「宝石類」の説明書で、中身が「種」であれば、誰でも疑うはず。幼稚な犯罪だ。

     

    (2)「各州の住民が受け取った種子には様々な形や大きさのものがあり、農務省の担当者によると、どのような植物の種かはまだわかっていない。ワシントンD.C.の郊外に位置するバージニア州は、住民が不審な種を受け取った最初の州の一つ。 バージニア州農業消費者サービス局はこのほど、「バージニア州の住民が、中国産と思われる種子が入った小包を受け取った」との声明を発表した」

     

    保守的な米国人農家にとって、「中国嫌い」は普通である。その中国から得体の知れないものが届いて、「ありがとう」と蒔くはずがない。幼稚な振る舞いだ。これで、ますます「中国嫌い」が増えるだろう。

     

    (3)「バージニア州農業・消費者サービス局広報担当マイケル・ウォレス氏はボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対して、不明の場所からの種子は未知の植物であり、「侵略的な植物種が送られてきた可能性がある」と語った。「外来種は環境にダメージを与え、在来種の植物や昆虫を排除したり破壊したりして、農作物にも深刻な被害を与える可能性がある」とウォレス氏は付け加えた。侵略的な種の侵入を防ぐため、パッケージを開けず、植えたりせず、最寄りの州農業部に連絡するよう通知している」

     

    不明の場所からの種子は未知の植物であり、在来種の植物や昆虫を排除したり破壊したりして、農作物にも深刻な被害を与える。これは、米国農家の常識である。

     

    (4)「アイオワ州中西部の歴史的な大豆農家デイビッド・ミラー氏は、VOAの取材に応じた。「通関を経ていない不審な種子を受け取った場合、地元の農務省事務所か、最寄りの動植物安全・害虫駆除担当官に連絡するべきだ」と語った。「何の植物なのか、誰が送ってきたのか、種には病気や虫が含まれているかもしれない」と付け加えた」

     

    米国は、世界有数の穀物生産国である。通関を経ていない不審な種子を喜んで蒔くほど愚かではあるまい。

     

    (5)「米国では種子の輸入が厳しく規制されており、米国農務省の動植物保護検疫機関(APHIS)が植物や種子の輸入を規制している。 APHISのスポークスマンであるセシリア・セカイラ氏は、米国農務省が米国税関国境警備局や州の農業部門と協力して、各州の住民が受け取った種の出所や、種類の不明な種子の流通などを調査しているとメディアに語った。英メディアは最近、数百人のイギリスの庭師もまた、起源不明の中国の種子の小包を受け取ったと報じた。台湾でも最近、中国上海から混合培養土の小包を受け取ったと現地メディアが伝えている。台湾の国防検査局は28日、その小包を処分したと発表した

     

    中国からの犯罪行為は、英国や台湾にも向けられている。

     


    (6)「中国外交部の汪文斌報道官は28日、一連の米国に到着した「中国郵政」の小包に関する報道について、中国側の関与を否定した。報道官は、中国郵政部に確認したところ、郵便物に使用された素材は偽装されたもので、レイアウトや情報には誤りが多いという。また、中国郵政部は、米国郵政公社に連絡して、中国側で調査を行うために疑わしい郵便物を中国に返送するよう要請している」

     

    中国外交部は、本格調査をすると言うが、本当だろうか。ウヤムヤにして終わりだろう。期待はできまい。新型コロナウイルスも曖昧にしたままだ。

     

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    天災の「デパート」の感すらある中国だ。大洪水・大干ばつ・バッタ・イナゴと食糧危機を招きそうな天災が続出している。

     

    『大紀元』(7月29日付)は、「食糧危機発生か? 中国当局、各省に食糧増産を命令、大豆など輸入増」と題する記事を掲載した。

     

    中国当局はこのほど、食糧不足を回避するために、各省に「食糧の生産を減らしてはいけない」と指示した。中南部での深刻な豪雨被害、東北部でのバッタ発生や干ばつなどが続いているため、当局の方針は食糧危機の発生を意味するとの見方が広がった。

