勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    ファーウェイは、世界スマホ市場で2位と日の出の勢いだった。だが、米国の半導体とソフトウエアの輸出禁止処分で、在庫の半導体が底をつく来年7月から12月がスマホ生産の終了時期となる。基幹部品を米国に依存してきただけに、米中対立の影響を全面的に受けることになった。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(9月14日付)は、「窮地のファーウェイ、アプリ開発継続を訴える」と題する記事を掲載した。

     

    中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は今年のアプリ開発者向けイベントでは苦しい立場に追い込まれた。長年同社のスマートフォン用にアプリを開発してきた数千の企業に開発を継続するよう呼びかけたが、そもそもファーウェイがいつまで端末を作り続けられるか、メドが立っていないのだ。

     

    (1)「同社は9月15日から米国製技術が関わった高性能半導体を購入できなくなったため、今在庫で持っている半導体を使い切った段階で現設計のスマホの生産はできなくなる。「ファーウェイは生産調整して製品の寿命を伸ばそうとするだろう。だが、来年の7~12月期には製品在庫が底をつき、国内、海外に向けて出荷できなくなるリスクがある」と米調査会社カナリスの莫佳アナリストはみる」

     

    ファーウェイの半導体在庫は、生産調整し在庫食いつぶし時期を先延ばしにしても、来年の7~12月期には製品在庫が底をつくという。そうなれば、「ジ・エンド」である。世界のファーウェイもあっけない終末を迎える。

     

    (2)「近年の好調さから一転し、今、同社の消費者向け事業は存亡の危機に立たされている。イベント会場にいたアプリの開発企業もファーウェイ社員も、来年、半導体の在庫がなくなったらどうやってスマホを作るのか見当がつかない様子だった。ファーウェイでアプリ開発企業を担当する役員のビンセント・ワン氏は、スマホ事業を今後どうしていくのか、というフィナンシャル・タイムズ紙の質問に対し「それは経営幹部に聞くべきことだ」と答えた」

     

    ファーウェイの消費者向け事業は、存亡の危機に立たされている。グローバル経済という土壌の上で咲いた花だった。米中デカップリングが現実化してきた現在、部品をつくれず組立てだけのファーウェイは、厳冬期を迎える。

     

    (3)「今後のファーウェイの事業存続の可能性について尋ねると、忠誠の姿勢を貫くパートナー企業も少なくはなかった。「来年ファーウェイが端末の売り上げを伸ばせなくても、ファーウェイにはすでに数億人もの端末ユーザーがいる」とあるパートナー企業の関係者は答えた。だが、ほとんどの企業は判断を保留し、「今は様子見だ」と話した。「ファーウェイの新製品も出たし、我々も今年は問題ない。だが、来年はわからない」とゲームのアプリ開発会社の役員は話した。ファーウェイの端末はすでに不足し始めている。同社の部品在庫を7000万台から1億台分と見積もっているが、これは20年上期の販売量より少ない。アナリストの莫佳氏によると工場や販売網との関係をつなぎ留めるためにあえて売り上げを減らし、生産期間を延長しようとしているという」

     

    半導体在庫は、7000万台から1億台程度と見積もられている。この在庫の食いつぶしをできるだけ先に延ばす工夫をしても限度はある。ファーウェイは、完全にホールドアップの段階だ。それにしても、米国の報復には凄まじいものがある。「カーボーイ精神」だ。やられたら、やり返す。「半沢直樹の倍返し」である。

     


    (4)「アプリ開発企業とファーウェイが運命共同体ということになれば、ファーウェイはHMS(注:ファーウェイ独自のアプリをまとめたプラットフォーム「ファーウェイ・モバイル・サービス(HMS)」)の推進で格段に有利になる。ファーウェイは「100%ファーウェイ製のプラットフォームを使えば、中国企業は米国の制裁に怯える必要はない」と懸命にパートナー企業に訴えている。だが、「中国のIT企業は今こそ繁栄著しいが、ソフトの基盤が特に脆弱であり、いつ力を失ってもおかしくない」とファーウェイの消費者向けソフト事業グループのワン・チェングル部長は説明した」

