勝又壽良のワールドビュー

好評を頂いている「勝又壽良の経済時評」の姉妹版。勝又壽良が日々の世界経済ニュースをより平易に、かつ鋭くタイムリーに解説します。中国、韓国、日本、米国など世界の経済時評を、時宜に合わせ取り上げます。

    カテゴリ:経済ニュース時評 > 中国経済ニュース時評

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    中国の習近平国家主席は、失敗続きである。米中貿易戦争では、情勢判断を誤り米国へ対抗したばかりに、経済はガタガタに落込んでいる。失業者急増で突発的な社会騒動が懸念される事態だ。香港では、民主化要求デモを強権で弾圧し、区会議員選挙で親中派が大量落選の憂き目を見た。

     

    香港の強権による弾圧が、台湾総統選に大きく響いてきた。来年1月の選挙では、これまで「一つの中国」を唱えてきた国民党の支持率が急落している。不況が続き不利だった蔡総統は、「一つの中国」を否定してきたことでブレークし、「当選確実」という状況に急変している。これも習近平氏の強硬策がもたらした、「もう一つの失敗」である。

     

    『フィナンシャル・タイムズ』(12月23日付)は、「台湾総統選に立ちはだかる中国の影」と題する記事を掲載した。

     

    台湾与党・民主進歩党(民進党)の現職候補、蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が、台湾の事実上の独立を阻止しようとする中国の動きに抵抗して同国指導部の怒りを買っていた。中国による香港民主化デモ弾圧が台湾に飛び火して、蔡氏は2期目4年間の続投を決めるのは、ほぼ確実な情勢となっている。皮肉にも、中国の香港統治強攻策が、台湾で「反中派」の蔡氏を勝たせる要因になりそうだ。

     


    (1)「国民党が総統選の候補者を決めた19年春の時点では、(国民党候補の)韓国瑜(ハン・グオユー)高雄市長が、大差で蔡氏を破るとの見方が多かった。痛みの伴う蔡氏の経済改革に有権者が不満を抱くなか、民進党の伝統的な地盤である高雄市の市長選に圧勝した韓氏は、人気ロックスター並の扱いを受けた。だが、この7カ月間で韓氏の支持率は50%弱から20%に急落。一方、蔡氏の支持率は34%から50%超に急上昇した。ここ数週間で、蔡氏は韓氏との差をほぼ30ポイントにまで広げた」

     

    韓氏の支持率は、50%弱→20%に急落

    蔡氏の支持率は、34%→50%超に急上昇

    両氏の支持率は、7ヶ月間で入れ替わってしまった。それほど、中国の「香港人権デモ弾圧」が、台湾総統選に影響しているのだ。中国へ近づけば経済面ではプラスでも、政治の自由を失うという危機感に結びつき、韓氏の支持率は離散した。

     

    (2)「中央研究院(台北)のネイサン・バトー副研究員は、「選挙戦終盤になって、あるいは選挙期間全体でみても、支持率がこんなに大きく動くのは異例中の異例だ」と台湾の学術機関が言う。「一般的に世論調査の数字は選挙戦全体を通じて数ポイントしか動かないのに」と。その異例な動きの背景にあるのが中国の存在だ。中国政府は台湾を自国の領土の一部であると主張し、あくまでも統一に抵抗するなら侵攻も辞さないと威嚇している。蔡氏は、香港の混乱を台湾の有権者に対する警告として利用し、「一つの中国」の原則を受け入れれば、海峡を挟んでの両義性の余地が失われてしまうと訴える。香港方式を導入すれば台湾の民主主義は終わるとの主張だ」

     

    国民党は、中国革命戦争で共産党に敗れて台湾へ逃げ込んだもの。国民党は、その敗北相手の習近平氏と握手し、尖閣諸島の帰属問題では日本と微妙な位置に立った。これで、長年の日本と国民党の友好関係に傷がついた。民進党の方が、はるかに親日的である。李登輝・元総統が親日であることを受け継いでいるからだ。日本としては、蔡総統の再選を祝いたい気持ちだろう。

     