     

    (1)「胡春華・副首相は727日、国内の食糧生産に関する会議で、「食糧の播種面積と生産量を増やさなければならない。減らしてはならない。国の食糧安全問題にいかなる手違いも許されない」と厳しい語気で述べた。中国の一部のメディアは最近、休耕地を復活させ、各地のコメ生産が増加し、雇用機会を増やしたと宣伝している。一方、中国メディア「中国経済網」728日付では、中国の鉄道部(省)は食糧を迅速に輸送する「緑色通路(グリーンゲート)」の設置を検討している」

     

    中国が、食糧増産命令を発した。食糧基地の東北部が天災に遭って、供給不足が明らかになってきたからだ。

     


    (2)「報道は、「鉄道部門は、国の『北糧南運(北部の食糧を南部に輸送する)』戦略を実行するために、食糧管理部門、物資備蓄部門と協力している」とした。習近平国家主席が22日、食糧の主要生産地である東北部吉林省を視察した。その際、習氏は「吉林省は、食糧安全保障政策を最優先課題にすべきだ」「戦争の際、東北部は非常に重要だ」などと発言した」

     

    習近平氏が、大胆発言をした。「戦争の際、東北部は非常に重要だ」というのだ。こういう不規則発言は慎むべきだが、習氏の頭には大規模戦争を想定しているようだ。米中戦争が始まれば、中国への輸出入貨物は海上ですべてストップされる。中国は、日干しにされる運命だ。

     

    (3)「今年、吉林省は干ばつに見舞われている。官製メディアの「中国新聞網」724日付は、61日~722日までの同省の平均降水量は平年と比べ3割減ったと伝えた。特に7818日まで、同省の「平均降水量はわずか3ミリで、平年と比べて9割も減少した」。吉林省水利庁の727日のデータによれば、21日以降、省内では有効な降水はなかった。2126日までの降水量は平年と比べて98.3%減少したという。吉林省吉林市は6月、市内でバッタが発生した。また、728日、吉林省西部で農作物の天敵である外来種植物、トマトダマシが大規模に発生したと報じられた」

     

    吉林省は、大干ばつである。降雨量が激減である。これでは、小麦が不作であろう。

     


    (4)「中国ネット上では、中国国内で食糧危機がすでに発生し、当局が食糧の備蓄を急いでいるとの見方をする市民が多い。中国当局は最近、大豆やトウモロコシの輸入を増やしている。中国税関当局が26日に公表した統計では、6月にブラジルから大豆1051万トンを輸入した。5月と比べて18.6%増で、前年同月比では91%増となった。また、米農務省(USDA)が毎週公開する統計によれば、7916日までの1週間で、中国向けのトウモロコシ輸出量(196.7万トン)は、週間統計として過去最高となった。中国は同週、米国から169.6万トンの大豆を購入した。20193月以来の高水準となった」

     

    中国が、海外からの食糧輸入を増やしている。「天敵」の米国からも輸入量をふやしている。この状態で、中国は米国と全面戦争できるはずがない。

     

    『ブルームバーグ』(7月27日付)は、「中国が警告、長江の氾濫は一段と悪化する恐れ-洪水第3波で」と題する記事を掲載した。

     

    中国水利省は長江の上流部で第3波となる洪水が発生し、すでに数百万人が避難している長江の氾濫が悪化する可能性があると警告している。同省は26日午後の声明で、状況は「厳しく」、「これから新たなピークとなりそうだ」と説明した。

     

    (5)「三峡ダムに流れ込む水量は28日ごろまでに毎秒6万立方メートルに増加するとみられている。三峡ダムの水位は27日時点で159.46メートルと、約1週間前の164.18メートルから低下。水位の上限は175メートルだ」

     

    三峡ダム決壊説が根強い中、長江の上流部で第3波となる洪水が発生した。これは、極めて悪材料である。三峡ダムの水位上限は175メートルである。27日時点で159.46メートルの水位だ。洪水第3波の到来であれば、予断を許さないだろう。