     

    下線のように中国のIT企業は、ソフトの基盤が脆弱である。いつ、失速しても不思議はないという。習氏は、中国経済の全貌を把握しないままに、米国へ「覇権戦争」を仕掛けてしまった。その軽率さが、中国経済を苦境に追い込むのだ。

     

     

     

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    中国の国産大型旅客機の引き渡しが遅れている。欧米サプライヤーが、部品供給を渋っているからだ。民間航空機でも、いつ軍用機に部品が転用されるか分らない状況だけに、欧米の政府が警戒感を強めている。

     

    中国の「国産」旅客機と言っても、事実上は欧米部品を組立て、機尾に中国「国旗」が入るだけという、厳しい批判の声が飛んでいる。基礎精密工業の歴史のない中国に、大型旅客機を製造できる能力はないのだ。宇宙ロケットが、米国半導体供給のストップで、発射事故が頻発している事情とよく似ている。

     

    『大紀元』(9月17日付)は、「中国初の国産旅客機C919、来年の就航が困難 専門家『米サプライヤーに強く依存』」と題する記事を掲載した。

     

    米国専門家はこのほど、中国初となる国産旅客機「C919」の2021年の就航が難しくなっていると指摘した。C919の飛行制御システム技術や部品などは、欧米各社、特に米企業に強く依存している。米政府などは、中国当局が欧米の航空技術を軍事転用する可能性が大きいとして、技術提供などについてさらに慎重な姿勢を示している。

     

    (1)「中国当局は当初の計画で、C919が2014年に初飛行をし、16年に納入を開始すると予定していた。実際のところ、初飛行は17年5月に実施された。また、当局は、納入を21年に延期した。C919は中国初の国産大型ジェット旅客機だ。米『ボイス・オフ・アメリカ』(VOA)9月14日付によると、航空リサーチ会社エンダウ・アナリティクス(の創業者、シュコア・ユソフ氏は、21年にC919の就航は難しいと指摘した。理由は、C919の生産は、欧州および米国企業による第三者サプライヤーに強く頼っているためである)

     

    初の国産大型旅客機C919は事実上、欧米サプライヤーの部品供給がなければ製造不可能な状態である。

     

    (2)「習近平指導部は2015年、製造強国を目指す国家戦略「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」を発表した。中では、航空機産業を10の重点分野の1つに位置付けた。当局は、C919を含む航空機国産化を通して、国内外に国力を誇示する狙いがある。中国紙『中国青年報』は今年6月、C919の国産化率が60%近くに達し、現在100%を目指していると報道した

     

    下線部は、全くのつくり話である。国産100%など、夢のまた夢である。

     


    (3)「米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の中国問題専門家、スコット・ケネディ氏はVOAに対して、中国航空機の完全な国産化について、不可能であるとの認識を示した。ケネディ氏は、「C919は名義上、中国の国産旅客機となっている。しかし、この旅客機が飛行するために使われている技術と設備はすべて欧米各社のものだ」と述べ、特にC919の製造を支えているサプライチェーンは米国のサプライチェーンであるとした」

     

    中国航空機の完全国産化は不可能と指摘されている。自動車のエンジンもまともに作れない精密工業の国が夢だけは大きいのだ。

     

    (4)「中国国有の中国商用飛機(COMAC)は、C919の前に、小型ジェット旅客機「ARJ21」を開発・製造した。ケネディ氏によると、C919ARJ21と同様に、エンジン、降着装置、タイヤなどの機器や部品は欧米各社から輸入し、中国国内で組み立てている。ARJ21の設計は、米航空機製造会社、マクドネル・ダグラス(現在ボーイング)が開発・製造した双発ジェット旅客機MD-80シリーズに基づいている」

     

    小型ジェット旅客機「ARJ21」の場合、設計から部品まですべて欧米企業が請け負っている。ただ、中国で組立てただけだ。この程度の実績である。

     


    (5)「ケネディ氏によれば、中国当局は2008~09年にC919の他の潜在的なサプライヤーを探し始めた。しかし、中国側が近年、民間企業の技術を活用して軍事力を強化する「軍民融合戦略」を推進しているため、欧米諸国の政府は、C919への技術提供が軍事転用される可能性があるとして、サプライヤーの各社に対して禁輸措置を検討している