    (3)「民進党の政治家や独立系アナリストは、韓氏が一気に頭角を現したのは中国が陰で選挙戦を操ったおかげだと指摘した。台北大学でインターネットによる情報操作について研究する沈伯洋助教授は「韓氏がソーシャルメディアで何かをつぶやけば、たちまち数十万人に拡散し、『いいね!』やコメントが寄せられた。他の政治家の通常のレベルをはるかに超えていた」と分析する。そうした反応を示したアカウントの大半が中国の一握りの省に集中していたという。だが、ソーシャルメディア上での韓氏の人気は急落した。台湾の有権者も韓氏を見限ったようだ。総統選と同日実施の立法委員(国会議員)選挙の候補者名簿で、国民党が中国共産党と関係の強い政治家を上位に据えたのを受けて、韓氏の支持率は急降下した」

     

    中国は、総統選に「介入」している。SNSの韓氏のアカウントに、中国の限られた省から「いいね」を押させて、あたかも人気が高いように見せかけたのだ。だが、それも効果が切れて韓氏の人気が落ちて中国の介入が逆効果になった。台湾では、中国の存在が嫌われているのだ。

     


    (4)「その後、オーストラリアに逃亡した「元スパイ」を名乗る中国人が、中国政府は高雄市長選で韓氏を勝たせるために大がかりな介入をしたと述べたのを受け、韓氏の支持率はさらに下落した。韓氏はこの疑惑を否定している。中国脅威論は韓氏の選挙戦に悪影響を及ぼしたが、蔡氏には強力な援軍となった。蔡氏は有権者の目を内政問題からそらし、中国に向けることができた。台湾にとっては米中貿易戦争も追い風だ。台湾のハイテク企業が生産拠点を中国から地元に戻す動きに出ているからだ」

     

    台湾経済は、米中貿易戦争の余波を受け、中国へ進出していた台湾IT企業が、相次いでUターンしている。これが、台湾経済を活性化させている。台湾は、中国の札ビラ外交で8ヶ国と外交関係を断絶させられた。これに激怒した米国が、台湾との関係をさらに密接化する「台北法」を上院外交委員会が決定し、上院へ提案する。この法律で、米台貿易協定を検討するなど、フォローの風が吹いている。すべて、習近平氏の行なった強硬策が破綻したものだ。

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    世代ギャップをもっとも強く示すものは、ゲーム機への関心程度であろう。無関心は、「旧世代」。関心ありは、「新世代」である。そのゲームを巡って、中国と韓国がバトルを演じている。問題の発端は、約3年前の韓国による「THAAD」(超高高度ミサイル網)設置に対して、中国が経済制裁を加え輸入を禁止したからだ。

     

    その間に中国では、日米のゲームだけが輸入許可され、韓国製は締出しを食ったまま。それだけでない。中国企業が、韓国製ゲームをコピーして韓国へ輸出する事態に遭遇している。その被害額は、数千億円と推計されている。

     

    先の中韓首脳会談で、韓国がこのゲーム問題の改善を要請すると期待されていた。その後、全くの「無言」であったことが判明。韓国ゲーム業界は、文政権の及び腰に落胆している。中国に対しては、抗議がましいことを何も言えず、中国の言い分をただ聞かされ、「同意した」と発表される始末だ。韓国の対中国外交は「存在」しない。

     


    『朝鮮日報』(12月29日付)は、「中国で横行する韓国ゲームのコピー行為、中国で営業許可が下りない間に笑う日本」と題する記事を掲載した。

     

    韓国のゲーム業者が中国企業のコピー行為などで韓国市場まで脅かされる中、中国の韓国企業に対するゲーム営業許可(版号)の発給中断問題は解決の兆しすら見えない。中国は2017年初めから終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備への報復の一環として、韓国のゲームに許可を出していない。

     

    (1)「そうした市場の空白には日本企業が食い込んだ。ゲーム業界は今年、中国が外国企業に発給した許可のうち3040%を日本企業が占めると推定している。日本の知的財産権(IP)を活用したゲームも中国で人気を集めている。ゲーム業界関係者は、「最近日本のIPを活用した中国のゲームは日本による独自製作と区分できないほどレベルが高い。韓国のゲーム業者による中国進出が阻まれる間、中国が日本企業との相乗効果で実力を養っている」と説明した。開発能力を高めた中国のゲーム業者は最近、韓国市場に進出し、好業績を上げ、韓国市場を侵食している」