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    大言壮語するものではないという見本が、中国主導で設立したAIIB(アジアインフラ投資銀行)である。中国経済が、絶頂期を過ぎた2016年1月に発足した。当初は、日米主導で設立したADB(アジア開発銀行)を追い抜くという思惑で、日米に内証で設立計画を進めていた。それが、中国経済の乱調とともに先行きの自信をなくし、日米の参加を必死で求める姿に変わったのだ。

     

    日米は、最後までAIIBに出資せず「孤塁」を守った。金融が素人の中国とパートナーシップを組んでも、成果は上がるまいという見通しからだった。案の上、中国の経常黒字は先細りから赤字に転落する見通しが濃くなっている。中国が、いつまでAIIBを支えられるか疑問なのだ。

     

    『日本経済新聞 電子版』(7月28日付)は、「AIIB、金総裁続投を決定、投融資は伸び悩み」と題する記事を掲載した。

     

    中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は28日夜、金立群総裁の2期目の続投を決めた。手堅い運営が評価されたが、開業4年半で投融資額は約200億ドル(約2兆1000億円)と当初想定の半分以下にとどまった。今後、中国の強硬な外交姿勢に反発が強まることも懸念材料だ。

     

    (1)「7月28日夜にオンラインで開いた総会に出席した中国の習近平国家主席は「AIIB(の運営)は国際性、規範性、高水準を堅持し、良いスタートを切った」と語った。金氏の新たな任期は2021年1月から5年間となる。総会では「国際金融機関の一員となり『成功』と広く認識されている」と述べた。AIIBは16年1月に開業した。中国が最大の3割を出資し、増資など重要な案件で拒否権をにぎる」

     

    AIIB設立目的は、中国の世界における金融支配力をつけることであった。それは、中国の経常黒字が増え続けるという前提あってのこと。持てあますほどの貯蓄を背景に、世界経済を支配するという夢が突き動かしたのである。中国は、AIIB設立を考えた2013~15年が、経常黒字のピークであった。その後は、急速な減少過程に入っている。AIIBは、設立すべきでなかったのだ。

     


    (2)「加盟国・地域は承認ベースで102あり、日米が主導するアジア開発銀行(ADB)の68を上回る。習氏は「AIIBの良い仲間はますます増え、協力の質もどんどん高まっている」と述べた。南米やアフリカなど域外加盟国が全体の半分超の52もあり、ADBの19より多いためだ。主要7カ国(G7)で米国と日本だけが参加していない」

     

    AIIBの出資国がADBよりも多いのは、中国の宣伝攻勢が凄かったからだ。AIIBに出資すれば、すぐにでも見返りが得られるような誇大宣伝をした結果だ。EUでは当初、各国とも出資に慎重であった。だが、英国の出し抜けの出資決定で、EUは一斉に参加へと舵を切ったのである。こういう中で、日米はAIIBに出資せず、中国へなびかなかった。正しい選択であった。

     

    (3)「当初はADBや世界銀行がまとめた融資案件に参加する協調融資が主体だったが、自前で案件を発掘、審査する単独融資が増えた。金額では単独融資が全体に占める比率は16年の25%から20年は84%まで上昇した。課題は伸び悩む投融資だ。案件承認ベースで開業後の4年半で87件、196億ドル。金氏は開業直前に「当初5~6年間の融資額は年100億~150億ドル」と語ったが、想定の半分以下だ。融資の実行額はさらに少ない。16~19年にAIIBは計120億ドルの融資を承認したが、19年末の貸出残高は22億ドルにとどまった。200億ドルもの自己資本の10分の1しか利用しておらず「課題は案件発掘の加速や貸出額の増加を通じ、出資金を着実かつ効率よく運用すること」(日本の国際通貨研究所)」

     

    AIIBが現在、臆病なほど融資に慎重である。融資案件の承認ペース自体、スローである。融資実行となると、さらに慎重を期しており、「石橋を叩いても渡らない」のだ。中国の経常黒字が急速に減っており、2025年以降の赤字予想が出始めていることの影響である。「融資しない銀行」へ変貌したのだ。