     

    欧米諸国は、C919の技術が軍事転用される恐れがあることから、サプライヤーに対して禁輸措置を検討している。これが、現実化すれば永遠に「未完」となりかねない。

     

    (6)「米市場調査会社のティール・グループのリチャード・アブラフィア副社長は、「欧米企業が開発したエンジンと航空電子機器システムがなければ、中国は航空機を製造できない。中国の最大課題は飛行機を作ることではなく、エンジンと航空電子設備を開発・製造することだ。機尾に(中国の)国旗マークを貼り付けるだけでは無意味だ」と厳しく指摘した」

     

    中国は、飛行機をつくる前に部品を製造できる技術を磨くことだ。基礎技術のない中国が、欧米に背伸びして挑戦することの無益さを悟るべきなのだ。

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    中国は、宇宙ロケット発射に不可欠な高級半導体の入手が困難になっているためか、相次ぐロケット発射失敗に見舞われているという。「口は災いの元」で、習近平氏が世界覇権挑戦、米国打倒と口走ったお仕置きで、米国から高級半導体の輸出禁止処分を受けている結果だ。

     

    米中の軍拡競争は、宇宙空間に広がっている。中国は、米国から高級半導体の輸入が不可能になれば、この分野で大きく出遅れることが避けられない。

     

    『大紀元』(9月16日付)は、「中国、失敗相次ぐロケット発射、米国の半導体禁輸が原因か」と題する記事を掲載した。

     

    9月12日午後12分、中国北西部の酒泉衛星発射センターから「吉林1号」高分02C衛星を搭載した「快舟1号」ロケットが発射されたが、飛行中に不具合が生じ、失敗した。不調の原因を調査中。中国国営新華社が伝えた。8月26日、複数の中国メディアが報じたところによると、「吉林1号高分02C」衛星は、高解像度、広帯域、高速データ伝送などの新技術を取り入れ、自然資源調査、生態環境監視、都市建設、防災・減災などの分野で、ユーザーに高品質のテレメトリ(遠隔情報収集)サービスを提供できる機能を備えていたという。

     


    (1)「2015年より多数の衛星が打ち上げられた「吉林1号」衛星シリーズは、中国で独自に開発された初の商用リモートセンシング衛星システム。「吉林1号高分02」は、「02C」、「02D」と「02F」の3基の衛星から構成されており、9月中にはほかの2基の打ち上げが予定されている」。

     

    「吉林1号」高分02C衛星を搭載した「快舟1号」ロケットが事故を起こした。後、

    「02D」と「02F」の2基が9月中に発射予定である。だが、「02C」の事故を受けてどうするのか。

     

    (2)「今年に入って以来、中国当局の宇宙開発で用いるロケットや人工衛星の打ち上げ失敗が相次いでいる。

    7月10日、酒泉衛星発射センターで打ち上げられた「快舟11号」ロケット1号機は、機体の異常が発生したため打ち上げに失敗した。

    6月16日、中国版の衛星測位システム(GPS)「北斗3号」の最後の衛星を搭載した「長征3B」ロケットには技術的な問題が見つかったため、衛星の打ち上げが23日に延期された。

    5月5日、次世代宇宙船の試験機を搭載した「長征5B」ロケットが海南省の文昌航天ロケット発射場から打ち上げられたが、そのコアステージが大西洋上で再突入、破片が地上に落下したとみられていた。

    4月9日、西昌衛星発射センターで、インドネシアの通信衛星「PALAPA-N1」を搭載した「長征3号乙」ロケットが打ち上げてから数十秒後、爆発して落下した」

     

    今年4月から4回の発射に失敗している。原因は発表されていないが、米国製半導体の入手が困難になった結果なのかどうか。後のパラグラフでは、米国製半導体が入手できなかった事故と位置づけている。

     