     

    中国は、韓国を虐めている。「コリア・ハラスメント」だ。それに引き替え、日本を優遇している。狙いは明白である。中国が、米中貿易戦争で苦しんでいるので、日本を中国側へ引き寄せるためだ。だが、日本は中国のそういう誘いに乗ってフラフラすることはない。そこが、韓国と違うところである。政経を分離できない国は、中国が畏怖しないのだ。

     

    (2)「韓国ゲーム業界は、「中国のゲーム許可不発給による被害は数兆ウォン(数千億円)に達すると予想されるが、韓国政府は問題を解決しようとする努力すらしない」と指摘した。韓国ゲーム学会は今月11日、外交部に対する声明を出し、「韓国のゲームに対する中国政府の差別について、どんな見解と対応策を持っているのか明らかにしてもらいたい」と申し入れた」

     

    ゲーム業界は当初、文政権に期待を寄せていた。大統領選で支持もした。だが今、すべて裏切られたと怒っている。『朝鮮日報』(12月29日付)は、次のように事情を説明している。

     

    当初ゲーム業界は文在寅政権を「珍しくゲームに理解がある政権」だとみていた。文大統領の息子、ムン・ジュンヨン氏にはゲーム開発会社を起業した経歴があり、ゲーム産業に対する理解度が前任の大統領より高いとの見方だった。実際に文大統領は候補だった当時、「ゲームをまるで麻薬かのようにとらえる先入観や偏見は変わるべきだ」「否定的な認識で中国に追い越されたが、(規制を)適正に緩和すれば、再び韓国経済の成長動力になる」などと発言していた。

     

    今年初めに青瓦台で開かれた企業経営者との対話では、NCソフトの金沢辰(キム・テクチン)代表を真横に座らせ、ネットマーブルの房俊ヒョク(パン・ジュンヒョク)理事会議長と青瓦台の敷地内を散策した。

     

    しかし、いざ韓国ゲーム業界にとって切実な懸案の解決となると、無気力な姿勢を見せている。今月11日、韓国ゲーム学会は「前回の大統領選でゲーム産業復興の適任者として文在寅候補を支持したが、現政権の外交部は(中国の)許可証差別に何の対策も示していない」とする声明を出した。中国の問題は営業許可証だけではない。中国による韓国製ゲームの無分別なコピー行為について、韓国政府は解決法どころか、公式な抗議さえしていないのが現実だ。

     

    以上の記述を読むと、文政権が中国に対して、全くの無気力政権であることが分かる。その弱気の部分が、すべて「反日」となって向かってくる。この民族の「偏向」ぶりがよく分かるのだ。


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    中国の社会主義は、「空想的社会主義」である。確たる将来計画もなく野放図に手を広げて、国威発揚という民族主義に陥っているからだ。その一例が、中国全土に高速鉄道網を拡大している点に表れている。高速鉄度は建設費もかかるが、その後の維持費が莫大である。米国でさえ高速鉄道建設に消極的である。維持費が嵩むからだ。

     

    中国が、将来の人口推計でもっとも減少することは避けられなくなっている。

     

    米中の将来人口推計

     2020年      2100年    増減率

    中国 14億3900万人  10億6500万人 -26%

    米国  3億3100万人   4億4500万人 +34%

    (資料:国連人口部 2019年6月)

     

    中国は、2100年の人口が現在よりも26%減少する。高速鉄道を建設しても乗客が減ることを何も計算していないのだ。さらに、重大なことは、現在の大都市人口(100万人以上)の占める比率が日米よりも低く、採算が難しいことを証明している。

     

    世界大都市人口比率(2018年)

     

    日本(世界5位) 64.63%

    米国(同15位) 46.25%

    中国(同35位) 27.89%

    (資料:世界銀行)

     