     

    (4)「中国との外交関係が悪化する国が多いのは今後の懸念材料となる。インド向け融資は全体の2割にあたる43億ドルと国・地域別で首位だが、中印は今年6月に国境地帯で衝突し45年ぶりに死者を出した。インド側は中国製アプリの使用を禁止するなど経済での対中制裁を強める。中国主導のAIIBが今後もインドに積極融資するかどうかは不透明感がある」

     

    AIIB設立後、中国はインドを取り込む目的で積極的な対インド融資を行なったはずである。それが最近、ヒマラヤ山中で中印両軍が衝突する事態になった。インドは、これを機に「反中」を鮮明にしている。この辺りに、中国外交の一貫性のなさが暴露されている。経済外交と軍事戦略がバラバラに動いているのだ。それだけ、中国最高指導部におけるAIIBの位置づけが低くなっていることを示している。中国が、かつて見せたAIIBへの情熱は、とっくに下がっているに違いない。

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    米国は、超党派で中国の見せる戦闘的な行動に危機感を抱いている。このまま放置すれば、かつてのドイツのような隣接国侵略を始めるに相違ない。ここで米国は、中国に対して断固として「警告」を発すべきであるという姿勢に変わった。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月29日付)は、「米の対中強硬姿勢、選挙対策にあらず」と題する社説を掲載した。

     

    (1)「中国ウオッチャーたちは、新型コロナウイルスの流行後に中国が攻撃的になった理由について、自国がより強力になったと感じているからなのか、あるいは習近平国家主席の立場が脆弱となっているからなのかについて議論している。いずれにしても、習氏のこのところの行動により、さらに多くの国が世界秩序にとって中国が脅威であるとする米国の立場に賛同しつつある。そして米国は中国に対抗する上で同盟国を必要としている」

     

    中国が、新型コロナウイルス後に対外的に強硬路線を歩んでいるのは、国内経済が疲弊している結果、高まる不満を外に向ける狙いであろう。コロナワクチン開発で、米国へのスパイ活動を積極化させたのも、米国の研究成果を横取りして中国の業績にして、急場を凌ごうという目的だ。ともかく、中国経済は危機に立たされている。

     

    (2)「西側諸国は、中国の行動をコントロールできないが、権力の乱用に対してコストを負わせることは可能だ。それが、在ヒューストン中国総領事館の閉鎖要求や先週の南シナ海での中国の領有権主張への拒否表明など、米政権が行動で示そうとしていることである。また、中国市民と外国との接触を遮断して共産主義の秩序を維持するために設定されているインターネット上のファイアウォールを回避する試みに対し、米国は資金を供給すべきである」

     

    中国の対外強硬策には、その代償を払わせることが不可欠である。南シナ海不法占拠でも、これまで何らの代償を払わずに、濡れ手に粟で多くの島嶼を手中にしてきた。こういう不合理な行動は、絶対に阻止しなければならない。米国は今、こういう切羽詰まった決断を迫られている。

     


    (3)「衝突によるリスクは多大なものである。外交上および経済上の緊張が軍事的な対決につながることを望んでいる者はだれもいない。中国は権力の乱用によって悪い結果に直面することはないとの自信を深めてきた。だが今、それは変わりつつある。望むべくは、より強硬な対中政策を受け、中国政府の他のメンバーらが、習氏のアプローチを継続するのはあまりにも高くつくと認識することだ

     

    中国の民族派は、習近平氏を焚きつけて多くの軍事行動を取らせてきた。ほとんど、「無コスト」で領土を拡張してきたが、それも限界を迎えたということだ。それは、米国が南シナ海で中国に屈しないというメッセージを送ったことに現れている。

     

    『大紀元』(7月28日付)は、「南シナ海、米中が軍事演習 米偵察機が福建省領海に接近」と題する記事を掲載した。

     