    (3)「2008年に軌道に打ち上げられた、中国開発のベネズエラの人工衛星が3月24日、突然軌道から離脱し故障した。同衛星の設計寿命は15年だったが、寿命を迎える3年前に運用を停止した。長征7号ロケットは3月16日にも、海南文昌宇宙発射場から発射されたが、異常が発生し、失敗した」

     

    2008年に軌道に打ち上げられた、中国開発の人工衛星は15年寿命の設計であった。実際は寿命3年前に運用を停止した。長征7号ロケットは3月16日に打ち上げられたが失敗した。日本のロケット発射の精度は最近、「100発100中に近い成果を上げている。中国は、事故が頻発している点に不安を覚えるだろう。

     

    (4)「中国のロケット発射などで故障が頻発している理由について、台湾のシンクタンク、国家政策研究基金会の准研究員で軍事専門家の李正修氏は今年4月、米政府系『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)の取材に対し、「米中貿易戦が始まって以来、米政府が中国への半導体チップ輸出を規制し、中国の軍事分野に打撃を与えたため、中国のロケット打ち上げが頻繁に失敗するようになった」と述べた。

     

    ここでは、米国が中国への宇宙開発用の半導体チップ輸出を規制している結果と分析している。

     

    (5)「米政府は、「中国当局が最も頼りにしている米国製の半導体チップに禁輸措置を課した。これでは中国は自ら開発するか、日本や韓国など他国で作られた代替品を使うしかない。しかし、この分野においては、米国企業が最先端の技術を有している」という。李氏はまた、中国当局が米企業と同じ高水準のチップを開発するのは「現時点では難しい」とし、「ハイテク技術分野において、米国側が多くの重要技術を持っている。中国当局が米国を追い越すことは難しい」と話した」

     

    中国の技術水準では、とても米国並みの半導体を生産できない。中国は、宇宙開発で米国に大きく立遅れることになろう。

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    8月末、中国と国交のあるチェコが、上院議長を団長に99名の大型使節団を台湾へ送った。「一つの中国」によれば、台湾訪問がタブーである。だが、民主化闘争の輝かしい歴史を持つチェコ上院議長は、あえて無視し台湾を訪問したもの。

     

    中国王毅外相は、「代償を払わせてやる」と暴力団並の脅迫発言をして、フランスやドイツから手厳しい批判を浴びメンツ丸潰れになった。その「代償」が、中国国民のチェコ渡航警告とピアノ購入契約破棄(2500万円)という発表に過ぎなかった。チェコ側からは、「度量が狭い」と冷笑される始末。何の報復効果もないのだ。

     

    『大紀元』(9月15日付)は、「中国はチェコへ『渡航警告』で報復、効果は限定的」と題する記事を掲載した。

     

    中国はチェコのビストルチル上院議長率いるビジネスリーダーを含む99人の代表団が訪台したことについて、経済報復を行なうと発表した。同代表団に参加したチェコ企業の中国市場への参入が禁止され、またチェコの老舗ピアノメーカー「ペトロフ」の受注も取り消されりというもの。中国側は「チェコ渡航警告」措置で観光抑制を試みるが、中国国内では海外旅行が実質「中止」されているため、チェコ経済に対する効果はゼロ同然とみられる。

     

    (1)「中国文化観光部のウェブサイトは11日に、中国国民にしばらく「疫病が再拡大した」チェコへの旅行を慎むよう求めた「旅行安全通知」を発表した。現在のコロナウィルスのパンデミック時期においては、中国国内で人の移動が抑制されており、現実的な効果はないとみられる。各国は国際線の運休や人員出入りの制限など、様々な人員管理措置を行っている。中国人による海外旅行はほぼ「中止」状態になっている」

     

    武漢でコロナウイルスが発生して以来、チェコを含む27のEU加盟国が入国制限措置を採用している。ロイター通信によると、EUは6月30日、日本を含むEU以外の14カ国からの観光客の入国を承認したが、中国はEUと相互開放協定を締結していないため、このリストに含まれない。中国の チェコ「渡航警告」は無意味ということだ。

     