    高速鉄道のように大量高速輸送機関が、経営的に採算に乗るには、営業基盤の都市人口比率が高いことが前提だ。前記のデータを見れば、中国は最悪である。鉄道線路に「ぺんぺん草」が生えるのは不可避であろう。この程度のことがなぜ分からないのか、不思議な国である。

     


    『レコードチャイナ』(12月28日付)は、「中国の高速鉄道が35000キロ突破し世界の3分の2に 貧困地区にも続々開通」と題する記事を掲載した。

     

    『人民日報』(12月26日付)は「今年末までに中国では13路線の高速鉄道が立て続けに開通し、営業距離が35000キロを超える」と報じた。

     

    (1)「『人民日報』は、「今年末までに中国では13路線の高速鉄道が立て続けに開通し、営業距離が35000キロを超える」と報じた。記事によると、35000キロという営業距離は世界の高速鉄道の総距離の3分の2を上回る。記事は、「中国では今年、高速鉄道の営業距離が5000キロあまり増加した。鉄道の旅客数は計231000万人に達する見込み。鉄道を使って出かける旅客の3人のうち2人が高速鉄道を選んでいることになる」と説明した」

     

    中国の高速鉄道の営業距離が3万5000キロに達したという。今年だけで5000キロも増加したことは、GDP押し上げ目的達成のため、無茶苦茶なスピードで建設・開業に持ち込んでいることが分かる。中国の大都市人口比率は世界35位である。人口密集地帯を走れば営業的にプラスであるが、田園都市を走っても営業上はマイナスである。

     

    (2)「また、「来年の春節のピーク時期を前に、鄭州-重慶間を結ぶ路線の鄭州-襄陽区間を始めとして、成都-貴陽路線、鄭州-阜陽路線、武漢-十堰路線などが開通した。それによって、中国を“縦横無尽”に走る高速鉄道網はさらに密になり、地域開発のバランスもますます良くなろうとしている」と指摘した」

     

    米国は、遠距離交通を空路に頼っている。中国は、そういう交通機関の棲み分けもなく「重複」させている。目的はただ一つ、GDP押し上げである。

     

    (3)「記事によると、高速鉄道は地方の業者に農作物などの鮮度を保ったまま輸送することを可能にするといった理由から、「高速鉄道の発達は農村の活性化にとって新たなエンジンとなる」との指摘もあるという。このほか、記事は「今年に入って山東省臨沂市や広西チワン族自治区カン州市、安徽省阜陽市、貴州省畢節市といった貧困地区にも初めて高速鉄道が開通した」と紹介。人手不足に悩む郊外の工場などにとって、高速鉄道の開通は「貧困から脱出するための契機になる」と論じた」

     

    高速鉄道が、人口希薄地帯で開業したからといって経済が活性化するだろうか。大都市へ購買力が吸収される「ストロー効果」が懸念される。今後の人口急減速によって地方人口が減るので、人間の住まない地域を高速鉄道が走っても赤字を生むだけ。そういうリスクについて、なんら考えていない記事である。「おめでたい」のだ。

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    中国で習近平第2期政権発足時に、現在のような経済危機に襲われると予想した者はいなかったであろう。民族派は、意気揚々と「米国経済衰亡」、「中国経済飛躍」という妄想を習氏に吹き込んでいた。これを真に受けた習氏は、「米国覇権に挑戦する」、「2050年頃には経済力・軍事力で米国を抜く」とバブル経済に酔っていたのだ。

     

    現在の中国は、酔いから冷めて深刻な事態だ。失業の嵐が吹きまくっている。無慈悲な首切りが行なわれており、突発的な社会騒乱発生を警戒せざるを得ない状況だ。バブル崩壊後、失業率はどの程度、高まるのか。日本を例に見ておきたい。

     

    日本の失業率(%)

    1990 2.10 (1月4日、株価大暴落)

      91 2.09

      92 2.15

      93 2.50

      94 2.89

      95 3.15

      96 3.37

      97 3.40 

      98 4.10

      99 4.67

    2000 4.73

      01 5.04

      02 5.36 (失業率ピ-ク)

      03 5.24

      04 4.73

      