    米中関係が一段と悪化する中、南シナ海をめぐって米中の軍事的緊張も高まっている。中国軍は、7月25日から中国南部広東省の南西部にある雷州半島で実弾演習を実施している。一方、米軍は7月26日に4回も軍機を派遣し、中国の浙江省や福建省などの沿岸部に偵察した。米P-8A哨戒機は一時、中国領海基線まで41海里(約75.9キロ)のところに迫った。

     

    (4)「中国国営中央テレビ(CCTV)は26日、中国軍南部戦区に所属する海軍航空隊が南シナ海で実弾演習を行った映像を公開した。報道は、「演習では、軍機数十機を出動させ、ロケット弾や航空機関砲弾など数千枚を発射した」とした。また、CCTVは、7月25日から82日まで、中国軍は雷州半島の西部海域で実弾演習を行うと発表した」

     

    中国軍が、軍事演習を積極的に報道させている。国内向けに「強い中国」を演出する目的だ。

     


    (5)「一方、南シナ海における中国当局の軍事的脅威に対抗して、米軍は軍艦と軍機を同地域に派遣した。北京大学海洋研究院の研究調査機関、「南海戦略態勢感知計画(SCSPI)は26日、中国SNSの「微博」に投稿し、米偵察機などの動きを明らかにした。投稿は、「26日米軍の偵察機は東シナ海と南シナ海で飛行した。米軍のEP-3E電子偵察機が、広東省と福建省方面に向けて飛行し、一時台湾海峡の南部空域に入ったという。また、同時に米軍P-8A哨戒機が浙江省、福建省に向け飛行し、福建省の領海基線までわずか41.3海里のところまで接近した。最近の記録では最も近い距離だった」とした」

     

    米軍が、従来にない積極的な軍事展開を見せている。米軍のEP-3E電子偵察機が、広東省と福建省方面に向けて飛行させて情報収集に当っているからだ。中国としては気懸りであろう。米軍は、中国に対しても北朝鮮並みの警戒体制を取っていることに注意すべきだ。

     

     

     

     

     

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    中国は、朝鮮戦争で米軍と戦った経験しかない。中国は正規軍でなく義勇兵であった。朝鮮半島の複雑な地形を生かして、米軍と戦ったに過ぎないのだ。その意味で、米軍の「怖さ」を知らないであろう。日本は、米国と太平洋戦争で戦った経験を持つ。米軍は、前線指揮官に全幅の信頼を寄せた作戦計画で戦う。その作戦が失敗すれば、指揮官は交代の運命だ。極めて柔軟だ。日本軍の硬直した作戦体系と比べて、柔軟そのものであった。日本軍は、これに翻弄されたのである。

     

    中国軍は、南シナ海で不法占拠している島嶼群に対して、米軍の奇襲攻撃を警戒せざるを得ない立場に追い込まれている。米国務長官が、中国の南シナ海占拠は不法であると声明を発した以上、米軍はその是正措置を講じる法的な権利を宣言したのに等しいのである。中国としては、常設仲裁裁判所から「敗訴」を言い渡されている以上、法的な対抗措置は取れない状況に陥っている。

     

    『中央日報』(7月28日付)は、「中国の専門家の警告『米国、南シナ海の中国暗礁を爆破する可能性高い』」と題する記事を掲載した。

     

    米国がヒューストンの中国総領事館を閉鎖したのに続き、南シナ海で中国が領有権を主張する暗礁などを奇襲攻撃して爆破する可能性があるという警告が、中国の専門家の間で出ていると、中華圏インターネットメディア『多維新聞』が7月26日報じた。

    (1)「南シナ海は現在、米中が武力衝突する可能性が最も高いところに挙げられる。世界の海運物流量の4分の1が通過する要衝地だが、中国が20世紀初めに制作された地図1枚を根拠に水域の80%に対する領有権を主張し、ベトナムなど東南アジア諸国との間が摩擦が生じている。米国は、中国の南シナ海主権を認めず「航行の自由」作戦で中国と対立している。13日には中国たたきの先鋒に立つポンペオ米国務長官が「南シナ海の海洋権利に対する米国の立場」という声明を発表した」