    (2)「ビストルチル上院議長らチェコ代表団が8月30日に台湾に到着し、当時ドイツを訪問中の中国の王毅外相は、同議長の訪台に反発して「重い代価を支払わせる」と報復を示唆した。この発言はすぐに欧米各国からの非難と強い反発を呼び起こした。EU議長国を務めるドイツのマース外相は、「脅しは不適切だ」と中国を批判し、チェコを支持する立場を表明した」

     

    人権意識の希薄な中国王毅外相は、ヨーロッパで大恥をかかされた。これが、田舎大名・中国の限界である。

     


    (3)「中国の党機関紙『チャイナ・デイリー』は、台湾を訪問したビストルチル上院議長らチェコ代表団のすべてのメンバーおよびチェコ企業は、今後中国市場への参入を許可しないと報じた。チェコ台湾商会の会長を務めるパベル・ディビシュ氏は、中国当局の報復は予想していたが、それがあまりにも「幼稚」で「明快」だということには驚いたと嘆いた。その後、北京は約2500万円相当のチェコの老舗ピアノメーカー「ペトロフ」社への発注を取り消した。しかし、同発注はすぐにチェコの億万長者カレル・コマレック氏によって引き継がれ、同氏は「チェコは自由な国だ、私はこれを重視している」と強調した」

     

    チェコ人は、人権意識で筋金入りである。人権意識ゼロの中国が脅迫しても驚くはずがない。逆に、軽蔑されているのだ。具体的な中国の報復は、2500万円相当のピアノ購入契約の破棄である。すぐに、肩代わりする億万長者が現れたという。

     

    (4)「チェコ籍の欧州連合執行委員会の副議長ヴェラ・ヨウロバー 氏は、チェコの国営テレビ局チェコ・テレビのインタビューで、「ビストルチル上院議長の台湾訪問は故クベラ前任議長の願いを叶えるためであり、私は彼が脅迫に屈しないことを知っていた。彼はチェコ人を勇敢に立ち上がらせた」と述べた。スロバキア籍の欧州議会議員レクマン氏は8月31日、世界中の70人近くの政治家が最近、「台湾との関係発展はすべての国の主権的権利であり、中国の同意は必要ない」とする共同声明に署名したことを明らかにした。同氏はまた「中国の脅しは容認できない。そしてそれは逆効果だ」と強調した」

     

    今回のチェコの台湾訪問団をきっかけに、「一つの中国」論が見直される方向が見えてきた。不合理な「縛り」は、自然に消えるもの。中国は苦境に立たされる。

     

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    毛沢東は、新中国建国と同時に少数民族の内モンゴル・新疆ウイグル・チベットへ人民解放軍を送って、有無を言わせず「中国領」に編入してしまった。以来、これら3民族は中国と内紛を起こす関係になっている。ただ、内モンゴル指導部は中国との一体化を望んでいたという面で、新疆ウイグル・チベットとは「抵抗姿勢」が異なっている。

     

    習近平氏は、学校教育で内モンゴル語の使用を禁止する強硬手段に出ている。内モンゴル語や文化を抹消という「犯罪」に手を染めているのだ。なぜ、ここまで立ち入ったことを始めているのか。将来、前記の少数民族が「独立運動」を始める危険性を言語・文化面から断ち切っておきたいという狙いがあろう。中国の国力が落ちれば、「独立運動」が起こるはずだ。これは、歴史における被征服民族の共通したパターンである。中国も、そういうリスクから無縁でないという悩みを抱えている。この点は、重要である。

     

    『大紀元』(9月14日付)は、「モンゴル当局、言語政策に従わない公務員を処罰」と題する記事を掲載した。

     

    中国内モンゴル共産党政府は、小中学校でのモンゴル語の授業を段階的に廃止し、北京語に置き換える計画を実行している。内モンゴル地区では抗議運動が起きており、学校に通わせることをやめた親もいる。大紀元が入手した文書によると、当局はモンゴル語廃止措置に従わない教師や政府職員を罰している。

     