    日本は、終身雇用制で人員整理せず、「社内失業」でカバーしたが、それも1998年ころから限界にぶつかった。それ以前の急速な円高で輸出不振に陥ったことも影響した。

     

    こういう日本のバブル経済崩壊後に辿った「失業の大波」は、必ず中国経済にも表れる。特に、日本のような終身雇用制(当時)で守られていないだけに、失業が中国経済に及ぼす影響は甚大であろう。

     

    『大紀元』(12月28日付)は、「中国当局、雇用安定再強化の指針を発表『失業ラッシュ』強く意識」と題する記事を掲載した。

     

    中国国務院(内閣に相当)は12月24日、雇用安定の再強化に関する指針を発表した。指針は「規模性失業風険(大規模な失業リスク)」との文言を複数回用い、失業問題に対して中国当局が神経をとがらせている様子を映し出した。

     

    (1)「李克強首相が署名した『国発(201928号文件』は、「国内外のリスクや課題が増える中、雇用の安定化の圧力が強まっている」との認識を示した。指針は、2019年下半期以来、企業が粗雑に従業員を解雇したケースが急増していると指摘し、「雇用の安定化をさらに重要な位置づけにする必要がある」と強調した。また、「大規模な失業リスクを全面的に回避・防止し、雇用情勢の安定を全力で確保しなければならない」と発表した

     

    下線部分で今年下半期以降の首切り旋風が起こっていたことを示している。

     

    (2)「同指針は、民間企業や零細企業向け融資を拡大し奨励すると唱え、雇用の促進や失業者への失業保険や生活保護費の支給も強調した。その一方で、「各地方政府は、大規模な失業による突発的な抗議事件に対応する体制を整えなければければならない。対立の激化と事態の悪化を防ぐ必要がある」「突発的で、大規模な失業リスクに備えて、条件のある地域では、失業リスク準備金を設立することも可能だ」と提唱した。さらに中国当局は、失業問題について「プロパガンダ宣伝を行い世論を導く」よう地方政府に要求し」

     

    突発的な失業の発生を警戒している。これは、「金融連鎖倒産」に伴うもので、実態はここまで悪化してきた。同時に、これがもたらす社会騒乱の発生が警戒されている。まさに、臨戦体制だ。中国経済も落ちぶれたものである。

     


    (3)「大紀元コメンテーターの李林一氏は、同指針は今後、広範囲に人員が削減されるだろうという中国当局の見通しを反映しているとした。「民間企業は国内約9割の雇用に貢献している。景気後退と米中貿易戦の先行き不透明感で、数多くの民間企業が経営破たんに追い込まれた」

     

    中国一の富豪とされる、アリババ集団創業者の馬雲氏はこのほど、国内で行われた企業家フォーラムで、1日に5人の友人から借金を頼まれたことを明かした。馬氏は、中国民間企業の「難局は始まったばかりだ」と発言している。これは、馬氏の持論でもあり、中国経済の将来に警戒感を持っている。危機は、これから本格化するという立場だ。

     

    (4)「国務院の指針に関して、中国版ツイッター「微博」では波紋が広がった。次のような書き込みがされている。

    1)このニュースを見た途端、もうすぐ失業ラッシュが本当に起きるのだなと思いついた。2020年は大変な一年になりそうだ

    2)企業はすでに社員をどんどん解雇しているけど、報道されていないだけだ。(当局が)このニュースを通して、今までの深刻な状況を認めたということか?それとも、(当局が)企業に対して『穏やかに』リストラしなさいというメッセージを送っているのか?