     

    中国の南シナ海占拠は、米国が認めないだけでない。国際司法機関が、違法と断罪している。中国がこれに従わないのは、「逆徒」の立場である。米国から実力行使を受けても、抗議できる法的な立場にないのだ。



    (2)「米国務長官声明の骨子は、北京が主張する南シナ海の大部分の海上資源は「完全に不法」ということだ。ポンペオ長官は声明で「中国が恐喝と一方的な措置を通じて、東南アジア国家の南シナ海主権を破壊した」と非難した。続いて「米国は中国が統制している島嶼の12海里以外に対しては中国のいかなる海洋権利も認めないことを決めた」と述べた。米国の一部のメディアは今回の声名が南シナ海で米国が戦争できる権利を付与したものと解釈していると、多維新聞は伝えた」

     

    米国務長官声明が出た後、私も米国が軍事行動に出る「儀式」を行なったと解釈し、そのようにブログで書き込んでいる。米国は、こういう法的な手続きを踏んで、軍事行動に移るのがパターンである。

    (3)「北京大米国研究センターの王勇主任はポンペオ長官の声明について「米国が11月の大統領選挙の前に南シナ海で武力を使用する可能性を排除できない」と述べた。多維新聞は13日の声明が米国の南シナ海奇襲に対する法律的根拠を与えたものだと解釈した。ポンペオ長官は25日にはツイッターで「南シナ海は中国の海洋帝国でない」とコメントした。これを受け、米国が中国の総領事館を閉鎖したのに続き、次は中国のどこを狙うかを表したという評価が出ている」

     

    中国にとっての痛手は、常設仲裁裁判所から「100%敗訴」の判決を受けていることだ。国連常任理事国である中国が、国際司法機関からの判決を無視して、南シナ海で占拠を続ける訳にはいかないのだ。米国の一撃は不可避であろう。



    (4)「香港『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)は26日、米軍が南シナ海にほぼ毎日3-5機の偵察機を送るなど、南シナ海と中国の海岸に対する偵察飛行を記録的な水準に増やしていると報じた。多維新聞は中国の専門家らを引用し、米国の最初の奇襲打撃対象は現在、中国軍が駐留していないスカボロー礁(中国名・黄岩島)になる可能性が高いと報じた。その次のターゲットは中国で南沙諸島と呼ばれるスプラトリー諸島と予想した」

     

    米軍高官が2~3年前、南シナ海島嶼群の地盤が軟弱であることから、ミサイル一発撃ち込めばガタガタになると豪語していた。米軍が、南シナ海にほぼ毎日3~5機の偵察機を送っているのは、奇襲攻撃を掛ける準備を始めているとも読める

     

    (5)「中国が滑走路などを建設したファイアリー・クロス礁 (中国名・永署礁)とミスチーフ礁(中国名・美済礁)、スビ礁(中国名・渚碧礁)を攻撃した後、周辺暗礁をミサイルと大砲で破壊する可能性が高いということだ。最後には中国以外の国が支配を主張する暗礁などをB-52Hなど戦略爆撃機を動員して爆破し、南シナ海関連国の領有権主張紛争を解決するという手順だ。パラセル(西沙)諸島のウッディー島(永興島)などに戦闘機などを布陣した中国がどのように出てくるかがカギとなる」

     

    中国が不法行為を働いている以上、米軍が奇襲攻撃を掛けても、文句の言いようがあるまい。これが米国や、中国から被害を受けているアジア諸国の本音であろう。中国は、満州へ進出した「第二の日本」の立場へと追い込まれている。


    北京の外交筋は、米国がまず中国に南シナ海人工島に設置した施設の撤去を要求するはずであり、中国がこれを受け入れない場合は戦争を覚悟して武力を行使する手続きに入る可能性が高いと述べたという。これは甘えた見方であろう。米国務長官声明で、儀式は済んでいるのだ。

     

     

     

     

     

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