    (1)「8月下旬から、内モンゴル自治区の教育局は小中学校の授業を標準中国語で行い、中国語の教科書を使用するとの新しい規則を発表した。同自治区には多くのモンゴル人が居住しており、漢族の大多数とは異なる言語と文化を持つ。地元メディアの報道によると、共産党の言語政策に反対したために複数の公務員が停職処分となった。内モンゴル自治区の別の文書には、共産党党員および政府幹部が、言語政策に従わない場合「批判と指導、警告、除名」と記されている」

     

    モンゴル語の禁止は、中国共産党の暴力的な本質を物語っている。北京オリンピックでは、中国が多民族国家であることを自慢したが、現在はこれを抹殺する逆のことを始めている。社会的な混乱の増加とともに少数民族の蜂起を恐れる心境になっているのだろう。

     

    (2)「91日から、バヤル・トウフシュオ町の共産党委員会は上層部の指示に従い、公務員と党幹部の子どもたちの就学状況と出席状況に関する情報を収集している。別の文書によると、町は8月25日以降、地元の抗議行動に党員が参加したかどうかを調査している。内モンゴル自治区の住民はソーシャルメディアへの投稿で、共産党の圧力にもかかわらず、内モンゴル自治区の多くの地域では、まだ学校をボイコットしたままの生徒がいる。投稿によると、毎週月曜日に中国全土の小中高校で行われる党旗掲揚式に出席する生徒が減ったという」

     

    モンゴル人の共産党員は、複雑であろう。民族の象徴であるモンゴル語が教育現場から消えることに耐えられるはずがない。抵抗して当然だ。だが、日韓併合時代も当初は朝鮮語教育を認めていた。それが、終戦の2~3年前に朝鮮語教育を止めたもの。今からざっと80年前に戻ったように、モンゴル語教育禁止は時代の潮流に反したことである。

     


    (3)「米メディア『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)は、数百人のモンゴル人が、政府の語学教育の方針に従うことを拒否したために逮捕されたり、公職を辞任するよう圧力をかけられたりしたと報じた。地元メディアによると、94日、内モンゴル自治区アルシャ・リーグ事務局に勤めるモンゴル人の女性職員は自宅の建物から転落し、死亡した。家族とみられるネットユーザーの書き込みによると、「妻が新政策について当局と意見が合わず、上層部からの圧力に耐えられず自殺した」と」

     

    中国共産党の行っていることは、「帝国主義」である。民族の誇りを抹殺しているからだ。こういう強引な「同化政策」を強行しているのは、世界覇権を狙うという野望の一環であろうか。空恐ろしいことを始めたものである。

     

    『大紀元』(9月15日付)は、「米メディア、習近平は父の政策に反し内モンゴルでの中国語教育強化」と題する記事を掲載した。

     

    中国当局が内モンゴル自治区で中国語教育を強化していることについて、米メディアは習近平氏が推し進めている同政策は、習氏の父親である習仲勛氏が主導した民族政策に完全に反していると指摘した。

     

    米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)は9月11日、内モンゴルで9月1日から導入された中国語強化教育政策は、習近平氏自身の指示に基づいていると指摘した。さらに「皮肉なことに、この政策は、同氏の父親である習仲勛が主導する民族政策に反するものである」と述べた。「主に少数民族の学生が通う学校は、少数民族が使用する言語を教育に使用できる」という1980年代半ばの中国の『教育法』の起草および制定を主導した人は、習近平氏の父親である習仲勛氏だった。

     

    (4)「この政策は中国憲法にも違反している。「中国のすべての民族は平等であり、自民族の言語 ・文化を維持する権利がある」と憲法によって保障されている。現地では今も住民による抗議活動が続いている。抗議が激化するにつれ、中国政府は厳しい取り締まりを展開した。報告によると、何百人ものモンゴル人が当局に協力しないがために逮捕、または公職追放の処分を受けているという。米国を拠点とする人権団体「南モンゴル人権情報センター」によってアップロードされた動画によると、中国語教育に反対する「1万6000件以上の請願書」と「2600通の学生たちの手書き反対書簡」が提出されたという」

     

    モンゴル語の教育現場での禁止措置は、中国憲法にも違反している。こういう違反行為まで冒し同化政策を行う背景は、中国の国内不満が高まっている証拠であろう。習近平氏は、追い詰められているのだ。

     

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