    3)会社に解雇されたばかりだ、リストラされた、というネットユーザーらもコメントを書き込んだ」

     

    失業とこれに伴う騒乱問題が、2020年のトピックスになる懸念が強まっている。解決策はない。米中貿易戦争を回避せず、粋がって買って出た民族派の失敗である。米国経済の実力を見誤った結果だ。同時に、市場経済が持つ経済調整力を軽視したことも、致命的な結末をもたらすであろう。

    あじさいのたまご
       


    中国ファーウェイ(華為技術)は今や、世界最大の通信機メーカーとなった。急成長した裏には、中国政府と密接な関係のあることが分かった。約8兆円にも上る巨額の補助金などの助成を受けていることが、『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)の調査記事で判明したもの。

     

    ファーウェイは、これまで社員株主制による純然たる民間会社と言い張ってきた。だが、実質株主は国家であることが判明している。退職したファーウェイ社員が、保有株式数に見合った株価に基づく退職金を裁判所に訴え敗訴している。判決で、登録株式名義は労組であり、最終的に国家が所有するとの判決が下ったのだ。

     

    ファーウェイの実質は、国有企業でありながら民間会社の仮面を被ってきた。その理由は何か。スパイ活動をする上で、「民間企業」であることが好都合であったのであろう。ファーウェイのスパイ活動は、世界中で行なわれてきた。中国大使館と表裏一体になって諜報活動や技術窃取などを行なっている。本欄でもしばしば取り上げてきた。

     

    『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月27日付)は、「ファーウェイ、台頭の裏に政府支援8兆円超」と題する記事を掲載した。

     

    中国の華為技術(ファーウェイ)が世界トップの通信機器メーカーに上り詰めた背景には、政府からの巨額の金銭的支援があった。主要な指標で見た場合、その規模はライバル企業が政府から得た支援をはるかに上回る。

     

    (1)「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)はファーウェイが受けた補助金、信用供与、税制優遇措置などの金銭的支援を確認し、同社がいかにして最大750億ドル(約82040億円)もの国家的支援を利用し、ほぼ無名の電話交換機ベンダーから世界最大の通信機器メーカーへと成長したかを初めて明らかにした。そうした支援を武器に、ファーウェイは顧客に寛大な融資条件や競合を30%も下回る価格を提供しているとアナリストや顧客は話す」

     

    仮面を被ってきたファーウェイの実態が初めて、WSJの記事で明らかにされた、中国政府の手厚い保護を受けてきたのである。表面的には民間企業を装いながら、実態は国有企業である。なぜ、カムフラージュしたのか。それは、技術窃取と諜報活動には民間企業の体裁が相手国から警戒されず好適であったからだ。

     

    (2)「ファーウェイは次世代通信規格「5G」ネットワーク構築の契約獲得を世界中で競っている。中国以外の国でも、政府が力を入れる企業や業界に金銭的支援を提供すること自体は珍しくない。ただ、25年前に開始された免税措置をはじめとする中国のファーウェイ支援は、同社と政府の関係への疑問を強める一因となっている。米中関係を調査する米議会委員会のマイケル・ウェッセル委員は「ファーウェイには商業上の利益がある一方で、そうした商業上の利益は国家によって強く支えられている」と述べた。米国はファーウェイの機器について、中国政府が同社にネットワークデータの提供を要請した場合、安全保障上の脅威をもたらしかねないと懸念を表明している。ファーウェイはデータを政府に引き渡すことはないと否定している」

     

    ファーウェイ製品は、他社製品よりも飛び抜けて割安である。この裏には、中国政府の補助金などの助成があったから可能なのだ。中国政府が、手厚い補助金を出した理由は、ファーウェイ機器に仕組んだ「バックドア」により、各国政府の機密情報を奪取する目的である。それ以外に、理由は考えられない。ファーウェイの補助金は、政府諜報活動費の一環である。

     

    (3)「WSJが確認したところによると、支援で最も大きな部分を占めるのが、国営銀行から提供された約460億ドルに上る融資や信用枠だ。また、IT(情報技術)業界向けの優遇策によって200818年に最大250億ドルを節税している。その他、16億ドルの補助金や土地代の20億ドルの値引きなどもある。ファーウェイに対する国家的支援には定量化できないものもある。中国やその他の関係者によると、中国政府は1999年、ファーウェイを脱税疑惑から救済するため異例の介入を行った」

     

    ファーウェイは、国有銀行から融資枠で優遇されている。政府からは、減税の恩典にも預かっている。脱税疑惑では、政府の介入で税務調査をストップさせたこともある。このように、民営でありながら、実質国有企業のファーウェイは、「身分」を偽って世界中で暗躍を続けている。

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